Q-097:子どものwant toを大切にしたいと思っていますが、なぜかhave toの押し付けになってしまいます。どうすればよいでしょうか? <前編>
Q:子どものwant toを大切にしたいと思っていますが、なぜかhave toの押し付けになってしまいます。どうすればよいでしょうか?
A:同様の質問をたくさんいただいています。子育て中の親に限らず、管理職やリーダーのポジションにいる人にとっても、「モチベーション」は切実なテーマだからだと思います。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5882609.html
ところで、Q-011で「人にhave toを仕掛けないためにはどうすればいいでしょうか?」という質問に回答いたしました。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6681096.html
そこでは4つのポイントを挙げました。その4つとは、
1) まずは自身が自由意志でゴールを設定し、want toで生きること
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5615935.html
2) 何がhave toを生みだすかを知り、それら(have toをうみだすもの)を人を支配する目的で使わないこと
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/13523715.html
3) 不完全性定理や不確定性原理から導きだされる真実「この世に“絶対”はない」を忘れないこと
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6194669.html
4) ゴールを重ねていくこと
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5615695.html
…です。
その4点をふまえた上で、今回は「子どもにhave toを押し付けてしまうのはなぜか?」と「子どものwant toを大切にし続けるためにはどうすればいいか?」という二点についてまとめてみたいと思います。
まずは「子どもにhave toを押し付けてしまうのはなぜか?」から。
発達心理学の研究により、私たちの価値判断の90%以上が親の影響を受けていることが明らかにされています。つまり親と同じように生きるということ。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/17868025.html
それは親のブリーフシステムを受け継ぐことでもあります。よって、親の(自分への)子育てがhave toだったなら、その子の(親世代からみて孫への)子育てもhave toになりやすいといえます。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5721531.html
皆さんの親は楽しそうに子育てをされていましたか?
もし楽しそうな様子やうれしそうなイメージが思い浮かばないのなら、親の子育てはhave to優位だったはずです。そして、明るいイメージが思い浮かばなかった方々は、親世代の「『~ねばならない』子育て」を受け継いでしまっています。
では、なぜ子育てがhave to(~ねばならない、~してはならない)になってしまうのでしょうか?
…私は大きく3つの理由があると思っています。「しっかり育てなければ子どもが苦労する」「食っていけなくなる」といった“不安・恐怖(F:Fear)”、「…だから私がしっかりと育てないといけない」という“義務感(O:Obligation)”、そして他の家庭と比較して「うちは○○ができなくて申し訳ない」と感じるような“罪悪感(G:Guilty)”です。
これらが霧(FOG)を生みだし、ゴールを見失わせます。want toがhave toに変わってしまうのです。
今年(2019年)6月、東京大学法学部卒の元農林水産事務次官(76歳)が44歳の長男を包丁で殺害するという事件がおこりました。我が子を殺害するきっかけになったとされるのが、その前月(2019年5月)の川崎殺傷事件です。バス停にいた私立小学校の児童や保護者ら20人が、長年引きこもり生活を続けていた容疑者(51歳)に殺傷されました。
逮捕後、元次官は「息子があの事件(川崎殺傷事件)の容疑者のようになるのが怖かった」「周囲に迷惑をかけたくないと思った」と供述したそうです。
「息子が事件をおこすのではないか」という不安・恐怖、「周囲に迷惑をかけてはならない」という義務感、そして「息子をこのように育ててしまって申し訳ない」という罪悪感。
それらが霧を生みだし、殺害以外の解決策を見えなくしてしまいました。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5721610.html
親は自身のマインドを常にモニターし、少しでもhave toを感じたなら、直ちに自問するべきです。
私は子どもをどのような人間に育てたいのか?
どのように生きてほしいのか?
最も伝えたい(手渡したい)ことは何か?
その答えが(ぼんやりとでも)感じられたなら、今度は「子育てを通じて自分自身に何を望んでいるのか?」を自問してください。
私はどのような人間になりたいのか?
どのように生きたいのか?
最も得たいことは何か?
…そのような自問を通じてつかみ取ったものが、新たなゴールを生みだします。
(Q-098につづく)
苫米地式認定コーチ
苫米地式認定マスターヒーラー
CoacH T(タケハラクニオ)
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「The Power of Mind Ⅰ」第五章(目次):
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/13077001.html