F-021:平昌五輪で垣間見た言葉の力 ~スピードスケート編~

 

 「言霊(ことだま)」という言葉が存在することからもわかるように、日本では昔から「言葉には不思議な力が宿っている」と考えられていました。その言葉を積極的に使って(あるいは慎むことで)、言語で表現される内容を現実化しようとするのが言霊信仰です。

 

 西洋社会においても、「はじめに言葉ありき」という新約聖書の一節(ヨハネによる福音書第一章)に象徴されるように、「すべて言葉によって成り立っている」という思想が根底にあります。

 1970年代にルー・タイス氏がおこしたコーチングにおいても言葉の力を重要視しており、アファメーションとして用いています。

 

 「すべては情報であり、様々な抽象度の階層に同時に、かつ、ダイナミックに存在している」という苫米地理論で考察すると、「ある抽象度において言葉となった情報が、多次元的に共有され、それぞれの書き換えのきっかけ(縁起)になる」と解釈することができます。

ある情報処理の結果が言葉となり(言語化)、その言葉が新たな情報処理に影響を与えるという感じです。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5306445.html

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6353044.html

 

言葉は情報(処理)の結果であり、新たな情報(処理)の原因である

 

そんなことをあらためて考えさせられるエピソードを、平昌五輪から二つ紹介いたします。まずはスピードスケートから。

 

スピードスケート女子500mで金メダルを獲得した小平奈緒選手は、ある言葉をずっと大切にしてきたそうです。それは「顔晴(がんばれ)」という言葉です。

 

中学二年時には高校生を抑えて全日本ジュニア選手権で優勝していた小平選手は、高校二年時にスランプに陥ってしまいました。「不安と焦り、悔しい思いを何度もした。スケートの楽しさを忘れてしまうくらい辛くて、自信が持てない自分が嫌いになった。大好きなスケートも楽しめるわけがなくて、氷上で笑うということがなくなった」と当時を振り返る小平選手は、周囲から「頑張れ」と言われることがとても苦しかったそうです。

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そんなときにあるコーチからもらった言葉が「顔晴(がんばれ)」でした。「本当のガンバレは顔が晴れたこと。辛くても笑顔は忘れちゃいけない」

 

 「頑張れ」という言葉に疲れ、悔いばかりが残る日々を過ごしていることに気がついた小平選手は、「笑顔でいること。よい記録をだすことより、なにより笑顔で顔晴ることが今の私にできる感謝の気持ち、恩返しである」と思うようになり、スランプを克服することができたそうです。

 

 「ガンバル」という同じ言葉を、「頑張る」とイメージするか、それとも「顔晴る」とイメージするか 

 

たったそれだけのことですが、その違いが心の力となったことで、今回の最高の結果につながったに違いありません。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5882609.html

 

やはり言葉には大きな力が宿っているようです。

しかし、その言葉の力とは、言葉そのものにあるものではなく、人と言葉との縁起により、その人のマインドの中に生まれるものです。

結局はマインド次第なのです。

 

TVで例えると、言葉は電波、マインドが受像機(TV)です。

その受像機(TV)をバージョンアップするために、コーチングがとても役にたちます。

 

まずは何気に使っている日常の言葉に注目し、そして考えてみてください。

「他人に対して私はどんな言葉を使っているだろうか?」「自分自身に対して私はどんな言葉を使っているだろうか?」「これからどんな言葉を使えばいいだろうか?」と。

 

言葉をきっかけとした思考が、さらにコーチングで磨かれるとき、それは明日を切り拓く大いなる力となります。小平選手のように。

 

次回(フリーテーマ)は、女子フィギュアスケートから御紹介します。

 

 

苫米地式認定コーチ                        

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

WSDSSC_Kolomna_2016_-_Nao_Kodaira(Wikiより引用)
Wikipediaより引用