苫米地式コーチング認定コーチ CoacH T <タケハラクニオ> ブログ

認知科学者 苫米地英人博士に学び九州で活動するコーチ・ヒーラー・医師 CoacH T(タケハラクニオ)ブログ

カテゴリ:Q:質問等回答編 > Q-387~ 職場に話し方がおかしい人がいます。どう接すればいい?

Q-387:同じ職場でお客さんに対しての話し方がおかしい人がいます。どう接すればいいでしょうか? <前編>

 

御質問をいただきました。ありがとうございます。

 その一部に回答いたします。

 (変更を加えています)

 

Q:同じ職場でお客さんに対しての話し方がおかしい人がいます。親しみやすさとなれなれしさは違うと思うのですが、そのことをどう伝えようか悩んでいます。どう接すればいいでしょうか?

 

A1:「どう接すればいいか?」という疑問を自ら解決するためのチェックポイントを7つ考えました。まずはその7つをそれぞれゲシュタルト化し(前・中編)、もう一段抽象度を上げて統合してください(後編)。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7383761.html

 

 *抽象度はこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 私は「統合した大きなゲシュタルトを、自分自身がクリアに体感し続けていること」が最も重要だと考えます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628437.html

 

その上で、その時々のベストな判断で臨まれてはいかがでしょう。「invent on the way」のイメージで。

L-09020217月シークレットレクチャー -02;臨場感世界の現実化(realized virtuality

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30497354.html

 

では、チェックポイントをシンプルに解説します。まずはこの4つから。

 

 

□不完全性

情報空間での不完全性は「不完全性定理」により、物理空間(←抽象度を軸とした場合の情報空間の底面)での不完全性は「不確定性原理」により、すでに証明されています。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

 つまり、「必ず正しい」「絶対に間違っている」はありえないということ。「全知全能の神はいない」のです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6194669.html

 

別な表現を用いると、世界は「白か、黒か」という定性的なものではなく、「〇〇くらい白っぽい/黒っぽい」という定量的なものだといえます。決して「排中律」ではありません。

F-2313錠じゃないと飲まん! <前編:排中律>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28339618.html

 

 だから、まずは「相手がおかしい/間違っている」「私は正しい」という思い込みや決めつけがないかセルフチェックを。自分の価値判断を再確認してみましょう。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

思い込みや決めつけは、スコトーマを生みだすだけでなく、対立の原因となってしまいます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 争いや差別の火種です。

 PM-06-13:仮説08)はびこる差別意識

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14249741.html

 

 

 □縁起

 では、「正しい/間違い」「おかしい/おかしくない」を決める絶対的基準がないのなら、どのようにして「正しい」や「おかしい」が決まっていくのでしょう?

 

 医師としての私の経験を2つ紹介します。皆さんはどのように感じるでしょうか?

 

 1つ目は地域の急性期医療を支える民間病院での思い出。その病院を退院した患者さんが、地方紙(新聞)にこんな投稿をしました。

「患者のことを『〇〇様』と呼んでいて素晴らしい」

その記事を取り上げながら、病院長は「必ず患者のことは『〇〇様』と呼ぶように」「くれぐれもなれなれしい話し方はしないように」と念押ししました。全職種が参加するミーティングの場で。

 

 2つ目は当時は国立だった大学病院での話。入院中の患者の家族(高齢の夫)が病院の片隅で泣いていました。事情を伺うと、自分の農園で育てたメロンを差し入れしたが看護師長に断られたというのです。「規則で受け取れません」と。

「自慢のメロンだから」と重ねてお願いしたそうなのですが、「迷惑です」と怒られたそう。「あんな冷たい人に看護の資格があるのか?」「人を救うはずの病院がこんなでいいのか?」と嘆かれていました。

 

 縁起とは、「原因によって結果が起きる」という釈迦哲学の根幹をなす教えです。それは「自分を含めてすべては他の何かとの関係性で成り立っている」という見方であり、「関係が存在を生みだす」という見方です。

