苫米地理論を研究し、苫米地式を実践する <CoacH T>

認知科学者 苫米地英人博士に学び活動するコーチ・ヒーラー・医師 CoacH T(タケハラクニオ)ブログ

カテゴリ:L:講義・研修・セミナー編 > 2022年12月医療・介護研修(「3つの感染症」→"Total”)

L-252202212月医療・介護研修会 -01;研修当時の“空気感”

 

202212月、鹿児島県の医療法人で、認知科学やコーチング理論を用いた職員研修を行いました。テーマは「3つの感染症』を“Total”という視点で考える」。

当日の研修内容を、最新の知識で再構築しながら、ブログ用にリライトします。

*関係者の皆さま、大変長らくお待たせいたしました

 

 01;研修当時の“空気感”

 

 

 研修を行った202212月というのは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の騒動から3年目。実験薬(mRNAワクチン)接種が始まって2年目というタイミングでした。皆さんはあの頃のことを覚えていますか?

 F-139:沈黙の春

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22636357.html

 

コロナ当初は不安や焦燥を感じている人からの質問や相談が多かったように記憶しています。例えば↓

Q-237:新型コロナウイルスが怖いのですが、どのように対処すればよいのでしょうか?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28210417.html

 

 苫米地博士は「不安や恐怖は慣れる」と話されます。この事実を知っていることは、トラウマ対策としてとても大切です。

 F-075Preventable Trauma Death

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/15833962.html

 

 

  不安や恐怖は慣れる

 

 

 それは「不安や恐怖を感じる状況に対して、大脳辺縁系ではなく、前頭前野で対処できるようになる」ということ。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8164566.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166289.html

 

 コーチング的にいうと、コンフォートゾーン化です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

それは基本的にはいいことですが、不安や恐怖から開放される一方で、無気力に陥ったり虚無感に苦しむ場合もあります。

 Q-354:休みの日なのにvol.1;「無気力」と「やる気がない」の違い&GMCZ

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33182294.html

 

 社会的な視点でいうと、「影響が長引き、思うように元に戻らないことで、社会全体に抑うつや無気力が生じる」という幻滅期です↓

 F-187~8:「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」との縁で気づいたこと -04~5;“心の災害”にはレジリエンスで! レジリエンスにはコーチングを !!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25802632.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25868437.html

 

 

時間の経過と被災者のこころの動き

災害時の「こころのケア」の手引き

東京都保険福祉保健局HP(平成205月)より引用

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/tamasou/sonota_jouhou/saigaitaisaku.files/saigai.pdf

 

 

 その頃、私自身は、ちょっとうんざりしながら(=プチ“幻滅期”)情報収集&発信を続けていました。記録を確認すると

 

 □新型コロナウイルスは空気を介して感染しうる(2022.9月、米国CDC

 □新型コロナウイルス、スマホなどに付着後4週間残存可能(2022.10月、豪CSIRO

 □新型コロナウイルスの「寿命」皮膚上でインフルの5倍(2022.10月、京都府立医大)

 □新型コロナウイルスは糖尿病の引き金か、症例相次ぐ(2022.10月、Reuter報道)

 □新型コロナ感染の後遺症で脳が10歳も老化する可能性(2022.10月、Newsweek報道)

 □お茶で新型コロナ無害化 1分で最大99%(2022.11月、奈良県立医科大)

 □コロナ感染者の5人に1人が90日以内に精神疾患を発症(2022.12月、英オックスフォード大)

 □新型コロナウイルスが脳に侵入している可能性が高い(2022.12月、米ワシントン大学)

 

 という感じ。

 F-317Let’s connect the dots! <ナットウキナーゼ、ブロメライン、クルクミン>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32776714.html

 

 皆さんは当時の重苦しい感じや閉塞感にうんざりしていませんでしたか?

