苫米地理論を研究し、苫米地式を実践する <CoacH T>

認知科学者 苫米地英人博士に学び活動するコーチ・ヒーラー・医師 CoacH T(タケハラクニオ)ブログ

タグ:トラウマ

ブログ・シリーズ編

S-04:さぁ「人間関係の悩みを克服する旅」をはじめよう!

S-04-06:心に深い傷を負う理由-1

 

問題です。

鏡の中の自分に微笑んでもらうためにはどうすればいいでしょうか?

私の答えは、このシリーズの最後でw

 

 告知(I-038):

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/22227952.html

 S-04-00(目次):

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/22305802.html

 

 

日本はいまだに自殺大国です。

多くの人が心にたくさんの傷を抱えたまま生きています。心の傷から生じる感情に振り回されているケースもたくさん目にします。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/search_tags?qt=1028229

 

私たちは生きている限り心に傷を負います。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)を引き起こすような衝動的な心の傷は「トラウマ(心的外傷)」と呼ばれます。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/15833962.html

 

人間は誰でも心に傷を負っていますが、それがトラウマとなって心や体の病を引き起こすこともあれば、病とならずに癒えていくこともあります。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/10114934.html

 

その違いはどこにあるのでしょうか?

 

心の傷がトラウマになるか否か、うつなどの病気を引き起こすか否かは、じつは、出来事そのものの大きさとは関係がありません。

ものすごく衝撃的な出来事でも、トラウマになる人もいれば、ならない人もいます。

 

では、両者で何が違うのでしょうか?

 

両者を分けるものは、じつは、「本人にとっての理不尽度」です。

そして、その理不尽度は「自己責任感の大小」で決まります。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/22669112.html

 

 (S-04-07につづく)

 

 

苫米地式認定コーチ                       

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

-関連記事-

F-094~:私はイヤなことは心の中で握りつぶす

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/cat_375251.html

 

 

-告知-

 青山龍苫米地式認定マスターコーチと私 CoacH Tとのコラボ企画「Fight Coaching Project」がはじまっています(20206月~、月額制)。テーマは「マインド(脳と心)の健康」です。

 参加される皆さんの疑問・質問にもお答えする1年間の双方向(インタラクティブ)オンラインコミュニティの中で、徹底的に「マインドの健康」を追求したいと思っています。

一緒にさらなる“現状の外”へ飛びだしましょう!

(お申し込みはこちら↓)

 http://aoyamacoach.com/fcp/

 

 

-参考書籍-

苫米地英人コレクション3

「『頭のゴミ』を捨てれば、脳は一瞬で目覚める!」(開拓社、復刊版)

 

 

F-095:私はイヤなことは心の中で握りつぶす vol.2(ワーク付き)

 

 

私はイヤなことは心の中で握りつぶす

 

 

 これは戦前・戦後を通じて日本映画界で活躍した女優 高峰秀子さん(19242010年)の言葉です。前回(F-094)はこの言葉をコーチの視点で読み解きました。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/18340552.html

 

 ところで、認知科学者 苫米地英人博士が「エモーションコントロール」を解説されている動画を紹介しましたが、ご覧になられたでしょうか?

 苫米地英人You Tube公式チャンネル

 https://www.youtube.com/watch?v=73T7i1M6-JQ

 

 博士が動画内で解説されている「モノクロにして」「小さくして」「ゴミ箱にポイッ」を、まとめて「握りつぶす」としているのが高峰秀子方式です。なかなか豪快ですよね(笑)。

 

 いずれにせよ、「イヤなこと」という触ったり動かしたりできないはずの抽象的な(物理空間には実在しない)イメージに、「ゴミ箱にポイッ」や「握りつぶす」といった操作を加えることは、心だけではなく身体にもとても大きな変化を引き起こします。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5306380.html

 

 それは、前頭葉の発達した人間が、高い抽象度次元から(情報空間の)底面である物理空間にまで連続的に存在していることの証でもあります。心と体はそもそも同じものなのです。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/14106619.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/14248940.html