縁起の思想は「それぞれの事物・事象はあらかじめ存在しえない」ことを示しています。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 先ほどのケースでいうと、「患者のことは必ず『〇〇様』と呼ぶ」「規則により受け取れない」は、絶対に正しいものとしてあらかじめ存在するのではなく、関係性の中で相対的に正しさが決まるということ。

 Q-297:弟子にしてください

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30430928.html

 

 そう、すべてが相対的です。現在は「時間」でさえも相対的であることがわかっています。

 Q-319:速いスピードで移動? <vol.1:「時間」は人間の意識が作り上げた幻想>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31680099.html

 

 

 □無常

 「関係が存在を生みだす」という考え方は、「だから普遍的な実体などはなく、物事は常に変わりゆき、永遠に変わらないものなどない」という考え方につながります。

それを仏教では「無常」と表現します。

 F-276L下でのBSB vol.1;“風通し”>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30603333.html

 

“答え”は「その時の相手との関係性」の中にあり、その「関係性」は“答え”とともにどんどん変わっていきます。表現を変えると、「意味は状況の中にあり、状況とともに意味は変わっていく」です。

 Q-199:状況は意味により変わる? 意味は状況の中にある?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26292382.html

 

 

 □非我

 繰り返しますが、「関係が存在を生みだす」という考え方は、「だから普遍的な実体などはなく、物事は常に変わりゆき、永遠に変わらないものなどない」という考え方につながります。

さらに突き詰めると、「この世に絶対はない(アプリオリなものはない)この世は心(マインド)がつくっているという二つのプリンシプルに行きつきます

 

 「この世に絶対はない(アプリオリなものはない)」を「無我」と表記するのは、じつは誤り。正しくは「非我」です↓

 L-163202201月シークレット… -07;「ゴールを見つける近道」に仕込まれた洗脳

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34339393.html

 

 「この世は心(マインド)がつくっている」というプリンシプルが明らかにするのは

 F-034:「何もないところからレンブラントを発見」は正しい?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/9672202.html

 

 自分という存在さえも、自身のマインドが生みだしている

 

 自分さえも、あるとはいえず/ないともいえず、相対的かつ無常です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html

 

 それを大乗仏教では「空(くう)」と表現します。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353367.html

 

 すべては空。自我も空

 

この事実が意味することは、「人は本質的に自由である!」ということ。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html

 

 

 ここまでまとめながら、私は「不完全性」の理解の重要性をあらためて感じました。その理解こそが「コーチングのスタートライン」であるはずです。

 F-339:次世代プロファイリング×ゴール設定 <vol.4;苫米地博士の“プロファイリング”とは? -各論・理論編-

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33880880.html

 

 以下、苫米地博士の著書「ドクター苫米地の新・福音書」(講談社、開拓社より再版、p171)より引用します。「不完全性」の体感をクリアにしてください。Feel

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14120540.html

 

 

数学の基盤を覆したゲーデルの「不完全性定理」

 ギリシア時代から続く数学・論理学の基盤に、たとえば「2つの点を通る直線はひとつしかない」という主張など、それそのものが証明される必要なく真理命題とされる「公理」というものがあります。それら公理の集合を礎として演繹的に導き出されたものが「定理」です。つまり、中学・高校で学ぶ幾何の公理・定理を例にとると、それらはその演繹推論系のなかで真理とされているだけ。実際に計測してみて正しいから真理とされたのではありません。

 たとえば、古代ギリシアのピタゴラスが発見したと言われる三平方の定理には、100以上の証明がありますが、これらはすべて、ユークリッド幾何学の公理系を礎として演繹的に導かれたものです。つまり、ピタゴラスの定理が正しいとされるのは、実際に計測してそれが成り立っているからではなく、公理系から演繹的に導かれたからなのです。言ってみれば、数理宇宙は物理宇宙とは関係なく、独立して美しく整合的な空間として広がっているというのが、ユークリッド幾何学の公理系です。