 

  

 そんな“空気感”の中で行った講義を、当時の感覚を思い出しながら、そして、その後の学びを加え再解釈して、ブログ用にリライトしたいと思います。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 

 気楽に。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/19980130.html

 

L-253につづく)

 

 

CoacHing4M2 EDGE         

 CoacH T(タケハラクニオ)

 

 

 

-追記-

 苫米地博士は「不安や恐怖は慣れる」と話されます。この事実を知っていることは、トラウマ対策としてとても大切です

 

 人は生きている間にたくさんの「辛い」「悲しい」「腹立たしい」「悔しい」等に遭遇し、それを記憶します。失敗を記憶するのは、同じ体験を回避するための重要な働きです。

 PM-06-01:過去の“失敗”をもとに問題を解決する方法

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13397552.html

 

 しかしながら、辛い体験や悲しい体験の記憶をうまく処理することができないと、負の連鎖へと発展しトラウマ化してしまうリスクもあります。

もしもトラウマ化してしまえば、人間的な成長が阻害され、人格的にも歪んでしまいかねません。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

 だからトラウマ化を防ぐことが大事。

苫米地博士は著書「『イヤな気持ち』を消す技術」(フォレスト出版)の中で、その方法を2つ挙げられています。

 1つ目は「その体験を繰り返し、慣れること」。

2つ目は「前頭前野側から介入して、恐怖をなくしパターンを変えること」です↓

 Q-201:コーチングでは「最悪を想定する」ことはどう考えればよいでしょうか?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26357342.html

 

 以下、同書(p65)より引用します。

 

 

ゴキブリも慣れるトラウマ回避の方法

 人間が過去の過酷な体験をトラウマ化させてしまうのは、これまで述べてきたように、扁桃体が海馬に促す増幅作用が原因になっています。

 そこで、海馬が記憶を思いっきり増幅して引っぱり出すレベルを意図的に鈍感にしてやることが、辛い体験や悲しい体験の記憶を“忘れる”ためにとても有効な方法です

 鈍感にさせる方法は、2つあります。

 

 1つ目は、その体験を繰り返し、慣れることです

 慣れるというと、首をかしげる人がいるかもしれません。

 慣れないからこそイヤな記憶が甦る。

 そう考える人がいたとしても、不思議はないでしょう。

 そこでもう少し厳密にいえば、慣れるというのは、それが自分の身に何も危険を及ぼさないということを、体験的にくり返して知るという意味です。

 

 私の知り合いに、ゴキブリの研究をしているアメリカの有名大学の教授がいます。詳しくは知りませんが、ゴキブリの分泌物は、医学的に役立つ大きな可能性を秘めているのだそうです。

 彼の研究室には、さまざまな種類のゴキブリが収められた飼育用ガラス箱が、所狭しと積み上げられています。

 もちろん、それだけでは飽き足らず、彼の瀟洒なアパートメントも、研究室と同じような状態になっています。

 リビングはもとよりキッチンや寝室の床から天井までガラス箱が積まれ、そのひとつひとつに珍しいゴキブリがびっしり入っています。生活空間に、それこそ何千匹、何万匹がうごめいているわけです。

 彼にとって、それは愛する研究対象でしょうが、パートナーの女性には耐えがたい存在に違いありません。彼女は、ごくふつうの女性と同様に、ゴキブリは大の苦手です。

 

 ところが、そんなパートナーでも、それほど時間を費やすことなく、ゴキブリ満載のアパートメント暮らしに慣れてしまうそうです。どの程度の慣れなのか定かではありませんが、毎晩ゴキブリ飼育のガラス箱が並んだキッチンで手料理をふるい、隣接したダイニングでふたり食卓を囲んでいることだけはたしかなのです。

 それは、初めての解剖で卒倒した医学部の学生が、やがて平然とメスをふるうようになるのと同じことです。

 扁桃体は海馬に記憶を増幅して引っぱり出すよう促す働きを行いますが、その一方で、逆にそれを弱めるよう促す働きも持っています。ある情報について、それが生命の危機ではないと判断すると、その情報に鈍感になるわけです。

 少々難しい言い方ですが、扁桃体はその意味で、「評価関数である」ということができます。

 評価関数とは、たとえば将棋のゲームソフトなどに使われている局面の評価方法のことです。将棋ゲームソフトでは、人間が駒を動かして現れた局面を+10とか+90などと評価し、コンピュータが次の手を探すようにつくられています。

