F-359:自由訳「OODA」
<vol.5;コーチとして感じる「OODAループ」の正体>
「OODA(ウーダ)」という概念を御存知でしょうか?
Wikipediaで「OODA」を検索すると、「OODAループ(OODA Loop)」にjumpします。
そこには「意思決定と行動に関する理論」とあり、「元々は軍事行動における指揮官の意思決定を対象としていたが、後にこれに留まらず、官民を問わずあらゆる個人の生活、人生ならびに組織経営等において生起する競争・紛争等に生き残り、打ち勝ち、さらに反映していくためのドクトリン、そして創造的行動哲学となった」と書かれています。
OODAループ
Wikipediaより引用
苫米地式認定コーチとして、「OODA」について自由に考えてみました。
vol.1;Observe
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34753761.html
vol.2;Orient
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34805412.html
vol.3;Decide
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34856133.html
vol.4;Act
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34906708.html
vol.5;コーチとして感じる「OODAループ」の正体
「OODAループ」とは、ゴールの世界(w2)に向かう強烈なホメオスタシスフィードバックであり、ゴールを縁に起こる新たなゲシュタルト化である
…それが苫米地式認定コーチとしての私の「OODA」の考察です。
以前お伝えしたとおり(F-356/vol.2)、「OODAループ」の提唱者である米国空軍 ジョン・ボイド大佐は、2つ目の「O:Orient」のことを“ビッグO”と称してとくに重要視していたそう。その本質は「抽象度が上がる」「抽象度を上げる」ことです。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html
その「抽象度が上がる」はゴールに向かう変化。つまり、ゴールが先です。
それをコーチングの祖
ルー・タイスさんは、「Goal comes 1st.」と表現しました。
L-095:2021年7月シークレットレクチャー
-07;ブリーフシステムを変更する方法
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30622243.html
ゴールの世界(w2)の臨場感が高まると、そこにホメオスタシスが働くようになります。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html
その過程で「Observe」「Orient」「Decide」「Act」という各ゲシュタルトは統合され、ひとつの「OODA」となります。それが「ゴールを縁に起こる新たなゲシュタルト化」。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7383761.html
コーチとしてあらためて「OODA」を考えると、ゴール(設定)という観点では確かに「O:Orient」が重要ですが、ゴール達成のためには3つ目の「D:Decide」が最も重要だと感じられます。その感覚は、コーチングというよりは、むしろリーダーシップに近いのかもしれません。
F-293:今日1日だけは、憧れるのはやめましょう vol.6;リーダーシップの本質
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31524022.html
「D:Decide」とは意思決定のこと。別の言い方でいうと「選択」です。無限にひろがる可能世界からたった1つを選びだす選択。完全な自由意思による選択です。
Q-379:自分を下に引き戻そうとする意識が働くことがあります… <前編;case-side>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34636842.html
世間で飛び交う言葉を分析すると、「未来の選択に対する不安」か「過去の選択に関する不満(あるいは後悔)」が多いように感じられます。状況は多岐にわたり、事情も様々ですが、抽象度を上げて考えると、その原因は一点に収束します。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12808542.html
以下、苫米地博士の著書「洗脳力」(アスコム、p53)より、5回に分けて引用します(青字)。「選択に対する不安や不満(後悔)」の原因について思索しながら読み進めてください。Feel!
