苫米地理論を研究し、苫米地式を実践する <CoacH T>

認知科学者 苫米地英人博士に学び活動するコーチ・ヒーラー・医師 CoacH T(タケハラクニオ)ブログ

カテゴリ:F:フリーテーマ > F-421~ 微笑み返し

F-421:微笑み返し <前編;ゴールに関係ない感情は

 

 医療・介護の現場はとても過酷です。

 

 その理由はたくさんあると思いますが、とくにコーチとして気になるのが「『老病死(+生で四苦)』に対する恐怖が引き起こす『Fight or Flight』」。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8164566.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166289.html

 

 「Fight or Flight」とは、人間らしい前頭前野での情報処理よりも、動物的な大脳辺縁系での情報処理の方が優位になっている状態のことです。具体的には「頭に血が上る」「頭が真っ白になる」「血の気が引く」といった状態。そうなるといつもの冷静な判断や行動ができなくなります。

 Q-351:「情報的身体」というのがよくわかりません? <後編;プランサイド>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32956635.html

 

 「動物的な大脳辺縁系優位」と書きましたが、死の恐怖は本当に人を“動物的”にしてしまいます。生じる不協和(イライラ)を抑えることができないと、情動が爆発してしまうことも。その情動の爆発が医療現場をますます過酷にしていきます。

 L-184202206月医療・介護研修会 -07;「イライラ克服」の基盤

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35592887.html

 

 ところで、先日、苫米地博士に学ぶ仲間の皆さまと話をしていたときに、医療従事者でもあるコーチがこんな秘密を教えてくれました

 

  怒っている人には優しさで返しています

 

 いつもニコニコされているコーチの話を伺いながら(trigger)、私は過去に経験した看取りを思い出していました(anchor)。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23944294.html

 

 それは70代後半の女性の“人生最期の瞬間”の記憶。ずいぶん昔のことではありますが、プライバシー保護のため一部変更を加えながら紹介します。

F-001:やり場のない

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516364.html

 

ある年の11月中旬から腹部や背部の痛みが出現した患者さんは、11月末に当時私が勤務していた病院を受診(初診)されました。検査にてかなり深刻な病状であることが分かり、すぐに地域の中核的な総合病院に紹介。そこからさらに別の大きな病院に紹介され、「膵臓癌の末期」と診断されました。

専門的治療を拒む患者さんは自宅退院を強く希望され、私たちがフォローを行うことになりました。自宅では高齢の夫が看病をしていたのですが、私は強い不安を感じました。二人の息子たちが状況をまるで理解しておらず、母親の死を受け入れる準備ができていないように思えたからです。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 

「不安」とは、「未来の恐怖の予期」のこと。

F-218:不安と不満のはざまで苦しんでいる君へ <2nd. Step;絶対大丈夫!>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27624719.html

 

専門医から依頼された看取りという役割・機能は、息子たちにとっては「意に沿わない」「期待と違う」ことであり、認知的不協和がどんどん強くなっていくことは明白でした。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882652.html

 

自宅での看取りを希望されていた夫は、患者さん(妻)の体調が悪化し日常生活動作(ADL)に支障がでてくると次第に疲労が目立つようになりました。そして、徐々に抑うつ的になっていきました。

外来スタッフの働きかけもあり夫婦とも入院することに同意され、「残された時間を、互いに無理なく苦痛少なく過ごし、その時を悔いのないように迎えよう」と決断されました。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882609.html

 

その決断をコーチとして解釈すると

 

ゴール設定により“死”がwant toになり、“死”を迎えるまでの“生”もwant toになった

 

そして、我々医療者もそのゴールを共有しました。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 

母親が入院することになり、息子たちは父親を激しく非難しました。母親自身も入院することを望んでいるというのに。

おそらく忍び寄る死の予期が不安を生みだし、息子たちを“動物的”にしていったのだと思います。それは人類の進化とは真逆の方向性 抽象度が下がる方向性です。

L-185202206月医療・介護研修会 -08;つまらない夢を失った瞬間に訪れるもの

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35626365.html

 

 *抽象度はこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 息子さんたちが「少しでも長く生きていてほしい」「死んでほしくない」と考えることは自然なことです。しかし、死は確実に近づいてきます。

このままでは穏やかな看取りはできないと感じた私は、息子たちに丁寧に話をしました。「残念ながら死は避けられず、その死は目前に迫っている」「悲しみは当然であるが、そのエネルギーが父親を攻撃することに使われている」「家族同士がいがみ合うことは、死にゆく母親にとって最大の苦痛となりえる」 など。

