苫米地理論を研究し、苫米地式を実践する <CoacH T>

認知科学者 苫米地英人博士に学び活動するコーチ・ヒーラー・医師 CoacH T(タケハラクニオ)ブログ

カテゴリ:Q:質問等回答編 > Q-316~ 今、逃げましたよね?

Q-316:今、逃げましたよね? <前編;感情が発動するきっかけ>

 

 私は兼業コーチです。前回(Q314~)まで、医師としての私に向けられたシリアスな質問に、コーチとして回答しました↓

 Q-314~:こんな私に誰がした

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_425205.html

 

 今回も医師としての経験を、コーチとして考察します。

 (詳細は変更しています)

 

 御紹介するのは、80代の父親と娘2人が参加したカンファレンス中の出来事。「生涯 無事故・無違反」が自慢だったという父親は、娘たちの強い勧めで自動車免許を返納しました。

 

 「元気がなくなり心配していたが、今は怒りっぽくて困る」というのが娘さんの認識。コーチとして読み解くと、「自動車免許を返納していったんエフィカシーが下がったが(厳密にはエスティーム)、行き場のないエネルギーがたまってきた」という感じ。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5616012.html

 

 カンファレンス中はお互い冷静さを保っていましたが、家ではけっこうやり合っているようでした。そのエネルギー源は認知的不協和でしょう。

父親は「自動車を運転している私」と「自動車を運転できない私」とのギャップが、娘さんは「平穏無事な父親」と「平穏でない父親(-:元気がない/:怒りっぽい)」とのギャップが、エネルギーを生みだしているようでした。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882652.html

 

そのエネルギー自体はピュアなはずですが、ときに破滅的な方向に発揮されます。情動と紐づき、コントロールを失うからです。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8164566.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166289.html

 

*具体例はこちらでどうぞ↓

S-03~:心のエネルギーとは何か? ~カナックス事件に学ぶ…~(目次)

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/19879680.html

 

 最近、父親はエネルギーの“行き場”を見つけました。その行き場とは「電動カート」。きっとその先には「現状では不可能だけど、絶対に実現したい“何か”」があるのでしょう。そう、ゴール!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

カンファレンス中、父親は「最高時速は」「重さは」「購入したらいくら、リースならこれくらい」など、うれしそうに語っていました。慣れないネットで調べまくったそうです。

F-158~:無我夢中

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_405002.html

 

それは認知的不協和のエネルギーが学習として発揮されたということ。

PM-05-06~8:そもそも教育とは?-3)学習を促進する

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/9367702.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/9533528.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/9533623.html

 

 その本質は情報空間に働くホメオスタシスです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html

 

 *情報空間はこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

 

 カンファレンス中、娘さんの一人は明らかにイラついていました。父親が電動カートを語るたびに、イライラが募っていくのが伝わってきました。非言語で。

 L-08220213… -05;「非言語」が重要なのはなぜ?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30102311.html

 

その根底にあるのは不安と恐怖。

自宅前には勾配があるそうで、転倒しないか心配されていました。さらに父親は在宅酸素療法を必要としています。外出中に酸素が切れてしまい、呼吸状態が悪化することを恐れているようでした。

 

不安と恐怖(Fear)が、義務感(Obligation)や罪悪感(Guilty)と絡み合いながら、娘さんの心をhave toだらけにしてしまったのでしょう。

PM-06-03:抗不安薬を常用する医師の叫びで気づいた「FOG

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13523715.html

 

 その「とげとげしいhave toの塊」は、やがて医療従事者に向きはじめました。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882609.html

 

 電動カートに乗って大丈夫なのですか?

 転倒したり、転落したりはしませんか?

 呼吸に問題は起こりませんか?

 交通事故にあったりしないといえますか?

 本当にトラブルは起こらないのでしょうね?

 

 畳み掛けるような攻撃的質問に対して、司会担当のスタッフが丁寧に答えました。「日常生活動作(ADL)的には可能です。認知機能も問題はありません。でも、カートの操作や酸素ボンベの準備などがあるので」。

 

 真摯に答えていたスタッフに対して、娘さんが放った言葉が

 

 今、逃げましたよね?

