苫米地式コーチング認定コーチ CoacH T <タケハラクニオ> ブログ

認知科学者 苫米地英人博士に学び九州で活動するコーチ・ヒーラー・医師 CoacH T(タケハラクニオ)ブログ

カテゴリ:F:フリーテーマ > F-189~ くっきりではないけど、おぼろげながら浮かんできたんです

F-189:くっきりとした姿が見えているわけではないけど、おぼろげながら浮かんできたんです <前編;ゴール>

 

 最近、再び、小泉進次郎環境大臣の発言が炎上しました。その発言とは

 

くっきりとした姿が見えているわけではないけど、おぼろげながら浮かんできたんです。46という数字が。シルエットが浮かんできたんです

 

これはTVインタビュー中のもの(TBSNEWS23」、2021423日)。「30年度までに温室効果ガスを46%削減する」と高らかに宣言(claim)した小泉環境相に対し、聞き手が「46%に設定した根拠(warrant)」を質した直後の言葉です。その時、両手で“浮かんできたシルエット”を描きながら発言していました。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12340209.html

 

さらに「意欲的な目標を設定したことを評価せず、一方で現実的なものをだすと『何かそれって低いね』って(言われる)」「『金メダル目指します』と言って、その結果、銅メダルだったとき非難しますかね?」と続きました。

 後日(同427日)、閣議後の会見にて「(発言が)切り取られている部分も相当ある」と釈明。「真摯な積み上げに加えて、やはり意欲の高い目標を設定するための作業だ」と自己評価後、「しっかり説明していきたい」と抱負を述べました。

 

 この小泉環境相の言動を3回に分けて考察します。まずは「ゴール」という観点で。

 

 前編;ゴール

 

 一連の発言を「ゴール」と捉えると、決しておかしいわけではありません。

 (ただし、この発言は「ゴール」ではありません。詳しくは後ほど)

 

 ゴールとは 1)心から望むもので、2)自分中心を捨てて、3)“現状の外”にあるもの。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 3つ目の“現状の外”とは、「ゴール設定時点では達成不可能」ということ。ただ達成できないというだけではなく、「どうやったらいいか想像すらできない」という途方もないレベルのものです。
 まわりからは荒唐無稽と非難され、本気が伝わるほど全力で止められてしまうもの ...それがゴールです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040935.html

 

 よって、「くっきりとした姿」はNGです。最初から“姿”が明確な場合、それは間違いなく現状の中にあります。ゴールに向かって自分自身で考え行動しているように思えても、残念ながらそれは「無人運転」「自動運転」と同じ。「首相に盲目的に従い発言している大臣」という感じでしょう(その首相は一体誰に従っているのでしょう?)。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_369873.html

 

 

 30年度までに温室効果ガスを46%削減する

くっきりとした姿が見えているわけではないけど、おぼろげながら浮かんできたんです。46という数字が。シルエットが浮かんできたんです

 

 「おぼろげ」「シルエット」という言葉は、最初にゴールを見いだしたときの表現としては悪くありません。繰り返しますが、ゴールは必ず“現状の外”。「くっきりとした姿が見える」のは、ゴール設定時ではなく、ゴール達成前です。

 よって、「46%削減する」「46という数字」には注意が必要。この部分は後編で再考します。まずは下記ブログ記事をどうぞ↓

 Q-042~:「明確にリアルに目標がイメージできた時点でほぼゴールに近づいた」とは具体的にどういうことでしょうか?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_262962.html

 

 では、ゴール(設定)という観点での考察に戻りましょう。

ここで問題です。なぜ想像さえできないはずのゴールを私たちは見つけることができるのでしょうか?

