苫米地式コーチング認定コーチ CoacH T <タケハラクニオ> ブログ

認知科学者 苫米地英人博士に学び九州で活動するコーチ・ヒーラー・医師 CoacH T(タケハラクニオ)ブログ

タグ:認知症

Q-235:「財布を娘に盗られた」といった被害妄想がでている老人に対して、どのように対応すればよいでしょうか? <vol.6:記憶が織りなす「一人一宇宙」>

 

 先日、認知症をテーマとした医療系の研修会で講演を行いました。コーチとして。

 私が取り上げたのは「認知機能の低下で情緒が不安定になり、環境に反応して起こる」とされている「BPSDBehavioral and Psychological Symptoms of Dementia、行動・心理症状)」。

 厚生労働省HPBPSD:認知症の行動・心理症状」

 s0521-3c_0006.pdf (mhlw.go.jp)

 

講演後に行われたシンポジウムで、大学教授からこのような御質問をいただきました。ありがとうございます。

 

Q:「スコトーマは医療の現場では『認知バイアス』として知られている」ということでしたが、とくに注意バイアスの話に思えました。

 認知症の患者さんでは、記憶障害のため財布などを見つけられない時に、「ここに置いたはず」→「娘が盗った」という被害妄想がおこりがちです。特に大切なものにバイアスがかかりやすいと思いますが、コーチング(コーチ)の視点では、「財布を娘に盗られた」といった被害妄想がでている老人に対してどのように対応すればよいでしょうか?

 

 回答を一般~コーチング実践者向けに再構成し、6回に分けてお届けします。

 vol.1:認知症の2つの症状>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27839838.html

 vol.2RAS&スコトーマと専門性の関係>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27881450.html

 vol.3:ユマニチュードの4つの柱>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27907680.html

 vol.4:ユマニチュードの5つのステップ 前編>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27926812.html

 vol.5:ユマニチュードの5つのステップ 後編>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27962873.html

 

A6:今回が最後の回答です。「コーチング(コーチ)の視点では、『財布を娘に盗られた』といった被害妄想がでている老人に対してどのように対応すればよいでしょうか?」について、さらに抽象度を上げて考察します。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 苫米地式コーチングの基礎には「認知科学(cognitive science)」があります。

それまでの「構造主義」「行動科学」「実験心理学」とは異なり、認知科学では人間を「内部表現(IRInternal Representation)」としてみて、「内部表現を変えることで(入力を変えることなく)出力が変化する」と考えます。

F-176:“幸福(well-being)”とは? ~「antiwithwellpart-1;ゴールが幸福を定義する

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25101418.html

 

内部表現での何らかの情報処理が、言動などの出力を決めるのです。よって、マインドを変えると行動が変わることになります。

 F-032:ある医師の勇気に触れて学んだこと ~○○○→思考→言葉→行動→習慣→性格→運命→○○→~

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/9366814.html

 

 じつは、出力だけではなく、入力そのものがマインドでの情報処理により決まっています。

 F-110~:情報が書き換わると現実が変わる

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_386190.html

 

その事実を体感していただきたくてたくさん仕込みましたw。ぜひ講演中のスコトーマ体験を思い出してください。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

スコトーマは現在のブリーフシステムが生みだします。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

そのブリーフシステムは、過去の記憶でつくられています。

「過去で塗り固められたブリーフシステム」を、未来側から新たにつくりなおすことがコーチング。そして、未来から現在、現在から過去へと向かう時間の流れをうみだすサポートがコーチの役割です。その中心的作業がゴール設定。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

このまま続く現状の延長線上にはありえない何かをゴールとして設定し、その達成を確信すると(エフィカシー)、ブリーフシステムが変わり、コンフォートゾーンが変わっていきます。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5616012.html

 

 人はコンフォートゾーン(CZ)の外を認識することはできません。スコトーマに隠れるからです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

つまり、各自が見ている目の前の世界は、それぞれの記憶が織りなすCZであり、「一人一宇宙」であるということ。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/11823351.html

 

 記憶にはフレームがあります。フレームとは「枠組み」のこと。「ある枠組みを作って、その中だけで思考する」というのが人間の情報処理の特徴です。

 

フレームのある記憶に対して、頭の中にバラバラに保存された情報にはフレームがありません。

よって、私たちは何も記憶していないともいえます。バラバラな情報が合成され「記憶」となるのは「今、この一瞬」だからです。

 「今の認識というフレームが今の記憶を作っていると考えると、人類の脳には、過去も未来もなく、現在しか存在しないということになる」と私の師である認知科学者 苫米地英人博士は述べられています。著書「Dr.苫米地の『脳力』の使い方」(徳間書店)の中で。

 Q-220:ゴールに対するスケジュールはたてますか? <後編(コーチング実践者~コーチ向け);人類には“今”しかない>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27478021.html

 

つまり、それぞれの記憶が織りなす「一人一宇宙」(=CZ)が、この瞬間にダイナミックにうみだされているということ。

本当は時間は流れておらず、バラバラに散らばった状態(離散的)で存在しています。時間が流れているように感じられるのは、私たちの意識が時間軸を移動しているからです。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html

 

認知科学の大前提はファンクショナリズム(functionalism)です。しかしながら、人間のファンクションは、あらかじめあるものではなく、その瞬間瞬間に生成されるもの。

それゆえ、「認知科学の枠組みでは、現在しかない人間の記憶をシステム化することは不可能」(by 苫米地博士)なのです。

 

 この「人には現在しかない」という考え方は、じつは、仏教の教えの中にも存在しています。人どころか、宇宙まで含めて、「今作られ(刹那生)、今消える(刹那滅)」。その「生」と「滅」を生みだす力が「縁起」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

「各人が作る『一人一宇宙』(=CZ)が、超情報場として、同時かつダイナミックに存在している」というのが「この世(&あの世)の理」。それを苫米地博士が理論化されたものが「超情報場理論(仮説)」です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5165789.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5165823.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5165888.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5306380.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5306438.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5306445.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5445932.html

 

物理空間は情報空間の一部で、抽象度を軸にしたときの底面です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

つまり、情報宇宙という全体があり、物理空間はその1つの部分であるということ。ゲシュタルトです。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 

 宇宙の構造(ゲシュタルト)を体得すると、「生命現象という情報(=全体)が物理空間に顕在化したものが身体(=部分)である」ことが理解でき、「高次の情報場への働きかけを通じて、現実である物理空間を変える」ことができるようになります。自由自在に。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html

 

 コーチングの枠組み(フレーム)でいえば、その理をプリンシプル化したものが「I×V=R」。そのはじまりがゴール設定です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html

 

 

Q:認知症の患者さんでは、記憶障害のため財布などを見つけられない時に、「ここに置いたはず」→「娘が盗った」という被害妄想がおこりがちです。特に大切なものにバイアスがかかりやすいと思いますが、コーチング(コーチ)の視点では、「財布を娘に盗られた」といった被害妄想がでている老人に対してどのように対応すればよいでしょうか?