あなたの現在の「選択」こそがベストである
過去に捉われてしまう人のパターンの一つに、どうしても過去に自分がした選択が間違っていたのではないか、あるいはもっといい選択があったのではないかと悩んでしまうというものがあります。私のクラスを受講しにくる人のなかにも、こうしたパターンで悩んでしまう人が意外に多いのに驚きます。
「あのとき、別の会社に就職していたら、今ごろはもっといい人生を歩めていたかもしれない」
「あのとき、別の学校を受験していたら、今よりもっといい就職ができていたかもしれない」
「あのとき、あの人と別れていなければ、今ごろはもっと幸せになっていたかもしれない」
人生に選択はつきものです。そして、選択によってなんらかの縁起が生まれますから、それが未来の縁起に影響を与えることもあるでしょう(ただし、過去が未来を決めるのではない以上、選択の結果が未来であるということにはなりません)。
ここではっきりさせておきたいことは、過去の選択を振り返って、「もしあのとき別の選択をしていたら」と考えることはまったくナンセンスであり、その時点であなたがベストだと思ってした結果であるならば絶対にそれがベストであり、それ以上にいい選択はない、ということです。
「そんなこと言ったって、先生、もしあのとき、彼の告白を拒否しないで受け入れて、彼とつきあっていたら、今ごろはとても幸せな日々を送っていたかもしれません。今年はクリスマスも一人きりでとても寂しかったんですから」
こんなふうに言われても答えは簡単です。
「でも、あなたはそのとき、彼とつきあわないという選択がベストだと判断したわけでしょう。だったら、それがベストでしょう。そういう選択をする理由がしっかりあったのでしょうし、もしつきあっていたとしても、彼がろくでもない浮気者で今ごろあなたはいつも彼の浮気に悩まされているかもしれませんよ。もっと言えば、彼が結婚詐欺師か何かで、今ごろ大金を騙し取られていたかもしれませんし、猟奇的なサディストであなたに命の危険が迫ったかもしれません。それに比べたら、あなたの賢明な選択のおかげでとにかく無事に過ごせているわけですから、よかったじゃないですか」
そんな荒唐無稽な仮定じゃ意味がないと思いますか。でも、「今ごろはとても幸せな日々を送っていたかもしれない」という仮定と「猟奇的なサディストで命の危険が迫ったかもしれない」という仮定とどちらが荒唐無稽かという比較は不可能です。どちらもまったく根拠のない仮定ですから、どちらも同じくらい荒唐無稽なのです。
過去の選択について悩む人は、必ず別の選択をしただろう架空の自分を現実の自分よりもいいものと考えます。「あのとき、別の選択をしていたらもっとひどい目に遭っていただろう」とは考えません。
でも、実際にはそんな選択をした自分などどこにもいません。だから、今よりもいい状態になっているなんてことはわかるはずがないのです。いもしない自分と比較すること自体が無意味です。だって、そんなことをしても絶対に勝てるはずがないからです。
自分で勝手に幻想を作り上げて、しかもその幻想は今の自分よりも必ずいいものになる。勝てるはずのない幻想をいつまでも持ち続けても、いい未来などやってくるはずがありません。あなたがした選択は唯一であり、唯一である以上、それはベストなのです。
引用終わり
その時点であなたがベストだと思ってした結果であるならば絶対にそれがベストであり、それ以上にいい選択はない
…過去はどんどん離れていきます。その過去を「O:Observe」し続けるのは時間の無駄です。それこそが「OO-OO-OOスタック」。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html
前々回(F-357/vol.3)の説明だけなら、「OO-OO-OOスタック」は「D:Decide」の前段階でのエラーに感じられるはず。
ところが、その解釈は正しくありません。「OO-OO-OOスタック」とは、「過去を『O:Observe』し続ける」という“現在”の選択である「D:Decide」の結果です。
Q-319:速いスピードで移動… <vol.1:「時間」は人間の意識が作り上げた幻想>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31680099.html
つまり、「D:Decide」が「因」で、「OO-OO-OOスタック」が「果」。これがコーチング的な因果関係であり、縁起によるシンの因果関係です。
Q-318:今、逃げましたよね? <後編;相手の世界に想像を働かせて、その因果関係をイメージする>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31641663.html
以下、先ほどの引用の続きです。
「先生、そうは言っても、選択のときにあまり考えないで選んでいるので、ベストの選択をしていないかもしれないんですよ」
こういう人は本来の意味での選択をしていない人です。人生において頭を使うことを放棄しているわけですから、はっきり言って動物以下でしょう。だらだらと考え続けて決断できないのはよくないですが、よく考えもせずにいい加減に答えを出すのは論外です。
選択することは「縁」が生まれることです。過去の選択という「縁」すなわち関係が生まれることによって、現在という刹那が起こります。これが「縁起」です。
引用終わり
選択することは「縁」が生まれることです。過去の選択という「縁」すなわち関係が生まれることによって、現在という刹那が起こります。これが「縁起」です
…この部分をコーチングのフレームで言い直すと、
選択=ゴール設定をすることは「縁」=ゴール側の世界(w2 ←ゴール側のコンフォートゾーン)が生まれること。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html
つまり、コーチングとは、新たな縁起を生みだす取り組みだといえます。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html
誤解のないように言っておきますが、「縁起」と一般に言われている「因果」は、違うものです。選択が「因」(原因)となって現在という「果」(結果)が生まれるのではありません。
過去の選択による因果で現在があると考えると、「因」によってオートマチックに「果」が生じることになってしまいます。つまり、一度選択をしたら、自動的に未来が一つに決まってしまうことになります。そんなことはあり得ません。選択によって未来が自動的に決まってしまうなどと考えるから、世にはびこるインチキ占い師やニセ宗教に騙されてしまうのです。未来とは縁起による無限の可能性のことですから、決まっている一つの未来が見えるなどという占い師は全員インチキ以外の何者でもありません。「今これをしないと地獄に落ちる」とか「このツボを買えば救われる」などというインチキに騙されてはいけません。
