Q-359:こんな当たり前のことを訊いてもよいのでしょうか? <前編;「当たり前」の正体>
御質問をいただきました。ありがとうございます。
今回は質問内容そのものではなく、質問と一緒に書かれていた言葉に潜んでいる課題(case-side)とその解決(plan-side)についての考察です。
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Q:何年も前から「これで合っているのか?」疑問だったのですが、なかなか言語化できなかったのと、「こんな当たり前のことを聞いて良いものか?」という気持ちがあったのですが、今回ぜひ伺ってみたいと思いました。
A1:疑問を持ち続けることはとても大切なことです。なぜなら、この世は(あの世も)不完全だから。
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「これで合っているのか?」と問い続けるからこそ、スコトーマが外れていきます。
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「なかなか言語化できなかった」のは、それだけ抽象度が高い次元での思考だったからでしょう。それはとても素晴らしいことです。
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私たちはつい抽象度が低い次元に囚われてしまいます。煩悩があるから。
だからこそ、逆腹式呼吸でリラックスとゆらぎを得て、より高次の抽象度次元に向かい続けることが重要。
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では、そのために何を行えばいいでしょうか?
何を心がけるべきでしょうか?
(私の答えは次回<後編>の最後に)
…ここまでが「コーチらしい」と感じた部分。ここからは「コーチらしくない」と感じた部分です。さらにリラックスしながら、気楽に読み進めてくださいw
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「こんな当たり前のことを聞いて良いものか?」の「当たり前」の正体とは何でしょうか?
…最初に述べたとおり、この世は(あの世も)不完全です。ここでいう「この世」とは物理空間のこと、そして「あの世」とは情報空間のことです。どちらに対しても不完全性が働きます。
そもそも物理と情報は同じもの。同じもの抽象度の違いです。
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ということは、絶対的な「当たり前」は存在しえないことになります。「当たり前」はつねに相対的(あるいは恣意的)です。では、何が「当たり前」を決めるのでしょうか?
以下、苫米地博士の著書「幻想と覚醒」(三才ブックス、p75)より引用します。「当たり前」の正体を考えながら読み進めてください。
現実とは幻想の共有に過ぎない
人間は、ある情報空間の中で、情報を共有することができます。これはホメオスタシスという人間が持っている機能が関係しています。
ホメオスタシスとは、恒常性維持機能のこと。人間はストレスとなりうる外界の環境の変化に対して、常に安定した恒常的状態を保とうとする仕組みを持っています。ホメオスタシスは、生体を生きながらえさせるために、外界とフィードバックして常に自分の情報を更新します。
このホメオスタシスがある情報空間とフィードバックすると、人間はその空間に臨場感を持つことができます。臨場感とは、さもその場に身を置いているように感じることで、視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚……。ある空間に対して、あたかも五感で感じているような感覚です。
1つの情報空間に、ホメオスタシスのフィードバックによって臨場感が高まると、その空間が自分にとっての現実(リアル)となります。目の前の物理的現実世界はもちろん、本の中の仮想世界や空想で生み出した世界も現実となるのです。
これが、人々の間で約束事を生み、幻想を共有させています。
仮にあなたが、「私は社長になりたい」と思っていても、所詮は約束事です。極めて狭い空間、短い期間内の約束事でしかありません。一部の人にしか通用しないことは、幻想に過ぎません。
すべては、自分の心の中の世界です。それも自分の心が認めているごく小さな約束事です。
電車の中で威張っている中年男性と若者が遭遇しても、彼らには物理的な光の反射、電車の振動くらいしか共有していません。それ以外には、何の約束事もないのです。ですから、中年男性がどれほど会社で偉くても、若者が擦り寄って挨拶することはありません。
もし、中年男性が自分に関係が深いという意味で偉いということを若者が共有していれば、若者はすぐにでも挨拶するでしょう。自分が着席していたら、慌てて立って席を譲るかもしれません。でも、実際には共有していないので、そんなことはないのです。
かつての日本には、年輩の人達がそういったことを期待していた節がありました。年功序列が当たり前だった頃は、年を取っている人は偉いということが社会全体で多少は共有されていたのでしょう。
時代をもっと遡れば、そういった儒教的思想はさらに強く共有されていました。江戸時代の身分制度を見ても明らかです。平民が問答無用で平伏していた大名行列などは、まさに権威だけで人を従わせる典型的な悪例です。