 扁桃体も、目の前で起こった出来事を+10とか+90などと評価して、過去の記憶をどのくらい強く引っぱり出すかを決めているわけです

 引用おわり(つづきはこちらでどうぞ↓)

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L-253202212月医療・介護研修会 -02;帰納的方法論(induction)と演繹的方法論(deduction

 

202212月、鹿児島県の医療法人で、認知科学やコーチング理論を用いた職員研修を行いました。テーマは「3つの感染症』を“Total”という視点で考える」。

当日の研修内容を、最新の知識で再構築しながら、ブログ用にリライトします。

*関係者の皆さま、大変長らくお待たせいたしました

 

 01;研修当時の“空気感”

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/38323917.html

 02;帰納的方法論(induction)と演繹的方法論(deduction

 

 

 とくに初めての場で研修を行う場合、私は「スコトーマ」と「ゲシュタルト」の話からはじめます。「認識の不思議」を体感していただき、「認知(cognition)」について興味をもってもらうために。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721658.html

 

 そのためによく用いるのが「ルビンの壺」。

 ルビンの壺 - Wikipedia

 

 最近出版された(20264月)苫米地博士と佐藤勝さんの対談本「見えない戦争の正体 -米中露が仕掛ける『認知戦』-」(フォレスト出版)の中で、「ルビンの壺」が取り上げられていました。以下、同書(p46)より引用します。

 

 

認知戦のベースとなる認知心理学と認知言語学

佐藤勝 「認知戦」という概念は、近年になって頻繁に使われるようになりました。しかし、その本質を理解するためには、まず「認知(cognition)」という語の意味を確認しておく必要があると思います。1990年代から一般にも広まったこの言葉について、「広辞苑」ではこのように定義しています。

 

 事象について知ること、ないし知識をもつこと。広義には知覚を含めるが、狭義には感性に頼らずに推理・思考などに基づいて事象の高次の性質を知る過程。

(新村出編『広辞苑』第七版・岩波新書・2022 

 

 この定義では曖昧ですが、「認知」とは人間の脳の働きを基礎とした判断力や思考力のことです。そして、そうしたものを研究する学問が認知科学です。

 この分野は、心理学、言語学、神経科学、教育学、情報工学、コンピュータ科学、哲学といった広範な学問領域と密接につながっていますが、認知戦を実践するにあたり、こうした理論を網羅的に学ぶ必要はないというのが私の認識です。

 また、戦争以外の領域においても、認知科学的なアプローチを交渉や実際の駆け引きに応用すれば、相手の認知空間を自由自在に作り変えることができてしまいます。

 先生、このような理解で、合っていますよね?

 

苫米地 はい、合っています。

 

佐藤裕二 それでは、次に苫米地先生に、認知戦研究の前提となっている、認知をめぐる中心学問について少し詳しく説明していただきたいと思います。

 

苫米地 わかりました。情報工学についてはこの対談の中で詳細に検討すると思いますので、それ以外の認知科学のいくつかの中心分野について、説明しておきたいと思います。

 まずは、認知心理学の歴史的展開について少し述べていきたいと思います。認知心理学という分野が確立する前、構成主義心理学、あるいはその発展形式である行動主義心理学が中心の時代と認知心理学が中心との間の時期に、心理学の世界で大きく注目された考え方があります。

 それはゲシュタルト心理学です。

 ゲシュタルト(Gestalt)とはドイツ語で、「形態」や「図」や「状態」などを示す言葉ですが、ゲシュタルト心理学は行動主義心理学の刺激-反応モデルへの疑問から20世紀初頭に生まれたものです。

 チェコ人で、ベルリン大学で心理学を学んだマックス・ヴェルトハイマーは、今、この学派の創始者と言われていますが、彼の理論を発展させた研究者であるドイツのヴォルフガング・ケーラークルト・コフカのほうが有名ですね。ケーラーのチンパンジーを使った学習に関する実験はよく知られていますので、ご存じの人も多いと思います。

 ゲシュタルト心理学の特徴を要約すると、「部分をいくら足しても全体にはならず、重要なのは全体である」という全体論を基本とした考え方によって物事を捉えようとする傾向があるということです。