 

 

 私は、私の中で情動が動くのを感じました。ラベリングなら「D」です。

 L-10920218… -11;モニタリング&ラベリング

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31421939.html

 

 以下、苫米地博士の著書「『怒らない』選択法、『怒る』技術」(東邦出版、p17)より引用します。「D」に対処するときに知っておくべき「感情が発動するきっかけ」を理解し、「自分の足元」を見つけてください。

 L-11020218月シークレットレクチャー -12;「D」の対処法

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31447445.html

 

 

◎感情が発動するきっかけはたったひとつ

 喜怒哀楽といった人間の感情、情動はどうやって発生するのかというと、実はたった一つのきっかけによって発動します。

 そのきっかけが「予想外」です。怒りも悲しみも喜びも、すべての感情は予想外の出来事によって発生するのです。

 たとえば、会社に行って、その日の朝に届く荷物が順調に届いていたとします。そこには喜びも怒りもありません。届いているのが当たり前だからです。ところが、昼過ぎになっても到着しなければ「今日必要なのに! これじゃあ、社外に出られないじゃないか」となって、腹が立ってくるでしょう、あるいは「なにかトラブルが起きたのか」と不安になるかもしれません。

 もうひとつ例を挙げれば、買った宝くじが当たらなかったらどうでしょうか? そこで怒る人があまりいないのは、宝くじは大抵当たらないからです。しかし、当たった場合はみんな大喜びするはずです。

 つまり、私たちの情動は、自分の予想していなかったこと=予想外の出来事が起きた時に発生するのです。その予想外の出来事が自分にとって好ましいものであれば喜びになるし、好ましくなければ怒りや悲しみになります。すべての感情は、予想外の出来事によってのみ喚起されるのです。

 玄関にスリッパがあるのは当然です。なんの感情も湧きません。しかし、頭の上にスリッパがあったら意外です。ありえませんから、笑いになるのです。食卓の上にスリッパがあるのは意外です。だから、「誰だ、こんなものを食卓に置いたのは!」と怒りたくなるのです。

 その予想外を好むか、好まないか。

 その違いだけが喜怒哀楽を分けるのです。

 同じことをしても、この人がやると腹が立たないのに、コイツがやると腹が立つというのも同様です。

 私たちはその境界を日々、歩いているということです。

 そして、その境界をしっかり意識することによって、自分の足元が見えてくるのです。なにをしていいのか、わるいのか、それが判断できるのです。

 引用終わり

 

Q-317につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

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-関連記事-

PM-06-11:仮説06)二つの「怒り」とその間にある論理的思考

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14107083.html

F-240:「出口が見えない」と「出口戦略」 vol.4;ヒーリングとコーチングのLUBで考える <実践編;レジリエンス>

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28657999.html

Q-268~:薬をやめることができますか?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_421168.html

Q-294~:孤独を感じています。私はどんなゴールを設定すればいいでしょうか?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_423127.html

 

 

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Q-317:今、逃げましたよね? <中編;怒っていい時の条件>

 

 私は兼業コーチです。前回(Q314~)は医師としての私に向けられたシリアスな質問に、コーチとして回答しました↓

 Q-314~:こんな私に誰がした

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_425205.html

 

 今回も医師としての経験を、コーチとして考察します。

 (詳細は変更しています)

 

 

 御紹介するのは、80代の父親と娘2名が参加したカンファレンス中での出来事。

「生涯 無事故・無違反」が自慢だったという父親は、最近、娘の強い勧めで自動車免許を返納しました。代わりに電動カートを欲しがる父親に対して、娘さんはイライラが抑えられない様子。認知的不協和です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882652.html

 

 娘さんのイライラは、やがて医療従事者に向きはじめました。畳み掛けるような攻撃的質問の最後に言い放ったのが

 

 今、逃げましたよね?