 

 答えのひとつはゴールのポイントの2つ目「自分中心を捨てる」から。

自分中心を捨てるというのは、いわゆる「利他的」とは違います。「自分は後回し」「相手を優先する」「自身を犠牲にする」ということでは決してありません。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14401412.html

 

“自分”、すなわち自我とは「関係の結び目」のこと。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html

 

その「結び目」を度外視したゴールには、必ず「have to~ねばならない)」が入り込みます。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882609.html

 

 「自分中心を捨てる」ときに意識するべきなのは、「中心」ではなく、「自分」の方です。わかりやすいように補足すると「自分という定義の範囲」。その“範囲”を常に意識に上げておくのがポイントです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24281579.html

  

 「自分中心を捨てる」とは、「自分という定義の範囲を大きくする」こと。そして、それは「抽象度を上げる」と同義です。抽象度が上がらない限り、本物のゴールを見つけることはできません。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 ゴールとは 1)心から望むもので、2)自分中心を捨てて、3)“現状の外”にあるもの。

 2)自分中心を捨てて、3)“現状の外”に見いだしたことを、1)心から望むものと感じられてはじめて、それがゴールであるといえます。

 そんなゴールが見つかると、他人の評価や社会のモノサシは徐々に気にならなくなっていきます。どんどんスコトーマに隠れていくから。さらに「気にならない」は「気がつかない」に変わっていきます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 以前働いていた職場で、ベテラン医師から「いつもこんなひどい目に遭わされているのに、なぜそんなに楽しそうなのか?」と真剣に質問されたことがあります。とても驚いたのでよく覚えていますが、きっと悪口や嫌がらせがスコトーマに隠れている状態だったのでしょう。

 悪意までスコトーマに隠れてしまい「だまし討ち」に気がつかなかったことは反省点ですが、おかげでたくさんの気づきを得ることができました。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628437.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/15110477.html

 

 

 意欲的な目標を設定したことを評価せず、一方で現実的なものをだすと『何かそれって低いね』って(言われる)

 

 もしも他者の評価が気になるのなら、ゴールが本当にwant toか確認してください。have toが紛れ込んでいるかもしれません。私はとくに「FOG」に気をつけています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13523715.html

 

 ゴールは大丈夫なのにまだ他者の評価が気になるのなら、エフィカシーに課題があるはずです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5616012.html

 

 ゴール&エフィカシーが大丈夫だと、ゴール側がコンフォートゾーン(CZ)になり、ゴール側から現状を自己評価するようになります。その時、未来から現在への時間の流れを体感しているはずです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html

 

 

真摯な積み上げに加えて、やはり意欲の高い目標を設定するための作業だ

 

 未来から現在への時間の流れを体感していると、もはやゴールに向かうのは「あたりまえ」。呼吸や心拍と同じようにホメオスタシス(恒常性維持機能)が働き、「ゴール(側のCZ)に戻る」という感覚になっていきます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html

 

「真摯な積み上げ」「意欲の高い目標」という表現には“他人の評価”や“社会の価値観”を気にしている様子が感じられます。「ゴール(側のCZ)に戻る」という感覚ではないはずです。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13626536.html

 

 

しっかり説明していきたい

 

 …本来なら「説明」もホメオスタシス活動になります。そして、その「説明」は“義務”でもあります。なぜなら 続きは次回に。

 

F-190につづく)

 

 

苫米地式認定コーチ                       

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

-追記1

なぜ想像さえできないはずのゴールを私たちは見つけることができるのでしょうか?

 答えのひとつはゴールのポイントの2つ目「自分中心を捨てる」から

 

 その「自分中心を捨てる」ができるのはコーチがいるからです。抽象度を上げること、スコトーマを外すこと、ゴールを設定し続けること、エフィカシーをどんどん高めていくこと すべてコーチとの縁によると私は思っています。

 Q-192~:コーチングはマインドを使える人のためのものなのでしょうか?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_410371.html

 

 

-追記2

“自分”、すなわち自我とは「関係の結び目」のこと。

その「結び目」を度外視したゴールには、必ず「have to~ねばならない)」が入り込みます

 

 「関係の結び目」とは縁起のこと。「縁起」と「ゴール」に関連して、苫米地博士の著書「超悟り入門」(徳間書店)から紹介します。ゴール設定の参考にどうぞ。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 生々流転する無常のこの世の中で、すべての事物事象がすべてに関係しているという事実を理解すれば、私たちは生きる意味が見えてきます。私たちは縁起をつなぐために生きているのです。

 

 

-関連記事-

F-11630年後の自分は何歳なのか?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/20682390.html

 

 