 人間の認識では、単なる点の集合が、ある形のもの、たとえばモナリザの姿として見えたり、音が連続的に並べられたものがメロディーに感じられたりします。こうした部分には還元できない、全体から人間の認識を捉えようとしたのがゲシュタルト心理学です。

 この考え方は、のちの認知心理学に大きな影響を与えました。ゲシュタルト心理学の理論はある対象がどのように見えたり、どのように聞こえたりするのかという問題は全体の中でのある要素と他の要素との関係によって決まるというものですが、それは人間の認識の基本が部分と部分の総和には決してなっていないという根本的な問題を提起します。

 

佐藤勝 ルビンの壺がそのいい例ですね。図と地との関係によって、壺に見えたり、二人の人物が向き合っているように見えたりするというやつですが……

引用おわり(このつづきは「L-255」で引用します)

 

ルビンの壺(「見えない戦争の正体」)

「見えない戦争の正体」より引用

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認知心理学という分野が確立する前、構成主義心理学、あるいはその発展形式である行動主義心理学が中心の時代と認知心理学が中心との間の時期に、心理学の世界で大きく注目された考え方があります。それはゲシュタルト心理学です

 

 苫米地博士が語られているのは「構成主義心理学→行動主義心理学 →ゲシュタルト心理学 →認知心理学という流れの中で、ゲシュタルト心理学が“大きな転換点”になった」ということ。

 Q-435:コーチングは行動科学とvol.2;心理学から行動科学、そして認知科学へ>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/37049778.html

 

 それは「『部分→全体』という一方向性から『全体⇆部分』という双方向性へのパラダイムシフト」と考えることができます。

 F-318:観自在 <理論編-1観自在菩薩行深般若波羅蜜多時

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32825990.html

 

 もっとシンプルにいうと、視点の抽象度が上がった結果として、「部分と全体の双方の関係性(=縁起)を理解する」ということ。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 *抽象度はこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 

 ゲシュタルト心理学の特徴を要約すると、「部分をいくら足しても全体にはならず、重要なのは全体である」という全体論を基本とした考え方によって物事を捉えようとする傾向があるということです

 

 概念を定義する場合、大きく分けると、2つの方法があります。一つは「帰納的方法論(induction)」、もう一つは「演繹的方法論(deduction)」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 

 

 帰納的方法論とは、「たくさんのサンプルを持ってきて、そのサンプルから共通するパターンを見つけ出して定義する」という方法です。

 前回(L-252)取り上げた「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」でいうと「空気を介して感染」「スマホ付着後4週間残存可能」「皮膚上でインフルの5倍の“寿命”」「糖尿病の引き金」「脳が10歳老化」「お茶で無害化」「90日以内に精神疾患発症」「脳に侵入(している可能性)」などを共通点とする新たな感染症が「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」だといえます。

 

 帰納的方法論にはいくつか問題があります。

ひとつはサンプル数が足りないと間違った定義をしてしまうリスクが高くなるということ。「糖尿病の引き金」「お茶で無害化」など細部にこだわると、本質が見えなくなってしまいます。そもそも例に挙げた研究報告を全部満たしたとしても、それがウイルス感染なのか細菌感染なのかさえわかりません。肝心な部分が抜けているからです。

もう一つは間違ったところを抽出してしまう可能性です。実際、日本においては「空気を介して感染」は長い間否定され、「接触感染」と「飛沫感染」だとされていました。現在の定義からすると、当時の日本で流行した感染症は「『新型コロナウイルス感染症(COVID-19)』ではない」ということになります。

 

 コーチングの視点でさらに付け加えると、サンプルというのは全部過去。つまり、帰納的発想からは、現状の外に設定するゴールのようなまったく新しい発想(世界、未来)は生まれません。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 

 概念を定義するもう一つの方法は演繹的方法論。それは「先に抽象的な定義をし、目の前のサンプルを『その定義の中で、どう当てはまるか』という視点で考える」というもの。

 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」でいうと、先に「感染症」というものを定義します。そして、その「感染症」という定義の中で「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」に当てはまるものを定義していくことが演繹的方法論です。

 

