Q-455:ゴールにふさわしいブリーフシステムを構築するためには… <前編;自我の書き換えを目的にするとコーチングは失敗する>
御質問をいただきました。ありがとうございます。
その一部に回答いたします。
(変更を加えています)
Q:w1からw2へ移行するためにはゴール設定とエフィカシーを高めることが必要とのことですが,ゴールにふさわしいブリーフシステムを構築するためには古いブリーフシステムは捨てて,新しいブリーフシステムで行動して結果を振り返りながらセルフトークを変えることによりエフィカシーを高め,新しいブリーフシステムを強固にするということでしょうか ?
A1:「ゴールにふさわしいブリーフシステム(Belief System、BS)」は、結果として獲得していくもの。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html
コーチングの基本は、関数 p の再定義を促すのではなく、並列宇宙(可能世界) w1 から別の並列宇宙(可能世界) w2 への移行を促す ことです。
F-222:コーチングの基本概念を習熟して、エフィカシーをブーストしよう!
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27832570.html
「関数p」とは、自我のこと。コーチングで用いるBSが、まさに自我であり、関数pのことです。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html
「地上最強グローバルサミット」(2025.10.5)苫米地博士の講義用スライド
(「ドクター苫米地ブログ」よりダウンロード可能↓)
https://tomabechi.jp/CoachingFormalDefinitionDrT20251005.pdf
「古いブリーフシステムは捨てる」「新しいブリーフシステムで行動する」という感覚はNG。そうではなく「ゴール設定により新たに生みだす並列宇宙(可能世界) w2に没頭する」という感覚です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html
「没頭」をもっと詳しく表現するなら、「RASを働かせてLock onする」。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721658.html
もちろん、ゴール側の並列宇宙(可能世界)w2に「RASを働かせてLock onする」ためには、「古いブリーフシステムは捨て」て「新しいブリーフシステム」に書き換わっている必要があります。BSや自我と認識する宇宙(世界)は表裏一体です↓
L-229:2022年09月シークレットレクチャー -04;自我関数から導きだされる縁起
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/37603992.html
だからこそ、「古いブリーフシステムは捨てる」「新しいブリーフシステムで行動する」という感覚はNG。その理由は?
…BSは「情動を伴った体験の記憶」や「抽象化された情報の記憶」で作られています。それらは全部“過去の記憶”。つまり、「古いブリーフシステムは捨てる」という意識状態のときは、自然に過去に囚われてしまうことになります。
同様に「新しいブリーフシステム」という場合も、たいていは過去の延長線上における「新しい」になってしまいがち。それは現状の最適化であり、ますます過去の呪縛を強めることになります。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html
そもそもBSとは、「私はどういう人間なのか?」「相手といるときはどう振る舞うか?」「社会に対して私はどう働きかけるのか?」など、その人が身につけている認識のパターンのこと。
その「認識のパターン」とは、情報です。さらにいうと、認識するすべてが情報であり、認識する主体も情報にすぎません。それを釈迦は「縁起」という理で説明しました。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html
すべてが情報であり、認識する主体も情報
…突き詰めると、それは「すべて心が生みだしている」ということであり、「心も心が生みだしている」ということ。ということは、私たちが「確かにある」と感じているものはすべて、ただの幻想にすぎないことになります。ただ、各人が情報(幻想)をリアルにし、さらに他と共有しながら臨場感を強化しあい、まるで実在しているかのように感じている(感じあっている)だけです。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html
情報(幻想)をリアルにするのが、各自の「認識のパターン」。繰り返しますが、そのパターンは「情動を伴った体験の記憶」と「抽象化された情報の記憶」によってつくられています。時間でいえば、すべて過去です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html
その「認識のパターン」は脳の前頭前野に蓄積されています。人はBSによって、未来のことを予期したり、予想したりします。そして、その予期や予想にしたがって、あらゆる選択と行動を行っています。無意識下で行われるBSによる選択(の性向)を「アティテュード」、行動を「ハビット」と呼びます。
L-096:2021年7月 -08;BSとハビット&アティテュードと抽象度の関係
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30652206.html
過去の記憶によってつくられたBSで予期・予想する未来はすべて“現状”です。“現状”に留まることは、「過去の呪縛に囚われた状態」であり、「無人運転」「自動運転」といえます。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_369873.html
もっというと、必ず「前頭前野に蓄積」された認識のパターンを用いているかといえば、そうともいえません。とくに不安や恐怖が強い場合、容易に前頭前野によるコントロールを失ってしまいます。その結果陥ってしまうのが、「戦うか、逃げるか」という心理状態(Fight or Flight)です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8164566.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166289.html
前頭前野の認識パターン=BSは人間が先を予測する期待のパターンでもありますが、ひとたび「戦うか、逃げるか」という心理状態(Fight or Flight)に陥ると、現状の外にゴールを設定するどころか、現状の延長線上であるはずの「先を予測する」こともできなくなります。IQが下がるから。
Q-399:恨みをメールで送りつけたい… <後編;恨みをコントロールする方法>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35428965.html
さらにいうと、人間が持つBSは1つではありません。前頭前野にはその人がつくりあげたいくつものBSが収められており、それらが複雑な内面の動きをつくりだしています。余談ですが、苫米地博士は「複数の人格を持つほうが幸せになれる」と語られています↓
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34369807.html
「古いブリーフシステムは捨てる」「新しいブリーフシステムで行動する」は、おそらく「1つのBSを違うBSに書き換える」というイメージで表現されているはず。いかがでしょう?
