苫米地理論を研究し、苫米地式を実践する <CoacH T>

認知科学者 苫米地英人博士に学び活動するコーチ・ヒーラー・医師 CoacH T(タケハラクニオ)ブログ

カテゴリ:F:フリーテーマ > F-381~ メーガーの「3つの質問」

F-381:ロバート・メーガーの「3つの質問」 <vol.1induction「すべてが情報である」>

 

 最近、精神科医として働く後輩から、「ロバート・メーガーの『3つの質問』」を教えてもらいました。時空を超えた情報空間で。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

 ロバート・メーガー(Robert F. Mager)は米国の教育工学研究者。授業設計(授業計画)のシステム的なアプローチが盛んに議論された頃、「3つの質問」を提唱したそうです。

その質問とは

 

 Where am I going

私はどこに行くのか

 How do I know when I get there

私はそこにたどり着いたことをどうやって知るのか

 How do I get there

  私はどうやってそこへ行くのか

 

 後輩によると、1つ目の質問は「ゴール」を確認するためのもの。2つ目は「評価方法」を、3つ目は「教授方法」を確認するために行うのだそう。

つまり、ゴールを明確にし、ゴールへの到達を知る評価を明らかにし、どのように到達するか考える ということ。

 

 後輩からのありがたい教えを縁に、コーチとして考えたことをまとめます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 vol.1induction「すべてが情報である」

 

 

 おそらく後輩は、苫米地式コーチングを知らずに「ゴール」という言葉を用いたはずです。我々コーチにとっては、この「ゴール」の使い方はNo

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 メーガーのいう「Where am I going?」とは、抽象度が下がる方向性だからです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 なぜそう断言できるのかというと、メーガーは教育工学研究者であり、「3つの質問」は教育設計という文脈(ゲシュタルト)の中での概念だから。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 

 工学とは、「何らかの役に立つ」ことを目的とするもの。それは抽象度が低い次元に向かう方向性であり、物理次元で具体的に「いかに役立つか」という話。

シンプルにいうと、マネジメントのこと。

だから「評価」を重要視します(How do I know when I get there?)。

 PM-06-17:仮説12)リーダー、マネジメント、コーチの関係と抽象度の関係

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14526054.html

 

 メーガーの「there」をコーチングの枠組みでいうなら、「ゴール」ではなく、「コンフォートゾーン(Comfort ZoneCZ)」であるはず。一般的な言い回しで「プロセス空間」と表現するとわかりやすいでしょうか。
 「there」とは、役に立つための、あるいはゴールを実現するための「プロセス空間」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

 メーガーが関わる工学に対して、理学は抽象度が上がる方向性です。理論化とは、情報を削ぎ落とし、よりシンプルにしていくもの。アインシュタインの「E=mc2」やコーチングプリンシプルの「I×V=R」のように。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html

 

 その抽象度が上がる方向性、すなわちさらなる高次元に、本物のゴールがあります。つまり、「これまでの抽象度を超える」というのが、ゴールの重要なポイントである「現状の外」の意味です。

 Q-216:「現状の外のゴール」とは何か? 混乱しています

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27346333.html

 

 いずれにせよ、抽象度という軸を見失わずに宇宙を“正しく”観察できることが重要。もちろん、生命現象についても“立体的”に観察し続けることが重要です。

 F-318~:観自在

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_427083.html

 

 例えば、脳と心、体と心を、別々のものとして認識するのではなく、「脳と心」「体と心」(でひとつ)と認識するように。

 Q-350:「情報的身体」というのがよくわかりません? <前編;ケースサイド>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32943460.html

 

 「脳」と「心」は、同じ生命現象の、抽象度の違いに過ぎません。工学(応用・実装化)ならより物理空間(例えば「脳」)の方に、理学(理論化)ならより高次の情報空間(例えば「心」)の方に注視しているだけです。

 F-201~:「医学と医療」と「理学と工学」の類似と相違からコーチングで心がけるべきことを考える

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_413696.html

 

  宇宙を“正しく”観察し、生命現象を“立体的”に捉える。全抽象度次元で

 

そのためには、苫米地理論の第2世代「超情報場理論」の理解と体得が欠かせません。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5165789.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5165823.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5165888.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5306380.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5306438.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5306445.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5445932.html

 

 そのポイントを一言でいうと、「(すべて)情報」。

 L-09220217月シークレット… -04;わたしたちは共同幻想の中に生きている

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30558230.html

 