 いい悪いといった評価はせず(←関数pには関わらない)、なるべく事実だけを伝えるように心がけました(←現状の可能世界w1の言語化)。

 F-222:コーチングの基本概念を習熟して、エフィカシーをブーストしよう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27832570.html

 

息子たちも少しずつ心を開いてくれるようになり、最期の数日間、患者さんは和やかな雰囲気の家族に囲まれながら静かに過ごされました。

しかし、いよいよ呼吸状態が悪化すると、息子の一人が取り乱しました。「どういうことだ、これは~」と叫びながら私に掴みかかる息子を他の家族が引き離す間に、その患者さんは息を引き取りました。息子を私から引き離そうと家族全員が患者さんから離れ背を向けている間に。

 

死亡確認後お悔やみの言葉をかけたとき、夫は悲しみと怒りと申し訳なさが入り混じった複雑な表情をしながら、ひたすら私に謝り続けていました。

愛する妻を失い一番悲しむべき人が、ただただ息子の非礼を詫びていたのです。その姿を見守りながら、私は胸が張り裂けそうでした。

 F-327:お大事に <前編;人と人のコミュニケーションの原点>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33262415.html

 

 

釈迦が説いたとされる「四苦八苦」に「愛別離苦」という苦しみがあります。このケースでは、まさに「愛別離苦」の重たく暗い“気”が、患者さんの最期を飲み込んでしまいました。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

息子にとって、母の死はhave toのままでした。その理由は「ゴール設定ができず、情動に支配されていた」から。

 

私は、医師としてだけでなく、コーチとしても本来の役割を果たすことができませんでした。

 Q-070:認知的不協和の状態にあり… Vol.7;認知的不協和が身体化したときの対処法

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14675567.html

 

最後に、苫米地博士の著書「年収1億円稼ぐ! 脳の磨き方」(宝島社、p32)より引用します。「ビジネス」をテーマとした本なので「ビジネスで稼ぐ」といった表現をされていますが、それを「人生を豊かにする」等に置き換えながら読み進めてください。

 

 

「嬉しい」や「悲しい」といった感情を娯楽として味わう

「怒り」や「悲しみ」は稼げない人の感情だ

 人間は喜んだり怒ったり悲しんだりと、感情が豊かな生き物です。そして、実際にそうした感情に強く支配されて生きているのです。

 仕事が失敗したと落ち込み、失恋したといって悲しむといったことは、まったくの無駄なことです。なぜなら感情とは、環境の変化で生じる生理反応でしかないからです。例えば「汗をかいた」といって悩む人はいませんよね。ですが、イライラや怒り、悲しみには振り回されてしまう。感情に振り回される人は抽象度が低いのです。

 抽象度とは情報量の多さのことで、多ければ抽象度は低く、少なければ高くなります。例えば、「Aさん」を定義する場合、最初は「〇〇家の主人」となり、そこから抽象度を上げると「東京都民」、これを徐々に上げていくと、「日本人」→「人類」→「生物」と、視点がどんどん上がっていきます。

 抽象度が低い人が感情に振り回されるのは、視点が低く、今の自分のことしか見えていないからなのです。もちろん、そうした人がビジネスで稼げるわけがありませんよね。

 

ゴールに関係ない感情は幸せなことでもゴミになる

 では、怒りや悲しみではなく、「嬉しい」「幸せ」といったポジティブな感情が多くあれば良いのでしょうか。実はこうした一見すると良さそうな感情も、自分のゴールに関係がなければまったく必要ありません。

 例えば高級ブランドのバッグを買って喜んでいても、ちょっとでも汚れたらイヤな気分になりますよね。このように、ポジティブな感情も一瞬でネガティブなものに変化します。いくらポジティブな感情を求めても、同じ数だけネガティブな感情に変わることがあるのです。

 抽象度の高い人にとって、目指すはゴールであり、ポジティブな感情は、ゴールに近づくためのモチベーションであり、ゴールに関係のないことは、たとえポジティブなものでも、あなたには必要のない“ゴミ”でしかありません。

 ただし、怒りや悲しみの感情を止めることは難しいでしょう。その場合、すべての感情を娯楽にしてしまえばいいのです。悲しいといった感情に支配されているのは、今の自分しか見えていないから。そうしたことに振り回されず、「これも経験のうち」と思えばいいのです。そう思うことができた時点で、あなたの抽象度はかなり上がっているはずです。

