苫米地式コーチング認定コーチ CoacH T <タケハラクニオ> ブログ

認知科学者 苫米地英人博士に学び九州で活動するコーチ・ヒーラー・医師 CoacH T(タケハラクニオ)ブログ

カテゴリ:Q:質問等回答編 > Q-366~ 医師からのパワハラがひどすぎて心が折れました

Q-366:医師からのパワハラがひどすぎて心が折れました <前編;case-side

 

医師である私のもとに、ズキズキするような御相談が届きました。

 その一部にコーチとして回答いたします。

 (変更を加えています)

 

Q:看護師として療養病棟で働いています。医師からのパワハラがひどすぎて、正直限界です。患者さんが悪くなったりするといつも責められるのですが、この間なんかカルテに「誤嚥させて肺炎になった」「寝かせっぱなしー肺炎」「悪くなってから連絡あり。手遅れ」などと書き込まれて心が折れました。

ギリギリの人員で現場が回っているため今まで我慢してきましたが、もう本当に限界です。

 

A1:「悪くなってから連絡あり。手遅れ」という表現には、いくつか課題(case-side)があります。そのうち3つほど取り上げると

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html

 

 □「あなたたちが悪い」「私は悪くない」という他責

 □「手遅れ」に滲み出ている時間観

 □「」と決めつける価値観

 

 先に解決(plan-side)をお伝えしとくと、私の提案は「コーチングを学び、実践する」。そのコアは「抽象度を上げる」ことです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 以下、シンプルにまとめます。参考にしてください。

 

 

 □「あなたたちが悪い」「私は悪くない」という他責

なにか問題が生じたり、嫌なことが起こった場合に、「〇〇が悪い」などと自分以外のところに責任を転嫁してしまうことを「他責」といいます。それとは反対に、「自分の注意が足りなかったのでは?」などと自身の言動を振り返ることが「自責」です。

S-04-05:自責の意味

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22669112.html

 

 「他責」の前提には、「自と他を明確に区別している」という意識状態があります。その“区別”自体は問題ありません。「自と他の区別」とは、自分の定義=自我のことです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html

 

 ただし、部分関数としての自我、すなわち”縁起の中心点としての自“の認識が欠けると、「自と他の区別」は「差別」に変質していきます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 御相談に登場する医師のブリーフシステム(Belief System)は、おそらく「他責」でしょう。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

しかも、flatな関係上の「あなたたちが悪い」「私は悪くない」ではなく、「自分は上(偉い)」「あなたたちは下(偉くない)」といった上下関係による見下しを根にもつ「他責」であるはず。それが差別です。

PM-06-13:仮説08)はびこる差別意識

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14249741.html

 

 

 □「手遅れ」に滲み出ている時間観

 繰り返しますが、「私は悪くない」や「自分は上(偉い)」は、縁起の理解不足に由ります。西洋的に表現すると不完全性の無理解です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6194669.html

 

 少し掘り下げると、情報空間の不完全性を示したのがクルト・ゲーデル(19061978年)の「不完全性定理」で、物理空間での不完全性を示したのがヴェルナー・ハイゼンベルク(19011976年)の「不確定性原理」です。

 PM-06-18~20:仮説13)宗教の限界

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14526199.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14687391.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14687476.html

 

 *情報空間と物理空間の関係はこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

 いずれにせよ、生きている以上、「手遅れ」はありません。「必ず解決の糸口がある」「いつも可能性が開かれている」というのが、不完全性が示唆することです。

どんな暗闇にも光は差し、どんな逆境でも希望はあり続けます。

 F-155:「怒りと絶望しかありません」という言葉に感じた希望

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23743308.html

 

 再度繰り返しますが、「私は悪くない」や「自分は上(偉い)」は、縁起の理解不足に由ります。その理解不足が「過去→未来」という固定的かつ閉塞的な時間観を生みだします。「悪いのはいつもあなたたち」「これからも自分は上(偉い)」というブリーフです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html

 

 詳細は下記ブログ記事で確認していただきたいのですが、時間は未来から現在、過去へと流れています。その「未来→現在→過去」という時間観の習得が1st. Stepです。

2nd. Stepは「時間は物理空間の軸の1つ(4次元時空)」を理解すること。ひとつ抽象度が上がると、時間は流れていないことがわかります。

 Q-319~:速いスピードで移動した人は長生きできるって言いますよね?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_425265.html

  

 未来は確定的なものではなく、いくつもの未来が可能世界(possible world)として同時に存在しています。

じつは未来だけではなく、現在も過去も同時に存在している

それが苫米地博士が座右の銘にされている「一念三千」の世界観です。

 F-319:観自在 <理論編-2;自在を観る>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32875213.html