 

 さらには、自身の身体だけではなく、なんと目の前の世界そのものが心(マインド)によって生みだされています。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6353044.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6353367.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/11823351.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/11823843.html

 

 まさにI×V=R

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6542364.html

 

 

 先日(201979日)、朝日新聞デジタルで「患者がストレスにさらされると、乳がんが悪化する」という記事が配信されました。

 岡山大学の神谷厚範教授(細胞生理学)が、国立がん研究センターで手術を受けた乳がん患者29人のがん組織を調べたところ、がん組織内の交感神経の密度が高い人は再発しやすいことがわかりました。

さらに、マウスに人の乳がん組織を移植し、乳がん組織内の交感神経を刺激し続けたところ、60日後、(刺激しないマウスと比べ)がん面積は2倍近く大きくなり、転移数も多くなったそうです。一方、遺伝子治療で交感神経の活性化を止めると、60日経ってもがんの大きさはほとんど変わらず、転移もみられませんでした。

 

 このように、ストレスが病気の発症や進行に悪影響を及ぼすことや脳や遺伝子に傷をつけることは、科学的検証によりどんどん明らかにされています。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/11822808.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/10114934.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/13523096.html

 

 当然ですが、その反対に、(特に情報空間での)ストレス対策が健康に寄与することもわかってきています。その一例として、山形大学医学部看護科 櫻田香教授らの研究を御紹介します(ヘルスプレス、2019613日配信記事より)。

 

一般住民を対象とした「山形県コホート研究:Yamagata Study」に参加し、健康診断を受けた40歳以上の男女17152名を5.4年間追跡した調査により、1)日頃「ほとんど笑わない」層は全死亡率と心血管疾患の発症率が有意に高い、2)「月1回未満」しか笑わない人は「週1回以上」笑う人に対して死亡率が約2倍高まる、3)「週1回未満~月1回以上」笑う人は「週1回以上」笑う人に対して心血管疾患の発症リスクが約1.6倍高まる などが明らかになりました。

まさに「笑う門には福来る」。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/cat_268334.html

 

 情報空間への働きかけにより病を治療するという方法は、じつは、すでに医療現場で実用化されています。その一つがイメージを用いてがんを治療するという「サイモントン療法」です。

 

 もともとは放射線科医師だった米国のカール・サイモントン博士(19422009年)は、同じような症状の患者さんに同じ治療を行っても回復する人と悪化する人に分かれることを疑問に思い、研究を始めました。その結果、患者さんの精神面が治療結果に大きな影響を与えることに気づき、がん患者さんの精神面をサポートする治療を編みだしました。それが「サイモントン療法」です。

 この治療の最初の患者さんは頚部進行がんを患った60代の男性でした。放射線治療と並行して、毎日3回、6週間にわたるイメージ療法を指導。その内容とは「白血球ががん細胞を攻撃するイメージを思い浮かべる」というものでした。

 

 「そんな簡単なことで効果があるのか?」と疑問を感じる方も多いと思いますが、実際、人のイメージの力は絶大です。「諦めると坂道を下るようにどんどん悪くなる」ことや「必ずよくなると確信していると結構よくなる(悪化しない)」ということを、きっと多くの医療・福祉関係者が実感しているはずです。もちろんビジネスの現場においても。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/cat_342433.html

 

 そんなイメージの力をフルに使って自身を望む方向に導くのに、言語がとても役に立ちます。言葉にだしながら、鮮明なイメージを感じ、そしてそこに感情をのせていくのです(word/picture/emotion)。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/7701939.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/7859111.html

 

 

私はイヤなことは心の中で握りつぶす

 

 

 ではここで、「イヤなことを心の中で握りつぶす」ための準備となるワークを御紹介します。苫米地博士の読者の方にはおなじみの「目の前のすべてにラベルを貼る」というワーク(ラベリング)です。

 

