苫米地式コーチング認定コーチ CoacH T <タケハラクニオ> ブログ

認知科学者 苫米地英人博士に学び九州で活動するコーチ・ヒーラー・医師 CoacH T(タケハラクニオ)ブログ

カテゴリ:F:フリーテーマ > F-304~ 映画のおもしろさって何だろう?

F-304:映画のおもしろさって何だろう? ~Indy 5」の評価が割れた理由を考える~ vol.1;臨場感①>

 

 今夏(2023年)、映画「インディ・ジョーンズ」の第5作(Indiana Jones and the Dial of Destiny)が公開されました。

 第1作「Raiders of the Lost Ark」が公開されたのは1981年。42年分の記憶とともに楽しまれた方も多いのではないでしょうか?

(私の場合、「少年←思春期←学生←医師←コーチ」を濃縮した感覚でした)

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html

 

 今作は(前作もw)評価が真っ二つに割れたようです。「最高級におもしろかった」と「とても退屈だった」といった感じに。皆さんはどうでしょう?

 

 ところで、私の元にはこのような御意見が届きました。「子どもの頃は『インディになりたい』と思うくらい好きだったのに、全然楽しめなかった」。

 

 その理由を推測しながら、“おもしろい”について考えてみました。

 Q-281~:ドーパミン分泌をコントロールまたはどの程度分泌されているか

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_422146.html

 

 vol.1;臨場感① -洗脳を知るうえで必要な三つの概念

 

 

映画はなぜおもしろいのだろう?

 

 まず浮かんだワードは「臨場感」。

臨場感についてしっかり理解するためには、3つの概念(ゲシュタルト)を理解する必要があります。「変性意識」「内部表現」、そして「ホメオスタシス」です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html

 

これら3つを統合すると、「臨場感」というゲシュタルトの臨場感が高まりますw

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7383761.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628437.html

 

 以下、苫米地博士の著書「洗脳護身術」(三才ブックス、p29)より引用します。

 

 

洗脳を知るうえで必要な三つの概念

 そもそも洗脳とは、認知科学的にはどういった状態を指すのだろうか?

 洗脳を理解するためには、次の三つの概念を理解する必要がある。

 

 変性意識

 内部表現

 ホメオスタシス

 

 まずは変性意識から説明しよう。一般的に、洗脳された人間は精神が浮遊した状態であるといわれており、実際に視点が定まらなかったりする。ここでのキーワードが、変性意識である。

 変性意識(Altered States of Consciousness)とは、臨場感を感じている世界が物理的な世界ではなく、映画や小説といった仮想世界にある状態を指す。もちろん、現実世界の臨場感が全くなくなることはないので、現実世界よりも仮想世界の臨場感がより強い状態というべきだろう。映画を見ているときや、夢の中を漂っているときなどがそうだ。催眠状態も変性意識状態の一つである。この意識の変性度の高い状態が、一般にトランス状態といわれている。

 カルトに洗脳された状態では、カルトによって作り上げられた仮想世界に臨場感が強くなっている。例えば、両親の顔が悪魔に見えたりする。これは幻覚なのだが、変性意識状態では催眠による幻覚の例が顕著なように、現実世界と同じ臨場感で幻覚を見る。夢と同様だ。ただ、本人はそれを幻覚と意識できず、現実世界と認識しているのが洗脳のやっかいなところだ。映画で作り出された変性意識状態は、映画を見終わって映画館から退出すれば、自然と抜け出すことができる。しかし洗脳の場合、この状態が長期間継続するように仕掛けられている。

 洗脳には必ず変性意識が介入している。これは洗脳状態が「本来の物理的現実世界とは異なる、カルトなどの洗脳者によって築き上げられた仮想世界に臨場感が継続している状態」にあるから当然のことである。宗教的体験としてよく耳にする神秘体験も、変性意識状態での出来事だ。変性意識は、催眠や薬物のみならず、過呼吸や睡眠の剥奪、長時間の集中や単調な運動でも容易に生成される。瞑想や長時間の念仏などで光を見たり、仏を見たりするのは、変性意識下での幻視である。宗教は広い意味でとらえれば、洗脳の一種といえるので、変性意識が介在していてもおかしくない。

 ここで前もって述べておくが、本書は宗教などで利用される変性意識下での幻覚体験を否定的にとらえているわけではない。むしろ、この変性意識下のイメージを自己解放と自我の強化に用いることを積極的に評価している。ただし、この変性意識が洗脳者に利用されれば、自力ではその仮想世界から永遠に抜け出せないので、その点を危惧しているのである。

 引用終わり(この続きは次回引用します)

 

 

変性意識(Altered States of Consciousness)とは、臨場感を感じている世界が物理的な世界ではなく、映画や小説といった仮想世界にある状態を指す

 

認知科学(cognitive science)以前のモデルは、「『物理的現実世界』があり、それに対し『仮想現実(virtual reality)』がある」というもの。認知科学以降は「いま自分が臨場感を感じている世界がリアリティ」。

この認知科学の知見をプリンシプル化したものが「I×V=R」です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html

 

 「全然楽しめなかった」のは、臨場感が物理的現実世界から切り離されず、映画の仮想世界に移行しきれなかったからかもしれません。

簡単にいうと、「変性意識化が浅かった」。その理由として多いのは“リラックス不足”です。

 F-217:不安と不満のはざまで1st. Step;「どうせ私なんか」と思った時は

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27570183.html

 

私自身は“十分なリラックスを伴う変性意識化”を防ぐ要因として、「恐怖(Fear)」「義務感(Obligation)」「罪悪感(Guilty)」に気をつけています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13523715.html

 

 

繰り返しますが、認知科学以降は「いま自分が臨場感を感じている世界がリアリティ」です。それまでの「構造主義」「行動科学」「実験心理学」とは異なり、認知科学では人間を内部表現(IRInternal Representation)としてみて、「内部表現を変えることで(入力を変えることなく)出力が変化する」と考えます。

F-176:“幸福(well-being)”とは? ~「antiwithwellpart-1;ゴールが幸福を定義する

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25101418.html

 

それは「内部表現での何らかの情報処理が、言動などの出力を決める」ということ。よって、マインドを変えると自然に行動が変わることになります。

 F-032:ある医師の勇気に触れて学んだこと ~○○○→思考→言葉→行動→習慣→性格→運命→○○→~

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/9366814.html

 

 じつは、出力だけではなく、入力そのものがマインドでの情報処理により決まっています。マインドの働きをシンプルに「認識⇔理解⇔評価⇔判断」と考えると、最初の「認識」から書き換わっていきます。

 F-110~:情報が書き換わると現実が変わる

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_386190.html

 

 つまり、「おもしろい映画が先にあり、それを観て『おもしろい』と感じる」ということではなく、「『おもしろい』というリアルタイムの情報処理が、おもしろい映画を生みだす」ということ。ダイナミックかつ双方向的に。

 Q-204~:「縁起」と「因果」

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_413308.html

 

内部表現とは、このダイナミックかつ双方向的な情報処理のこと。その本質は「空(くう)」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353367.html

 

認知科学の大前提はファンクショナリズム(functionalism)です。しかしながら、人間のファンクションは、あらかじめあるものではなく、その瞬間瞬間に生成されるもの(空)。

それゆえ、「認知科学の枠組みでは、現在しかない人間の記憶をシステム化することは不可能」(by 苫米地博士、「Dr.苫米地の『脳力』の使い方」)なのです。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6194669.html

 

 

Dr.苫米地の「脳力」の使い方

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 この「人には現在しかない」という考え方は、仏教の教えの中にも存在しています。人どころか、宇宙まで含めて、「今作られ(刹那生)、今消える(刹那滅)」。その「生」と「滅」を生みだす力が「縁起」。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 「おもしろい映画」は、作り手だけではなく観客までも含めた、巨大でダイナミックな縁起の結実だといえます。

 F-034~:「何もないところからレンブラントを発見」は正しい?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_268332.html

 

F-305につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

-追記1

今作は(前作もw)評価が真っ二つに割れたようです。「最高級におもしろかった」と「とても退屈だった」といった感じに。皆さんはどうでしょう?

 

 「スター・ウォーズ」の続3部作(中でもEpisode 8)も評価が割れました。とくに観客と評論家の間で。その理由を考えてみました↓

 F-014:「THE LAST JEDI」評 ~ネタバレなしversion~

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542066.html

 

 

-追記2

つまり、「おもしろい映画が先にあり、それを観て『おもしろい』と感じる」ということではなく、「『おもしろい』というリアルタイムの情報処理が、おもしろい映画を生みだす」ということ。ダイナミックかつ双方向的に

 

 映画だけではなく、すべてにあてはまります。情報空間から物理空間まで、すべてマインド次第です。

(注:物理も情報。物理空間は情報空間の一部です)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

 例えば、お酒。おいしい酒が先にあり、それを飲んで「おいしい」と感じるだけではなく、「おいしい」というリアルタイムの情報処理が、おいしい酒を生みだします。

祝勝会といった状況や酒を飲む仲間との関係性が、「おいしい酒」という存在を生みだすということです。ダイナミックかつ双方向的に。

 F-076Ya Ya(あの時代を忘れない)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/15961773.html

 

そういえば、たまに「体調をチェックするためにお酒を飲む」という方がいらっしゃいますが、その飲み方は「T」ですw

F-095:私はイヤなことは心の中で握りつぶす vol.2(ワーク付き)

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/18456250.html

 

 

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今年度のオンラインセミナーを企画しました。9月から1ヶ月おきに、計4回開催する予定です(9月、11月、1月、3月)。詳細はまもなく告知いたします。お楽しみに。

 

 

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一緒に楽しみましょう!

