苫米地理論を研究し、苫米地式を実践する <CoacH T>

認知科学者 苫米地英人博士に学び活動するコーチ・ヒーラー・医師 CoacH T(タケハラクニオ)ブログ

タグ:認知症

L-151202111月医療系研修会 -06;人生の様々な方向性に対してそれぞれゴールを持つ

 

202111月に認知症をテーマとした医療系の研修会で講演を行いました。当日の講演内容をブログ用に再構成し、いただいた御意見・御質問に回答いたします。

 

 01;認知症を引き起こし、BPSDを悪化させるもの

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33693497.html

 02;人の特性はBSで決まる=人はさまざまな幻想に支配されている

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33708684.html

 03;「ゴール側の世界(w1)の臨場感を維持し続ける」ための鍵

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33745283.html

 04;生体に備わっているホメオスタシスの同調性を利用する方法

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33760483.html

 05;記憶にリアルな臨場感を持たせると、相手も同じ臨場感を感じる

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33796873.html

 06;人生の様々な方向性に対してそれぞれゴールを持つ

 

 

 相手を自然に笑顔にする「和顔施」や「眼施」は、自分自身が心から笑顔でいられるからできます。心から笑顔でいられるのは、もちろん、happyだから。

 F-044:笑顔のままお亡くなりになった患者さんから学んだこと 前編:布施

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/11142143.html

 

 そして、いつもhappyなのは、「本当にやりたいことを、完全な自由意思でゴールに設定し、その実現に向けて全力で(かつ自然に)生きている」から。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html

 

 ゴールは、1)現状の外で、2)心から望み、3)人生のあらゆる領域に設定するもの。さらには 4)自分中心を捨て去ったもの です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

3)人生のあらゆる領域とは、バランスホイールのこと。「職業」「趣味」「家族」「生涯学習」「地域への貢献」「社会(未来)への貢献」「健康」「ファイナンス」といった各カテゴリに、それぞれ独立したゴールを設定していきます。

 Q-255バランスホイールは全て現状の外にゴールを設定する方がよいのでしょうか?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28656381.html

 

 

バランスホイール

 

 

 コーチングを学びはじめたばかりの方には意外でしょうが、本物のコーチ(authentic coach)は、とくに「趣味」のカテゴリを重要視します。「趣味」と「職業」は共通点が多く、マインドの使い方が似ているからです。

 もしも「職業」のゴールで悩んだなら、「趣味」を糸口にすることをお勧めします。「ワクワクできること」がゴール設定の基本です。

 Q-358:止められてもやりたいゴールが見つかりません

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33485940.html

 

 以下、苫米地博士の著書「『言葉』があなたの人生を決める 【実践ワークブック】」(フォレスト出版、p62)より引用します。「自分にとっては何が幸せなのか?」と問いながら読み進めてください。Feel

 

 

RULE_014 複数のゴールを設定するとき「バランス・ホイール」をイメージする

[趣味のゴールが決まれば仕事のゴールも決まる]

 人生の目標について訊ねると、一番多い答えが「仕事」です。確かに生活の中で仕事に関わる時間は大きなウェイトを占めますが、人生という枠組みの中では、仕事はたくさんあるゴールのうちの一つに過ぎません。同じくらいに、健康や趣味、家族や地域社会への貢献といったことも重要です。

 私たちが考える幸福とは、これらの幸福がバランスのよい状態のことです。仕事やお金以外の幸福を手に入れようとすることは、ゴールを設定する上で大事なことだと思います。これを「バランス・ホイール(もともとはタイヤの内側にある複数の棒状の金属)」と呼んでいますが、要は仕事だけでなく、家族や人生、精神的なことについてのゴールも取り入れなくてはいけないということです。

 私が常々感じているのは、自分の「趣味」は仕事と同じくらい悩んで決める必要がある、ということです。趣味は直接的に自分の役に立つわけではないですが、徹底的に好きでないとできません。考えただけで嬉しくて仕方がなくなり、他の時間を削ってでもやりたいほどのことでないと、趣味とは言えません。実は、趣味のゴールを見つけられたら、職業のゴールを見つけるのも容易なのです。なぜならば、職業のゴールも、趣味のゴールと同じくらいわくわくできて楽しいものでなくてはならないからです。趣味に対する熱意と同じベクトル量を仕事でも持てれば、仕事のゴールは簡単に見つかるでしょう。

 このように人生の様々な方向性に対してそれぞれゴールを持つのは大切なことです。

 たとえば将来の夢で「サッカーの世界最高峰リーグのFCバルセロナで活躍したい」と考えたとします。これは仕事のゴールと言えます。

 これに「世界中の子どもたちにサッカーの楽しさを教えたい」という社会貢献に対するゴールを加えます。あるいは「結婚したら、家族と過ごす時間を大切にしたい」という家庭に対するゴールを加えていきます。

 このように人間のゴールは一つだけではありません。要は複数のバランスのとれたゴールを設定することが大切なのです。

 引用終わり

 

 

 私たちが考える幸福とは、これらの幸福がバランスのよい状態のこと

仕事やお金以外の幸福を手に入れようとすることは、ゴールを設定する上で大事なこと

 

 バランスホイールを本気で考えることは、自分にとっての幸福を定義する大切なきっかけになります。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 以前(L-147/02)確認したとおり、「自分の意思で選んだ」「自分の意思で行った」と思っている選択や行為のほとんどは、誰かに選ばされていたり、やらされたりしていることです。

私たちは、そうとは知らないだけで、さまざまな幻想に支配されています。

 Q-345:自身の人生をvol.2;「走りながら考える」 コーチング実践編・自由>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32510309.html

 

 自分にとっての幸福を定義するためには、まずは“自分”を定義しなければなりません。それは部分関数としての自我を一つひとつ確認していくということ。“自分”を構成する関係性の認識(=モニタリング)です。

 F-321:観自在 <実践編-1;モニタリング>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32969294.html

 

 関係性を認識することができたなら、次は重要な順に関係性を並べ替えていきます。そのプロセスは、評価関数(重要度関数)としての自我の再定義になります。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html

 

 自分にとっての幸福が定義できたなら、次はその幸福が人生の何割を占めるか考えていきます。これは「幸福のバランス」を考えていくということ。

それぞれ円グラフの何割を占めるかを図示しながらバランスホイールを完成させていくと、ゴール設定(再設定)の目安とすることができます。

Q-218:わりとすぐに達成できそうなゴールを設定してもよいですか?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27405307.html

 

 

「幸福」の条件とそのバランスを考える(「言葉」があなたの人生を決める【実践ワークブック】」)

「『言葉』があなたの人生を決める 【実践ワークブック】」より引用

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 じつは「幸福のバランス」を考えるだけでは、まだまだ足りません。欠けているもの/ことは何でしょうか?

 (ヒントはこちら↓)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33566734.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33619443.html

 

L-152につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ      

苫米地式認定マスターヒーラー      

 CoacH T(タケハラクニオ)     

 

 

-告知1

2023年度のオンラインセミナーを企画しました。9月から1ヶ月おきに、計4回開催する予定です(9月、11月、1月、3月)↓

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32135874.html

 

 次回の開催は2024428日(日)の予定です(←再変更しました)。1ヶ月前に告知を行います。お楽しみに。

 

 

-告知2

 クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。

一緒に楽しみましょう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html

 

 

-関連記事-

F-273:冗長性と多様性 <vol.5;抽象度×バランスホイール>

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30452009.html

F-318~:観自在

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_427083.html

F-330~:分断緩和のための処方箋

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_427910.html

Q-303~:どうやったらすべての目標を結びつけることができるのでしょうか?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_424263.html

Q-362~:各エリアのゴールについて想いを馳せている状態というのは、バランスホイールの図を眺めながら、頭の中で考えている感じなのでしょうか?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_428110.html

 

 

『言葉』があなたの人生を決める 【実践ワークブック】

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L-150202111月医療系研修会 -05;記憶にリアルな臨場感を持たせると、相手も同じ臨場感を感じる

 

202111月に認知症をテーマとした医療系の研修会で講演を行いました。当日の講演内容をブログ用に再構成し、いただいた御意見・御質問に回答いたします。

 

 01;認知症を引き起こし、BPSDを悪化させるもの

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33693497.html

 02;人の特性はBSで決まる=人はさまざまな幻想に支配されている

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33708684.html

 03;「ゴール側の世界(w1)の臨場感を維持し続ける」ための鍵

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33745283.html

 04;生体に備わっているホメオスタシスの同調性を利用する方法

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33760483.html

 05;記憶にリアルな臨場感を持たせると、相手も同じ臨場感を感じる

 

 

 生体に備わっているホメオスタシスの同調性を利用する

 = 自らを深い変性意識状態にする

→ 相手と目を合わせる

→ 相手は変性意識化してしまう

 

 苫米地博士が開示されたこの奥義は、恐怖と不安のマネジメントにも活用できます。動物的な大脳辺縁系優位になるのを防ぐ予防法として、あるいは「ファイト・オア・フライト」の状態から人間的な前頭前野優位に戻る(戻す)技として。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8164566.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166289.html

 

 では、抽象度を下げて、より具体的に確認していきましょう。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 人間においては、網膜(目)からの視覚情報が視覚野(大脳の後頭葉)に向かうメインルートだけではなく、直接扁桃体に向かうサブルートが存在しています。そのため視覚野の機能を失っても、扁桃体で人の表情を判断することができます。

つまり、「人は無意識に他人の表情を分析し、記憶と照らし合わせながら心を推測している」ということ

 

 視覚野に障害がある(=目が見えない)患者さんを対象にした英ウェールズ大学の研究によると、相手が無表情な場合は「対象が男性か女性かに関係なく、感情を読み取りづらい」といった傾向が確認されたそう。目が見えないのですから当然です。

ところが、明確な感情(怒り、喜び)を示した人の顔を見せた場合、単なる当てずっぽうを上回る正解率を示したそう。悲しい顔とうれしい顔、怯えている顔と幸せそうな顔といった感情表現の場合でも、ほぼ同様の確率で正解したそうです。目が見えないはずなのに。

 F-045:笑顔のままお亡くなりになった患者さんから 中編:ブラインドサイト

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/11294790.html

 

ちなみに、人の顔を動物の顔に置き換えると、襲いかかろうとしているのかどうかなどを見分けることができなかったと報告されています。どうやら表情から感情を読み取る力は人と人の間に限定されるようです。

Q-233~4:「財布を娘に盗られた」といったvol.4~5:ユマニチュードの5つのステップ>

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27926812.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27962873.html

 

 繰り返しますが、私たちは無意識に相手の表情を読み取り、記憶と照合しながらその状況を評価しています。それは「ファイト・オア・フライト」のジャッジのためともいえるはず。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/9815429.html

 

 

 生体に備わっているホメオスタシスの同調性を利用する

 = 自らを深い変性意識状態にする

→ 相手と目を合わせる

→ 相手は変性意識化してしまう

 

 だから、自分自身が常にリラックスし続け(変性意識状態)、和やかな表情(和顔施)で、相手と目を合わせること(眼施)には、とても大きな意味があります。それは扁桃体に働きかけて、相手を人間らしくする(=前頭前野優位)ということです。

 F-044:笑顔のままお亡くなりになった患者さんから学んだこと 前編:布施

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/11142143.html

 

 反対に、相手の怒りや悲しみの表情を見ることで自身の扁桃体が発火すると、情動(その多くは辛い系)を伴った記憶が増幅されながら引っ張り出され、大脳辺縁系優位になってしまいます。

その時の状態は、自律神経の働きでいうと「交感神経優位」、コーチングでいうと「コンフォートゾーン(Comfort ZoneCZ)から外れた状態」です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

そのような状態では、“ストレス”は高まるばかり。もちろん、IQは低下します。進化の過程に例えると、サルやゴリラレベルに一時的に退化してしまう感じです。だから

 

自分自身が徹底的にリラックスし続け(変性意識状態)、和やかな表情(和顔施)で、相手と目を合わせ続ける(眼施)

 

相手がリラックスしている皆さんの表情から喜びや楽しさ、うれしさといった情動を読み取ると、扁桃体の発火は起こらず、穏やかな前頭前野優位の意識状態が伝わります。ホメオスタシスの同調性により。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html

 

仮に相手が何らかのストレス状態にあったとしても、楽しそうな表情を見ることで「ファイト・オア・フライト」から脱しやすくなるはず。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/8166400.html

 

 医療や介護の現場には、「〇〇さんを見るだけで気分がよくなる」「〇〇さんといると、とても落ち着く」といわれるヒーラーが必要です。

 Q-342:瞑想をすると思慮深い方向に向かってしまい<前編;ヒーラーの視点で>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32449644.html

 

では、そんなヒーラーになるためにはどうすればいいのでしょう?