 演繹的方法論にも課題があります。それは「つねに定義する対象の上位概念がはっきり定義されていないといけない」こと。

「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」を定義するためには、その上位概念である「感染症」が定義されていないといけません。「感染症」を定義するためには「病」が、「病」を定義するためには「生命(現象)」がと上位概念を定義していく必要があります。

 

繰り返しますが、「上位概念の定義ができてはじめて、下位の概念が定義できる」というのが演繹的発想。この発想の課題は「つねに定義する対象の上位概念がはっきり定義されていないといけない」こと。

 

 その課題を解決するためには大きな問題(case)がありますが、じつは、その解決(plan)はすでに示されています。偉大な先人たちによって。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html

 

L-254につづく)

 

 

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 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html

 

 

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F-260:不満と傲慢のはざまで苦しんでいる君へ <vol.4;「Connecting the dots~ゲシュタルト、フレーム、スクリプト~

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Q-421~:コーチングを受けるとどうなりますか? -version 2

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L-254202212月医療・介護研修会 -03;人間は情報不足を補うために、限定合理的な推論を使う

 

202212月、鹿児島県の医療法人で、認知科学やコーチング理論を用いた職員研修を行いました。テーマは「3つの感染症』を“Total”という視点で考える」。

当日の研修内容を、最新の知識で再構築しながら、ブログ用にリライトします。

*関係者の皆さま、大変長らくお待たせいたしました

 

 01;研修当時の“空気感”

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/38323917.html

 02;帰納的方法論(induction)と演繹的方法論(deduction

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/38330191.html

 03;人間は情報不足を補うために、限定合理的な推論を使う

 

 

「上位概念の定義ができてはじめて、下位の概念が定義できる」というのが演繹的発想。この発想の課題は「つねに定義する対象の上位概念がはっきり定義されていないといけない」こと。

 その課題を解決するためには大きな問題(case)がありますが、じつは、その解決(plan)はすでに示されています。偉大な先人たちによって。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html

 

 その解決とは、前回取り上げた「ゲシュタルト」の概念です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 

仏教的にいうと、「部分と全体の双方の関係性である『縁起』を理解する」こと。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 そして、そのために欠かせないのが「抽象度を上げる」「抽象度が上がる」ことです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 

 人間の思考は、そもそも非単調性です。それは排中律(はいちゅうりつ)ではないということ。排中律とは「任意の命題に対して、それが成り立つか、成り立たないかいずれか一方であって、その中間はないことを述べた論理学の法則」のことです。

 F-2313錠じゃないと飲まん! <前編:排中律>

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28339618.html

 

「中間はない」という発想の根底には「完全性」があります。知識でいうと、「正しいもの以外は知識とは呼ばない」という考え方。

それは単調論理であり、不完全性定理や不確定性原理以前の西洋哲学の世界観です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6194669.html

 

「不完全性」が証明された現代は非単調論理がベース。単調性に対して「例外のない法則はない」と主張したのが、イギリスの分析哲学者 スティーヴン・トゥールミン(Stephen Edelston Toulmin19222009年)です。トゥールミンはいわゆる三段論法で代表される形式論理の方法論が実社会における論理構築の手段として適さないと考え、「トゥールミンロジック」を築き上げました。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6194585.html

 

 苫米地博士が専門(のひとつ)とされているコンピュータサイエンスの研究は、「人間の推論は非単調論理となっている」ことを解き明かしました。それは前回(L-253)取り上げた「帰納的方法論(induction)」や「演繹的方法論(deduction)」とは違う「アブダクション(abduction)」と呼ばれる推論法で、心理学や計算機科学では「ヒューリスティック(heuristic)」と呼ばれています。

 

その「アブダクション」や「ヒューリスティック」は、「経験的(もしくは生得的)な知識を利用して、あいまいなマッチングを“発見的”に行う」という能力。それが人が持つ「ゲシュタルト能力」です。

Q-266:臨場感世界をまったく同じように感じることが<後編;視点を上げる>

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29135063.html

 

もっとコーチっぽく表現するとイマジネーションの限界を超える力

F-363:シコウサクゴ <前編:コーチング前は誰もが「思考錯誤」>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35159915.html

 

 以下、苫米地博士の著書「すべてを可能にする数学脳のつくり方」(ビジネス社、p124)より引用します。

 

 