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F-305:映画のおもしろさって何だろう? ~Indy 5」の評価が割れた理由を考える~ vol.2;臨場感②>

 

 今夏(2023年)、映画「インディ・ジョーンズ」の第5作(Indiana Jones and the Dial of Destiny)が公開されました。

 第1作「Raiders of the Lost Ark」が公開されたのは1981年。42年分の記憶とともに楽しまれた方も多いのではないでしょうか?

(私の場合、「少年←思春期←学生←医師←コーチ」を濃縮した感覚でした)

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 今作は(前作もw)評価が真っ二つに割れたようです。「最高級におもしろかった」と「とても退屈だった」といった感じに。皆さんはどうでしょう?

 

 ところで、私の元にはこのような御意見が届きました。「子どもの頃は『インディになりたい』と思うくらい好きだったのに、全然楽しめなかった」。

 

 その理由を推測しながら、“おもしろい”について考えてみました。

 Q-281~:ドーパミン分泌をコントロールまたはどの程度分泌されているか

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_422146.html

 

 vol.1;臨場感① -洗脳を知るうえで必要な三つの概念

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32129073.html

 vol.2;臨場感② -ゴール達成の秘訣

 

 

臨場感についてしっかり理解するためには、3つの概念(ゲシュタルト)を理解する必要があります。「変性意識」「内部表現」、そして「ホメオスタシス」です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html

 

これら3つを統合すると、「臨場感」というゲシュタルトの臨場感が高まりますw

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/7383761.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628437.html

 

 以下、苫米地博士の著書「洗脳護身術」(三才ブックス、p32)より引用します。前回引用分のつづきです。

 

 

内部表現とホメオスタシス

 次に内部表現(Internal Representation)とは、章の冒頭でも述べたが、脳内における世界と自我の表現を表す専門用語である。外界を視覚で認識すれば、視覚野での神経が活性化し、その結果が前頭葉で認識される。この視覚野から前頭葉までのすべての脳内での情報状態が内部表現である。

 内部表現は神経の物理レベルの情報状態のみならず、概念や感情など、心理レベルでの表現も含まれる。すなわち、脳内の物理レベルから心理レベルまで含めたすべての抽象度における外界の表現が内部表現である。自分自身の表現や自己の記憶、内省的な自我、さらには現在時の自分の思考状態や発語、言語の認識状態も内部表現の一部である。内部表現は常に外界と情報をやり取りしながらリアルタイムに情報状態が更新されているため、その動きは非常にダイナミックだ。脳内にある自分自身も含めたあらゆる抽象度における世界のモデルが内部表現である。ただ、内部表現内のそれぞれの情報状態は、巨大な相互関係のネットワークを構築し、それが常にリアルタイムでダイナミックに更新されているので、実際にそれを我々が記述することができるか否かは別問題である。これを計算機上に記述しようとする分野が人工知能である。インド哲学でいえば、唯識におけるアラヤ識やマナ識を内部表現とみなしていいだろう。これらは縁起で定義される相互関係を持つ動的なものであり、ネットワークであり、ダイナミックであるからこそ、その実在は空となる。故に、アートマン(真自我)の非実在性を謳う仏教的立場は、現代認知科学に通じるものがある。

 内部表現は、進化のレベルに従って複雑になってきている。これは脳が進化している結果である。人間においては、内部表現という外界のモデルとして脳内に表現される世界が、物理的な現実世界だけではなく、映画や小説の仮想世界にも持てるのが特徴的である。例えば、言語で発せられた世界は、物理的な現実世界ではない。それでも小説で描かれる世界を整合性をもって、臨場感を感じて認識することができる。これは小説の仮想的な世界を、内部表現として脳内に表象できるからだ。

 進化の過程で、我々は未来に起こることを想定できるようになった。プランニングなどがまさにそうだろう。時間を超えて、行為の因果の整合性を表現することができる。人間が罠を仕掛けて獲物を捕まえられるようになったのも、未来時間の世界を整合的に脳内で表現することができる能力が進化したからだ。過去の思い出の時間に浸れるのも、映画の世界に臨場感を感じるのも同様だ。

 このように人間は、物理的現実世界以外の仮想世界を内部表現として持つことができるように進化した。だからこそ人間は洗脳から逃れることができないのだ。

 最後の概念、ホメオスタシス(Homeostasis)は、恒常性維持機能と訳す。これは呼吸や心拍のように、生体が一定の状態を保ちながら、生体の安定的な状態を維持しようとする傾向である。例えば、我々は走ると呼吸や心拍が速くなったりする。より沢山のエネルギーを身体中に供給する必要があるからだ。走るのを止めると、自然と呼吸や心拍が、ゆらぎをもって一定の状態に戻ってくる。このような傾向がホメオスタシスだ。

 ホメオスタシスは、呼吸や心拍のように秒単位のものから、生理周期のように月単位、さらには年単位のものまである。季節によっても、我々の身体は異なってくる。夏は暑さをしのげるように、冬は寒さに耐えられるように、生体が外界の状態に合わせて、健康で安定した状態を保とうとする。これは、生体と外界の間でフィードバック関係が成り立っているからだ。そして、人間は進化の結果として、ホメオスタシスの能力が物理空間から情報空間に拡張している。つまり、物理的な現実世界のみならず、仮想世界ともホメオスタシスのフィードバック関係を持てるように脳が進化しているのである。

 引用終わり(この続きは次回引用します)

 

 

ポイント(青字)を解説します。

 

 〇内部表現(Internal Representation)とは、

-脳内における世界と自我の表現を表す専門用語

 -視覚野から前頭葉までのすべての脳内での情報状態

 -脳内の物理レベルから心理レベルまで含めたすべての抽象度における外界の表現

 -自分自身の表現や自己の記憶、内省的な自我、さらには現在時の自分の思考状態や発語、言語の認識状態も内部表現の一部

 

 自我とは「関係により浮かび上がってくるネットワーク」であり、その本質は「空(くう)」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 空とは「無」と「有」を同時に満たす、1つ上の抽象度の概念のこと。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353367.html

 

 よって、自我も「無としての自我」と「有としての自我」という2つの側面で考察することができます。前者が「部分関数」、後者が「重要性関数(評価関数)」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html

 

 「すべての抽象度における外界の表現」であり、かつ「自分自身の表現、記憶、内省的な自我、思考状態や発語、言語の認識状態」であるということから導きだされるのは、「目の前の世界は内部表現(の投影)である」ということ。一言でまとめると「一人一宇宙」。

Q-246:続・気楽に生きたいのですが ~「気楽に生きる」ということ~ -04;「一人一宇宙」はゴールに向かう夢の一部

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28416456.html

 

 

〇内部表現内のそれぞれの情報状態は、巨大な相互関係のネットワークを構築し、それが常にリアルタイムでダイナミックに更新されている

〇「縁起で定義される相互関係を持つ動的なものであり、ネットワークであり、ダイナミックであるからこそ、その実在は空」という仏教的立場(唯識)に通じる

 

 内部表現内の情報状態は、「巨大な相互関係のネットワーク」であり、「リアルタイムでダイナミックに更新される」もの。私たちはその“情報状態”をどれほど把握しているのでしょう?

 

 私はよく「五感をフル稼働することによって臨場感を高めることができる」という説明を行います。五感の中でもとくに視覚をフル稼働することが重要。それがビジュアライゼーションです。

 F-253Corona Panicに打ち克つ ~ビジュアライゼーションによるゴール達成法~

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29357204.html

 

 ところが、正直に述べると、そもそも「五感をフル稼働」はムリ!

ある研究によると、私たちの五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)から入力される情報量は毎秒数百万ビットで、そのうち意識に上がる(=RASを通過する)のは40ビットなのだそう。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721658.html

 

つまり、先ほどの「一人一宇宙」は、40/000000、すなわち、わずか1/100000の情報量でつくられているということ。それもダイナミックに変化しながらです。

 F-0543つのロック(&1つのキー) <ワーク付き>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12794797.html

 

 よって、私たちはほとんどスコトーマの中で生きているといえます。本当は誰もが無明であるということ。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 スコトーマが外れるのは、1)知識があり、2)重要度が高く、3)役割があるとき。その3つと大いに関係するのがゴールです。やっぱりゴールが重要。Goal comes firstby Mr. Lou Tice)!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 ゴールによりイメージが生まれ(I)、その臨場感が高いと(V)、現実化する(R

 

 人間のそんな情報処理をプリンシプル化したものが「夢をかなえる方程式 I×V=R」。

映画を観ている時にドキドキ・ワクワクしたり、涙するほど感動を覚えたりするのは、監督や俳優などの制作陣が生みだすイメージの世界に強い臨場感を感じるからです。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html

 

じつは、臨場感を高めるために最も重要なのは五感ではありません。何だと思いますか?

 

答えは「記憶」!