 

 □「」と決めつける価値観

 世の中に絶対はなく、未来は無限の可能性として開かれている

 そのように頭では理解できても、実感はなかなかできないはず。簡単にいうと、「可能性」がスコトーマに隠れてしまうからです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 *詳しくいうとこちら↓

 L-140202111月小学校親子講演会-03;子どもたちに一番伝えたかったこと

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33332991.html

 

 先ほど「生きている以上、『手遅れ』はありません」と書きましたが、それもなかなか実感できないはずです。現実問題として、生きるほど、残された時間は短くなっていくのだから。

例えば、今日生まれる子どもであっても、1日経つと、1日死に近づきます。死に近づきながら(時間の流れを考慮すると「死が近づきながら」)、確実に老い、たぶん病になり、そしていつの日か必ず旅立ちの時を迎えます。

L-155202111月医療系研修会 -10;「明日への希望」を失わないために

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33919200.html

 

 ところが、抽象度を上げた思考ができるようになると、人は「老病死(+生で四苦)」を克服していきます。先の表現でいうと「手遅れ」という概念そのものがなくなる感じです。

それは、いわば時空を超越する体感。情報次元に自が拡張し、宇宙と一体化する感覚です。

F-243:人は、生きている時は自分の心の中、亡くなると親しい人の心の中にいる

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28791954.html

 

 その境地にいたると、「生」「老」「病」「死」の違いはなくなり、「正誤」「善悪」といった価値判断からも自由になります。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html

 

 御相談に登場する医師のブリーフシステム(Belief System)には、「病」←嫌、「病」←悪、「病」←負け といった価値観がすり込まれているはずです。さらには、無意識の奥深くに、死に対する強い恐怖があるのでしょう。

 F-122:免疫力をあげる!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/21245972.html

 

 恐怖や不安(←未来の恐怖の予期)により抽象度が下がり、大切なもの(例えば「感謝」「感動」「希望」)が見えなくなっている

 PM-07-02:釈迦が教えてくれること ~3Kを新たな3K

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/15395021.html

 

 それが、私が御相談から感じた問題の本質(inherency)です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12808542.html

 

 以下、苫米地博士の著書「人間は『心が折れる』からこそ価値がある」(PHP研究所、p174)より引用します。逆腹式呼吸を重ね、リラックスを深めながら、「心が折れました」という自分に対するイメージを書き換え、スコトーマを外してください。Feel

 (逆腹式呼吸はこちら↓)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27570183.html

 

 

「心が折れる」のはダメな人間の証拠ではなく、人間の素晴らしさの証拠だ

 多くの人は、「どうも不快だ」「今日はかったるい」「最近気が重い」というような、ネガティブな気分をなくしたいと思っています。ネガティブな気分にならない人が完璧な人間だと思っています。

 しかし、それはまったくの誤解なのです。不快な気分、ネガティブな気分があるから、人間は素晴らしい完成された存在なのです。

 心が折れるのはダメな人間の証拠ではなく、人間の素晴らしさの証拠です。

 私や私の仲間たちのように、人工知能を三十年間研究してきた人間は、人工知能が完璧でないのは、「情動」のしくみがなく、「不快な気分」を感じることができず、「心が折れない」からだと考えています。

 情動や気分のしくみがないがゆえに、現在の人工知能は賢くないのです。

 世の中の問題には決まった答えはありません。考えても考えても答えが出ないことばかりです。通常のコンピュータは論理思考しかできないので、答えがなくても理詰めで考え続けます。答えがないのに延々と答えを探し続けて演算を繰り返します。そういう単純な思考しかできないコンピュータは、賢いとはいえません。

 それに対して人間は、途中で計算を打ち切って即座に結論を出すことができます。それを支えているのが「情動」のしくみです。「こっちのほうが好きだから、これにする」とか「これは嫌だから、やらない」とか「何となく、こっちがいいと思う」と判断して、結論をスパッと出すことができます。論理を超えた結論を出せるのです。

 論理的に見れば間違った結論かもしれませんし、矛盾した結論かもしれません。けれども、人間はそこから学んで、次はより適切な結論を出そうとする学習能力があります。

 そういうしくみこそ「賢い知能」なのであって、人工知能にはまだまだ追いつけない部分です。

 その人間の一番優れた機能である情動の働きを「ないほうがいい」と思うのは、とても残念なことです。情動の働きが人間の脳の素晴らしさを支えているのであり、この働きをもっと大切にするべきです。