 これを繰り返していけば、自然と自分のゴールに関係のない感情の“ゴミ”はなくなります。本当に大事なのは、ゴールに必要な感情だけでいいのです。そのために抽象度を上げる必要があるのです。

 引用終わり

 

F-422につづく)

 

 

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 CoacH T(タケハラクニオ)

 

 

 

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-関連記事-

L-147202111月医療系研修会 -02;人の特性はBSで決まる=人はさまざまな幻想に支配されている

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Q-353:傷つくような他人の言動に出くわした場合、どのような態度で接することが正解なのでしょうか?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33148921.html

Q-366~:医師からのパワハラがひどすぎて心が折れました

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_428654.html

Q-372:リハビリを嫌がる患者さんに強制することは、虐待なのではないでしょうか?

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Q-417~:なぜパワハラや虐待がなくならないのでしょうか?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_430853.html

 

 

年収1億円稼ぐ! 脳の磨き方




F-422:微笑み返し <中編;“思考の言語化”のために

 

 医療・介護の現場はとても過酷です。そんな場で働く医療従事者でもあるコーチが、先日、こんな秘密を教えてくれました

 

  怒っている人には優しさで返しています

 

 いつもニコニコされているコーチの話を伺いながら(trigger)、私は過去に経験した看取りを思い出していました(anchor)。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23944294.html

 

 それは70代後半の女性の“人生最期の瞬間”の記憶

 F-421:微笑み返し <前編;ゴールに関係ない感情は

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/37661867.html

 

前回(F-421)御紹介したのは、「忍び寄る死の恐怖により“動物的”になってしまった息子」の話。それは人類の進化とは真逆の方向性 抽象度が下がる方向性の変化であり、退化に等しい変化です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 母親の最期の瞬間に殴りかかってきた息子に対して、私は激しい怒りを感じました。もっというと、関わっている期間中、ずっと怒りを感じていました。

 PM-06-11:仮説06)二つの「怒り」とその間にある論理的思考

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14107083.html

 

その怒りをしっかりモニタリングすることに集中しながら、私は、苫米地式にふさわしい対応を続けました。例えば、「怒る条件」を心の中で再確認したりしながら↓

 Q-317:今、逃げましたよね? <中編;怒っていい時の条件>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31628205.html

 

 とくに意識に上げていたのが「丁寧な言葉を使う」こと。それは「怒っている人には優しさで返す」という感覚とも通じるはずです。

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 以下、苫米地博士の著書「『怒らない』選択法、『怒る』技術」(東邦出版、p58)より引用します。

 

 

◎正しく怒るためのその1 「丁寧な言葉を使う」

 では、正しく怒るためのファースト・ステップに入りましょう。

 第1章の中頃で、正しく怒るためのファースト・ステップは「百歩譲る」ことだと書きました。

 相手の言葉をよく聞き、よく吟味してから反撃に移ると、勝率はグッと上がります。

 これを可能にするために、とても効率的なのが言語です。ただし、なんでもいいから喋ればいいということではありません。言葉を使うとは思考を言語化することを指します。

 そもそも言語野は脳の中でも大きな領域を占めていますし、運動野で見ても、最も大きいのは唇や舌などを動かす神経系です。言葉を使うこと自体、脳全体を活性化させるにはもってこいです。

 その上、思考を言語化することで、情動優先だった脳を論理的思考へ移行させることも可能になりますので、言語化はとても大切です。

 勘違いしてほしくないのは、推奨しているのはあくまで“思考の言語化”です。「この野郎!」と思ったから「この野郎!」と言うのは、“感情の言語化”でまったく違いますので、誤解しないでください。

 具体的に“思考の言語化”とはなにかというと、相手が汚い言葉、あるいは慇懃無礼な言葉で罵ってきたら、その言葉に反応するのではなく、その言葉を使った人の思考パターンに反応することを言います。たとえば、侮辱の言葉をぶつけられたら「ずいぶん失礼な言葉を選択するんですね、あなたは」や「どういうつもりですか。どんな意図があるんですか?」といった感じです

 実際、あなたの頭の中には、「なぜこの人はこんなことを私にいうんだろう?」という疑問があるはずです。その疑問こそが思考であり、それを言葉にするのが“思考の言語化”になります。