 

自身の中にある記憶を的確に再構築することができれば、臨場感は格段に高まります。

 Q-235:「財布を娘に盗られた」といった被害妄想がでている老人に対して、どのように対応すればよいでしょうか? <vol.6:記憶が織りなす「一人一宇宙」>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27981625.html

 

 最も重要なのは記憶。つまり

 

 記憶をいかに使うか(作るか)次第!

 

それがゴール達成の秘訣です。

(次回は「『ゴール達成の秘訣』の秘密」に迫ります。お楽しみに)

 Q-221:ゴール設定のポイントについて確認させてください

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27497249.html

 

F-306につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

-追記-

記憶をいかに使うか(作るか)次第!

それがゴール達成の秘訣です。

 

 「記憶」に関係するオタクネタをひとつw

 「Indy 5」の冒頭でナチスと戦ったヘレナの父親役の俳優(トビー・ジョーンズ)は、MCU映画「Captain AmericaThe First Avenger」(2011年)でナチス(正確にはヒドラ/ハイドラ)に心酔する科学者 アーニム・ゾラ博士を演じています。

 

あえて“ゾラ”をキャスティングした意図は何だろう?

 

そんなことを仮想世界への入り口で考えました。

(この続きはF-307/vol.4で)

 

 

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-関連記事-

F-244~:「ゴール」と「現状の自我」の間に臨場感という橋を架ける

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Q-167:自分を苦しめているのは記憶です。過去に苦しめられていることを感じています。コーチングで変化を実感しますか? <プチワーク付き>

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Q219~:ゴールに対するスケジュールはたてますか?

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Q-276~:セルフトークとマネジメントについて

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S-04~:さぁ「人間関係の悩みを克服する旅」をはじめよう!

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F-306:映画のおもしろさって何だろう? ~Indy 5」の評価が割れた理由を考える~ vol.3;臨場感③>

 

 今夏(2023年)、映画「インディ・ジョーンズ」の第5作(Indiana Jones and the Dial of Destiny)が公開されました。

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(私の場合、「少年←思春期←学生←医師←コーチ」を濃縮した感覚でした)

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 今作は(前作もw)評価が真っ二つに割れたようです。「最高級におもしろかった」と「とても退屈だった」といった感じに。皆さんはどうでしょう?

 

 ところで、私の元にはこのような御意見が届きました。「子どもの頃は『インディになりたい』と思うくらい好きだったのに、全然楽しめなかった」。

 

 その理由を推測しながら、“おもしろい”について考えてみました。

 Q-281~:ドーパミン分泌をコントロールまたはどの程度分泌されているか

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_422146.html

 

 vol.1;臨場感① -洗脳を知るうえで必要な三つの概念

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32129073.html

 vol.2;臨場感② -ゴール達成の秘訣

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32179090.html

 vol.3;臨場感③ -「ゴール達成の秘訣」の秘密

 

 

じつは、臨場感を高めるために最も重要なのは、五感ではなく、「記憶」です。

自身の中にある記憶を的確に再構築することができれば、臨場感は格段に高まります。

 Q-235:「財布を娘に盗られた」といった被害妄想がでている老人に対して、どのように対応すればよいでしょうか? <vol.6:記憶が織りなす「一人一宇宙」>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27981625.html

 

 最も重要なのは記憶。つまり

 記憶をいかに使うか(作るか)次第!

 

それがゴール達成の秘訣です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

人間は進化の結果として、ホメオスタシスの能力が物理空間から情報空間にまで拡張しています。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

それは「物理的な現実世界のみならず、仮想世界ともホメオスタシスのフィードバック関係を持てる」ということ。それこそが「臨場感」の正体です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html

 

 

 以下、苫米地博士の著書「洗脳護身術」(三才ブックス、p35)より引用します。前回引用分のつづきです。「『ゴール達成の秘訣』の秘密」を感じてください。Feel

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14120540.html

 

 

三つの概念と洗脳の関係

 それぞれの概念が分かったところで今度は、ホメオスタシスと内部表現の関係を組み合わせて考えてみよう。もともとホメオスタシスとは、外界と生体との情報の応酬である。気温が上がったという情報を全身の神経が認識して、その情報が脳に伝わる。すると脳からは、発汗せよという指令が下り、皮膚で発汗が促されるわけだ。

 これは、脳内では外界の気温が上がったという内部表現の更新と、それに合わせた生体を望ましい状態にするための内部表現の更新によって、その内部表現状態に生体が整合的に発汗するのである。自分自身と外界世界を表現する内部表現と、物理的な外部世界との間で情報状態を常に最新に維持し、生体を安定的な健康状態に保とうとするフィードバック関係が成立しているのである。ここで人間に特徴的な事柄がある。内部表現は、物理的現実世界だけでなく、仮想世界ともフィードバック関係を成立させられるということだ。例えば、映画でビルが爆破されるシーンを見たとき、我々はドキッとする。実際に生体レベルで心臓がドキッとする。また、小説の中の感動的な一節を読んでいると本当に涙が流れてくる。この心臓がドキッとするのも、涙が流れるのも、すべてホメオスタシス現象だ。人間は仮想世界とホメオスタシス関係を持つことができるのだ。

 ちなみに臨場感の強さとは、即ちこのホメオスタシスフィードバック関係の強度である。面白い映画に没入しているときは、強いホメオスタシスフィードバックが内部表現と映画の仮想世界の間で築かれている。だから驚いたときの反応が、生体レベルまで強く出る。これが内部表現とホメオスタシスの関係である。

 脳が進化していない生物の場合は、内部表現は物理的な生体と物理的な外界だけである。従ってホメオスタシスも、この二つの間でしか起こらない。脳が人間レベルにまで進化してくると、内部表現は仮想的な世界や生体の状態を包含できるようになる。そしてホメオスタシスの対象も物理的な現実世界のみならず、仮想的な世界にも持てるようになる。だからこそ、映画や小説の世界に臨場感があるのだ。

 さて、内部表現とホメオスタシスの関係が分かれば、これに変性意識との関係を加えてみよう。変性意識状態とは、内部表現のホメオスタシスフィードバックの対象が、物理的な現実世界よりも、仮想世界の方に強くなっている状態と考えられる。とはいっても、物理的な現実世界とのホメオスタシスフィードバックがなくなることはない。さもなければ呼吸や心臓は止まり、生きていることができない。

 人間の特徴として、ホメオスタシスフィードバックは、同時に複数の世界を持つことができる。その中で物理的な現実世界よりも、映画や小説、ゲームの世界とのフィードバックが強い状態が変性意識状態なのである。立っていられない程、現実世界とのフィードバックが弱まり、仮想世界の臨場感が遥かに強大になる……トランス状態となるわけだ。

 では、これら三つの概念は洗脳とどう関係があるのだろうか?

 洗脳された状態とは、何らかの手法で生成された変性意識状態によって、洗脳者が築き上げた仮想世界とのホメオスタシスフィードバックが、現実世界よりも強くなってしまった状態である。そして、洗脳の怖いところは、その状態がホメオスタシスの力により、生体のレベルまで深くかかわっている点である。無理に洗脳を解こうとすると、呼吸困難になったり、意識を失ったり、悪寒がしたり、吐き気を催すのはこれが理由である。

 また、仮想世界に臨場感が特に強いときは、超常的ともいえる色々な生体現象までもが起き得る。例えば、キリスト教を強く信じる人の手から血が流れ出す、いわゆる聖痕現象などがそうだ。これはキリスト教世界の強い臨場感が、強烈なホメオスタシス作用によって生態情報を書き換えていることで説明できる。長時間の瞑想などで光を見るという幻想などについても、変性意識、内部表現、ホメオスタシスの関係と、人間の脳内でのフィードバック空間が、物理レベルから仮想レベルまで広がっているということで理解できる。

 ところで、変性意識の代表的な方法論である催眠現象は、術者が発する言語などの暗示が、一時的な内部表現への書き込みとなることで理解できる。例えば、変性意識が生成された後に「右手が挙がります」と術者からいわれると、変性意識の関係で臨場感は術者の言葉で生み出された仮想世界に強くなる。そしてホメオスタシスフィードバックもそちらに強化されているので、「右手が挙がる」という情報が内部表現に書き込まれれば、生体は内部表現の更新との整合性から、ホメオスタシスの影響により右手を挙げた状態に持っていくしかないのである。

 催眠の場合は、言語の暗示が中心であり、これに対する反応性に個人差があるので、催眠感受性が高い人と低い人に分かれるが、現代的な洗脳は、あらゆる技術で変性意識を生成し、また仮想世界を構築する。内部表現が仮想世界まで広がり、ホメオスタシスフィードバックループが仮想世界まで広がっている以上、洗脳者の技術が優れていれば、我々は誰も洗脳から逃れることができないのである。

 引用終わり

 

 

 洗脳された状態とは、何らかの手法で生成された変性意識状態によって、洗脳者が築き上げた仮想世界とのホメオスタシスフィードバックが、現実世界よりも強くなってしまった状態である

 

 これをコーチングに置き換えると、「ゴールが達成される状態とは、コーチとクライアントの関係性により生成された変性意識状態によって、クライアント自ら築き上げたゴールの世界(w1)とのホメオスタシスフィードバックが、現状の自我(w)よりも強くなった状態」。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html

 

 *「ww1」についてはこちら↓

 F-222:コーチングの基本概念を習熟して、エフィカシーをブーストしよう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27832570.html

 

 それをプリンシプル化したものが「夢をかなえる方程式 I×V=R」。「I」はイメージ(またはイマジネーション)、「V」は臨場感(Vividness)、そして「R」は現実(Realty)です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html

 

「ゴールの世界の臨場感を高めて、ゴールを実現(現実化)する」ためには、ちょっとしたコツが必要。そのコツとは「ゴール達成の秘訣」の秘密。それは

 

「ゴールの世界」を、未来としてではなく、“今”として臨場感を高める

 

 その感覚を磨くのに映画鑑賞がとても役に立ちます。守秘義務ギリギリで表現すると、ポイントは「映画を観ているときの『私』の意識状態」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

 その「『私』の意識状態」とは

 (この続きは次回に。待てない方はこちらw↓)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

F-307につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

-追記-

記憶をいかに使うか(作るか)次第!