 

 前回は「感情が発動するきっかけ」について確認しました。苫米地博士が教えてくださるのは、「予想外」というキーワード。

<前編;感情が発動するきっかけ>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31589977.html

 

娘さんにとってはきっと、「父親が電動カートを欲しがること」は予想外だったはず。「カンファ中の医療従事者の対応(言葉)」も予想外だったのでしょう。娘さんの言動からは「私の味方になってくれると思っていたのに」という思い(内省言語)が滲み出ていました。

 L-07920213月シークレットレクチャー -02;内省言語を発生させる

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30021884.html

 

 そんな娘さんのリアクションは、私にとっては予想。私は“あらゆる可能性”を想定するように心がけています。「ゼロトラスト」です。

 F-228~:ゼロトラスト

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418030.html

 

 しかし、私の情動は動きました。ラベリングでいえば「D」。

 F-095:私はイヤなことは心の中で握りつぶす vol.2(ワーク付き)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/18456250.html

 

 ところで、皆さんは湧きあがる情動を抑えきれないとき、何を心がけますか?

 ラベリングした「D」が暴走してしまいそうなとき、どのように対処しますか?

 

 私は「怒っていい時の条件」をチェックするようにしています。

 以下、苫米地博士の著書「『怒らない』選択法、『怒る』技術」(東邦出版、p28)より引用します。

 

 

◎怒っていい時の条件

 なぜ、怒るに値しないのかというと、「怒る条件」が揃っていないからです。怒る条件さえそろっていれば、たとえ相手が誰であろうと、あなたは堂々と怒りを露わにしていいのです(堂々と怒る方法は第2章でお話しします)。しかし、条件がそろっていない時に怒ってしまうと、不利な状況に陥りストレスの元になります。

 それでは、怒る条件とはなにか?

 その一つ目は、「相手に過失があり、その過失によって自分に不利益が生じた時」です。

 条件の二つ目は、「その過失が予想外だった時」です。

 ここで、もう一度、あなたの日々の生活を振り返ってください。ほとんどの場合、一つ目の条件だけで怒ったり、我慢したりしていませんか?

 <自分に不利益が生じた→だから腹が立った→しかし、相手は簡単には怒りをぶつけられない相手→だから怒れない→ストレスが溜まる>

 という流れになるから、イライラが募るのです。

 そうではなく、二つ目の条件、「その過失が予想外だった時」が起きて初めて怒るようにすれば、イライラから解放されるのです。

 もちろん、この「予想外」は、さきほどいった感情が喚起するきっかけと同じものです。感情が喚起するきっかけがそこにあるからこそ、怒っていいわけで、身体的に正しい怒りだといえるのです。

 では、この「予想外」を踏まえて、さきほどの上司Aさんの例を見てみましょう。卑怯な上司Aさんはいつもどおり卑怯なことをしています。それは予想外ではありません。予想外ではない以上、いくら卑劣で卑怯なことをしても怒るには値しないのです。むしろ、卑怯な人が卑怯なことをしなかった時のほうが予想外で、怒るに値するかもしれないぐらいです。

 同じように、ダメな部下が予想どおり、得意先で不始末をしでかしたのだって想定内のことです。決して怒るに値しません。

 なぜなら、その行為はパチンコ屋に行って、「玉が出なかった」と店員を怒鳴りつけるのと一緒だからです。「買った株が値下がりしたから損失補てんしろ」と証券会社の社員に文句をいうのとなんら変わらないからです。

 十分に予想できることが発生して自分に損害が出たのですから、それは当たり前に受け入れるのが社会人の判断です。それを「悪いのはあいつだ」などといって怒るほうがおかしいのです。

 引用終わり

 

 

 苫米地博士が教えてくださる「怒っていい時の条件」は、1)相手に過失があり、その過失によって自分に不利益が生じた時、2)その過失が予想外だった時 の2つが揃ったとき。

 

 「今、逃げましたよね?」に対する私の「D」は、最初の「相手に過失があり」から当てはまりません。娘さんにはそもそも自由に発言する権利があり、「今、逃げましたよね?」という正直な感想(言葉)にはまったく過失がありません。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html

 

 それなのに、なぜこんなに腹が立っているのだろう?