 

 被害妄想がでている老人」が認識している世界は確かに妄想といえますが、その老人を見守る一人ひとりがそれぞれ認識している世界もまた妄想です。

 つまり、目の前の現実「R」はすべて妄想「I×V」。一番臨場感が高い(V)イメージ(I)、すなわち「I×V」が、各人が認識している目の前の世界「R」です。

 よって、コーチング(コーチ)の視点での対応は、「R」、すなわち「I×V」をまずは共有し、より穏やかで豊かな方向に導いていくことといえます。ゴールを共有することによって。

 Q-169~:自身の信念を失いそうです

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_406747.html

 

 それを認知科学的には「内部表現書き換え」と表現します。その秘訣が「共感覚」にあります。共感覚を身につけ、内部表現書き換えを活用することができれば、医療・介護従事者は患者さんやその家族の苦痛(pain)をさらに軽減することができるはずです(滅苦導楽)。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8293317.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7702640.html

 

それがコーチ兼医師である私の願いであり、「医療・介護従事者はコーチングをマスターするべき」という主張(claim)の裏にある根拠(warrant)です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12340209.html

 

 ぜひコーチングについて学び、実践してください。縁ある人々のために。

 御質問ありがとうございました。

 

 *こちらもぜひ↓

 PM-04~:苫米地理論で見える医療・福祉現場のスコトーマ(目次)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13076878.html

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-追記-

以下、「内部表現」や「内部表現書き換え」に関連する文章を、苫米地博士のブログから引用します(20061106日)。

 ドクター苫米地ブログ - Dr. Hideto Tomabechi Official Weblog : 「内部表現」と「内部表現書換え」について - ライブドアブログ

 

 

「内部表現」と「内部表現書換え」について

 1118日からの『高次脳特別クラス「内部表現書換えとTP誘引、共感覚、Cセルフ」』についての質問が多いようです。新刊書で読者層が広がったためだと思います。今日も、「内部表現」と「内部表現書換え」とは何という質問がありました。現在も海外出張中で、明後日から一週間は特にネットアクセスのチャンスが難しくなるので、何とか、ここにお答えしてみたいと思います。

「内部表現」は、『洗脳原論』、『洗脳護身術』、『脳とこころの洗い方』と読まれてきた方には、それなりに定義されてきた概念のはずですが、各著書では敢えて、ゆるやかな定義しかしていないためにこういった質問が出るものと推測します。

 私の各著書は、専門家と全くの素人を同時に読者のターゲットとしてきています。これは、かつてのYale大学院時代の私の師、人工知能の父のひとりといわれたロジャーシャンクや、学派では、ロジャーの対極にいた現代言語学の産みの親であるノームチョムスキーが、2,3年に一度から数年に一度の頻度で出版していた各著書が、本の形態としては、一般向けの書籍として書かれていながら、その内容は、学会の専門家にとっては、極めてプロヴォカティヴな内容で、それらの著書が出版されてから相当の期間、学会で賛否両論、色々とディスカッションを引き起こす内容であった、そんな著書を目指して書いてきているからです。

 例えば、ロジャーシャンクでは、Inside Computer Understanding, Script, Plans and Understanding, Dynamic Memory, Tell me a Storyといった各著書やチョムスキーでは、Logical Structure of Linguistic Theory, Aspects of the Theory of Syntax, Lectures on Government and Binding, The Minimalist Program といった各著書がそうでありました。それぞれ、一般の読者にもすんなりと読める内容でありながら、専門家には、それぞれが、その前のパラダイムを打ち砕くような内容でした。著書毎に学会が新しく作られるような、そんなインパクトがありました。

 もちろん、ロジャーやチョムスキーのレベルの著書を書けると思っているわけではないですが、学者の著書のあり方としては、まさに理想であり、そういった方向性で、私の各著書が書かれています。ですから、さらっと読んでいただいてもいいし、そのまま、学会の招待講演のようなつもりで専門家に読んで頂けてもありがたいのです。実際、主婦の方から、専門分野の教授まで幅広い読者層から、賛否両論の色々なコメントを頂いています。私なりに、各著書を通して、一般向けの啓蒙と学会への提言の両方を同時にしてきたこれらの大先輩を見習っているつもりです。

 実際、自分の専門分野を誰より早く開拓し、独走してきたつもりですので、大学院生相手に古巣の学会などで、話をするのもいいのですが、素人から年配教授まで、パラダイムシフトをしてもらいたい、そういった思いで各著書を著しています。10年以上前に、ハーバード大学医学部等との共同研究による、脳機能研究プロジェクトを推進していた時代に、オウム事件が勃発したころには、オウムにおどらされたマスコミに乗じた、「専門家」教授達には、「脳機能科学」などないと批判されたぐらいですから。それから10年以上たって、日本中が「脳」ブームとなったのは、隔世の感があります。ほんとに、当時は、脳機能を研究していた日本人って、私を含めて、数人ぐらいしかいなかったのですから。その後、まさに、ご質問の「内部表現」に深く関わる、私の専門研究は、世界的にも独走し続けていると自負しています。私の専門研究発表は、対テロリスト国際会議のような、軍や警察関係者に参加限定されたクローズドの国際会議ぐらいでしかしませんので、私の場合は、ロジャーシャンクやノームチョムスキーが産み出してきたような、一般啓蒙書の形をとったパラダイムシフトの本を定期的に出版していくことが、社会的な役割としても重要だと思っています。

 さて、「内部表現」という言葉ですが、厳密な形式的定義はクラスに譲るとして、非形式に定義してみましょう。まず、10月のクラスの案内にも書きましたが、著書、「脳とこころの洗い方」で言っている「脳とこころ」は一つの単語として読んで欲しいのです。かつては、「脳」と「心」は、物理の世界の存在と、心理の世界の存在のような、異なる次元の存在と考えられ、これらを結びつける問題が、グラウンディング問題と呼ばれ、私の研究の中心テーマでもありました。これが、過去のパラダイムでした。現在は、「脳とこころ」は、結びつけられる存在ではなく、もともと同じものと考えています。これが現在のパラダイムです。言ってみれば、次元を超越して、全抽象度で存在しているのが「脳とこころ」です。「脳」と「こころ」と単語を分けて記述するのは、単に、記述の利便性から、異なる抽象度で同じものを呼ぶにあたって、物理の抽象度で記述する場合は、「脳」と呼び、心理の抽象度で記述する場合は、「心」と呼ぶといった記述の抽象度の違いに過ぎず、記述対象である「脳とこころ」そのものは、もともと同じ一つの存在であると考えています。例えば、神経回路の化学や物理を記述するにあたっては、脳と呼ばれる物理抽象度で記述するのが便利だから、その抽象度を選び、心理や哲学のレベルの機能を記述するには心と呼ばれる抽象度で記述するのが便利であるという記述の利便性の問題に過ぎないという立場でもあります。そして、この「脳と心」を記述しているのが内部表現です。ですから当然内部表現には、「脳」と呼ばれるときの物理抽象度の情報も、「心」と呼ばれる時の心理、哲学レベルの抽象度の情報も内包されています。

 ところで、この説明では、この場合の内部表現というのは、我々がある個人の「脳とこころ」を観測している時に、その記述を呼ぶように理解されます。もちろん、それは理論的にはその通りなのですし、人工知能の研究などはまさにその立場で、内部表現をLispのプログラムなどとして記述してきたわけですが、現実問題としては、誰も他人の「脳とこころ」の中を記述することはできないでしょう。ですから、現実問題として内部表現というのは、本人が本人の「脳とこころ」を記述している場合のみ有効な概念となるでしょう。ただ、ここで重要なのは、その記述は、本を書くというような記述活動ではなく、無意識レベルの情報処理活動という意味での記述という意味合いであるということです。それが物理信号のレベル、例えばシナプスレベルでの電気信号であったとしても、こころのレベルの情報処理活動であったとしても、「脳とこころ」が行っていることはなんらかの情報処理活動であり、それがまさに「記述」であるというパラダイムです。

 