 私たちは重要なこと(モノ)のみを認識しており、重要性の低いこと(モノ)は認識していません。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5721658.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5721610.html

 

 その重要度を「ゴールから考えたとき、どれくらい重要か」という尺度に統一することが、このワーク(ラベリング)の目的です。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5615935.html

 

 

Work

認識したものすべてに「T(ティー)」「Nil(ニル)」「D(ディー)」のどれかを張りつける(ラベリング)

 

T」:ゴールに関係すること(ゴール達成の妨げになることも含む)

Nil」:ゴールと関係ないこと

D」:「T」でも「Nil」でもない感情(怒り、後悔、悲しみ、不安など)

 

 

 これだけです。

 

 ラベル張りは時間をかけず、情報を認識した瞬間に行います。

まずは「D」を減らすように意識しましょう。「D」は完全に皆さんの心次第です。

次に「Nil」が減るように自身の行動を見直していきましょう。基本的に「Nil」にはhave toが入り込んでいます。「Nil」が続くときには、「なぜhave toなのか?」「want toは何か?」「そもそもゴールは何だったか?」と自問してみましょう(止観)。

 

 

 次回は、このラベリングの実践例を紹介した後、さらに踏み込んで「私はイヤなことを心の中で握りつぶす」という言葉を考察します。

 

F-096につづく)

 

苫米地式認定コーチ                        

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-追記-

 ラベリングは医療・福祉従事者にとって特に重要なスキルとなります。「ファイト・オア・フライト」という情動優位の状態を回避できるからです。ぜひワークに取り組んでください。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/8164566.html

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/8166289.html

 

医療・介護現場は四苦(特に老病死)の臨場感が高いため、スコトーマが外れやすいのです。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5721610.html

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/8045953.html

 

スコトーマが外れて認識するものとは「スピリチュアルペイン」。剥きだしになった「スピリチュアルペイン」は「イヤなこと」をさらに増幅します。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/8293317.html

 

 それは生老病死という人生のプロセスで必ず経験すること。

よって、医療・福祉従事者だけではなく、すべての方にラベリングをお勧めします。

 

 

-関連記事-

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/15833962.html

 

 


F-094:私はイヤなことは心の中で握りつぶす vol.1

 

 

私はイヤなことは心の中で握りつぶす

 

 

 これは戦前・戦後を通じて日本映画界で活躍した女優 高峰秀子さん(19242010年)の言葉です。

 

 Wikipediaによると、4歳の時に母親を結核で亡くした高峰さんは、名づけ親にもなった父の妹の養女となり東京に移り住みます。その義母(実父の妹)は17歳の時に函館に来た活動弁士(サイレント映画上映中にその内容を語りで表現する解説者)と駆け落ちし結婚。その後自らも「高峰秀子」の名で活弁士として活動したそうです。

 

 5歳の頃、蒲田撮影所を見学した際にたまたま行われていた子役オーディションに義父に推されて飛び入り参加した高峰さんは、見事監督に選ばれ撮影所に入社することになりました。その時から義母の芸名 高峰秀子を名乗りはじめたそうです。

その後子役から女優へと成長し、1954年に「二十四の瞳」でブルーリボン賞主演女優賞を、1955年に「浮雲」でキネマ旬報ベストテン女優賞を、1979年に「衝動殺人 息子よ」で日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞します。

 

 私が驚いたのは1981年に制作された映画「典子は、今」の助監督をされていたこと。「典子は、今」は、母親が服用していたサリドマイド剤の副作用により両腕のない状態で生まれた辻典子さん本人を主人公にしたセミ・ドキュメンタリー映画です。

 

 両腕のない主人公が海に飛び込んで懸命に泳ぐシーンは、今も私の脳裏に焼き付いています。幼少期のトラウマ体験により泳ぐことが苦手だった当時の私にとって、その映像はとても衝撃的だったからです。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/7702169.html

 

