Q-004:171117研修会アンケート回答編 vol.2
霧島市(鹿児島県)で開催したコーチングをテーマとした研修会に、たくさんの保健師・看護師さんに御参加いただきました。御意見や御質問の一部に回答いたします。個人が特定されそうなもの等は除いていますので御了承ください。
・現状の外に目標を設定する方法(を知りたい)。どうしても過去に囚われてしまうので…
A:地球上の73億人ほとんど全員が「過去に囚われて」生きています。そのほとんどは「過去に囚われていること」に気づいてさえいないはずです。もし、「過去に囚われてしまう」という自覚があるのであればすばらしいことですよ。
ただし、「過去に囚われてしまう」というセルフトークが、その「過去に囚われてしまうという現状」を強化しています。今日からセルフトークを変えて生きてください。
「時間は未来から現在、現在から過去に流れている」です。離れていく過去ではなく、近づいてくる未来を常に意識してください。その未来を創りだすきっかけが「ゴール設定」です。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6542317.html
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5615935.html
ゴールを“現状の外”に設定するために、「実現したらとてもうれしい」ことで、「とてもできない」「絶対無理」と思えることをいつも探していてください。「何かある」「必ず見つける」という確信を伴った意識状態(変性意識)がポイントです。
「何か」を見つけたと感じたときは、それが実現したところをイメージしてください。その時に「うれしい」「楽しい」「誇らしい」という感じとともに「とんでもないという感覚(武者震いする感じ)」があれば、それはコンフォートゾーンの外であり、“現状の外”です。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/6040892.html
・「肺の病気になってもいいからタバコはやめたくない」「人生、先は短いから生活習慣は変えたくない(好きにして生きたい)」というような方へのアプローチの仕方
A:コーチとしての立場で述べると、改善に向けての最初の働きかけを私から行うことはありません。「コーチングを受けたい」「変わりたい」という強い意志のある方で、守秘義務契約等を結んだ上で、全額入金を済ませた方にだけ働きかけを行います。
ちなみに入金後はいかなる事情があっても返金はしません。それには理由があります。
コーチングを受けていく中で「今までの自分」が大きく変わってしまうことを無意識が認識した瞬間に、強力なネガティブ・フィードバックが働きます。その働きを恒常性維持機能(ホメオスタシス、Homeostasis)と呼びます。「絶対に返金はない」という事実は、その強力なホメオスタシスフィードバックを断ち切ります(笑)。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/4831660.html
「変わりたい」という明確な意志のある方々でもそこまでしないと変わることができないのですから、「タバコはやめたくない」「生活習慣は変えたくない」という方々を変えることは困難です。さらに、無理やり変えることは「have to」を意味します。論理的に説得すればするほど、あるいはあなたが熱意をもって話すほど、ギスギスする(あるいは相手が落ち込む)はずです。
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5882609.html
http://blog.livedoor.jp/coachfor_m2/archives/5882703.html
「相手の自由意志を尊重する」姿勢を貫きつつ、医師としての私は、「“知識”を提供し、“未来”を体験していただくこと」を意識しながら診療を行っています。「アプローチ」の参考になったでしょうか。
ところで、日々の診療の中で「健康そのものが目的となっている方がとても多い」と感じています。
健康は「止められてもやりたいこと」を実現するための手段(条件)であり、目的ではありません。生きがいがあるという前提で、それを実現(継続)するために「タバコ」や「生活習慣病」が阻害因子であるという“知識”を本人が受け入れれば、自然に行動は変わっていきます。
先に「止められてもやりたいこと」=ゴールがあり、その結果として健康があるのです。
霧島市(鹿児島県)の医療・保健行政の最高機関の名称は「健康・生きがいづくり推進協議会」です。「生きがい」がついていることはとても重要なポイントであると思っています。
御存知だと思いますが、私はその協議会の会長を務めています。保健指導等を通じて、ぜひ「生きがい」の重要性をひろめてください。
・行動の変容のための概念はよくわかりましたが、うまくできるか私自身の課題だと思いました
A:部分と全体の関係を御存知ですか?
昔は「部分の合計が全体である」という考え方がされており、これを構造主義(ストラクチャリズム)と呼びます。西洋医学の考え方には「人間の体を細かくみていけば、全体がわかる」といった意識が根底にあり、まさに構造主義です。抽象度でいえばより低い次元を追求しようとします。
それに対し東洋医学、特に縁起に代表される釈迦哲学的な考え方は「部分の集まりが全体ではあるが、全体がわかることではじめて部分が決まる」というものです。つまり「部分と全体の双方向性」を重要視しています。抽象度でいえば、まずはより高い次元でとらえようとします。
研修会で説明したとおり「行動科学」というのは構造主義であり、実際の言動という“部分”の合計から人という“全体”を見いだそうとします。ところがそれはうまくいきませんでした。なぜなら、人には一人ひとりにマインドがあるからです。
より抽象度の高い空間での情報処理(マインド、心の動き)をとらえることで、つまり、その人“全体”を理解することで、物理空間での実際の言動という“部分”の意味がわかるのです。
難しく感じるかもしれませんが、私があなたに伝えたいのは、「『行動の変容のための概念(=全体)がわかった』ならば、これから実践という“部分”を積み重ねる中で確実に進歩していく」ということです。
現状の問題を「不安」や「(他人に対しての)不満」ではなく、「課題」と捉えているあなたは確実に進化を遂げるはずです。
苫米地式認定コーチとして、私が保証いたします。
(つづく)
苫米地式認定コーチ
苫米地式認定マスターヒーラー
CoacH T(タケハラクニオ)
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