 

 以下、苫米地博士の著書「一瞬で相手をオトす洗脳術」(マキノ出版、p21)より引用します。リラックスをさらに深め(=変性意識化=V↑)、和やかな自分の姿をしっかりイメージしながら(I)、ゆっくり読み進めてください。Feel

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html

 

 

心は伝播する

 内部表現の書き換え、つまり一目ぼれは、「変性意識」のときに起こります。変性意識とは、臨場感を感じている世界が物理的な現実世界ではなく、映画や小説といった仮想世界にある状態を指します。

 もちろん、現実世界の臨場感がまったくなくなるということはありません。現実世界よりも、仮想世界の臨場感がより強い状態のことです。

 映画を見ているときや夢を見ているときなどがそうです。

 催眠状態も変性意識のひとつの状態です。この意識の変性度の高い状態が、一般的にトランス状態といわれています。

 内部表現は、物理的な現実世界だけでなく、仮想世界にも臨場感を強く感じます。

 たとえば、映画でビルが爆破されるシーンを見たとき、ドキッとします。実際に生体レベルで心臓がドキッとする。また、小説の中の感動的な一節を読んでいると、本当に涙が流れてくる。

 これらは変性意識にある状態だといえるでしょう。

 こうした変性意識下でほかの人と同調すると、内部表現の情報は伝達します

 再度、映画を例に話していきましょう。

 2次元のスクリーンに映る俳優たち。そのひとりである俳優が、役柄になりきって強い哀しみに打ちひしがれた演技をします。このとき俳優は、人生でもっとも哀しかった思い出を記憶から引っ張り出し、涙を流したとします。

 すると、観客にもその哀しみが伝わり、俳優と同じように涙を流します。

 -これこそが、同調です。哀しみという強い内部表現が、ひとりの俳優から、その映画を見た全世界の観客たちに伝わっていく

 内部表現はなぜ同調して伝達するのか、そのからくりは現代の科学では説明できません。

 しかし、この事実は、名だたる演技理論のバックボーンとなり、たくさんの名優が実践しています。その演技理論とは、「メソッド演技法」といわれています。

 19世紀、ロシアの演出家であるコンスタンチン・スタニスラフスキーが提唱し、20世紀の演劇論に大きな影響を与えた演技法に「スタニフラフスキー・システム」があります。

 そのスタニスラフスキー・システムを、リー・ストラスバーグが「メソッド演技法」として体系化しました。リー・ストラスバーグは、世界を代表する演劇学校であるニューヨークに拠点を置くアクターズ・スタジオの創始者です。

 アクターズ・スタジオは、ポール・ニューマン、ジェームズ・ディーンから、ジャック・ニコルソン、メリル・ストリープ、アンジェリーナ・ジョリーら、錚々たる名優たちを輩出し続けています。

 演劇にかかわる者ならば、このメソッド演技法を知らない人はいないでしょう。メソッド演技法とは、シーンに合わせて、俳優が自分の実人生から最も強烈な記憶を引っ張り出してくる演技法です。つまり、強い内部表現を伝達するための方法なのです。

 そうした俳優の演技を見て、私たちは泣いたり、笑ったり、怒ったりします。そうした感情の動きこそが、俳優たちの強い内部表現の現れが、あなたに伝達したという証なのです。

 自分の記憶にリアルな臨場感を持たせると、観客も同じ臨場感を感じるということが「同調」です。

 スタニスラフスキーは、それを「プラーナ」と呼びました。プラーナとは、東洋医学でいう「気」と同じだと考えればいいでしょう。

 気は、物理エネルギーではありません。「気を送る」とは、「情報空間における書き換え」を意味します。

 単純に相手と自分が臨場感空間を共有すると、なぜか自分の書き換えた内部表現が相手に伝わります。もちろん、正確に伝わるわけではないにせよ、かなりの部分が伝わります。

 私はそのことを「ホメオスタシス(恒常性維持機能)の同調」と呼んでいます。物理的な情報だけでなく、情報的な情報も同調するのです。

 引用終わり

 

 

 自分の記憶にリアルな臨場感を持たせると、観客も同じ臨場感を感じる =気(プラーナ)

 

 それがヒーリングの秘訣。

 Q-191:ヒーリングとコーチングの関係がよくわかりません

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25482691.html

 

 相手を自然に笑顔にする「和顔施」や「眼施」は、自分自身が心から笑顔でいられるからできます。心から笑顔でいられるのは、もちろんhappyだから。

 

 そして、いつもhappyなのは

 

L-151につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-告知1

2023年度のオンラインセミナーを企画しました。9月から1ヶ月おきに、計4回開催する予定です(9月、11月、1月、3月)↓

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32135874.html

 

 次回の開催は2024428日(日)の予定です(←再変更しました)。1ヶ月前に告知を行います。お楽しみに。

 

 

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 クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。

一緒に楽しみましょう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html

 

  

-関連記事-

F-044~:笑顔のままお亡くなりになった患者さんから学んだこと

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Q-361 “自分以外を幸せにする”がわからずモヤモヤしています

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33551039.html

 


一瞬で相手をオトす洗脳術

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L-149202111月医療系研修会 -04;生体に備わっているホメオスタシスの同調性を利用する方法

 

202111月に認知症をテーマとした医療系の研修会で講演を行いました。当日の講演内容をブログ用に再構成し、いただいた御意見・御質問に回答いたします。

 

 01;認知症を引き起こし、BPSDを悪化させるもの

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33693497.html

 02;人の特性はBSで決まる=人はさまざまな幻想に支配されている

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33708684.html

 03;「ゴール側の世界(w1)の臨場感を維持し続ける」ための鍵

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33745283.html

 04;生体に備わっているホメオスタシスの同調性を利用する方法

 

 

 人は、洗脳による支配から自由になったとき、初めて自分の本当の意思に基づいて未来を選択できるようになる

 そのためには、思考の抽象度を高め物事をより俯瞰して眺めること、スコトーマをずらし見える世界を変えることなどが必要

 

 前頭前野のブリーフシステム(Belief SystemBS)同士の矛盾を解決し、心の内の深い葛藤を解消するためには、抽象度を高めることが必須です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 ところが、恐怖や不安が強いと、そもそも抽象度を高めることができません。大脳辺縁系優位の「ファイト・オア・フライト」とは、抽象度が下がる(あえて下げる)遺伝子レベルの反応です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8164566.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166289.html

 

 よって、恐怖や不安への対処が重要といえます。健康な人にとってももちろん、認知症の方(&サポーター)にはなおさら、恐怖と不安のマネジメントが求められます。

 

 

 その鍵が「変性意識」。

変性意識(Altered State of ConsciousnessASC)とは、「目の前の現状よりも現状とは異なるイメージに強い臨場感を感じている状態」のこと。苫米地博士は全ての変性意識生成方法を統一的に説明されています。それが「Rゆらぎ」です。

 L-11420219月シークレット… -02;夢=w1=高次の抽象度空間にひろがる縁起

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32099568.html

 

 通常、抽象度が上がると、臨場感は下がります。具体的な情報量が減っていくからです。抽象度が上がるほど、文字どおり“抽象的”になっていきます。

 Q-159~:臨場感が薄れても高い抽象度のゴールをイメージし続けるのでしょうか?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_404758.html

 

 ところが、「Rゆらぎ」を利用すれば、「抽象度を上げる際に同時に臨場感を上げていく」ことが可能になります。その秘訣が「呼吸」。詳しくはこちらでどうぞ↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23645730.html

 

呼吸を用いてRをゆらがせながらゴール側の世界(w1Imagination)の臨場感を高め続けると(Vividness)、やがてイメージが現実になっていきます(Reality)。「invent on the way」しながら。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html

 

 つまり、ゴール(未来)にふさわしい変性意識を維持するから、「希望を持ち続ける」「決して諦めない」というハビット&アティテュードが自然にあらわれ、「ゴール側の世界(w1)」が現実化していく ということ。

 F-222:コーチングの基本概念を習熟して、エフィカシーをブーストしよう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27832570.html

 

 そのときの“変性意識”は「ゴールに向かう(戻る)ホメオスタシス・フィードバック」といえるはずです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html

 

 それでは、変性意識の活用法について確認しましょう。

 以下、苫米地博士の著書「洗脳護身術」(三才ブックス、開拓社より再版、p103)より引用します。

 

 

目を合わせるだけのマインドエンジニアリング

 カタレプシーを巧みに利用する術は、慣れてくれば数秒で相手を変性意識化させられる。しかし、これには相手に触れなければならないという限界がある。そこでここでは、目を合わせただけで相手を変性意識化させる高等テクニックを紹介しよう。

 この方法は、生体に備わっているホメオスタシスの同調性を利用すればいい。自らを深い変性意識状態にしたうえで、相手と目を合わせるのである。そうすると相手は変性意識化してしまう。気功の世界などでは、この方法は古くから知られており、目から気が出ているからと考えられている。実際には、何らかの視覚情報が相手に伝わるからであると推測されるが、何度も練習をしてコツを掴むと、相手の目を見ただけで、相手を変性意識化できるようになる。

 方法論として、まずは通常の状態で相手と向き合い、相手の目と目の間を凝視する。ここで注意するのは、決して相手の目そのものを見てはいけないということ。相手の目に焦点を当てると、左右両方の目に視線が行ったりきたりして不安定になり、ホメオスタシスの同調を引き起こせない。しかも、相手が自分より技量の高い術者だと、逆にこちらが洗脳されるおそれがある。凝視するのは必ず相手の目と目の間だけだ。そうすれば、相手側は自分の目を正視されているように感じるだろう。また、視線を定めるときは決して怖い顔をしてはいけない。柔和な顔で、軽く微笑むくらいがいいだろう。

 このテクニックは、皆さんの通常の交渉にも十分活用できる。相手の目を見て話すのはコミュニケーションの基本だが、この方法を用いるとより効果的なアイコンタクトとなる。

 さて、問題はここからだ。相手の目と目の間を注視しながら、逆腹式呼吸を使って自らを深く変性意識化させる。練習がしっかりとできている人は、過去の変性意識状態を思い出すだけで、自らを変性意識化できるはずである。そして相手を見ながらも焦点は、ずっと遠い先を見つめる感じにする。すると相手は、自分の心の中を見透かされているような、不思議な気分になるだろう。そして自然に変性意識状態に陥るのである。

 これは精神世界の柔術のようなものだ。人間の身体のつくりを力学的に利用して相手を投げ飛ばすように、人間の心のつくりを気学的に利用して投げ飛ばす洗脳技術なのである。

 引用終わり

 

 

 生体に備わっているホメオスタシスの同調性を利用する

 = 自らを深い変性意識状態にする

→ 相手と目を合わせる

→ 相手は変性意識化してしまう

 

 博士が開示されたこの奥義は、恐怖と不安のマネジメントにも活用できます。

 

 これまで取り上げてきた「ファイト・オア・フライト」は、人間らしい前頭前野(理性)よりも、動物的な大脳辺縁系(情動)の方が優位になる状態です。

 大脳辺縁系は大脳の古い部分で、魚類や両生類といった進化の古い段階にもみられます。その大脳辺縁系の一部に扁桃体(へんとうたい)という部分があります。

扁桃体の役割は、「海馬と連携して記憶を司る」ことと「海馬に働きかけ、出し入れする記憶の増幅や減弱を行う」こと。後者は「評価関数」としての働き。そう、“自我”の機能のひとつです。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html

 

短期記憶の貯蔵庫である海馬は、長期記憶の貯蔵庫である側頭葉との記憶の出し入れをするゲートの役割を果たしています。その記憶により、前頭前野に認識のパターンができあがっていきます。それがブリーフシステム(BS)です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

 

脳の仕組みと記憶の仕組み(「イやな気持ち」を消す技術)

「イヤな気持ちを消す技術」(フォレスト出版、p33)より引用

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 記憶により、前頭前野に認識のパターンができあがる

 

 ここで問題が生じます。人間は“失敗”を記憶するようにできているから(失敗駆動型)。

つまり、前頭前野にできあがった認識のパターン=BS=自己イメージは、“失敗”により作られているということ。

PM-06-01:過去の“失敗”をもとに問題を解決する方法

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13397552.html

 

 さらにいうと、その前頭前野にできあがった認識のパターン=BS=自己イメージは、目の前の世界そのものでもあります。

“自我”のもうひとつの機能は「部分関数」。それからわかるのは「“自我”はあらゆる関係の結び目である」ということです。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

つまり、関係が変われば、自分が変わり、目の前の世界も変わっていく

 

その「自分」と「世界」は“失敗”の記憶から成っています。だから、私たちはイヤな気持ちに囚われてしまうのです。

 Q-235:「財布を娘に盗られた」といったvol.6:記憶が織りなす「一人一宇宙」>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27981625.html

 

だからこそ、「生体に備わっているホメオスタシスの同調性を利用する方法」は、とてもとても重要であるといえます。

 

L-150につづく)

 

 

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 次回の開催は2024428日(日)の予定です(←再変更しました)。1ヶ月前に告知を行います。お楽しみに。

 

 

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F-044~:笑顔のままお亡くなりになった患者さんから学んだこと

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Q-335~6:何かいい仕事はありませんか? <vol.2~3;認知ホメオスタシス>

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Q-361 “自分以外を幸せにする”がわからずモヤモヤしています

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L-148202111月医療系研修会 -03;「ゴール側の世界(w1)の臨場感を維持し続ける」ための鍵

 

202111月に認知症をテーマとした医療系の研修会で講演を行いました。当日の講演内容をブログ用に再構成し、いただいた御意見・御質問に回答いたします。

 

 01;認知症を引き起こし、BPSDを悪化させるもの

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33693497.html

 02;人の特性はBSで決まる=人はさまざまな幻想に支配されている

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33708684.html

 03;「ゴール側の世界(w1)の臨場感を維持し続ける」ための鍵

 

 

 人は、洗脳による支配から自由になったとき、初めて自分の本当の意思に基づいて未来を選択できるようになる

 そのためには、思考の抽象度を高め物事をより俯瞰して眺めること、スコトーマをずらし見える世界を変えることなどが必要

 

 前頭前野のブリーフシステム同士の矛盾を解決し、心の内の深い葛藤を解消するためには、抽象度を高めることが必須です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 ところが、恐怖や不安が強いと、そもそも抽象度を高めることができません。大脳辺縁系優位の「ファイト・オア・フライト」とは、抽象度が下がる(あえて下げる)遺伝子レベルの反応です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8164566.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166289.html

 

 よって、恐怖や不安への対処が重要といえます。健康な人にとってももちろん、認知症の方(&サポーター)にはなおさら、恐怖と不安のマネジメントが求められます。

 

 

 今回は、「闘争逃走反応」と訳される「ファイト・オア・フライト(Fight or Flight)」について確認しましょう。

 

