苫米地理論を研究し、苫米地式を実践する <CoacH T>

認知科学者 苫米地英人博士に学び活動するコーチ・ヒーラー・医師 CoacH T(タケハラクニオ)ブログ

タグ:エリ・ヴィーゼル

F-362:自由訳「OODA」 <vol.8(最終話);「OODA」というトリガーが引きだすもの>

 

 「OODA(ウーダ)」という概念を御存知でしょうか?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 

 Wikipediaで「OODA」を検索すると、「OODAループ(OODA Loop)」にjumpします。

 そこには「意思決定と行動に関する理論」とあり、「元々は軍事行動における指揮官の意思決定を対象としていたが、後にこれに留まらず、官民を問わずあらゆる個人の生活、人生ならびに組織経営等において生起する競争・紛争等に生き残り、打ち勝ち、さらに反映していくためのドクトリン、そして創造的行動哲学となった」と書かれています。

 

OODAループ(Wikipedia)

OODAループ

Wikipediaより引用

OODAループ - Wikipedia

 

 

 苫米地式認定コーチとして、「OODA」について自由に考えてみました。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7383761.html

 

 vol.1Observe

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34753761.html

 vol.2Orient

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34805412.html

 vol.3Decide

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34856133.html

 vol.4Act

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34906708.html

 vol.5;コーチとして思う「OODAループ」の正体

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34957491.html

 vol.6;「OODA」とは〇〇〇そのもの ver.2

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35009043.html

 vol.7;「OODA」の本質とコーチングの真髄

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35059143.html

 vol.8;「OODA」というトリガーが引きだすもの

 

 

 ここまで苫米地式コーチング認定コーチとして、「OODA」について考察しました。

 「OODA」の最初の「O」は「Observe」、観察すること。

 F-321:観自在 <実践編-1;モニタリング>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32969294.html

 

 苫米地式の私たちが行うことは、苫米地博士の教えを指針として、博士が指し示されている目の前の宇宙そのものをしっかりと観ること。そして、自分自身をしっかり観る。さらには

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html

 

 メタ思考をすることで、系の外側に出る

 

 これが「OODA」の本質。そして、これがコーチングの真髄であるはず。

 F-222:コーチングの基本概念を習熟して、エフィカシーをブーストしよう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27832570.html

 

 

苫米地博士は「ほんとうの宇宙は美しい」と語られます。

 

 その「宇宙の美しさ」をイメージしていたとき、私はエリ・ヴィーゼルの言葉を思い出しました。

 

 

愛の反対は憎しみではない。無関心だ

 美の反対は醜さではない。無関心だ

 信仰の反対は異端ではない。無関心だ

 生の反対は死ではない。生と死の間(にあるもの)への無関心だ

 

The opposite of love is not hate, it’s indifference.

The opposite of beauty is not ugliness, it’s indifference.

The opposite of faith is not heresy, it’s indifference.

And the opposite of life is not death, but indifference between life and death.

 

 

エリ・ヴィーゼル(Wikiより引用)

Wikipediaより引用

エリ・ヴィーゼル - Wikipedia

 

 

エリ・ヴィーゼル(Elie Wiesel19282016年)はシゲト生まれ(現在のルーマニアの都市)。シゲトはナチス・ドイツの占領を受け、ユダヤ人であるヴィーゼル一家はアウシュヴィッツの強制収容所に送られました。

そう、収容所体験を「夜と霧」に記した精神科医 ヴィクトール・E・フランクル(Viktor Emil Frankl)と同じ体験です。

(正確にいうと、フランクルがアウシュヴィッツに収監されていたのは3日間。その後別の収容所に移送され、6ヶ月後の19454月にアメリカ軍により解放されました)

PM-04-04収容所生活中にフランクルが発見した「健康」の源泉とコーチングの関係

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8045695.html

 

当時16歳の少年だったヴィーゼルは、囚人番号A-7713という刺青を左腕に彫られたそう。この時、物理空間の身体にだけではなく、情報空間の心にも何かが刻まれたはずです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

 フランスの孤児院で過ごした後にソルボンヌ大学哲学科に進学したヴィーゼルは、新聞に寄稿を繰り返したことが縁でイスラエルの新聞社で働くことになりました。その通信員としてニューヨークに移住した後、1963年に米国に帰化しています。

 その後、暴力・圧政・差別を告発する本を書き続け、1986年にノーベル平和賞を受賞しました。

青春時代の情動記憶が、反暴力・反権力・反差別という強烈なブリーフを作り上げたに違いありません。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

 ゴールを希求する強い思いとゴールとは程遠い現実との大きなギャップは、激しい認知的不協和の原因となり、強大なエネルギーを生みだします。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882652.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/20276623.html

 

 ヴィーゼルは、そんなエネルギーを「私憤」とすることなく、「公憤」として社会に還元し続けました。

 PM-06-11:仮説06)二つの「怒り」とその間にある論理的思考

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14107083.html

 

 そのヴィーゼルの言葉が

 

The opposite of love is not hate, it’s indifference.

The opposite of beauty is not ugliness, it’s indifference.

The opposite of faith is not heresy, it’s indifference.

And the opposite of life is not death, but indifference between life and death.

 

 ヴィーゼルが示しているのは「OObserve」の重要性です。

さらに「抽象度を上げる」という「OOrient」に至ることで、ヴィーゼルは生命力の本質に気づき、宇宙を体感したはず。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 ヴィーゼルの気づきをシンプルに言語化すると「関心」。

 それをコーチングのフレームで言い換えると、「RAS&スコトーマのコントロール」です。

 Q-279~:今までRASとスコトーマは「認識しているものの中から何を選ぶか?」という話だと思っていました

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_422026.html

 

 そんなヴィーゼルの気づきを、さらに抽象度を上げて一言であらわすと「ゴール」。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 

 「OO」により自由(空) → ゴール → 「DA」により現実化(仮) = 中

 

 

 ヴィーゼルの場合、「DA」が反暴力・反権力・反差別のための執筆活動であり、その結果のひとつがノーベル平和賞だったということ。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html

 

 そんな生き方を貫いたヴィーゼルは、苫米地博士と同じように「ほんとうの宇宙の美しさ」を体感していたはずです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353367.html

 

 私自身はまだ「ほんとうの宇宙の美しさ」を感じてはいませんが、そのための方法については確信しています。それが

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5616012.html

 

 

超瞑想としての「OODA」であり、「OODA」の実践としてのコーチング

 

「ほんとうの宇宙の美しさ」(アンカー)を体感する縁起(トリガー)としての「OODA」← コーチング!

 

 

 最後に、おそらく苫米地博士が「ほんとうの宇宙の美しさ」に言及されているのであろう文章を紹介します。博士の著書「思うままに夢がかなう 超瞑想法」(PHPp186)からの引用です。「OODA」との関係を味わいながら読み進めてください。Feel

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 

21世紀はより抽象度の高い「愛」と「縁起」の物語を

 もうひとつ、この終章で伝えておきたいことがあります。

 私たちが超瞑想を行うときに最適な物語を持つ宗教が現代にはないことです。

 お経や聖書が今でも通用する指針であることは確かです。第3章でもそう解説しました。ただ、釈迦やキリストの話が書かれた物語は、1000年以上前にその時代の人に向けられて作られました。彼らの教えは時代を超越していますが、たとえ話などでは現代では通用しない場合もあるのです。

 また、お経の教えを忘れて、私利私欲をむさぼるような仏教徒がいたり、聖書の教えである「愛」を重視するはずのキリスト教徒が戦争を起したり、経典をめぐる状況もおかしなことになっています。

 21世紀にはさらに抽象度の高い、指針となる物語が求められているのです。

 

 いわゆる宗教に限ることはないと思います。実際、共産主義も資本主義などの社会システムも人が生きるための指針となる物語です。

 たとえば資本主義では「一生懸命働いてお金を稼げば、個人は幸せになり、社会全体もよくなる」という物語を持ち、人々はその物語に強い臨場感を持って毎日アファメーションをしながら一生懸命にお金稼ぎをしてきました。しかし、共産主義も資本主義も現代ではどちらも破綻しています。

 宗教もダメ、社会システムもダメ…… 今、私たちはより抽象度の高い瞑想をするための指針を失っています。今、人類に必要なのは、自分たちを高い抽象度へと導いてくれる新しい物語なのです。

 ひとつのアイデアとしては、宗教という概念を超えた超宗教を作り、その経典をまとめる方法があります。具体的にいえば、釈迦の教えとキリストの教えの両方を包摂するような、より抽象度の高い教えがあっていいと思うのです