今でも儒教的思想は多少残っているところはあります。ただ、大名行列のような権威を振りかざして従わせることはありません。ですから、偉そうに振る舞う人に全く面識のない私たちが挨拶するというような愚挙は起こりません。
身なりも関係ありません。どれだけ高給ブランドのスーツを着ていようが、貴金属を身に付けてようが、「あ、そう」で終わりです。
にもかかわらず、ステータスが高い(と思い込んでいる)人達は、そのことに気付いていません。滑稽にも、皆が自分に擦り寄ってきて当たり前だと勘違いしています。ですから、電車やレストランでも偉そうな態度を通しているというわけです。
引用終わり
1つの情報空間に、ホメオスタシスのフィードバックによって臨場感が高まると、その空間が自分にとっての現実(リアル)となる
…「当たり前」を決めるのは、個人のマインド(脳と心)での情報処理です。その情報処理は、脳が後天的に獲得した「認識のパターン」に基づいています。そう、ブリーフシステム(Belief System、BS)のこと。
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過去の何らかの記憶が「〇〇は△△であるべき」「〇〇なら△△で当然」といった「当たり前」を生みだし、RAS&スコトーマの働きによってどんどん強化されていきます。
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強化された「当たり前」という臨場感空間(情報空間、情報場)は、やがてコンフォートゾーン化していきます。
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コンフォートゾーン(Comfort Zone、CZ)とは、「居心地が良いと感じ、自然に振る舞うことができる、意識の中のエリア(空間)」のこと。そんなCZは、じつは、両刃。
Q-306~8:私のまわりではそうでもないです… <vol.1~3:コンフォートゾーン>
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CZ(=「当たり前」のエリア)は、ホメオスタシス(homeostasis、恒常性維持機能)の働きにより強力に維持されています。なので、たとえ良い方向への変化だと頭ではわかっていても、「当たり前」からはなかなか抜け出せません。無意識が強力に抵抗してしまうのです。
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https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html
さらに、あるCZ(=「当たり前」のエリア)を他人と共有するほど、ますます「当たり前」から抜け出すことは難しくなります。「『こんな当たり前のことを聞いて良いものか?』という気持ち」は、そのような無意識の抵抗のあらわれでしょう。
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さて、「当たり前」の正体はわかりましたか?
…「当たり前」を生みだすのは「何らかの記憶でつくられたBS」。そして、その「当たり前」を維持するのは「情報空間とフィードバックしたホメオスタシス」です。
それらはすべて過去!
「こんな当たり前のことを聞いて良いものか?」は、過去に縛られたままのマインドが発した叫び(SOS)といえます。
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…ここからまた「コーチらしい」と感じた部分。後編も含め安心して読み進めてくださいww
「ぜひ伺ってみたい」は過去の呪縛を断ち切る大切な一歩。ただし、そのセルフトークのままでは、きっと「こんな当たり前のことを聞いて良いものか?」に戻ってしまうでしょう。なぜ?
…そう、ホメオスタシス・フィードバックが働くから。
そもそも人間は、過去に縛られ、抽象度が低い次元に囚われてしまう存在です。
F-206~:マトリックス/Matrix
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_414394.html
では、過去を断ち切り、より高次の抽象度次元に向かい続けるために、私たちは何を行えばいいでしょうか?
私たちコーチは何を心がけるべきでしょうか?
(Q-360につづく)
苫米地式コーチング認定コーチ
苫米地式認定マスターヒーラー
CoacH T(タケハラクニオ)
-追記-
「ぜひ伺ってみたい」は過去の呪縛を断ち切る大切な一歩。ただし、そのセルフトークのままでは、きっと「こんな当たり前のことを聞いて良いものか?」に戻ってしまうでしょう
…クリアでない場合はこちらをどうぞ↓
Q-191:ヒーリングとコーチングの関係がよくわかりません
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-告知1-
今年度のオンラインセミナーを企画しました。9月から1ヶ月おきに、計4回開催する予定です(9月、11月、1月、3月)↓
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一緒に楽しみましょう!
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