 激しい言葉を浴びせられると、どうしてもその言葉に反応しがちですが、大切なのは、その言葉を選んだ相手の思考パターンのほうです。要は相手の意図をはかることがIQを維持するためのコツです。それさえわかれば、対策を練ることも難しくないですし、もしも、その意図が自分と共有できるものであれば、一緒に改善策を考えることもできます。

 また、言語化する際には“言葉使い”も重要です。あなたが使う言葉は、できる限り丁寧にしてください。汚い言葉使いは、周りの評価も下げますし、なにより自己能力の自己評価であるエフィカシーを下げてしまいます。

 ですから、怒りが高まったら、高まった分だけ、言葉も丁寧にする。それによって、前頭前野はより良い方向に活性化していき、怒りの現場であなたに勝利をもたらすでしょう。

 引用終わり

 

 

具体的に“思考の言語化”とはなにかというと、相手が汚い言葉、あるいは慇懃無礼な言葉で罵ってきたら、その言葉に反応するのではなく、その言葉を使った人の思考パターンに反応することを言います

 

 「なぜこんなことを言うのか?」「なぜこんなことをするのか?」といった問いに対して答え(仮説)を見いだすためには、当然、相手の立場にならないといけません。

そのとき心がけるのは、同調ではなく、共感。

 Q-298:どれくらい相手に共感していいものでしょうか? <理論編;鍵は〇〇〇>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30709381.html

 

 その際のポイントは「抽象度」 「視点を上げる」という感覚です。

 Q-266:臨場感世界をまったく同じように感じることが<後編;視点を上げる>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29135063.html

 

 ところが、医療従事者にとって、老病死(+生で「四苦」)の現場で抽象度を上げることは決して簡単ではありません。何度も何度も死に直面する間にトラウマ化してしまい、「Fight or Flight」へ陥りやすくなるから。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8164566.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166289.html

 

 

 ところで、患者さんの死後に行われる「デスカンファレンス」という取り組みをご存じでしょうか?

 

「死に至るまでのケアを振り返り、課題を見つけ(case-side)、解決を探る(plan-side)」というのが主目的ですが、「関わった職員の精神的な負担を軽減し、“燃え尽き(バーンアウト)”を防ぐ」ということも目的としています。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html

 

 ところが、そんな「デスカンファレンス」自体が、死に関わる医療従事者にとって苦痛になりえるということが指摘されています。

 F-237:「出口が見えない」と「出口戦略」 vol.1;ヒーリングとコーチング

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28545704.html

 

 その理由はいろいろ考えられますが、一番の理由は「死がhave toだから」であるはず。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882609.html

 

実際、私が観察する限りでは、看取りの過程で苦痛を感じたり燃え尽きたりする職員は死をhave toと捉えています。その結果、大脳辺縁系優位になりがちで、言動が情動に支配されてしまいがち。多くの医療従事者がこの状態(死=have to)に囚われているはずです。

 F-409~:病院嫌い ~最適化の外側で遊べ!~

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_431576.html

 

 そもそも死をwant toにすることはできるのでしょうか?

 もしもできるというのなら、どのようにすればいいのでしょう?

 

F-423につづく)

 

 

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次回のオンラインセミナーは、コーチング募集開始前の「コーチング説明会」として期間限定配信(2ヶ月)します。2026年春に配信を開始する予定です。

 

 

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 クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。

一緒に楽しみましょう!

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-関連記事-

S-03-24:苫米地流「正しく怒るための技術」

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Q-342~:瞑想をすると思慮深い方向に向かってしまい、エネルギーがなくなってしまう感じがします

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Q-415:やり場のない怒りはどのようにゴール設定すればよいのでしょうか? <vol.5;条件・娯楽・目的>

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「怒らない」選択法、「怒る」技術

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F-423:微笑み返し <後編;コーチが微笑みとともに伝えること>

 

 医療・介護の現場はとても過酷です。そんな場で働く医療従事者でもあるコーチが、先日、こんな秘密を教えてくれました

 

  怒っている人には優しさで返しています

 

 いつもニコニコされているコーチの話を伺いながら(trigger)、私は過去に経験した看取りを思い出していました(anchor)。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23944294.html

 

 それは70代後半の女性の“人生最期の瞬間”の記憶

 F-421:微笑み返し <前編;ゴールに関係ない感情は

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/37661867.html

 

 その患者さんの息子への対応中に、私はずっと怒りを感じていました。自身の中の怒りに気づくたびに苫米地式らしく意識に上げていたことが↓

 F-422:微笑み返し <中編;“思考の言語化”のために

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/37697198.html

 

私が観察する限りでは、ほとんど全ての人が死をhave toと捉えています。その結果、大脳辺縁系優位になりがちで、言動が情動に支配されがち。もちろん医療従事者においても、多くの人がこの状態(死=have to)に囚われているはずです。

 F-409~:病院嫌い ~最適化の外側で遊べ!~

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_431576.html

 

 そもそも死をwant toにすることはできるのでしょうか?

