Q-394:利己的な思いと利他的な思いが両方ある場合は…?
御質問をいただきました。ありがとうございます。
その一部に回答いたします。
(変更を加えています)
Q:利己的な思いと利他的な思いが両方ある場合はゴールの再設定はせずに利他的な気持ちを強めるようにすればいいのでしょうか?
A:まずは、この御質問内容と関連する前回(Q-393)のQ&Aを御確認ください↓
Q-393:クライアントが利己的なゴールを設定している場合、ゴールの再設定を促してもよいのでしょうか?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35284572.html
私が重要視しているのは、「利己的な部分(例えば『趣味』など)も利他的な部分(『職業』『社会への貢献』など)もバランスよくみる感覚」。
F-273:冗長性と多様性 <vol.5;抽象度×バランスホイール>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30452009.html
一言でいうと「観自在」。
F-318~:観自在
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_427083.html
その肝は「『抽象度』をつねに意識に上げ続ける」ことです(ハズ)。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html
その感覚(体感)は言語の抽象度を超えています。だから言葉で表現することは難しいのですが、わかりやすいようにあえて言語化すると「社会性」、あるいは「利他」です↓
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22043744.html
今回は、「社会性」「利他」という言葉を超えた次元で「利己的な部分(例えば『趣味』など)も利他的な部分(『職業』『社会への貢献』など)もバランスよくみる感覚」を磨くための実践的な方法を紹介します。キーワードは「ハビット&アテュテュード」です。
ハビット(Habit)とは「無意識の行動」のことで、抽象度を軸にとった場合の情報空間の底面、すなわち物理空間でのパフォーマンスのこと。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html
一方、アティテュードは「無意識の判断」であり、「行動の性向」のこと。それは思考の一部であり、高次の情報空間(知識宇宙)におけるパフォーマンスのことです。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14107083.html
ゴールに向かうハビット&アティテュードは、より抽象度の高い社会性を持ったゴールを設定することでできあがります。あくまでも「ゴールが先」です。
Q-219~:ゴールに対するスケジュールはたてますか?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_415812.html
そして、ゴール設定により生まれた新たなハビット&アティテュードにより思考の抽象度が上がると、さらなるゴール設定ができるようになっていきます。
この“発展的な循環”が、コーチング中に体得するマインドセットのひとつ。
L-096:2021年7月… -08;BSとハビット&アティテュードと抽象度の関係
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30652206.html
ここでポイントとなるのが「時間観」です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html
コーチングにおけるハビットやアティテュードは、過去で生まれるものではなく、未来で起こすもの。未来志向を持ちながら自分自身でつくりあげるものです。
Q-319~:速いスピードで移動した人は長生きできるって言いますよね?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_425265.html
苫米地博士は、「大きなゴールにたどり着く最大の方法」として、「自分のゴールをより抽象度の高いものに少しずつ変えていきながら、それとともに生みだされるアティテュードやハビットを身につけること」を挙げられています。
以下、苫米地博士の著書「いい習慣が脳を変える 健康・仕事・お金・IQ すべて手に入る!」(KADOKAWA、p94)より、3回に分けて引用し(青字)、解説します。ハビット&アティテュードを自由自在につくりあげる“感覚”を体得してください。Feel!
「アサンプション」という「いい習慣」
◆アサンプション・アップデートで行動の優先順位を決める
ゴール設定が重要。とはいっても、最初から何が正しいゴールなのかは分からないでしょう。
まず初めのゴールは適当でいいのです。とりあえず、その目指すべきゴールは自分の現状の外にあるということを認識することが大事です。
重要なのは、ゴールを更新していくことです。常に、今考えている自分のゴールは、本当に自分のゴールなのかと問い直していく必要があります。
ゴールは変えていいのです。根本的には、より抽象度を高めていくことが大事なのですが、それは更新していく中で、進んでいきます。
次にやることは、ゴールを達成するために必要なのは何か? を考えることです。それがアサンプション(推定)です。そして、アサンプションも常にアップデート(更新)していく。それをアサンプション・アップデートと言います。
考えるべきは未来のことであって、確定的な話ではないので、これという決まりはないのです。だから、アサンプションで自分が推定するゴール達成のための方法を考える。そしてそれを全部更新していく。達成するのに必要なことが更新されていくと、自分の行動の優先順位が決まります。
引用終わり
…「アサンプション・アップデート」とは、状況に応じて「アサンプション(推定、想定)」を「アップデート(更新)」すること。それは「状況の変化に応じて、行動計画を書き換えていく」ことです。
F-270:冗長性と多様性 <vol.2;アサンプション・アップデート>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30321842.html
「アサンプションで自分が推定するゴール達成のための方法を考える。そしてそれを全部更新していく」ためには、心が自由でなければなりません。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html
そのために重要なのが「Rゆらぎ」。
L-056:2020年8月シークレットレクチャー
-02;「〇○○○」でゴールの世界に誘う
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28037699.html
その基本が逆腹式呼吸です。
L-166:2022年01月シークレット… -10;呼吸を意識に上げてコントロールするワーク
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34408574.html
逆腹式呼吸によりリラックスとゆらぎを得ることができると、ゴール側から「自分の行動の優先順位」を決めることができるようになります。それは自我が変わるということ。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html
そして、それはゴール(達成)にふさわしいブリーフシステム(Belief System、BS)に生まれ変わるということです。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html
◆アサンプション・アップデートは日々行う
自分の行動を決めるスケジュール作成は、本来、自分のゴールを達成するために大事な行為から優先順位がつくられます。
よほど暇な人でない限りは、その日に何をやるかというのは二つ三つの可能性があるわけです。それらの優先順位を決めていくとき、アサンプション・アップデートが必要になります。