 このように、「数理宇宙は公理と定理の系で成り立つ完全な無矛盾の空間である」とするのが、ギリシア時代から続く、数学の基盤となる考え方でした。

 ところが、1931年にウィーン大学の25歳の若き数学者クルト・ゲーデルは、自然数論というひとつの数学の公理系を利用して、次のことを証明しました。

 「自然数論程度に大きな演繹系においては、内部論理無矛盾性を成り立たせることはできない。系のなかに必ず、正しくない命題、もしくは証明不能な命題が内包されてしまう」と。

 また同時に、「無矛盾性を成り立たせようと、演繹系を拡大すればするほど、もともとの公理系そのものが成り立たなくなる」ことをも示しました。

 この論文は発表された当時、かなり誤解されたようです。彼の主張が本格的に理解されるようになったのは、1950年代以降のことです。後に、「ゲーデルの不完全性定理」と呼ばれる彼の論理は、以下のように単純化して説明できます。

 

 「この命題は証明不能である」という命題を考える。

 「この命題は証明不能である」という命題が証明可能であるならば、この命題のなかで主張している「証明不能である」ということと、それが「証明可能である」ということとは、矛盾していることになる。だからもし、この命題が証明可能であるのなら、公理系が矛盾を内包している、つまり正しくない定理が系のなかにあるということになる。

 逆に、「この命題は証明不能である」という命題がたしかに証明不能であったとする。だとすれば、この命題そのものは真理だということになる。これはすなわち、系に証明不能な命題が含まれるということであり、その場合は系そのものが不完全ということになる。

 系が完全であるとは、その系に正しくない命題が含まれず、また含まれるすべての命題が証明可能な状態を言うからです。

 これを自然数論で展開したのが、「ゲーデルの不完全性定理」です。

 引用終わり(この続きは次回引用します)

 

Q-388につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ      

苫米地式認定マスターヒーラー      

 CoacH T(タケハラクニオ)     

 

 

-追記-

 さらに突き詰めると、「この世に絶対はない(アプリオリなものはない)」と「この世は心(マインド)がつくっている」という二つのプリンシプルに行きつきます

 

「アプリオリ」とはカントの言葉で、「経験的認識に先立つ先天的、自明的な認識や概念」のこと。人間の経験的認識に先立って確立されているべきもので、「人間をつくった神」や「その神が創った世界」のことです。

Q-339~「あなたは食べた物でできている」という言葉は間違っている?

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Q-388:同じ職場でお客さんに対しての話し方がおかしい人がいます。どう接すればいいでしょうか? <中編>

 

御質問をいただきました。ありがとうございます。

 その一部に回答いたします。

 (変更を加えています)

 

Q:同じ職場でお客さんに対しての話し方がおかしい人がいます。親しみやすさとなれなれしさは違うと思うのですが、そのことをどう伝えようか悩んでいます。どう接すればいいでしょうか?

 
 ...「どう接すればいいか?」という疑問を自ら解決するためのチェックポイントを7つ考えました。まずはその7つをそれぞれゲシュタルト化し(前・中編)、もう一段抽象度を上げて統合してください(後編)。

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 *抽象度はこちら↓

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 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

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 私は「統合した大きなゲシュタルトを、自分自身がクリアに体感し続けていること」が最も重要だと考えます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628437.html

 

その上で、その時々のベストな判断で臨まれてはいかがでしょう。「invent on the way」のイメージで。

L-09020217月シークレットレクチャー -02;臨場感世界の現実化(realized virtuality

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30497354.html

 

 <前編>

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A2:すべては空。自我も空

 

その事実が意味することは、「人は本質的に自由である!」ということ。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html

 

 前回(Q-387/前編)の4つのチェックポイントを通じて感じたのは、「不完全性」の理解の重要性。その理解がコーチングのスタートラインだとあらためて思いました。

 F-339:次世代プロファイリング×ゴール設定 <vol.4;苫米地博士の“プロファイリング”とは? -各論・理論編-

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33880880.html

 