それがゴール達成の秘訣です

  

 「記憶」に関係するオタクネタを、今回もw

 「Indy 5」の原題は「Indiana Jones and the Dial of Destiny」。「運命のダイヤル」と訳されたアイテム(the Dial of Destiny)のことを、劇中では“アンティキティラ”と呼んでいました。

 その“アンティキティラ”は、じつは、「アンティキティラ島の機械」として実在しています。


  

アンティキティラ島の機械(Wikipedia)

Wikipediaより引用

アンティキティラ島の機械 - Wikipedia

 

 

 古代のコンピューターとも呼ばれる「アンティキティラ島の機械」が製作されたのは、およそ2100年前。青銅の歯車が複雑に組みあわされた装置を、古代ギリシャ人がどのように開発したかは、いまだに謎なのだそうです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 科学学術雑誌「Nature」(200611月)によると、高分解能X線断層撮影により判読可能な文字数が倍増した結果、機械に刻まれた文には天文学、機械学、地理学の項目に分かれたマニュアルが含まれていることが判明。天体の位置を予測するためのアナログ天文計算機もしくは太陽系儀であることが裏付けられたそうです。

 その後も(Nature20087月)、装置は4分割され、1区画が1年で、全体として4年周期を示す表示板があることが明らかになりました。おそらく2年もしくは4年周期の競技祭典を表していると考えられています。

 研究者たちは、「アンティキティラ島の機械」はシラクサ人によりデザインされ、アルキメデス(都市国家 シラクサで生まれた数学者)の功績に由来しているものと考えているそうです。

 そう、アルキメデス(Archimedes、紀元前287~212年)!

 

 

シラクサのアルキメデス(wikipedia)

ドメニコ・フェッティ1620年画

Archimedes Thoughtful

Wikipediaより引用

アルキメデス - Wikipedia

 

 

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一緒に楽しみましょう!

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-関連記事-

F-205:花オクラ

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26892359.html

F-299~:芸術は高抽象度の未知なるLUB。では、コーチングは?

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Q-218:わりとすぐに達成できそうなゴールを設定してもよいですか?

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S-04~:さぁ「人間関係の悩みを克服する旅」をはじめよう!

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F-307:映画のおもしろさって何だろう? ~Indy 5」の評価が割れた理由を考える~ vol.4;コンフォートゾーン①>

 

 今夏(2023年)、映画「インディ・ジョーンズ」の第5作(Indiana Jones and the Dial of Destiny)が公開されました。

 第1作「Raiders of the Lost Ark」が公開されたのは1981年。42年分の記憶とともに楽しまれた方も多いのではないでしょうか?

(私の場合、「少年←思春期←学生←医師←コーチ」を濃縮した感覚でした)

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html

 

 今作は(前作もw)評価が真っ二つに割れたようです。「最高級におもしろかった」と「とても退屈だった」といった感じに。皆さんはどうでしょう?

 

 ところで、私の元にはこのような御意見が届きました。「子どもの頃は『インディになりたい』と思うくらい好きだったのに、全然楽しめなかった」。

 

 その理由を推測しながら、“おもしろい”について考えてみました。

 Q-281~:ドーパミン分泌をコントロールまたはどの程度分泌されているか

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_422146.html

 

 vol.1;臨場感① -洗脳を知るうえで必要な三つの概念

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32129073.html

 vol.2;臨場感② -ゴール達成の秘訣

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32179090.html

 vol.3;臨場感③ -「ゴール達成の秘訣」の秘密

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32229850.html

 vol.4;コンフォートゾーン① -light side

 

 

「ゴールの世界の臨場感を高めて、ゴールを実現(現実化)する」ためには、ちょっとしたコツが必要。そのコツとは「ゴール達成の秘訣」の秘密。それは

 

「ゴールの世界」を、未来としてではなく、“今”として臨場感を高める

 

 その感覚を磨くのに映画鑑賞がとても役に立ちます。守秘義務ギリギリで表現すると、ポイントは「映画を観ているときの『私』の意識状態」です。

 

 その「『私』の意識状態」とは、コンフォートゾーン(Comfort ZoneCZ)のこと。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

前々回(F-305/vol.2)お伝えしたとおり、自身の中にある記憶を的確に再構築することができれば、臨場感は格段に高まります。

 Q-235:「財布を娘に盗られた」といった被害妄想がでている老人に対して、どのように対応すればよいでしょうか? <vol.6:記憶が織りなす「一人一宇宙」>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27981625.html

 

 よって、「記憶をいかに使うか(作るか)」がゴール達成の秘訣。その“ゴール達成の秘訣”の秘密が、「『ゴールの世界』を、未来としてではなく、“今”として臨場感を高める」こと。

 今回の話題でいえば、「映画世界の臨場感を“今、ここにいる自分”に組み込んだ意識状態を作る」ことです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html

 

 苫米地博士がよく用いられる表現でいうと、「一念三千(宇宙)」の体感↓

 F-243:人は、生きている時は自分の心の中、亡くなると親しい人の心の中にいる

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28791954.html

 

 映画の世界には監督や俳優などの制作陣が生みだす主人公がいます。例えば「Indy 5」では、スティーヴン・スピルバーグ(1~4作の監督、5作目の製作総指揮)やジェームズ・マンゴールド(5作目の監督)、ジョージ・ルーカス(シリーズ原案/5作目の製作総指揮)、そしてハリソン・フォード(主演俳優)らが生みだした“Indiana Jones”。

 

そんな主人公のイメージを、ゴール(未来)側の自分のイメージ(CZ)に重ねていくことが、「映画世界の臨場感を“今、ここにいる自分”に組み込んだ意識状態を作る」です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 そのような特別な意識状態(←深い変性意識状態)が作れたら、ゴール(未来)側の視点を維持したまま“ゴールを達成していくストーリー”を作っていきます。映画の主人公の力(臨場感)を借りて。

 F-284~:気楽ver.2

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_424593.html

 

 以下、苫米地博士の著書「すべての仕事がやりたいことに変わる -成功をつかむ脳機能メソッド40」(サイゾー、p88)より引用します。

 

 

17 自分主演のストーリーを作る

 もうひとつ、ゴールの実践方法として「失敗を克服した体験」を使うテクニックも紹介しておきます。

 自分の人生で最悪だと思う失敗体験をひとつ思い浮かべてください。受験に失敗したことかもしれないし、大きな借金を背負ったことかもしれません。思い浮かべましたか?

 

  今、ここにいる自分を見る

 

 さて、そうした苦い体験があったにもかかわらず、今、あなたは生きています。それどころか、本書を手にして、自らのゴールを達成しようと、前向きになっているはずです。ということは、どんな形であれ、あなたはその最悪の体験を克服しているわけです。つまり、あなたは困難を克服することのできる人間なのです。「いや、まだ引きずっているよ……」と思う人もおられるかもしれませんが、それは過去のできごとに対して、現在の評価から出てくる「情動」です。大事なのは、過去に縛られるのではなくて、今、ここにいる自分を見ることです。そして、「克服する能力がある」というエフィカシーを作るのです。

 ここで注意しておきたいのは、イメージトレーニングをする際に、過去の出来事を評価することによって起こる情動に振り回されないことです。気をつけてください。

 さて、イメージトレーニングによって、ゴールやそこへ向かっている自分のイメージへの臨場感が高まってきたら、それをさらにストーリー仕立てにすることで、細部のプロセスまで思い描いていく手法もあります。これはいわば、「自分主演・監督の一編の映画」を頭の中に組み立てるということです。

 ポイントは、ラストシーンから冒頭に向かって遡るようにイメージしていくことです。たとえば、「起業してビル・ゲイツをしのぐ大金持ちになる」というストーリーだとします。最初は、どうやったら、そのサクセスストーリーが完成するのか、わからないわけです。

 だから、まずはエンディングから遡ってきて、「5年後にこうなれば、3年後にこうなれば……」と通過点のイメージを持っていくのですが、ゴールのイメージが自分にとってリアルなものになるにつれ、プロセスの間が埋まってくる。つまり、「点」だったイメージがつながって、一連の流れのあるストーリーに変化していきます。これはしだいにスコトーマが外れていき、各プロセスの間がどうすればつながるのか、見えてくるということです。そのストーリーの中に、ゴール達成のための方法を見つけ出すこともできるでしょう。

 

  徹底的にゴールへの臨場感を高めること

 