超悟り入門


F-190:くっきりとした姿が見えているわけではないけど、おぼろげながら浮かんできたんです <中編;リーダー>

 

 最近、再び、小泉進次郎環境大臣の発言が炎上しました。その発言とは

 

くっきりとした姿が見えているわけではないけど、おぼろげながら浮かんできたんです。46という数字が。シルエットが浮かんできたんです

 

これはTVインタビュー中のもの(TBSNEWS23」、2021423日)。「30年度までに温室効果ガスを46%削減する」と高らかに宣言(claim)した小泉環境相に対し、聞き手が「46%に設定した根拠(warrant)」を質した直後の言葉です。その時、両手で“浮かんできたシルエット”を描きながら発言していました。

さらに「意欲的な目標を設定したことを評価せず、一方で現実的なものをだすと『何かそれって低いね』って(言われる)」「『金メダル目指します』と言って、その結果、銅メダルだったとき非難しますかね?」と続き、後日(同427日)の会見で「(発言が)切り取られている部分も相当ある」と釈明しました。その後「真摯な積み上げに加えて、やはり意欲の高い目標を設定するための作業だ」と自己肯定し、「しっかり説明していきたい」と抱負を述べています。

 

 この小泉環境相の言動を3回に分けて考察します。今回は「リーダー」という観点から。

 

 前編;ゴール

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25947186.html

 中編;リーダー

 

 前回は「ゴール」という観点からまとめました。

 ゴールとは 1)心から望むもので、2)自分中心を捨てて、3)“現状の外”にあるもの。

 認識できないはずの“現状の外”にゴールを見いだすことができるのは(3)、自分中心を捨てるから(2)。そんなゴールを心から望むものと感じられると(1)、他人の評価や社会のモノサシが気にならなくなっていきます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

さらにゴール達成能力の自己評価であるエフィカシーが十分だと、ゴール側がコンフォートゾーン(CZ)になり、ゴール側からいつも現状を自己評価するようになります。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5616012.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

ゴール側から現状を評価している時は、未来から現在へ向かう時間の流れを体感しているはずです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html

 

もはやゴールに向かうのは「あたりまえ」。呼吸や心拍と同じようにホメオスタシス(恒常性維持機能)が働き、「ゴール(側のCZに戻る」という感覚になっていきます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html

 

私は、小泉環境相の「真摯な積み上げ」「意欲の高い目標」という表現に“他人の評価”や“社会の価値観”を気にするブリーフを感じます。「ゴール(側のCZに戻る」という感覚ではないはずです。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13626536.html

 

 

しっかり説明していきたい

 

 本来なら「説明」もホメオスタシス活動。そして、その「説明」は“義務”でもあります。なぜなら、政治家はリーダーだから。大臣ならなおさらです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/21664503.html

 

リーダーの条件は、1)情報取集能力(高い抽象度次元へのアクセス能力)、2)同調能力、3)責任能力 の3つ。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 「趣味」など自分のことだけでいいゴールであれば、本来、責任は自由とともに本人に帰属します。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html

 

 しかしながら、リーダーのゴールは「自分だけ」というものではありません。シンのリーダーは縁ある人々をこれまでのCZをはるかに超える次元に誘う存在です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

だから、フォロワーに対しても責任を負っています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13837769.html

 

 (その感覚を書きました↓)

 F-104:「映写機の故障により上映できるかわかりません」Vol.4;リーダーの視点で

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/19485793.html

 

 小泉環境相(の無意識)は個人とリーダーの区別ができていないはずです。さらには趣味と職業の違いについても曖昧なままでしょう。それはこの発言にあらわれています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14249741.html

 

 

 「金メダル目指します」と言って、その結果、銅メダルだったとき非難しますかね?