 文字どおり「闘うか、逃げるか」という心理状態に陥る「ファイト・オア・フライト」は、前頭前野の働きをあえて抑えて“直感的な判断”を行うことといえます。大脳辺縁系が「闘う」と判断すれば、脳内にドーパミンやノルアドレナリンが分泌されて闘う準備が整います。

 (「ドーパミン」について、詳しくはこちらをどうぞ↓)

 Q-281~:ドーパミンの分泌をコントロールまたはその程度分泌されているか

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_422146.html

 

 その時はとても“動物的”。怒りっぽく攻撃的で、まわりのことは考えられず、他罰的になっています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10692725.html

 

さらには、時間を超えた推論ができないため、未来を自由に思い描けなくなっているはず。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html

 

 米国CDCが公表した「危機に瀕した時の行動(Negative Behavior)」でいうと、1)不必要な対処を求める、2)特別な関係に依存する、3)不必要に商業取引や渡航を制限する、4)MUPS(複数の医学的に説明困難な身体症状)があらわれる といった特徴が認められます。

 F-126~:続・クライシスの本質 ~首相による「一斉休校要請」と社会の反応を読み解く

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/21664055.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/21664503.html

 

 このような心の状態は、決して特別な状態ではなく、誰もが経験しうるものです。

実際、老病死(+生で四苦)の場である医療現場において、「ファイト・オア・フライト」は日常茶飯事。例えば、東京消防庁の調査によると(R1.12/16R2.12/10)、在宅での看取り予定にもかかわらず救急要請が行われた112件のうち、じつに97件で(救急要請を行った)家族の希望により不搬送になったそう。慌ててしまい救急を要請してしまったが(=大脳辺縁系優位)、救急隊が到着する頃(H28年全国平均:830秒)には冷静になっていた(=前頭前野優位)ということでしょう。

 F-216:激烈な腹痛の最中に得たインスピレーション -真夜中に、一人きりで-

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27521647.html

 

 とくに生死にかかわるような危機的状況では、人の心は「拒絶→不安・恐怖→回避→希望の消失→パニック」と変化していきます。

CDCがまとめた「Psychology of a Crisis」には、こうした事態に対処するための4つの基本原則が示されています。それは

F-104:「映写機の故障により上映できるかわかりません」 Vol.4;リーダーの視点で

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/19485793.html

 

1)     最初に最悪の可能性を伝え、それが改善していることを数字で伝える

2)     「必ず解決します」などの約束はNG。むしろ状況の不確定性を正確に伝え、その問題を解決するプロセスについてのみ伝える

3)     問題解決のプロセスが進んでいることや状況が改善していることを伝えるために、それを示すデータや数字を継続的に提供し続ける

4)     恐怖を認め、問題に関連する文脈情報を与える

 

 この4つの基本原則は、「レジリエンス(resilience)」においても重要です。

レジリエンスは物理学の用語で、「外力による歪み」を意味するストレスに対して、「ストレスを跳ね返す力」の意味で使われています。そこから心理学の世界にひろがり、「社会的ディスアドバンテージや自分に不利な状況において、そういった状況に自身のライフタスクを対応させる個人の能力」を表す言葉として用いられるようになりました。

シンプルにいうと「自発的治癒力」。それは「脆弱性(vulnerability)」の反対概念であり、「精神的回復力」「抵抗力」「耐久力」とも訳されています。

 F-142:不要不急 vol.3;レジリエンス <ワーク付き>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22878502.html

 F-143:不要不急 vol.4;レジリエンスをコーチング理論で考える <ワーク付き>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22931091.html

 

苫米地博士は、レジリエンスを「有事の際に迅速にリカバーし、元より強固になることができる性向」といった意味で使われています。それは「転んでもただでは起きぬ」というブリーフシステム(Belief SystemBS)が生みだすアティテュード。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

 じつは、これこそが“次世代のリーダー”に求められるブリーフ。「希望を持ち続ける」「決して諦めない」=「ゴール側の世界(w1)の臨場感を維持し続ける」ことを可能にするブリーフです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 その鍵となるのは「〇〇〇〇(←漢字4文字)」。

 以下、苫米地博士の著書「『イヤな気持ち』を消す技術」(フォレスト出版、p185)より引用します。ヒーリングにおいても、コーチングにおいても、とても重要な「〇〇〇〇」をクリアにしてください。Feel

 

 

トラウマをとるには高度な脱洗脳テクニックが必要

 さて、私のクライシスサイコロジーの講座は、そろそろ第2段階に移ろうとしています。今度は、講座の卒業生を対象に、トラウマを抱えてしまった人のトラウマを取り除く方法を伝授することを考えています。

 なぜなら、東日本大震災から間もなく2年がたとうとし、その恐怖体験がトラウマになってしまった人がじっさいに現れるころだからです。

 第1段階の講座の卒業生たちは、多くの被災者の心を救ったとは思いますが、彼らがカバーしきれないほど大勢の人々が心に問題を抱えていることは否定しようがありません。

 

 これは心に直接働きかける心理操作手法のため、ここで紹介することはできませんが、少しだけさわりを述べましょう。

 トラウマは、特殊な変性意識の状態です。

 変性意識というのは、たとえばトランス状態など、日常的な意識状態ではない意識の状態のことを意味しています。トラウマに囚われ、突然かっとなったり、みるみる鬼のような形相になったり、相手を襲ったりするときが、この変性意識状態に当たります。

 強い恐怖や恐怖体験は、それそのものが日常的な意識ではなく変性意識なのです。

 

 実は、変性意識が生まれる状態というのは、高度な催眠を受けている状態のようなものです。そして、変性意識下では、特定の記憶にアクセスしやすくなり、逆にアクセスしにくくしたりということができます。

 

 たとえば、相手に催眠をかけ、お父さんやお母さんの名前や、離婚した相手のことや、うれしかった思い出など、秘密をたくさん聞き出します。その後、催眠から起こす前に「いま、私が訊いたことは忘れましょう」といって、それから目覚めさせるわけです。

 そうやって、占師はたくさん聞き出した相手の秘密を「あなたは、何年前にこういう経験をしたでしょう?」と的中させます。

 相手に「この占師は本物だ」と感激させる仕掛けです。

 その逆に、特定の記憶にアクセスしやすくする方法として有名なのは、退行催眠です。半覚せい状態で記憶をさかのぼっていくと、昔の忘れていた記憶をたくさん引っぱり出すことができます。

 

 さて、たとえば交通事故に遭ったというような恐怖体験がトラウマになり、それが一生消えないというような場合があります。

 それは、事故の体験そのものが強烈な変性意識であり、変性意識は脳の記憶回路に直接的に強烈に働きかけます。

 それそのものが、あっという間に長期記憶化してしまうような強烈な体感をつくるわけです。

 そんな強烈な恐怖の記憶をどうすれば取り除くことができるかといえば、それは一種の脱洗脳のテクニックによって可能なのです。

 

 わかりやすくいえば、たとえば大震災や原子力の過酷事故を含む強烈な恐怖体験は、それそのものが特殊な催眠術です。

 それは、心を1つの臨場感世界に釘づけにする技術とみなすことができ、広い意味での催眠術なのです。

 とすれば、その催眠術を一気に解く、脱洗脳の方法があるのです。

 それは、長期記憶化した恐怖、つまり変性意識体験を一度引っぱり出して、その変性意識そのものをぶち壊すという方法です。

 それは「思い出せませんよ」と洗脳して思い出せなくするのではなく、変性意識そのものを解いてしまう脱洗脳なのです。

 これは、少々高度な介入技術を必要とするため、いま私は、精神科医や臨床心理士などの資格を持つ医療関係者だけに伝授しています。

 私がなぜ、守秘義務のもとで、専門家にしか教えていない第2段階の講座の話を紹介したかといえば、トラウマを抱える人に、それを取り除く技術があるということを知ってほしかったからです。

 トラウマがあり、それが元でやるべきことができない。

 あるいは、それが障害になって、進みたい方向に人生を向かわせられない。

 そういう悩みを持つ人は、ひとりあれこれ悩まないで、専門家のもとを訪ねることを私はお勧めします。

 自分で解決不可能な心の問題に戦いを挑むことほど、愚かなことはありません。

 戦えば戦うほど、傷口が開くということになりかねません。

 トラウマにいくら刃を向けても、傷つくのは自分自身です。

 肝心なのは、クライシスサイコロジーを理解して、まずは恐怖体験を長期記憶化させないこと。それでも、あっというまに長期記憶化されてしまうような恐怖体験をしてしまったときは、私が脱洗脳のテクニックを伝授しているような専門家たちに頼んで、トラウマを解いてもらうことです。

 それが、強烈な恐怖体験から逃れ、人生の質を高める、一番の方法でしょう。

 引用終わり

 

 

 長期記憶化した恐怖、つまり変性意識体験を一度引っぱり出して、その変性意識そのものをぶち壊す

 

 

 「希望を持ち続ける」「決して諦めない」=「ゴール側の世界(w1)の臨場感を維持し続ける」ための鍵も「変性意識」です。

 F-304~6:映画のおもしろさって何だろう? <vol.1~3;臨場感>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32129073.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32179090.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32229850.html

 

 次回(L-149)、誰にでもできる(じつは行っている)「『変性意識』の活用法」を紹介します。

 

 *「変性意識」について、こちらもどうぞ↓

 F-284~:気楽 ver.2

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_424593.html

 

L-149につづく)

 

 

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 次回の開催は2024428日(日)の予定です(←再変更しました)。1ヶ月前に告知を行います。お楽しみに。

 

 

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Q-204~:「縁起」と「因果」

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L-147202111月医療系研修会 -02;人の特性はBSで決まる=人はさまざまな幻想に支配されている

 

202111月に認知症をテーマとした医療系の研修会で講演を行いました。当日の講演内容をブログ用に再構成し、いただいた御意見・御質問に回答いたします。

 

 01;認知症を引き起こし、BPSDを悪化させるもの

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33693497.html

 02;人の特性はBSで決まる=人はさまざまな幻想に支配されている

 

 

 前回(L-146)は「認知症を引き起こし、BPSDを悪化させるもの」について確認しました。それは“ストレス”。シンプルにまとめると、ストレス →認知機能低下 →さらなるストレス →BPSD悪化 という感じです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882652.html

 

 BPSDBehavioral and Psychological Symptoms of Dementia)とは、認知症に伴う行動・心理症状のこと。具体的には「情緒が不安定になる」「妄想で人を責める」「声を荒げる」「暴言・暴力がみられる」「無気力になる」「睡眠リズムが乱れる」などの症状をいいます。

 

実際には、認知機能がまったく低下していなくても、“BPSDのような言動”を認めるケースがあります。様々な「ハラスメント」はその一例でしょう。

S-04-02~4:軋轢が生じる理由

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22463773.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22527815.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22599317.html

 

 では、“BPSDのような言動”には、何が影響するのでしょうか?

 

 

 苫米地博士に学ぶ前の私であれば、おそらく「性格」と答えたでしょう。もちろん、その答えは正確ではありません。

 

 人が「これが自分の性格だ」と思っているものは、他人との比較や過去の記憶に基づいて勝手に抱いたイメージに過ぎません。

 そして、その「自分は〇〇な性格」「自分は△△な人間」という自己イメージは、ブリーフ化しながら、ブリーフシステム(Belief SystemBS)やコンフォートゾーン(Comfort ZoneCZ)を形成していきます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

 私たちは無意識的に自己イメージ=BSCZに沿った行動や思考をしています。それが前回取り上げたハビット&アティテュード。

 L-09620217… -08BSとハビット&アティテュードと抽象度の関係

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30652206.html

 

そのハビット&アティテュードにより、自己イメージ=BSCZはますます強化されていきます。それは「現状維持の壁」が分厚くなっていくということであり、ますます世界が固定化していくということです。

PM-06-06:仮説01)変わらないCZが生みだす「現状維持の壁」

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628746.html

 

 そんな現状や世界が“差別”と紐付いている というのが、「認知機能がまったく低下していなくても、“BPSDのような言動”を認める」ことの主因であるはず。
 私は「差別が“BPSDのような言動”の根底にある」と思っています。

 PM-06-13:仮説08)はびこる差別意識

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14249741.html

 

人の特性はBSで決まる

 

 

じつは、人が持つブリーフシステム(BS)は1つではありません。

私の経験をお話しすると、かつて対峙した“既得権益”は、「いつも差別全開」という感じではありませんでした。

Q-329:最近「記憶が抜ける」ようなvol.4;自己イメージと臨場感世界は双方向性を持った縁起>

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31941786.html

 

前頭前野にはその人がつくりあげたいくつものBSが収められており、それが人間の複雑かつ不安定な内面の動きをつくりだします。

つまり、人間の内面で深い葛藤が起こるのは、前頭前野のBS同士が互いに矛盾を起こすから

L-09420217月シークレット… -06;ブリーフシステムと人格や未来との関係

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30598161.html

 

 さらに、前回お伝えした「これまでの私と今の私」「理想(期待)と現実」といったギャップが加わると、ますますイライラしたり落ち着かなくなったりしていきます(「ファイト・オア・フライト」)。その場合、言動はもっとBPSD的になってしまうでしょう。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8164566.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166289.html

 

 では、どうすればいいのでしょう?