 もし、多少のお金をかけてもいいというのなら、映画の冒頭とラストシーンだけ、実際に撮影してしまうのも手です。たとえば、「たったひとりで会社を立ち上げ、小さなオフィスでパソコンに向かう自分」という冒頭のシーンがあり、ストーリーの最後は世界一の経営者へと成長し、さらなる目標へ向かう象徴として「自社ビルの屋上からヘリコプターに乗り込み、空に飛び立って行く」というシーンだとしましょう。そのくらいの映像なら、100万円とか200万円ほどの予算で作れるのではないでしょうか。その映像を何度も繰り返し見れば、自分はそういう人間なのだ、という臨場感が簡単に作れるでしょう。

 お金がなければ、小説に書いてもいいのです。とにかくラストシーン(ゴール)への臨場感を徹底的に高めること。それができれば、あとは創造的無意識がストーリーを勝手に考えてくれます。すると、そのストーリーが現実に展開されていくのです。

 なお、ゴールの設定自体が上手くできない、すなわち、自分が何をやりたいのかがどうしてもよくわからない人は、願望を徹底的に言語化することでゴール設定を行う「アファメーション」という手法があります。これについては拙著『努力はいらない! 「夢」実現脳の作り方』(マキノ出版)などに詳しく書いてあるので、参照してください。

 

〇ポイント

 「失敗を克服した体験」も使って自己イメージを高めながら、「自分主演の映画」を頭の中に作りあげられるくらい、徹底的にゴールへの臨場感を高める。

 引用終わり

 

 

 引用文の中で、苫米地博士は「大事なのは、過去に縛られるのではなくて、今、ここにいる自分を見ることです。そして、『克服する能力がある』というエフィカシーを作るのです」と書かれています。

エフィカシーとは、「自分のゴール達成能力の自己評価」のこと。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5616012.html

 

 そのエフィカシーは、「ゴール側のコンフォートゾーンのレベル」のことでもあります。エフィカシーが上がるとは、「ゴール側のCZのレベルが上がる」こと。

 Q-310:私のまわりではそうでもvol.5:コレクティブ・エフィカシー -前編-

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31049084.html

 

 エフィカシー=ゴール側のCZのレベルを上げることは、決して簡単ではありません。上げるどころか、とくに日本ではエフィカシー=ゴール側のCZのレベルは下がるばかり。なぜでしょう?

 F-026:最近の研究・調査で明らかになった日本の課題とその解決法

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8430748.html

 

 答えは、過去の記憶でつくられた「自分のイメージ(ブリーフシステム、BS)」が、現状(Status QuoSQ)という強力なCZを生みだしているから。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

 たいていの場合、「現状の自分のイメージ(BS)」は、情動を伴った体験の記憶や抽象化された情報の記憶でつくられています。その記憶とは、「他人のモノサシ」や「社会の価値観」がたっぷり刷り込まれた“失敗”の記憶です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13397552.html

 

 だから、「現状の自分のイメージ」は、過去に囚われており、必ず束縛されています。記憶によって自ら限界をつくっているのです。

 L-01020201… -10;記憶でつくられる「思い込み」が自由を奪う

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24808708.html

 

 そこで映画を活用!

リミッターを解除し限界突破するために、ワクワク・ドキドキするような主人公の活躍(映画の臨場感)をガンガン利用します。

 (具体的な方法はこちらでどうぞ↓)

 F-192:「夢をかなえる方程式 I×V=R」実践の秘訣(ワーク付き)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26119647.html

 

 映画の世界の臨場感を“今、ここにいる自分”に組み込んだ意識状態を作りながら、主人公のイメージを「ゴール側の自分のイメージ」に重ねていくと、強力なはずの「現状の自分のイメージ」が崩れやすくなります。“Realityがゆらいだ状態”になるから。それが「Rゆらぎ」。

 L-11420219… -02;夢=w1=高次の抽象度空間にひろがる縁起

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32099568.html

 

無意識が「現状の自分のイメージ」より「ゴール側の自分のイメージ」に臨場感を感じるようになると、そのギャップを埋めようとするエネルギーと創造性がうまれます。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882652.html

 

同時に、スコトーマがどんどん外れ、ゴール達成の方法が自然に見えてくるようになります。それが引用文中の「ゴールのイメージが自分にとってリアルなものになるにつれ、プロセスの間が埋まってくる」「『点』だったイメージがつながって、一連の流れのあるストーリーに変化していく」という感覚です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 そのような体験の記憶(ドキドキ)と期待(ワクワク)が、映画の“おもしろい”を決めている

 

そのように私は思っています。

 

F-308につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

-追記-

 前々回(F-305/vol.2)、「Indy 5」の冒頭でナチスと戦ったヘレナの父親役の俳優(トビー・ジョーンズ)が、MCU映画「Captain AmericaThe First Avenger」(2011年)でナチス(正確にはヒドラ/ハイドラ)に心酔する科学者 アーニム・ゾラ博士を演じていることを紹介しました。

 

あえて“ゾラ”をキャスティングした意図は何だろう?

 

そんなことを仮想世界への入り口で考えました。 ←これが「Rゆらぎ」!

 

 仮想世界への入り口とは、Indiana Jonesの世界」への入り口であり、映画の世界の臨場感を“今、ここにいる自分”に組み込んだ意識状態でつくりだす「ゴール側の自分のイメージ世界(w1)」への入り口でもあります。

 F-222:コーチングの基本概念を習熟して、エフィカシーをブーストしよう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27832570.html

 

 

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 次回の開催は9/24(日)。詳しくはこちら↓

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 クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。

一緒に楽しみましょう!

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-関連記事-

F-117~Field of Dreams

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Q-213~:「ラベリングを夢の中でも行う」ことの意味

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Q-326~:最近「記憶が抜ける」ようなことが続いています

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_425355.html

 

 

すべての仕事がやりたいことに変わる

Kindle版はこちら↓




F-308:映画のおもしろさって何だろう? ~Indy 5」の評価が割れた理由を考える~ vol.5;コンフォートゾーン②>

 

 今夏(2023年)、映画「インディ・ジョーンズ」の第5作(Indiana Jones and the Dial of Destiny)が公開されました。

 第1作「Raiders of the Lost Ark」が公開されたのは1981年。42年分の記憶とともに楽しまれた方も多いのではないでしょうか?

(私の場合、「少年←思春期←学生←医師←コーチ」を濃縮した感覚でした)

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html

 

 今作は(前作もw)評価が真っ二つに割れたようです。「最高級におもしろかった」と「とても退屈だった」といった感じに。皆さんはどうでしょう?

 

 ところで、私の元にはこのような御意見が届きました。「子どもの頃は『インディになりたい』と思うくらい好きだったのに、全然楽しめなかった」。

 

 その理由を推測しながら、“おもしろい”について考えてみました。

 Q-281~:ドーパミン分泌をコントロールまたはどの程度分泌されているか

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_422146.html

 

 vol.1;臨場感① -洗脳を知るうえで必要な三つの概念

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32129073.html

 vol.2;臨場感② -ゴール達成の秘訣

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32179090.html

 vol.3;臨場感③ -「ゴール達成の秘訣」の秘密

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32229850.html

 vol.4;コンフォートゾーン① -light side

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32279767.html

 vol.5;コンフォートゾーン② -dark side

 

 

「ゴールの世界の臨場感を高めて、ゴールを実現(現実化)する」ためには、ちょっとしたコツが必要。そのコツとは「ゴール達成の秘訣」の秘密。それは

  

「ゴールの世界」を、未来としてではなく、“今”として臨場感を高める

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 その感覚を磨くのに映画鑑賞がとても役に立ちます。守秘義務ギリギリで表現すると、ポイントは「映画を観ているときの『私』の意識状態」です。

 その「『私』の意識状態」とは、コンフォートゾーン(Comfort ZoneCZ)のこと。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

 前回は、映画を縁にCZを新たに生みだすことについてお伝えしました。それはCZlight side。今回のテーマは、CZdark sideです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 

 ところで、「限定合理性」という言葉をご存じでしょうか?

 

 限定合理性(bounded rationality)とは、「合理的であろうと意図するけれども、認識能力の限界によって、限られた合理性しか経済主体が持ち得ないこと」を指す概念です(Wikipediaより)。

 苫米地博士とも縁のあるノーベル経済学賞受賞者(1978年) ハーバート・アレクサンダー・サイモン(Herbert Alexander Simon1916~2001年)が提唱した人間の認識能力についての概念がベースにあります↓

 限定合理性 - Wikipedia

 

 ここでいう「認識能力」とは、(おそらく)RAS&スコトーマのこと。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721658.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 しかし、実際には人間の認識能力だけではなく、「合理的」の「理」である論理空間そのものに限界があります。そう、不完全性です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6194585.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6194669.html

 

 苫米地博士は、限定合理性のことを、「人は生来的に変化を好む生き物だということ」「人は本来、現状維持なんて大嫌い。必ず、一定量の変化、特に増加を好ましく思う」と表現されています。博士の著書「オーセンティック・コーチング」(CYZOp168)の中で。

 (下記ブログ記事内で引用しています↓)

 Q-257:私、立ち直れるかな? <中編;組織~社会の視点で>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28703188.html

 

 人は本来、現状維持なんて大嫌い。必ず、一定量の変化、特に増加を好ましく思う

 

 その一方で、人は危険を避けます。慣れ親しんだ場所で安穏に暮らしていればそれで問題はないと考えます。無意識下で安定した状態=現状を保とうとする それが一般的なコンフォートゾーン(CZ)です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html

 

 つまり、人は、変化が好きな一方で、大きな変化は大嫌い!