 このような、「脳とこころ」の無意識、意識を問わず、また抽象度を問わない、記述が「内部表現」なのです。もちろん、その記述には、記憶情報や、本人が認識している外部世界とよばれる周囲の情報も内包されているのはいうまでもないです。このパラダイムの後ろには、宇宙は情報と情報の状態(つまり物理)から成り立っているという立場があるということも追加しておきましょう。

 

 さて、11月のクラスの中心テーマである「内部表現操作」ですが、これは、外から我々が、被験者の内部表現を操作する技術です。言ってみれば、「脳とこころ」の情報処理に介入する技術です。もちろん、催眠や洗脳といった技術も内部表現操作の一つですが、本クラスで学ぶのは、もっと直接的かつ介入的な内部表現の操作の技術です。うまくいけば、当然、本人の身体状態、例えば、病であるといった状態も内部表現上の記述ですから、これを書換えることができれば、臨床的な手法としても特に有効な技術です。もちろん、被験者の思想や行動に介入的な操作をすることも可能とする技術でもあります。従って、11月のクラスの参加者には、これまで以上に厳しく、守秘義務と自己責任の誓約を行って頂きます。もちろん、医療や教育、宗教、ビジネスなどで、正当な利用を行った場合の効果は大きいものですので、これまでもこのクラスの開催リクエストは特に強かったのですが、これまでのクラスでは、色々な要因から、開示を躊躇してきた技術でもあります。これは、過去のクラスの参加者に問題があったというわけではなく、私の方が、介入的な内部表現操作の技術を開示する用意が十分ではなかったと理解してください。また、一部で、過去の参加者による守秘義務違反の例があるという報告を受けています。今回のクラスの参加者には、特に厳しい守秘義務が果たされるので、これを理解している方のみ、ご参加ください。

 

 

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Q-234:「財布を娘に盗られた」といった被害妄想がでている老人に対して、どのように対応すればよいでしょうか? <vol.5:ユマニチュードの5つのステップ 後編>

 

 先日、認知症をテーマとした医療系の研修会で講演を行いました。コーチとして。

 私が取り上げたのは「認知機能の低下で情緒が不安定になり、環境に反応して起こる」とされている「BPSDBehavioral and Psychological Symptoms of Dementia、行動・心理症状)」。

 厚生労働省HPBPSD:認知症の行動・心理症状」

 s0521-3c_0006.pdf (mhlw.go.jp)

 

講演後に行われたシンポジウムで、大学教授からこのような御質問をいただきました。ありがとうございます。

 

Q:「スコトーマは医療の現場では『認知バイアス』として知られている」ということでしたが、とくに注意バイアスの話に思えました。

 認知症の患者さんでは、記憶障害のため財布などを見つけられない時に、「ここに置いたはず」→「娘が盗った」という被害妄想がおこりがちです。特に大切なものにバイアスがかかりやすいと思いますが、コーチング(コーチ)の視点では、「財布を娘に盗られた」といった被害妄想がでている老人に対してどのように対応すればよいでしょうか?

 

 回答を一般~コーチング実践者向けに再構成し、6回に分けてお届けします。

 vol.1:認知症の2つの症状>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27839838.html

 vol.2RAS&スコトーマと専門性の関係>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27881450.html

 vol.3:ユマニチュードの4つの柱>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27907680.html

 vol.4:ユマニチュードの5つのステップ 前編>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27926812.html

 

A5:前回からユマニチュードの「心をつかむ5つのステップ」を取り上げています。それは1)出会いの準備、2)ケアの準備、3)知覚の凍結、4)感情の固定、5)再会の約束。

 とくに3)知覚の凍結は重要。私は「後天的共感覚生成」に通じるひとつの技法であると捉えています。

 

 4)感情の固定は「気持ちよくケアできたことを患者さんの記憶にしっかりと残し、次回のケアにつなげる」ことが目的。そのために先ほどまでのケアを二人で想起します。ポイントは4つです。

 〇ケアの内容を前向きに評価 →シャワーは気持ちよかったですね

 〇相手を前向きに評価 →シャワーをしてさらに素敵になられましたね

 〇ともに過ごした時間を前向きに評価 →私もとても楽しかったです。ありがとうございます

 〇前向きな言葉(言語)&好意的な動作(非言語) →ポジティブな情動記憶を残す

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14973460.html

 

 「情動記憶」という言葉から、私はブリーフシステムを想起しました。この4)感情の固定は、ケアに対して前向きなブリーフを作る手法と理解することができます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

 ケアを受ける側である患者さんの多くは、病気や老いによって、今までできていたことができなくなっていきます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7859675.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8045827.html

 

御質問中の「認知症の患者さん」も同じ。状況をまったく理解できないのではなく、むしろ「現在の私」を評価できるから混乱していきます。それはコンフォートゾーンを下向きに外れる状態であり、自己イメージが低下する状態です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

 4)感情の固定は、苦痛(とくに心理的苦痛)を軽減し、エフィカシーを高める効果があると感じました。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24642277.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5616012.html

 

 

 5)再会の約束は患者さんの記憶力に関わらず行います。とくにケアに拒否的な人に対しては不可欠な行為とされています。

 この部分を苫米地式で解釈すると、「場の共有」。「場」とは「情報空間における座標」のことです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5165888.html

 

 *情報空間はこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

よって、再会の約束は、「時空を超えた(潜在的な)場の共有の意識化」といえるはず。

 Q-219~:ゴールに対するスケジュールはたてますか?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_415812.html

 

 

以上がユマニチュードの「心をつかむ5つのステップ」。

 

被害妄想がでている老人」と向き合う際には、ぜひユマニチュードの「4つの柱」と「5つのステップ」を意識に上げてください。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24281579.html

 

スコトーマを外しながら、その場面に最適な対処法を「invent」できるはずです。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 

 次回が最後の回答です。「コーチング(コーチ)の視点では、『財布を娘に盗られた』といった被害妄想がでている老人に対してどのように対応すればよいでしょうか?」について、さらに抽象度を上げて考察します。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 鍵となるのは「共感覚」。

 前回に引き続き、認知科学者 苫米地英人博士の著書より「共感覚」に関する部分を引用します。今回は「脳と心の洗い方 ~『なりたい自分』になれるプライミングの技術~」(フォレスト出版)からの引用です。

 

 

●人口共感覚の作り方

 臨場感を増すためには共感覚が役に立ちますが、実際一万人に一人では方法論になりません。ですから、私はクラスで人口共感覚の生成法を教えています。この方法を使えば、普通の人でもちょっと訓練すれば誰でも共感覚を感じられるようになります。

 これは秘伝技です。通常は医師や臨床心理士にしか教えていないのですが、強烈な臨場感を生み出すと自分が深い変性意識に入り、そうすると相手も深い変性意識に引き込まれるので、思い切り相手をコントロールできる状態になります。

 なぜなら、自分が支配する仮想空間ですから相手に対する影響力が強くなるので、教える相手を選んでいます。

 問題ない程度にテクニックを伝授すると、基本的には自分が普段考えている世界、感じている世界を色だったら「色を音に変える」または「味に変える」といったような違うものに変える訓練を毎日二十分間続けます。それを三カ月間。

 たとえば、今、目の前にはこういう人がいて、絵画があり、壁があります。そして、「じゃあこの壁はこの音にしよう」「絵画はこの音にしよう」「前の人の服はこの音にしよう」と自分で決めていきます。音や味、なんでもいいけれど視覚以外のものにします。訓練したければ、「今日は味でやってみよう」「匂いにしてみよう」「今日は色でやってみよう」といった感じでやります。

 自分なりの工夫で違う感覚にマッピングすることを三カ月続けていると、できるようになります。その結果、リアリティがすごく増します。

 

●目が見えなくても見える!