今思えば、「典子は、今」から勇気をもらったことが、トラウマを克服する大きなきっかけになったのかもしれません。おかげで大学時代にはウインドサーフィンを存分に楽しむことができました(代わりに霊を怖がっていましたけれど)。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/7199964.html

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/7384947.html

 

 それでは高峰秀子さんのこの言葉を、コーチの視点でみてみましょう。

 

 

私はイヤなことは心の中で握りつぶす

 

 

 この言葉は強力なアファメーションになっています。「~できたらいいな」や「~したい」といった願望ではなく断言です。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/14973460.html

 

 「握りつぶす」という言葉には強い意志が滲み出ています。それは例えば「ドリームキリングには絶対に負けない」というような覚悟の言語化でしょう。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6040935.html

 

 「その強い意志や覚悟が、やがて高いエフィカシーへと昇華していく」と私は思っています。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5616012.html

 

 もちろん「握りつぶす」の根底にはどんなに止められても成し遂げたいと願うようなゴールがあるはずです。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5615935.html

 

 そのゴール(未来のイメージ)とエフィカシー(達成の確信=臨場感)が“現実”を生みだします。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6542364.html

 

 

私はイヤなことは心の中で握りつぶす

 

 

 「イヤなことは心の中で握りつぶす」というセルフトークは、「エモーションコントロール」にも活用できます。エモーションコントロールとは、不安や恐怖、怒りといった強い情動によりIQやパフォーマンスが低下するのを防ぐ(すみやかに改善する)ためのスキルです。

 

 例えば、泳ぐのが苦手な子どもがプールを見ただけで震えてしまうのは、何らかの辛い記憶がトラウマ化しているからです。かつての私もそうでした。

 泳ぐことに関するネガティブな体験を、海馬は重要な“失敗”として側頭葉に投げ込み記憶させます。そして、不安・恐怖などを伴った強烈な体験であるほど、繰り返し思い出したり、恐ろしい夢として見たりしながら、長期記憶化していきます。それがトラウマ化の正体です。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/13397552.html

 

 そうした状態が続くとプールや海の話題を見聞きしただけでドキドキしたり、体がブルブル震えたり、息苦しくなるなどの身体症状があらわれます。それは情報空間(心)にできた傷の物理空間(体)への表出です。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/14106619.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/14248940.html

 

 扁桃体と海馬による記憶の増幅作用が、そのような身体症状を引き起こします。プールや海がトリガー(引き金)となって(しかも扁桃体により増幅されながら)引っ張りだされ、まるで今その場にいるかのように恐怖を追体験するのです。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6542364.html

 

その体験は「過去(のイヤな記憶)が“現在”(=現実)に変わってしまうこと」ともいえます。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6542317.html

 

 さらに、トラウマに関連する情報に接することでおこるイヤな記憶の増幅が繰り返されると、やがては前頭前野に認識のパターンが生まれてしまいます。前頭前野の認識パターンとはブリーフシステムのことです。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5721531.html

 

 この段階に至ると、自律神経の乱れが生じ、生命維持に直結する脳幹にも変調がみられ、中枢神経の働きまでおかしくなります。ブリーフシステムとは個人の心理的特性であり人格そのものですので、まるで「別人になった」かのように変わり果ててしまいます。

 

 よって、最初のトラウマ化を防ぐための「エモーションコントロール」はとても重要といえます。

 

 

 次回は、「イヤなことを心の中で握りつぶす」や「エモーションコントロール」のためのワークを御紹介します。

 
(F-095につづく)

 

苫米地式認定コーチ                        

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-追記-

 「エモーションコントロール」について、認知科学者 苫米地英人博士がYou Tube公式チャンネル内で詳しく解説されています。海外で開催されたシークレットセミナーでの講義内容がなんと無料で視聴できます(私はそのセミナーに参加させていただきました)。25分程です(2倍速で視聴したら12分!)。ぜひご覧ください。

 苫米地英人You Tube公式チャンネル

 https://www.youtube.com/watch?v=73T7i1M6-JQ

 

 

高峰秀子さん(Wiki)

高峰秀子さん(1940年代後半)

Wikipediaより引用

 

 


F-075Preventable Trauma Death

 

Preventable Trauma DeathPTD)」という言葉を御存知でしょうか?