 

 それが“シリーズものの大作映画”の評価が真っ二つに割れる理由でしょう。つまり、

  “変化”がCZ内にギリギリ留まれば →「最高級におもしろかった」

“変化”がCZを飛び出せば(=大きな変化)→「とても退屈だった」

 

 もちろん、最初に述べた「臨場感(←鍵は記憶)」や次回取り上げる「〇〇〇」など、いろいろな要因が絡んで“おもしろい”が決まっているはず。

 (「〇〇〇」はこちら↓)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 

でも、“おもしろい”のど真ん中には、人間のマインドが抱える「限定合理性」があるはずです。いわば“矛盾”。その不安定な“矛盾”を言葉にすると、「これまで構築してきたコンフォートゾーンが維持されている状態で、少しずつ変化している状況」が“おもしろい”。

 Q-306~8:私のまわりではそうでもないですvol.1~3;コンフォートゾーン>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30925409.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30976461.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30996032.html

 

 だから私たちは、自身の中の限定合理性を意識に上げて、無意識が強力に維持しようとしているCZを自らゆさぶる必要があります。それがモニタリング&ラベリングです。

 Q-287:ドーパミンの分泌をvol.7;モニタリング&ラベリングの意義>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29863863.html

 

 そのモニタリング&ラベリングと合わせ、このような言葉を自分に問いかけ続ける(セルフトーク)のが重要↓

 

 このコンフォートゾーンは本当に良いものなのだろうか?

 

以下、苫米地博士の著書「オーセンティック・コーチング ~本物のコーチング~」(CYZOp146)から引用します。

 

 

 ◎変わるきっかけ

 現状の外側にゴールが設定されると、いままでのコンフォートゾーンは居心地が悪くなってしまいます。

 コンフォートゾーンとは本来そういうものなのです。

 それはそうでしょう。心は早くゴールに向かって飛び出していきたいのです。

 ところが、これまでのコンフォートゾーンでやり残したことや、そこを出るための準備は必要です。逸る気持ちを抑えながらそこに居ることは、次第に苦痛になってきます。つまり、これまでのコンフォートゾーンは時が経てば経つほど、アンコンフォータブルな空間に変わっていきます。

 しかし、それはがっかりすることではありません。それが正しいのです。

 逆に、新しいゴールが見つかったのに、これまでのコンフォートゾーンがコンフォータブルのままだったらそれは新しいゴールではありません。現状の中のゴールであり、あなたの世界はまったく変わっていません。

 つまり「現状」とはいままでのコンフォートゾーンだったとも言えるのです。

 ですから、本当の新しいゴールが見つかったかどうかは、いままでのコンフォートゾーンが苦痛になっているか、否かですぐにわかります。

 なっていなければ、それは現状の外のゴールではないということです。

 現状のひとつの形、それが、いままでのコンフォートゾーンでした。ですから、いまのコンフォートゾーンが心地よい、出たくないと思うのであれば、コーチングの必要もないわけです。

 逆に言えば、コーチングに興味を持つという時点で、現状のコンフォートゾーンに満足していないことを意味します。

 ここまで本書を読んだあなたがそのいい例ではないでしょうか?

 あなたはいま変わるきっかけが欲しいと思っているはずです。その一方で新しいゴールはまだ見つかっていないでしょう。すでに新しいゴールが見つかっているのならば、かつての私のように、そこに向かってもう動き始めているはずです。

 そうしていないということは、いまのコンフォートゾーンを直感的に「違う」と思い始めている反面、どうすればいいのかがわからない、暗中模索の状態だと推測できます。宙ぶらりんの状態の中で、自分が進むべき道を探しているのが、この本を手に取っているいまではないでしょうか?

 これからどのように判断し、行動していくのか、どういうゴール設定をしていけばいいのか、いろいろ試行錯誤している最中だと思いますが、確実に言えることが一つあります。それは、いまが一番重要な分岐点だということです。

 引用終わり

 

 

 本当の新しいゴールが見つかったかどうかは、いままでのコンフォートゾーンが苦痛になっているか、否かですぐにわかる。なっていなければ、それは現状の外のゴールではないということ

 

 先程、シリーズものの大作映画の評価が真っ二つに割れる理由を、このように分類しました。

  “変化”がCZ内にギリギリ留まれば →「最高級におもしろかった」

“変化”がCZを飛び出せば(=大きな変化)→「とても退屈だった」

 

 もちろん、これは一般人にとっての話。限定合理性が働き、現状がCZとなっていることが前提での因果関係です。

 Q-204~:「縁起」と「因果」

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_413308.html

 

「現状にNoを突きつける」というコーチングマインドを持つ者にとっては、因果はまったく反対。コーチングを実践し続ければ、

  “変化”がCZ内にギリギリ留まれば →「とても退屈だった」

“変化”がCZを飛び出せば(=大きな変化)→「最高級におもしろかった」

 となります。

 

 現状の外にゴールをたくさん設定し、実際に現状の外にどんどん飛びだしている

 

 子どもの頃は『インディになりたい』と思うくらい好きだったのに、全然楽しめなかった」という感想は、コーチのブリーフシステム(Belief SystemBS)を体得している証なのかもしれません(おそらく、そうでしょう)。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

 「とてもコーチらしいコメントだ」と思いました。Yes, You’re good

 Q-276~:セルフトークのマネジメントについて

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_421937.html

 

F-309につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

-追記-

「現状にNoを突きつける」というコーチングマインドを持つ者にとっては、因果はまったく反対。コーチングを実践し続ければ、

  “変化”がCZ内にギリギリ留まれば →「とても退屈だった」

“変化”がCZを飛び出せば(=大きな変化)→「最高級におもしろかった」

 となります

 

 実際、長く続いている物語においては、それまでのCZを大きく飛びだすような変化がみられます。例えば、「007」「Mission: Impossible」「Star Trek」、そして「Star Wars」。

 F-014:「THE LAST JEDI」評 ~ネタバレなしversion~

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542066.html

 

 とくに最新作(7作目:Dead Reckoning Part One)が公開中の「Mission: Impossible」においては、テレビドラマ「Mission: Impossible/スパイ大作戦」(1966~73年)とその続編「Mission: Impossible/新スパイ大作戦」(1988~90年)で長い間リーダーを務めたジム・フェルプスから映画シリーズの主人公 イーサン・ハントへのバトンタッチが、CZを大きく飛び出した“ありえないレベル”で行われました。

 1作目を鑑賞したとき(1996年)、とても驚いたことを覚えています。はっきり言うと、むちゃくちゃ気分が悪く、怒りがこみ上げてくる感じ。

それまでのCZが大きくゆさぶられたのでしょう。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13397552.html

 

 それはコーチングを学ぶ前の話。しかし、コーチングを学んでいる今でも、やはり怒りに近い違和感を感じます。

 PM-06-11:仮説06)二つの「怒り」とその間にある論理的思考

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14107083.html

 

 では、コーチングマインドを持つ皆さんに質問です。

 

 予想外の大きなサプライズで驚けば、“おもしろい”といえるのでしょうか?

CZを大きくゆさぶりさえすれば(飛び出しさえすれば)、本当に“おもしろい”のでしょうか?

 

 私がたどり着いた答えは次回(F-309/vol.6)に。

 ぜひ“おもしろい”について考察し、そして感じてください。Feel

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14120540.html

 

 

-告知1

今年度のオンラインセミナーを企画しました。9月から1ヶ月おきに、計4回開催する予定です(9月、11月、1月、3月)↓

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32135874.html

 

 次回の開催は9/24(日)。詳しくはこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32237668.html

 

 

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 クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。

一緒に楽しみましょう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html

 

 

-関連記事-

PM-06-06:仮説01)変わらないコンフォートゾーン(CZ)が生みだす「現状維持の壁」

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628746.html

F-234~:自由訳「revenge」と「avenge

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_419026.html

F-239:「出口が見えない」と「出口戦略」 vol.3;ヒーリングとコーチングのLUBで考える <理論編後編;コンフォートゾーン>

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28608833.html

F-255:イノベーションがうまれるとき <中編;リーダーの資質>

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29466625.html

Q-242:毎日、無気力感に悩まされています ~気楽に生きる際の注意点~ 後編;無気力とやる気のなさ

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28347145.html

 

 

オーセンティック・コーチング



F-309:映画のおもしろさって何だろう? ~Indy 5」の評価が割れた理由を考える~ vol.6;抽象度+α>

 

 今夏(2023年)、映画「インディ・ジョーンズ」の第5作(Indiana Jones and the Dial of Destiny)が公開されました。

 第1作「Raiders of the Lost Ark」が公開されたのは1981年。42年分の記憶とともに楽しまれた方も多いのではないでしょうか?

(私の場合、「少年←思春期←学生←医師←コーチ」を濃縮した感覚でした)

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html

 

 今作は(前作もw)評価が真っ二つに割れたようです。「最高級におもしろかった」と「とても退屈だった」といった感じに。皆さんはどうでしょう?