 

 以下、苫米地博士の著書「『性格』のカラクリ “イヤな他人”も“ダメな自分”も一瞬で変えられる」(誠文堂新光社、p188)より引用します。前頭前野優位を余裕で維持し、さらに磨きあげている自身の姿をイメージしながら読み進めてください。Feel

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html

 

 

人はさまざまな幻想に支配されている

 私たちを束縛したり振り回したりしている幻想は、他にもたくさんあります。

 

 「いい学校に進み、いい会社に入ってこそ幸せである」「家庭を持ってこそ幸せである」「自分の家を建ててこそ幸せである」といった幸福感。

 「社会人はこうあるべき」「家族はこうあるべき」といった暗黙のルール。

 「会社を辞めたら食べていけなくなる」「結婚しなければ孤独で寂しい人生になる」といった恐怖。

 

 日々の生活の中で、親や兄弟、教師、友人、メディアなどによって摺り込まれたこうした価値観は、情動と結びつき、ブリーフシステムとして前頭前野に蓄積されていきます。

 いずれも実体はなく、幻想にすぎません。

 

 いい学校に進み、いい会社に入ったから、家庭を持ったから、家を建てたからといって、幸せになれるとは限らず、むしろ苦しみを抱えることも多いでしょう。

 「~はこうあるべき」といった価値観やルールは決して絶対的なものではなく、場所や時代が違えば簡単に変わってしまいます。

 恐怖という感情の無意味さについても、PART3でお伝えした通りです。

 

 しかし、私たちはそれらを盲目的に信じ込まされています。

 「自分の意思で選んだ」「自分の意思で行った」と思っている選択や行為のほとんどは、誰かに選ばされていたり、やらされたりしていることであり、多くの人が、こうした過去の記憶、他者の価値観をもとに、自分の未来を決めてしまっているのです。

 

 もっとも、私は、ブリーフシステムの存在自体を否定しているわけではありません。

 ブリーフシステムは、社会による教育の成果でもあります。

 教育が行われ、ブリーフシステムによって行動が制御されなければ、人間はもっと本能のおもむくままに、利己的に生きることになってしまうでしょう。

 

 ただ、過去に摺り込まれた他者の価値観に振り回され、縛られて生きるのは、やはり「幸せ」ではありません。

 それは、他者によって洗脳され、支配され、奴隷化して生きることだからです。

 自分の本当の意思、自分の本当の望みに気づくことなく、他者の欲望を満たすために踊らされ続けて一生を終えるのは、とてもむなしいことだと思いませんか?

 

 なお、現代の日本において、もっとも強力な洗脳装置として機能しているのが、テレビです。

 

 映像や音が生み出す臨場感は、人の脳に強いインパクトを与えます。

 近年、多少はテレビ離れが進んだとはいえ、テレビが流す情報を鵜呑みにしてしまう人は、まだまだたくさんいますし、テレビで活躍した人、テレビで人気のある人が選挙で選ばれ、政治家になることも少なくありません。

 テレビからの情報は、現代の日本人のブリーフシステムに、かなり色濃く反映されているはずです。

 これは、異常かつ危険な状態であるといえるでしょう。

 

 また、多くの人は何も気づかずに、大手広告代理店やテレビ局、芸能プロダクションなどが提示する価値観を受け入れ、彼らが次々と与える欲望にとらわれています。

 洋服、旅行、グルメ、人にうらやましがられるような生活……

 たまに欲しいものを手に入れても、すぐにまた欲しいものが現れるため、本当に満足できることはありません。

 まさに、仏教でいうところの、「餓鬼」の状態に陥ってしまっているのです。

 人は、洗脳による支配から自由になったとき、初めて自分の本当の意思に基づいて未来を選択できるようになります。

 そのためには、思考の抽象度を高め、物事をより俯瞰して眺めること、スコトーマをずらし、見える世界を変えることなどが必要です。

 

 PART2PART3でご紹介したのは、単なる「『性格』を変える方法」ではありません。

 さまざまな洗脳から解放され、他者からの摺り込みによるものではない、自分自身の価値観に基づいて、本当の意味で自由に生きていくための方法なのです。

 

 人はさまざまな幻想に支配されている

 Point

 ・人々が信じる価値観やルールは、時代や場所で簡単に変わる。

 ・現代の日本におけるもっとも強力な洗脳装置はテレビ。

 ・テレビから流れる情報は、日本人のブリーフシステムに大きく影響を与えている。

 引用終わり

 

 

 人は、洗脳による支配から自由になったとき、初めて自分の本当の意思に基づいて未来を選択できるようになる

 そのためには、思考の抽象度を高め物事をより俯瞰して眺めること、スコトーマをずらし見える世界を変えることなどが必要

 

 前頭前野のBS同士の矛盾を解決し、心の内の深い葛藤を解消するためには、抽象度を高めることが必須です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 ところが、恐怖や不安が強いと、そもそも抽象度を高めることができません。大脳辺縁系優位の「ファイト・オア・フライト」とは、抽象度が下がる(あえて下げる)遺伝子レベルの反応です。

 

 よって、恐怖や不安への対処が重要といえます。健康な人にとってももちろん、認知症の方(&サポーター)にはなおさら、恐怖と不安のマネジメントが求められます。

 

L-148につづく)

 

 

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https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32135874.html

 

 次回の開催は2024428日(日)の予定です(←再変更しました)。1ヶ月前に告知を行います。お楽しみに。

 

 

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「性格」のカラクリ


 

L-146202111月医療系研修会 -01;認知症を引き起こし、BPSDを悪化させるもの

 

202111月に認知症をテーマとした医療系の研修会で講演を行いました。当日の講演内容をブログ用に再構成し、いただいた御意見・御質問に回答いたします。

 

 01;認知症を引き起こし、BPSDを悪化させるもの

 

 

 私が取り上げたのは「認知機能の低下で情緒が不安定になり、環境に反応して起こる」とされているBPSDBehavioral and Psychological Symptoms of Dementia認知症に伴う行動・心理症状

 厚生労働省HPBPSD:認知症の行動・心理症状」

 s0521-3c_0006.pdf (mhlw.go.jp)

 

 認知症の症状の中心は「認知機能の低下」です。

具体的には「記憶するのが苦手になる」「時間・場所・人の認識があいまいになる」「物事の手順に戸惑う」「会計や計算が苦手になる」など。それらを「中核症状」と呼びます。

 

 そんな中核症状に対して、BPSDは「周辺症状」とも呼ばれています。

 BPSDの「B」はBehavioralで、「物理空間での行動(症状)」のこと。そして、「P」はPsychologicalで、「情報空間での行動(心理症状)」のことです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

 具体的にはこんな感じ↓

【行動症状】暴力、暴言、徘徊、拒絶、不潔行為(例:便を壁にこすりつける)等

【心理症状】抑うつ、興奮、不安、幻覚、妄想、睡眠障害 等

 

 いずれも「環境への反応」だと考えられています。苫米地理論でいうと第1世代。情報空間に拡張したホメオスタシス活動のことです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html

 

 コーチングのゲシュタルトで考えると、【行動症状】はハビット(habit)、【心理症状】はアティテュード(attitude)に相当するはず。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 

 ハビットとは「無意識の行動」のことで、抽象度を軸にとった場合の情報空間の底面、すなわち物理空間におけるパフォーマンスのこと。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 アティテュードは「無意識の判断」であり、「行動の性向」のこと。それは思考の一部であり、高次の情報空間(知識宇宙)におけるパフォーマンスのことです。

F-311:デジタル自傷行為 <case-side -1;ブリーフシステム・RAS&スコトーマ>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32477117.html

 

 じつは、認知機能低下(中核症状)の程度とBPSD(周辺症状)は、必ずしも相関しません。著しい認知機能低下があるのに落ち着いているケースもあれば、認知機能低下は軽度なのにとても大変なケースもあります。

その違いはどこにあるのでしょう?

 

 以下、苫米地博士の著書「脳に免疫力をつければ病気にならない!」(徳間書店、p93)より引用します。

 

 

ストレスが認知症を引き起こす

 医学的にはっきりしているのは、「ストレスが認知症を引き起こす」ということです。アルツハイマー病の場合はある遺伝子と老化の2つの要素が発症にかかわっていますが、認知症はストレスでも発症するということが分かっています。

 一般的に「ボケ」と呼ばれているケースの多くは認知症です。

 認知症では、「新しい記憶を長期記憶化できない」「短期記憶を保てない」という症状が出ます。通常、短期記憶は3~4日の間は保たれますが、認知症の人では1~2時間で消えてしまいます。短期記憶は眠っている間のレム睡眠中に長期記憶に保存されますから、短期記憶が1~2時間で消えてしまうということは、レム睡眠までに消えてしまい長期記憶に保存されない、つまり新しい記憶を長期記憶化できないということになります

 このような症状を呈する要因は、脳の海馬と呼ばれる部位の損傷です。そして、海馬の損傷の原因は、副腎皮質から出るコルチゾールと呼ばれるホルモンです。この因果関係は、脳トレと違って、医学的にはっきりとしています。強いストレスを感じる出来事があって、コルチゾールが出て、海馬が損傷して、ボケる。認知症はこのようなプロセスで発症します。

 

 認知症は脳の老化だけが原因だと思っている人が多いようですが、このように認知症の重要な原因のひとつはストレスです。最近話題になることの多い若年性認知症などは、まさにストレスが引き金となっています。

 もちろん、脳の神経細胞は加齢とともに減っていき、それにともない脳機能も低下していきますが、それは徐々に進みます。一方、認知症では急速に記憶障害が進みます。脳機能の低下が急速に進む場合は、脳の老化が原因ではなく、ストレスが原因です。この理由からも、「脳の老化を防ぐ〇〇」や「脳トレ」に認知症の予防効果を期待することが難しいことがお分かりいただけると思います。それよりはストレスがない生活がはるかに重要です。

 引用終わり

 

 

 脳機能の低下が急速に進む場合は、脳の老化が原因ではなく、ストレスが原因

 

 そして、そのストレスがBPSDをさらに悪化させます。

 BPSDでみられる「情緒が不安定になる」「妄想で人を責める」「声を荒げる」「暴言・暴力がみられる」「無気力になる」「睡眠リズムが乱れる」などの症状は、「認知機能の低下で苦手なことが増えた」ことにより「精神的に追い込まれる」ことで起こると考えられているそう。

 

 「苦手が増えた」はセルフイメージの低下を引き起こします。「これまでの私と今の私」、あるいは「理想(期待)と現実」との間に生じたギャップは、大きなエネルギーを生みだします。そのエネルギーは、多くの場合、いわゆる“ストレス”になってしまいがちです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882652.html

 

 コーチングに寄せていうと、セルフイメージの低下はコンフォートゾーン(Comfort ZoneCZ)から下向きに外れた状態と同じ。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

CZを外れると、気持ちが落ち着かなくなり、人間的な思考を司る前頭葉前頭前野よりも動物的な大脳辺縁系の方が優位になりやすくなります。

 PM-06-11:仮説06)二つの「怒り」とその間にある論理的思考

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14107083.html

 

大脳辺縁系優位になると、生じたエネルギーが攻撃(暴言・暴力、他罰)や逃避(閉じこもり、治療・介護の拒否、自罰)に使われます。その状態が「ファイト・オア・フライト」です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8164566.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166289.html

 

 ここまでをまとめると、ストレス →認知機能低下 →さらなるストレス →BPSD悪化。

 

  

 ところで、「ファイト・オア・フライト」は認知症の方に限った話ではありません。それは誰もが持つ「恐怖により引き起こされる“危機回避のためのシステム”」です。
 その本質は「迅速に危機を回避するために、『前頭前野での評価』をショートカットする」というもの。高次の認知機能(認識・理解・評価・判断など)よりも、根源的な反応(闘争or逃走)が優先されます。

L-07320211月シークレットレクチャー -02;情報が書き換わると現実が変わる

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29431450.html

 

 繰り返しますが、「ファイト・オア・フライト」は認知症の方に限った話ではありません。

実際、認知機能がまったく低下していなくても、“BPSDのような言動”を認めるケースがあります。様々な「ハラスメント」はその一例でしょう。

S-04-02~4:軋轢が生じる理由

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22463773.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22527815.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22599317.html

 

 では、“BPSDのような言動”には、何が影響するのでしょうか?

 

L-147につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-追記-

認知症の症状の中心は「認知機能の低下」です。具体的には「記憶するのが苦手になる」「時間・場所・人の認識があいまいになる」「物事の手順に戸惑う」「会計や計算が苦手になる」など。それらを「中核症状」といいます

 

 補足すると、認知症は下記の4つのタイプに大別されます。

 

 □アルツハイマー型認知症(ADAlzheimer disease

・認知症全体の6割で最多

 ・記憶を司る海馬(かいば)を中心に脳が萎縮

 ・「記憶があいまい」「同じことを何度も言う」「もの忘れ」など

 

 □血管性認知症(VaDvascular dementia

 ・脳出血や脳梗塞により脳の神経細胞がダメージを受ける

 ・認知機能低下+「歩行が不安定」「呂律が回らない」「むせる」

 ・リハビリや会話・歩行が効果的

 

 □レビー小体型認知症(DLBdementia with Lewy bodies

 ・「レビー小体」が脳の広範囲に溜まる

 ・認知機能が変動する(オン/オフ)

 ・認知機能低下+「幻視」「ひどい寝ぼけ」「筋肉がこわばる」「手足が震える」

 

 □前頭側頭型認知症(FTDfrontotemporal dementia

 ・「理性的な行動ができない」「人への配慮ができない」「ルールを守れない」

 ・同じ行動を繰り返し、万引きなどの反社会的な行動があらわれる

 ・家族だけでは対処が難しいため、早めの公的介入が重要

 

 

-告知1

2023年度のオンラインセミナーを企画しました。9月から1ヶ月おきに、計4回開催する予定です(9月、11月、1月、3月)↓

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32135874.html

 

 次回の開催は2024428日(日)の予定です(←再変更しました)。1ヶ月前に告知を行います。お楽しみに。

 

 

-告知2

 クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。

一緒に楽しみましょう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html

 

 

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Q-230~:「財布を娘に盗られた」といった被害妄想がでている老人に対して、どのように対応すればよいでしょうか?

