F-247:「ゴール」と「現状の自我」の間に臨場感という橋を架ける <vol.4;木鶏(ワーク付き)>

 

 

 アートとは、才能によるもの。

 アーティストの才能とは、自分が強烈につくりたいもので、人に影響を与えるということ。

 それは笑いだったり、笑顔だったり、感情をつくりだす、人を感動させるストーリーテリングです。

 

 

 この言葉は、今(20225月下旬)話題の“あの人”のもの。

 その意味をコーチとして考えてみました。

 (シリーズの最後で誰の言葉かを明かします。想像しながらお読みくださいw

 

 vol.1;臨場感

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28857122.html

 vol.2;双極性障害

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28916956.html

 vol.3;高揚(興奮)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28968302.html

 vol.4;木鶏

 

 

 興奮の度合いは、臨場感が高ければ高いほど大きくなる

 

臨場感が高ければ高いほど(V)現実化しやすくなる(R)一方で、「興奮の度合い」が大きくなりコントロールを失うと現実化が困難になっていきます。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html

 

 その問題(case)を解決する(plan)のがコーチング(Authentic Coaching)。鍵は、やはり、「抽象度」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html

 

 *抽象度はこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 

 ところで、「木鶏(もっけい)」という言葉を御存知でしょうか?

 

 木鶏とは、「荘子(達生篇)」に収められている故事に由来する言葉です。

「荘子」は荘子(荘周、紀元前369年~紀元前286年頃)という人物の著書とされる道家の文献のこと。今から約2300年前、中国戦国時代(周から秦の間)の書物です。

 

 以下、Wikipediaより引用します。

 木鶏 - Wikipedia

 

 木鶏(もっけい)とは、荘子(達生篇)に収められている故事に由来する言葉で、木彫りの鶏のように全く動じない闘鶏における最強の状態をさす。

 故事では紀悄子という鶏を育てる名人が登場し、王からの下問に答える形式で最強の鶏について説明する。

 紀悄子に鶏を預けた王は、10日ほど経過した時点で仕上がり具合について下問する。すると紀悄子は、「まだ空威張りして闘争心があるからいけません」と答える。

 更に10日ほど経過して再度王が下問すると「まだいけません。他の闘鶏の声や姿を見ただけでいきり立ってしまいます」と答える。

 更に10日経過したが、「目を怒らせて己の強さを誇示しているから話になりません」と答える。

 さらに10日経過して王が下問すると、「もう良いでしょう。他の闘鶏が鳴いても、全く相手にしません。まるで木鶏のように泰然自若としています。その徳の前に、かなう闘鶏はいないでしょう」と答えた。

 上記の故事で荘子は道に則した人物の隠喩として木鶏を描いており、真人(道を体得した人物)は他者に惑わされること無く、鎮座しているだけで衆人の範となるとしている。

 

 

 この故事中の変化を抜きだすと、1)空威張り・闘争心剥きだし → 2)他を見たらいきり立つ → 3)強さを誇示 → 4)泰然自若。それぞれコーチの視点で解説します。

 

 1)空威張り・闘争心剥きだし:つねに大脳辺縁系優位の「ファイト・オア・フライト」の状態。前回(F-246)の話題でいうと、ドーパミンやアドレナリンがいっぱい出てすっかり高揚(興奮)してしまい、交感神経優位となっている状態です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8164566.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166289.html

 

 高揚(興奮)自体が悪いわけではありませんが、コントロールを失うと危険。扁桃体によって感情(情動)が増幅され、どんどんエスカレートしていきます。同時に前頭前野の働きは抑制され、IQが下がり、抽象度が高い社会的情動(感性)レベルどころか、あたりまえの論理的思考すらできなくなります。

PM-06-11:仮説06)二つの「怒り」とその間にある論理的思考

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14107083.html

 

 *論理的思考についてはこちら↓

 S-01~:よりよい“議論”のために(目次)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/11613757.html

 

 2)他を見たらいきり立つ:ふだんは前頭前野優位で落ち着いた思考をしているが、何かをきっかけ(トリガー)に容易に大脳辺縁系優位に切り替わる状態。まわりには「人が変わった」ように感じられます。その後は1)の状態です。

 

 ちなみに、まわりが「人が変わった」と感じるときは、実際に認識・理解・評価・判断の基準が変わっています。“基準”とはブリーフシステムのこと。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

 その結果、RAS&スコトーマが変化し、本人にとっても「まわり」「世界」が変わって感じられます。その時視野は狭くなっており、「自分さえよければ」といった利己的な意識状態に陥っています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721658.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 3)強さを誇示:大脳辺縁系優位に陥ることはなく、つねに前頭前野優位を維持できている状態。しかし、その前頭前野の使い方に問題(harm)があるという段階です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12808495.html