 

 「アスリートが『金メダルを目指します』と言って銅メダル」というのは個人レベルの話。スポンサー企業や利害関係者を除けば、ほとんどすべての人はただ純粋に“応援”しているはずです。だから、結果に対しての非難はありえません。

一方で、「政治家が『46%削減する』と言ったができない」というのはリーダーとしての機能の話。フォロワーたちへの責任を必ず伴いますし、結果に対して厳しく評価されるべきです。国内外問わず。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13958864.html

 

実際のところ、日本は世界中から非難されています。「under control」「海洋放出」「人類がコロナを克服した証」といったリーダーの無責任発言のせいで。最近の話題でいえば、人権無視の入管法改正案に対する国連人権理事会特別報告者3名と恣意的拘禁作業部会の共同書簡に対して、上川陽子法相が「一方的に見解を公表されたことについては抗議せざるをえない」と逆ギレしてみせたことが挙げられます。

 (ちなみに、私の「逆ギレ」の定義は「論理的指摘に対して非論理で対抗すること」。追記で補足します)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6194585.html

 

 私はコーチとして次世代のリーダーを育成する立場にありますが、その際に必ず伝えることがあります。それは「リーダーのゴールは縁ある人々の希望である」ということ。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23743308.html

 

リーダーのゴールは、場を共有する人たちのエネルギーと創造性の源であり、未来を明るく照らす光となるものです。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25090742.html

 

だからこそ、小泉環境相や菅首相はもちろんのこと、すべてのリーダーに「説明」の責任があります。そして、それはリーダーの権利に伴う義務でもあります。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13959033.html

 

その義務の果たし方については次回(F-191)考察します。

(待ちきれない方は、下記記事をどうぞw↓)

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_254557.html

 

 

 話を戻して、再度、小泉環境相の発言を確認してみましょう。

 

 

 30年度までに温室効果ガスを46%削減する

くっきりとした姿が見えているわけではないけど、おぼろげながら浮かんできたんです。46という数字が。シルエットが浮かんできたんです

 

 「おぼろげ」「シルエット」という言葉は、最初にゴールを見いだしたときの表現としては悪くありません。「くっきりとした姿が見える」のは、ゴール設定時ではなく、ゴール達成前です。

 (ゴールとリアルの関係はこちら↓)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_262962.html

 

 だから、まだ不明瞭なゴールのイメージをまわりに伝えるときには、具体的な言葉ではなく、抽象的な表現がでてしまいがち。「両手で“浮かんできたシルエット”を描きながら」発言したことはリーダーらしいといえます。論理を超えた超論理領域の表現であり、言語を超えた非言語での働きかけです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/19021726.html

 

 ただし、「46%削減する」「46という数字」はNG。具体的過ぎてゴールとはいえません。

 エンドステートならOKですが、そうであれば情報が少なすぎます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14973460.html

 

エンドステートやCOA(コース・オブ・アクション)はしっかりと言語化する必要があります。不明瞭な点を明らかにし、仲間としっかり共有するために。それは情報空間上の構造を言語抽象度にまで落とし込み緻密化していくということ。

 (情報空間についてはこちら↓)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

さらに底面である物理空間で実装するためには、問題(課題)とその解決(対策)を明らかにしていく必要があります。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html

 

それがリーダーの「説明責任」。そのためにマスターすべきなのが。続きは次回に。

 

F-191につづく)

 

 

苫米地式認定コーチ                       

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

-追記1

ちなみに、私の「逆ギレ」の定義は「論理的指摘に対して非論理で対抗すること」

 

 補足すると、「非論理で対抗」するのは抽象度が低い(下がっている)からです。

 人間らしい前頭前野優位から動物的な大脳辺縁系優位に陥ることを「Fight or Flight」と表現します。それは「逆ギレ」のイメージと一致しているはず。リーダーにはふさわしくありません。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8164566.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166289.html

 

 

-追記2

 実装化については下記リンク記事で。コーチング入門者向けとコーチング実践者向けに分けて書きました。苫米地博士の著書「すごいリーダーは『脳』がちがう」(三才ブックス)や映画「スター・ウォーズ」を取り上げていますw

 Q-159~:臨場感が薄れても高い抽象度のゴールをイメージし続けるのでしょうか?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_404758.html

 

 

-関連記事-

F-11630年後の自分は何歳なのか?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/20682390.html

PM-06-06:仮説01)変わらないコンフォートゾーンが生みだす「現状維持の壁」

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628746.html

PM-06-17:仮説12)リーダー、マネジメント、コーチの役割と抽象度の関係

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14526054.html

Q-176:コーチはリーダーとマネージャーの役割・機能を持つと考えてよいのでしょうか?