 「情報」を言い換えると、「幻想」。宇宙はすべて情報でできていて、私たちが“リアル”だと思っている物理的現実世界、つまり目の前の世界はすべて幻想です。

 Q-235:「財布を娘に盗られた」といったvol.6:記憶が織りなす「一人一宇宙」>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27981625.html

 

 その「幻想」の正体が「情報」。五感+言語という6つのモーダルチャンネル(情報入力経路)からの情報が、まずは神経を通して脳に伝えられます。そして、脳が「情報」を認識し、それをもとにまた「情報」を作りだします。だから、情報であり、幻想。

 Q-370:共感覚がなかなかvol.2;「共感覚」実践の前に確認しておくべきこと>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34082930.html

 

 「この世界はすべて情報でできている」「目の前の世界はすべて幻想」ということは、「イメージと臨場感さえあれば、リアリティは合成できる」ということです。それが「I×V=R」。

 Q-042~:「明確にリアルに目標がイメージできた時点でほぼゴールに近づいた」とは具体的にどういうことでしょうか?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_262962.html

 

 イメージと臨場感さえあれば、リアリティは合成できる

 

 臨場感は情報と自分の記憶が結びつくことで生まれます。その情報と記憶の関連性を無作為に組み合わせていくことが思考です。

よって、思考が臨場感を生みだすといえます。

 F-244:「ゴール」と「現状の自我」の間に臨場感という橋を架ける <vol.1;臨場感>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28857122.html

 

 では、思考のために絶対に欠かせないものは?

 

 以下、苫米地博士の著書「新・夢が勝手にかなう手帳 2024年度版」(CYZOMonthly Dr.Tomabechi’s Column1月』」より引用します。

 

 

1月:仏教の中観思想を使うと人生が楽しくなる

 私たちが見ている物理宇宙もその外側とも言える情報宇宙も、その構成要素は「情報」です。その「情報」を構成しているのは生命素粒子です。「情報」の本質は空であり、一切万物が自分も含めて「空」でしかないと見抜くことが「空観」のポイントです。

 しかしすべてが空であると、容易にポアの思想につながってしまいます。オウム真理教というカルト集団が殺人を正当化した論理です。

 例えば、あなたが映画を観に行ったとします。そうすると隣のカップルの男が大きな音を立ててポップコーンを食べながら、ぺちゃくちゃしゃべっていました。あなたは映画に集中できません。そこで、この男を殺そうと決めます。どうせ「空」でしかない存在を殺しても問題ないですし、もし輪廻転生を信じるならば、十分に苦しめて殺した方が、輪廻転生したときにその男の罪が軽くなると考えます。これが空観の行き着く先です。

 しかし、あなたが殺そうと思って隣に座る男を凝視すると、彼はデートを成功させようと、必死で女の子のご機嫌を取っていることに気づきます。あなたは映画を楽しもうと思って、映画に「楽しむ」という機能を与えていますが、彼は彼で、映画に「デートを成功させる」という機能を与えているのです。たしかに一切が空ですが、その空なる世界に機能を加えているのはそれぞれの存在です。あなたはあなたで映画に機能を持たせており、彼は彼で映画に機能を持たせています。

 仮の役割を果たすことを仮観といいます。世界に実体は存在しませんが、仮の役割ならあるのです。空なる世界と仮の役割の世界の両方の中庸の視点が中観です。この中観思想を実践して、隣の人が宇宙にどんな機能を果たそうとしているかを考えるようになると、人生はもっと楽しくなります。

 引用終わり

 

 

 「思考のために絶対に欠かせないものは?」という問いに対する私の答えは、「知識」。「ある可能世界(w1)から新たな可能世界(w2)への到達可能性関数」としての知識です。

 L-174202203… -07;ゴールの世界(=ゴール側のCZ)に移行する秘訣

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34993755.html

 

 そんな知識の代表が「中観思想」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353367.html

 

F-382につづく)

 

 

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 CoacH T(タケハラクニオ)

 

 

 

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今年度のオンラインセミナーは、コーチング募集開始前の「コーチング説明会」として開催します。次回は2025年2月下旬頃から配信を開始する予定です。近日中にこのブログで御案内いたします。

 

 

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 クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。

一緒に楽しみましょう!

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-関連記事-

L-143202111月小学校親子講演会(鹿児島県)-06;現状の外のゴールに向かい続けることができる理由

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33398926.html

Q-142~:現状の外にゴールが設定できている状態と現実逃避に陥っている状態とでは何が違っているのでしょうか?