では、残りの3つのチェックポイントをシンプルに解説します。

 

 

 □非単調論理

 かつては「正しいもの以外は知識とは呼ばない」ことが大前提だったそうです。それを「単調論理」と呼びます。

 そんな単調性に対して「例外のない法則はない」と主張したのが、イギリスの分析哲学者 スティーヴン・トゥールミン(Stephen Edelston Toulmin19222009年)です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6194585.html

 

トゥールミンはいわゆる三段論法で代表される形式論理の方法論が実社会における論理構築の手段として適さないと考え、「トゥールミンロジック」を築き上げました。いわば最初のチェックポイント「不完全性」を論理空間に組み込んだような感じでしょうか。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6194669.html

 

現実の世界に存在する論理はトゥールミンロジックのように非形式的なもの。これらのロジックは現代分析哲学において非単調論理として形式化されているそうです。詳しくはこちらでどうぞ↓

S-01~:よりよい“議論”のために

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_254557.html

 

 

 □非言語

 トゥールミンロジックを用いたディベートは、通常、言語を使って行われます。よって、言語空間の限界が必ず生じます。「言語束縛」と言い換えることもできます。

 F-0543つのロック(&1つのキー) <ワーク付き>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12794797.html

 

ところで、コーチングの基本は非言語です。なぜなら、言語を用いると

 

     want tohave toに変わる

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882609.html

 

     ドリームキラーが生まれる

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040935.html

 

     エフィカシーが下がる

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5616012.html

 

     抽象度の上限ができる

Q-176:コーチはリーダーとマネージャーの役割・機能を持つと考えて

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25016029.html

 

     言語により構築された世界を超えて非言語情報処理を行うことが困難になる

L-08220213月シークレットレクチャー -05;「非言語」が重要なのはなぜ?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30102311.html

 

 等々、起こりえるから。

 

コーチングだけでなく、じつは、すべてのコミュニケーションの原則が非言語です。非言語コミュニケーションが、人と人のコミュニケーションの原点だといえます。

F-327~:お大事に

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_427730.html

 

 

 □慈悲(compassion

 「非言語」というコミュニケーションの原点を踏まえた上で、慈悲的内省言語を考えると

 L-07920213月シークレットレクチャー -02;内省言語を発生させる

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30021884.html

 

 

 本当に相手のためか?

 相手の立場に立っているか?

 

 

 そんな内省言語を経て実行されるべき慈悲とは、「相手の五大感情『うれしい』『楽しい』『気持ちいい』『すがすがしい』『誇らしい』を感じひろげながら、そのイメージ実現のためにそのときのベストと思われる対応をする」ことであるはず。

 

 私はそれが慈悲の実践の基本だと思っています。

 Q-289:ドーパミンのvol.9;「ストレスフリーでマインドのコントロールがうまくなる」理由>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29916746.html

 

 

 以上の7つのチェックポイントに意識を向けながら、まずは相手の「意図」を明らかにしてあげてください。そもそも「意図」に気づいていないかもしれません。

 

 自分の「意図」に気づいていない

 

 それは自由がないのと同じ。“自分”を生きていないのと同じです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_369873.html

 

 以下、苫米地博士の著書「ドクター苫米地の新・福音書」(講談社、開拓社より再版、p174)より引用します。前回引用箇所のつづきです。

 

 

人は「理性」を超越できる

 その後ゲーデルの不完全性定理は、ロッサー、タルスキー、チューリング、チャーチといった数学者・論理学者たちが拡張していくのですが、IBMワトソン研究所のグレゴリー・チャイティンという数学者はついに1987年にこの定理を、数学全般にまで拡張して証明しました。「任意のシステムSにおいて、そのランダム性を証明不可能なランダム数Gが存在するという定理」がそれです。数学全般に拡張されたということは、

