F-450:音楽から引退することはできない
<vol.4;「儚く、断片的」>
映画音楽の巨匠
ジョン・ウィリアムズ(John Towner Williams、1932年~)は、昨年(2025年)、自伝を出版しました。その出版に関するインタビューの最後の言葉は「音楽から引退することはできません。それは呼吸のようなもので、私たちの人生だから」。
巨匠らしい抽象度の高さを感じさせる言葉ですが、そこに至るまでは“らしくない表現”が続きました。例えば、映画音楽について…
「あまり好きではなかった」
「懐かしい思い出として記憶しているだけ」
「儚く、断片的」
「ただの仕事」 …とコメントしています↓
ジョン・ウィリアムズ「映画音楽あまり好きじゃなかった」「ただの仕事」 | THE RIVER
そのブリーフシステムを分析する過程で感じたことを整理しながら、これらの発言を考察します。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html
vol.1;映画音楽の巨匠の軌跡
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/38315386.html
vol.2;「映画音楽はあまり好きではなかった」
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/38335373.html
vol.3;「懐かしい思い出として記憶しているだけ」
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/38354805.html
vol.4;「儚く、断片的」
1999年に公開された「スター・ウォーズ」新3部作(プリクエル・トリロジー)の1作目(EpisodeⅠ/The
Phantom menace)のラストシーン(華々しいパレードの場面)で流れる音楽には、じつは、“秘密”が隠されています。後のストーリー展開を知っている人の情動を激しく揺さぶるサブリミナルな仕掛けです。
Q-410:「Rゆらぎ」のゆらぎとは何がゆらぐのですか? どのようにゆらがすのですか?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36018695.html
「スター・ウォーズ大好き!」という方に伺います。
ウィリアムズの仕掛けに気づいていましたか?
…家の中にはいろんな“SW”があふれている私ですが、じつは20年以上もウィリアムズの仕掛けに気づいていませんでした。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html
*以下、スター・ウォーズ・サーガのネタバレを含みます。御注意ください
EpisodeⅠのラストは、シスと通商連合の攻撃から惑星ナブーを守り抜いた民と原住種族グンガンのパレードで終わります。ストーリーとしてはハッピーエンドです。
ところが、未来(EpisodeⅡ以降の展開)を知っている人にとってはバッドエンド。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html
なぜなら、そのパレードには、じつはダース・シディアスであるナブー選出の元老院議員シーヴ・パルパティーンが参加していたから。シスの暗黒卿は、後にダース・ベイダーとなる9歳の少年アナキン・スカイウォーカーにこう語りかけます…
君の将来が楽しみだ
We will watch your career with great interest.
このシーンこそ、まさに「I have a bad feeling about this」。
嫌な予感がする | Wookieepedia | Fandom
SW好きな人ほど、とても嫌な気分になるはずです。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882652.html
パレードは、絵面(物理空間の描写)上は華々しいものでしたが、情報空間ではとても苦々しいものでした。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html
初見以降(3D版を含め)何度も見返していますが、最後に後味の悪さが残るのはその後のストーリーを知っているからだと思っていました。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721658.html
ところが、パレードの音楽にも仕掛けがあったのです。まったく気づいていなかった分(subliminal)、音楽の方が後味の悪さに強く影響していたかもしれません。
F-114:情報が書き換わると現実が変わる vol.5;「幸せなら手を叩こう♪」(ワーク付き)
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/20477749.html
その仕掛けとは…
(まだ引っ張ります。ヒントは「ライトモチーフ」です)
以下、苫米地博士の著書「音楽と洗脳 美しき和音の正体」(徳間書店、p85)より引用します。
◎音楽と情報空間
以上が音と脳の関係でした。
いかに音が、音楽が、脳に影響を及ぼすかがこれでわかってもらえたのではないかと思います。自分が好ましいと感じる音楽を聴くこと、また、楽器を演奏することは、脳幹から大脳皮質まで、すべての脳の部位を刺激します。
単なる空気の振動にしか過ぎない音。そこに我々人間は、意味を付加し、付加することによって情動を揺さぶられています。
もちろん、そこにはある種の学習があります。パターン化された音を何度も聴くことによって、その音に馴染み、汎用的意味を知ったり、自分好みの意味付けをしていきます。記憶の積み重ねによって、音楽の好き嫌いも出てきます。
そういう意味では、音楽は、それ自体がひとつの洗脳とも言えるものです。
何しろ、一旦、音楽を刷り込んでしまえば、今度は楽譜を読んだだけで、音楽を頭の中で鳴り響かせることも可能になるわけですから。音などどこにも鳴っていないのに、一次聴覚野、聴覚連合野を活性化させ、情動まで突き動かされてしまうのは、情報空間で音が鳴り響いているためです。
また、音は運動野も発火させることを書きましたが、これも多くの人が実体験していることです。音楽を聴きながら自然に足でリズムを取る作業がそうです。
音楽の素晴らしいところは、強烈なイメージを情報空間に作り上げることができる点です。それは同時に情動を動かすのですが、ただの感情の喚起だけでなく、脳内ホルモンの分泌を促し、さらに記憶を動かし、身体も動かします。
映像のない点も素晴らしいところです。情報空間の中で自由にイメージを広げることが可能になります。
そんな音楽が持つ可能性はまだまだ広げることができるはずです。
ところが、残念ながら、現在の音楽環境は、それほどいいとは言えません。
特に日本の場合は、ピアノの和音が狂っていることを放ったらかしにしています。これでまともな音楽教育ができるはずがありません。
次章では、その辺りのことを探りながら、日本の音楽教育の問題点を見ていきましょう。
引用おわり
単なる空気の振動にしか過ぎない音。そこに我々人間は、意味を付加し、付加することによって情動を揺さぶられています。
もちろん、そこにはある種の学習があります。パターン化された音を何度も聴くことによって、その音に馴染み、汎用的意味を知ったり、自分好みの意味付けをしていきます。記憶の積み重ねによって、音楽の好き嫌いも出てきます。