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Q-176:コーチはリーダーとマネージャーの役割・機能を持つと考えてよいのでしょうか?

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Q-209:「“現状の外”のゴールの体感」とはどういうのが正しいのでしょうか?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26877574.html

Q-255バランスホイールは全て現状の外にゴールを設定する方がよいのでしょうか?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28656381.html

 

新・夢がかってにかなう手帳 2024年度版


 

F-382:ロバート・メーガーの「3つの質問」 <vol.2;知識「無限の『there』」>

 

 最近、精神科医として働く後輩から、「ロバート・メーガーの『3つの質問』」を教えてもらいました。時空を超えた情報空間で。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

 ロバート・メーガー(Robert F. Mager)は米国の教育工学研究者。授業設計(授業計画)のシステム的なアプローチが盛んに議論された頃、「3つの質問」を提唱したそうです。

その質問とは

 

 Where am I going

私はどこに行くのか

 How do I know when I get there

私はそこにたどり着いたことをどうやって知るのか

 How do I get there

  私はどうやってそこへ行くのか

 

 後輩からのありがたい教えを縁に、コーチとして考えたことをまとめます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 vol.1induction「すべてが情報である」

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36045078.html

 vol.2;知識「無限の『there』」

 

 

 「思考のために絶対に欠かせないものは?」という問いに対する私の答えは、「知識」。「ある可能世界(w1)から新たな可能世界(w2)への到達可能性関数」としての知識です。

 L-174202203… -07;ゴールの世界(=ゴール側のCZ)に移行する秘訣

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34993755.html

 

 そんな知識の代表が「中観思想」。

「メーガーの『3つの質問』」を空仮中の理で考えると、それは「仮観」だといえるはず。「仮」という言葉に込められているのは、「すべてが情報」という「空観」。それが前回(F-381)のポイントでした。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353367.html

 

とくに医療現場で強く感じるのですが、私たちはいまだにニュートン/カント的な決定論的世界観の中にいます。それは「脳(体)がある」「心がある」「脳(体)と心はけっこう相関している」という世界観です。

Q-300~:「心身相関」と「超情報場理論」

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_423993.html

 

そんな世界観は、各自のブリーフシステム(Belief SystemBS)に書き込まれています。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

例えば、「過去が現在の原因となり、現在やったことが未来の結果につながる」といったイメージやそのイメージに沿った行動も、BSに書き込まれた世界観のあらわれ。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html

 

 「ニュートン/カント的な決定論的世界(観)」とは、簡単にいうと、抽象度を軸にとった場合の情報空間の底面のこと。そこは多くの人々が「世界(のすべて)」だと思っている物理空間です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

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 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 自身の無意識が抽象度の低い次元にフォーカスしがちであることを知り、目の前の宇宙や生命現象を全抽象度次元で捉えようとし続ければ、「私はこういう人間である」「私はこういう世界に生きている」といった脳内の自我/世界モデルをゆらがし、崩すことができます。

 L-136202111… -05;イマジネーションによって作った限界を破壊し、新しい世界を獲得していく

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33084025.html

 

 脳内の自我/世界モデル、すなわちBSがゆらぎ崩れると、今までは絶対に認識できなかったことがチラチラと見えてきます。それはスコトーマを外すチャンス。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 現状の外に新たなゴールを設定するビッグチャンスです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 以下、苫米地博士の著書「洗脳原論」(春秋社、p19)より引用します。

 

 

洗脳原論

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洗脳の段階

 次に、脳内で起こる具体的な洗脳のメカニズムについて、私が提唱するホメオスタシス仮説をベースに、四つのステップにわけて論を展開してみたい。

 ホメオスタシス(homeostasis)とは先にも述べたが、生体を維持する恒常性機能のことである。もともとホメオスタシスは、生命体としては物理的な環境と物理的な生体とのあいだのフィードバック関係により、生体をより永らえさせるために、自律的に調整を行い、恒常性を維持するメカニズムである。ただ、人間は抽象空間に臨場感を持てるまでに進化するに至ったので、このホメオスタシス・フィードバック関係の相手先の環境を、仮想的なイメージや空想の世界にまでひろげることができるに至ったというのが、私のホメオスタシス仮説である。

