F-031:「人間関係が嫌になった」
先日、愛媛県今治市の松山刑務所大井造船作業場から脱走した受刑者(27)が、脱走から23日目に広島市内で逮捕されました。なんと夜間に海を泳いで本州に渡ったのだそうです。
大井造船作業場は全国でも4カ所しかない開放的施設です。他の刑務所のような塀はなく、内側から窓や玄関扉の鍵を開けることができるそうです。
通常に近い環境で過ごすことで社会への適応性を向上させるという狙いがあり、罪が比較的軽く、模範的な態度の受刑者が収容されています。実際、そこを出所した受刑者の再犯率は低いそうで、「社会への適応性を向上させる」という取り組みは成功しているといえます。
一方で、1961年の開設以来、今回を含めて17件20人の逃走事案が発生しています。法務省内の検討委員会では、再発防止策に顔認証技術を導入する案が浮上しているそうです。
脱走予防のための何らかの対策は必要だと思いますが、一方でそれを強化しすぎれば開放的施設の良さが失われる可能性があります。
では、「社会への適応性を向上させる」ための取り組みを継続しつつ脱走を防ぐために、どのような対策をとればいいのでしょうか?
…私は、今回のケースのポイントは、「物理次元ではなく情報次元にある」と感じました。
よって、その対策は情報次元で行うべきだと考えます。情報次元での対策とは「マインド(脳と心)について学び、実践すること」です。
あと半年で出所予定だった受刑者が脱走し、夜に海を泳いでまで逃げようとしたそもそもの動機は、「刑務所での人間関係が嫌になった」でした。
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「(寒い・臭いなどの理由で)居心地が悪い」とか「食事がまずい」といった物理的なことが原因だった訳ではなく、「人間関係」という情報的な要因、もっと言えば「(人間関係の)本人の解釈」が主因でした。
「本人の解釈」を決めるものは、ブリーフシステムです。
それは過去の記憶によりつくられ、人の行動や行動性向と呼ばれる無意識の行動を決定します。
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そのブリーフシステムが、「人間関係」をきっかけに、脱走という行動を引き起こしました。「あと半年で出所できる」「脱走を試みたら出所が遠のく」等の考えはすっかりスコトーマに隠れ、「逃げる」ことを肯定することしか思い浮かばなかったはずです。
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海を泳いで渡り、23日間もの長期間にわたって逃げ続けるという行動のエネルギー源になったものは、「この人間関係から逃れたい」という思いでした。その正体は、本来のコンフォートゾーンになんとか戻ろうとするホメオスタシスフィードバックです。
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私たちの無意識には、「押されたら、押し返す」という「Push – Push back」の働きが埋め込まれています。
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頭では理解しているつもりでも心から納得していなければ、つまり「want to」でなければ、私たちはその違和感を何とか解決しようとします。
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その時、その違和感が強ければ強いほど、つまり「have to」であるほど、情報空間でより“クリエイティブ”に、物理空間でよりエネルギッシュに、解決しようとします。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6040752.html
すべてはマインド(脳と心)での情報処理からはじまっている
その情報処理への介入なしに顔認証や施錠など物理的な拘束を強めてしまえば、脱走などトラブルのリスクはむしろ悪化するかもしれません。「Push – Push back」が強まってしまうからです。
今回の事件が示唆することは、「マインド(脳と心)について学び、実践する」という情報次元での対策の必要性です。そのためにコーチングがとても役に立ちます。刑務所等でコーチングについて学ぶ機会を増やしていくことが、脱走予防や再犯予防に大いに役立つものと考えます。
もっと重要なことは、より早い段階でコーチング等を通じてマインド(脳と心)について学ぶことです。小・中学校、高校といった早期の段階から、家庭や学校でコーチングを学ぶことができれば、もっと豊かな社会を実現できます。
このブログのメインである「The Power of Mind Ⅰ」は、教育を苫米地理論で考察する第五章に入りました。ぜひ御確認ください。
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苫米地式認定コーチ
苫米地式認定マスターヒーラー
CoacH T(タケハラクニオ)
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