F-394:ナイセイカンショウ <vol.3;心の本質を捉える基本中の基本>
サッカー北中米ワールドカップ出場を決めた試合(2025年3月20日、vs バーレーン)で1ゴール1アシストと圧倒的なパフォーマンスを見せた久保建英選手は、試合後このようにコメントしました。
自分の実力は分かっている。幼稚さ、幼さは抜けていい選手になったと思う
…これはブリーフシステム(Belief
System、BS)、あるいは自我が、「幼稚で幼い選手」から「幼稚さ、幼さが抜けたいい選手」に書き換わったということ。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html
一体何があったのでしょう?
vol.1;関数pの再定義ではなく、可能世界“w1”から別の“w2”への移行を促す
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36550679.html
vol.2;内政不干渉の原則
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36598430.html
vol.3;心の本質を捉える基本中の基本
…ポイントは、森保監督や長友選手による抽象度が上がる方向性への働きかけ。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html
その働きかけにより、結果的として久保選手のBSや自我は「幼稚で幼い選手」から「幼稚さ、幼さが抜けたいい選手」に書き換わりました。
では、森保監督らの働きかけと久保選手のBSや自我の(結果としての)変化の間には何が起こったのでしょう?
Q-405:コーチングを受けると、結局のところ、どうなるのですか?
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…答えは、久保選手自身に由る「内省言語の生成」です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html
苫米地博士は「本当のコーチは基本的にブリーフシステムを変えるためにおしゃべりなんかしない」と仰います。コーチングの本質的な部分は非言語です。
L-082:2021年3月シークレットレクチャー -05;「非言語」が重要なのはなぜ?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30102311.html
仮に「その生き方は間違っている」「そのゴールは間違っている」と諭したとしても、まずもってBSや自我は変わらないでしょう。プッシュ・プッシュバックが働くから。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882703.html
もしも言葉(や論理)によって変わったとしても、そのうち深刻な状況に陥るはずです。心から納得することなく受け入れたものは理不尽度が高く、have toを生みだします。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882609.html
人を本当に苦しめるものは、生じた出来事の大小ではなく、理不尽度。
S-04-06~7:心に深い傷を負う理由
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22746255.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22817135.html
その理不尽度は「自己責任感の大小」で決まります。
S-04-05:自責の意味
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22669112.html
ここでいう「自己責任感」とは、「すべて自分で決めるという覚悟」のこと。コーチングに寄せていうと、「ゴールは必ず自分で設定する(している)というBS」のことです。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html
自分が心から「絶対に変わるんだ」「変わりたい!」と思うからこそ、BSは変わります。その思いが自然にあふれでるのが「内省言語」です。
L-060:2020年8月シークレットレクチャー
-06;必要なのは意思と覚悟
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28153740.html
最初(F-392/vol.1)に紹介したとおり、苫米地博士は「コーチングでは関数pの再定義を促すのではなく、可能世界“w1”から別の“w2”に移行することを促す」と表現されています。
F-222:コーチングの基本概念を習熟して、エフィカシーをブーストしよう!
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27832570.html
「可能世界“w1”」とは、これまで慣れ親しんできたコンフォートゾーン(Comfort Zone、CZ)のこと。「別の“w2”」とは、そのCZの外側にあるゴール側のCZです。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html
これまでのCZの外側に出ると(出ていかせようとすると)、強烈な反動が生じます。意識下でも、無意識下でも。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040752.html
その反動をコーチが言葉でひっくり返すことはできません。なぜなら、その反動とは、生命維持レベルの強力なホメオスタシス・フィードバックだから。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html
だから非言語!