 

 ↑これは私の内省言語。

 カンファレンス中ではありましたが、そこから私の心の中の探索がはじまりました。

 

 混乱しないでいただきたいのですが、「心の中の探索」は「Nil」です。コーチングにおいては、「探索」はまったく必要ありません。

確かにブリーフシステムの分析には役立つかもしれません。しかし、それは過去をわざわざ引っぱりだして、強化してしまうことに繋がります。現状の強化です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

 「私らしくない」とセルフトークをしながら、それでも私は「心の中の探索」を続けました。コーチ(&ヒーラー)としての気づきを得る貴重な体験になると確信したから。スコトーマが外れそうな気がしたのです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 

その”気“が「心の中の探索」を「Nil」から「T」に変えました。

 これが縁起であり、無常。空(くう)であり、ゼロトラスト。最近のパワーワードでいうと、「アプリオリの否定」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353367.html

 

 間は端折りますが、「心の中の探索」の結果わかったのは、「逃げる」という言葉に対する執着。その執着とは、私憤レベルではなく、公憤レベルであるはず。

 PM-06-11;仮説06)二つの「怒り」とその間にある論理的思考

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14107083.html

 

 それはゴールが生みだす世界に対するこだわり。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 その本質は責任(あるいは覚悟)なのだろうと思っています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/19033189.html

 

そしてそれは、私のゴールが生みだす社会的使命であり、callingだとも。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31524022.html

 

 主人公が「逃げちゃだめだ」「逃げちゃだめだ」とつぶやくアニメがひろく共感を得ている事実が示すとおり、今の世の中はhave toばかりです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882609.html

 

 そのhave toは今後ますます強くなっていきます。Bio-power化しながら。

 F-061~:バイオパワー(生権力)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_292569.html

 

 そんなことを思いながら、私は「怒っていい時の条件」を再確認しました。

 

1)相手に過失があり、その過失によって自分に不利益が生じた時

have toばかりの世の中(社会)」には明らかに過失がある。その過失により「アンハッピー」という不利益が蔓延している

 

2)その過失が予想外だった時

 進化は、本来、抽象度が上がる方向性。よって、「have toばかり」は予想外(想定外)といえる

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 

 そんな再確認を経て、私はコーチとしてしっかり怒ることにしました。社会に対して。

その怒り(公憤)を言語化したのがこのブログ記事です。中でも一番届けたいのがこのメッセージ↓

 

 「逃げる」というのは、同じ抽象度での移動ではなく、より上位の抽象度次元へのホメオスタシス・フィードバックである

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html

 

 そう、逃げていいのです。ゴールとして生みだす新たな世界(w1)へ。

 F-222:コーチングの基本概念を習熟して、エフィカシーをブーストしよう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27832570.html

 

そこは「want to」だらけの“エネルギーと創造性が満ちあふれる世界”。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25090742.html

 

そこ(w1)に向かう知識とスキルをしっかり届けるのがコーチとしてのcauseである

 

 ちょうどそんなことを考えていたときに、カンファレンスでの発言の順番が回ってきました。

 

Q-318につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

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-関連記事-

PM-06-09:仮説04)自由と責任の関係の理解不足

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13958864.html

F-234~:自由訳「revenge」と「avenge

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_419026.html

Q-142~:現状の外にゴールが設定できている状態と現実逃避に陥っている状態とでは何が違っているのでしょうか?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_400116.html

 

 

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Q-318:今、逃げましたよね? <後編;相手の世界に想像を働かせて、その因果関係をイメージする>

 

 私は兼業コーチです。前回(Q314~)は医師としての私に向けられたシリアスな質問に、コーチとして回答しました↓

 Q-314~:こんな私に誰がした

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_425205.html

 

 今回も医師としての経験を、コーチとして考察します。

 (詳細は変更しています)

 

 

 御紹介するのは、80代の父親と娘2名が参加したカンファレンス中での出来事。

「生涯 無事故・無違反」が自慢だったという父親は、最近、娘の強い勧めで自動車免許を返納しました。代わりに電動カートを欲しがる父親に対して、娘さんはイライラが抑えられない様子。認知的不協和です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882652.html

 

 娘さんのイライラは、やがて医療従事者に向きはじめました。畳み掛けるような攻撃的質問の最後に言い放ったのが

 

 今、逃げましたよね?