 突拍子もない考えに聞こえるかもしれませんが、両者の核となる教えは共通しています。実は、キリスト経の「愛」は、仏教の「縁起」と同じ思想なのです。

 釈迦のメッセージは「縁起」です。この宇宙にアプリオリなものはない、すべては縁起によって成り立っている、ということです。

 一方、キリストのメッセージは「愛」、しかも神からの一方的な愛、条件なしの無償の愛であると私は考えます。愛が神から一方的に無条件で注がれるものであるならば、一般的にキリスト教で言われているような契約の概念は不要です。人は、良い行いをしたから愛されるのではなく、無条件で神から愛されるのです。こうした無償の愛は、親が子供を愛するのとまったく同じです。親が子供を無条件に愛するように、神は人類を無条件に愛するのです。

 こうしたキリストの愛の教えのすさまじいところは、神の無条件の愛によって契約の概念を否定することで、神そのものの存在も否定している点です。

 なぜなら契約の否定は、アプリオリ性の否定につながり、アプリオリ性の否定は絶対的な存在=神の否定でもあるからです。

 では、契約によって神から人への愛が生じるのでなければ、愛はいったいどこから生じるのでしょう。

 答えはひとつ。

 

 愛はもともと存在しているのです。

 そして、その愛は何かといえば関係性です。

 愛があるから、この世界はあるのです。

 

 ここに至って、キリストが説いた「愛」は釈迦の「縁起」とイコールになります。なぜなら、どちらも「事物は関係性によって生じる」と説いているからです。

 釈迦の教えとキリストの教えをひとつ上の抽象度から眺めれば、縁起の思想に行きつくのです。

 つまり、縁起の思想、さらには縁起を発展させた空の思想を、より臨場感を持ってわかりやすく瞑想できるような物語をつくればいいのです。

 21世紀の指針となるのは、きっと「愛」と「縁起」を包摂するような高い抽象度の物語になるはずです。

 引用終わり

 

 

 縁起の思想、さらには縁起を発展させた空の思想を、より臨場感を持ってわかりやすく瞑想できるような物語をつくればいい

 

 そのための超瞑想であり、「OODA」であり、コーチング。その実践の過程で自由になり、シンの力(生命力)が覚醒します。

 

 皆さんはその力でどのような物語をつくりますか?

 

 

OODAループ(Wikipedia)

 

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

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今年度のオンラインセミナーは、コーチング募集開始前の「コーチング説明会」として開催します。次回は2025年2月下旬開催の予定です。約1ヶ月前にこのブログで御案内いたします。

 

 

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一緒に楽しみましょう!

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L-05920208月シークレットレクチャー -05;抽象度を高めながら「生と死の間(between life and death)」に向き合う

 

20208月にコーチ向けのレクチャーを行いました。守秘義務を結んだ上で行う全3回の講義の2回目。3回を通しての全体テーマは「現世利益」、キーワードは「トータルペイン(とくにスピリチュアルペイン)」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24505924.html

 

 *初回講義(20207月)はこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_416281.html

 

当日の講義内容をブログ用に再構成してお届けします。

 

 01;たいていの「現世利益」は理想的な現状

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28011261.html

 02;「〇〇〇〇」でゴールの世界に誘う

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28037699.html

 03;「私」の定義(範囲)を拡大・拡張する

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28075823.html

 04;抽象度を上げる秘訣 <ワーク付き>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28095246.html

 05;抽象度を高めながら「生と死の間(between life and death)」に向き合う

 

 抽象度を上げるポイントは3つ。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

1つ目は「抽象度の上がった『高い視点』を発見すること」。2つ目は「『高い視点』から見たものを結び付けて統合すること」。そして、3つ目が「複数の『高い視点』のLUBを考えること」。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8900535.html

 

 「バランスホイール」を「トータルペイン」に置き換えると、前回御紹介したワークの要領で「トータルペインを用いて抽象度を上げるワーク」を行うことができます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24505924.html

 

 

全人的苦痛(トータルペイン)

厚生労働省HP>第2回終末期懇談会 資料2-2より引用

終末期医療に関する懇談会 (mhlw.go.jp)

 

 

LUBLeast Upper Bound、最小上界)とは、「2つ以上の概念の、1つ上の共通の上位概念」のこと。LUBを考えることで、概念をひとまとめにして書き換えることができます。

例えば、「チワワ」と「シベリアンハスキー」のLUBは「犬」。「犬」と「猫」のLUBは「哺乳類」です。「犬」の定義が変わると、自動的に「チワワ」や「シベリアンハスキー」も書き換わります。もちろん、「ブルドッグ」や「ラブラドールレトリバー」も。

さらに、「哺乳類」の次元で変わると、「犬」ごと一括で書き換わることになります。「猫」「牛」「豚」「クジラ」などとともに。

 

 進化発生生物学(Evolutionary developmental biology、通称:エボデボ/evo-devo)は「異なる生物の発生過程を比較してそれらの系統関係を推測し、発生過程がどのように進化したかを示す生物学的研究の分野」です(Wikipediaより)。

 例えば、昆虫と軟体動物と哺乳類を含む脊椎動物の「目」の発生は、pax-6のような同じ遺伝子によって制御されていることが判明しているそう。

 このような研究により、これまでの知識が大きく書き換えられることが起こりえます。高次の抽象度次元での書き換えであるほど、より多くの情報が一気に書き換わることになります。それが「概念をひとまとめにして書き換える」です。

 

 高い抽象度次元で書き換えると、その下の階層すべての情報が書き換わる

 

 もしも「トータルペイン(total pain)」という抽象度でペイン(pain)をウェルビーイング(well-being)に書き換えたならどうなるでしょうか?

 

 もちろん、身体的にも(physical)、心理・精神的にも(mental)、社会的にも(social)、そしてスピリチュアルという点においても(spiritual)、すべてにおいてウェルビーイングになることができます。
 それが苫米地流健康の秘訣であると私は思っています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7859896.html

 

 WHOの健康の定義が「身体的」「心理・精神的」「社会的」「スピリチュアル」の次元でそれぞれcompleteというのであれば、その実現(持続)は絶対に不可能です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7859675.html

 

しかし、LUBである「total」という次元でcompleteを目指すことは可能。そのために

 

抽象度を高めながら「生と死の間(between life and death)」に向き合え!

 

 それがヴィーゼルが下記の言葉に込めた思いであるような気がします。

 L-0372020年4月… -06;「ヴィーゼルの言葉」を超越する

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26744273.html

 

 

愛の反対は憎しみではない。無関心だ

 美の反対は醜さではない。無関心だ

 信仰の反対は異端ではない。無関心だ

 生の反対は死ではない。生と死の間(にあるもの)への無関心だ

 

The opposite of love is not hate, it’s indifference.

The opposite of beauty is not ugliness, it’s indifference.

The opposite of faith is not heresy, it’s indifference.

And the opposite of life is not death, but indifference between life and death.

 

エリ・ヴィーゼル(19282016年) 
1986
年にノーベル平和賞を受賞したハンガリー(当時)出身のユダヤ人作家

 

 

抽象度を高めながら「生と死の間(between life and death)」に向き合う

 

 そして、それは「現世利益」のための最大のポイントともいえるはずです。

 

L-060につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

-追記-

高い抽象度次元で書き換えると、その下の階層すべての情報が書き換わる

 

“高い抽象度次元”を「本質」や「リーダーの役割」に、“その下の階層”を「方法論」や「マネジメントの機能」に例えると理解が深まるはず。こちらをどうぞ↓

 PM-06-17:仮説12)リーダー、マネジメント、コーチの役割と抽象度の関係

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14526054.html

 Q-176:コーチはリーダーとマネージャーの役割・機能を持つと考えてよいのでしょうか?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25016029.html

 

 

-関連記事-

L-032~20204月シークレットレクチャー

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_413332.html

 

 

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 今年度(2021-22年)は計8回のオンラインセミナーを計画しました。1年間を通してのテーマは「Well-being」。

 F-176~:“幸福(well-being)”とは? ~antiwithwellpart

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_408326.html

 

 最終回は2022220日(日)開催。テーマは「Total Well-being ~『total』に秘められた生命力を知る~」です。詳細はこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27953269.html

 

 超情報場でお会いしましょう!

 

<お問い合わせ・申し込み>

 coachfor.m2@gmail.com

 

 

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 クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。

次回は「R4.2/19土 午前9時」開催。20分間(~最長30分)です。一緒に楽しみましょう!