 

 これは外傷診療に関連する医学用語。文字どおり「防ぎうる外傷死」を減らすことを目的(ゴール)に、救急医療の現場で使われています。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5615935.html

 

 その一つ上の抽象度には、公衆衛生上の概念である「防ぎうる死(preventable deathsavoidable deaths)」が存在します。「うまく対処していれば死なずにすんだであろう症例で発生した死」の外傷版が「Preventable Trauma DeathPTD)」です。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4448691.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4449018.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4516484.html

 

 日本におけるPTDの割合が高いことが明らかになったのが2000年頃。当時はPTDが外傷死亡総数の30%を超えていたとされています。

その後、外傷診療システム(病院前救護、救急病院の診療体制、病院内での医療チーム、適切な紹介転送と安全な搬送)の構築や関わる医療スタッフの診療技術向上の取り組みが進められ、PTD18%台に減少していることが報告されています。

 

今回はそんな「Preventable Trauma DeathPTD)」について、コーチの視点で考察します。

 

 

 外傷治療はPrimary survey Secondary survey Tertiary surveyと行われます。

Primary surveyとは「生理学的評価で生命の危機を把握し、蘇生する」こと。Secondary surveyは「解剖学的評価で全身を系統的に検索し損傷を把握し、根本治療の必要性を決定する」こと。そして、Tertiary surveyが「根本治療や経過観察を行う過程で損傷の見落としがないか確認する」ことです。

 

これは、まずは「全体を把握」し、「重要性・緊急性を判断」した後に、「部分(個別)に対応」していくという流れです。

 

「全体を把握」というのは「ゲシュタルトをつくる」ということ。

ゲシュタルト(Gestalt)とは、形態を意味するドイツ語で、「全体性を持ったまとまりのある構造」のことを指します。全体と部分の双方向性で成り立ち、一つの統合的意味を持つまとまりです。部分を積み重ねたから全体がわかるのではなく、全体がわかったから部分の意味が決まることともいえます。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6193912.html

 

PTDは、情報量でみると、「最小の情報量で全体を把握した後、情報量を多くして部分に対応する」ということです。よって、抽象度の高いところから低いところへの移動といえます。その対処は、もちろん、最も情報量の多い物理空間が主となります。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4516539.html

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4654230.html

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4654316.html

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4831442.html

 

物理空間にフォーカスするこの考え方は、西洋的な哲学や価値観に基づく西洋医学ではスタンダードですが、本来は避けるべきものです。

なぜなら、生命(現象)とは、多次元の情報空間にまたがる情報処理だから。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5306438.html

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/14106619.html

 

しかしながら、外傷は物理空間上の身体での問題であり、かつ急いで対処するべき課題であるため、「物理空間」にフォーカスし対処することは適切であるといえます。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/7385143.html

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/7385278.html

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/cat_292583.html

 

では、それを理解したうえで、あえて「Preventable Trauma DeathPTD)」を高次の情報空間にまで拡張すると、どのように考えられるでしょうか?

 

 

コーチとして日々の出来事を観察していると、「トラウマは日常のあらゆる場面で生じている」ことに気がつきます。

 

 がっかりすること、残念なこと、エフィカシーが下がること、ドリームキラーの言葉すべてがトラウマになりえます。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5616012.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6040935.html

 

それどころか、一般的には「よいこと」と思われるようなこと 例えば昇進や結婚などもトラウマになりえます。過去の記憶でつくられたコンフォートゾーンから外れることになるからです。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6040892.html

 

 それが社会的に「よいこと」にせよ、「悪いこと」にせよ、強烈な情動体験はブリーフシステムに影響を与えます。ブリーフシステムとは、前頭前野の認識のパターンのことです。このパターンに影響を与えるような長期記憶化された何らかの情動体験の記憶がトラウマの正体です。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5721531.html

