F-385: “心身の不調”の一考察 ~苫米地式コーチング認定コーチとして~
<vol.1;本質的課題と根治的解決法>
今回は私が医師として経験した<ケース>を紹介します。患者さんが抱えている問題(case)の本質とその根治的解決法(plan)をイメージしながら読み進めてください。
(特定されないように、一部変更しています)
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<ケース>
未婚、一人暮らしの70代女性。キーパーソンとなる姉が同じ市内に居住しているが、関係性は不良。
内科クリニックを定期受診しているが、「食事が食べられない」「吐き気がする」と頻回に救急車を要請し、昼夜問わず(かかりつけとは別の)救急病院に搬送されている。これまで大きな異常はなく、点滴を行った後に迎えに来た姉と帰宅していた。
姉から相談を受けた市の担当者が療養型病院(慢性期病床)を紹介。本人の同意もあり、姉に付き添われ入院となった。入院後腰痛や下肢痛が増悪。「消えたい」「死にたい」などの発言とともにナースコールのコードを首に巻き付ける行為を認めるようになった。
姉と相談の上、精神科病院を受診。本人は入院を拒否したが、希死念慮および自殺企図があることより治療が必要と判断され、同日医療保護入院となった。
入院後筋力低下が進行し、車椅子で移動するようになった。リハビリ室では車椅子への移乗や自力駆動ができるが、病棟ではできなかった。精神依存を指摘されると、スタッフや他患者への攻撃性が増悪。同時に、胸部の痛みや圧迫感、めまい、悪心などの身体症状が悪化した。
胸部症状に対してニトロールスプレー(血管平滑筋拡張薬)が処方されたが、使用後も「苦しい。死んでしまう」と家族に電話連絡することが続いた。家族から電話を切られると、その直後に119に電話をかけて救急要請。入院している精神科病院に迎えに来るように訴えた。
…「食欲不振」「悪心」「腰痛・下肢痛」「めまい」「胸痛・圧迫感」は、物理的身体にあらわれた症状です。“物理的身体”は、もちろん、抽象度を軸にした場合の情報空間の底面(物理空間)上にあります。
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*抽象度はこちら↓
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物理的身体に対して物理次元で対処することは、もちろん、間違ってはいません。私自身も、医師として、物理次元での働きかけを行います。
ただし、それはあくまでも“対症療法”。決して“根治療法”ではありません。
Q-269:薬をやめることができますか?
<中編:case-side(ワーク付き)>
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対症療法と根治療法の違いを十分理解した上でしっかりと働きかけを行うためには、宇宙や生命現象に関する“正しい知識”が欠かせません。知識がないとスコトーマが外れないばかりか、そもそも認識することさえできないからです。
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ここでいう“正しい知識”とは、大乗仏教でいう「中観」のこと。
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その中観思想をベースに、認知科学者 苫米地英人博士が科学的に理論化されたものが、苫米地理論の第2世代「超情報場理論」です↓
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https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5165888.html
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https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5306438.html
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超情報場理論で考えると、生命現象は抽象度を軸にした場合の情報空間の底面である物理空間から頂点である空(くう)まで連続的に存在しています。縁起として。
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わかりやすくいうと、物理的な体も情報的な心も同じもの。同じものの抽象度の違いに過ぎません。「体」と「心」は「相関する」ものではなくて、そもそも同じ。「体と心」でひとつです。
Q-300~:「心身相関」と「超情報場理論」
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_423993.html
今回のケースでいうと、「食欲不振」「悪心」「腰痛・下肢痛」「めまい」「胸痛・圧迫感」という身体的苦痛(physical pain)も、「消えたい」「死にたい」という心理・精神的苦痛(psychological
pain)も、「姉との関係性は不良」という社会的苦痛(social pain)も、すべて同じもの。同じものの抽象度の違いです。
L-006:2020年1月シークレットレクチャー
-06;「4つの苦痛」(部分)どうしの関係
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24682654.html
医療・介護の現場では「4つの苦痛」という捉え方をします。残る一つは「スピリチュアルペイン(spiritual pain)」。私がイメージするスピリチュアルペインとは、「『自己の存在と意味』がわからない」という痛み↓
L-007:2020年1月シークレットレクチャー
-07;スピリチュアルペインとは?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24706915.html
それは、つまり…
以下、苫米地博士の著書「『生』と『死』の取り扱い説明書」(KKベストセラーズ、開拓社から再版、p119)より引用します。
「機能」という視点
人生は、ただ生きるために生きるわけですが、実はもう一つ、生きるということについて重要な視点があります。それは「機能」という視点です。簡単に言えば、社会とか宇宙に対するその人の「役割」と言ってもいいでしょう。