引用終わり
未来とは縁起による無限の可能性のこと
…その未来に対して、ゴール設定を通じて働きかけるのがコーチング。縁起による無限の可能性(一念三千)から、自ら望む現実を選びだし構築していく(一期一会)ことがコーチングです。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23177616.html
もちろん、その現実とは「仮」であることを承知の上で。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353367.html
存在も出来事もすべて縁起。“自分”とは、自分以外のいろいろなものとの関係のつなぎ目です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html
よって、ゴールの基本条件のひとつである「自分中心を捨て去る」をクリアしていくほど、自分と世界(宇宙)は一体化していきます。
L-165:2022年01月シークレットレクチャー
-09;「自分中心を捨て去る」とは…
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34392486.html
過去の選択は「縁」であり、「縁」は別のたくさんの「縁」と結びつき合って「起」を起します。そして、現在いう刹那はすぐに過去となり、その評価・解釈は未来が行うことになります。だから、未来が「因」で過去が「果」なのです。
引用終わり
過去の選択は「縁」であり、「縁」は別のたくさんの「縁」と結びつき合って「起」を起します
…選択は人生における大切な縁を生みだす行為なので、必ず自分自身でベストと思う選択をするべきです。徹底的に思考して。
それが「自己責任」ということです。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22669112.html
以下、最後の引用です。
存在も出来事も縁起です。自分以外のいろいろなものとの関係のつなぎ目なのです。選択は人生における大切な縁を生み出す行為ですから、必ず自分自身でベストと思う選択をしてください。自分がベストだと思ってした選択なら、それはベストですから、別の選択肢を比較の対象とせず、過去は振り返らずに、未来を向いて進んでほしいと思います。
引用終わり
選択は人生における大切な縁を生み出す行為ですから、必ず自分自身でベストと思う選択をしてください
…さて、「未来の選択に対する不安」や「過去の選択に関する不満(あるいは後悔)」の原因が一点に収束することが感じられたでしょうか?
そう、ゴールを自分自身の自由意思で決めていないから。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html
一言でいうと… 不自由。
多くの人は自分の人生を生きていません。ほとんどが「無人運転」、よくて「自動運転」のまま。
F-089~:無人運転と自動運転の違い ~シーサイドライン逆走に思う~
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_369873.html
それは生きていないのと同じです。
(その理由はこちら↓)
L-119:2021年9月シークレット… -07;人間だから持つことができる強大な生命力
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32215001.html
「OODAループ」とは、ゴールの世界(w2)に向かう強烈なホメオスタシスフィードバックであり、ゴールを縁に起こる新たなゲシュタルト化である
…これが真であるのなら、「OODAループ」は生命現象の一つのあらわれといえるはず。それは現状の外にゴールを設定することで解き放たれる生命力そのもの!
じっくり「OODA」と向き合いながら、コーチ兼ヒーラーとして、そのようなことを考えました。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14120540.html
(F-360につづく)
苫米地式コーチング認定コーチ
苫米地式認定マスターヒーラー
CoacH T(タケハラクニオ)
-告知1-
今年度のオンラインセミナーは、コーチング募集開始前の「コーチング説明会」として開催します。
次回は2024年8月25日(日)13:30~15:00の予定。オンラインでのライブ講義に加え、30日間限定の配信も行います。詳細はこちらで御確認ください↓
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34761055.html
-告知2-
クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。
一緒に楽しみましょう!
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html
-関連記事-
F-294~:苫米地式次世代リーダーシップ
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_425234.html
F-303:芸術は高抽象度の未知なるLUB。では、コーチングは?
<vol.5;芸術とコーチング(Authentic Coaching)とリーダーシップに共通する境地>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32078054.html
F-348~:“MJ” ~縁起宇宙(w1)再構築!~
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_428154.html
F-353:“覚醒”の夏に向けて習得! 苫米地式「オーセンティック・コーチング」
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34650757.html
L-088:2021年3月シークレットレクチャー -11;コンセプチュアル・フローに隠された“秘密”
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30266822.html
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