 「物理宇宙から情報宇宙まで含めて宇宙全体に不完全性定理が働く」

 と解釈できます。物理宇宙から情報宇宙まですべて数学で記述できるからです。これをさらに“翻訳”すると、次の意味になります。

 「内部表現という全抽象度に広がる宇宙の完全性は、内部表現の外側に出なければわからない」

 内部表現という言葉を「理性」と言い換えれば、「宇宙の完全性(もしくは神の存在)があるとすれば、それは理性を超越している」という意味でもあります。

 となれば、内部表現という宇宙に外側があるか否かは、哲学的な問いかけとなります。もしもそれがないとすると、自由とは単にランダムな偶然でしか手に入れられないことになってしまいます。

 では、ゲーデル自身はなぜ、不完全性定理の働く系の内側にいるにもかかわらず、不完全性定理に気づき、証明することができたのでしょうか。まさにそれが、彼の悩みでした。そこで出したゲーデルの結論は、

 「宇宙は閉じた系で、外側がある。そしてその不完全性定理の働く宇宙の外側にいるのが神であり、その神が叡智を与えてくれた」もしくは、「理性を超越した存在があり、それが叡智をくれた」

 というものです。それで彼は、神の存在を証明する数学理論をつくるために残りの人生を費やし、晩年は自分が毒殺されるという妄想に取り付かれ、挙げ句の果てに餓死してしまいました。

 私の考えは、ゲーデルと半分同じ。でも、重要な半分で異なっています。「内部表現宇宙には外側がある」もしくは「理性」を超越できる可能性はある。ただ、ゲーデルが閉じた系の内側にいながら不完全性定理を発見できたのは、その外側の神から情報をもらったからではない、そう考えています。不完全性定理は宇宙の基本原理だから、宇宙をメタ(高次元)に思考できれば、発見できて当たり前。メタに思考するとは、自らが系の外側に出ることに他ならないと思うのです。それが、我々の自由意思だと、私は捉えています。ゲーデルの言葉で「数学的直観」と言われるものです。また、ゲーデルの不完全性定理を用いて神の非存在論を1991年に展開したパトリック・グリムの言葉を借りれば「理性を超越するもの」、それが「自由意思」です。

 だから、「内部表現の外側があるか?」と問われれば「イエス」だし、「人は自由意思を持ちうるか?」と問われれば「イエス」、それが私の考えです

 引用終わり

 

 

 メタに思考するとは、自らが系の外側に出ることに他ならない

 「理性を超越するもの」、それが「自由意思」

 

 …7つのチェックポイントを踏まえた上で確認するのは「意図」。

 Q-333:「記憶が抜ける」ようなvol.8;抽象度を上げた“オンリーワンのプラン”>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32048435.html

 

 「意図性(intentionality)」が、オリジナルを決め、存在の意義を決めます

 

それは「自分とは何者なのか?」を決めるということであり、「宇宙とは何か?」を決めるということです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html

 

Q-389につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ      

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F-119:公私混同(ワーク付き)

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Q-072:不言実行はなぜ大切なのか? 有言実行は本当に間違っているのか?

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Q-371:共感覚がなかなかうまく実践できません <vol.3;実践編>

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L-08420213月シークレットレクチャー -07;内省言語を「言語を使わないで引き起こす」ために

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30160964.html

 

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Q-389:同じ職場でお客さんに対しての話し方がおかしい人がいます。どう接すればいいでしょうか? <後編>

 

御質問をいただきました。ありがとうございます。

 その一部に回答いたします。

 (変更を加えています)

 

Q:同じ職場でお客さんに対しての話し方がおかしい人がいます。親しみやすさとなれなれしさは違うと思うのですが、そのことをどう伝えようか悩んでいます。どう接すればいいでしょうか?