人にとっての情報不足は人工知能にとっての情報過多

 人間は曖昧な状態の中で判断を下すことができる。これは裏を返せば、現実の世界は情報不足ということになる。

 実際、道に迷ったということは目的地に対する情報が不足しているからだ。

 人間はそれを補うために、限定合理的な推論を使う。

 これをヒューリスティックといい、情動的な思考、情報空間における自由気ままな発想を行っているから判断できるのである。

 この情報空間における自由気ままな発想こそが数学的思考である。

 論理的思考と数学的思考の決定的な違いはここにある。

 では、人工知能が曖昧な判断ができない理由はどこにあるのだろうか?

 情報不足だから起きているのだろうか?

 実は違う。

 人工知能が曖昧な判断ができないのは情報不足ではなく、逆に情報過多が原因なのだ。

 例えば、右に行くのが正しいのか、左に行くのが正しいのかを人工知能自身が推論する場合、左右の道のアスファルトの素材の微妙な違い、色の違い、温度差、標識の有無などありとあらゆることを論理的に検討してしまう。のちほど説明するフレーム問題が発生する。

 こんなことをしていたら、答えなど出るわけがない。

 人工知能と人間は同じ景色であっても見ているものが違うのだ。

 人間が情報不足に陥るのは必要な情報が揃っていないことによる。

 ところが、人工知能は必要な情報以前に不必要な情報に振り回されて判断ができなくなっている。

 この見ている景色の違いこそが重要なのである。

 人工知能が見てる景色はあくまで論理的世界であり、事実の積み重ねだ。センサーを使って収集した情報を検討しているのだから当然といえば、当然だろう。犬が西向きゃ尾は東、というように当たり前の道理を積み重ねていくことで解を見つけていく。

 つまり、人工知能は物理空間にいるのである。

 しかし、人間の思考は違う。一瞬で「右」などと決められるのは人の思考が物理空間ではなく、情報空間にあるからだ。情報空間にあるからこそ、しばしば余計なものを切り捨て、時折不合理なものも挟み込みながら判断していけるのだ。もちろん、その判断が正解かどうかはわからないが、まがりなりにも解を導くことができるのである。

 引用おわり

 

 

 この情報空間における自由気ままな発想こそが数学的思考である

 

 苫米地博士と出会うまで、「数学的思考」が「自由気ままな発想」であるなんて、考えたこともありませんでした。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html

 

 しかし、今は、この教え(表現)を素直に受け入れることができます。皆さんもそうですよね。

 

 私なりになぜそんな変化が起こったのか考えてみました。

その理由を突き詰めていくと、それこそが演繹的発想の抱える問題を解決するポイントであり、偉大な先人が示してくれている智慧であり、そして、認知戦の時代を生き抜く最大の“秘訣”である という確信が湧き上がってきました。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5616012.html

 

 

 人工知能が見てる景色はあくまで論理的世界であり、事実の積み重ねだつまり、人工知能は物理空間にいるのである。

 しかし、人間の思考は違う。一瞬で「右」などと決められるのは人の思考が物理空間ではなく、情報空間にあるからだ

 

 その“秘訣”に対する認識と五感を伴った体感が、「人の思考」をますます「情報空間」に誘います。

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L-255につづく)

 

 

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L-255202212月医療・介護研修会 -04;認知戦時代を生き抜く“秘訣”

 

202212月、鹿児島県の医療法人で、認知科学やコーチング理論を用いた職員研修を行いました。テーマは「3つの感染症』を“Total”という視点で考える」。

当日の研修内容を、最新の知識で再構築しながら、ブログ用にリライトします。

*関係者の皆さま、大変長らくお待たせいたしました

 

 01;研修当時の“空気感”

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 02;帰納的方法論(induction)と演繹的方法論(deduction

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/38330191.html

 03;人間は情報不足を補うために、限定合理的な推論を使う

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/38343600.html

 04;認知戦時代を生き抜く“秘訣”

 

 

「上位概念の定義ができてはじめて、下位の概念が定義できる」というのが演繹的発想。そのためには、つねに定義する対象の上位概念がはっきり定義されていないといけません。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 それを可能とするのが、抽象度を上げて、部分と全体の双方の関係性である「縁起」を理解する力。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 前回引用した「すべてを可能にする数学脳のつくり方」(ビジネス社)の中で、苫米地博士は「コンピュータの悩み」について言及されています(p155)。