 

 前編(Q-316)は「感情が発動するきっかけ」について確認しました。苫米地博士が教えてくださるのは、「予想外」というキーワード。

<前編;感情が発動するきっかけ>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31589977.html

 

 中編(Q-317)は「怒っていい時の条件」を確認しながら、私の心の内を言語化しました。例えば

 <中編;怒っていい時の条件>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31628205.html

 

 「逃げる」というのは、同じ抽象度での移動ではなく、より上位の抽象度次元へのホメオスタシス・フィードバックである

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html

 

 *抽象度はこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 ちょうどそんなことを考えていたときに、カンファレンスでの発言の順番が回ってきました。

 

 私はコーチとしてしっかり怒ることにしました。その怒り(公憤)を言葉にしながら、コーチングにおいて重要なある概念について説明しました。

 PM-06-11:仮説06)二つの「怒り」とその間にある論理的思考

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14107083.html

 

 「モチベーション」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882609.html

 

 御承知のとおり、モチベーションが高まっていないと、人間の脳は目の前のタスクを回避する(サボる)ために働きます。それはまさしく「逃げる」状態 創造的回避です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040752.html

 

 では、どうすればモチベーションを上げることができるのでしょうか?

 

 答えはシンプル。自身のモチベーションがアップするようなゴールを自分で設定すればいいだけです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 父親は新たなゴールを設定し、「電動カート」にロックオンしました。そこにあるのは「want to」ばかり。そんな父親をサポートしたいと願う医療従事者の心も「want to」です。

 

 ところが、娘さん(の一人)にとっては「want to」ではありませんでした。心の中の不安や恐怖が「want to」を消し去ったのでしょう。そして、父親や医療従事者の「want to」まで潰そうとしました。ドリームキリングです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040935.html

 

 そんなドリームキリングに対して、私が心がけたのが 1)最悪を想定する(させる)、2)対処とプロセスにフォーカスする(させる)、3)経時的変化を共有する、4)関連する文脈情報を確認する の4つ。「モチベーション」についての話は4)文脈情報です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/19485793.html

 

 これら4つは、大脳辺縁系優位の動物的な状態から、前頭前野優位の人間らしい状態に戻る(戻す)秘訣。「fight or flight」を克服してはじめて、1)正しく見て、2)自由自在に見て、3)臨場感を維持する ことができます。

 Q-159~:臨場感が薄れても高い抽象度のゴールをイメージし続けるのでしょうか?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_404758.html

 

 それはゴールを実現するための大切な行動。このケースでいうと、「父親とゴールをしっかり共有し、ゴール実現に向けて論理的に検討する」といった感じです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6194585.html

 

 鍵は「ソウゾウリョク」。

 

 以下、苫米地博士の著書「超『時間脳』で人生を10倍にする」(宝島社、p75)より引用します。「前頭前野優位の人間らしい状態」をイメージしながらお読みください。

 

 

立体的認識には想像力が不可欠

 対象を立体的に認識するには、想像力が不可欠です。

 自分の視点ばかりにこだわっていると、見えるものも見えなくなってしまいます。

 「立体的に見る」トレーニングをよりスムーズに実践していただくために、ここで少し「想像力の大切さ」についてお話ししたいと思います。

 

 まずは、先日私が体験したエピソードをお話ししましょう。

 その日、あるテレビ局のプロデューサーとの打ち合わせで、都内の某ファミリーレストランへ行きました。時間はすでに深夜0時を回っていました。珍しく朝から打ち合わせや取材が詰まっていて、まともな食事をしていなかった私は、通りかかった店員に、