 人間は長い歴史のなかで進化するにつれ、脳内に抽象的イメージが映写されたとき、体もそれに反応するようになってきた。たとえば、暑い日に、部屋に南極の氷山の写真を貼っておくと、見ているだけで涼しくなる。これは脳内イメージに、ホメオスタシスの働きで体の感覚が近づいたからである。だから、「人間は、ホメオスタシス機能を内蔵している以上、生得的に洗脳の魔の手からは逃れられない」のである。よく、洗脳されやすい人、されにくい人がいると主張する学者がいるが、それは施されたテクニックの向き不向きの問題であって、洗脳されない人などこの世にはいない。映画やテレビの番組の好き嫌いはあるが、臨場感を感じるテレビの番組が、誰にでも必ずあるのと同様である。われわれは生きている以上、常に想像している。たとえば、歩きながら考えごとをしたり、電車に乗っているとき車窓の風景を目で追いながら、実は今日の夕食を思い浮かべていたりする。そういった空想の世界を、可能性世界(possible world)と呼ぶことにする。

 アメリカの哲学者 S.クリプキが、著書『名指しと必然性』(Naming and Necessity)のなかでpossible worldという用語を使っており、日本の有識者はこのクリプキの定義を可能性世界という言葉の定義に主に利用しているようであるが、様相論理(modal logic)で代表される現代分析哲学において、可能性世界という言葉は、ヒンティカ以来さらに広い意味合いで、さまざまな可能性世界論分析で多様に利用されている用語であるので、本書では特にクリプキ的な意味合いでこの言葉を使用しているわけではないことを、誤解を避けるためにここで明言しておく。用語を厳密にするために、本書における定義は、「物理的現実世界をそのひとつとする、あらゆる時間的空間的に存在しうる物理的現実世界の潜在的可能性としての可能世界(クリプキ的な意味での可能性世界)と、物理的現実世界におけるその存在可能性を問うことができない仮想世界(SF的な意味での可能性世界)の両方を可能性世界とする」とする。脳内情報処理の観点からいえば、「人間の脳が想定することができる潜在的な存在としてのあらゆる可能世界」ということになる。

 要するに、リチャード・ニクソンが1970年に米国大統領でなかったという可能性世界(クリプキのいう可能性世界)も、惣流・アスカ・ラングレーのいる「新世紀エヴァンゲリオン」の世界も(さらには彼女がいない可能性としての「新世紀エヴァンゲリオン」の世界も)すべて脳が想定することができる可能性世界であり、これらをすべて可能性世界と呼ぶものである。余談ではあるが、可能性として想定できる世界における知識の真偽の問題は、フッサール、ウィトゲンシュタイン、フレーゲ、ヒンティカ、クリプキ、ムーアらから現代までつづく分析哲学の主流的な問題のひとつである。

 引用終わり

 

 

 前回(F-381)、メーガーの「there」をコーチングの枠組みでいうなら、「ゴール」ではなく、「コンフォートゾーン(Comfort ZoneCZ)」であると書きました。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

 最近の苫米地博士が多用されている表現でいうと、CZには、現状の可能世界w1とゴール側の可能世界w2があります。大切なのは、もちろん、ゴールで生みだす新たな可能世界w2。そのw2は、w1よりも高い抽象度次元にあります。

 F-222:コーチングの基本概念を習熟して、エフィカシーをブーストしよう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27832570.html

 

 抽象度が上がるほど、具体的な情報量は減少していきますが、潜在的な情報量は増加していきます。その「潜在的な情報量」が、「可能性世界(possible world)」であり、コーチングにおける「there」。

 

 

潜在的情報(可能世界)と物理空間

 

 

よって、抽象度が上がり「空(くう)」に近づくほど、無限に存在する「there」を感じることができるようになります。その知識があり、スコトーマを外す理由、すなわちゴールさえあれば。

Q-221:ゴール設定のポイントについて確認させてください

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27497249.html

 

F-383につづく)

 

 

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Q-394:利己的な思いと利他的な思いが両方ある場合は

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35299303.html

 

 


F-383:ロバート・メーガーの「3つの質問」 <vol.3;重要性「『there』を生みだす」>

 

 最近、精神科医として働く後輩から、「ロバート・メーガーの『3つの質問』」を教えてもらいました。時空を超えた情報空間で。

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 vol.1induction「すべてが情報である」

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 vol.2;知識「無限の『there』」

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36094263.html

 vol.3;重要性「『there』を生みだす」

 

 