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28116052.html

 

 


L-03720204月シークレットレクチャー -06;「ヴィーゼルの言葉」を超越する

 

20204月にコーチ向けのレクチャーを行いました。守秘義務を結んだ上で行う3回の講義の最終回。メインテーマは「スピリチュアルペイン」で、サブテーマは「自由」(1月)、「貢献」(3月)、「超越」(今回)です。

L-001~20201月シークレットレクチャー

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_407080.html

 L-023~20203月シークレットレクチャー

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_411419.html

 

当日の講義内容をブログ用に再構成してお届けします。以下の課題について、ぜひ自分自身のオリジナルな解を見つけ、感じてください(Don’t think, feel!)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14120540.html

 

1:四苦を超越する

 2:ヴィーゼルの言葉を超越する

3:スピリチュアルペインを超越する

 

 

 01;「自由」「貢献」につづく言葉

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26588304.html

 02;「四苦」「ヴィーゼルの言葉」「スピリチュアルペイン」の関係性

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26626963.html

 03;「自由」とゴールと「貢献」の関係

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26648449.html

 04;エフィカシーとは縁起の結実の確信

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26686871.html

 05;「四苦」を超越する

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26705888.html

 06;「ヴィーゼルの言葉」を超越する

 

 「生きている誰もが、老い、病み、そして死を迎える」という事実を、私たちはどのように受け入れればよいのでしょうか?

 「死」という未来(=人生のはじまり)に、どのようなゴールを設定するべきでしょうか?

 

 上記問いの答えを見いだすために、「四苦」「ヴィーゼルの言葉」「スピリチュアルペイン」を超越していきましょう。

 

 

 次に「ヴィーゼルの言葉」の超越です。

 

 前回は「四苦」の超越でした。四苦とは「生老病死」のこと。その現象は物理空間に限定されています。物理空間とは情報空間の底面のことです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

 したがって、「四苦」の超越は、より抽象度の高い次元に臨場感を感じることで実現できます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 「四苦」を超越すると「情報的には死ぬことはない(消滅しない)」ことがわかります。もっと正確に表現すると「滅するとはいえず、滅しないともいえない」という感じ。「空(くう)」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353367.html

 

 今回の「ヴィーゼルの言葉」も同じ。

たとえ「生と死の間(between life and death)」に関心を持ち続けたとしても、その関心が物理空間に限定されているのであれば、それは「四苦」に囚われることと同義です。

 

 

 愛の反対は憎しみではない。無関心だ

 美の反対は醜さではない。無関心だ

 信仰の反対は異端ではない。無関心だ

 生の反対は死ではない。生と死の間(にあるもの)への無関心だ

 

The opposite of love is not hate, it’s indifference.

The opposite of beauty is not ugliness, it’s indifference.

The opposite of faith is not heresy, it’s indifference.

And the opposite of life is not death, but indifference between life and death.

 

 

 重要なので繰り返しますが、「生と死の間」に関心を持ち続けることでヴィーゼルのいう「生」を全うしたとしても、低抽象度に留まり続ける間は苦から逃れられません。徳川家康の遺訓とされる「人の一生は重荷を負ふて遠き道を行くが如し」ではないですが、生きることも死ぬこともhave toであり続けるでしょう。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882609.html

 

 やはり、鍵は「抽象度」。

 

ヴィーゼル自身は抽象度の高い視点でもっと大きなことを伝えたかったはずです。なぜなら、「生」とともに取り上げられた「愛」「美」「信仰」はすべて高次の情報空間上の概念だから。

それらに続き「生」に言及したことには、「『生死』を物理空間だけではなく、より高次元(願わくば全抽象度)で捉えて欲しい」という思いが込められているはずです。

 

 では、全抽象度次元で捉えた場合の「生と死の間」とはどのようなものでしょうか?

 

 私の答えは「縁起による無限の可能性」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 それはゴールのポイントの1つ「自分中心を捨て去ること」を実践し続けることで宇宙中にひろがっていく「自我」のことでもあります。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html

 

 鍵は「抽象度」。

 

 抽象度が上がるほど具体的な情報量は減っていきます。

しかし、その一方で、抽象度が上がるほど潜在的な情報量はむしろ増えていきます。「潜在的な情報量」を「可能性」に置き換えると、抽象度が上がるほど可能性は大きくなるといえます。

例えば、「動物」は「犬」より具体的な情報量は少ないのですが、「猫」も「牛」も「豚」も潜在的に含んでいます(=包摂)。「犬」の抽象度では「猫」「牛」「豚」である可能性は閉ざされますが、「動物」の抽象度に上がると、「猫」や「牛」や「豚」である可能性が開かれます。もちろん、「鳥」や「魚」の可能性も。

さらに「動物」と「植物」を包摂する「生物」の抽象度まで上がると、「犬」はもちろん、「木」や「花」の可能性も生まれます。

 

抽象度が上がるほど増える潜在的情報量(=可能性)で考えると、宇宙は逆円錐のような構造とイメージしなおすことができます。

(情報空間の階層が円だという意味ではありませんw

 

潜在的情報(可能世界)

 

 繰り返しますが、緑色の逆円錐で示されているものは潜在的情報量(=可能性)です。潜在的情報量が最も少ない(=具体的情報量が最も多い)抽象度0の次元が物理空間ですので、逆円錐の頂点は物理空間上に存在すると考えることができます。

 情報空間の底面である物理空間のイメージ(赤枠の平面)を重ねるとこんな感じになります。

 

潜在的情報(可能世界)と物理空間

 

 ヴィーゼルのいう「生と死の間」とは、物理空間(上図の赤い平面部分)に限定されるものではありません。その高次の情報宇宙に広がる可能性すべて(緑色の逆円錐)です。

 

 つまり、「生」とはあらゆる可能性が結実している刹那瞬のこと(一期一会)。

底面(物理空間)に結実した刹那瞬から高次の抽象度次元に気を向けると、情報空間いっぱいにひろがる無限の可能性こそが「生」であることがわかります(一念三千)。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23177616.html

 

 その理解と体感が「ヴィーゼルの言葉」の超越です。

 

L-038につづく)

 

 

苫米地式認定コーチ                       

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

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-告知-

 2021829日(日)にコーチングフェスタ2021が開催されます!

苫米地式コーチング認定マスターコーチ 青山龍さんが主催される「クライアントとコーチが出会う場となるオンラインイベント」です。すでに申し込みはスタートしています。

じつは、私 CoacH Tも参加させていただきます。

超情報場でお会いしましょう!

 

 ▼コーチングフェスタ2021詳細▼

 http://aoyamacoach.com/coaching-festa-2021/

 

   

L-00920201月シークレットレクチャー -09;抽象度の高い視点により混沌(カオス)からシンプルな法則を見いだす感覚

 

20201月にコーチ向けのレクチャーを行いました。守秘義務を結んだ上で行う3回の講義の初回。メインテーマは「スピリチュアルペイン」で、初回のサブテーマは「○○」。

その講義内容をブログ用に再構成してお届けします。

ぜひサブテーマを想像しながらお読みください(漢字二文字ですw)。スピリチュアルペインやトータルペインは過去のブログ記事でも取り上げていますが、きっと新たな発見に驚くはずです。

 

 01;「全人的苦痛(トータルペイン)」と「4つの苦痛」の関係

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24505924.html

 02;身体的苦痛

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24553696.html

 03;身体と心は○○○○ -前編-

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24575354.html

 04;身体と心は○○○○ -後編-

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24617501.html

 05;「4つの苦痛」と健康(well-being)の関係

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24642277.html

 06;「4つの苦痛」(部分)どうしの関係

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24682654.html

 07;スピリチュアルペインとは?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24706915.html

 08;スピリチュアルペインへの対処は、いつから、どこで、行われるべきか?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24746334.html

 09;抽象度の高い視点により混沌(カオス)からシンプルな法則を見いだす感覚

 

よって、スピリチュアルペインへの対処は、人生の最終段階(end of life stage)での緩和ケアとしてだけではなく、思春期にこそ行うべきです。家庭や学校において。

もちろん、そのためにコーチングがとても役に立ちます。“現状の外”にゴールをどんどん設定していくことで、ブリーフシステムを未来側から作り直すことができるからです。“自分”自身の想像力によって、「自己の存在と意味」を創造することができます。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html

 

スピリチュアルペインは思春期からはじまっている

ところが、大人になっていく間に、いつの間にかスコトーマに隠れてしまいます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 

 エリ・ヴィーゼル(Elie Wiesel19282016年)という人物を御存知でしょうか?

