PMⅠ:The Power of Mind Ⅰ
PMⅠ-04:苫米地理論で見える医療・福祉現場のスコトーマ
PMⅠ-04-18:スコトーマ② 地域医療構想に取り入れてほしい「時間の流れ」
この章(第四章)では、医療・福祉現場での常識や取り組みを御紹介しながら、苫米地理論で考察していきます。
スコトーマ② 地域医療構想に取り入れてほしい「時間の流れ」
地域医療構想は「人口構造の変化」を背景に策定されています。
「人口構造の変化」とは現時点での未来予測で、国立社会保障・人口問題研究所の「日本の地域別将来推計人口(平成25年3月中位推計)」が利用されています。
時間の流れでいえば「現在→未来」といった思考で、「将来人口が減るはず。だから病床を減らしておこう」です。もちろん、病床削減ありきの改革ではなく、あくまで不足する医療機能を明らかにし、最適化を目指すものであることは承知しています。
しかし、現実として、鹿児島県の地域医療構想には、県全体の「既存病床数(2015年):26,760床」に対して、「病床の必要量(2025年):19,944床」と明記されています。
第二章で説明したように、時間は未来から過去に流れています。「未来→現在」で、因は未来にあります。因果応報というときの「因」はつねに未来にあるのです。
私たちは未来の「因」の「果」として現在を生きています。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6542317.html
再度、料理を例にして時間経過で行動を表記すると、「食材を準備した」→「調理をした」→「料理が完成した」となります。この時「過去→未来」の時間観に立つと、「とりあえず食材を準備して、なんとなく調理していたら、こんな料理が出来上がった」になります。
そんな感じで料理をすることもあるかもしれませんが、ふつうは最初に献立を決め、何を作るかを明確にしているはずです。コーチングでいうゴール設定です。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5615935.html
出来上がりのイメージが先にあるから、「何時頃こんな調理をしている」が決まり、「調理の前にこんな食材を仕入れている」が決まります。
つまり、未来が先にあり、今の行動が決まっていくのです。それが「時間は未来から過去に流れる」という意味です。
地域医療構想においても、未来のイメージを先に明確化した結果、現在の行動が決まっているように感じられるかもしれません。「2025年頃に人口がこれくらいで、高齢者の割合がこれくらい」が先にあり、「○○年までにこの機能(鹿児島の場合は回復期)をこれくらい増やして、全体の病床数をこれくらいにしよう」が決まり、「だから、今年度中に会議で調整しよう」となるといった感じです。
しかし、この発想はコーチング的にはNGです。ゴールが現状の中に設定されているからです(現状の中なので、正確にはゴールとはいえません)。
コーチングにおいての「現状」とは、「このまま続く未来」も含みます。「このまま続く未来まで含んだ現状」のことを「ステイタス・クオ(Status Quo、SQ)」と呼びます。
現時点で推計される将来の人口をもとに策定した構想は、現状(SQ)の中にあります。
それをゴールとはいいません。
ゴールのポイントは3つありました。「心から望むものであること」、「自分中心を捨て去ること」、そして「現状の外側に設定すること」です。
ゴールを現状の外側に設定することが重要なのは、そうしなければスコトーマを外すことができないからです。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5721610.html
現時点での地域医療構想の発想では、「徐々に人口が減り、ますますさびれていく地方都市」といった未来像を覆すことができません。「どんどん活気づく明るい都市」を実現する方法はたくさんあるはずなのに、間違ったゴール設定のために、その方法がスコトーマに隠れてしまうのです。
現在、地域医療構想は二次医療圏で調整を行う段階に入っています。私が参加する医療圏では、その調整のための会議に三市一町の長が参加されています。
その会合の場で、私は各市長・町長に向けて発言しました。「未来を創るのはリーダーである皆さまの大切な役目です。リーダーのゴールにより、そしてゴールが生みだすビジョンにより、人口がむしろ増えていく活気ある町をつくることができます」と。
会議中にはあえて述べませんでしたが、減少するという人口予測に合わせて医療体制を縮小してしまえば、本当に人口は減ってしまうでしょう。医療や介護といった社会保障は「健康で文化的な最低限度の生活」を実現するための重要な社会的共通資本であり、ライフラインだからです。
地域医療構想で問われているのは、リーダーのコーチとしての資質と高い抽象度です。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/cat_123517.html
(つづく)
苫米地式認定コーチ
苫米地式認定マスターヒーラー
CoacH T(タケハラクニオ)
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