自分のゴールを達成するためには何が必要か? それを考えるときに、具体的な行動が決まるのです。
本来スケジュールとは、行動を実際に起こすことを言います。行動の順番の話ではないのです。ですから、手帳に書くようなスケジュールは、自分一人だけの行為に関する場合、厳密にはスケジュールとは言いません。自分以外の人が関わるときに相手の都合を考える必要があるので、スケジュールになるのです。
相手の都合にどれだけ合わせるか、また、どちらの相手を優先するかは、すべてアサンプション・アップデートを行った結果で優先順位が決まるのです。
ゴールがあってアサンプションがあり、そのための行動があって、行動の調整をする。それがスケジュールというわけです。必ず常にアサンプション・アップデートを行う必要があります。アサンプション・アップデートは日々、一日中やるのです。
ビジネスパーソンにしても、アサンプション・アップデートをしないと、ゆくゆく大変なことになってしまいます。それぞれの仕事の業界で、永遠に同じ状況が続くことはないのです。業界の周囲、そしてその現状の外側をしっかり見極め、アサンプション・アップデートしないと、取り残されてしまいます。
アサンプションをするのは、常に自分を取り巻く状況についてです。
たとえば消防官のアサンプションは、火災事故が起きて被害者を救出に行く際に、現場の状況を常に更新しながら考えることです。
第一報が入ったときに、現場が民家か工場かなどアサンプションする、そしてそれが分かると、その建物の周囲の状況などをアサンプションしていく……というように行います。
リアルタイムでアサンプションを続けていくと、それはだんだん推定ではなく事実に変わっていきます。これがアップデート=更新です。
AI(人工知能)の進化で自分の仕事の内容がどう変わっていくかを考えていくのも、重要なアサンプション・アップデートです。
引用終わり
…この部分で苫米地博士が書かれているのは「縁起」について。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html
ゴールの抽象度が上がるほど、通常は関わる人々の数が増えていきます。だから、まわりに合わせて“調整する”という感覚がより問われるようになります。それがマネジメントのコツ。大切なのはアサンプションの細やかなアップデートです。
その際の心がまえとして、私は「『ゼロトラスト』というブリーフ」を重要視しています。
F-229:ゼロトラスト 中編;「ゼロトラスト」はマネジメントの心がまえ
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28231758.html
縁起を突き詰めると、「この世に絶対はない(アプリオリなものはない)」と「この世は心(マインド)が生みだしている」という2つのプリンシプルにいきつきます。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6194669.html
その2つをしっかり理解し体現している境地が「空観」です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353367.html
◆アサンプション・アップデートをうまく続けるには?
アサンプション・アップデートを上手く行うには、日々、実際にやってみることです。
たとえば試しに知らない街に行ってみるのもいいトレーニングです。
まず出発する前に、〇〇駅に降りたら、タクシーはこうやって拾えばいいと予測する。そして実際に行ってみたら、タクシー乗り場はないかもしれない。
自分が予測したことを、現場を見てアサンプション・アップデートをしながら現実に合わせていく。多くの人は予測さえしていません。さらには現実も見ていない人がいます。
新しい場所に行くときは、常に予測をする。それで実際に見て、更新を行うというルーティンを無意識で行うことが大事です。
図鑑を眺め、それを見た後に、実際にその図鑑に載っている動物や物を見に行く。これも、アサンプション・アップデートです。アサンプションはある程度抽象化されているので、それを具体的なものに合わせて更新していくと、アサンプションが当たる確率がどんどん増えていきます。それは思考の抽象度を高める訓練にもなるのです。
引用終わり
…この部分を読みながら、私はチェ・ゲバラを思い出しました。
チェ・ゲバラ(Che Guevara)
1960年(31歳時)「英雄的ゲリラ」より
Wikipediaより引用
苫米地式コーチングは、中観であり、ゲバラ主義。ゲバラ主義とは「抽象度の高い理想」と「直接的実行」です。
F-256:イノベーションがうまれるとき <後編;ゲバラ主義>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29522943.html
…さて、「利己的な思いと利他的な思いが両方ある場合はゴールの再設定はせずに利他的な気持ちを強めるようにすればいいのか?」の答えを感じられたでしょうか?
冒頭でお伝えしたとおり、私のシンプルな答えは「観自在」。その観自在とゲバラ主義がひとつに感じられたとき、きっと疑問は解消しています。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7383761.html
その瞬間を確信しながら、ゲバラ主義で生きてください。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628437.html
…以上、私の回答です。
御質問ありがとうございました。
苫米地式コーチング認定コーチ
苫米地式認定マスターヒーラー
CoacH T(タケハラクニオ)
-追記-
私が重要視しているのは、「利己的な部分(例えば『趣味』など)も利他的な部分(『職業』『社会への貢献』など)もバランスよくみる感覚」
…その“感覚”を違う角度で表現すると、「集中」。こちらでどうぞ↓
Q-202:視点のきりかえとは、「1)現状の外からの視点」「2)現状の認識」「3)最悪の状態の想定」を切り替えて考えるということでしょうか?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26408247.html
-告知1-
今年度のオンラインセミナーは、コーチング募集開始前の「コーチング説明会」として開催します。次回は2025年2月下旬開催の予定です。約1ヶ月前にこのブログで御案内いたします。
-告知2-
クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。
一緒に楽しみましょう!
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html
-関連記事-
F-156:人間関係リセット症候群
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23823944.html
F-157:指一本でも役に立ちたい
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23874668.html
F-160~:コーチの視点で考察する“青春”
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_405497.html
L-063:2020年9月シークレットレクチャー -03;全面肯定しつつ、“現状の外”を志向する
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28501205.html
L-123:2021年11月医療・介護研修(医療法人、鹿児島県)レポート -04;ゴールが見つからないときは…
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32698474.html
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