 

 ヴィーゼルは現在のルーマニア シゲトに生まれました。シゲトはナチス・ドイツの占領を受け、ユダヤ人であるヴィーゼル一家はアウシュヴィッツの強制収容所に送られたそうです。当時16歳の少年だったヴィーゼルは、囚人番号A-7713という刺青を左腕に彫られました。この時、物理空間の身体にだけではなく、情報空間の心にも何かが刻まれたはずです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

 フランスの孤児院で過ごした後にソルボンヌ大学哲学科(仏)に進学したヴィーゼルは、新聞に寄稿を繰り返したことが縁でイスラエルの新聞社で働くことになったそうです。その通信員としてニューヨークに移住した後、1963年に米国に帰化しました。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 その後、暴力・圧政・差別を告発する本を書き続け、1986年にノーベル平和賞を受賞しました。青春時代の情動記憶が、反暴力・反権力・反差別というブリーフを作り上げたのでしょう。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

 平和を希求する強い思いと平和とは程遠い現実との大きなギャップは、激しい認知的不協和の原因となり、強大なエネルギーを生みだしました。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882652.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/20276623.html

 

 そしてヴィーゼルは、そのエネルギーを「私憤」とすることなく、「公憤」として社会に還元し続けました。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14107083.html

 

 これから御紹介するのは、そんなエリ・ヴィーゼルの言葉です。

「抽象度の高い視点により混沌(カオス)からシンプルな法則を見いだす感覚」をぜひ感じてください。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 それは「絶望の中で見いだした希望が育て、自身を導くゴールが磨き上げる“光”」に触れるような体感です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23743308.html

 

 

 愛の反対は憎しみではない。無関心だ

 美の反対は醜さではない。無関心だ

 信仰の反対は異端ではない。無関心だ

 生の反対は死ではない。生と死の間(にあるもの)への無関心だ

 

The opposite of love is not hate, it’s indifference.

The opposite of beauty is not ugliness, it’s indifference.

The opposite of faith is not heresy, it’s indifference.

And the opposite of life is not death, but indifference between life and death.

 

エリ・ヴィーゼル(19282016年) 
1986
年にノーベル平和賞を受賞したユダヤ人作家

 

 

L-010につづく)

 

 

苫米地式認定コーチ                       

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-関連記事-

PM-04~:苫米地理論で見える医療・福祉現場のスコトーマ(目次)

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13076878.html

Q-064~:認知的不協和の状態にあり頭痛が続いています。適切なアファメーション、ビジュアライゼーションはどうすればよいでしょうか?

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Q-073~180804医療講演会レポート

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F-122:免疫力をあげる!

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/21245972.html

S-03-00:心のエネルギーとは何か? ~カナックス事件に学ぶ“心のエネルギー”をコントロースする方法~(目次)

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/19879680.html

 

 

-告知-

 青山龍苫米地式認定マスターコーチと私 CoacH Tとのコラボ企画「Fight Coaching ProjectFCP)」がはじまっています(20206月~、月額制)。テーマは「マインド(脳と心)の健康」です。

 参加される皆さんの疑問・質問にもお答えする1年間の双方向(インタラクティブ)オンラインコミュニティの中で、徹底的に「マインドの健康」を追求したいと思っています。

一緒にさらなる“現状の外”へ飛びだしましょう!

(詳細は下記サイトで↓ FCPのみの受付は終了いたしましたが、青山コーチのコーチングクラブ2020に入会することで視聴できます)

http://aoyamacoach.com/fcp/

 

 

エリ・ヴィーゼル(Wiki.、1945年4月)

1945416日ブーヘンヴァルト強制収容所にて

下から2段目、左から7番目がエリ・ヴィーゼル

Wikipediaから引用

 


Q-150191019/20 鹿児島セミナーレポート -07;「“今”を生きる」の生きるとは?

 

201910月に、鹿児島県鹿児島市(191019)と霧島市(191020)で、一般向けのコーチングセミナーを開催しました。両会場ともテーマは「万全の心身で“今”を生きる」。

ぜひ「人生の最終段階(End of Life Stage)でのゴール(機能・役割)」についてイメージしながら読み進めてください。

 

 01;セミナー概要

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/22818842.html

 02;「未来からの時間の流れ」~未来をうみだすもの

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/22896681.html

 03;「時間の流れにのる」~時間の流れにのった結果、到達するのはどこ?

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/22979265.html

 04;「万全の心身」~心と身の関係は?

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/23037529.html

 05;「万全の心身」~心身が万全(=健康)とは?

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/23108517.html

 06;「“今”を生きる」~“今”とは?

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/23177616.html

 07;「“今”を生きる」~生きるとは?

 08;「“今を生きる」~“今”を生きるために必要/重要なことは?

 

 

07;「“今”を生きる」~生きるとは?

 

 セミナーのテーマは「未来からの時間の流れにのって、万全の心身で“今”を生きる」。

時間の流れの源である未来をうみだすものはゴール。その流れにのった結果到達するのは「空(くう)」のはずです。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5615935.html

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6353367.html

 

 「“今”を生きる」というときの “今”とは「あらゆる可能性が結実している刹那瞬」。

次に“生きる”の部分を考えていきましょう。

 

 ところで、皆さんは“生きる”の反対の言葉は何だと思いますか?

“生きる”と真逆の状態について、どのようなイメージが浮かびますか?

 

 私は、コーチ兼医師として、医療や介護の現場でよくお話をさせていただきます。職員向けの研修(コーチングを応用したリスクマネジメント研修やリーダー研修など)だけでなく、患者・利用者さんやその御家族向けに健康講話を行う機会もあります。

 その際によく引用しているのがノーベル平和賞受賞作家 エリ・ヴィーゼル(19282016年)の下記の言葉です。

 

 

 愛の反対は憎しみではない。無関心だ

 美の反対は醜さではない。無関心だ

 信仰の反対は異端ではない。無関心だ

 生の反対は死ではない。生と死の間(にあるもの)への無関心だ

 

The opposite of love is not hate, its indifference.

The opposite of beauty is not ugliness, its indifference.

The opposite of faith is not heresy, its indifference.

And the opposite of life is not death, but indifference between life and death.

 

 

 ヴィーゼルは生(Life)の反対を「生と死の間(にあるもの)への無関心」としました。ということは、ヴィーゼルにとっての“生きる”とは「生と死の間(にあるもの)に関心を持つ」ということ。

 

 私は、コーチとして、このヴィーゼルの言葉に大賛成です。

 ゴールを自分の自由意志で設定するからこそ、「生と死の間(にあるもの)に関心を持つ」ことができます。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5615935.html

 

 ゴールに向かう日々の中で「本当は自我の問いが生まれる思春期にはすでに生じているのに、いつの間にかスコトーマに隠れてしまっている“スピリチュアルペイン”」を克服していきます。それこそが“生きる”ということです。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/8293317.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5721610.html

 

Q-151につづく)

 

 

苫米地式認定コーチ                       

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-追記1

 ヴィーゼルの言葉とゴールやスピリチュアルペインとの関係等について、霧島市(鹿児島県)で行った「市民健康教育講座(180804)」のレポートにまとめています↓

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/cat_318161.html

 

 

-追記2

ヴィーゼルの言葉を知った時、私は釈迦の「みかんの教え」を思いだしました。以下、苫米地博士の著書「人生を劇的に好転させる自己洗脳ルール44」(学研プラス)から引用します。

 

ルール8 1分間、息を止めてみる

 「一日が24時間よりも長かったらいいのに」なんて思ったことはないでしょうか。中にはいつも「どうしてこんなに時間がないのだろう」なんて思いながら、忙しいことを何もしない言い訳に使っている人もいるようです。

 本当にそんなに時間がないのでしょうか。一度、自分自身の時間がどんなふうに使われているか、細かく調べてみるといいでしょう。時間の使い方についてきっちりと精査してみると、案外、無駄な時間が多いことに気がつくはずです。

 「いや、それでもやっぱり時間が足りない」という人は、試しに時計を見ながら「1分間」だけ息を止めてみましょう。

 これをやってみると、1分間という時間がいかに長いかを実感することができます。1分間息を止めてみると、たったの1分なのになかなか過ぎていってくれません。息が苦しくなって「早く1分経ってくれ」と思っても、秒針はゆっくりゆっくり進みます。1分ってこんなに長かったのか」と再認識させられることでしょう。

 それまで1分間という時間がどれほど長いのか実感できていなかったはずです。たった1分間でも集中して何かをやれば、かなりいろいろなことができます。そのことがわかるだけでも、大きな気付きでしょう。

 

 1分間息を止める効果には、もう一つ、大きなものがあります。それは、普段はほとんど意識していない「自我」というものを意識できるということです。

 人は本来、いつでも自我というものを意識して、自分を見続けていなければならないはずなのですが、ほとんどの人は自分というものを意識して見ることをしていません。当然、自分に対する気付きもありません。自我を見つめることができなければ、自我を確認することはできません。

 息を止めている間は、息を止めることに集中しているはずです。自分の呼吸(止めている呼吸)に集中しているわけですから、この瞬間だけは少なくとも自我を見つめていることになります。自分の呼吸を意識に上げるためには、どうしても自分というものを意識せずにはできません。

