Q-380自分を下に引き戻そうとする意識が働くことがあります。どうすればいいでしょうか? <後編;plan-side

 

御質問をいただきました。ありがとうございます。

 その一部に関して、2回に分けて回答いたします。前編がケースサイド、後編がプランサイドです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html

 

 *前編はこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34636842.html

 

 

Q:高い抽象度で超情報場にいる感覚にいると、自分を下に引き戻そうとする意識が働くことがあります。どうすればいいでしょうか?

 

A2:自分を縛り続ける「感情(emotions)」を意識に上げることはできたでしょうか?

 Q-279~:今までRASとスコトーマは「認識しているものの中から何を選ぶか?」という話だと思っていました

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_422026.html

 

 どんな感情(情動)を感じましたか?

 

 

 「不安」「恐怖」「怒り」「悲しみ」「後悔」「不満」など、人を低い抽象度に縛り続ける感情(情動)は多種多様です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 その時の状況や意識状態により、支配的な感情(情動)も違うはず。「何かをきっかけ(トリガー)に、一瞬で変わってしまう(アンカー)」のが私たちのマインドだといえます。

 F-158:無我夢中 <前編>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23944294.html

 

 そんな感情(情動)の中でも、とくに「自分を下に引き戻そうとする意識が働く」という場合に気をつけるべきなのが劣等感。

 

心の中に「劣等感」はありませんか?

 

呼吸を整えながら、再度、止観を行ってください。

L-166202201月シークレット… -10;呼吸を意識に上げてコントロールするワーク

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34408574.html

 

 

 ところで、「不安」「恐怖」や「後悔」などの感情と「劣等感」には決定的な違いがあります。「劣等感」はきわめて特殊な感情なのです。その違いとは何でしょう?

 

以下、苫米地博士の著書「『感情』の解剖図鑑」(誠文堂新光社、p60)より、2回に分けて引用(青字)します。「劣等感」をしっかりゲシュタルト化してください。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 

 

劣等感は、社会によって埋め込まれる感情

 ほかの動物と同様、人間の感情の多くも、生まれつき、脳にプログラミングされています。「不安」や「後悔」など人間独自の感情の場合は、前頭前野で複雑な情報処理が行われますが、やはり生まれながらにして持っている感情がベースとなっています。

 しかし劣等感には、そのような生物学的根拠はありません。実は劣等感は、人が成長する過程で社会によって埋め込まれる、きわめて特殊な感情なのです。

 劣等感が「社会によって埋め込まれた感情」であることは、「人がどのようなときに劣等感を抱くか」を考えれば、おわかりいただけるでしょう。

 たとえば、試験の成績がクラスで最下位だったら、多くの人は劣等感を抱くでしょう。あるいは「クラスで一人だけが逆上がりができない」「周りの友人より収入が少ない」「太っている」といったことに、劣等感を抱く人もいるかもしれません。しかし、もし「成績がいい方が偉い」「逆上がりができて当たり前」「収入が多い方が恵まれている」「痩せている方が美しい」といった価値観が社会になかったら、あるいは自分がそうした価値観を受け入れていなかったら、人は単に「自分がクラスでビリだった」「自分は逆上がりができない」などと思うだけで、劣等感を抱いたりはしないはずです。

 つまり劣等感は、「こちらの方が偉い(恵まれている)」「このくらいはできて(持っていて)当たり前」といった、社会が定めた何らかの価値観があり、さらにそれを人が受け入れたとき、初めて生まれるものなのです。

 引用終わり

 

 

 劣等感は、人が成長する過程で社会によって埋め込まれる、きわめて特殊な感情

 

 コーチとして関わる人たちに対して、私は「劣等感を克服すること」の重要性を伝えます。そのとき、「劣等感はありません。全然大丈夫です」といった反応をされる方がいらっしゃいます。その多くは“重要なこと”がスコトーマに隠れています。それが何かわかりますか?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 そう、ブリーフシステム(Belief SystemBS)について。

 博士が書かれている「社会が定めた何らかの価値観があり、さらにそれを人が受け入れたとき、初めて生まれる」とは、まさにBSのこと。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

 私たちは、そうとは気付いていないだけで、じつに様々な価値観や約束事を受け入れています。その刷り込みで作られた重要度の重み付けを使って世界を認識しているのです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html

 

 実際、「劣等感はない」と断言する人のほとんどが「優越感」を抱いています。この場合の「優越感」は狭義のエスティーム(Esteem)に相当するもので、コーチングで重要視するエフィカシー(Efficacy)とは異なります。その違いは?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5616012.html

 

 両者の違いとは、「ある序列が存在していること」を前提としているかどうか。

 

 「序列」を前提としているものが(狭義の)エスティームで、前提としていないものがエフィカシー。

 (狭義の)エスティームは「自分の社会的な地位に対する自己評価」であるのに対して、エフィカシーは「自分のゴール達成能力の自己評価」。前者は何かのモノサシを用いた相対的評価ですが、後者は完全に自己評価です。

 (「エスティームの新しい解釈」はこちら↓)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28693339.html

 

 以下、先ほどの引用文の続きです(p61

 

 

劣等感は、人々をコントロールするための装置である

 人間が社会を形成すると、そこには必ずピラミッドができ、頂点に権力が生まれます。そして、さまざまな価値基準を定め、人々に劣等感を植え付けるのは、ピラミッドの頂点にいる権力者たちです。

 彼らが定めた価値基準は、家庭や学校での教育、メディアなどによって、世の中に浸透していきます。人は、親や教師から「成績が悪いのは恥ずかしいことだ」と言われたり、メディアから「痩せている人は美しい」というメッセージを受け取ったりすることで、ある一定の価値基準に、どんどん「洗脳」されていくのです。

 権力者たちは劣等感を利用して、社会を効率よく運営しています。

 「劣等感を抱きたくない」と思えば、人はその価値基準の中で少しでも上に上がれるよう、一生懸命勉強したり働いたり、消費したりするようになります。

 また、ある価値基準に沿って人に優劣をつけることで、人々が団結して権力に対抗したりするのを防ぐこともできます。

 劣等感は、人々の行動をコントロールするうえで、非常に都合のいい装置なのです。

 引用終わり

 

 

 高い抽象度で超情報場にいる感覚にいる」というとき、そこに「その価値基準の中で少しでも上に上がりたい」という思いはないでしょうか?

 

 もしもあるのなら、ゴール自体が間違っています。現状の中だから。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 現状の中にゴールを設定してしまうと、自分を縛っている価値観から抜け出せなくなります。「社会の価値観」だけではありません。苫米地博士は「刷り込まれてきた考え方や価値観」の代表として、「3つのモノサシ」を挙げられています。

 F-241:トレーニングは「昨日の自分を超えていく自己確認」

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28695996.html

 

 

 以上より、「どうすればいいでしょうか?」に対する私の解決(plan)は

 

1)自分を縛るもの(ex. 情動や価値観)をつねにモニタリングして、

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32969294.html

 

 2)「すべての価値基準は幻想である」としっかり認識しながら =空観、

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353367.html

 

 3)現状の外にゴールを設定(再設定)し =仮観、

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27497249.html

 

 4)「自分には、そのゴールを達成できる力がある」と自己評価しながら、目の前の世界に向き合い続ける =ラベリング

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31421939.html

 

 

 以上、私の回答です。

 御質問ありがとうございました。

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

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