 実際に嫌でもやらざるを得ない人っているでしょう?

 目が見えなくなった人でも、まるでまわりが見えているかのように行動する人がいます。それはおそらく音や触覚情報を視覚情報にマッピングしていると考えられるわけです。これは眼球がダメになったわけで、視覚野がダメになったわけではない人の場合は視覚野の情報処理に対するデータの入り口を目ではなくて耳にしている可能性が考えられます。

 武道などでも同じです。後ろから攻めてきた人がわかったりするというのも、音なのか風の感触なのかわかりませんが、ちゃんと認識しています。それも微細にわかる達人は共感覚の利用が考えられます。

 同じことが身体障害者の場合は、嫌でもやらざるを得ない状況になっているということでしょう。それを我々は謙譲の身体でやる。その訓練を一日二十分三カ月。

 そうすると普段見ている現実世界のリアリティが増していくし、リアリティに対して自分が内省的吟味を加えやすくなる。もちろん共感覚を入れたということで、すでに自ら支配する変性意識下にいることにもなります。

 

●どんどんリアリティを増していく!

 この訓練をすれば、人口共感覚はできます。これがいいところは全て自分が生み出したリアリティ世界だから、リスクが少ない。この訓練を毎日やるだけでいい。

 逆に「明日何をやるべきか」「明後日何をするべきか」というのは、一切考えなくていい。大金持ちになるためには、「今日何をしなくてはいけない」とか考えてしまいそうですが、そんな必要は全然ありません。

 大金持ちになるのは一年後くらいにどうなっているかという結果、三年後くらいにどうなっているかという結果、五年後くらいにどうなっているかという結果のリアリティでしっかり共感覚で強く感じればいい。後は無意識の選択にまかせる。

 十年後は先過ぎます。五年くらいがいいでしょう。一年後、三年後、五年後くらいのゴールをリアルにします。

 「五年後ビル・ゲイツに勝った!」「三年後一部上場した!」「一年後マザーズの壇上に立った!」ぐらいでいいのです。

 それをリアルな姿ではっきりと思い描きます。まずは視覚情報、それから聴覚情報、味覚情報など全部。それを「マザーズの壇上に立ったときの祝いの花束の匂いはどうなんだろう?」、そして「マザーズの壇上に立ったときの花束の視覚情報を匂いに変えたらどうなんだろう?」というようにやるのです。

 また、祝賀パーティで出すミネラルウォーターの味を匂いに変えてみたり、皮膚感覚に変えてみたりするのです。

 画を味に変えたり、画を感触、体感に変える。それが共感覚的な感触。するとリアリティがどんどん増していきます。

 

Q-235につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-関連記事-

Q-159~:臨場感が薄れても高い抽象度のゴールをイメージし続けるのでしょうか?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_404758.html

 

 

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Q-233:「財布を娘に盗られた」といった被害妄想がでている老人に対して、どのように対応すればよいでしょうか? <vol.4:ユマニチュードの5つのステップ 前編>

 

 先日、認知症をテーマとした医療系の研修会で講演を行いました。コーチとして。

 私が取り上げたのは「認知機能の低下で情緒が不安定になり、環境に反応して起こる」とされている「BPSDBehavioral and Psychological Symptoms of Dementia、行動・心理症状)」。

 厚生労働省HPBPSD:認知症の行動・心理症状」

 s0521-3c_0006.pdf (mhlw.go.jp)

 

講演後に行われたシンポジウムで、大学教授からこのような御質問をいただきました。ありがとうございます。

 

Q:「スコトーマは医療の現場では『認知バイアス』として知られている」ということでしたが、とくに注意バイアスの話に思えました。

 認知症の患者さんでは、記憶障害のため財布などを見つけられない時に、「ここに置いたはず」→「娘が盗った」という被害妄想がおこりがちです。特に大切なものにバイアスがかかりやすいと思いますが、コーチング(コーチ)の視点では、「財布を娘に盗られた」といった被害妄想がでている老人に対してどのように対応すればよいでしょうか?

 

 回答を一般~コーチング実践者向けに再構成し、6回に分けてお届けします。

 vol.1:認知症の2つの症状>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27839838.html

 vol.2RAS&スコトーマと専門性の関係>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27881450.html

 vol.3:ユマニチュードの4つの柱>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27907680.html

 

A4:前回は「見る」「話す」「触れる」「立つ」というユマニチュードの4つの柱を紹介しました。今回は心をつかむ5つのステップ。それは1)出会いの準備、2)ケアの準備、3)知覚の凍結、4)感情の固定、5)再会の約束 です。

 

1)出会いの準備とは「自分が来たことを知らせ、“ケアの予告”をするプロセス」。具体的には ①3回ノック→②3秒待つ→③3回ノック→④3秒待つ→⑤1回ノックしてから部屋に入る→⑥ベッドボードをノックする とあります。

「相手の覚醒水準を徐々に高める効果がある」とされているこの過程を、苫米地式で読み解くと「共有」。共有とは「ある世界があってお互いがコミットすること」です。

わかりやすく言い換えると「相手の視点で世界を見る」「(相手に働きかけるという意識ではなく)相手そのものになる」ということ。これは変性意識導入の基本といえます。

Q-169~:自身の信念を失いないそうです

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_406747.html

 

 

 2)ケアの準備とは「ケアについて合意を得るプロセス」のこと。時間の目安は20秒~3分間。3分以内に合意を得られなければ、いったん諦めて出直します。実際には9割のケースにおいて、40秒以内にこのプロセスが完了するそうです。

 これは「無理強いはしない」「have to化を防ぎ、want toを引き出す」ということ。合意がないのに強引に押し進めるとpush-push backが働きます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882609.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882703.html

 

 このステップを実行することで攻撃的で破壊的な動作・行動(←BPSDの一症状)を83%減らせたという報告があります(European Union Geriatric Society annual meeting 2013)。

この事実は大脳辺縁系が優位になることで起こる「ファイト・オア・フライト」の回避を意味するはずです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8164566.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166289.html

 

 では、どうすれば合意を得られるのでしょう? そもそも合意とは何でしょう?

 

 そう、合意とは「ゴールの共有」のこと。先程の「ある世界があってお互いがコミットすること」の「ある世界」がゴールです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 実際のケアにおいては、まずはゴールが生みだすコンフォートゾーン(CZ)をクリアにすることが重要です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

その上で、介護側が常にCZを意識に上げながら、患者さんやその家族にしっかり体感してもらうことが「合意を得るプロセス」には欠かせません。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24281579.html

 

 

 3)知覚の連結はケアを実際に行う際の最も大切な部分で、2つのポイントがあります。

 〇「見る」「話す」「触れる」のうち2つ以上を行うこと

 〇五感から得られる情報は常に同じ意味を伝えること

 

 つまり、相手の視覚・聴覚・触覚のうち少なくとも2つ以上の感覚に「調和的でポジティブな情報」を入力し続けるということ。笑顔(視覚)と穏やかな声(聴覚)と優しい触れ方(触覚)の3つ(のうち最低2つ)を同時に行いながら、「ポジティブなメッセージを伝える」「ネガティブなメッセージは絶対に入れない」ことが知覚の連結です。

 

 このユマニチュードにおける知覚の連結を、私は「後天的共感覚生成」に通じるひとつの技法と捉えています。

 