 

 問題の根本(内因性、inherency)にあるのは差別意識(のハズ)。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12808542.html

 

例えば、「強い方が偉い」「1位の方がすごい」のような、「何らかの評価基準を前提とした上下関係における上からの見下し」といった偏見のこと。

PM-06-13:仮説08)はびこる差別意識

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14249741.html

 

 差別意識をうみだすものは「不完全性」の無理解。不完全性を理解していない(できない)本質的な原因は縁起を理解(&体得)できていないことです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6194669.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 *詳しくはこちらをどうぞ↓

 S-04~:さぁ「人間関係の悩みを克服する旅!」をはじめよう!(目次)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22305802.html

 

 4)泰然自若米国の心理学者 アブラハム・マズロー(Abraham Harold Maslow1908~1970年)が唱えた「欲求階層説」「自己実現理論」でいうと、「自己実現」の階層から「自己超越」に至る段階。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/9963845.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/9966391.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10116950.html

 

 泰然自若とは「落ち着いていて、まったく動じない状態」のこと。私は「自己超越=徳(泰然自若)=空観」と理解しました。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353367.html

 

 

臨場感が高ければ高いほど(V)現実化しやすくなる(R)一方で、「興奮の度合い」が大きくなりコントロールを失うと現実化が困難になっていきます。その問題(課題)を解決するために、「現状の外へのゴール設定を繰り返しながら抽象度の階梯を駆け上がり、自己実現→超越を目指す」。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

それが高揚(興奮)から「ファイト・オア・フライト」化してしまうことを防ぐポイント。コーチングにより誰もが「木鶏」へと近づいていくことができます

 

 それでいいのでしょうか?

 もちろん「木鶏」は大間違いです。もしも「木鶏」で留まるなら、そのコーチングは本物(Authentic)とはいえません。

 

 最後にワークを紹介します。重要なワークですので、ぜひ取り組んでください。気楽にw

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/19980130.html

 

<ワーク>

本物のコーチング(Authentic Coaching)をイメージしながら、「木鶏」に潜む問題点を感じる(Don’t think, feel!)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14120540.html

 

F-248につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

-追記1

 ワークに関連する米国映画「ユニバーサル・ソルジャー / Universal Soldier」(1992年)を紹介します。「破壊王」ローランド・エメリッヒの初監督作で、ジャン=クロード・ヴァン・ダムとドルフ・ラングレンが主演。ストーリーはこんな感じです。

 ベトナム戦争後半、錯乱した上官を制止しようとした主人公は相討ちとなり死亡。その遺体は米軍に回収され、25年後、極秘裏の実験によりユニバーサル・ソルジャーとして蘇る

 蘇った姿はまさに「木鶏」です。

 

 

-追記2

差別意識をうみだすものは「不完全性」の無理解。不完全性を理解していない(できない)本質的な原因は縁起を理解(&体得)できていないことです

 

 苫米地博士の著書「オーセンティック・コーチング ~本物のコーチング~」から2回に分けて引用します(p74~)。苫米地式コーチングにおける「縁起の理解と体得」のポジションを確認してください。

 

 

 ◎スピリチュアリティのゴールの大切さ

 もうひとつ、キリスト教圏で生まれたコーチングらしい「社会貢献」のカテゴリーとして「スピリチュアリティ」があります。

 これはカトリシズムのような博愛主義をベースとしたもので、宗教という枠組みの中での人格形成であったり、霊性や精神性をいかに上げていくのかがゴール設定の際に重要になってきます。

 事実、敬虔なクリスチャンであったルー・タイスはキリスト教的な人格をいかに高度化していくかというゴールを持っていましたし、そのゴールに向かう力が世界の数々の紛争をおさめてきた原動力にもなっていました。

 キリスト経がそれほど根付いていない日本で「スピリチュアリティ」を実行するとすれば、仏教の枠組みの中で考えることになるでしょう。いかに悟りに近づいていくかが日本人に理解しやすい「スピリチュアリティ」ではないかと思います。

 引用終わり(F-248につづく)

 

 

-告知1

 2022年度のオンラインセミナー(全12回)を企画しました。

メインテーマは「夢が勝手にかなうマインドセット(“Matrix”)の構築 ~ReloadRevolution」。詳細はこちらでどうぞ↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28274321.html

  

 第4回目(R4.7/24開催)のテーマは「ラポール」。詳しくはこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29009685.html

 

 

-告知2

 クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。

一緒に楽しみましょう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html

 

 

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