 もしもできるというのなら、どのようにすればいいのでしょう?

 

 

 最初(F-421)に紹介した息子にとって、母親の死はhave toでした。それだと死は苦しみのまま。心の中にhave toが潜んでいると、死だけではなく、生きる(生まれる)ことも、老いることも、病気になることも、苦しみとなります。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882609.html

 

 その「生老病死」のことを、ご承知のとおり、仏教では「四苦」と表現します。「老いることは苦しみである。病になることも苦しみである。死ぬことも苦しみである。そして、それらの苦のはじまりとして、そもそもこの世に生まれることが苦しみである」という釈迦の気づき(四門出遊)に由来するのが「四苦=生老病死」です。

 PM-04-06生老病死の四苦とスコトーマ

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8045953.html

 

 その「四苦=生老病死」とは、すべて抽象度0の物理空間上の現象です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 前頭葉が発達した人間にとっての宇宙とは、決して物理空間に限定されるものではありません。底面である物理空間のはるか高次元に階層を持ってひろがっている情報空間すべてが宇宙です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

 そして、その情報空間すべて=全抽象度次元に生命現象はひろがっています。

 F-381:ロバート・メーガーの「3つの質問」 <vol.1;「すべてが情報である」>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36045078.html

 

 

  生命現象は全抽象度次元にひろがっている

 

 

 抽象度というのは「情報空間における視点の高さ」のこと。上にいくほど(=「抽象度が上がる」「抽象度を上げる」)、具体的情報量は減っていきます。つまり、シンプルになり、秩序だっていくということ。

反対に、下にいくほど(=「抽象度が下がる」「抽象度を下げる」)、具体的情報量は増えていきます。それは「より複雑になり、混沌・カオス化していく」ということ。人間の身体でいうと、「体→器官系(system)→臓器(専門的には器官/organ)→細胞」という感じです。

L-10420218月シークレットレクチャー -06;「私」とは何? <前編>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31294306.html

 

 私たちは、つい「一人の人間の命はひとつ」と考えてしまいますが、「一」であるはずの体は60兆個をこえるたくさんの細胞の集まりです。その一つひとつが生きているからこそ、全体としての“ひとつの命”が成り立っています。

 

  無数の細胞(部分)が器官を形成し、たくさんの器官が見事に連携しながら“ひとつの命”(全体)を成り立たせている

 

それはゲシュタルトだといえます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 

 そんな“ひとつの命”に関わるのは自らの組織だけではありません。

例えば、腸の中には1003000種類の微生物(主に細菌)が100兆~1000兆個ほど存在するとされています。総重量はなんと1kg以上です。

この腸内細菌の種類や数に私たちの健康状態が左右されることは、すでに科学的に立証されています。さらに最近は、人間の心の状態とこれら腸内細菌との相関まで指摘されています。まさに縁起!

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

この「一人の命を構成しているたくさんのいのち」という関係を人類(または地球)と地球上で暮らしている80億人の関係に当てはめると、「人類(または地球)という一つの大きな命(全体)を構成しているたくさんのいのち(部分)」が私たち一人ひとりの命であるといえます。

つまり、私たち一人ひとりはより大きな人類(地球)という生命の一部。縁起のネットワークのひとつの結び目です。

 F-171:アンチからウィズ、そしてウェルへ vol.4-3「死」;well-aging

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24786250.html

 

 

私たち一人ひとりは縁起のネットワークの結び目

 

 

 それが苫米地博士の「自我」の定義。部分関数としての自我です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html

 

 例えば、物理空間において“寝たきり状態”で能動的に機能を発揮できないとしても、その姿から誰かが何かを得たなら、それは立派な貢献といえます。その時の貢献は情報的なもので、“認識者”の情報宇宙にひろがっていきます。

 L-03020203… -0875歳以上では延命治療は不要?<プランサイド>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26197802.html

 

よって、どんな状況でも、貢献し続けることは可能!

