F-389:“心身の不調”の一考察 ~苫米地式コーチング認定コーチとして~
<vol.5;すべての病気は〇〇〇〇である>
はじめに(F-385/vol.1)、私が医師として経験した<ケース>を紹介しました。
私が感じた本質的課題(case)は「ゴールがない」こと。
Q-358:止められてもやりたいゴールが見つかりません
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33485940.html
その根治的解決法(plan)は、もちろん、「ゴールを設定し、ゴールに向かって生きる」ことです。そのプロセス中に、人は「『宇宙に対して果たす機能』がわからない」というスピリチュアルペインを克服していきます。
L-122:2021年11月医療・介護研修… -03;ゴールがスピリチュアルペインを解決する
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32663640.html
ゴールを設定し、ゴールに向かって生きる
…その間に起こること(起こすべきこと)を、コーチとして考察します。
vol.1;本質的課題と根治的解決法
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36235572.html
vol.2;動物の本能から生じる情動
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36282736.html
vol.3;満たされない承認欲求が「かまってちゃん」を生みだす
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36325746.html
vol.4;新しいエスティームのfirst step
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36367342.html
vol.5;すべての病気は〇〇〇〇である
エフィカシーは「ゴール達成能力」の評価ですので、ゴールを設定しないことには高めようがありません。ところが、ゴールは、エフィカシーが高くないとなかなか設定することができません。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html
では、どうすればいいのでしょう?
“心身の不調”を抱えるような人に対して、まわりはどのように接すればいいのでしょう?
前回(F-388)お伝えしたとおり、私が思う「かまってちゃん」の特徴は、1)とことん自分中心、2)まわりへの配慮が乏しい、3)過去へのこだわりが異常に強い、4)あくまでも被害者(まわりへ迷惑をかけている=加害者側であることを決して認めない)、そして5)社会常識に欠ける …という感じ。
この中でまずあらためるべきなのが、「自分中心」という感覚。
L-101:2021年8月シークレットレクチャー
-03;自分中心を捨て去る=解放
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31210545.html
もっと厳密にいうと、自と他を分別する「自分」という幻想を捨て去る
…ことです。
L-092:2021年7月シークレット… -04;わたしたちは共同幻想の中に生きている
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30558230.html
そもそも「自分(=自我)」とは、「部分関数」であり、「評価関数(重要性関数)」のこと。
「部分関数」とは、ある集合を切り分けて取りだす関数のことです。例えば、「偶数」というのは、「自然数」という集合から「2で割り切れる数」を取りだす関数であると見なせます。このとき「2で割り切れない数」=奇数が残ります。よって、「奇数」の方も同時に定義できてしまうことになります。
同様に、自我とは、宇宙を「自分」と「自分以外」に切り分ける関数のこと。よって、「自分がわかると、宇宙がわかる」。それが部分関数です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html
「評価関数(重要性関数)」については、自己紹介を考えるとわかりやすいはず。皆さんはどのような自己紹介をしますか?
私の場合、「職業はコーチと医師を…」「子どもは3人いて…」「映画好きで、とくにSTAR
WARSが…」「生まれも育ちも鹿児島で…」などという感じ。それは自分にとって重要な(あるいは関係性が深い)順に宇宙を並べ替えることといえます。その並べ替え関数が「評価関数(重要性関数)」です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html
蛇足ですが、宇宙に対する評価関数のことを、コーチングでは「コンフォートゾーン(Comfort Zone、CZ)」と表現します。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html
いずれにせよ、自分(自我)は、独立して存在してはいません。必ず何かとのつながり(関係性)の中で定義されます。その事実を体感を伴って理解するたびに、自分という存在(の感覚)がどんどんひろがっていきます。例えば、→家族
→学校や会社 →地域 →市区町村 →都道府県 →日本 →世界 →宇宙 →未来 …というように。
F-210:広がりゆく存在の意識 ~2021年秋の重要度の変化を俯瞰して~
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27184497.html
その自我の拡張のことを、晩年のマズローは「自己超越(Self-transcendence)」と表現しました。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10116950.html
前々回(F-387/vol.3)まとめたとおり、米国の心理学者 アブラハム・マズロー(Abraham Harold Maslow、1908~1970年)は、「人間は自己実現に向けて絶えず成長する生き物である」と仮定し、人間の欲求を五段階の階層で理論化しました。下位より 1.生理的欲求(Physiological needs)、2.安全の欲求(Safety needs)、3.所属と愛の欲求(Social needs/Love and belonging)、4.承認(尊重)の欲求(Esteem)、5.自己実現の欲求(Self-actualization)です。