ちなみに、共感覚は臨場感を高めるための重要なポイントです。

御承知のとおり、認知科学以降、現実とは(R)臨場感が一番高い(V)イメージのこと(I)です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html

 

 五感+言語という6つのモーダルチャンネル(←苫米地博士の造語、情報入力経路のこと)から入力された情報(部分)がポジティブなものであると、スムーズに「安心・安全」というゲシュタルト(全体)がつくられます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7383761.html

 

 それが先程の「ゴールが生みだすコンフォートゾーン」です。

 

 いったんポジティブなゲシュタルト/コンフォートゾーンができると、RAS&スコトーマの働きにより、患者さんはポジティブなものばかりを認識するようになります。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721658.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 医療・介護現場だけではなく、教育現場や家庭、そして職場においても、ユマニチュードにおける知覚の連結はとても重要だといえます。

(「5つのステップ」の続きは次回に)

 

 

最後に、苫米地博士の著書「洗脳護身術」(三才ブックス、開拓社より再販)より引用します。「共感覚」という概念を意識に上げながら読み進め、クリアなゲシュタルトを作りあげてください(connect the dots)。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628437.html

 

 

後天的共感覚の生成法

 呼吸による変性意識の生成ができるようになったら、次はマインドエンジニアリングする際に重要な技術「後天的共感覚生成」に挑戦していただこう。

 共感覚というのは、以前、山下篤子氏の訳書「共感覚者の驚くべき日常」などでも話題になった、先天的な感覚の性向である。本来の感覚とは別の感覚が伴う現象で、文字や音が色となって感じられたり、匂いに感触が付随したりする。例えば「ざらざら」という感触を音で感じたり、味や色や形で感じるのが「相乗り」しているような状態、これが共感覚だ。

 この感覚の持ち主は、十万人に一人の割合といわれている。実は、私もたまたま先天的な共感覚者で、いまだに小学校の音楽の先生の声が紫色でツルツルしていたとか、別の先生は銀色でとがった三角に見えたという記憶がある。

 共感覚になる原因は、視覚野や聴覚野などの情報処理器官が重なり合っている可能性が指摘されているが、詳しくはまだ解明されていない。

 さて、この共感覚。先程、先天的なものだと述べたが、実は誰でも練習すればある程度の共感覚を持てるようになる。これは私が、過去に洗脳護身術を指導してきた経験から分かったことだ。この共感覚は、相手の内部表現を操作するときに非常に役に立つ。相手が「見ている」「触れている」感覚を変性意識下で作り出せば、それを操作しやすくなる。また、共感覚をマスターすれば、数学やディベートといった複雑で抽象的な作業に役立ち、絶対音感覚も視覚的に体得できるようになるだろう。

 では、さっそく共感覚の生成法を解説していこう。ここでの共感覚の生成とは、「あらゆるものを視覚化する」ということだ。音、感情、命題、論理などすべてを視覚化するのである。そして、最終的には視覚化したものを触覚化できるようになっていただきたい。

 とりあえず、皆さんに練習してほしいのは、音の視覚化である。まずは、逆腹式呼吸を使って変性意識が生成する。それから座っている状態で聞こえる音を一つ一つ、心の中で列挙していく。すると色々な音が聞こえてくるはずだ。エアコンの音、外の喧騒、隣の部屋から聞こえる音楽。そして、聞こえる音の一つ一つに色や形、触感を付けていく。例えば、私は連休の旅先で、小さなノートパソコンで原稿を書いているのだが、ハードディスクが細かく無数に並べられた先のとがった鉛色の小さな三角形の上に、黄色いザラザラな布を被せた音を出していて、先程から気になっている

 最初はよく分からないだろうから、感じたままで結構だ。「このエアコンの音は、薄茶色の粒粒の形をしたザラザラした音だ」といった感じである。そしてそれを「薄茶色の粒粒の形をしたザラザラした音」として実際に見てほしい。変性意識が生成されていれば可能なはずだ。このように、周囲で聞こえる音を色や触覚、形などで見ていってほしい。匂いを加えると、さらに効果的だろう。

 次に感情を視覚化してみる。変性意識状態を維持したままで、目の前にいる人の顔から得られる感情を色や形、触覚で表現し、その人の顔に重ねて見るようにする。悪意のある感情は、どす黒く渦巻いた異臭感があるかもしれない。逆に優しく穏やかな顔の前には、滑らかな球形をした薄いピンクのボールが見えるかもしれない。我々はちょっとした表情の変化、目の動きから相手の感情を読み取ることができる進化した動物だ。ただ、相手の感情を操作するためには、視覚化、触覚化して操作しやすい状態に持っていかなくてはならない。このため、感情を共感覚的にとらえていく必要があるのだ。

 音の視覚化、感情の視覚化に成功したら、最後は気の視覚化に挑戦しよう。ここでは気という概念をあえて定義しない(詳細は第4章)。気功師が言及している「気」。そんなものが実際にあると考えるくらいでいいだろう。つまり、相手の感情状態のみならず、心身の健康状態を外部から感じられる気配のようなもの。これを気とする。

 とりあえずは、自分の手の指先をよく見て、そこから出ている気の色や形、触感を指の周りに表現してみてほしい。気功師のように気を出したり、信じたりする必要はない。もし、自分が中国の超人気功師のように気を出せたら、こんな感じだとイメージすればいいのだ。白く、煙のようにもやもやした感じだろうか。それとも、赤く燃え上がっているような感じだろうか。実際にあってもなくても、指の周りにそれが見えてくるまで練習していただきたい。

 以上の技術をマスターすれば、相手の内部表現を操作するとき、自分のイメージを見せるだけでなく、実際に触覚や味覚などのあらゆる感覚に臨場感を持たせることができるだろう。

 

Q-234につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

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-関連記事-

Q-159~:臨場感が薄れても高い抽象度のゴールをイメージし続けるのでしょうか?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_404758.html

 

 

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Q-232:「財布を娘に盗られた」といった被害妄想がでている老人に対して、どのように対応すればよいでしょうか? <vol.3:ユマニチュードの4つの柱>

 

 先日、認知症をテーマとした医療系の研修会で講演を行いました。コーチとして。

 私が取り上げたのは「認知機能の低下で情緒が不安定になり、環境に反応して起こる」とされている「BPSDBehavioral and Psychological Symptoms of Dementia、行動・心理症状)」。

 厚生労働省HPBPSD:認知症の行動・心理症状」

 s0521-3c_0006.pdf (mhlw.go.jp)

 

講演後に行われたシンポジウムで、大学教授からこのような御質問をいただきました。ありがとうございます。

 

Q:「スコトーマは医療の現場では『認知バイアス』として知られている」ということでしたが、とくに注意バイアスの話に思えました。

 認知症の患者さんでは、記憶障害のため財布などを見つけられない時に、「ここに置いたはず」→「娘が盗った」という被害妄想がおこりがちです。特に大切なものにバイアスがかかりやすいと思いますが、コーチング(コーチ)の視点では、「財布を娘に盗られた」といった被害妄想がでている老人に対してどのように対応すればよいでしょうか?