抽象度が上がり「空(くう)」に近づくほど、無限に存在する「there」を感じることができるようになります。

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https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 ただし、無限の「there」を本当に感じることは簡単ではありません。スコトーマが必ず生じるから。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 スコトーマが外れるのは 1)知識、2)重要性、3)役割(責任)がそろったとき。通常、それらは他者や社会により規定されています。しかも、すべて過去です。つまり

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html

 

 

 私は本当の私ではなく、目の前の世界は他者によりつくられ、いつも過去に閉じ込められている

 

 

 それをコーチングでは「ブリーフシステム(Belief SystemBS)」と呼びます。昔の認知科学では「内部表現」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

 以下、苫米地博士の著書「君は1万円札を破れるか?」(マキノ出版、p263)より引用します。

 

 

内部表現を自らの手に取り戻せ!

 内部表現とは、一言でいえば、その人に固有の情報状態です。この世界について、自分の認識している情報だけを書き込んだハードディスクのようなものです。そして、情報である以上、それは書き換えが可能です。

 人間の認識をなんらかの操作によって、別の認識に換えてしまうことを「内部表現の書き換え」といいます。あなたが今、現に持っている内部表現は必ず、あなた以外の他者による書き換えを受けています。

 たとえば、「北朝鮮」という単語を目にしたとき、北朝鮮という国家を実際に訪れて見たことがないにもかかわらず、あなたの内部表現ではさまざまな概念が生じるはずです。おそらく、よいイメージを抱いている日本人は少ないことでしょう。「危険な隣国」と思うかもしれないし、「あのような国に生まれなくてよかった」と思うかもしれません。けれども、それは、マスコミを通じて知った情報に基づいて、あなたの内部表現に思い描かれる「北朝鮮」に過ぎません。もし、受け取った情報が違っていたら、「民族主義を貫いている、すばらしい国家だ!」と思うかもしれません。

 当然ながら、日本人の内部表現に思い描かれる「北朝鮮」という国家の姿と、北朝鮮国民の内部表現に思い描かれる祖国の姿とは、異なっています。同様に、日本人の内部表現に思い描かれる「日本」と、アメリカ人や中国人の内部表現におけるそれも異なっているはずです。こうした例から、容易に理解できると思いますが、私たちの内部表現は、すでにだれかの都合で勝手に書き換えられています。

 実は、私たちが「これが自分だ」と感じているもの、すなわち「自我」も内部表現の一部であり、単なる情報に過ぎません。「自我」なんてものは、実は定義不可能です。ハードディスクに書き込まれたデータの一部でしかないのです。

 試しに、あなた自身の「自分」という存在を定義してみてください。名前、年齢、性別、国籍、住んでいる場所、家族関係、職業、性格、趣味……などなど、あなたを説明する情報はたくさんあることでしょう。けれども、それらをいくつ並べたところで、「自分」を完全に定義することはできません。自分以外の人や組織や物体など、他者を引き合いに出さなければ、「たしかにこれが自我である」ということは何一つとして説明できないのです。

 自分という存在を決めているものは、どれも「他者との関係」にまつわる情報であり、自分自身ではありません。つまり、内部表現に書き込まれている情報が自我を形成しているのです。しかも、その情報のほとんどは、あなたが自ら積極的に書き込んだ情報ではなく、他者の価値観を押しつけられたり、他者から評価されたりすることによって、無意識に書き込んでしまった情報です。

 人はみな、幼児期には全能感、すなわち「なんでもできる」という感覚を持っています。立って歩けるようになる。言葉が話せるようになる。好奇心のままに行動すると、新しいことができるようになる。そうした中で全能感が発展・維持されていきます。けれど普通は、子どもの世界が広がっていくにつれて自然と困難にぶつかり、できないこともあるのだと理解して、全能感を手ばなしていくものです。

 しかし、この過程に親が介入しすぎて、子どもの全能感を歪んだ方向に導いてしまったり、反対に「自分にはたいしたことはできない」という無能感を押しつけてしまったりしていることが非常に多いのです。

 最近の小学生に将来なりたい職業を尋ねると、「公務員」と回答する子どもがふえているそうです。警察官とか消防士になりたいというなら、仕事の内容に憧れているのだとわかりますが、その答えはなんと公務員なのです。私はここで、公務員についていい・悪いと評価しているのではありません。そうではなく、小学生にとって、公務員がなんたるものかわかるとは思えませんし、この答えは単なる親の影響でしょう。こういう回答をする子どもの親は、典型的なドリームキラーです。ドリームキラーとは読んで字のごとく、だれかの夢を潰すように働きかける人のことです。