 「何か食事を出せますか?」

 と聞いたんです。そしたらその店員は、

 「当たり前じゃないですか。ここはレストランです!」

 と怒りながら返答をしてきたのです。

 その返答を聞き、私は一瞬唖然としてしまいました。

 私の頭の中では「すでに深夜0時を過ぎている」「周りはコーヒーやお酒を飲んでいる」という状況から、「すでに食事のラストオーダーは終わったのではないか」と推察したんです。また、「一般的なレストランならば、深夜になれば食事のオーダーをストップするのでは?」という予測もありました。

 だから「この時間でもまだ食事は出せますか?」と聞いたつもりだったのです。別にこの店がレストランかどうか、聞きたかったわけではありません。

 しかし、その店員にとっては「レストラン」という概念には「24時間食事を出すことができるファミレス」しかなかったのかもしれません。店員の頭の中には「21時や22時でラストオーダーになるような普通のレストラン」の概念がないのです。

 それゆえ、私の質問を聞いたとき、店員の側で私の質問の意図を書き換えて、私が「お前の店では食事が出せるのか?」「お前の店はレストランなのか?」とバカにしたような質問をしたとでも勘違いしたのでしょう。結果、私がまったく予想もしなかった返答をしてきたのです。

 

 まさに想像力欠如の典型的な例です。

 もし店員が、「レストラン」という概念についてもう少し広い認識を持っていたり、そのときの私が置かれていた状況を多少なりとも想像することができたならば、返答の仕方は変わっていたはずです。たとえば「当店は24時間営業のレストランですので、今のお時間でもお食事をご提供できます」という答えだったかもしれません。

 しかし実際には、想像力が欠如し、「レストラン」についても「私」についても限られた認識しかなかったために、「当たり前じゃないですか。ここはレストランです!」という返事になってしまったのです。

 その店員の最大の欠点は「自分と相手との関係性の中で、自分の側からの解釈でしか相手を見ていない」ことです。相手が「どういう人なのか」「今日1日どんな過ごし方をしていたのか」「今、どういう気持ちで、何を考えているのか」など、立体的な情報がまったく見えていない。

 「相手の因果関係がまったく見えていない」と言い換えることもできます。

 因果とは、原因と結果のことを指します。目の前にいる相手は、時間と空間に広がるさまざまな「因」(「1時間前はどこにいた」「両親はどんな人なのか」「出身はどこなのか」「昨日はどんなことを考えていたのか」……)が積み重なって生じた「果」なのです。つまり、「因」について想像できなければ、「果」である相手の存在を理解することはできないのです。

 この店員は、自分の常識が、相手の常識であり、この世界を支配する常識であると考えてしまっている。でも、そうじゃないんです。すべてのモノや人に因果が必ずあります。その因果が見えなければ、二次元的な世界から脱することはできません。

 自分の世界に閉じこもるのではなく、相手の世界に想像を働かせて、その因果関係をイメージしてください。そうすれば、自然とすべてのことが立体的に見えてきます。

 目の前の対象が、時間的・空間的広がりをもった立体的な存在に見えてくれば、同時にたくさんの情報にアクセスできるようになります。結果として並列度も上がり、タスク処理時間も速まり、体感時間も拡張されるのです。

 引用終わり

 

 

 自分の世界に閉じこもるのではなく、相手の世界に想像を働かせて、その因果関係をイメージする

 

 想像力 → 創造力 です。

 それが「1)正しく見て、2)自由自在に見て、3)臨場感を維持する」。

 

 カンファに参加された父娘にどこまで働きかけることができたかはわかりませんが、縁ある人々すべての想像力を引き出し(healing)、創造力のブーストを支え続けたい(coaching)と願っています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html


 それが苫米地博士に学んでいる私の機能・役割です。
 

 

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 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-追記-

 「モチベーション」の論理は、「タスクの処理速度を速め、体感時間を拡張する」ための4つ目の軸です。では、他の3つの軸は?

 

 次回(Q-319~)からはコーチとの会話中に得たインスピレーションをまとめます。その中で「『体感時間』を拡張する4つの要因」を取り上げます。お楽しみに。

 

 

-告知1

今年度のオンラインセミナー開催は2回の予定です。詳細はあらためて告知いたします。

 

 

-告知2

 クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。

一緒に楽しみましょう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html

 

 

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