その悩みとは、「複数の矛盾するプログラムがお互いを牽制しあって動けなくなる」こと。人工知能の「フレーム問題」も、この「悩み」に該当するそうです。

 

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たとえ「複数の矛盾するプログラム」が同時に動いているような状況であっても、私たち人間は「お互いを牽制しあって動けなくなる」ことはありません。動けないどころか、まるで運命に導かれるように、多くの「矛盾」の中から“これだ!”と思える“最適解”を選びだすことができます。

 L-170202203月シークレット… -03;「新たな世界(w2)」を現実化する感覚

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34892980.html

 

 それがゲシュタルト能力。私たちは、ゲシュタルト能力によって、「フレーム問題」を解決しています。

 Q-304:どうやったらすべての目標を結びつけることがOps編;〇〇〇化>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30891147.html

 

 そもそも「フレーム問題」とは、「ファンクショナリズム(functionalism)」をパラダイムとする現代の認知科学(cognitive science)が抱えている問題です。

 それまでの「事象を部分に分ける構造主義」とは違って、ファンクショナリズムは「部分と部分、もしくは部分と全体の双方向的な関わりの中で意味が生まれてくる」と考えます。

その“関わり”が「ファンクション」。東洋哲学での「縁起」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

よって、「フレーム問題」を解決するゲシュタルト能力とは、「縁起を感じ取る力」であり、「新たな縁起を生みだす力」である と考えることができます。

それが前回紹介した「ヒューリスティック(heuristic)」。

「経験的(もしくは生得的)な知識を利用して、あいまいなマッチングを“発見的”に行うという能力」であり、「イマジネーションの限界を超える力」です。

F-363:シコウサクゴ <前編:コーチング前は誰もが「思考錯誤」>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35159915.html

 

 厳密にいうと、この世に同じものは2つとありません。よって、ゲシュタルト能力なしでは、そもそも認識すること自体が困難です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721658.html

 

じつは、もうひとつ認識に欠かせないものがあります。それは「知識」。

 Q-279~:今までRASとスコトーマは「認識しているものの中から何を選ぶか?」という話だと思っていました

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_422026.html

 

知識がスコトーマを外すための最初の条件です。スコトーマは 1)知識、2)重要性、3)役割(責任)の3つがそろったときに外れます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 

認識の大前提は「知識」と「ゲシュタルト能力」

 

 

この2つに学習が関係します。学習により知識を得、学習によりゲシュタルト能力が磨かれるというように。

 PM-05-06~08:そもそも学習とは?-3-1~3)学習を促進する

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/9367702.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/9533528.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/9533623.html

 

 知識を得ながらゲシュタルト能力を磨いていくから、connect the dotsが起こり、「あっ、わかった」という気づきと理解を体現することができます。「connect the dots」とは、「抽象度が上がる」と同義です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7383761.html

 

 その「気づきと理解の体現(=抽象度が上がる)」の先に“ある(ともいえるし、ないともいえる)”のが「空(くう)」。「空を理解し、空観を維持し続ける」ことが、認知戦の時代を生き抜く最大の“秘訣”だといえます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353367.html

 

 以下、苫米地博士と佐藤勝さんの対談本「見えない戦争の正体 -米中露が仕掛ける『認知戦』」(フォレスト出版、p49)より引用します。前々回(L-253)引用した部分のつづきです。

 

 

認知戦のベースとなる認知心理学と認知言語学(前々回引用部分のつづき)

苫米地 そうですね。今言ったように人間の認識は部分の総和が全体になるというようにはなっていません。あくまでも全体の中での要素と要素との関係から、対象を捉えていく。それが人間の認識であって、個別的に対象の一つ一つをプラスして総合化していないのです。

 ですから、ゲシュタルト心理学者たちは、このことをベースとした学的アプローチをしなければならないことに気づき、認知心理学者たちはその考え方を継承、発展させていったのです。