 こんな話があります。釈迦は菩提樹の下で悟りを開いたあとで、子どもたちからみかんをもらい、そのみかんを他のお腹をすかせた子どもたちに配りました。そのとき、釈迦はみかんをもらった子どもたちに「みかんをよく見て、ひとつひとつよく噛んで、味わいなさい」と言います。そして、「ほら、たしかにみかんはあったでしょう」と言うのです。

 みかんの色つや、手触り、におい、味といったものを感じてこそ、みかんの存在が確かめられるのです。何も考えずにぼ~っとテレビを見ながら、何個食べたのかもわからないくらいぱくぱく食べたのでは、みかんを食べたことすらすぐに忘れてしまい、それではみかんは存在していなかったのと同じことだということを釈迦は子どもたちに言いたかったのです(この時代、テレビはありませんが)。

 人生も同じです。意識して、自分というものを見て、聞いて、触れて、嗅いで、味わってこそ、存在が確かめられるのです。テレビを見て、げらげら笑っているだけでは、存在していないのと何ら変わりません。

 

 息を止めることで、自我を意識でき、生きている自分の存在を確認できます。今、私は間違いなく生きていると確認できるのです。

 生きている自分という存在を確認するために、1分間、息を止めてみましょう。そして、1分間という長さを実感しましょう。時間がないと思っていたことが、実はただ時間を無駄にしていただけなのではないかと思えるようになっていきます。時間を有効に使うように、生活パターンも変わってくることでしょう。

 なお、苦しくなったり、気分が悪くなったときは、無理せずにすぐに呼吸をするようにしましょう。また、何度も続けてやると、酸素不足になって脳に悪い影響を及ぼす恐れもありますので、あくまでも試しに一度やってみるという程度にしてください。一度、1分間の長さを実感したらそれを忘れないようにして、普段は普通の呼吸を意識してみるようにするといいでしょう。

 引用終わり

 

 本文より引用の方が長くなってしまいましたw

 「1分間息を止めるワーク」の次は、下記記事中のワークをどうぞww

 F-140~:不要不急

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/cat_400247.html

 

 

-告知-

 青山龍苫米地式認定マスターコーチと私 CoacH Tとのコラボ企画「Fight Coaching Project」がはじまっています(20206月~、月額制)。テーマは「マインド(脳と心)の健康」です。

 参加される皆さんの疑問・質問にもお答えする1年間の双方向(インタラクティブ)オンラインコミュニティの中で、徹底的に「マインドの健康」を追求したいと思っています。

一緒にさらなる“現状の外”へ飛びだしましょう!

(お申し込みはこちら↓)

 http://aoyamacoach.com/fcp/

 

 

-関連記事-

Q-064~:認知的不協和と頭痛(ヒーリングとコーチングの関係)

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/cat_292583.html

F-038~:「若いうちはやりたいこと なんでもできるのさ♪」

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/cat_268333.html

F-044~:笑顔のままお亡くなりになった患者さんから学んだこと

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/cat_268334.html

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人生を劇的に好転させる自己洗脳ルール44




Q-077180804医療講演会レポート vol.5:とても心配していましたが、お元気そうでよかった

 

 201884日(土)に、鹿児島県霧島市で開催された「市民健康教育公開講座」にて講演をさせていただきました。全体のテーマは「がんの総合ケアと疼痛マネジメント」。私のパートは「がんはもう痛くない!? ~全人的苦痛に対する認知科学的対処法(ワーク付き)~」というタイトルでした。

 その講演について、当日の内容に補足を加えながら御紹介します。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/cat_318161.html

 

最終回である今回は講演直後に会場で伺った驚きの情報をもとに、「全人的苦痛に対する認知科学的対処法」について再度考察します。

 

 

 講演ではノーベル平和賞受賞作家 エリ・ヴィーゼルの言葉を引用しながら、「生と死の間にあるもの」に関心を持つことの重要性を、スピリチュアルペインと関連づけてお話ししました。

 

 その講演を最前列で熱心に聞いている御夫婦がいらっしゃいました。

 

 お二人は私がかつて院長を務めていた病院をときどき受診されていた方です。その年(2018年)の2月で定期通院していた霧島リハビリテーションセンターが閉院することになり、春から私の外来を受診する予定になっていました。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/8292241.html

 

 しかし、私は「だまし討ち」により突然追いだされてしまったので、お二人を外来で担当させていただくことはありませんでした。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/13628437.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/cat_124527.html

 

 講演が終わった後、私を招いたくださった病院長や先生方へのご挨拶を終えると、そのご夫婦が笑顔で声をかけてくださいました。

 

 「とても心配していましたが、お元気そうでよかった」

 

 言葉の意味が理解できず困惑している私の様子に気づいたのか、お二人は状況を詳しく教えてくださいました。

 (意味が理解できなかったのは、ゲシュタルトができていなかったからです)

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6193912.html

 

簡単にまとめると、

 ・病院のスタッフは先生が突然来なくなった理由を一切教えてくれない

 ・だから、急病で倒れたんじゃないかと心配していた

 ・実際に「緊急の手術を受けて、今もまだ入院しているらしい」という噂を聞いていた

 ・深刻な状況だと思っていたので、とても元気そうで安心した       

 ということでした。 

 

 苦笑いを我慢しながらお二人にどのように説明しようかと考えていると、衝撃的な質問をされました。

 

「先生、いつから外来診療に復帰されますか?」

 

 本当に何も知らないことに驚きながら、「病院の顧問弁護士からの突然の通知で働けない状況に追い込まれたこと」「病院が申し立てた調停の結果、20186月末で正式に退職となったこと」などをお伝えしました。

 

すると、お二人はとても混乱した御様子で、「病院の外来担当表には今でも(20188月時点)先生の名前が記載されていますけど」「(スタッフは)『復帰はまだわかりません』と繰り返すばかりで、退職のことなど一切口にしませんけど」と絶句されていました。

 

 

御夫婦と別れた後、今度はそのやりとりを近くで聞いていた別の方に「先生はなんでそんなに前向きなのですか?」と質問されました。その時、私は、まだ院長として働いていた頃に大先輩の医師(鹿児島での苫米地博士の講演中に絵を描かれた先生)から、「いつもこんな目にあわされているのに、なんで明るく振る舞えるのか?」と質問されたことを思いだしました。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/7030948.html

 

 答えは「ゴールがあるから」です。そして、「ゴールを達成できると確信しているから」。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5615935.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5616012.html

 

 ゴールを設定すると、未来から流れ始める時間を感じながら日々をフルに生きることができるようになります。そして、すべてがゴール実現のための大切な縁起であると感じることができるようになります。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6542317.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6353044.html

 

 それは「何事も自分に都合よく統合している」状態です。「自分に都合よく」というのは、「自分勝手」とは違います。むしろその逆で、「自分が100%正しいという考えを手放すこと」で可能となります。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6193912.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6194669.html

 

 いずれにせよ大切なのは、「すべて自分の力で自由に行える」とはっきり自覚すること。

 すべてが自身のマインド(脳と心)で行うことであり、そのはじまりがゴール設定です。

それをコーチングの元祖 ルー・タイス氏は「すべての意味のある、永続的な変化は、まず心の内側に始まり、それから外に広がっていく」と表現しました。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/8583393.html

 

 反対に、“現状の外”にゴールを設定しないことは、とても危険なことです。

過去のブログ記事に「コーチングを全否定するのは経営サイドの自由だと今でも思っています」と書きましたが、経営に携わる者やリーダーは必ずゴールを設定し、そして更新し続ける存在であるべきです。さらに関わる方々にその術を教え広げる存在であるべきです。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/12658417.html

 

なぜなら、ゴールがないとスコトーマが外せず、「生と死の間にあるもの」をいつまでたっても見つけることができないから。ヴィーゼルの言葉を突き詰めれば、それは生きていないことと同義です。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5721610.html

 

思考停止している間はそんなに苦しくないかもしれません。しかし、いつか必ずスコトーマが外れ、苦を実感する時がやってきます。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/14120540.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/8045953.html

 

 それが人生の終盤(End of Life Stage)であったとしても、緩和ケアの取り組みにコーチングを活かすことで解決できると私は信じていますが、なるべく早く自分自身の「生と死の間にあるもの」に気づくにこしたことはありません。命は有限なのだから。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/11301259.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/11386276.html

 

 

 私がかつて在籍した病院の経営陣と同様に、事実を隠蔽し、記録を改ざんし、嘘を重ねごまかし続けようとする人たちは少なからず存在します。国家レベルにおいても。

しかし、そのような人たちに未来はありません。そのような人たちがリーダーのままだと組織(集団)にも未来はありません。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/14401412.html

 

“自分”という存在に対する責任、今回のテーマでいうと「生と死の間にあるもの」への関心と自覚がないため、現状を決して抜けだせないからです。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/13628746.html

 

成功の反対は失敗ではありません。無関心です。

幸福の反対は不幸ではありません。無関心です。 

 

人の本当の苦しみは、「生と死の間にあるもの」に対する無関心から生じています。コーチングでいうとゴール設定ができておらず(あるいは失敗していて)、エフィカシーが低いままの状態。

 

「もうどうでもいいです」

「別にどうなったってかまいません」

 

そんな思いを感じている方は、ぜひコーチングを学んでください。そして今すぐ(できることからでいいので)実践しはじめてください。

 

ゴールを設定(更新)しエフィカシーを取り戻しながら挑んでいくうちに、「生と死の間にあるもの」を見つけ、無関心の反対、すなわち「生きている」状態に戻ることができます。

 

そして、それは「全人的苦痛に対する認知科学的対処法」の根底にあるべき“スピリチュアルペイン克服”の第一歩であるはずです。

 

 

 愛の反対は憎しみではない。無関心だ

 美の反対は醜さではない。無関心だ

 信仰の反対は異端ではない。無関心だ

 生の反対は死ではない。生と死の間にあるものへの無関心だ

 

The opposite of love is not hate, it’s indifference.