第三章で述べた重要性関数(評価関数)というのは、別な言い方をすれば「機能関数」とも言えます。例えば、自分が卒業した学校と言うとき、自分にとってその学校は、卒業したという機能、あるいは学歴という機能です。同時に学校にとってあなたは卒業生という機能を持つことになります。
自我を定義しようとして延々といろいろな関係を述べていく話をしましたが、それはまさに自分に機能を付加していく(自分の機能を確認していく)行為なのです。すべてのものと自分との関係が自我を決めていくとすれば、自我とは宇宙に対して果たす機能の集合体であると言うこともできるわけです。
存在には、必ず機能が備わっています。ただ、その重要性はさまざまです。イエス・キリストが生きているうちに果たした機能によってキリスト教が生まれ、二〇〇〇年も経ったいまでも、世界の人口の半分ほどに強い影響を与えています。これはキリストが、生きている間に果たした機能です。
いつもぼうっとテレビばかり見ている人は、テレビの前の壁と何ら変わらない機能しか果たしていないことになります。機能とは存在に備わるものですから、人間には限りません。コピー機はコピーをするという機能を果たしていますし、電話は離れた人と話をできるようにするという機能を果たしています。
また、人間を含む生物の多くは、種の保存のために子孫を残すという機能があります(たまに、人間でも種の保存の機能しか果たしていなかったり、会社にいてもコピー機と同じような機能しか果たしていない人もいますが)。
こんなふうに、機能にはさまざまなものがあるのですが、少なくとも人間は、自分自身の機能をある程度、自分自身でコントロールすることができます。重要な機能を果たしたいと思うのであれば、生きている間が、唯一最大のチャンスなのです。
生きている間の機能は死後も続きます。影響の大小はありますが、消えてなくなることはありません。
引用終わり
自我とは宇宙に対して果たす機能の集合体
…私がイメージするスピリチュアルペインとは、「『自己の存在と意味』がわからない」という痛み。それは、つまり「宇宙に対して果たす機能」がわからない
ということ。
F-121:「あぁ生まれてきてよかったな」で思いだす一例
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/21142618.html
コーチとしてシンプルにいうと、ゴールがない。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html
そう、今回の<ケース>の本質的課題は「ゴールがない」こと。よって、その根治的解決法は「ゴールを設定し、ゴールに向かって生きる」ことだといえます。
L-069:2020年11月シークレットレクチャー -04;ゴールこそがコーチングのすべて
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29018262.html
ゴールのポイントは 1)現状の外、2)心から望む、3)人生のあらゆる領域(バランスホイール)、そして4)自分中心を捨て去る の4つ。
L-162:2022年01月シークレットレクチャー
-06;ゴールを見つける近道
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34301571.html
バランスホイール全体に気を配り続けていると、自然と一つ高い視点を獲得することができます。抽象度が上がるから。
Q-376:バランスホイールはクライアントが書き込んでコーチに見せるものなのですか。バランスホイールの内容について、コーチはどこまで口を出していいものなのでしょうか?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34542064.html
さらに、自分中心を捨て去る=“自分”の定義を拡張する ことに取り組み続けると、「自」と「他」を包摂する境地に至ります。それが「自分中心を捨て去る」であり、「自己超越」です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html
その「自己超越」の境地は、コーチングにおいてとても重要な“ある概念(ゲシュタルト)”とも大いに関係しています。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html
(F-386につづく)
CoacHing4M2 EDGE
CoacH T(タケハラクニオ)
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今年度のオンラインセミナーは、コーチング募集開始前の「コーチング説明会」として開催します。次回は2025年2月下旬頃から配信を開始する予定です。
(御質問の受付は終了しました)
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クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。
一緒に楽しみましょう!
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-関連記事-
F-243:人は、生きている時は自分の心の中、亡くなると親しい人の心の中にいる
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28791954.html
L-001~:2020年1月シークレットレクチャー(スピリチュアルペイン-1)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_407080.html
L-023~:2020年3月シークレットレクチャー(スピリチュアルペイン-2)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_411419.html
L-032~:2020年4月シークレットレクチャー(スピリチュアルペイン-3)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_413332.html
Q-168:スピリチュアルペインは抽象度でいえばどこに入るのでしょうか?どうやって原因である無関心が生まれてくるのでしょうか?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24321116.html
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