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Q-294~:孤独を感じています。私はどんなゴールを設定すればいいでしょうか?

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脳に免疫力をつければ病気にならない!

Kindle版はこちら↓

Amazon.co.jp: 脳に免疫力をつければ病気にならない! eBook : 苫米地英人: Kindleストア

 



Q-235:「財布を娘に盗られた」といった被害妄想がでている老人に対して、どのように対応すればよいでしょうか? <vol.6:記憶が織りなす「一人一宇宙」>

 

 先日、認知症をテーマとした医療系の研修会で講演を行いました。コーチとして。

 私が取り上げたのは「認知機能の低下で情緒が不安定になり、環境に反応して起こる」とされている「BPSDBehavioral and Psychological Symptoms of Dementia、行動・心理症状)」。

 厚生労働省HPBPSD:認知症の行動・心理症状」

 s0521-3c_0006.pdf (mhlw.go.jp)

 

講演後に行われたシンポジウムで、大学教授からこのような御質問をいただきました。ありがとうございます。

 

Q:「スコトーマは医療の現場では『認知バイアス』として知られている」ということでしたが、とくに注意バイアスの話に思えました。

 認知症の患者さんでは、記憶障害のため財布などを見つけられない時に、「ここに置いたはず」→「娘が盗った」という被害妄想がおこりがちです。特に大切なものにバイアスがかかりやすいと思いますが、コーチング(コーチ)の視点では、「財布を娘に盗られた」といった被害妄想がでている老人に対してどのように対応すればよいでしょうか?

 

 回答を一般~コーチング実践者向けに再構成し、6回に分けてお届けします。

 vol.1:認知症の2つの症状>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27839838.html

 vol.2RAS&スコトーマと専門性の関係>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27881450.html

 vol.3:ユマニチュードの4つの柱>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27907680.html

 vol.4:ユマニチュードの5つのステップ 前編>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27926812.html

 vol.5:ユマニチュードの5つのステップ 後編>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27962873.html

 

A6:今回が最後の回答です。「コーチング(コーチ)の視点では、『財布を娘に盗られた』といった被害妄想がでている老人に対してどのように対応すればよいでしょうか?」について、さらに抽象度を上げて考察します。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 苫米地式コーチングの基礎には「認知科学(cognitive science)」があります。

それまでの「構造主義」「行動科学」「実験心理学」とは異なり、認知科学では人間を「内部表現(IRInternal Representation)」としてみて、「内部表現を変えることで(入力を変えることなく)出力が変化する」と考えます。

F-176:“幸福(well-being)”とは? ~「antiwithwellpart-1;ゴールが幸福を定義する

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25101418.html

 

内部表現での何らかの情報処理が、言動などの出力を決めるのです。よって、マインドを変えると行動が変わることになります。

 F-032:ある医師の勇気に触れて学んだこと ~○○○→思考→言葉→行動→習慣→性格→運命→○○→~

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/9366814.html

 

 じつは、出力だけではなく、入力そのものがマインドでの情報処理により決まっています。

 F-110~:情報が書き換わると現実が変わる

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_386190.html

 

その事実を体感していただきたくてたくさん仕込みましたw。ぜひ講演中のスコトーマ体験を思い出してください。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

スコトーマは現在のブリーフシステムが生みだします。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

そのブリーフシステムは、過去の記憶でつくられています。

「過去で塗り固められたブリーフシステム」を、未来側から新たにつくりなおすことがコーチング。そして、未来から現在、現在から過去へと向かう時間の流れをうみだすサポートがコーチの役割です。その中心的作業がゴール設定。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

このまま続く現状の延長線上にはありえない何かをゴールとして設定し、その達成を確信すると(エフィカシー)、ブリーフシステムが変わり、コンフォートゾーンが変わっていきます。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5616012.html

 

 人はコンフォートゾーン(CZ)の外を認識することはできません。スコトーマに隠れるからです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

つまり、各自が見ている目の前の世界は、それぞれの記憶が織りなすCZであり、「一人一宇宙」であるということ。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/11823351.html

 

 記憶にはフレームがあります。フレームとは「枠組み」のこと。「ある枠組みを作って、その中だけで思考する」というのが人間の情報処理の特徴です。

 

フレームのある記憶に対して、頭の中にバラバラに保存された情報にはフレームがありません。

よって、私たちは何も記憶していないともいえます。バラバラな情報が合成され「記憶」となるのは「今、この一瞬」だからです。

 「今の認識というフレームが今の記憶を作っていると考えると、人類の脳には、過去も未来もなく、現在しか存在しないということになる」と私の師である認知科学者 苫米地英人博士は述べられています。著書「Dr.苫米地の『脳力』の使い方」(徳間書店)の中で。

 Q-220:ゴールに対するスケジュールはたてますか? <後編(コーチング実践者~コーチ向け);人類には“今”しかない>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27478021.html

 

つまり、それぞれの記憶が織りなす「一人一宇宙」(=CZ)が、この瞬間にダイナミックにうみだされているということ。

本当は時間は流れておらず、バラバラに散らばった状態(離散的)で存在しています。時間が流れているように感じられるのは、私たちの意識が時間軸を移動しているからです。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html

 

認知科学の大前提はファンクショナリズム(functionalism)です。しかしながら、人間のファンクションは、あらかじめあるものではなく、その瞬間瞬間に生成されるもの。

それゆえ、「認知科学の枠組みでは、現在しかない人間の記憶をシステム化することは不可能」(by 苫米地博士)なのです。

 

 この「人には現在しかない」という考え方は、じつは、仏教の教えの中にも存在しています。人どころか、宇宙まで含めて、「今作られ(刹那生)、今消える(刹那滅)」。その「生」と「滅」を生みだす力が「縁起」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

「各人が作る『一人一宇宙』(=CZ)が、超情報場として、同時かつダイナミックに存在している」というのが「この世(&あの世)の理」。それを苫米地博士が理論化されたものが「超情報場理論(仮説)」です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5165789.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5165823.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5165888.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5306380.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5306438.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5306445.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5445932.html

 

物理空間は情報空間の一部で、抽象度を軸にしたときの底面です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

つまり、情報宇宙という全体があり、物理空間はその1つの部分であるということ。ゲシュタルトです。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 

 宇宙の構造(ゲシュタルト)を体得すると、「生命現象という情報(=全体)が物理空間に顕在化したものが身体(=部分)である」ことが理解でき、「高次の情報場への働きかけを通じて、現実である物理空間を変える」ことができるようになります。自由自在に。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html

 

 コーチングの枠組み(フレーム)でいえば、その理をプリンシプル化したものが「I×V=R」。そのはじまりがゴール設定です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html

 

 

Q:認知症の患者さんでは、記憶障害のため財布などを見つけられない時に、「ここに置いたはず」→「娘が盗った」という被害妄想がおこりがちです。特に大切なものにバイアスがかかりやすいと思いますが、コーチング(コーチ)の視点では、「財布を娘に盗られた」といった被害妄想がでている老人に対してどのように対応すればよいでしょうか?

 

 被害妄想がでている老人」が認識している世界は確かに妄想といえますが、その老人を見守る一人ひとりがそれぞれ認識している世界もまた妄想です。

 つまり、目の前の現実「R」はすべて妄想「I×V」。一番臨場感が高い(V)イメージ(I)、すなわち「I×V」が、各人が認識している目の前の世界「R」です。

 よって、コーチング(コーチ)の視点での対応は、「R」、すなわち「I×V」をまずは共有し、より穏やかで豊かな方向に導いていくことといえます。ゴールを共有することによって。

 Q-169~:自身の信念を失いそうです

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_406747.html

 

 それを認知科学的には「内部表現書き換え」と表現します。その秘訣が「共感覚」にあります。共感覚を身につけ、内部表現書き換えを活用することができれば、医療・介護従事者は患者さんやその家族の苦痛(pain)をさらに軽減することができるはずです(滅苦導楽)。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8293317.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7702640.html

 

それがコーチ兼医師である私の願いであり、「医療・介護従事者はコーチングをマスターするべき」という主張(claim)の裏にある根拠(warrant)です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12340209.html

 

 ぜひコーチングについて学び、実践してください。縁ある人々のために。

 御質問ありがとうございました。

 

 *こちらもぜひ↓

 PM-04~:苫米地理論で見える医療・福祉現場のスコトーマ(目次)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13076878.html

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-追記-

以下、「内部表現」や「内部表現書き換え」に関連する文章を、苫米地博士のブログから引用します(20061106日)。

 ドクター苫米地ブログ - Dr. Hideto Tomabechi Official Weblog : 「内部表現」と「内部表現書換え」について - ライブドアブログ

 

 

「内部表現」と「内部表現書換え」について

 1118日からの『高次脳特別クラス「内部表現書換えとTP誘引、共感覚、Cセルフ」』についての質問が多いようです。新刊書で読者層が広がったためだと思います。今日も、「内部表現」と「内部表現書換え」とは何という質問がありました。現在も海外出張中で、明後日から一週間は特にネットアクセスのチャンスが難しくなるので、何とか、ここにお答えしてみたいと思います。

「内部表現」は、『洗脳原論』、『洗脳護身術』、『脳とこころの洗い方』と読まれてきた方には、それなりに定義されてきた概念のはずですが、各著書では敢えて、ゆるやかな定義しかしていないためにこういった質問が出るものと推測します。

 私の各著書は、専門家と全くの素人を同時に読者のターゲットとしてきています。これは、かつてのYale大学院時代の私の師、人工知能の父のひとりといわれたロジャーシャンクや、学派では、ロジャーの対極にいた現代言語学の産みの親であるノームチョムスキーが、2,3年に一度から数年に一度の頻度で出版していた各著書が、本の形態としては、一般向けの書籍として書かれていながら、その内容は、学会の専門家にとっては、極めてプロヴォカティヴな内容で、それらの著書が出版されてから相当の期間、学会で賛否両論、色々とディスカッションを引き起こす内容であった、そんな著書を目指して書いてきているからです。

 例えば、ロジャーシャンクでは、Inside Computer Understanding, Script, Plans and Understanding, Dynamic Memory, Tell me a Storyといった各著書やチョムスキーでは、Logical Structure of Linguistic Theory, Aspects of the Theory of Syntax, Lectures on Government and Binding, The Minimalist Program といった各著書がそうでありました。それぞれ、一般の読者にもすんなりと読める内容でありながら、専門家には、それぞれが、その前のパラダイムを打ち砕くような内容でした。著書毎に学会が新しく作られるような、そんなインパクトがありました。

 もちろん、ロジャーやチョムスキーのレベルの著書を書けると思っているわけではないですが、学者の著書のあり方としては、まさに理想であり、そういった方向性で、私の各著書が書かれています。ですから、さらっと読んでいただいてもいいし、そのまま、学会の招待講演のようなつもりで専門家に読んで頂けてもありがたいのです。実際、主婦の方から、専門分野の教授まで幅広い読者層から、賛否両論の色々なコメントを頂いています。私なりに、各著書を通して、一般向けの啓蒙と学会への提言の両方を同時にしてきたこれらの大先輩を見習っているつもりです。

 実際、自分の専門分野を誰より早く開拓し、独走してきたつもりですので、大学院生相手に古巣の学会などで、話をするのもいいのですが、素人から年配教授まで、パラダイムシフトをしてもらいたい、そういった思いで各著書を著しています。10年以上前に、ハーバード大学医学部等との共同研究による、脳機能研究プロジェクトを推進していた時代に、オウム事件が勃発したころには、オウムにおどらされたマスコミに乗じた、「専門家」教授達には、「脳機能科学」などないと批判されたぐらいですから。それから10年以上たって、日本中が「脳」ブームとなったのは、隔世の感があります。ほんとに、当時は、脳機能を研究していた日本人って、私を含めて、数人ぐらいしかいなかったのですから。その後、まさに、ご質問の「内部表現」に深く関わる、私の専門研究は、世界的にも独走し続けていると自負しています。私の専門研究発表は、対テロリスト国際会議のような、軍や警察関係者に参加限定されたクローズドの国際会議ぐらいでしかしませんので、私の場合は、ロジャーシャンクやノームチョムスキーが産み出してきたような、一般啓蒙書の形をとったパラダイムシフトの本を定期的に出版していくことが、社会的な役割としても重要だと思っています。

 さて、「内部表現」という言葉ですが、厳密な形式的定義はクラスに譲るとして、非形式に定義してみましょう。まず、10月のクラスの案内にも書きましたが、著書、「脳とこころの洗い方」で言っている「脳とこころ」は一つの単語として読んで欲しいのです。かつては、「脳」と「心」は、物理の世界の存在と、心理の世界の存在のような、異なる次元の存在と考えられ、これらを結びつける問題が、グラウンディング問題と呼ばれ、私の研究の中心テーマでもありました。これが、過去のパラダイムでした。現在は、「脳とこころ」は、結びつけられる存在ではなく、もともと同じものと考えています。これが現在のパラダイムです。言ってみれば、次元を超越して、全抽象度で存在しているのが「脳とこころ」です。「脳」と「こころ」と単語を分けて記述するのは、単に、記述の利便性から、異なる抽象度で同じものを呼ぶにあたって、物理の抽象度で記述する場合は、「脳」と呼び、心理の抽象度で記述する場合は、「心」と呼ぶといった記述の抽象度の違いに過ぎず、記述対象である「脳とこころ」そのものは、もともと同じ一つの存在であると考えています。例えば、神経回路の化学や物理を記述するにあたっては、脳と呼ばれる物理抽象度で記述するのが便利だから、その抽象度を選び、心理や哲学のレベルの機能を記述するには心と呼ばれる抽象度で記述するのが便利であるという記述の利便性の問題に過ぎないという立場でもあります。そして、この「脳と心」を記述しているのが内部表現です。ですから当然内部表現には、「脳」と呼ばれるときの物理抽象度の情報も、「心」と呼ばれる時の心理、哲学レベルの抽象度の情報も内包されています。