 

 ところで、私の元にはこのような御意見が届きました。「子どもの頃は『インディになりたい』と思うくらい好きだったのに、全然楽しめなかった」。

 

 その理由を推測しながら、“おもしろい”について考えてみました。

 Q-281~:ドーパミン分泌をコントロールまたはどの程度分泌されているか

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_422146.html

 

 vol.1;臨場感① -洗脳を知るうえで必要な三つの概念

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32129073.html

 vol.2;臨場感② -ゴール達成の秘訣

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32179090.html

 vol.3;臨場感③ -「ゴール達成の秘訣」の秘密

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32229850.html

 vol.4;コンフォートゾーン① -light side

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32279767.html

 vol.5;コンフォートゾーン② -dark side

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32330077.html

 vol.6;抽象度+α

 

 

 私は、シリーズものの大作映画の評価が真っ二つに割れる理由を、このように分析しています。

  “変化”がCZ内にギリギリ留まれば →「最高級におもしろかった」

“変化”がCZを飛び出せば(=大きな変化)→「とても退屈だった」

 

 もちろん、これは一般人にとっての話。限定合理性が働き、現状がCZComfort Zone)となっていることが前提での因果関係です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

「現状にNoを突きつける」というコーチングマインドを持つ者にとっては、因果はまったく反対。コーチングを実践し続ければ、

  “変化”がCZ内にギリギリ留まれば →「とても退屈だった」

“変化”がCZを飛び出せば(=大きな変化)→「最高級におもしろかった」

 となります。

 

 では、コーチングマインドを持つ皆さんに質問です。

 

 予想外の大きなサプライズで驚けば、“おもしろい”といえるのでしょうか?

CZを大きくゆさぶりさえすれば(飛び出しさえすれば)、本当に“おもしろい”のでしょうか?

 

 

 前回(F-308/vol.5)、追記内で映画Mission: Impossible」について書きました。その1作目を鑑賞したとき(1996年)、私は怒りがこみ上げてくるのを感じました。

 それはコーチングを学ぶ前の話。しかし、コーチングを学んでいる今でも、やはり怒りに近い違和感を感じます。

 PM-06-11:仮説06)二つの「怒り」とその間にある論理的思考

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14107083.html

 

 その怒り/違和感の原因は、TV版「Mission: Impossible」の主人公 ジム・フェルプスの描き方にあります。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882652.html

 

 記憶により作られた強力な“現状というCZ”を破壊し飛び出すこと自体はコーチングマインドといえます。問題はその飛び出す方向性です。

 PM-06-06:仮説01)変わらないCZが生みだす「現状維持の壁」

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628746.html

 

例として、もう一つ怒りを感じている映画シリーズを紹介します。その映画とは「Rambo」。

1982年に公開された「ランボー(原題:First Blood)」は、デイヴィッド・マレルの小説「一人だけの軍隊/First Blood」(1972年発表)を映画化したもの。

ベトナム戦争から帰還後社会から孤立している主人公 ジョン・ランボーと、偏見からランボーを排除しようとした保安官との対決を通じて、「ベトナム戦争によって負ったアメリカの傷」が見事に描き出されています。とくにラストシーンの元上官 トラウトマン大佐に向けてのランボーの激白は、当時少年だった私の心にも重く響きました。

Q-298~:どれくらい相手に共感していいものでしょうか?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_423870.html

 

 その後、服役していたランボーが極秘任務に復帰する2作目「Rambo: First Blood PartⅡ」(1985年)、トラウトマン救出に向かう3作目「RamboⅢ」(1988年)と続いた後、20年ぶりに4作目「Rambo」(2008年)が公開されました。そのラストは、2作目以降ずっとアメリカを離れていたランボーが、ついにアリゾナの実家に帰るというシーン。

 物理空間のみに注目すると、それは“かつてのCZ(実家)”への回帰といえます。しかし、情報空間(マインド)に注視すると、戦いを経て成長したランボーが見いだしたゴールが実家(母国アメリカ)を“新たなCZ”に変えたと解釈することができます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 *物理空間と情報空間はこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

 さらに原題が「Rambo」であり4作目を示すナンバーがないことを加味すると、「戦いを経て見いだしたゴールにより本当の“自分”になれた」と解釈することができるはず。

 意図性(intentionality)によるオリジナルとコピーの逆転です。詳しくは↓

 F-265:不満と傲慢のはざまで苦しんでいる君へ <vol.9;“初心”とは?>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30002338.html

 

 *こちらもぜひ↓

 Q-321:速いスピードで移動した人はvol.3:「時間は体感」を体得する4つのステップ -後編->

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31732537.html

 

 

 それから11年後を描いた5作目が「Rambo: Last Blood」(2019年)。

37年前の1作目「First Blood」に対しての「Last Blood」であることより、本当の“自分”になれたランボーのさらなる現状の外への挑戦が描かれると期待していました。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html

 

ランボーは1947年生まれという設定なので、劇中では73歳です。「無人運転」「自動運転」から脱し、老境を迎えた男の豊か(well-being)な“Last”を期待していたのですが

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_369873.html

 

 ネタバレになるのでこれ以上書きませんが、ジョン・ランボーというキャタクターを生み出した原作者 デイヴィッド・マレルは「この映画はグチャグチャ。私の名とかかわりがあるのが恥ずかしい(The film is a mess. Embarrassed to have my name associated with it.)」とコメントしています↓

 「ランボー」の小説家、最新作『Rambo: Last Blood』を「駄作」「関わりがあるのが恥ずかしい」と酷評 (ign.com)

 

 繰り返しますが、記憶により作られた強力な“現状というCZ”を破壊し飛び出すこと自体はコーチングマインドといえます。問題はその飛び出す方向性です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html

 

 では、その方向性とは?

 

 最後に、苫米地博士の著書「「人生を劇的に好転させる自己洗脳ルール44」(学研プラス、p150から引用します。方向性を“立体的”に感じてください。Feel

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14120540.html

 

 

ルール38 デヴィッド・リンチ監督や黒澤明監督の映画を見る

 デヴィッド・リンチ監督の映画と黒澤明監督の映画とではやや性質が違うので、これらを別々に説明していきましょう。

 まず、リンチ監督の映画ですが、非常に抽象度の高い映画と言えます。抽象度の高い映画を見るのは、脳の抽象度を高めるための訓練にもなります。

 ハリウッド映画は抽象度が低い代わりに非常に臨場感の高いものになっています。そういったハリウッド映画のような臨場感とは違った抽象度の臨場感が、リンチ監督の映画にはあるのです。

 リンチ監督が描きたいと考える世界観があり、その世界の臨場感を高めてくれて、しかも非常に抽象度が高いものになっていますから、映画を見るということで言えば、これ以上ないくらいおすすめです。「人生が変わる」というテーマにふさわしいと思います。

 黒澤映画も同様だと言いたいところなのですが、実は黒澤映画のすばらしいところは、リンチ監督の映画とは少し違ったところにあります。それは、黒澤監督が映画に導入した手法には、それまでにはなかった、つまり黒澤監督自身が発明したものが数多くあるという点です。

 

 まさに映画は、黒澤以前と黒澤以後に分けられると言っても過言ではないのです。時間の流れであったり、カメラワークであったり、あるいは細かいシーンの撮り方に至るまで、それまで誰もやったことのない方法を次々と編み出して、導入し、そしてその後はそれがスタンダードとなって誰しもが当たり前のようにやるようになったものが大量にあるのです。奇抜なことをやるだけなら、多くの人がやっていますが、それがその後の業界標準になるというのが黒澤監督のすごいところです。

 詳しい説明の前に言っておくと、私は映画、特に黒澤映画には非常に詳しいのです。だいぶ昔ですが、黒澤監督のもとで助監督をしていたとか、照明係をやっていたというような人たちを前に、「黒澤映画のすごさ」というテーマで講演をしたこともあります。

 それはともかく、黒澤監督が初めて取り入れて、その後、業界標準になった手法を列挙していくと、例えばカメラをレールに乗せて走らせていくというものがあります。黒澤以前は、映画というのは特等席で演劇を見るようなもので、カメラはほぼ固定された状態だったのです。それを黒澤監督はカメラを動かしただけではなく、カットで視点を動かすということまでしたのです(斬る人間の視点から見ていた、次の瞬間には斬られる人間の視点で見ているというような視点の移動のことです)。

 あるいは、川面を花びらが流れていくシーンを見せて、その間に5年の月日が流れたことにしてしまうというような撮り方で、映画における時間の流れを大きく変えました。今ならよくあることですが、当時は、見ている人間の時間の流れと映画の時間の流れはそう大きくかけ離れることはありませんでした。

 また、悲しいシーンで雨を見せることによって、次回作では雨を見せた瞬間に、観客に前の映画の悲しいシーンで思い描いた気持ちを思い出させるという手法も導入しました。あるいは、細かい撮り方で言えば、当時、フィルムの感度が現在の1/100ぐらいだったので雷の稲光を映画で映すというのは至難の業だったのですが、失明してしまうのではないかと思うくらいものすごい電力を使って稲光を映すことに成功したり、雨粒がシーンにうまく映らなかったので、墨を混ぜて、黒い雨を降らせたなど、枚挙にいとまがないのです。

 何が言いたいのかと言いますと、黒澤映画というのはまさにスコトーマ外しの宝庫だということです。「これはできない」とか「こうするのが当たり前」というような既成概念をことごとく打ち破ったのが黒澤映画なのです。

 黒澤映画が表現の世界で次々とスコトーマを打ち破っていったその足跡を追ってみると、スコトーマとはどのようにはずせばいいのかについてのヒントが山のように見えてくるはずです。