 

 回答を一般~コーチング実践者向けに再構成し、6回に分けてお届けします。

 vol.1:認知症の2つの症状>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27839838.html

 vol.2RAS&スコトーマと専門性の関係>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27881450.html

 

A3実際に新たなブレークスルーは医学や医療のど真ん中とは違うところで起こったりします。例えば「被害妄想がでている老人に対しての対応」といった課題(case)への解決(plan)も。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html

 

 その一例として御紹介するのは「ユマニチュード(Humanitude)」。フランスのイヴ・ジネストとロゼット・マレスコッティの二人によりつくりだされたケアの技法です。二人はもともとは体育の教師だそう。腰痛の予防や対策をお願いされたことをきっかけに介護の世界に飛び込んだそうです。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 私はユマニチュードに精通しているわけではありませんが、情報を集めゲシュタルト化する過程で重要な気づきを得ました。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628437.html

 

 以下、ユマニチュードについて紹介しながら、苫米地式認定コーチとして解説します。

 

 

 ユマニチュードには「見る」「話す」「触れる」「立つ」という4つの柱があります。

 

そのうちの「見る」「話す」「触れる」は介護者側の視点。ひとつ抽象度を上げてまとめると「関心を持つ(示す)」です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 関心の対象は、もちろん、介護される患者さんです。

 その“患者さん”とは、「今、ここ」という物理空間上の実在(instance)だけではなく、生まれてから今に至るまでの人生全体のこと。さらには、情報空間にひろがる関係性(自我)すべてのことです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html

 

その全体に「関心を持つ(示す)」ことが重要です。

 

 *情報空間(およびその底面である物理空間)はこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

 エリ・ヴィーゼルの言葉を借りると、生の反対は死ではなく、生と死の間(にあるもの)への無関心です。関心が存在(生)を生みだしているといえます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24767587.html

 

 

 4つ目の「立つ」は患者さん側の視点。

「立つ」ことにはたくさんのメリットがあります。例えば「骨粗鬆症を防ぐ(骨・関節)」「筋力低下を防ぐ(骨格筋)」「血液循環を改善する(循環器)」「肺の容積を増やす(呼吸器)」など。しかしながら、ユマニチュードが重視しているのは、そのような身体面ばかりではありません。

 

最大のポイントは「尊厳」。心、つまり情報空間でのメリットです。

私が学んだ書籍には「『立たせる』『歩かせる』という技術だけを信じてはいけない。『誰のために?』『何のために?』『どこに向かって?』という目的がなければ人は歩けない」と書かれていました。

これは「ゴールが重要である」ということ。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 その考えは「ゴールが先(Goal comes 1st.)」というコーチングの祖 ルー・タイスさんの教えと通じます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8583393.html

 

Q-233につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

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-追記-

 ユマニチュードには「見る」「話す」「触れる」「立つ」という4つの柱があります

 

 「見る」について補足します。ユマニチュードにおける「見る」とはアイコンタクトのこと。それを「視線をつかみにいく」と表現しており、具体的には0.5秒以上のアイコンタクトが必要だとしています(目があったら2秒以内に話しかける)。

 

「えっ、たった0.5秒だけ」と思いませんでしたか?

私たちは意外に目を見つめていません。とくに最近の医療の現場は忙しい上に電子化されており、患者さんの方はまったく見ずにモニターを凝視しながら診察 なんてことも珍しくはないようです。

同様に、日常の生活においても、目を合わせる機会が少なくなっているのではないでしょうか。

(反対に目がしっかり合ってしまうと気まずくなりますよねw

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882652.html

 

 人間にとって、本来、アイコンタクトはとても重要のものです。

生後2~5日の新生児でもアイコンタクトに反応することが確認されています。それは「集団で生きていく仕組み」であり、「人を人たらしめる能力」ともいわれています。

 さらに、日本人とフィンランド人を比較した研究により、その文化背景に関わらず、正面からアイコンタクトをとると覚醒度や注意力が高まることが明らかになっています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/11294790.html

 

さらにアイコンタクトを続けると、“秘密の力”が覚醒するかもしれません。

イタリア ウルビーノ大学の心理学者 ジョバンニ・カプート氏らは「アイコンタクトが意識の変容をもたらす」という研究結果を発表しています。

 そういえば苫米地博士の著書にも人の目がデザインされているものがあります。その本とは「洗脳原論」。きっと読みはじめる前から(手に取った瞬間から)「洗脳」する仕掛けなのでしょう。

 

 冗談はさておき、私はクライアントさんに「まずはしっかり見る/観る」ことを勧めます。見る/観るものは「情報空間にひろがる関係性(自我)すべて」。それは自分自身とのアイコンタクトといえます。

 S-04-24~26:「鏡の中の自分に微笑みかけること」の本当の意味

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23983088.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24057099.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24116667.html

 

 そして、それは「抽象度が高い世界に臨場感を感じる秘訣」でもあります。

Q-159~:臨場感が薄れても高い抽象度のゴールをイメージし続けるのでしょうか?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_404758.html

 

 

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Q-073~180804医療講演会レポート

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L-001~20201月シークレットレクチャー

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_407080.html

 

 

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Q-231:「財布を娘に盗られた」といった被害妄想がでている老人に対して、どのように対応すればよいでしょうか? <vol.2RAS&スコトーマと専門性の関係>

 

 先日、認知症をテーマとした医療系の研修会で講演を行いました。コーチとして。

 私が取り上げたのは「認知機能の低下で情緒が不安定になり、環境に反応して起こる」とされている「BPSDBehavioral and Psychological Symptoms of Dementia、行動・心理症状)」。

 厚生労働省HPBPSD:認知症の行動・心理症状」

 s0521-3c_0006.pdf (mhlw.go.jp)

 

講演後に行われたシンポジウムで、大学教授からこのような御質問をいただきました。ありがとうございます。

 

Q:「スコトーマは医療の現場では『認知バイアス』として知られている」ということでしたが、とくに注意バイアスの話に思えました。

 認知症の患者さんでは、記憶障害のため財布などを見つけられない時に、「ここに置いたはず」→「娘が盗った」という被害妄想がおこりがちです。特に大切なものにバイアスがかかりやすいと思いますが、コーチング(コーチ)の視点では、「財布を娘に盗られた」といった被害妄想がでている老人に対してどのように対応すればよいでしょうか?

 

 回答を一般~コーチング実践者向けに再構成し、6回に分けてお届けします。

 vol.1:認知症の2つの症状>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27839838.html

 

A2Wikipediaには「認知バイアス(cognitive bias)とは、認知心理学や社会心理学での様々な観察者効果の一種であり、非常に基本的な統計学的な誤り、社会帰属の誤り、記憶の誤り(虚偽記憶)など人間が犯しやすい問題である」と書かれています。

 関連する概念として「確証バイアス」「リスキーシフト」「コンコルド効果」「錯誤相関」「一貫性バイアス」「自己中心性バイアス」「感情バイアス」「熱い認知/冷たい認知」「事前確率無視」「フレーミング効果」「アンカリング」「自己奉仕バイアス」「投影バイアス」「外集団同質性バイアス」「後知恵バイアス」「確証バイアス」「根本的な帰属の誤り」「正常性バイアス」「生存者バイアス」などが挙げられています。

 

 ↑これらの「関連する概念」は、すべて抽象度が下がる方向性です。情報量を増やし細分化していくことが“専門性”といえます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

教授が「認知バイアス→注意バイアス」と抽象度を下げたことは、専門家(研究者)としてのブリーフのあらわれのはず。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

 そのブリーフが「RASを規定し、スコトーマを生みだす」ということが、まさに私が(とくにシンポジウムで)お伝えしたかったことです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721658.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 スコトーマを生みだす/外すポイントは3つ。1)知識、2)重要性、3)役割 です。

 知識が増えるほどスコトーマは外れやすくなりますが、一方でその知識が新たなスコトーマを生みだします。

 