 不快な気分になる、怖い思いをする、気分が憂うつになる、心が折れる。いずれも、とてもよいことです。人間は感情的になっていいのです。人間の脳は、そうなるようにできています。

 悲しいときには泣く。心が折れるときには折れる。嬉しいときには喜ぶ。それを禁じる社会のほうがどうかしています。

 引用終わり

 

Q-367につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ      

苫米地式認定マスターヒーラー      

 CoacH T(タケハラクニオ)     

 

 

-追記1

少し掘り下げると、情報空間の不完全性を示したのがクルト・ゲーデル(19061978年)の「不完全性定理」で、物理空間での不完全性を示したのがヴェルナー・ハイゼンベルク(19011976年)の「不確定性原理」です

 

 ずっと待ち続けていたクリストファー・ノーランの最新作「オッペンハイマー(原題:Oppenheimer)」が、ついに公開されました。アルベルト・アインシュタイン(1879~1955年)やニースル・ボーア(1885~1962年)とともに、ゲーデルやハイゼンベルクもチラッと登場します。

俳優が演じているのは百も承知ですが、それでも「不完全性」に対する臨場感が上がりました。映画の持つ強力なパワーをあらためて実感しています(いろんな意味で)。

F-304~:映画のおもしろさって何だろう? ~Indy 5」の評価が割れた理由を考える~

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_426094.html

 

 

-追記2

 時間は未来から現在、過去へと流れています。その「未来→現在→過去」という時間観の習得が1st. Stepです。2nd. Stepは「時間は物理空間の軸の1つ(4次元時空)」を理解すること。ひとつ抽象度が上がると、時間は流れていないことがわかります

 

 大乗仏教的にいうと、「未来から過去へ流れる」という時間観が仮観で、「流れていない」が空観という感じでしょうか。そして、「離散的である時間の本質をわかった上で、あえて流れを楽しむ」という境地が中観であるはず。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353367.html

 

 

 その中観的な世界が、なんと、ノーランの「インターステラー(原題:Interstellar)」で描かれています。サントラ(ハンス・ジマー!)とあわせ強くお勧めします。

 F-192:「夢をかなえる方程式 I×V=R」実践の秘訣(ワーク付き)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26119647.html

 

 

-告知1

2023年度のオンラインセミナーを企画しました。9月から1ヶ月おきに、計4回開催する予定です(9月、11月、1月、3月)↓

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32135874.html

 

 次回の開催は2024428日(日)(←再変更しました)。詳細はこちらで御確認ください↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33835792.html

 

 

-告知2

 クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。

一緒に楽しみましょう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html

 

 

-関連記事-

F-228:ゼロトラスト 前編;民無信不立

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28170711.html

F-330:分断緩和のための処方箋 vol.1;サーフィンvsウインドサーフィン

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33414117.html

F-336:次世代プロファイリング×ゴール設定 <vol.1;コーチングにプロファイリングは必要?>

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33723264.html

L-05220207月シークレットレクチャー -02;縁により「呪縛」は「希望」にかわる

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27587288.html

S-04-16:反求と在身-1;吉田松陰の教え

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23437901.html

S-04-17:反求と在身-2;「自分中心」克服のためのワーク

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23512794.html

 

 

人間は「心が折れる」からこそ価値がある

Kindle版はこちら↓

人間は「心が折れる」からこそ価値がある | 苫米地英人 | 個人の成功論 | Kindleストア | Amazon

 



Q-367:医師からのパワハラがひどすぎて心が折れました <後編;plan-side

 

医師である私のもとに、ズキズキするような御相談が届きました。

 その一部にコーチとして回答いたします。

 (変更を加えています)

 

 前編;case-side

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33974189.html

 

Q:看護師として療養病棟で働いています。医師からのパワハラがひどすぎて、正直限界です。患者さんが悪くなったりするといつも責められるのですが、この間なんかカルテに「誤嚥させて肺炎になった」「寝かせっぱなしー肺炎」「悪くなってから連絡あり。手遅れ」などと書き込まれて心が折れました。

ギリギリの人員で現場が回っているため今まで我慢してきましたが、もう本当に限界です。

 

A2:前回(Q-366)は、「悪くなってから連絡あり。手遅れ」という表現に内包されている課題(case-side)のうち、3つを具体的に取り上げました。それは

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html

 

 □「あなたたちが悪い」「私は悪くない」という他責

 □「手遅れ」にあらわれている時間観

 □「」と決めつける価値観

 

 最初にお伝えしたとおり、私の解決(plan-side)は「コーチングを学び、実践する」。そのコアは「抽象度を上げる」ことです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 コーチングでは、クライアントのコンテンツに一切関わりません。

 Q-297:弟子にしてください

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30430928.html

 

例えば御相談に登場する医師が私のクライアントだった場合、ブリーフシステム(Belief SystemBS)の分析はしますが、その内容についてはお伝えしません。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

言及することで価値や判断に影響を与えてしまうと、新たなスコトーマ(Scotoma)ができるからです。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 スコトーマを外して現状の外にゴールを設定することがコーチングのコアなのに、それでは本末転倒です。さらにいうと、ますます過去に囚われることになりかねません。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html

 

では、クライアントの認識・理解・評価・判断に直接関わらずに、どうやってスコトーマを外していくのでしょう?

