F-185:「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」との縁で気づいたこと -02;コロナ虚弱(フレイル)

 

 今まで私は「感染症」は物理空間、すなわち「身体的苦痛」がメインであり、その対処は主として物理空間で行われるべきと考えていました。例えば「どの抗菌薬を、どのくらい使うか」といった具体的な対処を重視するというように。

 ところが、昨今の「新型コロナ感染症(COVID-19)」にまつわる状況を考察するうちに、今までとは違う考えに至りました。スコトーマが外れたのです。

 これから3つの視点でまとめます。ぜひ「抽象度」や「超情報場仮説(理論)」等を意識に上げながら読み進め、これまでのゲシュタルトをconnectしてください。

新たな気づき(発見)のきっかけになれることを願っています。

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 01;抽象度&超情報場理論

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 02;コロナ虚弱(フレイル)

 

 「フレイル(frail)」という言葉を御存知でしょうか?

 

 「フレイル診療ガイド2018年度版」にこのように記載されています。

 □フレイルとは「加齢に伴う予備能力低下のため、ストレスに対する回復力が低下した状態」を“frailty”の日本語訳として日本老年医学会が提唱した用語である.

 □フレイルは、要介護状態に至る前段階として位置づけられるが、身体的脆弱性のみならず精神心理的脆弱性や社会的脆弱性などの多面的な問題を抱えやすく、自立障害や死亡を含む健康障害を招きやすいハイリスク状態を意味する.

 厚生労働省保険局高齢者医療課「高齢者の特性を踏まえた保険事業ガイドライン 別冊参考資料」(H30329日)

 0000201985.pdf (mhlw.go.jp)

 

 抽象度を上げてシンプルに表現すると、フレイルとは「要介護手前の虚弱な状態」です。

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その虚弱な状態とは、筋力低下のような物理空間での「身体的脆弱性」だけではなく、ストレスに起因するうつ病といった「精神心理的虚弱性」や経済的困窮といった「社会的虚弱性」など、情報空間上の問題(課題)も含んでいます。

ガイドラインには「多面的な問題」と記載されていますが、抽象度を念頭に「多次元的な問題」と捉えるべきでしょう。

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 英バーミンガム大学の研究チームが12カ国計5700人のコロナ患者を調査した研究により、「深刻なフレイル状態の患者は、そうでない患者に比べ、死亡率が3倍高い」「回復しても、従来以上の介護が必要になるケースが7倍に増える」ということが判明しました。

 苫米地博士が提唱されている「超情報場仮説(理論)」を踏まえると、「多次元にわたる問題(課題)が、写像として情報空間の底面(物理空間)に結実している」と理解することができます。

 (超情報場仮説はこちら↓)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5165789.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5165823.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5165888.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5306380.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5306438.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5306445.html

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 因果を考えるならば、因は高次元にあります。高次の因が下の次元で果としてあらわれ、その果はさらに下位の次元での因になっているという関係です。

人で例えるなら、青年(若者)世代が「因」で壮年(中年)世代が「果」、その壮年(中年)世代の「果」は老年(老人)世代の「因」になっているということ。未来から過去への時間の流れと合わせて考えると、「因」である青年(若者)から「果」である老年(老人)へと時間が流れているといえます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25410549.html

 

 私たちは、つい具体的な事象に目を奪われ、物理空間で解決を試みてしまいがちです。それゆえ、ますます情報空間の因がスコトーマに隠れてしまうのです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 コロナをきっかけに、感染症のように物理的要因が大きい場合でも、「本質的な因(インヘレンシー)はつねに情報空間にある」ことを実感しました。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12808542.html

 

物理的に原因がはっきりしている(と思える)場合でも、情報因果をしっかり観て問題の本質を明らかにし(ケースサイド)、全抽象度で解決を試みること(プランサイド)が重要!

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html

 

 それはコーチにとってとくに重要なブリーフといえます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

 東京大学(高齢社会研究機構)の研究を例に考えてみましょう。

 東大の研究グループは全国約70の自治体で高齢者のフレイルに関する調査を行っています。その結果、コロナ感染症の流行により「ふくらはぎの周囲長」「体幹の筋肉量」「滑舌」の3つの指標が特に悪化していることがわかりました。

 「ふくらはぎの周囲長」の減少は足の筋肉量が減少しているということであり、転倒・骨折が起こりやすくなっていることを意味します。体を動かすのがおっくうになると、さらに筋肉量が減るという悪循環がおこります。福岡県飯塚市のデータでは、なんと平均1.1cmも減少していました。ふくらはぎ周囲長はだいたい30cm程ですので、筋力がかなりおちているはずです。