 ハリウッド映画も悪いとは言いません。でも、もう少し抽象度の高い映画、スコトーマ外しの参考となる映画もあるのだということを知ってほしいと思います。

 引用終わり

 

F-310につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

-追記-

映画がおもしろく感じられないとき、それが映画館なら、(多くの場合)コーチ/ヒーラーとしてのワークに取り組みながら鑑賞を続けます↓

F-192:「夢をかなえる方程式 I×V=R」実践の秘訣(ワーク付き)

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26119647.html

 

映画館ではなかったなら、ためらわず観るのをやめます。「フレームの中断」です↓

F-114:情報が書き換わると現実が変わる vol.5;「幸せなら手を叩こう♪」(ワーク付き)

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/20477749.html

 

 

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今年度のオンラインセミナーを企画しました。9月から1ヶ月おきに、計4回開催する予定です(9月、11月、1月、3月)↓

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32135874.html

 

 次回の開催は9/24(日)。詳しくはこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32237668.html

 

 

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 クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。

一緒に楽しみましょう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html

 

 

-関連記事-

F-193:コーチとして観る「Field of Dreams」;原作者の「生と死の間(between life and death)」から何を学ぶことができるだろう?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26175994.html

F-197~:“あの人”の言葉はなぜ心に響くのだろうか?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_412867.html

F-276~L下でのBSB

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_423822.html

F-294~:苫米地式次世代リーダーシップ

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_425234.html

F-299~:芸術は高抽象度の未知なるLUB。では、コーチングは?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_425725.html

 

 

人生を劇的に好転させる自己洗脳ルール44

Kindle版はこちら↓

Amazon.co.jp: 絶対成功する44のルール eBook : 苫米地英人:

 



F-310:映画のおもしろさって何だろう? ~Indy 5」の評価が割れた理由を考える~ vol.7;ゴール×抽象度×ゲシュタルト=〇〇〇〇>

 

 今夏(2023年)、映画「インディ・ジョーンズ」の第5作(Indiana Jones and the Dial of Destiny)が公開されました。

 第1作「Raiders of the Lost Ark」が公開されたのは1981年。42年分の記憶とともに楽しまれた方も多いのではないでしょうか?

(私の場合、「少年←思春期←学生←医師←コーチ」を濃縮した感覚でした)

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html

 

 今作は(前作もw)評価が真っ二つに割れたようです。「最高級におもしろかった」と「とても退屈だった」といった感じに。皆さんはどうでしょう?

 

 ところで、私の元にはこのような御意見が届きました。「子どもの頃は『インディになりたい』と思うくらい好きだったのに、全然楽しめなかった」。

 

 その理由を推測しながら、“おもしろい”について考えてみました。

 Q-281~:ドーパミン分泌をコントロールまたはどの程度分泌されているか

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_422146.html

 

 vol.1;臨場感① -洗脳を知るうえで必要な三つの概念

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32129073.html

 vol.2;臨場感② -ゴール達成の秘訣

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32179090.html

 vol.3;臨場感③ -「ゴール達成の秘訣」の秘密

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32229850.html

 vol.4;コンフォートゾーン① -light side

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32279767.html

 vol.5;コンフォートゾーン② -dark side

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32330077.html

 vol.6;抽象度+α

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32379335.html

 vol.7;ゴール×抽象度×ゲシュタルト=〇〇〇〇

 

 

 私は、シリーズものの大作映画の評価が真っ二つに割れる理由を、このように分析しています。

  “変化”がCZ内にギリギリ留まれば →「最高級におもしろかった」

“変化”がCZを飛び出せば(=大きな変化)→「とても退屈だった」

 

 もちろん、これは一般人にとっての話。限定合理性が働き、現状がCZComfort Zone)となっていることが前提での因果関係です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

「現状にNoを突きつける」というコーチングマインドを持つ者にとっては、因果はまったく反対。コーチングを実践し続ければ、

  “変化”がCZ内にギリギリ留まれば →「とても退屈だった」

“変化”がCZを飛び出せば(=大きな変化)→「最高級におもしろかった」

 となります。

 

 では、コーチングマインドを持つ皆さんに質問です。

 

 予想外の大きなサプライズで驚けば、“おもしろい”といえるのでしょうか?

CZを大きくゆさぶりさえすれば(飛び出しさえすれば)、本当に“おもしろい”のでしょうか?

 

 

 前回(F-309/vol.6)は、映画Mission: Impossible」や「Rambo」を取り上げながら、上記問いに対する答えを考えました。

 

記憶により作られた強力な“現状というCZ”を破壊し飛び出すこと自体はコーチングマインドといえます。大事なのはその飛び出す方向性です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html

 

 その方向性とは、「より高次の抽象度次元に向かう」というもの!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 そして、その方向性を決めるのが「ゴール」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 ゴールのポイントは、1)心から望むもので、2)自分中心を捨て去りながら、3)現状の外に設定する。

 Q-221:ゴール設定のポイントについて確認させてください

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27497249.html

 

 「2)自分中心を捨て去りながら」というのは、「部分関数としての自我を拡張しながら」ということ。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html

 

それは「どこまでを自分と感じられるか?」という挑戦であり、「自と他の区別をなくしていく」という無分別の実践です。

Q-239:気楽に生きたいのですが 後編;宇宙を理解した上で“自分”を定義しなおす

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28268393.html

 

 ゴールに向かう強烈な意思が、過去の記憶でつくられた“自分”という硬い殻(限界)を打ち破ります。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

 その度に抽象度が上がり、新たなゲシュタルトがつくられます。そう、まったく新しいゲシュタルトが。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 

 

 ゴールに向かう強烈な意思で、抽象度を上げながら、新しいゲシュタルトをつくり続ける

 

 

 映画を縁に、そのような深い変性意識状態を体験することができます。さらには、その意識状態を体現することができるようになります。前回引用文中の黒澤明監督のように。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 *「深い変性意識状態を体験・体現」をブーストする「Rゆらぎ」はこちら↓

 L-11420219月シークレット… -02;夢=w1=高次の抽象度空間にひろがる縁起

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32099568.html

 

 ゴールに向かう強烈な意思で、抽象度を上げながら、新しいゲシュタルトをつくり続ける」という深い変性意識状態を体験・体現する

 …それが私の“おもしろい”!

 

 では、最後に問題。

 なぜ「ゴール×抽象度×ゲシュタルト」という意識状態の体験・体現は“おもしろい”のでしょう?

 

 以下、苫米地博士の著書「思考停止という病」(KADOKAWAp79)から引用します。“おもしろい”の源にある巨大で強大な力を感じながら読み進めてください。Feel

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5616012.html

 

 

問題意識が思考を動かす

 チャイティンは生命現象をランダムウォークとヒルクライミングと言いました。

 私の言葉で言えば、ゴールに向かう強烈な意思で、抽象度を上げながら新しいゲシュタルトをつくり続けることです。

 ランダムにせよ、意思の力にせよ、現状から抜け出すことが、大切になります。それが思考停止しない生き方です。

 そうやって自分の頭で考えるためには、まず変化していくこと。つまり、現状の外に出ていくためには、スコトーマを外す必要があります。

 今現在のスコトーマが維持されるということは、現状維持で、他の選択肢が見えないことを意味します。

 

 スコトーマを外す方法は、様々ありますが、ひとつは「スコトーマがあることを認識すること」です。

 もう少し簡単に言えば、問題意識を持つということです。

 そもそも、なぜ人は思考をやめるかというと、「問題がない」と思うからです。

 

 「いまのままでいい」

 「私は間違っていない」

 

 いまのままで問題がないということは現状維持でいいわけです。現状維持でいいなら、何も考えることがありません。

 考えるということは、何かを解決したり、新たに意思決定をしたりする必要があるわけです。現状がまずい状況だったり、問題があったりするから、人は考えるわけです。

 ひとつ例を挙げましょう。

 以前、元日産のエンジニアでカルロス・ゴーン氏から「ミスターGTR」と呼ばれていたGTR開発者であり、友人でもある水野和敏氏から聞いた話です。スポーツカー開発の「ノーマル」に車重は軽ければ軽い方が良いというのがあります。彼は「それはどこかおかしい」という視点でGTRを開発しました。

 

 問題があると思うか思わないかは、スコトーマの原理。

 スコトーマの大前提は、知識があるかないかどうかです。スコトーマが生まれる最大の理由は、無知によるものです。

 つまり、知識がないからスコトーマがあるのです。

 知識がなければ、そのことに疑いを持ちません。

 引用終わり

 

 

チャイティンは生命現象をランダムウォークとヒルクライミングと言いました。

 私の言葉で言えば、ゴールに向かう強烈な意思で、抽象度を上げながら新しいゲシュタルトをつくり続けることです

 

 「ゴール×抽象度×ゲシュタルト」という意識状態の体験・体現が“おもしろい”のは、それが生命現象そのものだから。

 L-11920219月シークレット… -07;人間だから持つことができる強大な生命力

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32215001.html

 

 そのような大切なこと(アンカー)を思い出させてくれる映画(トリガー)が、私にとっての“おもしろい”映画です。

 F-158:無我夢中 <前編>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23944294.html

 

 

 以上が私の考察です。

 “おもしろい”御意見w をありがとうございました。

 F-055:おもしろき こともなき世を おもしろく

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12931592.html

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

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