 

 

 私が常に意識しているのは、「クライアントのマインドをより抽象度の高い次元に誘う」こと。そのために、1)しっかりとリラックスしていただき、2)コーチングに関する知識を共有しながら、3)ゴールを設定してもらいます。もちろん、現状の外(=高次の抽象度次元)に。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 前回(Q-366)の最後に、苫米地博士の著書「人間は『心が折れる』からこそ価値がある」(PHP研究所、p174)より引用しました。「心が折れました」という自分に対するイメージを書き換え、スコトーマを外すことができたでしょうか?

 

 もしも自分に対するイメージが変わっていないようなら、部分関数であり評価関数でもあるという「自我」について再確認しながら、ゴールをイメージしなおしてみてください。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html

 

 このままでは絶対にムリだけれども、絶対に実現したいワクワクするようなゴールを!

 Q-221:ゴール設定のポイントについて確認させてください

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27497249.html

 

 

 イメージできましたか?

 

 イメージできたなら、逆腹式呼吸を続けながら、前回の引用文を再読してください。こちらからどうぞ↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33974189.html

 

 

 どうでしょう? 自分に対するイメージは変わりましたか?

 

 「自分に対するイメージ」の前提には、「自と他を明確に区別している」という意識状態があります。前回お伝えしたとおり、その“区別”自体は問題ありません。「自と他の区別」とは、自分の定義=自我のことです。

 ただし、部分関数としての自我、すなわち”縁起の中心点としての自“の認識が欠けると、「自と他の区別」は「差別」に変質していきます。

 PM-06-13:仮説08)はびこる差別意識

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14249741.html

 

 自分=私とは“縁起の中心点”であると同時に、関係性の塊のようなものでもあります。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 その関係性には不思議な“性質”があります。その“性質”と「ゲシュタルト(Gestalt)」を結びつけながら、下記の文章を読み進めてください。

 以下、苫米地博士の著書「洗脳力」(アスコム、p147)より引用します。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7383761.html

 

 

「私」という存在を理解するキーはゲシュタルトにある

 本書の初めのほうで、存在とは関係の結節点であるという話をしました。関係性というのは不思議な性質があります。関係性によって全体が個の総和の以上のもの、あるいは別のものになってしまうという性質です。これをゲシュタルトと言います。

 存在とは関係で決まるので、ある存在はAでもあり、またBでもあるということがあり得ます。関係性によってはあらゆる可能性が考えられます。ということは、存在もまた「空」であると言えそうです。結局、自己とか私とかいうものも「空」であると考えられるわけです。私であり、私以外のすべてでもあるものが私と言えばいいでしょうか。

 こんなふうに考えられると、「私」という殻も案外容易に破れるかもしれません。

 さて、ここでゲシュタルトの話を出してきたのは、「私」という存在について考えるヒントになるからです。

 繰り返しますが、ゲシュタルトとは全体は個の総和ではないという考え方のことです。たとえば音楽を考えてみましょう。曲というのは、11個の音符(休符も含む)の順列でできあがっています。「全体=個の総和」だとすると、一つの曲は曲のなかの一つひとつの音符によって決定されることになります。

 ところが、音楽には移調というものがあります。カラオケなんかでキーを上げたり、下げたりするのが移調です。キーを変えると休符を除く楽譜上のすべての音符は別のものになります。

 11個の音符は別のものにもかかわらず、私たちはそれらを同じ曲だと認識します。

 これは「全体≠個の総和」であることを端的に示しています。音符同士の関係性が一つひとつの音符でもありながら、関係性によって全体を決めるものとしての存在でもあるのです。