 

どう接すればいいか?」という疑問を自ら解決するためのチェックポイントを7つ考えました。まずはその7つをそれぞれゲシュタルト化し(前・中編)、もう一段抽象度を上げて統合してください(後編)。

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 私は「統合した大きなゲシュタルトを、自分自身がクリアに体感し続けていること」が最も重要だと考えます。

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その上で、その時々のベストな判断で臨まれてはいかがでしょう。「invent on the way」のイメージで。

L-09020217月シークレットレクチャー -02;臨場感世界の現実化(realized virtuality

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 <前編>

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 <中編>

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A3:前回(Q-388)までの7つのチェックポイントに意識を向けながら、まずは相手の「意図」を明らかにしてあげてください。そもそも「意図」に気づいていないかもしれません。

 

 自分の「意図」に気づいていない

 

 それは自由がないのと同じ。“自分”を生きていないのと同じです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html

 

 相手が自分自身の「意図」を感じ始めたなら、お客さんの「意図」を感じ取ることの大切さを教えてあげてください。それは「慈悲(compassion)」をブリーフシステム(Belief SystemBS)に組み込む大切な縁起となるでしょう。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

 自由や慈悲を伝える職場の先輩の「意図」まで感じ取ることができるようになった頃には、あらたな関係性が構築できているはずです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 以下、苫米地博士の著書「苫米地式 超高速コミュニケーション術」(大和出版、p29)より引用します。「コミュニケーションのカギ」をマスターし、まわりにひろげてください。

 

 

自分と相手の意図を結ぶ=関係性がコミュニケーションのカギ

 コミュニケーションをするとき、もうひとつ大切なことがあります。それは「コミュニケーション相手との関係性」です。

 そう書くと難しく感じるかもしれませんが、発信者であるあなたに意図があるように、受信者である相手にも意図があります。相手の意図を無視した一方的な意図の伝達はコミュニケーションとは言えません。ここが“スピーチ”とは違うところです。

 たとえば、あなたが自動車の営業マンで「車を売りたい」という意図を持ち、お客さんである相手は「新しい車がほしい」という意図を持っていれば、お互いの意図が合致しているため、あなたが自分の意図とそれに伴う情報(この場合は、売りたい車に関する情報)を伝えることで、相手の意図も満たされ、契約成立という両者の意図の達成に近づくことができます。それはコミュニケーションの理想的なパターンのひとつです。

 逆に、相手の意図をしっかりと把握していないと、自分(車を売りたい人)と相手(車を買いたい人)の関係性が成り立たず、まったくかみ合わないやりとりになってしまいます。

 では、あなた(営業)の意図は「車を売りたい」、相手(顧客)の意図は「車よりも家がほしい」という状況を例に、どんな会話になるか見てみましょう。

 

 あなた 「車の買い換えをされるなら、今月発売されたこの車は大変素晴らしい性能になりまして……

 相手 「へーぇ。それはすごい車ですね。でも、今は車を買い換える気はないんです。実は、家の新築を計画しているんです」

 あなた 「新築ですか。それでは、新しい家の車庫にこの新車を入れたらいかがでしょう?」

 相手 「新築にお金がかかるので、車を買い換える余裕はありません」

 あなた 「いえいえ、〇〇さんがお相手ですから、ちゃんと割引させていただくので、余計なご負担はさせませんよ」

 相手 「割引とかそういう問題じゃなく……

 

 実際にこんなやりとりをしている人は珍しくないでしょう。あなたは「車を売りたい」という自分の意図ばかりが先に出て、相手の意図を配慮することがまったくできていません。相手の意図が把握できていないから、相手が「聞きたい」と興味を持ってくれるような情報を提示できず、コミュニケーションを成り立たせることができないのです。

 自分と相手の関係性を把握できていない会話は、物事や状況を前進させることは決してありません。同じ場所をぐるぐる回りつづけるだけ。つまり、単なる時間の浪費にすぎません。

 

 自分と相手のそれぞれの意図を把握しているか、その意図は近いものか離れたものなのか、言うなれば「自分と相手の関係性」をしっかり把握することがコミュニケーションを成立させるうえでは非常に重要です。それができてこそ、お互いの意図の伝達ができます。