欲求階層説(自己実現理論)
Wikipediaより引用
そして、晩年に「自己超越(Self-transcendence)」を付け加えました。
「自己実現の欲求」を満たして、個人としての同一性(アイデンティティー)が完成すると、さらには個を超越したもの(例えば、他者や共同体、人類、生態系、宇宙…など)との一体感、同一性を確立することを目指すようになる …というのです。
苫米地博士の表現でいうと、それは「超人脳の獲得」。
F-289:今日1日だけは、憧れるのはやめましょう vol.2;超人脳
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31299309.html
マズローは自己超越のレベルに達している人(Transcenders)の特徴として、「統合された意識を持つ」「落ち着いていて、瞑想的な認知をする」「他者の不幸に罪悪感を抱く」「謙虚である」「多視点的な思考ができる」などを挙げています。
そうしたイメージは「抽象度の高い思考ができる人」とピッタリ重なります。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html
最初にお伝えしたとおり、取り上げた<ケース>の本質的課題は「ゴールがない」こと。そして、その根治的解決法は「ゴールを設定し、ゴールに向かって生きる」ことです。
L-069:2020年11月シークレットレクチャー -04;ゴールこそがコーチングのすべて
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29018262.html
ゴールのポイントは 1)現状の外、2)心から望む、3)人生のあらゆる領域(バランスホイール)、そして4)自分中心を捨て去る の4つ。
L-162:2022年01月シークレットレクチャー
-06;ゴールを見つける近道
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34301571.html
バランスホイール全体に気を配り続けていると、自然と一つ高い視点を獲得することができます。抽象度が上がるから。
Q-376:バランスホイールはクライアントが書き込んでコーチに見せるものなのですか。バランスホイールの内容について、コーチはどこまで口を出していいものなのでしょうか?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34542064.html
さらに、自分中心を捨て去る=「自分」の定義を拡張する ことに取り組み続けると、「自」と「他」を包摂する境地に至ります。それが「自分中心を捨て去る」であり、「自己超越」です。
L-165:2022年01月シークレットレクチャー
-09;「自分中心を捨て去る」とは…
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34392486.html
その「自己超越」の境地は、「自分のゴールの凄さを自ら誇る」という新しいエスティーム(Esteem)を高め、そしてエフィカシー(Efficacy)を高めます。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5616012.html
だから、まずはゴール(らしきものでOK)を設定し、動きだすこと。そして、ゴール(未来)を見据えて、過去は一切関係なしで、行動し続けること
…それがエスティーム&エフィカシーを高めるシンプルなポイントであり、コーチングのコアであるはず。
Q-218:わりとすぐに達成できそうなゴールを設定してもよいですか?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27405307.html
最後に、苫米地博士の著書「『頭のゴミ』を捨てれば、脳は一瞬で目覚める!」(徳間書店、開拓社から再販、p38)より引用します。抽象度を上げることの重要性を感じてください。Feel!
抽象度を上げれば心の傷は早く癒える
右のような話は精神医学の世界ではよく知られていることです。
病気というものをどうとらえるかに関して、「すべての病気は自己表現である」と私は考えています。
例えば、風邪の頭痛や発熱は「体を休めろ」という自分自身に対する表現であると同時に、それは他人に対しての「もっと大事にしてほしい」「もう少し休ませてほしい」という自己表現でもあると考えられます。
心の傷がトラウマとなって病気の症状を引き起こすのも、心の傷を他人に表現したいという、無意識の自己表現であると考えることができます。
この場合、例えばトラウマを持つ人が、寝ているときに大声で叫んで目を覚ますことがあります。叫ぶのは同じ家で寝ている人に対する自己表現であると考えられます。
そのような人も、「家族が安眠できることが大事だ」と気がつけば症状は治まるでしょう。つまり、病気の症状という苦しさを抱えながらも抽象度を上げ、自己中心的でなくなれば、心の傷はもはやトラウマではなくなり、病の症状は消えるのです。
心の傷に左右されるかどうかは、あなたが「自分中心をやめられるかどうか」「自分の側にも理由があると考えられるかどうか」で変わります。心に傷を負っても、「自分にも非がある」「お互い様」と受け止めるなら、その傷は必ず癒えていきます。
さらに言えば、心が傷つく出来事が起きたときに、「全部相手が悪い」と他人を責めるだけの人は抽象度が低い人です。反対に「自分にも責任がある」と考えられる人はある程度、抽象度が高い人です。抽象度が上がるほど、視界の中にたくさんの他人が入るからです。
抽象度を上げれば、心の傷を負っているのは自分だけでなく、誰もが心の傷を抱えて生きていることが分かります。
例えば上司から理不尽な怒られ方をしても、怒る上司の側の事情に思いがいきます。上司をイライラさせている会社の体制の問題にも目がいきます。
抽象度を上げることで、私たちは自分中心であることから解放されます。
心を傷つけられることがあっても、その感情の乱れに振り回されることがなくなるのです。
引用終わり
(F-390につづく)
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