 「体幹の筋肉量」が減るとバランスを崩しやすくなるため、やはり転倒・骨折が起こりやすくなります。詳しい理由は知りませんが、「体幹の筋肉量」の減少は免疫力にも悪影響を及ぼすそうです。

 「滑舌」の悪化は口腔機能の低下をあらわします。ものを飲み込む嚥下機能の低下は栄養状態悪化に直結し、体力低下(老衰)を加速させます。東大の別の調査によると、口腔機能の低下がある人は、4年後の死亡リスクが2.09倍、要介護状態になるリスクが2.35倍です。他にも認知機能低下との関連も疑われているそうです。

 

 「ふくらはぎの周囲長」「体幹の筋肉量」「滑舌」は物理空間を表す指標(データ)です。よって、その対策を物理空間で行うのは当然ですが、その時に情報空間(心理精神的、社会的、スピリチャル)までしっかり観ることが重要になります。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8293317.html

 

 そのような課題(ケース)に対する多次元をカバーした解決(プラン)として、東大研究チームが開発したものが「おうちえ」。「おうち時間を楽しく過ごす知恵」として、「いしく食べて健康に」「ちですごす時間を豊かに」「いきで近くで支え合い」「がおでゆとりの心持ち」という4つの柱ごとに様々な工夫が提案されています。

 詳しくは下記リンクを御確認ください。対策が多次元で考えられていることが感じられます。

 東京大学 高齢社会研究機構HP>おうち時間を楽しく健康にすごす知恵「おうちえ」

 IOG 東京大学高齢社会総合研究機構:おうち時間を楽しく健康にすごす知恵 「おうちえ」 (u-tokyo.ac.jp)

 

 「コロナ虚弱(フレイル)」というと身体面ばかりに注目しがちです。しかしながらその対策のポイントは、「つながりを保つこと」という表現にあらわれているように、情報空間にこそあります。まさに縁起です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

F-186につづく)

 

 

苫米地式認定コーチ                       

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

-追記1

ガイドラインには「多面的な問題」と記載されていますが、抽象度を念頭に「多次元的な問題」と捉えるべきでしょう

 

 「虚弱な状態」は「身体的苦痛」と言い換えることができます。それを他の苦痛とともに“多次元的”に包摂しているのが「全人的苦痛(トータルペイン)」という概念です。

「身体的苦痛」「心理・精神的苦痛」「社会的苦痛」「スピリチュアルペイン」という部分と「Total Pain」という全体の関係は、双方向の縁起であり、ゲシュタルト。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24321116.html

 

その関係をしっかりと理解できることはとても重要です。詳しくは下記レポートで↓

L-001~20201月シークレットレクチャー

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_407080.html

 

 

-追記2

 「体幹の筋肉量」が減るとバランスを崩しやすくなるため、やはり転倒・骨折が起こりやすくなります。詳しい理由は知りませんが、「体幹の筋肉量」の減少は免疫力にも悪影響を及ぼすそうです

 

 本文の趣旨とは全く関係ありませんが、よく御質問をいただくので説明を追加します。

 現代ディベート論理はトゥールミンロジックと呼ばれています。その基本は「データ(data、事実)」「ワラント(warrant、根拠)」「クレーム(claim、主張)」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6194585.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12340209.html

 

 「体幹の筋肉量」が減るはデータ、バランスを崩しやすくなるがワラント、そして転倒・骨折が起こりやすくなるがクレームです。この3つが揃うことが論理の基本です。

 一方で、「体幹の筋肉量」の減少は免疫力にも悪影響を及ぼすはデータ(「体幹の筋肉量」の減少)とクレーム(免疫力にも悪影響を及ぼす)のみでワラントがありません。

 

 日常の生活では「データ→クレームだけでワラントがない(不明瞭)」ことが少なくありません。常にワラントを意識することは「一歩抜きんでる」ための秘訣といえます。

 

 

-追記3

 常にワラントを意識することは「一歩抜きんでる」ための秘訣といえます

 

 ただし、ワラントに囚われると(論理に縛られると)、「一歩抜きんでる」ことはできても、「Not Normal」にはなれません。論理的思考を徹底的に極めた上で、さらに論理という系の外に飛び出し、not normalnormalに、unrealrealに、書き換えていくのがコーチングです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8900334.html

 

 

「おうちえ」(東京大学高齢社会総合研究機構)

東京大学 高齢社会総合研究機構HPより引用

IOG 東京大学高齢社会総合研究機構:トップページ (u-tokyo.ac.jp)