そういう意味では、音楽は、それ自体がひとつの洗脳とも言えるものです
…ウィリアムズの仕掛けも「ひとつの洗脳」だといえます。「意味付け」したメロディ(←トリガー)によって、絵面(視覚認識)とは真逆の「嫌な感じ」「後味の悪さ」を引き出しているから(←アンカー)。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23944294.html
そのギャップが生みだすゆらぎが、人を強烈な変性意識状態に誘います。
*その対策は↓
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/38079540.html
…では、ウィリアムズの仕掛けを確認しましょう。
パレードの音楽「Augie’s Great Municipal Band and
End Credits」のメロディは、じつは、パルパティーン(ダース・シディアス)のテーマといえる「Emperor’s
Throne Room」と同じ。リズムやキーが違うだけで、メロディラインはほとんど同じです。
つまり、「シスを退けたことを喜ぶパレード(状況)はシスに支配されている」というサブリミナルメッセージになっているということ。
*「スター・ウォーズ ジェダイの帰還」(1983年)の「Emperor’s Throne Room」↓
Star
Wars VI Return of The Jedi Soundtrack - Emperor's Throne Room (Emperor's Theme)
*「スター・ウォーズ エピソードⅠ/ファントム・メナス」(1999年)の「Augie’s Great Municipal Band and End
Credits」↓
Star
Wars Episode 1 Soundtrack- Augie's Great Municipal Band And End Credits
意識の上ではまったく気づいていませんでしたが、無意識はしっかりわかっていたのでしょう。そのずれが「bad feeling」や「後味の悪さ」をブーストしていたに違いありません。
Q-279~:今までRASとスコトーマは「認識しているものの中から何を選ぶか?」という話だと思っていました
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_422026.html
「意識の上ではまったく気づいていない」を「無」、「無意識はしっかりわかっている」を「有」とすると、その両者を包摂する意識状態が「空(くう)」だといえます。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353367.html
「無」の方を「儚く、断片的」と表現するなら、「有」の方は「不滅、全体的」。釈迦哲学でいうと「縁起」です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html
そんなことを考えていたら、映画音楽を「儚く、断片的」と表現(supraliminal)したウィリアムズは、本当はMr.プロ野球 長嶋茂雄さんのように「我が映画音楽は永久に不滅です」と伝えたかったのではないか(subliminal)という気がしてきました。
F-330:分断緩和のための処方箋 vol.1;サーフィンvsウインドサーフィン
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33414117.html
(冗談です)
(F-451につづく)
CoacHing4M2 EDGE
CoacH T(タケハラクニオ)
-追記1-
今日(2026年5月22日)は、「スター・ウォーズ」の久しぶりの新作「マンダロリアン・アンド・グローグー/The
Mandalorian and Grogu」の公開日!
音楽を担当したのはルドウィグ・ゴランソン(Ludwig Göransson、1984年~)。SW伝説の新たな“はじまり”を感じさせるスコアでした。This is the Way.
スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー - Wikipedia
-追記2-
「This is the Way」はマンダロリアンの主人公(ディン・ジャリン)が所属する「ウォッチ(チルドレン・オブ・ザ・ウォッチ)」を象徴する言葉。
映画鑑賞に備え、まったく予備知識がない妻と一緒に「マンダロリアン/The
Mandalorian」3シーズン全24話と「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」の関連話(第5~7話)を日本語吹き替え版で見直しました。
ボバ・フェット/The Book of Boba Fett - Wikipedia
吹き替え版では「This is the Way」が「我らの道」と訳されていたのですが、視聴中、私はずっと違和感を感じていました。おそらくコーチとしてのブリーフがはじいたのでしょう。
Q-475:嫌がらせを受けた場合、どのように抵抗したら… <実践編②;plan「抵抗」>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/38245936.html
コーチングは、「主観」ではなく、「客観」。「客観」こそが、コーチング実践者にとっての「the Way」です。
Q-452:コーチングの対象が自分であっても… <vol.1;コーチングは「自問自答」>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_432162.html
-告知1-
次回のオンラインセミナーは、コーチング募集開始前の「コーチング説明会」として期間限定配信(2ヶ月)します。2026年秋に配信を開始する予定です。
-告知2-
クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。
一緒に楽しみましょう!
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html
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F-375:俺にかかってこい
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F-426:さくら <vol.3;“洗脳”が解ける(解けかけている)感触>
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L-242:2022年10月介護施設研修 -02;「場にふさわしくない態度や言葉」への向き合い方
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Q-117:「コーチングは変わるためにあるものではない」の真意とは?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/20576958.html
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