 ところで、この説明では、この場合の内部表現というのは、我々がある個人の「脳とこころ」を観測している時に、その記述を呼ぶように理解されます。もちろん、それは理論的にはその通りなのですし、人工知能の研究などはまさにその立場で、内部表現をLispのプログラムなどとして記述してきたわけですが、現実問題としては、誰も他人の「脳とこころ」の中を記述することはできないでしょう。ですから、現実問題として内部表現というのは、本人が本人の「脳とこころ」を記述している場合のみ有効な概念となるでしょう。ただ、ここで重要なのは、その記述は、本を書くというような記述活動ではなく、無意識レベルの情報処理活動という意味での記述という意味合いであるということです。それが物理信号のレベル、例えばシナプスレベルでの電気信号であったとしても、こころのレベルの情報処理活動であったとしても、「脳とこころ」が行っていることはなんらかの情報処理活動であり、それがまさに「記述」であるというパラダイムです。

 

 このような、「脳とこころ」の無意識、意識を問わず、また抽象度を問わない、記述が「内部表現」なのです。もちろん、その記述には、記憶情報や、本人が認識している外部世界とよばれる周囲の情報も内包されているのはいうまでもないです。このパラダイムの後ろには、宇宙は情報と情報の状態(つまり物理)から成り立っているという立場があるということも追加しておきましょう。

 

 さて、11月のクラスの中心テーマである「内部表現操作」ですが、これは、外から我々が、被験者の内部表現を操作する技術です。言ってみれば、「脳とこころ」の情報処理に介入する技術です。もちろん、催眠や洗脳といった技術も内部表現操作の一つですが、本クラスで学ぶのは、もっと直接的かつ介入的な内部表現の操作の技術です。うまくいけば、当然、本人の身体状態、例えば、病であるといった状態も内部表現上の記述ですから、これを書換えることができれば、臨床的な手法としても特に有効な技術です。もちろん、被験者の思想や行動に介入的な操作をすることも可能とする技術でもあります。従って、11月のクラスの参加者には、これまで以上に厳しく、守秘義務と自己責任の誓約を行って頂きます。もちろん、医療や教育、宗教、ビジネスなどで、正当な利用を行った場合の効果は大きいものですので、これまでもこのクラスの開催リクエストは特に強かったのですが、これまでのクラスでは、色々な要因から、開示を躊躇してきた技術でもあります。これは、過去のクラスの参加者に問題があったというわけではなく、私の方が、介入的な内部表現操作の技術を開示する用意が十分ではなかったと理解してください。また、一部で、過去の参加者による守秘義務違反の例があるという報告を受けています。今回のクラスの参加者には、特に厳しい守秘義務が果たされるので、これを理解している方のみ、ご参加ください。

 

 

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F-176~:“幸福(well-being)”とは? ~antiwithwellpart

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Q-199:状況は意味により変わる? 意味は状況の中にある?

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-告知1

 今年度(2021-22年)は計8回のオンラインセミナーを計画しました。1年間を通してのテーマは「Well-being」。

 F-176~:“幸福(well-being)”とは? ~antiwithwellpart

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 最終回は2022220日(日)開催。テーマは「Total Well-being ~『total』に秘められた生命力を知る~」です。詳細はこちら↓

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 超情報場でお会いしましょう!

 

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-告知2

 クラブ活動をはじめます。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。

 初回は202225日(土) 午前1115分からの予定です。

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Q-234:「財布を娘に盗られた」といった被害妄想がでている老人に対して、どのように対応すればよいでしょうか? <vol.5:ユマニチュードの5つのステップ 後編>

 

 先日、認知症をテーマとした医療系の研修会で講演を行いました。コーチとして。

 私が取り上げたのは「認知機能の低下で情緒が不安定になり、環境に反応して起こる」とされている「BPSDBehavioral and Psychological Symptoms of Dementia、行動・心理症状)」。

 厚生労働省HPBPSD:認知症の行動・心理症状」

 s0521-3c_0006.pdf (mhlw.go.jp)

 

講演後に行われたシンポジウムで、大学教授からこのような御質問をいただきました。ありがとうございます。

 

Q:「スコトーマは医療の現場では『認知バイアス』として知られている」ということでしたが、とくに注意バイアスの話に思えました。

 認知症の患者さんでは、記憶障害のため財布などを見つけられない時に、「ここに置いたはず」→「娘が盗った」という被害妄想がおこりがちです。特に大切なものにバイアスがかかりやすいと思いますが、コーチング(コーチ)の視点では、「財布を娘に盗られた」といった被害妄想がでている老人に対してどのように対応すればよいでしょうか?

 

 回答を一般~コーチング実践者向けに再構成し、6回に分けてお届けします。

 vol.1:認知症の2つの症状>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27839838.html

 vol.2RAS&スコトーマと専門性の関係>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27881450.html

 vol.3:ユマニチュードの4つの柱>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27907680.html

 vol.4:ユマニチュードの5つのステップ 前編>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27926812.html

 

A5:前回からユマニチュードの「心をつかむ5つのステップ」を取り上げています。それは1)出会いの準備、2)ケアの準備、3)知覚の凍結、4)感情の固定、5)再会の約束。

 とくに3)知覚の凍結は重要。私は「後天的共感覚生成」に通じるひとつの技法であると捉えています。

 

 4)感情の固定は「気持ちよくケアできたことを患者さんの記憶にしっかりと残し、次回のケアにつなげる」ことが目的。そのために先ほどまでのケアを二人で想起します。ポイントは4つです。

 〇ケアの内容を前向きに評価 →シャワーは気持ちよかったですね

 〇相手を前向きに評価 →シャワーをしてさらに素敵になられましたね

 〇ともに過ごした時間を前向きに評価 →私もとても楽しかったです。ありがとうございます

 〇前向きな言葉(言語)&好意的な動作(非言語) →ポジティブな情動記憶を残す

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14973460.html

 

 「情動記憶」という言葉から、私はブリーフシステムを想起しました。この4)感情の固定は、ケアに対して前向きなブリーフを作る手法と理解することができます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

 ケアを受ける側である患者さんの多くは、病気や老いによって、今までできていたことができなくなっていきます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7859675.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8045827.html

 

御質問中の「認知症の患者さん」も同じ。状況をまったく理解できないのではなく、むしろ「現在の私」を評価できるから混乱していきます。それはコンフォートゾーンを下向きに外れる状態であり、自己イメージが低下する状態です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

 4)感情の固定は、苦痛(とくに心理的苦痛)を軽減し、エフィカシーを高める効果があると感じました。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24642277.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5616012.html

 

 

 5)再会の約束は患者さんの記憶力に関わらず行います。とくにケアに拒否的な人に対しては不可欠な行為とされています。

 この部分を苫米地式で解釈すると、「場の共有」。「場」とは「情報空間における座標」のことです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5165888.html

 

 *情報空間はこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

よって、再会の約束は、「時空を超えた(潜在的な)場の共有の意識化」といえるはず。

 Q-219~:ゴールに対するスケジュールはたてますか?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_415812.html

 

 

以上がユマニチュードの「心をつかむ5つのステップ」。

 

被害妄想がでている老人」と向き合う際には、ぜひユマニチュードの「4つの柱」と「5つのステップ」を意識に上げてください。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24281579.html

 

スコトーマを外しながら、その場面に最適な対処法を「invent」できるはずです。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 

 次回が最後の回答です。「コーチング(コーチ)の視点では、『財布を娘に盗られた』といった被害妄想がでている老人に対してどのように対応すればよいでしょうか?」について、さらに抽象度を上げて考察します。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 鍵となるのは「共感覚」。

 前回に引き続き、認知科学者 苫米地英人博士の著書より「共感覚」に関する部分を引用します。今回は「脳と心の洗い方 ~『なりたい自分』になれるプライミングの技術~」(フォレスト出版)からの引用です。

 

 

●人口共感覚の作り方

 臨場感を増すためには共感覚が役に立ちますが、実際一万人に一人では方法論になりません。ですから、私はクラスで人口共感覚の生成法を教えています。この方法を使えば、普通の人でもちょっと訓練すれば誰でも共感覚を感じられるようになります。

 これは秘伝技です。通常は医師や臨床心理士にしか教えていないのですが、強烈な臨場感を生み出すと自分が深い変性意識に入り、そうすると相手も深い変性意識に引き込まれるので、思い切り相手をコントロールできる状態になります。

 なぜなら、自分が支配する仮想空間ですから相手に対する影響力が強くなるので、教える相手を選んでいます。

 問題ない程度にテクニックを伝授すると、基本的には自分が普段考えている世界、感じている世界を色だったら「色を音に変える」または「味に変える」といったような違うものに変える訓練を毎日二十分間続けます。それを三カ月間。

 たとえば、今、目の前にはこういう人がいて、絵画があり、壁があります。そして、「じゃあこの壁はこの音にしよう」「絵画はこの音にしよう」「前の人の服はこの音にしよう」と自分で決めていきます。音や味、なんでもいいけれど視覚以外のものにします。訓練したければ、「今日は味でやってみよう」「匂いにしてみよう」「今日は色でやってみよう」といった感じでやります。

 自分なりの工夫で違う感覚にマッピングすることを三カ月続けていると、できるようになります。その結果、リアリティがすごく増します。

 

●目が見えなくても見える!

 実際に嫌でもやらざるを得ない人っているでしょう?

 目が見えなくなった人でも、まるでまわりが見えているかのように行動する人がいます。それはおそらく音や触覚情報を視覚情報にマッピングしていると考えられるわけです。これは眼球がダメになったわけで、視覚野がダメになったわけではない人の場合は視覚野の情報処理に対するデータの入り口を目ではなくて耳にしている可能性が考えられます。

 武道などでも同じです。後ろから攻めてきた人がわかったりするというのも、音なのか風の感触なのかわかりませんが、ちゃんと認識しています。それも微細にわかる達人は共感覚の利用が考えられます。

 同じことが身体障害者の場合は、嫌でもやらざるを得ない状況になっているということでしょう。それを我々は謙譲の身体でやる。その訓練を一日二十分三カ月。

 そうすると普段見ている現実世界のリアリティが増していくし、リアリティに対して自分が内省的吟味を加えやすくなる。もちろん共感覚を入れたということで、すでに自ら支配する変性意識下にいることにもなります。

 

●どんどんリアリティを増していく!

 この訓練をすれば、人口共感覚はできます。これがいいところは全て自分が生み出したリアリティ世界だから、リスクが少ない。この訓練を毎日やるだけでいい。

 逆に「明日何をやるべきか」「明後日何をするべきか」というのは、一切考えなくていい。大金持ちになるためには、「今日何をしなくてはいけない」とか考えてしまいそうですが、そんな必要は全然ありません。

 大金持ちになるのは一年後くらいにどうなっているかという結果、三年後くらいにどうなっているかという結果、五年後くらいにどうなっているかという結果のリアリティでしっかり共感覚で強く感じればいい。後は無意識の選択にまかせる。

 十年後は先過ぎます。五年くらいがいいでしょう。一年後、三年後、五年後くらいのゴールをリアルにします。

 「五年後ビル・ゲイツに勝った!」「三年後一部上場した!」「一年後マザーズの壇上に立った!」ぐらいでいいのです。

 それをリアルな姿ではっきりと思い描きます。まずは視覚情報、それから聴覚情報、味覚情報など全部。それを「マザーズの壇上に立ったときの祝いの花束の匂いはどうなんだろう?」、そして「マザーズの壇上に立ったときの花束の視覚情報を匂いに変えたらどうなんだろう?」というようにやるのです。

 また、祝賀パーティで出すミネラルウォーターの味を匂いに変えてみたり、皮膚感覚に変えてみたりするのです。

 画を味に変えたり、画を感触、体感に変える。それが共感覚的な感触。するとリアリティがどんどん増していきます。

 

Q-235につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-関連記事-

Q-159~:臨場感が薄れても高い抽象度のゴールをイメージし続けるのでしょうか?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_404758.html

 

 

脳と心の洗い方

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Q-233:「財布を娘に盗られた」といった被害妄想がでている老人に対して、どのように対応すればよいでしょうか? <vol.4:ユマニチュードの5つのステップ 前編>

 

 先日、認知症をテーマとした医療系の研修会で講演を行いました。コーチとして。

 私が取り上げたのは「認知機能の低下で情緒が不安定になり、環境に反応して起こる」とされている「BPSDBehavioral and Psychological Symptoms of Dementia、行動・心理症状)」。

 厚生労働省HPBPSD:認知症の行動・心理症状」

 s0521-3c_0006.pdf (mhlw.go.jp)

 

講演後に行われたシンポジウムで、大学教授からこのような御質問をいただきました。ありがとうございます。

 

Q:「スコトーマは医療の現場では『認知バイアス』として知られている」ということでしたが、とくに注意バイアスの話に思えました。

 認知症の患者さんでは、記憶障害のため財布などを見つけられない時に、「ここに置いたはず」→「娘が盗った」という被害妄想がおこりがちです。特に大切なものにバイアスがかかりやすいと思いますが、コーチング(コーチ)の視点では、「財布を娘に盗られた」といった被害妄想がでている老人に対してどのように対応すればよいでしょうか?

