Q-263:コーチングは弱った人を対象とする臨床心理や精神医療の世界にはなじまないのだろうか?
<vol.5;「『老病死(+生で四苦)』を理解し克服する」ために>
医療関係者より御質問をいただきました。ありがとうございます。
その一部に回答いたします。
(変更を加えています)
Q:コーチングについて、ある医学誌に「健康度や問題意識が高く、自ら向上したいというエネルギーが充実している当事者の場合には適応になるかもしれないが、弱った人を対象とする臨床心理や精神医療の世界にはなじまない手法である」と書かれていました。
タケハラコーチはどのように思われますか?
vol.1;自我から離れ、高い抽象度で物事を捉える技術
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28742699.html
vol.2;肯定的立場で(affirmative)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28786054.html
vol.3;否定的立場で(negative)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28812088.html
vol.4;ケース&プラン
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28852840.html
vol.5;「『老病死(+生で四苦)』を理解し克服する」ために
まずは医療・介護現場にコーチング(Authentic Coaching)がひろがり、誰もがゴールを見つけスピリチュアルペインを克服している。すると、老病死(+生で四苦)が縁でコーチングを実践しはじめた人たちがどんどん生命エネルギーをとりもどし、人生(世界)を輝かせ、社会全体および未来が豊かになっていく
…苫米地博士に学びながら、私はそのようなビジョンに向かっています。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html
…御質問への今回の回答は「そもそも論」。それは根源的なレベルでの課題発見であり(ケース)、より抽象度の高い次元での問題解決です(プラン)。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html
*抽象度はこちら↓
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html
先に解決(結論)を言えば、「『老病死(+生で四苦)』を理解し克服する」。
じつは、四苦の克服そのものが、「抽象度を上げる」ことの因であり果であるといえます。双方向の縁起です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html
*縁起について、こちらもどうぞ↓
Q-204~:「縁起」と「因果」
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_413308.html
「生老病死」という四苦を理解するためには、「生」「老」「病」、そして「死」をそれぞれゲシュタルト化し、より高次の抽象度次元で「生老病死(四苦)」とひとつに統合(connect the dots)する必要があります。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7383761.html
その統合=ゲシュタルト再構築が行なわれると、理解がさらに深まり、“意味”がわかります。ゴールとのつながりがはっきりと感じられるはずです。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628437.html
では、具体的に考えていきましょう。
「健康でありたい」や「美しくありたい」という願うことは自然なことです。でも、それは原始的な欲望のあらわれであり、強力な煩悩です。その証拠に、健康や美容はお金と強く結びつき、巨大産業化しています。
そこには「他人の視点」や「社会の価値観」がたっぷりと刷り込まれており、誰もが「仮想の自分」を追い求めているはずです。そんな「3つのモノサシ」は「刷り込まれてきた考え方や価値観」の代表です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28695996.html
マズローの欲求階層説(自己実現理論)で考えると、多くが最下層の「生理的欲求(Physiological needs)」レベルだったりします。高くても「承認欲求(Esteem)」レベルでしょう。その上の「自己実現欲求(Self-actualization)」や「自己超越欲求(Self-transcendence)」ではありません。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/9963845.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/9966391.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10116950.html
認知科学者 苫米地英人博士は、この「欲求階層説」について、「人間の欲求が、最も抽象度の低い物理空間(脳幹レベルの欲求)から、しだいに抽象度の高い情報空間(前頭葉レベルの欲求)へと段階的に上がっていくことを説明したものだ」とコメントされています。
その「抽象度の変化」そのものが、じつは「健康」と大きく関係します。
そもそも「健康」とは何でしょう?
…WHO的には「身体的に、精神的に、社会的に、そしてスピリチュアルに、完全に幸福な(満たされた、良好な)状態」のこと。単に「病気がない」とか、「弱っていない」ということではありません。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7859675.html
このWHO的「健康」には、少なくとも3つのスコトーマが潜んでいます↓
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7859828.html
それに対して、苫米地理論における「健康」とは、「そのときの自分の状況にとって正常な状態」。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7859896.html
その「状況」や「正常」を決めるものがゴール。あくまで未来側からの判断です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html
ここで苫米地博士の著書「脳に免疫力をつければ病気にならない!」(徳間書店)から引用します(p2~)。博士が行間に込められたメッセージ(気)を感じてください。Don’t
think, feel!
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14120540.html
もちろん、健康でありたい、美しくありたいと思う気持ちを私は否定しません。そのために努力することも悪くはないでしょう。
誰もが健康になりたい、やせて美しくなりたいと思っていて、メディアはその欲望をくすぐるさまざまな健康法を次々と紹介します。「健康市場」「健康産業」という言い方があるように、健康や美容にまつわる市場は日々拡大しており、その規模は2兆円ともいわれています。
それなのに、健康ブームをあおる人たちは本当のことを決して言っていないように、私には思えるのです。
それが何だか分りますか?
