PMⅠ:The Power of Mind Ⅰ
PMⅠ-02:苫米地理論における重要用語解説
PMⅠ-02-16:空観、仮観、中観
この章では、苫米地理論の中でとくに重要な概念をピックアップし、解説いたします。
第二章目次:
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16)空観、仮観、中観
「すべての存在は関係で成り立っている」という縁起の思想は、大乗仏教に現れた二人の天才(ナーガールジュナ、ツォンカパ)によりさらに発展し「中観思想」を生みだしました。
「中観」とは、すべての存在が「空(くう)」であるとする「空観」と、縁起の中での「仮の役割」に注目する「仮観(けがん)」の二つをバランスよく維持している状態のことです。
「空」とは「すべてのものは他との関係性の網の中で形作られていて、普遍的な実在はない」という縁起の考え方に基づいています。
空というと「なにもないこと」をイメージする方が多いと思いますが、実際は反対の「とてつもなくある」ということでもあり、宇宙のすべてを包摂する概念といえます。
第一章で我が家の「さくら」を紹介いたしましたが、その抽象度を高めていくと→「ラブラドールレトリーバー」→「犬」→「哺乳類」→「動物」→「生物」となっていきます。
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その「生物」より上は「物質」に行きつきます。「物質」のことを仏教では「色(しき)」と呼びますが、それは「ある(有)」という概念と同じと考えられます。
その「ある(有)」と対立する概念が「ない(無)」ですが、ここでナーガールジュナは、「空」を「有」と「無」のさらに上の抽象度の概念であるとしました。
つまり、抽象度の軸で宇宙を見たときに情報空間の頂点を「空」としたのです。
よって、空はなによりも情報量が少なく(なにもないに等しい)、かつ、潜在的な情報はなによりも多い(とてつもなくある)といえるのです。
この宇宙の見方が「空観」です。
「仮観」とは、この世の「ありとあらゆる空なる存在」に対し、「それぞれに役割を持たせること」です。「無常」だから「仮」なのですが、仮であってもその役割を積極的にみようと考えます。
すべての存在には役割があります。なぜなら縁起があるからです。すべてのものが関係しあうため、その関係性の中でまったく役割を果たさないものなどありません。
役割は「存在意義」と置き換えることもできます。
すべての人が必ず誰かとの関係性の中に生き、誰かの役にたっており、存在意義があります。その存在意義とは、ゴール設定により自らつくりだすものです。
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その存在意義の確信が、コーチングで重要視するエフィカシーです。
(http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5616012.html)
よって、エフィカシーを高めるということは、「自分の存在意義を確信したうえで、さらに世の中とのつながりを拡大し、宇宙サイズにまでその存在意義を拡大していくこと」といえます。
エフィカシーはゴールが生みだすものでした。そのゴールが「仮の役割」です。つまり、コーチングとは仮観の実践であるのです。
「中観」とは、すべての存在が「空」であるとする「空観」と、縁起の中での「仮の役割」に注目する「仮観」の二つをバランスよく維持している状態のことです。
その中観のポイントは、「仮の役割は無限にある」ということです。
縁起の思想からすると、宇宙は多様で、かつダイナミックに変化する関係性によって成り立っています。
(http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6353044.html)
逆にいえば、この世の一人ひとりは、お互いの関係性の中で初めて成り立つと同時に、この宇宙を構成している貴重な存在だといえます。
この「一人ひとりがお互いに宇宙を生みだす大切な存在である」という視点が中観です。
その視点があると、すべての存在を自然に大事に思うことができます。
縁起に関しては苫米地博士の「もうこれ以上人間関係で悩まない極意」(TAC出版)を御参照ください。
(つづく)
苫米地式認定コーチ
苫米地式認定マスターヒーラー
CoacH T(タケハラクニオ)
-追記-
「空(くう)」に関して、認知科学者 苫米地英人博士のブログに論文が掲載されています。タイトルは「『空』を定義する ~現代分析哲学とメタ数理的アプローチ」です。
http://www.tomabechi.jp/EmptinessJapanese.pdf
ワークスDVD第2弾 「空の理解と体得」でより詳しく解説されています。下記サイトを御確認ください。
http://maxpec.net/dvd2/index.html
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