 

 回答を一般~コーチング実践者向けに再構成し、6回に分けてお届けします。

 vol.1:認知症の2つの症状>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27839838.html

 vol.2RAS&スコトーマと専門性の関係>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27881450.html

 vol.3:ユマニチュードの4つの柱>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27907680.html

 

A4:前回は「見る」「話す」「触れる」「立つ」というユマニチュードの4つの柱を紹介しました。今回は心をつかむ5つのステップ。それは1)出会いの準備、2)ケアの準備、3)知覚の凍結、4)感情の固定、5)再会の約束 です。

 

1)出会いの準備とは「自分が来たことを知らせ、“ケアの予告”をするプロセス」。具体的には ①3回ノック→②3秒待つ→③3回ノック→④3秒待つ→⑤1回ノックしてから部屋に入る→⑥ベッドボードをノックする とあります。

「相手の覚醒水準を徐々に高める効果がある」とされているこの過程を、苫米地式で読み解くと「共有」。共有とは「ある世界があってお互いがコミットすること」です。

わかりやすく言い換えると「相手の視点で世界を見る」「(相手に働きかけるという意識ではなく)相手そのものになる」ということ。これは変性意識導入の基本といえます。

Q-169~:自身の信念を失いないそうです

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_406747.html

 

 

 2)ケアの準備とは「ケアについて合意を得るプロセス」のこと。時間の目安は20秒~3分間。3分以内に合意を得られなければ、いったん諦めて出直します。実際には9割のケースにおいて、40秒以内にこのプロセスが完了するそうです。

 これは「無理強いはしない」「have to化を防ぎ、want toを引き出す」ということ。合意がないのに強引に押し進めるとpush-push backが働きます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882609.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882703.html

 

 このステップを実行することで攻撃的で破壊的な動作・行動(←BPSDの一症状)を83%減らせたという報告があります(European Union Geriatric Society annual meeting 2013)。

この事実は大脳辺縁系が優位になることで起こる「ファイト・オア・フライト」の回避を意味するはずです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8164566.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166289.html

 

 では、どうすれば合意を得られるのでしょう? そもそも合意とは何でしょう?

 

 そう、合意とは「ゴールの共有」のこと。先程の「ある世界があってお互いがコミットすること」の「ある世界」がゴールです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 実際のケアにおいては、まずはゴールが生みだすコンフォートゾーン(CZ)をクリアにすることが重要です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

その上で、介護側が常にCZを意識に上げながら、患者さんやその家族にしっかり体感してもらうことが「合意を得るプロセス」には欠かせません。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24281579.html

 

 

 3)知覚の連結はケアを実際に行う際の最も大切な部分で、2つのポイントがあります。

 〇「見る」「話す」「触れる」のうち2つ以上を行うこと

 〇五感から得られる情報は常に同じ意味を伝えること

 

 つまり、相手の視覚・聴覚・触覚のうち少なくとも2つ以上の感覚に「調和的でポジティブな情報」を入力し続けるということ。笑顔(視覚)と穏やかな声(聴覚)と優しい触れ方(触覚)の3つ(のうち最低2つ)を同時に行いながら、「ポジティブなメッセージを伝える」「ネガティブなメッセージは絶対に入れない」ことが知覚の連結です。

 

 このユマニチュードにおける知覚の連結を、私は「後天的共感覚生成」に通じるひとつの技法と捉えています。

 

ちなみに、共感覚は臨場感を高めるための重要なポイントです。

御承知のとおり、認知科学以降、現実とは(R)臨場感が一番高い(V)イメージのこと(I)です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html

 

 五感+言語という6つのモーダルチャンネル(←苫米地博士の造語、情報入力経路のこと)から入力された情報(部分)がポジティブなものであると、スムーズに「安心・安全」というゲシュタルト(全体)がつくられます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7383761.html

 

 それが先程の「ゴールが生みだすコンフォートゾーン」です。

 

 いったんポジティブなゲシュタルト/コンフォートゾーンができると、RAS&スコトーマの働きにより、患者さんはポジティブなものばかりを認識するようになります。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721658.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 医療・介護現場だけではなく、教育現場や家庭、そして職場においても、ユマニチュードにおける知覚の連結はとても重要だといえます。

(「5つのステップ」の続きは次回に)

 

 

最後に、苫米地博士の著書「洗脳護身術」(三才ブックス、開拓社より再販)より引用します。「共感覚」という概念を意識に上げながら読み進め、クリアなゲシュタルトを作りあげてください(connect the dots)。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628437.html

 

 

後天的共感覚の生成法

 呼吸による変性意識の生成ができるようになったら、次はマインドエンジニアリングする際に重要な技術「後天的共感覚生成」に挑戦していただこう。

 共感覚というのは、以前、山下篤子氏の訳書「共感覚者の驚くべき日常」などでも話題になった、先天的な感覚の性向である。本来の感覚とは別の感覚が伴う現象で、文字や音が色となって感じられたり、匂いに感触が付随したりする。例えば「ざらざら」という感触を音で感じたり、味や色や形で感じるのが「相乗り」しているような状態、これが共感覚だ。

 この感覚の持ち主は、十万人に一人の割合といわれている。実は、私もたまたま先天的な共感覚者で、いまだに小学校の音楽の先生の声が紫色でツルツルしていたとか、別の先生は銀色でとがった三角に見えたという記憶がある。

 共感覚になる原因は、視覚野や聴覚野などの情報処理器官が重なり合っている可能性が指摘されているが、詳しくはまだ解明されていない。

 さて、この共感覚。先程、先天的なものだと述べたが、実は誰でも練習すればある程度の共感覚を持てるようになる。これは私が、過去に洗脳護身術を指導してきた経験から分かったことだ。この共感覚は、相手の内部表現を操作するときに非常に役に立つ。相手が「見ている」「触れている」感覚を変性意識下で作り出せば、それを操作しやすくなる。また、共感覚をマスターすれば、数学やディベートといった複雑で抽象的な作業に役立ち、絶対音感覚も視覚的に体得できるようになるだろう。

 では、さっそく共感覚の生成法を解説していこう。ここでの共感覚の生成とは、「あらゆるものを視覚化する」ということだ。音、感情、命題、論理などすべてを視覚化するのである。そして、最終的には視覚化したものを触覚化できるようになっていただきたい。

 とりあえず、皆さんに練習してほしいのは、音の視覚化である。まずは、逆腹式呼吸を使って変性意識が生成する。それから座っている状態で聞こえる音を一つ一つ、心の中で列挙していく。すると色々な音が聞こえてくるはずだ。エアコンの音、外の喧騒、隣の部屋から聞こえる音楽。そして、聞こえる音の一つ一つに色や形、触感を付けていく。例えば、私は連休の旅先で、小さなノートパソコンで原稿を書いているのだが、ハードディスクが細かく無数に並べられた先のとがった鉛色の小さな三角形の上に、黄色いザラザラな布を被せた音を出していて、先程から気になっている

 最初はよく分からないだろうから、感じたままで結構だ。「このエアコンの音は、薄茶色の粒粒の形をしたザラザラした音だ」といった感じである。そしてそれを「薄茶色の粒粒の形をしたザラザラした音」として実際に見てほしい。変性意識が生成されていれば可能なはずだ。このように、周囲で聞こえる音を色や触覚、形などで見ていってほしい。匂いを加えると、さらに効果的だろう。

 次に感情を視覚化してみる。変性意識状態を維持したままで、目の前にいる人の顔から得られる感情を色や形、触覚で表現し、その人の顔に重ねて見るようにする。悪意のある感情は、どす黒く渦巻いた異臭感があるかもしれない。逆に優しく穏やかな顔の前には、滑らかな球形をした薄いピンクのボールが見えるかもしれない。我々はちょっとした表情の変化、目の動きから相手の感情を読み取ることができる進化した動物だ。ただ、相手の感情を操作するためには、視覚化、触覚化して操作しやすい状態に持っていかなくてはならない。このため、感情を共感覚的にとらえていく必要があるのだ。

 音の視覚化、感情の視覚化に成功したら、最後は気の視覚化に挑戦しよう。ここでは気という概念をあえて定義しない(詳細は第4章)。気功師が言及している「気」。そんなものが実際にあると考えるくらいでいいだろう。つまり、相手の感情状態のみならず、心身の健康状態を外部から感じられる気配のようなもの。これを気とする。

 とりあえずは、自分の手の指先をよく見て、そこから出ている気の色や形、触感を指の周りに表現してみてほしい。気功師のように気を出したり、信じたりする必要はない。もし、自分が中国の超人気功師のように気を出せたら、こんな感じだとイメージすればいいのだ。白く、煙のようにもやもやした感じだろうか。それとも、赤く燃え上がっているような感じだろうか。実際にあってもなくても、指の周りにそれが見えてくるまで練習していただきたい。

 以上の技術をマスターすれば、相手の内部表現を操作するとき、自分のイメージを見せるだけでなく、実際に触覚や味覚などのあらゆる感覚に臨場感を持たせることができるだろう。

 

Q-234につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-関連記事-

Q-159~:臨場感が薄れても高い抽象度のゴールをイメージし続けるのでしょうか?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_404758.html

 

 

洗脳護身術(Kindle)

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Q-232:「財布を娘に盗られた」といった被害妄想がでている老人に対して、どのように対応すればよいでしょうか? <vol.3:ユマニチュードの4つの柱>

 

 先日、認知症をテーマとした医療系の研修会で講演を行いました。コーチとして。

 私が取り上げたのは「認知機能の低下で情緒が不安定になり、環境に反応して起こる」とされている「BPSDBehavioral and Psychological Symptoms of Dementia、行動・心理症状)」。

 厚生労働省HPBPSD:認知症の行動・心理症状」

 s0521-3c_0006.pdf (mhlw.go.jp)

 

講演後に行われたシンポジウムで、大学教授からこのような御質問をいただきました。ありがとうございます。

 

Q:「スコトーマは医療の現場では『認知バイアス』として知られている」ということでしたが、とくに注意バイアスの話に思えました。

 認知症の患者さんでは、記憶障害のため財布などを見つけられない時に、「ここに置いたはず」→「娘が盗った」という被害妄想がおこりがちです。特に大切なものにバイアスがかかりやすいと思いますが、コーチング(コーチ)の視点では、「財布を娘に盗られた」といった被害妄想がでている老人に対してどのように対応すればよいでしょうか?

 

 回答を一般~コーチング実践者向けに再構成し、6回に分けてお届けします。

 vol.1:認知症の2つの症状>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27839838.html

 vol.2RAS&スコトーマと専門性の関係>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27881450.html

 

A3実際に新たなブレークスルーは医学や医療のど真ん中とは違うところで起こったりします。例えば「被害妄想がでている老人に対しての対応」といった課題(case)への解決(plan)も。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html

 

 その一例として御紹介するのは「ユマニチュード(Humanitude)」。フランスのイヴ・ジネストとロゼット・マレスコッティの二人によりつくりだされたケアの技法です。二人はもともとは体育の教師だそう。腰痛の予防や対策をお願いされたことをきっかけに介護の世界に飛び込んだそうです。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 私はユマニチュードに精通しているわけではありませんが、情報を集めゲシュタルト化する過程で重要な気づきを得ました。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628437.html

 

 以下、ユマニチュードについて紹介しながら、苫米地式認定コーチとして解説します。

 

 

 ユマニチュードには「見る」「話す」「触れる」「立つ」という4つの柱があります。

 

そのうちの「見る」「話す」「触れる」は介護者側の視点。ひとつ抽象度を上げてまとめると「関心を持つ(示す)」です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 関心の対象は、もちろん、介護される患者さんです。

 その“患者さん”とは、「今、ここ」という物理空間上の実在(instance)だけではなく、生まれてから今に至るまでの人生全体のこと。さらには、情報空間にひろがる関係性(自我)すべてのことです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html

 

その全体に「関心を持つ(示す)」ことが重要です。

 

 *情報空間(およびその底面である物理空間)はこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

 エリ・ヴィーゼルの言葉を借りると、生の反対は死ではなく、生と死の間(にあるもの)への無関心です。関心が存在(生)を生みだしているといえます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24767587.html

 

 

 4つ目の「立つ」は患者さん側の視点。

「立つ」ことにはたくさんのメリットがあります。例えば「骨粗鬆症を防ぐ(骨・関節)」「筋力低下を防ぐ(骨格筋)」「血液循環を改善する(循環器)」「肺の容積を増やす(呼吸器)」など。しかしながら、ユマニチュードが重視しているのは、そのような身体面ばかりではありません。

 

最大のポイントは「尊厳」。心、つまり情報空間でのメリットです。

私が学んだ書籍には「『立たせる』『歩かせる』という技術だけを信じてはいけない。『誰のために?』『何のために?』『どこに向かって?』という目的がなければ人は歩けない」と書かれていました。

これは「ゴールが重要である」ということ。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 その考えは「ゴールが先(Goal comes 1st.)」というコーチングの祖 ルー・タイスさんの教えと通じます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8583393.html

 

Q-233につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-追記-

 ユマニチュードには「見る」「話す」「触れる」「立つ」という4つの柱があります

 

 「見る」について補足します。ユマニチュードにおける「見る」とはアイコンタクトのこと。それを「視線をつかみにいく」と表現しており、具体的には0.5秒以上のアイコンタクトが必要だとしています(目があったら2秒以内に話しかける)。

 

「えっ、たった0.5秒だけ」と思いませんでしたか?