 たとえば、子どもが「イチローみたいになりたい!」といったら、親は「そうか、君はなんにでもなれるよ」といってあげればいいのです。しかし、多くの親は「あんなふうに成功できる人は一握りだぞ。もっと堅実な方向を目指せ」なんて余計なことを吹き込むわけです。現実の厳しさを教えているのだ、と思うかもしれませんが、それは親自身のモノサシで勝手に測って、子どもの可能性を狭めているに過ぎません。

 子どもの能力は、親が決めるものではありません。もちろん、学校が決めることでもありません。本人が決めることです。自分の能力や可能性を自ら決めて、「なりたい自分」になる。本当は、だれもがそのように生きていいのです。

 しかし現実には、親や学校、社会からさまざまなモノサシを押しつけられて、それで自分を測ることをよしとしてしまった人が大半でしょう。たとえば、サラリーマンをやっている人のうち、子どものころから「サラリーマンになりたい!」という夢を持ち、自分はそれをかなえたのだという人は、いったい何人いるのでしょうか?

 私たちが日常生活において、自由に選択していると思い込んでいることのほとんどは、社会や他人から押しつけられた価値観、過去の記憶から形成された価値観の中で無意識に選び取っているものです。見えない制約に縛られた中で、私たちは思考や行動を制限されているのです。それが自分の意思であり、それが正しいことだと思い込まされながら、他者の意図に沿って生きているのです。

 しかし、この世に「たった一つの正しいモノサシ」はないし、そもそも「たった一つの正しい世界」というものも存在しません。

 私たちがしなくてはならないことは、内部表現を自らの手に取り戻すことです。いつの間にか書き込まれていた余計な情報をすべて削除して、自らが本当に望む内部表現に書き換えていくのです。

 引用終わり

 

 

 私たちがしなくてはならないことは、内部表現を自らの手に取り戻すことです。いつの間にか書き込まれていた余計な情報をすべて削除して、自らが本当に望む内部表現に書き換えていくのです

 

 そのためにコーチングがあります。そのコアは「ゴール」と「ゴールの設定」です。

 L-069202011月シークレットレクチャー -04;ゴールこそがコーチングのすべて

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29018262.html

 

 スコトーマにより認識できないはずの現状の外にゴールを見つけるためには、まずはこれまでのBSが生みだしているコンフォートゾーン(Comfort ZoneCZ)を抜け出さなければなりません。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

ところが、そのCZはホメオスタシス(Homeostasis)により強力に維持されているため、抜け出すことは決して簡単ではありません

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html

 

これまでのCZは簡単には抜け出せない

 

 それは紛れもない事実ですが、そのように思い込むほど、じつは、これまでのCZ(=BS)を抜け出すことはますます難しくなります。すべては自分のマインド(脳と心)が生み出しているからです。

マインドの中で最も臨場感の高い(V)イメージ(I)が現実です(R)。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html

 

BSは「情動を伴った体験の記憶」と「抽象化された情報の記憶」でできているとされています。じつは、それらはすべて自分が受け入れたもの。突きつめて考えると、本当は「自分のBS」に自分が縛られているだけです。つまり

F-222:コーチングの基本概念を習熟して、エフィカシーをブーストしよう!

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27832570.html

 

過去に囚われたままの自分(w1)が、本当の自分(w2)を縛っている

 

そもそも人は完全に“自由”な存在です。だから、まずは“自由”をしっかり意識に上げることが重要!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html

 

 外部から入ってくる情報は、最初は自分自身のものではありませんが、受け入れた時点で自分のものになります。その情報によって、自我がつくられていきます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html

 

 結局、今の自我をつくったのは、自分。だから

 

自分(w1)を構成する記憶を吟味し、受け入れるかどうか再度判断し、新しい自分(w2)をゴール側からつくりあげていく

 

その積み重ねにより、まったく新しい「there」を生みだすことができます。それは新たな縁起宇宙の創造です。

L-01220201… -12;生と死の間(between life and death)= 縁起宇宙

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24873853.html

 

 大切なのは「可能世界としての『there』は無限に存在していて、すべて自分のマインド次第である」と理解し実践し続けること。

それが「内部表現を自らの手に取り戻す」こと。ひと言でいうと「脱洗脳」です。

 F-378:学びと破門で脅しをかける <vol.2;洗脳を一瞬でキャンセルしてしまう方法>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35894360.html

 

F-384につづく)

 

 

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