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25016029.html

 

 

すごいリーダーは脳がちがう



F-191:くっきりとした姿が見えているわけではないけど、おぼろげながら浮かんできたんです <後編;トゥールミンロジック>

 

 最近、再び、小泉進次郎環境大臣の発言が炎上しました。その発言とは

 

くっきりとした姿が見えているわけではないけど、おぼろげながら浮かんできたんです。46という数字が。シルエットが浮かんできたんです

 

これはTVインタビュー中のもの(TBSNEWS23」、2021423日)。「30年度までに温室効果ガスを46%削減する」と高らかに宣言(claim)した小泉環境相に対し、聞き手が「46%に設定した根拠(warrant)」を質した直後の言葉です。その時、両手で“浮かんできたシルエット”を描きながら発言していました。

さらに「意欲的な目標を設定したことを評価せず、一方で現実的なものをだすと『何かそれって低いね』って(言われる)」「『金メダル目指します』と言って、その結果、銅メダルだったとき非難しますかね?」と続きました。

 後日(同427日)、閣議後の会見にて「(発言が)切り取られている部分も相当ある」と釈明。「真摯な積み上げに加えて、やはり意欲の高い目標を設定するための作業だ」と自己肯定後、「しっかり説明していきたい」と抱負を述べました。

 

 この小泉環境相の言動を3回に分けて考察します。最後は「トゥールミンロジック」。

 

 前編;ゴール

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25947186.html

 中編;リーダー

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25988048.html

 後編;トゥールミンロジック

 

 前回(F-190)は「リーダー」という観点で考察しました。

 このところ東京五輪をめぐる政治家の発言が「精神論」と批判されているのを見聞きします。私はリーダーの発言が「精神論」に感じられること自体は問題ではないと思っています。はじまりは必ず情報空間だからです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

はじまりは必ず情報空間。しかも“現状の外”!

 

 しかしながら、東京五輪はもう目の前。今はゴール設定ではなく、ゴール達成の段階のはずです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

それなのに未だ「精神論」が主で物理空間への実装のための具体的情報が示されていないのは大問題といえます。聞いているだけで目の前に浮かんでくるような(V)具体的情報をしっかり共有できなければ(I)、現場は確実に混乱することでしょう(R化しない)。

いつまでも「くっきりとした姿が見えているわけではない」ではいけないのです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html

 

 (実装化の秘訣についてはこちら↓)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24275156.html

 

今、議論されるべきは、ゴールやミッションではなく、エンドステートやCOA(コース・オブ・アクション)です。刻々と変わる状況の変化に合わせて想定を更新し(アサンプションアップデート)、課題とその対策を摺り合わしているべきです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14973460.html

 

 「この期に及んで精神論」の状況をシンプルに分析すると可能性は2つ。実装化(インプリメンテーション)を「やらなかった」か「できなかった」か。いずれにしてもリーダーとして失格です。

しかしながら、まだリーダーとしての役割(責任)は残っています。それが説明です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12808542.html

 

 では、実装や説明のために必要なことはなんでしょうか?

 

 そう、論理力。その論理力はディベートで鍛えることができます。ディベートの目的は「論理脳を鍛えること」「最短時間で最適解を見つけること」、そして「論理という系の外に出て自由になること」。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html

 

現代ディベート論理は「トゥールミンロジック」と呼ばれています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6194585.html

 

 では小泉環境相の発言を確認しましょう。

 

 

 30年度までに温室効果ガスを46%削減する

くっきりとした姿が見えているわけではないけど、おぼろげながら浮かんできたんです。46という数字が。シルエットが浮かんできたんです

 

 「おぼろげ」「シルエット」という言葉は、最初にゴールを見いだしたときの表現としては悪くありません。「くっきりとした姿が見える」のは、ゴール設定時ではなく、ゴール達成前です。繰り返しますが、ゴール設定時には「精神論」と思われてもかまいません。

 (ゴールとリアルの関係はこちら↓)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_262962.html

 

しかし、「30年度までに46%削減する」は、ゴールではなく、具体的なエンドステートです。「46という数字」は、「おぼろげ」でも「シルエット」でもなく、「くっきりとした姿」でしょう。

