PMⅠ:The Power of Mind Ⅰ
PMⅠ-04:苫米地理論で見える医療・福祉現場のスコトーマ
PMⅠ-04-01:WHO(世界保健機関)の「健康」の定義
この章(第四章)では、医療・福祉現場での常識や取り組みを御紹介しながら、苫米地理論で考察していきます。
WHO(世界保健機関)の「健康」の定義
外来診療中に「健康でいたいですか?」と伺うと、ほとんどの方々が「はい」と答えます。
たまに「いいえ」と答える方もいらっしゃるのですが、詳しく伺うと、「もう十分に生きた」か「子供に迷惑がかかるから」がその理由であることがほとんどです。
やりたいことを新たに見つけ、子供に迷惑をかけない安心があれば、「いつまでも健康でいたい」がやはり本音のようです。
興味深いのは、健康の定義の個人差が大きいことです。
同じような症状であっても、「年を考えるとこんなもの」という理解で自身を健康と捉える人もいれば、「昔はこんなことはなかった」という理由で不健康と捉える人もいます。あるいは、健診の検査でまったく問題はなく、日常生活にもなんら支障をきたしていないのに「自分は不健康」と信じて疑わない方もいます。
冗談みたいですが、健康であることを伝えると「そんなはずはない」と怒りだす方もいらっしゃいます。
一体、健康とは何なのでしょうか?
WHO(World Health Organization:世界保健機関)は、健康を基本的人権の一つと捉え、その達成を目的として設立された国際連合の専門機関です。1946年7月に署名されたWHO憲章において、健康は次のように定義されています。
Health is a state of complete physical, mental, and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.
健康とは、身体的に、精神的に、そして社会的に、完全に幸福な状態(満たされた状態)であることであり、単に病気がないとか、弱っていないということではない
「病気があると健康ではない」「弱っていると健康ではない」という定義でさえ厳しく感じられますが、さらに「身体的」かつ「精神的」かつ「社会的」に、「完全に幸福な状態」です。
この定義どおりに解釈すると、健診で異常がなく同年代と比較しても十分に元気そうに見える人が、自身を「健康ではない」と評価することはもっともであるといえます。
さらに1998年には次のような新しい提案がなされ、WHO執行理事会で採択されています(ただし、その後のWHO総会では採択が見送られているそうです)。
Health is a dynamic state of complete physical, mental, spiritual, and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.
最初の憲章に、さらに「dynamic」と「spiritual」が加わりました。「dynamic」には「静的に固定した状態ではなく、健康と病気は連続した状態である」という意味が込められているそうです。
新たに提案された憲章では、健康とは、「身体的」かつ「精神的」かつ「スピリチュアル的」かつ「社会的」に、「完全に幸福なダイナミックな状態」です。
簡単にいえば、WHOの定義では、「健康」とは「満たされた状態」であり「幸福」です。さらにそれらが「完全な状態」です。
74億人の人類において、あるいは人類史において、この定義(「完全に満たされた幸福な状態」)を満たす“健康”な人は、いったい何人いるというのでしょうか?
(つづく)
苫米地式認定コーチ
苫米地式認定マスターヒーラー
CoacH T(タケハラクニオ)
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