 次に、認知言語学についても触れておきます。認知言語学は生成文法理論で有名なノーム・チョムスキーの考え方への発展的継承、あるいは、否定的な対応から生まれたものであると言われています。

 チョムスキーというと、多くの人は言語学者としてよりも、反体制政治学者と見ているかもしれませんが、彼はもともと著名な言語学者です。チョムスキーの言語理論には、人間には言語を習得する能力が「生得的」に備わっているというものがあります。

 しかし、認知言語学はそうした視点よりも、言語的視点の移動やカテゴリー化などに関する人間の認識に対するアプローチを探究していく理論で、1970年代にチャールズ・フィルモアジョージ・レイコフによって開始された言語学の一派です。チョムスキー学派の文法中心主義を批判し、意味論を言語学の中心分野としました。

 認知言語学は人間の認知が言語に反映されているという点を強調します。たとえば、160ミリリットル入るコップに水が80ミリリットル入っているのを、Aさんは「コップに水が半分も入っている」と言い、Bさんは「コップに水が半分しか入っていない」と言ったとします。AさんもBさんも同じ現象を見て、それを言語化しているにもかかわらず、表現方法が違います。認知言語学ではこの違いを両者の認知の仕方の違いとして捉え、その点を重視して研究しようとします。

 

佐藤勝 なるほど、認知という問題を言語というフィルターを通して分析していくわけですね。これは、認知戦にも応用できるんじゃないですか?

 

苫米地 その通りです。こうした言語使用に関する、認知言語学的な捉え方は、認知戦においても応用可能なものです。

 たとえば、今の例で言うならば、「コップに水が半分も入っている」という捉え方は「ある」という肯定的な側面を強調する表現方法ですが、「コップに水が半分しか入っていない」という捉え方は「ない」という否定的な側面を強調する表現方法です。

 二つの中でどちらを選択するかによって、その人物のモノの捉え方が理解できるだけではなく、その言葉を聞いた聞き手の印象や、それに対して湧き起こる感情も変わっていきます。つまり、ある表現形態を使うことによって、ある現象に対する印象操作を行うことが可能となり、そのことで人々の反応や行動様式をある方向に仕向けることが可能になるのです

 それが、認知戦の一つの方法になりえるわけです。

 

佐藤勝 確かに、認知戦には言語による誘導のような戦術もありますね。

 引用おわり

 

 

ある表現形態を使うことによって、ある現象に対する印象操作を行うことが可能となり、そのことで人々の反応や行動様式をある方向に仕向けることが可能になる

 

 だから、つねに1つ上の抽象度で観察することが大事!

 F-254:イノベーションがうまれるとき <前編;視点>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29415081.html

 

コーチングを実践することで、その“観察”を磨くことができます。

L-230202209月シークレット… -05;コーチングは「客観」 その理由は?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/37613554.html

 

L-256につづく)

 

 

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 CoacH T(タケハラクニオ)

 

 

 

-追記-

「上位概念の定義ができてはじめて、下位の概念が定義できる」というのが演繹的発想。そのためには、つねに定義する対象の上位概念がはっきり定義されていないといけません

 

 宇宙の任意のLUBLeast Upper Bound、最小上界)は、現代分析哲学では「いくらでもある」と定義されているそうです。いくらでもあるとは、「特定の概念は存在しない」ということ。つまり、西洋の現代分析哲学における宇宙は、bottomは「矛盾」で閉じて、topは「存在しない」で開いているということ(包摂半順序亜束)。

 一方、釈迦哲学(東洋哲学)では、すべての存在の上位概念は「存在する」と考えます。それが「空(くう)」。最も高次の上位概念が「空」です。

 

宇宙は、bottomは「矛盾」で閉じて、topは「空」で閉じている

 

 苫米地博士による「『空』は包摂半順序束の宇宙のtopである」という形式化により、演繹的発想が内包していた課題は本質的に解決しました↓

Microsoft Word - 空論文20111106v212.doc

 

 

DrT神奈川大講演-05

神奈川大学情報学部開設記念シンポジウム(2023523日)より引用

基礎科学としての情報〜エントロピーと生命、超次元複雑性と生成AIの未来と私達 Dr.苫米地 (2023年5月20日) - YouTube

 

 

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