ゴール達成のためにクリアしなければならない具体的なエンドステートやCOA(コース・オブ・アクション)は、当たり前ですが、論理的にしっかりと検証されている必要があります。もちろん、「○○だったらいいな」というただの期待や「きっと△△に違いない」という根拠のない思い込みを徹底的に排除して。レジリエンス(resilience)でいうと「ゼロトラスト」です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22878502.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22931091.html

 

 その根底にあるべきは不完全性。不完全性定理/不確定性原理以降の社会に「絶対」など存在しません。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6194669.html

 

 その不完全性が示唆するのは、「何事にも課題が内包されている」ということ(ケースサイド)。そして、「必ず改善点がある」「常に可能性が開かれている」ということです(プランサイド)。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html

 

 コーチング理論でいうと「必ずスコトーマがある」ということ。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

大乗仏教では「空観」。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353367.html

 

 だからこそ、論理的な議論はとても大切であるといえます。議論とは「ゴールを共有した集団が、お互いの情報処理の違いによりスコトーマを外しあい、ゴール達成のために解決するべき問題(課題)を明らかにして、有効な解決策を見つけていく共同作業」なのです。

その議論のためにトゥールミンロジックを活用し、エンドステートやCOAに落とし込んでいきます。つねにアサンプションアップデートを重ねながら。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/11994979.html

 

「温室効果ガス46%削減」という主張(claim)のためには、まずは事実(data)を示し、主張と事実をつなぐ根拠(warrant)を明らかにする必要があります。これが基本!

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12340209.html

 

 その上で、根拠が正しいことを支持する裏付け(backing)、主張の相対的強度の表現である確率(qualifier)、例外である反駁(reservation)までそろえてひとつの論理です(下図)。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12504855.html

 

 その論理をわかりやすく伝えることが、リーダーが果たすべき説明(責任)です。

 

トゥールミンロジックの6要素



 最初のゴールは必ず“現状の外”!

 “現状の外”にあるゴールは、「他人の視点や社会の価値観でつくられたこれまでのブリーフシステム」を手放さなければ、決して見いだすことができません。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

“現状の外”にゴールを設定すると、未来から現在への時間の流れを生きられるようになります。それは「ゴール側(未来)の自分が現在の自分を導く」という意味でのリーダーの誕生です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html

 

 さらにゴール設定のポイントの2つ目「自分中心を捨てる」に挑み続けると、自分の世界(一人一宇宙)だけでのリーダーが、縁ある人々の間でのリーダー(という機能)に拡張していきます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/11823351.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 そのとき責任と義務が生じます。ゴールの世界(CZ)を生みだす自由に対する責任であり、同調させる権利に対する義務です。

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その責任と義務を背負っても余裕で100%want toであり続けるのがシンのリーダー。それは本当のプロフェッショナルの姿でもあります。

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 私は新型コロナ感染症(COVID-19)というクライシス(危機)を契機に「誰もがリーダーとして覚醒し、その役割を全うしているヴィジョン」を体感しました。

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 それは小泉環境相の発言との縁によるアサンプションアップデート。今後のコーチング活動にしっかり活かしてきたいと思います。

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苫米地式認定コーチ                       

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

 

-追記-

 その根底にあるのは不完全性。不完全性定理/不確定性原理以降の社会に「絶対」など存在しません。

 その不完全性が示唆するのは、「何事にも課題が内包されている」ということ(ケースサイド)。そして、「必ず改善点がある」「常に可能性が開かれている」ということです(プランサイド)。

 コーチング理論でいうと「必ずスコトーマがある」ということ。大乗仏教では「空観」。

 だからこそ、論理的な議論はとても大切

 

 もっとストレートに表現すると「思考停止しない」「思考し続ける」ということ。それが21世紀に生きる私たちに求められているブリーフ。

 政治に携わる方々の発言が炎上を繰り返す原因はこの点にあるのかもしれません。

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-告知-

 今年度(2021-22年)は計8回のオンラインセミナーを予定しています。1年間を通してのテーマは「Well-being」です。

 F-176~:“幸福(well-being)”とは? ~antiwithwellpart

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