 

トラウマやストレスは放置したままだと心の傷になってしまいます。そして、その心の傷(情報空間のバグ)はやがて病となって物理空間にあらわれ、人を死に導きます。
 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/11822808.html
 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/10114934.html
 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/13523096.html

 
まさに「Trauma Death

でも、心配はいりません。

 

様々な物理法則の制約を受ける物理空間と違って、情報空間でのトラウマやストレスはすべてpreventableなものです。なぜなら、物理空間と違って制約が少ないので、情報処理の工夫によってしっかりと書き換えることができるから。

(念のためですが、物理空間も情報空間の一部です)

 

人は生きている間にたくさんの悲しい体験や辛い出来事を経験します。その記憶に囚われてしまう人がいる一方で、過酷な経験をしっかりと克服していく人もいます。

 

その違いは情報処理の差、すなわちマインド(脳と心)の使い方の差により生じます。

 

認知科学者 苫米地英人博士は著書「『イヤな気持ち』を消す技術」(フォレスト出版)の中で、過酷な体験のトラウマ化を防ぎ、人格(ブリーフシステム)への悪影響を回避する方法を紹介されています。簡単にまとめると「その体験を繰り返し、慣れること」「前頭前野側から介入して、恐怖をなくしパターンを変えること」です。

 

もちろん、この世が縁起である以上、起こる事象そのものを思いどおりにコントロールできるわけではありません。しかし、その事象をどのように認識し、理解し、そして評価・判断するかは自分で完全にコントロールすることができます。それが自己責任という言葉の本当の意味です。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6353044.html

 

大切なのは、「自分のマインド(脳と心)は、自分自身の自由と責任でコントロールする」という意志。そして、「自分自身の心の力(The Power of Mind)で未来を創造する」という覚悟。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/10400987.html

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/13958864.html

 

マインドでの情報処理を、過去の記憶でつくられたブリーフシステムではなく、未来の記憶によってつくりあげたブリーフシステムで行うことができるようになると、未来から流れる時間を生きれるようになり、(本来の)“死”までの“生”を存分に生きることができるようになります

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6542317.html

 

 それはノーベル平和賞を受賞したユダヤ人作家 エリ・ヴィーゼル(19282016年)のいう「生と死の間にあるもの」を見いだすことでもあります。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/cat_318161.html

 

未来の記憶をつくりだすことを可能とし、「生と死の間にあるもの」を見いだすことを可能とするのは、“現状の外”へのゴール設定です。そして、その新たな未来を「達成できる」という確信(エフィカシー)が“現実”を生みだします。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5615935.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5616012.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6542364.html

 

よって、私は、Preventable Trauma DeathPTD)対策としてもコーチングがとても重要であると考えます。

 

 

苫米地式認定コーチ                        

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-追記-

 “現状の外”にゴールを設定し高いエフィカシーで生きている人は「タイムトラベラー」! 未来の皆さん自身がトラウマ克服の強力なサポーターになります。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/13626536.html

 


イヤな気持ちを消す技術(青)



F-059:虐待で残る「分子の傷跡」

 

今回はjiji.com2018103日配信)の記事から御紹介します。タイトルは「児童虐待、被害者に残る『分子の傷跡』 研究」です。

https://www.jiji.com/jc/article?k=20181003037726a&g=afp

 

 ポイントは、

 

 ・虐待を受けた子どもは、そのトラウマ(心の傷)を示す物質的特徴が細胞の中に刻み込まれている可能性がある

 

 ・過去の虐待歴を調査する犯罪捜査の助けとなる可能性を秘めている

 

 ・トラウマが世代間で受け継がれるのか否かをめぐる長年の疑問解明への一歩ともなりえる

 

3点です。 

 

 以前のブログ記事でも、「情報的な心の傷が、物理的な脳の傷となる」ことを御紹介しました。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/10114934.html

 