The opposite of beauty is not ugliness, it’s indifference.

The opposite of faith is not heresy, it’s indifference.

And the opposite of life is not death, but indifference between life and death.

 

エリ・ヴィーゼル(19282016年) 
1986
年にノーベル平和賞を受賞したハンガリー(当時)出身のユダヤ人作家

 

 

 

 

苫米地式認定コーチ                        

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-追記-

医療・福祉施設での研修・講演やコーチング導入等につきましては、下記メール宛に御連絡ください。喜んで伺います。もちろんパーソナルコーチングも受け付けております。

連絡先(メール):coachfor.m2@gmail.com

 

 

-関連記事-

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6854056.html

 

The Power of Mind Ⅰ」第四章:苫米地理論で見える医療・福祉現場のスコトーマ

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/cat_124524.html

 

第四章目次

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/13076878.html

 

 

エリ・ヴィーゼル(Wikiより引用)

エリ・ヴィーゼル

Wikipediaより引用



Q-076180804医療講演会レポート vol.4:コーチングが“痛み”に有効な理由

 

 

 愛の反対は憎しみではない。無関心だ

 美の反対は醜さではない。無関心だ

 信仰の反対は異端ではない。無関心だ

 生の反対は死ではない。生と死の間にあるものへの無関心だ

 

The opposite of love is not hate, it’s indifference.

The opposite of beauty is not ugliness, it’s indifference.

The opposite of faith is not heresy, it’s indifference.

And the opposite of life is not death, but indifference between life and death.

 

エリ・ヴィーゼル(19282016年) 
1986
年にノーベル平和賞を受賞したハンガリー(当時)出身のユダヤ人作家

 

 

 201884日(土)に、鹿児島県霧島市で開催された「市民健康教育公開講座」にて講演をさせていただきました。

 全体のテーマは「がんの総合ケアと疼痛マネジメント」。私のパートは「がんはもう痛くない!? ~全人的苦痛に対する認知科学的対処法(ワーク付き)~」というタイトルでした。

 

 その講演について、当日の内容に補足を加えながら御紹介します。最後は講演直後に会場で伺った驚きの情報をもとに、「全人的苦痛に対する認知科学的対処法」について再度考察します。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/15099158.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/15237306.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/15395389.html

 

 

前回(Q-075)は、「早期から終末期まで病期を問わず、また心身の問題だけでなく、生活の不安や社会復帰までの道のりなども含め、幅広く支援する」のは(理想的には)全医療職の役目であり、そのためのコーチングの導入とフォローをプロコーチがしっかりと行うべきべきであることを書きました。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/15395389.html

 

 プロコーチがしっかりと介入し、医療・介護従事者がコーチングスキルを活かせるようになると“いのちの現場”でハッピーが広がり、結果として健康が実現します。患者さんやその家族はもちろん、医療・介護従事者自身にとっても。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/7859896.html 

 その一例として、PM-07-01において、ある特別養護老人ホームで経験した事例を御紹介しました(コーチが介入していたかはわかりませんが、間違いなくゴールの共有は行われていたはずです)。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/15237057.html

 

 じつは、その話には続きがあります。

 鹿児島の施設に入所していた105才の母親は、とても不安が強く、たびたび痛みや呼吸苦を訴えていました。ひとたび訴えが始まると、火がついたかのような激しい叫びがつづきました。ところが、娘の面会の後は、(しばらくですが)その訴えがおさまったのです。

 

 きっと皆さんも、心理状態により、痛みが増強したり軽減したりした経験をお持ちのはずです。昔は単純に「気のせい」とされていましたが、最新の研究はその仕組みを解き明かしつつあります(さらにいうと、すでに認知科学者 苫米地英人博士により理論化されています。博士が公開された範囲内で下記ブログ記事にまとめています)。

  http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/cat_292583.html


 

 当日(201884日)の講演では、NHKの「今日の健康」(201875日放送回)の内容に沿って説明しました。

 

 疼痛対策の鍵となるものは「ドーパミン(dopamine)」です。ドーパミンとは、“行動”を促す中枢神経系の神経伝達物質です。

 

ドーパミンは食事で摂取したフェニルアラニンやチロシンを元に作られ、興奮した状態をつくるアドレナリン、不安や恐怖を引き起こすノルアドレナリンに変わります。

かつてはアドレナリンやノルアドレナリンの単なる前駆物質と考えられていましたが、ドーパミンそのものに、運動調節、ホルモン調節、快の感情や意欲・学習に関わる重要な働きがあることがわかってきました。

 

そのドーパミンが減ると運動や思考が緩慢になってしまいます。

一般でも10歳老いるごとに10%のドーパミンニューロンが死滅するといわれており、年をとるごとに物理空間での身体の運動や情報空間での思考のスピードが遅くなる原因とされています。

病的にニューロン死が起きた結果ドーパミンが不足してしまう病気がパーキンソン病です。反対に、ドーパミンが増えすぎると幻覚や妄想などの問題を生じます。

 

そんなドーパミンは、1)うれしい・楽しい状態で、2)ストレスがないと、中脳にある腹側被蓋野(ふくそくひがいや、VTAVentral Tegmental Area)から放出されます。

 

すると、大脳基底核を構成する腹側線条体の側坐核(そくざかく、NAccNucleus accumbens)からμオピオイドが大量に放出され →セロトニン・ノルアドレナリンといった神経伝達物質が放出され →痛みの信号を脊髄で抑制する(=痛みをスコトーマに隠す)といった変化が起こります。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5721610.html

 

つまり、「うれしい・楽しい状態」で「ストレスがない」と痛みから解放されるのです。

 

反対に、不安・恐怖などによるストレス状態やうつ状態が続くと、ドーパミンが放出されにくくなり、痛みをやわらげる仕組みが働きにくくなってしまいます。実際にストレスを感じている人ほど側坐核の機能が低下し、μオピオイドの放出が減少することが明らかになっています。

 

ストレスは、人間を一時的に退化させる(ファイト・オア・フライト)だけでなく、苦痛も増強してしまうのです。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/8164566.html

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/8166289.html

 

よって、医療や介護現場でのコーチングの実践はとても重要になります。

ゴールとして「うれしい」「楽しい」「すがすがしい」「誇らしい」「気持ちがいい」といった何かを未来側に設定することができると、ドーパミン放出を増やし、結果として痛みから解放されることができます。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5615935.html

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6542317.html

 

それはスピリチュアルペインを克服するための「自分の存在や意味」を見いだすことであり、「生と死の間にあるもの」を創造することでもあります。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/15237306.html

 

 (Q-077につづく)

 

 

苫米地式認定コーチ                        

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-追記-

 ドーパミンは痛みだけではなく、「抽象度」とも大いに関係します。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/8749123.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/8900535.html

 

 

-関連記事-

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6854056.html

 

The Power of Mind Ⅰ」第四章:苫米地理論で見える医療・福祉現場のスコトーマ

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/cat_124524.html

 

第四章目次

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/13076878.html

 

 

180804市民公開講座-4



Q-075180804医療講演会レポート vol.3:「生と死の間にあるもの」を見つけるワーク

 

 

 愛の反対は憎しみではない。無関心だ

 美の反対は醜さではない。無関心だ

 信仰の反対は異端ではない。無関心だ

 生の反対は死ではない。生と死の間にあるものへの無関心だ

 

The opposite of love is not hate, it’s indifference.

The opposite of beauty is not ugliness, it’s indifference.

The opposite of faith is not heresy, it’s indifference.

And the opposite of life is not death, but indifference between life and death.