その事実に人類は古くから気づいていました(=スコトーマが外れていた)。例えば、ギリシャの哲学者 ソクラテス(紀元前469~紀元前399年)は「無知の知」と表現し、中国の孔子(紀元前552or551~紀元前479年)は「知之為知之 不知為不知 是知也」と語っています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/19879896.html

 

 ところが、それから2500年も経つというのに、現代人の多くは「必ずスコトーマが生じる」という事実を実感していません。Wiki.に書かれている「人間が犯しやすい問題」という表現が不完全性を前提にしていないのなら、その象徴といえます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6194669.html

 

さらにいうと私たち現代人は、どんどん増え続ける情報量によって、ますます“大切な何か”を見失っています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

 

 「情報量が増える」「細分化する」ことでかえって全体が見えなくなってしまうことを、「木を見て森を見ず」「森を見て山を見ず」と言い表したりします。それらの言葉が示しているのは「ゲシュタルトの重要性」です。

 ゲシュタルトとは「全体性を持ったまとまりのある構造」「部分と全体の双方向の関係性」のこと。先ほどの例えでいえば「木:部分<森:全体」「森:部分<山:全体」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 

 ちなみに、「AB」は「AよりBの方が抽象度が高い」という意味でもあります。

あるゲシュタルトと別のゲシュタルトを統合し「より大きなひとつのまとまり(新たなゲシュタルト)」を作りあげたとき(connect the dots)、スコトーマが外れ、理解がより深まります。抽象度が上がるから。
 その時、きっとひらめきを得るでしょう。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7383761.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628437.html

 

 医療というdotとコーチングというdotconnectする

 

 

 医療とコーチングを包摂した新たな次元をイメージしながら(feel!)、当日の講演やシンポジウムで話をさせていただきました。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14120540.html

 

 実際に新たなブレークスルーは医学や医療のど真ん中とは違うところで起こったりします。例えば「被害妄想がでている老人に対しての対応」といった課題(case)への解決(plan)も。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html

 

 次回は「被害妄想がでている老人に対してどのように対応すればよいでしょうか?」への回答として、医療・介護現場でひろがりつつある“ある技法”を紹介し、苫米地式認定コーチとして解説します。

 

Q-232につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-追記-

「情報量が増える」「細分化する」ことでかえって全体が見えなくなってしまうことを、「木を見て森を見ず」「森を見て山を見ず」と言い表したりします。それらの言葉が示しているのは「ゲシュタルトの重要性」です

 

 「木」「森」「山」などの概念そのものがひとつのゲシュタルト。それらを「ある」と思ってしまうことで重大なスコトーマが生じます。繰り返しますが、Wiki.に「人間が犯しやすい問題」と書かれていることは、その象徴のはずです。

 F-171:アンチ(anti)からウィズ(with)、そして vol.4-3「死」;well-aging

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24786250.html

 

 

-関連記事-

F-129~The Sweet Hello, The Sweet Goodbye

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_396235.html

F-163~:アンチ(anti)からウィズ(with)、そしてウェル(well)へ

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_404044.html

F-176~:“幸福(well-being)”とは? ~antiwithwellpart

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_408326.html

 

 

Q-230:「財布を娘に盗られた」といった被害妄想がでている老人に対して、どのように対応すればよいでしょうか? <vol.1:認知症の2つの症状>

 

 先日、認知症をテーマとした医療系の研修会で講演を行いました。コーチとして。

 私が取り上げたのは「認知機能の低下で情緒が不安定になり、環境に反応して起こる」とされているBPSDBehavioral and Psychological Symptoms of Dementia、認知症に伴う行動・心理症状)。

 厚生労働省HPBPSD:認知症の行動・心理症状」

 s0521-3c_0006.pdf (mhlw.go.jp)

 

講演の内容を簡単に紹介すると、

1)BPSDに関係するコーチング用語(スコトーマ、ブリーフシステム、認知的不協和)について説明した後、

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882652.html

 

 2)BPSDの根底にあるとされる「情緒が不安定」を考察し、

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8164566.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166289.html

 

 3)具体的対策の提案を行いました。1つ目が「和顔愛語」の実践、2つ目がゴール設定&共有です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/11294790.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 ちなみに、現代ディベート論理「トゥールミンロジック」でいうと、2)が問題提起(ケースサイド)、3)が解決提案(プランサイド)です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6194585.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html

 

 最後は、認知症を発症しながらも社会に機能を提供し続けた医師を紹介しました。認知症に関わる誰もが知る第一人者が自らの認知症体験を通して後進に伝えたかったことに思いを馳せながら。

 F-032:ある医師の勇気に触れて学んだこと ~○○○→思考→言葉→行動→習慣→性格→運命→○○→~

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/9366814.html

 

 

 では、本題に入ります。

講演後に行われたシンポジウムで、大学教授からこのような御質問をいただきました。ありがとうございます。

 

Q:「スコトーマは医療の現場では『認知バイアス』として知られている」ということでしたが、とくに注意バイアスの話に思えました。

 認知症の患者さんでは、記憶障害のため財布などを見つけられない時に、「ここに置いたはず」→「娘が盗った」という被害妄想がおこりがちです。特に大切なものにバイアスがかかりやすいと思いますが、コーチング(コーチ)の視点では、「財布を娘に盗られた」といった被害妄想がでている老人に対してどのように対応すればよいでしょうか?

 

 回答を一般~コーチング実践者向けに再構成し、6回に分けてお届けします。

 

A1:まずは「認知症」について確認しましょう。

 

 認知症の症状の中心は「認知機能の低下」です。

具体的には「記憶するのが苦手になる」「時間・場所・人の認識があいまいになる」「物事の手順に戸惑う」「会計や計算が苦手になる」など。それらの症状は徐々に進行していきます。

 

症状や脳の変化により、下記の4つのタイプに大別されます。

 

 □アルツハイマー型認知症(ADAlzheimer disease

・認知症全体の6割で最多

 ・記憶を司る海馬(かいば)を中心に脳が萎縮

 ・「記憶があいまい」「同じことを何度も言う」「もの忘れ」など

 

 □血管性認知症(VaDvascular dementia

 ・脳出血や脳梗塞により脳の神経細胞がダメージを受ける

 ・認知機能低下+「歩行が不安定」「呂律が回らない」「むせる」

 ・リハビリや会話・歩行が効果的

 

 □レビー小体型認知症(DLBdementia with Lewy bodies

 ・「レビー小体」が脳の広範囲に溜まる

 ・認知機能が変動する(オン/オフ)

 ・認知機能低下+「幻視」「ひどい寝ぼけ」「筋肉がこわばる」「手足が震える」

 

 □前頭側頭型認知症(FTDfrontotemporal dementia

 ・「理性的な行動ができない」「人への配慮ができない」「ルールを守れない」

 ・同じ行動を繰り返し、万引きなどの反社会的な行動があらわれる

 ・家族だけでは対処が難しいため、早めの公的介入が重要

 

 じつは認知機能低下の程度と介護負担は必ずしも相関しません。むしろ、介護者の負担に直結するのはBPSDの方です。具体的には「情緒が不安定になる」「妄想で人を責める」「声を荒げる」「暴言・暴力がみられる」「無気力になる」「睡眠リズムが乱れる」など。

 これらの症状は「認知機能の低下で苦手なことが増えたことにより、精神的に追い込まれて起こる」と考えられています。

 