そもそもすべてが情報です。その情報を私たち人間は臨場感豊かに感じることができます。だからこそ、死後も貢献し続けることができるのです。縁ある誰かが存在し続けるかぎり↓

F-243:人は、生きている時は自分の心の中、亡くなると親しい人の心の中にいる

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28791954.html

 

例えば「死後に献体する」という場合、「献体」という物理空間での行為だけではなく、「『献体』の意思表示が縁ある者に与えた影響」そのものがすでに立派な貢献です。

そこから学んだ何かを誰かが活かし続ける限り、献体を希望した者の貢献は続くことになります。たとえ死後に献体が行われなかったとしても。

F-157:指一本でも役に立ちたい

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23874668.html

 

 なぜでしょうか?

 

 そう、すべては双方向の関係性であり、縁起だから。私たち人間の場合、その縁起宇宙(超情報場)にはホメオスタシスが働いています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html

 

物理的には必ず死を迎えますが、情報的には死ぬ(=消滅する)ことはありません。縁によりスコトーマが外れ、縁によりスコトーマに隠れるだけです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 その理(=不生不滅)を理解し体得することが“「四苦」を超越する”こと。そのような意識状態で生きている人が“微笑み返し”を行うたびに、きっと大きな“何か”を伝えることができるはず

 

 「怒っている人には優しさで返しています」というコーチの言葉を縁に、私は、このようなことを考えました。

F-390:“心身の不調”の一考察 <vol.6(最終話);根治的解決法 ver.2

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36459545.html

 

以下、認知科学者 苫米地英人博士の著書「近未来のブッダ 21世紀を導くリーダーの鉄則」(サンガ、p78)より引用します。「広がりゆく存在の意識」を感じながら、ゆっくりと読み進めてください。Feel

 

 

広がりゆく存在の意識

 仏教とは「縁起の教え」で、縁起をわかるためにいろいろな修行法があるというのが基本だと私は考えています。縁起がわかりにくいので「空」という考え方や、いくつもの修行の方法論が発明されているのです。

 修行を続けて悟りの階梯の中で縁起が本当にわかると、自分という存在が宇宙全体に広がるし、最低でも人類みんなに広がります。帰属意識の話をすでにしましたね。修行によって前頭前野が鍛えられ、思考の抽象度がどんどん上がっていくにつれ、「私」「私の家族」というこぢんまりとした帰属意識は、学校や会社、地域の人、市区町村、都道府県、日本、アジア……どんどん広げていくことができます。その最たるものが、「慈悲の瞑想」として世間で言われている「生きとし生けるもの~」です。

 そして、そうした自分が存在するこの世の中でなんだかんだと役に立つことが大乗の世界、慈悲の世界です。大きな煩悩を認める。その瞬間に前頭前野を使って「私は何をできるか」を考える。その行為を慈悲というのです。

 「他の人のため」の慈悲ですが、大きな慈悲なら、その「他の人」に自分も自然と入ってきます。たとえば、「この世から戦争と飢餓をなくす」ことという私のゴール設定の対象は「全人類」です。そこにはもちろん「私」が含まれているわけです。

 大事なのは、慈悲は必ず行為を伴うということです。行為のない慈悲はあり得ません。自分以外の人に役立つ行為が慈悲なのです。

 引用終わり

 

 

 広がりゆく存在の意識 自分が存在するこの世の中でなんだかんだと役に立つことが大乗の世界、慈悲の世界

 

 私が「怒っている人には優しさで返しています」と話すコーチから感じ取ったのは、この「大乗の世界」「慈悲の世界」の感触。

 F-209:マトリックス/Matrix -04Resurrections;慈悲的人類の進化>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27122988.html

 

 その体感をコーチングのフレームに変換すると、「コレクティブ・エフィカシー」です。

 Q-310~2:私のまわりではそうでもないです。私が気づいていないだけかもしれませんけどvol.5~7:コレクティブ・エフィカシー>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31049084.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31078775.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31102405.html

 

 

  大乗の世界 =慈悲の世界 =コレクティブ・エフィカシー

 

 

 それが高抽象度次元へのアクセスを示す“微笑み”とともにコーチが伝えることだと気づきました。私なりに一言でいうと、“無敵”。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5446097.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5448151.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615695.html

  

 それは死さえもwant toに変える生命現象“覚醒”の秘訣だと思っています。

 Q-429:宇宙は「包摂半順序束」。そのtopである空(くう)は「有と無を包摂する概念」

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36937284.html

 

 

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