 

エリ・ヴィーゼル(19282016年) 
1986
年にノーベル平和賞を受賞したハンガリー(当時)出身のユダヤ人作家

 

 

 201884日(土)に、鹿児島県霧島市で開催された「市民健康教育公開講座」にて講演をさせていただきました。

 全体のテーマは「がんの総合ケアと疼痛マネジメント」。私のパートは「がんはもう痛くない!? ~全人的苦痛に対する認知科学的対処法(ワーク付き)~」というタイトルでした。

 

 その講演について、当日の内容に補足を加えながら御紹介します。最後は講演直後に会場で伺った驚きの情報をもとに、「全人的苦痛に対する認知科学的対処法」について再度考察します。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/15099158.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/15237306.html

 

 

しかしながら、さらに抽象度を上げて考察すると、現在の緩和ケアの概念には次の段階に進むための課題があることに気がつきます。

 

緩和ケアとは、「生命を脅かす病に関連する問題に直面している患者と家族の痛み、その他の身体的、心理社会的、スピリチュアルな問題を早期に同定し適切に評価し対応することを通して、苦痛(suffering)を予防し緩和することにより、患者と家族のQuality of Lifeを改善する取り組み」のことです(WHO2002年)。

 

その緩和ケアを「『自分らしく』過ごせるように支援する」ものとするためには、絶対に欠かせないものがあります。それは何でしょうか?

 

また、「早期から終末期まで病期を問わず、また心身の問題だけでなく、生活の不安や社会復帰までの道のりなども含め、幅広く支援する」のは、どの医療職の役目なのでしょうか?

 

 

 緩和ケアを「『自分らしく』過ごせるように支援する」ものとするために欠かせないものとは“コーチング”です。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/15237306.htm

 

 そのコーチングの知識とスキルを用いて「早期から終末期まで病期を問わず、また心身の問題だけでなく、生活の不安や社会復帰までの道のりなども含め、幅広く支援する」のは(理想的には)全医療職といえます。

 

 ただし、四苦(とくに老病死)が身近な病院や福祉機関といった“いのちの現場”にコーチングを浸透させる取り組み自体は、プロのコーチが主導するべきです。

 

 なぜなら、“いのちの現場”は不安や恐怖により大脳辺縁系優位になりやすく(ファイト・オア・フライト)、正しいゴール設定が困難だからです。さらに、四苦に苦しむ患者さんやその家族に(ホメオスタシス同調により)引っ張られ医療・介護従事者自身がファイト・オア・フライトに陥ると、ますます四苦は増幅し拡散されてしまいます。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/8164566.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/8166289.html

 

 もしもゴール設定を間違えてしまうと、かえって(過去の記憶でできた)現状に縛られてしまいます。そうなるとますます四苦から逃れられなくなります。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5615935.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5721531.html

 

まとめると、「早期から終末期まで病期を問わず、また心身の問題だけでなく、生活の不安や社会復帰までの道のりなども含め、幅広く支援する」のは(理想的には)全医療職の役目ですが、そのためのコーチングの導入とフォローはプロコーチがしっかりと行うべきべきです。ファイト・オア・フライトに配慮しながら。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/8166400.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/8430972.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/8900705.html

 

 

 では、プロコーチがしっかりと介入し、医療・介護従事者がコーチングスキルを活かせるようになると、どんなことがおこるのでしょうか?

 

 答えはハッピーになり、結果として健康が実現します。患者さんやその家族はもちろん、医療・介護従事者自身も。

 

 

 講演では、健康とゴールとの関係をお話しし、簡単なワークを行いました。「生と死の間にあるものを見つけるためのワーク」です。

 

 WHO(世界保健機関)の定義では、健康とは「身体的に、精神的に、スピリチュアル的に、そして社会的に、完全に幸福な(満たされた:well-being)ダイナミックな状態であることであり、単に病気がないとか、弱っていないということではない」です(1998年のWHO執行理事会での採択)。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/7859675.html

 

 私はその定義には誤りが複数あると考えています。苫米地理論を学ぶ私の健康の定義は、「そのときの自分の状況にとって正常な状態」です。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/7859828.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/7859896.html

 

 その“状況”を未来側に新たにつくりだすものがゴールです。ゴールを設定することで、未来志向で生きることができるようになります。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6542317.html

 

 それではワークを行いましょう。

 

 まず呼吸に意識を向けてください。だんだんゆっくりと息を吐きながら、体を緩めていきます。柔らかいゴムがグニャグニャになるイメージや熱した鉄板上のバターが溶けていくようなイメージで体の力を抜いていきます。

 

 すっかり緩んだら、「元気いっぱいな私」をイメージしましょう。身も心も軽いあなたは爽快な気持ちで毎日をエネルギッシュに生きています。

 

 次に「元気いっぱいな私」「健康な私」がニコニコしながら何かを行っている場面をイメージしてください。趣味、仕事、地域での活動、家族との時間、友人との約束 あなたは自由になんでも取り組むことができます。

 

 何をしているイメージが浮かびますか?

そのイメージを、ゆったりとした気分のまま、存分に味わってください。

 

 

「健康な私は、○○をしていて楽しい」

 

「ますます元気な私は、○○をしていてとてもうれしい」

 

「もっと○○したいから、病気になっている場合じゃない」

 

 

 ○○に当てはまるものがゴールとなり、「生と死の間にあるもの」になります。

 

健康はゴール設定の結果であり、ゴール達成のための手段です。健康自体が人生の目的ではありません。ぜひゴールを、「生と死に間にあるもの」を、しっかりと感じてください。その時の体感は、皆さんにとっての大きな財産になるはずです。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/cat_277070.html

 

 (Q-076につづく)

 

 

苫米地式認定コーチ                        

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-関連記事-

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6854056.html

 

The Power of Mind Ⅰ」第四章:苫米地理論で見える医療・福祉現場のスコトーマ

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/cat_124524.html

 

第四章目次

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/13076878.html

 

 

180804市民公開講座-3



Q-074180804医療講演会レポート vol.2:スピリチュアルペインを克服するために

 

 

 愛の反対は憎しみではない。無関心だ

 美の反対は醜さではない。無関心だ

 信仰の反対は異端ではない。無関心だ

 生の反対は死ではない。生と死の間にあるものへの無関心だ

 

The opposite of love is not hate, it’s indifference.

The opposite of beauty is not ugliness, it’s indifference.

The opposite of faith is not heresy, it’s indifference.

And the opposite of life is not death, but indifference between life and death.

 

エリ・ヴィーゼル(19282016年) 
1986
年にノーベル平和賞を受賞したハンガリー(当時)出身のユダヤ人作家

 

 

 201884日(土)に、鹿児島県霧島市で開催された「市民健康教育公開講座」にて講演をさせていただきました。

 全体のテーマは「がんの総合ケアと疼痛マネジメント」。私のパートは「がんはもう痛くない!? ~全人的苦痛に対する認知科学的対処法(ワーク付き)~」というタイトルでした。

 

 その講演について、当日の内容に補足を加えながら御紹介します。最後は講演直後に会場で伺った驚きの情報をもとに、「全人的苦痛に対する認知科学的対処法」について再度考察します。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/15099158.html

 

 

しかしながら、さらに抽象度を上げて考察すると、現在の緩和ケアの概念には次の段階に進むための課題(=ケース)があることがわかります。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/12658417.html

 

緩和ケアとは、「生命を脅かす病に関連する問題に直面している患者と家族の痛み、その他の身体的、心理社会的、スピリチュアルな問題を早期に同定し適切に評価し対応することを通して、苦痛(suffering)を予防し緩和することにより、患者と家族のQuality of Lifeを改善する取り組み 」のことです(WHO2002年)。

 

その緩和ケアを「『自分らしく』過ごせるように支援する」ものとするためには、絶対に欠かせないものがあります。それは何でしょうか?

 

また、「早期から終末期まで病期を問わず、また心身の問題だけでなく、生活の不安や社会復帰までの道のりなども含め、幅広く支援する」のは、どの医療職の役目なのでしょうか?

 

 

 今回(Q-074)は、最初の疑問について考察いたします。

 

 ところで皆さんは、「スピリチュアルペイン」について、しっかりとイメージできますか?