私たちは意外に目を見つめていません。とくに最近の医療の現場は忙しい上に電子化されており、患者さんの方はまったく見ずにモニターを凝視しながら診察 なんてことも珍しくはないようです。

同様に、日常の生活においても、目を合わせる機会が少なくなっているのではないでしょうか。

(反対に目がしっかり合ってしまうと気まずくなりますよねw

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882652.html

 

 人間にとって、本来、アイコンタクトはとても重要のものです。

生後2~5日の新生児でもアイコンタクトに反応することが確認されています。それは「集団で生きていく仕組み」であり、「人を人たらしめる能力」ともいわれています。

 さらに、日本人とフィンランド人を比較した研究により、その文化背景に関わらず、正面からアイコンタクトをとると覚醒度や注意力が高まることが明らかになっています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/11294790.html

 

さらにアイコンタクトを続けると、“秘密の力”が覚醒するかもしれません。

イタリア ウルビーノ大学の心理学者 ジョバンニ・カプート氏らは「アイコンタクトが意識の変容をもたらす」という研究結果を発表しています。

 そういえば苫米地博士の著書にも人の目がデザインされているものがあります。その本とは「洗脳原論」。きっと読みはじめる前から(手に取った瞬間から)「洗脳」する仕掛けなのでしょう。

 

 冗談はさておき、私はクライアントさんに「まずはしっかり見る/観る」ことを勧めます。見る/観るものは「情報空間にひろがる関係性(自我)すべて」。それは自分自身とのアイコンタクトといえます。

 S-04-24~26:「鏡の中の自分に微笑みかけること」の本当の意味

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23983088.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24057099.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24116667.html

 

 そして、それは「抽象度が高い世界に臨場感を感じる秘訣」でもあります。

Q-159~:臨場感が薄れても高い抽象度のゴールをイメージし続けるのでしょうか?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_404758.html

 

 

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Q-073~180804医療講演会レポート

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L-001~20201月シークレットレクチャー

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洗脳原論

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Q-231:「財布を娘に盗られた」といった被害妄想がでている老人に対して、どのように対応すればよいでしょうか? <vol.2RAS&スコトーマと専門性の関係>

 

 先日、認知症をテーマとした医療系の研修会で講演を行いました。コーチとして。

 私が取り上げたのは「認知機能の低下で情緒が不安定になり、環境に反応して起こる」とされている「BPSDBehavioral and Psychological Symptoms of Dementia、行動・心理症状)」。

 厚生労働省HPBPSD:認知症の行動・心理症状」

 s0521-3c_0006.pdf (mhlw.go.jp)

 

講演後に行われたシンポジウムで、大学教授からこのような御質問をいただきました。ありがとうございます。

 

Q:「スコトーマは医療の現場では『認知バイアス』として知られている」ということでしたが、とくに注意バイアスの話に思えました。

 認知症の患者さんでは、記憶障害のため財布などを見つけられない時に、「ここに置いたはず」→「娘が盗った」という被害妄想がおこりがちです。特に大切なものにバイアスがかかりやすいと思いますが、コーチング(コーチ)の視点では、「財布を娘に盗られた」といった被害妄想がでている老人に対してどのように対応すればよいでしょうか?

 

 回答を一般~コーチング実践者向けに再構成し、6回に分けてお届けします。

 vol.1:認知症の2つの症状>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27839838.html

 

A2Wikipediaには「認知バイアス(cognitive bias)とは、認知心理学や社会心理学での様々な観察者効果の一種であり、非常に基本的な統計学的な誤り、社会帰属の誤り、記憶の誤り(虚偽記憶)など人間が犯しやすい問題である」と書かれています。

 関連する概念として「確証バイアス」「リスキーシフト」「コンコルド効果」「錯誤相関」「一貫性バイアス」「自己中心性バイアス」「感情バイアス」「熱い認知/冷たい認知」「事前確率無視」「フレーミング効果」「アンカリング」「自己奉仕バイアス」「投影バイアス」「外集団同質性バイアス」「後知恵バイアス」「確証バイアス」「根本的な帰属の誤り」「正常性バイアス」「生存者バイアス」などが挙げられています。

 

 ↑これらの「関連する概念」は、すべて抽象度が下がる方向性です。情報量を増やし細分化していくことが“専門性”といえます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

教授が「認知バイアス→注意バイアス」と抽象度を下げたことは、専門家(研究者)としてのブリーフのあらわれのはず。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

 そのブリーフが「RASを規定し、スコトーマを生みだす」ということが、まさに私が(とくにシンポジウムで)お伝えしたかったことです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721658.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 スコトーマを生みだす/外すポイントは3つ。1)知識、2)重要性、3)役割 です。

 知識が増えるほどスコトーマは外れやすくなりますが、一方でその知識が新たなスコトーマを生みだします。

 

その事実に人類は古くから気づいていました(=スコトーマが外れていた)。例えば、ギリシャの哲学者 ソクラテス(紀元前469~紀元前399年)は「無知の知」と表現し、中国の孔子(紀元前552or551~紀元前479年)は「知之為知之 不知為不知 是知也」と語っています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/19879896.html

 

 ところが、それから2500年も経つというのに、現代人の多くは「必ずスコトーマが生じる」という事実を実感していません。Wiki.に書かれている「人間が犯しやすい問題」という表現が不完全性を前提にしていないのなら、その象徴といえます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6194669.html

 

さらにいうと私たち現代人は、どんどん増え続ける情報量によって、ますます“大切な何か”を見失っています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

 

 「情報量が増える」「細分化する」ことでかえって全体が見えなくなってしまうことを、「木を見て森を見ず」「森を見て山を見ず」と言い表したりします。それらの言葉が示しているのは「ゲシュタルトの重要性」です。

 ゲシュタルトとは「全体性を持ったまとまりのある構造」「部分と全体の双方向の関係性」のこと。先ほどの例えでいえば「木:部分<森:全体」「森:部分<山:全体」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 

 ちなみに、「AB」は「AよりBの方が抽象度が高い」という意味でもあります。

あるゲシュタルトと別のゲシュタルトを統合し「より大きなひとつのまとまり(新たなゲシュタルト)」を作りあげたとき(connect the dots)、スコトーマが外れ、理解がより深まります。抽象度が上がるから。
 その時、きっとひらめきを得るでしょう。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7383761.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628437.html

 

 医療というdotとコーチングというdotconnectする

 

 

 医療とコーチングを包摂した新たな次元をイメージしながら(feel!)、当日の講演やシンポジウムで話をさせていただきました。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14120540.html

 

 実際に新たなブレークスルーは医学や医療のど真ん中とは違うところで起こったりします。例えば「被害妄想がでている老人に対しての対応」といった課題(case)への解決(plan)も。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html

 

 次回は「被害妄想がでている老人に対してどのように対応すればよいでしょうか?」への回答として、医療・介護現場でひろがりつつある“ある技法”を紹介し、苫米地式認定コーチとして解説します。

 

Q-232につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-追記-

「情報量が増える」「細分化する」ことでかえって全体が見えなくなってしまうことを、「木を見て森を見ず」「森を見て山を見ず」と言い表したりします。それらの言葉が示しているのは「ゲシュタルトの重要性」です

 

 「木」「森」「山」などの概念そのものがひとつのゲシュタルト。それらを「ある」と思ってしまうことで重大なスコトーマが生じます。繰り返しますが、Wiki.に「人間が犯しやすい問題」と書かれていることは、その象徴のはずです。

 F-171:アンチ(anti)からウィズ(with)、そして vol.4-3「死」;well-aging

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24786250.html

 

 

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F-129~The Sweet Hello, The Sweet Goodbye

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F-163~:アンチ(anti)からウィズ(with)、そしてウェル(well)へ

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F-176~:“幸福(well-being)”とは? ~antiwithwellpart

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Q-230:「財布を娘に盗られた」といった被害妄想がでている老人に対して、どのように対応すればよいでしょうか? <vol.1:認知症の2つの症状>

 

 先日、認知症をテーマとした医療系の研修会で講演を行いました。コーチとして。

 私が取り上げたのは「認知機能の低下で情緒が不安定になり、環境に反応して起こる」とされているBPSDBehavioral and Psychological Symptoms of Dementia、認知症に伴う行動・心理症状)。

 厚生労働省HPBPSD:認知症の行動・心理症状」

 s0521-3c_0006.pdf (mhlw.go.jp)

 

講演の内容を簡単に紹介すると、

1)BPSDに関係するコーチング用語(スコトーマ、ブリーフシステム、認知的不協和)について説明した後、

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882652.html

 

 2)BPSDの根底にあるとされる「情緒が不安定」を考察し、

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8164566.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166289.html

 

 3)具体的対策の提案を行いました。1つ目が「和顔愛語」の実践、2つ目がゴール設定&共有です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/11294790.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 ちなみに、現代ディベート論理「トゥールミンロジック」でいうと、2)が問題提起(ケースサイド)、3)が解決提案(プランサイド)です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6194585.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html

 

 最後は、認知症を発症しながらも社会に機能を提供し続けた医師を紹介しました。認知症に関わる誰もが知る第一人者が自らの認知症体験を通して後進に伝えたかったことに思いを馳せながら。

 F-032:ある医師の勇気に触れて学んだこと ~○○○→思考→言葉→行動→習慣→性格→運命→○○→~

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/9366814.html

 

 

 では、本題に入ります。

講演後に行われたシンポジウムで、大学教授からこのような御質問をいただきました。ありがとうございます。

 

Q:「スコトーマは医療の現場では『認知バイアス』として知られている」ということでしたが、とくに注意バイアスの話に思えました。

 認知症の患者さんでは、記憶障害のため財布などを見つけられない時に、「ここに置いたはず」→「娘が盗った」という被害妄想がおこりがちです。特に大切なものにバイアスがかかりやすいと思いますが、コーチング(コーチ)の視点では、「財布を娘に盗られた」といった被害妄想がでている老人に対してどのように対応すればよいでしょうか?

 

 回答を一般~コーチング実践者向けに再構成し、6回に分けてお届けします。

 

A1:まずは「認知症」について確認しましょう。

 

 認知症の症状の中心は「認知機能の低下」です。

具体的には「記憶するのが苦手になる」「時間・場所・人の認識があいまいになる」「物事の手順に戸惑う」「会計や計算が苦手になる」など。それらの症状は徐々に進行していきます。

 

症状や脳の変化により、下記の4つのタイプに大別されます。

 

 □アルツハイマー型認知症(ADAlzheimer disease

・認知症全体の6割で最多

 ・記憶を司る海馬(かいば)を中心に脳が萎縮

 ・「記憶があいまい」「同じことを何度も言う」「もの忘れ」など

 

 □血管性認知症(VaDvascular dementia

 ・脳出血や脳梗塞により脳の神経細胞がダメージを受ける

 ・認知機能低下+「歩行が不安定」「呂律が回らない」「むせる」

 ・リハビリや会話・歩行が効果的

 

 □レビー小体型認知症(DLBdementia with Lewy bodies

 ・「レビー小体」が脳の広範囲に溜まる

 ・認知機能が変動する(オン/オフ)

 ・認知機能低下+「幻視」「ひどい寝ぼけ」「筋肉がこわばる」「手足が震える」

 

 □前頭側頭型認知症(FTDfrontotemporal dementia

 ・「理性的な行動ができない」「人への配慮ができない」「ルールを守れない」

 ・同じ行動を繰り返し、万引きなどの反社会的な行動があらわれる

 ・家族だけでは対処が難しいため、早めの公的介入が重要

 

 じつは認知機能低下の程度と介護負担は必ずしも相関しません。むしろ、介護者の負担に直結するのはBPSDの方です。具体的には「情緒が不安定になる」「妄想で人を責める」「声を荒げる」「暴言・暴力がみられる」「無気力になる」「睡眠リズムが乱れる」など。

 これらの症状は「認知機能の低下で苦手なことが増えたことにより、精神的に追い込まれて起こる」と考えられています。

 

 「苦手が増えた」はセルフイメージの低下を引き起こします。「これまでの私と今の私」、あるいは「理想(期待)と現実」との間に生じたギャップはエネルギーを生みだします。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25090742.html

 

 セルフイメージの低下はコンフォートゾーンを下向きに外れた状態と同じです。落ち着かなくなり、動物的な大脳辺縁系の方が人間的な思考を司る前頭葉前頭前野よりも優位になりやすくなります。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

大脳辺縁系優位になると、生じたエネルギーが攻撃(暴言・暴力、他責)や逃避(閉じこもり、治療・介護の拒否)に使われます。それが「ファイト・オア・フライト」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27521647.html

 

 

 次に、認知機能の低下やBPSDへの一般的な対処をケース別に紹介します。心がけるべきこと(〇)とNG行為(×)です。

 

 □時間・場所・人の認識があいまい(認知機能低下)

 〇:「朝ごはんですよ」や「冬で寒さが厳しいですね」など、時間や季節がわかるように声掛けする

 〇:カレンダーや時計を見やすいところに置いておく

 〇:間違いを責めない

 ×:「昨日どこに行ったか覚えている?」など試す

  ポイント:エフィカシーを絶対に下げない

  https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5616012.html

 

 □物事の手順に戸惑っている(認知機能低下)

 〇:「次はこうしたらどうでしょう」など、命令をせずに提案を行う

 〇:「○○をお願いします」「一緒に○○をしましょう」など、見守りながら役割を提案し、さりげなくサポートする

 ×:失敗を非難する。注意する

  ポイント:have toを避け、want toを引き出す

  https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882609.html

 

 □情緒が不安定(BPSD

 〇:原因から引き離す(介護者も距離を置く)

 〇:視線を合わせて(和顔施・眼施)、ゆっくりわかりやすく話す

  https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/11142143.html

 〇:共感を示す

  https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24425213.html

 ×:否定や非難を行う

  ポイント:関わる人たちの情緒が安定していること。その最大の秘訣はゴール設定!

 

 □妄想状態で人を責める(BPSD

 〇:まずは話を聞き、否定しない

 〇:一緒に行動し、同じ時間を過ごす(苫米地式で言い換えると「場の共有」)

  https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5165888.html

 ×:妄想と決めつける(疑う、無視する)

  ポイント:本人にとって一番臨場感が高い(V)イメージ(I)が現実(R

  https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html

 

 

 今回は医師>コーチとして書きました。次回からは医師<コーチとして、そして最後は100%コーチとして回答します。

 

Q-231につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

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