F-023:心の旅 ~「変わることができる」経由「最後のサーブ」行き~

 

 我が家の子供たちはちょうど三歳ずつ年が離れています。今春は全員が“卒業”です。そのうちの一人の話です(本人のリクエストにより匿名で)。

 

 ある事情により壁にぶつかった我が子は、それでもその壁をなんとか乗り越えようと一生懸命取り組んでいました。大きな不安や悔しさと戦いながら。

 ひたむきに「頑張っている」子供の姿を見守りながら、私と妻はその頑張りをサポートしてあげたいと思っていました。

 

 しかし、半年ほど経過した頃より、子供の体に様々な症状があらわれるようになりました。言動も明らかに「らしくない状態」になっていきました。

 

 それでもまだ「なんとか頑張りたい」と我が子は戦い続けました。妻と子と三人で(ときに家族全員で)たくさん話し合いをしました。私は半分は父親として、半分はコーチとして話をしました。

そして我が子はある決断を下しました。それまでのコンフォートゾーンを思いっきり飛びだす決断です。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6040892.html

 

 少し心配しましたが、状況が変わった翌月末頃にはすっかり元気になっていました。あんなに辛そうにしていたのが嘘のように。そして、本来のさわやかな笑顔を取り戻していきました。

 

 心という情報空間での傷が物理空間上の身体にまであらわれてしまっていたのが、情報空間の書き換えにより改善していったのです。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5165888.html

 

結果的に、その当時は苦しくて仕方がなかった体験は、我が子の成長の大きなきっかけになりました。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6542317.html

 

その体感を言語化した文章が、ある新聞の投書欄で紹介されました。タイトルは「変わることができる」です。

事前に何も知らされていなかった私は、我が子の文章が新聞に載っていることに驚き、その文章からあふれでる思いに胸を打たれました。

 

「人は変わろうと思ったら、変わることができる」

僕はそう思います。なぜなら、僕がそれを体験したからです。

 という書き出しで始まる文章は、

 

 ~は緊張しましたが、また一歩変わりたい自分に近づいたと思いました。

 という一文で結ばれていました。

 

すっかり自信を取り戻した我が子は、今もイキイキと毎日を過ごしています。

 

 コーチとしては過去の出来事の記憶でつくられた現在の自己評価である自信(confidence)はあまり重要視していません。

 大切なのはあくまでもゴール達成能力の自己評価であるエフィカシー(efficacy)であり、未来です。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5616012.html

 

 しかし、そのエフィカシーを高めるためにも、そしてその大前提であるゴール設定のためにも、現在の自分(自分を取り巻く状況=自我)の肯定的な自己評価は重要であると感じました。

子供のおかげで、ゴール設定と並行してコンフォートゾーンをしっかりつくることが大切であると学びました。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5615935.html

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6353425.html

 

 先日、そんな我が子にうれしい知らせが届きました。ある彫刻展で特別賞に選ばれたのです。作品のタイトルは「最後のサーブ」でした。

 

 親子三人で美術館を訪れ、作品を鑑賞した後に表彰式に参加しました。舞台上で賞状を受け取る子供の姿を見守りながら、この三年間はとても有意義な旅となり、人生というもっと長く大きな旅のよいスタートになったと思いました。

 

 旅とは、抽象度を駆け上がる“心の旅”です。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/cat_123517.html

 

 最初は情報空間での挫折がきっかけで、物理空間の身体まで含め苦しみました。脳でいえば大脳辺縁系優位となり、怒り・悲しみなどの情動に振り回されている状態です。

 あわてず、焦らず、情報と物理の両次元で解決していきながら、「変わることができる」という確信を得たのがちょうど中間点。

 そして、その確信とともに、我が子は自身の能力を引きだす感覚を手に入れていきました。脳でいえば前頭前野優位となり、リラックスしながら情動をコントロールしている状態です。
 その意識状態が才能を引きだし、「最後のサーブ」となって物理空間に実体化しました。

 

 もちろん、人生はまだ始まったばかり。これからもっと大きな挫折や苦難を経験するはずです。

 

 しかし、その度に、我が子はその挫折や苦難を「心から望むこと」を達成する過程を豊かにするスパイスであると感じるに違いありません。そして、さらなる「止められても達成したいこと」を見つけるためのきっかけであると自然に理解しながら、未来に挑み続けることでしょう。

 

 時間は未来から過去へと流れており、その未来はゴールとして自らつくりだすものです。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6542317.html

 

 その方法を子供たちに、子供を見守る大人たちに、しっかりと届けたい

 

我が子の“心の旅”について思いめぐらすうちに、私自身も旅の途中であることに気がつきました。

 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6353044.html

 

 

苫米地式認定コーチ                        

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

最後のサーブ