それは健康も病気も、あなたの体はすべて脳に支配されているということ。
健康を考えるにあたって、大事なのは脳だということです。
ご存じの方も多いかもしれませんが、私はアメリカのイエール大学、カーネギーメロン大学やハーバード大学附属病院との共同研究などで機能脳科学、認知科学、計算言語学などの研究を行ってきました。その中で私が特に注目しつづけたのは、脳における情報処理が体に圧倒的な影響を与えることでした。
たとえば、病気の患者さんには「呼吸が苦しい」「体が痛い」などの物理レベルのリアリティがあります。しかし、医師たちから「痛みはすぐになくなります」「必ずよくなりますよ」と診断され、患者自身も「必ずよくなる」という情報にリアリティを感じると、医学的な所見では回復の見こみがないと診断された患者さんでも、めきめきと回復することがあります。また反対に、回復が見込めるはずの患者さんでも「自分はもうダメだ」と思った場合には、病状がどんどん悪化してしまいます。
つまり、「よくなる」「悪くなる」「自分は健康だ」「病気だ」など、自分の体に関して述べられるどんな情報にリアリティを感じているか、つまり、脳で情報をどのように処理しているかによって、体の状態が明らかに変わるのです。
これは、聞き慣れない読者にとっては眉唾に感じられるかもしれません。「思うだけで体調が変わるなんて、おかしなことを言う」と思っている方も多いでしょう。
しかし、これまでの私の本を一度でも読んだことがある人ならご存じのはずですが、認知科学の理論では不思議なことでも何でもありません。
脳は頭蓋骨の中におさまっていて、外界と触れることがありません。脳にとっては「どういう情報が入力されるか」がすべてです。
その入力される情報の中でも、人間は物理レベルのリアリティ(殴られた、腫瘍ができた等)より情報レベルのリアリティ(悲しい、痛い、負けたくない、治りたい等)に強く影響されます。
私が多数の著書で解説してきた洗脳がその典型的な例です。
私は大学で人工現実生成に関する研究を行っていましたが、被験者を催眠状態にして「君は目が見えないよ」と暗示をかけると、被験者は「先生、どうしよう!? 目が見えません!」といいながら、私が立っている場所をちゃんと迂回して部屋を歩きます。実際には目が見えているのに、「君は目が見えない」という情報を脳が処理しているため、「見えているのに、見えていない」という反応を体が示しているのです。
こうした知見を医療の現場で活用してもらうため、私は長年、医師や看護師などの医療従事者に対してメディカル・コーチングの指導を行っています。それらのセッションでは、本書で詳しく解説する「情報空間のエネルギーを使って患者のリアリティを書き換え、治療に活かす技術」を教えています。
引用終わり
物理的身体はマインド(脳と心)での情報処理の結果。抽象度を軸とした場合の情報空間の底面(=物理空間)への写像です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html
「脳と心」は同じもの。同じもの(マインド)の抽象度の違いです。「脳」のことを高次の情報空間では「心」と呼び、「心」のことを物理空間(情報空間の底面)では「脳」というだけのこと。
生命(現象)はすべての抽象度次元にシームレスに存在しています。
PMⅠ-01-11~17:超情報場仮説(理論)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5165789.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5165823.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5165888.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5306380.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5306438.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5306445.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5445932.html
その理解と実践が「情報空間のエネルギーを使って患者のリアリティを書き換え、治療に活かす」ことを可能にします。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html
それが、私がコーチング(Authentic Coaching)を勧める理由のひとつです。
(Q-264につづく)
苫米地式コーチング認定コーチ
苫米地式認定マスターヒーラー
CoacH T(タケハラクニオ)
-追記-
超情報場理論(仮説)について、こちらもどうぞ↓
Q-219~:ゴールに対するスケジュールはたてますか?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_415812.html
-告知1-
2022年度のオンラインセミナー(全12回)を企画しました。
メインテーマは「夢が勝手にかなうマインドセット(“Matrix”)の構築 ~Reload&Revolution~」。詳細はこちらでどうぞ↓
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28274321.html
第3回目(R4.6/19開催)のテーマは「ゴール」。詳細はこちら↓
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28683163.html
-告知2-
クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。
一緒に楽しみましょう!
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html
-関連記事-
PMⅠ-04~:苫米地理論で見える医療・福祉現場のスコトーマ(目次)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13076878.html
F-196:コーチとして考える「ウォーミングアップ」と「クーリングダウン」
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26364639.html
F-237~:「出口が見えない」と「出口戦略」
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Q-064:認知的不協和の状態にあり頭痛が続いています。適切なアファメーション、ビジュアライゼーションはどうすればよいでしょうか?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_292583.html
Q-167:自分を苦しめているのは記憶です。過去に苦しめられていることを感じています。コーチングで変化を実感しますか?
<プチワーク付き>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24320549.html
Q-191:ヒーリングとコーチングの関係がよくわかりません
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25482691.html
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