 

 PM-04-12(:次世代型緩和ケアの鍵となるもの)で御紹介したとおり、私は2011年に「症状の評価とマネジメントを中心とした緩和ケアのための医師の継続教育プログラム」を受講しました。「PEACEPalliative care Emphasis program on symptom management and Assessment for Continuous medical Education)」と呼ばれる緩和ケア教育プログラムです。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/8293317.html

 

 2006年に成立した「がん対策基本法」に基づいて、2007年にがん対策基本計画がたてられました。その計画中に「すべてのがん診療に携わる医師が研修等により、緩和ケアについての基本的な知識を習得する」ことが目標として掲げられました。

 その流れの中で、それまで米国で開発された研修プログラムを用いていた日本緩和医療学会が、日本独自のプログラムとして新たに開発したものが「PEACE」です。

 

 その「PEACE」では、スピリチュアルペインは「自己の存在と意味の消滅から生じる苦痛(無意味、無価値、虚無、孤独など)」と定義されていました(2011年当時)。最新版では「自分の存在や意味を問うことに伴う苦痛」です。

 

「自分の存在や意味」を決めることができるのは、もちろん、本人のみです。医療・介護の現場でいえば患者さん本人です。

しかし、患者さん自身が「自分の存在や意味」を見いだすことは、じつは、とても難しいことといえます。

 

なぜなら、人の認識には必ずスコトーマ(心理的盲点)が生じるから。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5721610.html

 

 スコトーマ(Scotoma)はギリシア語由来の言葉で「盲点」を意味します。

もともとは眼科で用いられる医学用語でしたが、コーチングの元祖であるルー・タイス氏により「心理的盲点」として拡張されました。

 

 目の前のモノはすべて見えていると思いがちですが、実際は物理空間すらしっかりとは見えておらず、情報はザルで水をすくうように抜け落ちています。

 

スコトーマを生みだすポイントは二つ(より詳細には三つ)。

一つ目は「知識」です。私たちは、そもそも知らないものは認識することができません。

二つ目は「重要性」です。私たちは自身にとって重要な情報しか認識していません。

三つ目のポイントとして、私は「役割」を強く意識しています。

 

通常、「知識」「重要性」「役割」といったものは過去の記憶でつくられています。よって、「人は過去に縛られている」といえます。(繰り返しますが)私たちが認識している目の前の世界は「すべて過去」です。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6542317.html

 

さらに、「重要性」や「役割」は、親や教師といった他人の価値観や常識と呼ばれるような社会の価値観でつくられていきます。それらの積み重ねにより認識する世界が決まり、無意識下も含むすべての行動が決まるのです。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5721531.html

 

本当の「自分の存在や意味」は、過去の呪縛を断ち切り、他人や社会の価値観を克服することで、はじめて見いだすことができます。

 

では、そのためにはどうすればいいのでしょうか?

 

 

答えは「ゴール設定」です。“現状の外”にゴールを設定することではじめて、スコトーマを外すことができます。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5615935.html

 

よって、「緩和ケアを『自分らしく』過ごせるように支援するために絶対に欠かせないもの」とはゴール設定であり、そのためのコーチングに関する知識とスキルであるといえます。

 

ゴールがない人は、ヴィーゼルのいう「生と死の間にあるもの」がスコトーマに隠れたままです。それがスピリチュアルペインを生みだします。

 

 より正確に述べると、自我の問いが生まれる思春期にすでに生じており、その後も潜在的に抱え続けているスピリチュアルペインの原因はゴールがないことであり、「生と死の間にあるもの」への無関心がそのスピリチュアルペインをスコトーマに隠し続けるのです。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6353425.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/8293317.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/11386276.html

 

 第二次世界大戦中にナチスにより強制収容所に送られた体験を「夜と霧」に記した精神科医 ヴィクトール・E・フランクル(19051997年)は、「あらかじめ精神的に、また人間的に脆弱な者が、その性格を展開していくなかで収容所世界の影響に染まっていく」という事実を発見しました。脆弱な人間とは、「内的なよりどころをもたない人」「目的がない人」「希望がない人」「志がない人」「夢がない人」のこと。

それはコーチングでいうと「ゴールがない人」「潜在的にスピリチュアルペインを抱えた人」のことであり、今回のテーマでは「生と死の間にあるものに無関心な人」です。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/8045695.html

 

 教育の現場も、医療・介護の現場も、本当はコーチングを切実に必要としています。

 

 

次回(Q-075)は、2番目の疑問について考察します。

「早期から終末期まで病期を問わず、また心身の問題だけでなく、生活の不安や社会復帰までの道のりなども含め、幅広く支援する」のは、どの医療職の役目でしょうか?

 

 (Q-075につづく)

 

 

苫米地式認定コーチ                        

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-関連記事-

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6854056.html

 

The Power of Mind Ⅰ」第四章:苫米地理論で見える医療・福祉現場のスコトーマ

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/cat_124524.html

 

第四章目次

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/13076878.html

 

 

180804市民公開講座-2




Q-073180804医療講演会レポート vol.1:「がんはもう痛くない」とは

 

 

 愛の反対は憎しみではない。無関心だ

 美の反対は醜さではない。無関心だ

 信仰の反対は異端ではない。無関心だ

 生の反対は死ではない。生と死の間にあるものへの無関心だ

 

         The opposite of love is not hate, it’s indifference.

         The opposite of beauty is not ugliness, it’s indifference.

         The opposite of faith is not heresy, it’s indifference.

         And the opposite of life is not death, but indifference between life and death.

 

エリ・ヴィーゼル(19282016年) 
1986
年にノーベル平和賞を受賞したハンガリー(当時)出身のユダヤ人作家

 

 

 201884日(土)に、鹿児島県霧島市で開催された「市民健康教育公開講座」にて講演をさせていただきました。

 全体のテーマは「がんの総合ケアと疼痛マネジメント」。私のパートは「がんはもう痛くない!? ~全人的苦痛に対する認知科学的対処法(ワーク付き)~」というタイトルでした。

 

 その講演について、当日の内容に補足を加えながら御紹介します。最後は講演直後に会場で伺った驚きの情報をもとに、「全人的苦痛に対する認知科学的対処法」について再度考察します。

 

 

 「がんはもう痛くない」というタイトルには強烈なインパクトがあったようで、「そんな大胆なタイトルをつけて大丈夫か?」という御意見をいただきました。

 

 でも、大丈夫なんです。

 

なぜなら、「がんはもう痛くない」は、国立がん研究センターの先生方による本のタイトルだから(笑)。20184月に文春新書から出版されています。

 

その本には「心や身体の痛みやつらさを訴える患者や家族を、人として、全体としてサポートするのが、今、注目されている緩和ケア」とあり、「『自分らしく』過ごせるように支援する緩和ケアは、早期から終末期まで病期を問わず、また心身の問題だけでなく、生活の不安や社会復帰までの道のりなども含め、幅広く支援する役割を担っている」とあります。

 

鍵は「全体として」という言葉。

 

その「全体」には、「病期を問わず」という言葉からわかるように、「時間的なひろがり」が含まれています。そして、「心身の問題だけでなく幅広く支援する」という言葉からわかるように、「次元的なひろがり」も包摂されています。

 

時間とは「未来から過去に向かって流れる」ものです。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6542317.html

 

「次元的なひろがり」の「次元」とは抽象度のことであり、その「ひろがり」とは縁起として考えることができます。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4448691.html

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4449018.html

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4516484.html

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6353044.html

 

 

かつての医療は「まずがんなどの病気の治療を最優先に行い、やりつくしたら緩和ケアを開始する」という考えでした。それが現在は「がん等の診断と同時に緩和ケアも開始し、徐々にその比重を大きくする(大きくなる)」という考え方に変わりました。

 

 

緩和ケアの考え方(MaindsガイドラインセンターHPより引用)   
MaindsガイドラインセンターHPより引用   


さらに、その緩和する対象となる問題を「身体的」「心理的(精神的)」「社会的」「スピリチュアル的」と四つに分類し、それぞれ個別に捉えるのではなく全体として捉えるために「トータルペイン(Total Pain)」という概念が生まれました。

 

PM-04-10(:すでに始まっている医療に抽象度を取り入れる試み -前編-)では、それが「抽象度が上がった視点である」と書きました。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/8292888.html

 


 

 

トータルペイン(MindsガイドラインセンターHPより淫羊)

MaindsガイドラインセンターHPより引用             



 

しかしながら、さらに抽象度を上げて考察すると、現在の緩和ケアの概念には次の段階に進むための課題(=ケース)があることがわかります。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/12658417.html

 

緩和ケアとは、「生命を脅かす病に関連する問題に直面している患者と家族の痛み、その他の身体的、心理社会的、スピリチュアルな問題を早期に同定し適切に評価し対応することを通して、苦痛(suffering)を予防し緩和することにより、患者と家族のQuality of Lifeを改善する取り組み 」のことです(WHO2002年)。

 

その緩和ケアを「『自分らしく』過ごせるように支援する」ものとするためには、絶対に欠かせないものがあります。それは何でしょうか?

 

また、「早期から終末期まで病期を問わず、また心身の問題だけでなく、生活の不安や社会復帰までの道のりなども含め、幅広く支援する」のは、どの医療職の役目なのでしょうか?

 

 (Q-074につづく)

 

 

苫米地式認定コーチ                        

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

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