 今回の記事中のカナダ・ブリティッシュコロンビア大学などの研究は、「精子細胞のDNA12の領域に、トラウマの痕跡が、『メチル化』として知られるDNAの改変として刻まれている」というものです。

 研究チームのニコル・グラディッシュ氏によると、「遺伝子を電球とみなすと、DNAメチル化はそれぞれの光の強度を制御する調光スイッチのようなもの」で、「細胞がどのように機能するかに影響を及ぼす可能性がある」ということです。

 

 遺伝子をめぐっては、これまでは受精時においてすでにプログラムが完了しているものと考えられていました。しかし現在は、環境要因や個人の人生経験によって活性化・非活性化される遺伝子が存在することが明らかになっています。

 

 つまり、遺伝子の働きさえも縁起に由るのです。

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 この驚くような事実は、超情報場仮説(理論)でクリアに説明することができます。

 「まず先に高い抽象度で因として情報があり、その情報(処理)がより低い抽象度で果として表れ、ついには物理空間に実体として現れている」という見方が、苫米地博士が提唱されている超情報場仮説(理論)が導きだす重要なポイントです。

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もちろん、物理空間も情報であり、物理空間上の実体(今回の場合、遺伝子やDNA)も情報です。よって、情報の操作により(今回の場合、トラウマ体験やその後の人生経験により)書き換わっていくことは十分に想定できます。

 

 「抽象度」とは、情報空間における視点の高さを表すもので、分析哲学の中の存在論における「Levels of Abstraction」という概念の日本語訳です。

(ちなみに、日本語訳を造語されたのは苫米地博士です)

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http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4449018.html

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4516484.html

 

 抽象度の高い情報空間の「心」と、情報空間の底面といえる物理空間での「脳(DNA、遺伝子、体物理空間上の存在)」が、そもそも一つのものであり、観察する抽象度での違いにすぎないと納得できるかが大きなポイントとなります。

それは「心と脳」や「心と体」で一語であると実感できるかどうかであり、「情報空間では体のことを心といい、物理空間では心のことを体という」という事実をしっかり受け入れられるかどうかということです。

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「メチル化の度合いには経時変化が見られるため、被験者の男性の細胞を調べることで、虐待の行われた大まかな時期についても知ることができる」というのですから驚きです。

やはり、情報は常にアップデートされ(書き換えられ)、物理空間に刻まれていくのです。

 

とくに教育に関わる者や子育て中の親は、この事実にしっかり向き合い、自分の言動を厳しくコントロールする必要があります。不安や恐怖を使って子どもたちを支配するなど論外です。

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論文の筆頭執筆者 アンドレア・ロバーツ氏は、精子細胞内に含まれる虐待の痕跡が、受精後も元の状態のままかどうかについてはまだほとんど明らかになっていないが、今回の研究によりトラウマが次の世代に伝えられるかどうかの解明に向けて「少なくとも一歩近づいている」とコメントしています。

 

つまり、トラウマの記憶は当人を苦しめるだけではなく、次世代にも受け継がれる「負の連鎖」となる可能性があるということ。それが事実だとすれば、いまだに戦争が続き、ますます貧困が拡大する現代社会の行く末は、大変暗いものになってしまうといえます。

 

大脳辺縁系での情報処理から前頭前野での情報処理に変わっていったことが人類の進化といえます。それは抽象度の階梯を上がっていったこととも言い表せます。

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http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/9966391.html

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次世代に引き継がれるトラウマ記憶により「ファイト・オア・フライト」がますます起こりやすくなった未来においては、人類はそれまでの進化と逆行し一気に退化してしまうのかもしれません。

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では、トラウマが脳の傷になったり、次世代に引き継がれたりすることを防ぐにはどのようにすればよいのでしょうか?

人類を退化から救うために、どのようなことに取り組めばよいのでしょうか?

 

その方法について、次回(F-060)考察したいと思います。キーワードは「BTTF」です(笑)。お楽しみに。
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苫米地式認定コーチ                        

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 


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