 「苦手が増えた」はセルフイメージの低下を引き起こします。「これまでの私と今の私」、あるいは「理想(期待)と現実」との間に生じたギャップはエネルギーを生みだします。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25090742.html

 

 セルフイメージの低下はコンフォートゾーンを下向きに外れた状態と同じです。落ち着かなくなり、動物的な大脳辺縁系の方が人間的な思考を司る前頭葉前頭前野よりも優位になりやすくなります。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

大脳辺縁系優位になると、生じたエネルギーが攻撃(暴言・暴力、他責)や逃避(閉じこもり、治療・介護の拒否)に使われます。それが「ファイト・オア・フライト」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27521647.html

 

 

 次に、認知機能の低下やBPSDへの一般的な対処をケース別に紹介します。心がけるべきこと(〇)とNG行為(×)です。

 

 □時間・場所・人の認識があいまい(認知機能低下)

 〇:「朝ごはんですよ」や「冬で寒さが厳しいですね」など、時間や季節がわかるように声掛けする

 〇:カレンダーや時計を見やすいところに置いておく

 〇:間違いを責めない

 ×:「昨日どこに行ったか覚えている?」など試す

  ポイント:エフィカシーを絶対に下げない

  https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5616012.html

 

 □物事の手順に戸惑っている(認知機能低下)

 〇:「次はこうしたらどうでしょう」など、命令をせずに提案を行う

 〇:「○○をお願いします」「一緒に○○をしましょう」など、見守りながら役割を提案し、さりげなくサポートする

 ×:失敗を非難する。注意する

  ポイント:have toを避け、want toを引き出す

  https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882609.html

 

 □情緒が不安定(BPSD

 〇:原因から引き離す(介護者も距離を置く)

 〇:視線を合わせて(和顔施・眼施)、ゆっくりわかりやすく話す

  https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/11142143.html

 〇:共感を示す

  https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24425213.html

 ×:否定や非難を行う

  ポイント:関わる人たちの情緒が安定していること。その最大の秘訣はゴール設定!

 

 □妄想状態で人を責める(BPSD

 〇:まずは話を聞き、否定しない

 〇:一緒に行動し、同じ時間を過ごす(苫米地式で言い換えると「場の共有」)

  https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5165888.html

 ×:妄想と決めつける(疑う、無視する)

  ポイント:本人にとって一番臨場感が高い(V)イメージ(I)が現実(R

  https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html

 

 

 今回は医師>コーチとして書きました。次回からは医師<コーチとして、そして最後は100%コーチとして回答します。

 

Q-231につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

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Q-177~:家族ががんで治療中です。どうすればいいでしょうか?

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F-032:ある医師の勇気に触れて学んだこと ~○○○→思考→言葉→行動→習慣→性格→運命→○○→~

 

  思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから

  言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから

  行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから

  習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから

  性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから

 

Be careful of your thoughts, for your thoughts become your words

Be careful of your words, for your words become your deeds

Be careful of your deeds, for your deeds become your habits

Be careful of your habits, for your habits become your character

Be careful of your character, for your character becomes your destiny.

 

上記の言葉はマザーテレサの言葉だとされています。

ネットで調べると、同じ言葉が1977年のテキサスの新聞に載っているようです。その中ではBi-Lo Storesというスーパーマーケットの幹部 Frank Outlaw氏による言葉とされています。

似たような表現は1856年まで遡ることができるそうで、どうやらマザーテレサがオリジナルではないようです。

 

 

 ところで、勇気とは何でしょうか?

 上記の言葉を教えていただいたのとちょうど同じ頃に、勇気について考えさせられる機会がありました。

 

 文春オンラインで、「認知症医療第一人者が語る『みずから認知症になってわかったこと』」という記事が配信されました(201856日)。

 https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180506-00007221-bunshun-life

 

 記事中の「認知症医療の第一人者」とは、精神科医の長谷川和夫先生(89)です。

長谷川先生は1974年に認知症診断に用いられる「長谷川式簡易知能評価スケール」を公表されました。現在も改訂版が医療・介護の現場で用いられています(HDS-R)。医療・介護に関わる人で知らない人はいないと言えるほど有名な検査法です。

 

 その開発者であり、認知症ケア職の人材育成にも尽力されてきた長谷川先生は、昨年10月の講演で自らが認知症であることを明かされました。そして、文春の取材にも応じたのです。

 

 私はこの記事を読んで驚きました。そして「もし私だったら、公表するだろうか?」と自問しながら、同時に「なぜ長谷川先生は認知症を患っていることをわざわざ公表されたのだろうか?」と思いめぐらしました。

 冒頭の引用文でいえば、「『カミングアウト』という“行動”のもとになった“言葉”、そしてその“言葉”のもととなる“思考”は一体何なのだろうか?」という問いです。

 

 認知症ケアで長谷川先生が大切にされてきたものは「パーソン・センタード・ケア」という考え方だそうです。それは「認知症の人を中心に考える」という理念で、イギリスのトム・キットウッドという臨床心理士が提唱したものです。

 

「『認知症の人と自分とは同じだ』と同じ目線に立ち、従来のケアに加えて『その人らしさ』を尊重する。その性格を形成していく背景を粘り強く推し量り、『その人らしさ』を理解して、お互いに代えがたい存在であることを認め合う。認知症ケアには、そんな姿勢が求められると思います」と語られる長谷川先生は、「私は、こうした日本の認知症ケアを、世界に広めていくべきだと考えています」と話されています。

 

さらには「『認知症の人の心は、私の心と同じ。あの人も私と同じように楽しみたい、幸せになりたいと思っているんだ』という気持ちをもって、本人に接してみる。こうして、認知症になっても安心して暮らせる社会をつくっていくことが、これからの日本に求められることではないでしょうか」と理想の社会について語り、「私はいま、子どもたちに認知症のことを理解してもらうための絵本を作りたいと考えています」と未来への働きかけについてまで語られています。

 

どうやら長谷川先生の一連の言動のもととなる“思考”は、「よりよい社会、よりよい未来を実現したい」というゴールから生まれているようです。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5615935.html

 

 ゴールは“現状の外”に設定するものです。

 通常、“現状の外”はスコトーマの中にあり認識することさえできず、そこに向かうことはコンフォートゾーンを飛びだすことであるため大きな葛藤を伴います。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5721610.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6040892.html

 

 その葛藤を克服し、挑戦を継続させる力が「勇気」だと私は思っています。

 

 勇気はゴール設定の結果であり、“思考”を助けるものです。

 「ゴールが先、認識は後」 by Lou Tice

 

 認知症の第一人者が自らの認知症を公表する姿にコーチングマインドを感じた私は、不意に冒頭の言葉を書き直してみたいと思いました。

 

  ゴールに気をつけなさい、それがあなたの思考になるから

思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから

  言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから

  行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから

  習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから

  性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから

  運命に気をつけなさい、それが世界を変える力となるから(革命!)

 

  Be careful of your goals, for your goals become your thoughts

Be careful of your thoughts, for your thoughts become your words

Be careful of your words, for your words become your deeds

Be careful of your deeds, for your deeds become your habits

Be careful of your habits, for your habits become your character

Be careful of your character, for your character becomes your destiny.

  Be careful of your destiny, for your destiny changes the worldrevolution!).

 

 ある医師の勇気に触れて私が学び得たものは、「ゴール→思考→言葉→行動→習慣→性格→運命→革命→新たなゴール」という抽象度の階梯を駆け上がるサイクルのイメージでした。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/cat_123517.html

 

 

苫米地式認定コーチ                        

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

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