 もしあなたが「自分はコミュニケーション下手だ」「相手に自分の思いが伝わらない」と悩んでいるなら、その原因は実は口下手などではなく、そもそも自分と相手の関係性を把握せずに、無理やり自分の意図を伝えようとしているからではないでしょうか。

 引用終わり

 

 

 自分と相手のそれぞれの意図を把握しているか、その意図は近いものか離れたものなのか、言うなれば「自分と相手の関係性」をしっかり把握することがコミュニケーションを成立させるうえでは非常に重要

 

 この引用文を用いて説明すると、「自分の意図」が1つのゲシュタルトであり、「相手の意図」が別のゲシュタルトです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 

 そのゲシュタルト同士は違っていていいし、どちらかが「必ず正しい」「絶対に間違っている」ということはありません。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6194669.html

 

 「正しい」や「おかしい」を決めるのはゴール。だから、「自分と相手の関係性」が持つゴールを明らかにすることが重要です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 それは「ゴールを共有する」ということ。

 L-124202111月医療・介護研修… -05;働く仲間とゴールを共有するワーク

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32710871.html

 

ゴールを共有すると、自ずとあるべき姿(HabitAttitude)が決まっていきます。

 L-09620217… -08BSとハビット&アティテュードと抽象度の関係

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30652206.html

 

 すると、「お客さんに対しての話し方」は、自然にゴールにふさわしく修正されていくでしょう。

 (「自然に」の理由は↓)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html

 

 ゴールを共有すると、自ずとあるべき姿(HabitAttitude)が決まっていく

 

 それはゴール側のコンフォトゾーン(Comfort ZoneCZ)が定まるということ。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

「自分の意図」と「相手の意図」という別々のゲシュタルトが一つの大きなゲシュタルトになるということです(connect the dots)。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7383761.html

 

 ただし、そのCZやゲシュタルトはやがて変質していきます。無常だから。

 Q-245:続・気楽に生きたいのですが… -03;昇進うつの解決法

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28391533.html

 

ルー・タイス・プリンシプルでいうと昨日までの夢は、今日の必需品になる

 

 このプリンシプルは「人間の夢は、その人の成長とともに発展していく」という意味ですが、「必需品」と感じられる頃には“かつての「」”は現状化しています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html

 

それは「理想的な現状を生きている」ということ。強力な現状維持の力が、さらなる進化・向上を妨げてしまうでしょう。

PM-06-06:仮説01)変わらないCZが生みだす「現状維持の壁」

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628746.html

 

 だから、さらに先にあるゴールを探すことが必要。つねにゴールを更新し続けるという意識状態が重要です。苫米地博士の表現でいうと、「“火の鳥”になれ!」(ずいぶん前の表現ですが)。

 F-301:芸術は高抽象度の未知なるLUB。では、コーチングは? <vol.3最強の自己プロデュース力=火の鳥

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31971444.html

 

 

 さて、「どう接すればいいか?」という疑問を自ら解決するための7つのチェックポイントを、「もう一段抽象度を上げて統合する」ことができたでしょうか?

 

 会社にいるほとんどの人は、過去が決めている「今、何が重要か?」が生みだすスコトーマの中にいます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

会社や業界というバーチャルな存在さえも、過去の中に閉じ込められています。それが“現状”ということです。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html

 

 その“現状”の外側にゴールを設定し、さらに先にゴールを再設定していくことで、自分だけでなくまわりの人々のスコトーマも壊し、新しい認識を生みだすことができます。

 それは脱洗脳と同じ。

 Q-373:やりたいことがあれば現実感は出てくるのでしょうか?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34458945.html

 

 「『“現状”という現実世界』という幻」からまわりの人々を目覚めさせるために、「どう伝えようか?」「どう接すればいいか?」と悩み続けてください。そして考え続けてください。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14120540.html

 

もちろん気楽に。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353367.html

 

 

 以上、私の回答です。

 御質問ありがとうございました。

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

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