PMThe Power of Mind

PM-02苫米地理論における重要用語解説

PM-02-16空観、仮観、中観

 

 この章では、苫米地理論の中でとくに重要な概念をピックアップし、解説いたします。
 第二章目次:
 http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/12936581.html


16)空観、仮観、中観

 

 「すべての存在は関係で成り立っている」という縁起の思想は、大乗仏教に現れた二人の天才(ナーガールジュナ、ツォンカパ)によりさらに発展し「中観思想」を生みだしました。

 

 「中観」とは、すべての存在が「空(くう)」であるとする「空観」と、縁起の中での「仮の役割」に注目する「仮観(けがん)」の二つをバランスよく維持している状態のことです。

 「空」とは「すべてのものは他との関係性の網の中で形作られていて、普遍的な実在はない」という縁起の考え方に基づいています。

空というと「なにもないこと」をイメージする方が多いと思いますが、実際は反対の「とてつもなくある」ということでもあり、宇宙のすべてを包摂する概念といえます。

 

 第一章で我が家の「さくら」を紹介いたしましたが、その抽象度を高めていくと→「ラブラドールレトリーバー」→「犬」→「哺乳類」→「動物」→「生物」となっていきます。
  (http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4448691.html

 

その「生物」より上は「物質」に行きつきます。「物質」のことを仏教では「色(しき)」と呼びますが、それは「ある(有)」という概念と同じと考えられます。

その「ある(有)」と対立する概念が「ない(無)」ですが、ここでナーガールジュナは、「空」を「有」と「無」のさらに上の抽象度の概念であるとしました。

 

つまり、抽象度の軸で宇宙を見たときに情報空間の頂点を「空」としたのです。

 

よって、空はなによりも情報量が少なく(なにもないに等しい)、かつ、潜在的な情報はなによりも多い(とてつもなくある)といえるのです。

この宇宙の見方が「空観」です。

 

 「仮観」とは、この世の「ありとあらゆる空なる存在」に対し、「それぞれに役割を持たせること」です。「無常」だから「仮」なのですが、仮であってもその役割を積極的にみようと考えます。

 

すべての存在には役割があります。なぜなら縁起があるからです。すべてのものが関係しあうため、その関係性の中でまったく役割を果たさないものなどありません。

 

役割は「存在意義」と置き換えることもできます。

すべての人が必ず誰かとの関係性の中に生き、誰かの役にたっており、存在意義があります。その存在意義とは、ゴール設定により自らつくりだすものです。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5615935.html

 

その存在意義の確信が、コーチングで重要視するエフィカシーです。

http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5616012.html


よって、エフィカシーを高めるということは、「自分の存在意義を確信したうえで、さらに世の中とのつながりを拡大し、宇宙サイズにまでその存在意義を拡大していくこと」といえます。

エフィカシーはゴールが生みだすものでした。そのゴールが「仮の役割」です。つまり、コーチングとは仮観の実践であるのです。

 

 「中観」とは、すべての存在が「空」であるとする「空観」と、縁起の中での「仮の役割」に注目する「仮観」の二つをバランスよく維持している状態のことです。

その中観のポイントは、「仮の役割は無限にある」ということです。

 

 縁起の思想からすると、宇宙は多様で、かつダイナミックに変化する関係性によって成り立っています。
 
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6353044.html

 

逆にいえば、この世の一人ひとりは、お互いの関係性の中で初めて成り立つと同時に、この宇宙を構成している貴重な存在だといえます。

 

この「一人ひとりがお互いに宇宙を生みだす大切な存在である」という視点が中観です。

その視点があると、すべての存在を自然に大事に思うことができます。

 

縁起に関しては苫米地博士の「もうこれ以上人間関係で悩まない極意」(TAC出版)を御参照ください。

 

(つづく)

 

 

苫米地式認定コーチ                        

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-追記-

 「空(くう)」に関して、認知科学者 苫米地英人博士のブログに論文が掲載されています。タイトルは「『空』を定義する ~現代分析哲学とメタ数理的アプローチ」です。

 http://www.tomabechi.jp/EmptinessJapanese.pdf

 

 ワークスDVD2弾 「空の理解と体得」でより詳しく解説されています。下記サイトを御確認ください。

 http://maxpec.net/dvd2/index.html



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