 あるいは、同じ直線が3本書いてあっても、三角形と認識する場合と単に3本の線が並んでいるだけと認識するときはあります。形によっては矢印と認識するかもしれません。

 同じ直線でもその並び方によって全体の意味は異なることになります。これもゲシュタルトです。

 あらゆる存在はゲシュタルトですから、「私」なるものも関係性によってその意味は変わってくることになります。つまり、自分だけが自分勝手に「なりたい私になる」などと言ってみても、他との関係性によって意図したものとはまったく異なる「私」になってしまうことがあるのです。「私はハ長調の主音である『ハの音』になる」と思っても、曲全体がハ長調じゃなければ、自分だけが主音だと勘違いしながら不協和音を発し続けることになってしまうわけです。

 「自己実現(自己だけ実現)」とか「なりたい私になる(私だけが勝手になりたいものになる)」という考え方がいかに無意味であるか、いかに間違った考え方であるかを「空」「ゲシュタルト」という概念とともにもう一度見つめ直してほしいと思います。

 引用終わり

 

 

 あらゆる存在はゲシュタルトですから、「私」なるものも関係性によってその意味は変わってくることになります

 

 相談者である看護師さんは、医師との関係性に疲れ果てています。この場合の関係性とは「パワハラ」と表現されるもので、「私(看護師):被害者」「相手(医師):加害者」です。

 

 そんな「私」は、関係性が変わるとダイナミックに変わっていきます。その「関係性を変えるもの」がゴール。ゴールを設定すると、すべての関係性が「ゴール実現のための縁起」となります。「私:ゴールに向けてスコトーマを外す人」「相手:スコトーマを外す大切なきっかけ」というように。

(私の経験はこんな感じ↓)

 PM-06-03:抗不安薬を常用する医師の叫びで気づいた「FOG

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13523715.html

 

 よく「波瀾万丈ですね」と同情される私が、今まで生きてきて確信しているのは、「ゴールに向かう者に無駄な縁起はひとつもない」ということ。ラベリングでいうと、「すべて『T』」。

 F-095:私はイヤなことは心の中で握りつぶす vol.2(ワーク付き)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/18456250.html

 

 その理由はわかりますか?

 

そう、RAS&スコトーマの働きです。ゴール側の臨場感が高いと、ゴールに関係するもの/こと(T)が認識に上がり、関係ないもの/こと(Nil)はスコトーマに隠れます。

 Q-279~:今までRASとスコトーマは「認識しているものの中から何を選ぶか?」という話だと思っていました

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_422026.html

 

 ラベリングには「D」というラベルもあります。「Delusion(妄想、迷い)」のことで、「T」でも「Nil」でもない情動のことです。

一般的には怒りや悲しみ、後悔、不安のことですが、御相談中の「心が折れる」「もう本当に限界」も「D」といえます。

結局、自己とか私とかいうものも『空』である」ということ。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353367.html

 

 D」そのものは、ゴールを達成し、さらなるゴールを設定するための大切な縁起。わかりやすくいうと“燃料”みたいなもの。

それは「ダメな人間の証拠ではなく、人間の素晴らしさの証拠」です。

 

 これからはモニタリングを続け、もしも「D」に気づいたなら、逆腹式呼吸を行いリラックスを深めてください。そして、心が整ったなら、ゴール側からラベリングを!

 L-10920218月シークレットレクチャー -11;モニタリング&ラベリング

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31421939.html

 

きっと看護師として「職業」のゴールや、「社会への貢献」「生涯学習」といったカテゴリのゴールを見つけるでしょう。そのとき「医師からのパワハラ」は、ゴール実現のためのエネルギーとクリエイティビティに変わっていきます。

Q-178:家族ががんで治療中です。どうすれば… -02;エネルギーと創造性の源

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25090742.html

 

 そう、すべて“自分”次第です。だから大丈夫!

 L-126202111月医療・介護研修レポート -07;すべては自分次第。その自分とは

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32763806.html

 

 

 以上、私の回答です。

 御相談ありがとうございました。

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-告知1

2023年度のオンラインセミナーを企画しました。9月から1ヶ月おきに、計4回開催する予定です(9月、11月、1月、3月)↓

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32135874.html

 

 次回の開催は2024428日(日)(←再変更しました)。詳細はこちらで御確認ください↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33835792.html

 

 

-告知2

 クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。

一緒に楽しみましょう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html

 

 

-関連記事-

F-195:新たな概念「PPPD」の考察

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26301730.html

F-227:ジョコビッチのwp

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28113432.html

F-2333錠じゃないと飲まん! <後編:排中律を昇華させるポイント>

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28402002.html

Q-236:アウトプット自体が苦手。恐怖心に近いです。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28179398.html

Q-238~:気楽に生きたいのですが

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418094.html

 

 

洗脳力

Kindle版はこちら↓

洗脳力 | 苫米地英人 | 個人の成功論 | Kindleストア | Amazon

 



このページのトップヘ