私たち一人ひとりはそんなに単純な存在ではなく、BSは“唯一”でも“絶対”でもありません。
Q-331:「記憶が抜ける」ような… <vol.6;新しいゲシュタルトに人格をうつす技>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31993466.html
これはコーチングの鉄則なのでしっかり肝に銘じてほしいのですが、ブリーフシステム≒自我 の書き換えを目的にすると、コーチングは失敗します。
最後に、苫米地博士の著書「オーセンティック・コーチング2026」(開拓社、p231)より引用します。ゆっくり考えながら読み進めてください。Feel!
◎自我の書き換えを目的にするとコーチングは失敗する
自我とは通常「エゴ」などと定義されますが、私が教えるコーチングにおける自我の基本定義は「宇宙を入力して自分を出力する部分関数」のことです。
人が自分を語る場合、名前はこうで、出身地はどこそこで、出身大学はどこで、親はどういう人で、好きな食べ物はこうで、というように自分以外のものを大量に定義することによって自分とはなにかを記述します。それはまるで透明人間に服を着せ、帽子を被せることで輪郭を浮き彫りにするかのような作業です。
この「自分以外のものを大量に定義する作業」を続けていくと最後は宇宙全部の定義になっていくはずです。よって、自我関数と宇宙関数は単なる逆関数になります。
f自我(宇宙)→ 自分
もう一つ、私がする現代分析哲学的な自我の定義でいうと「自分にとっての重要度で宇宙を並び替える関数」です。
これは、自分にとって何が重要で何が重要でないかを理解することで世界を形づくる作業で、例えば、「あなたにとって世界的名画と手書きの絵のどちらが大事ですか?」ということです。多くの人にとっては世界的名画のほうが大事でしょう。しかし、手書きの絵が亡き母や父が残したものであった場合、手書きの絵のほうを大事に思う人はいるはずです。その人にとっての重要度こそがその人にとっての世界であり、仏教的に言えば、「一人一宇宙」となります。その宇宙の中心にあるのが自我関数なのです。
これを数式で表すと
{w∀y∃xy p自我(x,y)}x,y∈宇宙
となります。ある可能世界w(可能世界wとはあらゆる並列宇宙の中で皆さんがいまいる宇宙。一人一人の臨場感世界のこと)において、宇宙のすべての存在間で「xはyより重要」を定義する関数p(定義できない場合もある)ということです。
以上が自我の定義となりますが、これを踏まえて一つ質問があります。
「コーチングとはこの自我を書き変える作業のことを言うのでしょうか?」
例えば、「この世から差別をなくす」というゴールを設定したとしましょう。
その場合、「自分にとっての重要度で宇宙を並び替える関数」=自我を変えることで「差別はなくせる」はずです。日本人も白人も黒人もみんな重要だ、というふうに関数を書き変えることができれば差別はなくなるでしょう。
ということは、コーチングは自我を書き変えることだといえるはずです。
しかし、答えは違うのです。コーチングとは自我を書き変える作業ではありません。その逆に、自我を書き変える作業だと思うとコーチングは失敗してしまうのです。
引用終わり
(Q-456につづく)
CoacHing4M2 EDGE
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