F-026:最近の研究・調査で明らかになった日本の課題とその解決法

 

 最近の研究・調査を御紹介いたします。

 

 国際電気通信基礎技術研究所(ATR)のグループは、「脳に残る恐怖の記憶を無意識のうちに書き換え、その記憶が起こす心身の反応を和らげる手法」を開発しました(日本経済新聞 2018/3/7)。

 

 その手法とは「脳が恐怖を感じたと推定される際にお金を渡す」というものです。

 

 私自身は内科医ですが精神科のある病院の院長を務めていたことから、精神科医が集まる会合に参加する機会がよくありました。ある公的な会議にて、「うつ病の患者さんには、薬を処方するよりお金を渡した方が効果があるのではないかと思うときがある」と精神科病院長が発言されたことがありました。ずっと冗談だろうと思っていましたが、本心だったのかもしれません。

 近い将来、クライシスサイコロジーに「お金を渡す」と書き足されるのでしょうか?

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/8159377.html

 

 次に、お金と健康の関係についての研究を御紹介します。

 

 お金(年収)と「人生の満足度(life evaluation)」「感情面での幸福度(emotional well-being)」との関係を調査した米パデュー大学心理学部 アンドリュー・ジェブ氏らによって、「収入が一定額以上に達した場合、それ以上増えたとしても、その人の幸福度が高まるわけではない」という研究結果が報告されています(「Nature Human Behavior2018/1/8オンライン版)。

 

 「人生の満足度」を得るためには95000ドル(約1000万円)、「感情面での幸福度」を得るためには6万~75000ドル(約640800万円)の収入が必要であることが明らかになった一方で、収入がそれ以上増えたとしても「満足度や幸福度は増すことはなく、むしろ低下する」ということが判明しました。

 

 お金は恐怖を書き換え心身を和らげるということでしたが、ある量を超えると満足度や幸福度をむしろ下げてしまうらしいのです。

WHO(世界保健機関)の定義では「健康=well-being」ですので、「たくさんのお金が人を不健康にする」ともいえます。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/7859675.html

 

人生対する満足感や幸福感、そして健康の重要なポイントは、どうやらお金とは別のところにありそうです。

 

 最後は幸福度に関する調査報告です。過去のブログ記事でも紹介いたしましたが、国連の関連機関が毎年「世界幸福度ランキング」を発表しています。2012年からはじまり、今年で6回目です。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/7859828.html

 

 先日発表された2018年度版では、日本は156カ国中54位で、前年よりさらに3つ順位を落としてしまいました。もちろん、G7の中では断トツの最下位です。

 

幸福度は6つの具体的指標と1つの総合的指標の計7つで評価されています。

6つの指標とは、2つの客観的評価と各国1000人へのアンケート調査による4つの主観的評価です。

客観的評価は「一人当たりのGDP」「平均寿命」、主観的評価は「社会的援助(Social support)」「人生の選択の自由」「寛容性」「政治腐敗レベル」です。

 

 その指標ごとの評価を分析すると、現在の日本が抱えている問題点が浮かび上がります。

 

日本は「一人当たりのGDP」は22位、「平均寿命」は2位で客観的評価は低くはありません。
 しかし、主観的評価になると著しく低い結果となり、特に「人生の選択の自由」は総合86位の中国より下でした。国家による検閲やネット遮断が公然と行われている中国より、日本人の「人生の選択の自由」の自己評価が低いというのは驚きです。

私はこの結果を知ったとき、苫米地式認定コーチとしてはもちろん、医師としても「やばい」と思いました。

 

スタンフォード大学のアルバート・バンデューラ博士は、「エフィカシー理論」における世界的な権威です。エフィカシーとは「ゴール達成能力の自己評価」のこと。高いエフィカシーが実際のゴール達成能力にどのような影響を与え、さらには人生全体にいかなる影響を与えるかを科学的に研究し理論化されたものが「エフィカシー理論」です。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5616012.html

 

 その理論の中でバンデューラ博士は、「人生をコントロールする能力の程度に対する信念が健康に影響を与える」と述べています。

 繰り返しになりますが、WHOの定義では健康とは「well-being」、すなわち幸福と同義です。実際に「選択の自由がない」という認識(=不幸)は、ストレスとなって免疫系の弱化など体へ悪影響を及ぼします。不幸が不健康の引き金になるといえます。

 

 よって、日本人の幸福度の低さ、特に「選択の自由」に対する低評価は、今後確実に日本人の健康を蝕んでいくと予想することができます。

日本人は、GDPや平均寿命で日本よりはるかに劣る国々と比べても幸福度が顕著に低く、そのため今後ますます心身ともに不健康になっていくのです。

 

では、今、私たちはどのような対処をするべきなのでしょうか?

 

じつは、その答えは私の師である苫米地英人博士がすでに示されています。

苫米地博士がレギュラー出演されているTV番組「バラいろダンディ」(TOKYO MX)でこの問題を取り上げられていました(2018315日放送回)。

 

博士がその対策として話されたのは「ハイエフィカシーなカルチャーを日本に導入すること」です。それはコーチングを日本中に広めることで実現できます。

 

「寛容性がないとか選択の自由がないというのは、『お互いがお互いを縛りあっている』ということ」

「みんなでコーチングを学び、エフィカシーを高めあう。やりたいことだけをやりたいだけやることをお互いに高く評価し、うまくいったら『君らしい』、うまくいかなかったら『君らしくない』と言ってあげる文化をつくる(ただし、子供には自己責任という概念も同時に教えてあげる)」

 そんなことを熱く語っていらっしゃいます。ネットで視聴できますので、ぜひ確認してください。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6040935.html

 

発言の最後には、「他者のアラ探しや悪口は一生に一度もしない言わない世代を育てる」とおっしゃっていました。

 

私のゴールに、また一つ新たなイメージが加わりました。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5615935.html

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6542364.html

 

 

苫米地式認定コーチ                        

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

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http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/8045695.html

 

180315バラダン(DrT twitterより引用)

苫米地英人博士 twitterより引用