ただし、その“非言語”は、「声を出してはいけない」「話をしてはいけない」ということではありません。直接的にw1やw1を生みだすBSや自我には介入しないということであり、会話自体は行ってもかまいません(博士はただの会話は厳しく戒められていますが)。
L-084:2021年3月… -07;内省言語を「言語を使わないで引き起こす」ために
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30160964.html
以下、苫米地博士の著書「オーセンティック・コーチング
~本物のコーチング~」(サイゾー、p116)より引用します。
内省言語を発生させる
非言語コミュニケーションは特殊な技術ではありません。これは人が人に対して影響力をどうやって与えるかという話で、世間一般で頻繁に使われているものなのです。
日常生活の中にもありますし、私たちが気づかずにいつもやっていることの中にもあります。
人の心に内省言語を生み出すことは少し敏感になれば誰でもできます。例えば、最もわかりやすいのがCMです。多くのCMがしているのは商品の正しい説明ではなく、視聴者に恐怖を植え付けることです。「その洗濯物臭っていませんか?」「いつまで太っているつもりですか?」「まな板は雑菌だらけ」などなど、これが第一声でどこにも商品の説明はありません。
でも、視聴者の心には「これは聞いておかないとマズいかも」という内省言語が発生しています。発生したら、そこで初めて商品説明が始まります。
ひと目惚れのテクニックでも同様です。
以前、私は、意中の会社の同僚を振り向かせるテクニックとして「趣味のキーホルダー」というのを紹介したことがあります。
これは、意中の彼が釣り好きで、その彼に興味を持ってもらうために釣りを学ぼうとしていた女の子からの相談でした。彼女は釣り好きの彼に「自分も釣りを始めました」と告げようとしていたので「やめておきなさい」と私は言っておきました。「その彼を本当にゲットしたいのであれば、あなたが本当に釣りを好きになるだけでいいんですよ」と。
数ヶ月後、その女の子はその彼と一緒に釣りに行くことになったそうです。しかも、誘ってきたのは彼のほうだといいます。きっかけは彼女がキーホルダーに使っていたミニチュアの釣り竿で、彼の方から「これって〇〇〇のレプリカ?」と声をかけてきたそうです。
彼女は何ひとつ言葉を使っていません。ただ、ちゃんと釣りを好きになっただけです。人の心を動かすとはこういうことです。
それを「コミュニケーションの仕方を学びましょう」「こう言われたらこう返しましょう」「部下とのコミュニケーションはこうしましょう」などというのはあまりにも人をバカにしています。
心の本質を捉える基本中の基本は相手に内省言語を引き起こすこと。いかにそれを言語を使わないで引き起こすのかということが極めて重要なのです。
そして、それはまさにスコトーマの原理であり、非言語の本質はRASのシステムの裏表ということです。
ですから、当然、非言語コミュニケーションは声を出してもいいのです。相手のRASがカクテルパーティー効果のようにこちらの声を消してくれるのならそれでいいというわけです。こちらから働きかけていることが相手の意識に上がってさえこなければ、声を出してもいいのです。
実際、私がコーチングをする際、あまり話はしません。話しているのはクライアントのほうです。
私はクライアントの話の内容に興味があるわけではありません。クライアントを現状に縛るブリーフシステムがどういうものなのかを探りつつ、それを超える内省言語を引き起こすように聞いています。
逆に、クライアントは自分が変わっていることを自覚できません。ですから、「博士、もっとアドバイスをください」と言います。時には怒ったりもします。そこで私は「あなたはもう変わっていますよ」と告げ、セッションの最初の頃と比べて変わったところをいくつか伝えます。クライアントは自分が変わっていることを、その時初めて理解するのです。
ブリーフシステムが変わるというのはこういうことなのです。
引用終わり
心の本質を捉える基本中の基本は相手に内省言語を引き起こすこと。いかにそれを言語を使わないで引き起こすのかということが極めて重要なのです
…今回のテーマは「ナイセイカンショウ」。
コーチは、クライアントのコンテンツには決して関わりません。それは「内政には不干渉」ということ。
ただし、「内省言語を引き起こすこと」には積極的に関わります。その関わりは「内省勧奨」。
それは、時間の流れでいうと未来からの、抽象度でいうとより高次の次元からの、強力な働きかけです。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html
(F-395につづく)
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