F-030:プロとアマの違い part 4 ~ハリルホジッチ監督電撃解任の考察~

 

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「プロとアマの違い」について考察する第四弾です。

 

第一弾(F-027)では「役に立つ」「付加価値を生みだす」という視点で、第二弾(F-028)では「抽象度」という視点でまとめました。第三弾(F-029)はその二つを統合した視点で「それまでのunrealrealに変えること」について書きました。

いずれの視点においても、そこに「お金のモノサシ」が入る余地はありません。それはファイナンスの話であり、職業とは切り離して考えるべきことです。

 

 今回は具体的な事例で「プロとアマの違い」について考えてみたいと思います。

事例はサッカー日本代表の監督を務めていたバヒド・ハリルホジッチ氏が突如解任されたことです。長いワールドカップの歴史でもほとんど前例がない本大会直前の代表監督電撃解任を、「プロフェッショナル」という視点で考察します。

 

 

 電撃解任後4/21に来日したハリル前監督は「私をうんざりさせるような状況に追いやり、私をゴミ箱に捨てたような状況」と語り、「私の誇りを傷つけるようなところとは戦わないといけない」と発言しました。

 

 解任の理由は「ハリル前監督と選手とのコミュニケーションの問題」とされています。

 しかし、4/27に行われた会見でハリル前監督は「コミュニケーションと信頼関係が薄れているのがどこなのか、わからない」と語っており、日本サッカー協会(JFA)の問題意識は全く伝わっていなかったことが伺えます。

 

 少なくとも、ハリル前監督とJFAの間に“コミュニケーションの問題”があったことは間違いなさそうです。

 

 実際に4/27の会見でハリル前監督は「本当だったら会長(注:田嶋幸三JFA会長)が事前に『こういう問題が起こっている。どうするんだ、ハリル』と言ってくれればよかった。事前に警笛を鳴らすなり、情報をくれればよかった」と語っています。さらには「今の現状をすごくショックに思っているのは、前もって何も教えてくれなかったこと」と話し、突然の解雇通告がたった5分間の出来事であったことを打ち明けています。

 

 ハリル前監督と同時に仕事を失うことになったコーチ達は、一人はイングランドで、一人はドイツで、選手たちの視察をしていたそうです。ワールドカップに備え万全の準備を進めている最中だった指導者とその仲間たちは、「たった五分間」のコミュニケーションでその役割を失いました。

 

 田嶋会長や西野新監督(前技術委員長)は「どのような点を問題と判断し、監督解任という決断に至ったのか」を未だ明らかにはしていません(20184月末時点)。

 なぜ明らかにしないのでしょうか? それとも、明らかにできないのでしょうか?

 

 文藝春秋の総合スポーツ雑誌「Sports Graphic NumberWeb版は、「いろいろな人に相談したというが、技術委員会に諮ったわけではなく、議論は行われていない」「解任理由についても、『総合的に判断した』という結論にいたる前に『選手とのコミュニケーションや信頼関係が多少薄れてきた』と話し、さまざまな憶測を招いている」とした上で、「組織の長として説明責任が果たされていないのも当然だが、説明方法や言葉を選ぶ能力の無さも気になる。当事者には詳細な解任理由を伝え、会見では控え目な表現に抑える方法もあったのではないだろうか。たとえば成績不振だけを理由にしてもよかったのだから」と田嶋会長の姿勢そのものを強烈に批判しています。

 

 

 意見の相違や食い違いは、お互いのブリーフシステムの違いにより生じます。

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 その認識のずれ(相違)が、お互いのスコトーマを明らかにします。

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 “現状の外”に設定したゴールを各人がしっかり共有しているチーム(組織)にとって、それは大きなチャンスになります。その認識のずれ(相違)がお互いのスコトーマを外すきっかけとなり、さらなる進化・向上につながるからです。

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 逆に述べると、ゴールを共有していなければチームの進化・向上は不可能です。

 

 ゴールを共有していたとしても、不完全性を忘れ(あるいは、そもそも知らず)、自身のブリーフシステムが絶対であると思っていれば、進化・向上やゴール実現は不可能です。情動レベルの対立やいざこざでIQが下がりっぱなしとなった状態では、決してスコトーマは外せないからです。

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 ゴールを共有し、不完全性を理解し、お互いのスコトーマを外すことができたとしても、継続的に成長・進化し続けることは困難です。かつてのゴールの達成に近づいてきた時点で新たなゴール設定が必要ですが、そのためにはより高い抽象度に向かい続けることが求められるからです。

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 より高い抽象度へ向かい続けるためには「縁起」や「空仮中」といった東洋的哲学の深い理解と実践が必要です。ところが、そんな知識やスキルを身につけることができる機会はなかなかありません。例えば、現状の医学教育課程にそんな機会はありません。

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 ・そもそもゴールを共有していないのではないか?

 ・不完全性を理解せず、自分が正しいと思い込んでいるのではないか?

 ・お互いのスコトーマが外せておらず、外そうともしていないのではないか?

 ・より高い抽象度次元を志向せず、低い抽象度でとどまり続けているのではないか?

 ・そして、それは現在の教育や社会の限界を示しているのではないか?

 

 

 それがハリル監督の解任騒動から私が感じたことです。

 

もしそれが真実であるならば、そこには「役に立つ」「付加価値を生みだす」という視点も、「抽象度」という視点もありません。その二つを統合した視点で「それまでのunrealrealに変えること」ができるはずがありません。

 

ところで、多くを語らないJFA会長の真意はどこにあるのでしょうか?

 

元サッカー日本代表監督 フィリップ・トルシエ氏は、ハリル解任の一因としてスポンサーの影響があるとの見解を語っています。それは「お金のモノサシ」をなによりも重要視したということであり、JFAという組織やその会長がアマチュアだと言っているに等しい発言です。

 

純粋に付加価値を生みだし、高い抽象度へ向かいながら、新たなrealを創造し、なおかつファイナンスのゴールとして切り分けた「お金のモノサシ」も(ゴールのバランスホイールとして)余裕で達成することが真のプロフェッショナルです。

 

 サッカーワールドカップ開催まで、あと6週間ほど。

 日本代表選手とそれを支える組織がプロフェッショナルであることを願います。

 

 

苫米地式認定コーチ                        

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)