L-254202212月医療・介護研修会 -03;人間は情報不足を補うために、限定合理的な推論を使う

 

202212月、鹿児島県の医療法人で、認知科学やコーチング理論を用いた職員研修を行いました。テーマは「3つの感染症』を“Total”という視点で考える」。

当日の研修内容を、最新の知識で再構築しながら、ブログ用にリライトします。

*関係者の皆さま、大変長らくお待たせいたしました

 

 01;研修当時の“空気感”

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/38323917.html

 02;帰納的方法論(induction)と演繹的方法論(deduction

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/38330191.html

 03;人間は情報不足を補うために、限定合理的な推論を使う

 

 

「上位概念の定義ができてはじめて、下位の概念が定義できる」というのが演繹的発想。この発想の課題は「つねに定義する対象の上位概念がはっきり定義されていないといけない」こと。

 その課題を解決するためには大きな問題(case)がありますが、じつは、その解決(plan)はすでに示されています。偉大な先人たちによって。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html

 

 その解決とは、前回取り上げた「ゲシュタルト」の概念です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 

仏教的にいうと、「部分と全体の双方の関係性である『縁起』を理解する」こと。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 そして、そのために欠かせないのが「抽象度を上げる」「抽象度が上がる」ことです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 

 人間の思考は、そもそも非単調性です。それは排中律(はいちゅうりつ)ではないということ。排中律とは「任意の命題に対して、それが成り立つか、成り立たないかいずれか一方であって、その中間はないことを述べた論理学の法則」のことです。

 F-2313錠じゃないと飲まん! <前編:排中律>

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28339618.html

 

「中間はない」という発想の根底には「完全性」があります。知識でいうと、「正しいもの以外は知識とは呼ばない」という考え方。

それは単調論理であり、不完全性定理や不確定性原理以前の西洋哲学の世界観です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6194669.html

 

「不完全性」が証明された現代は非単調論理がベース。単調性に対して「例外のない法則はない」と主張したのが、イギリスの分析哲学者 スティーヴン・トゥールミン(Stephen Edelston Toulmin19222009年)です。トゥールミンはいわゆる三段論法で代表される形式論理の方法論が実社会における論理構築の手段として適さないと考え、「トゥールミンロジック」を築き上げました。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6194585.html

 

 苫米地博士が専門(のひとつ)とされているコンピュータサイエンスの研究は、「人間の推論は非単調論理となっている」ことを解き明かしました。それは前回(L-253)取り上げた「帰納的方法論(induction)」や「演繹的方法論(deduction)」とは違う「アブダクション(abduction)」と呼ばれる推論法で、心理学や計算機科学では「ヒューリスティック(heuristic)」と呼ばれています。

 

その「アブダクション」や「ヒューリスティック」は、「経験的(もしくは生得的)な知識を利用して、あいまいなマッチングを“発見的”に行う」という能力。それが人が持つ「ゲシュタルト能力」です。

Q-266:臨場感世界をまったく同じように感じることが<後編;視点を上げる>

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29135063.html

 

もっとコーチっぽく表現するとイマジネーションの限界を超える力

F-363:シコウサクゴ <前編:コーチング前は誰もが「思考錯誤」>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35159915.html

 

 以下、苫米地博士の著書「すべてを可能にする数学脳のつくり方」(ビジネス社、p124)より引用します。

 

 

人にとっての情報不足は人工知能にとっての情報過多

 人間は曖昧な状態の中で判断を下すことができる。これは裏を返せば、現実の世界は情報不足ということになる。

 実際、道に迷ったということは目的地に対する情報が不足しているからだ。

 人間はそれを補うために、限定合理的な推論を使う。

 これをヒューリスティックといい、情動的な思考、情報空間における自由気ままな発想を行っているから判断できるのである。

 この情報空間における自由気ままな発想こそが数学的思考である。

 論理的思考と数学的思考の決定的な違いはここにある。

 では、人工知能が曖昧な判断ができない理由はどこにあるのだろうか?

 情報不足だから起きているのだろうか?

 実は違う。

 人工知能が曖昧な判断ができないのは情報不足ではなく、逆に情報過多が原因なのだ。

 例えば、右に行くのが正しいのか、左に行くのが正しいのかを人工知能自身が推論する場合、左右の道のアスファルトの素材の微妙な違い、色の違い、温度差、標識の有無などありとあらゆることを論理的に検討してしまう。のちほど説明するフレーム問題が発生する。

 こんなことをしていたら、答えなど出るわけがない。

 人工知能と人間は同じ景色であっても見ているものが違うのだ。

 人間が情報不足に陥るのは必要な情報が揃っていないことによる。

 ところが、人工知能は必要な情報以前に不必要な情報に振り回されて判断ができなくなっている。

 この見ている景色の違いこそが重要なのである。

 人工知能が見てる景色はあくまで論理的世界であり、事実の積み重ねだ。センサーを使って収集した情報を検討しているのだから当然といえば、当然だろう。犬が西向きゃ尾は東、というように当たり前の道理を積み重ねていくことで解を見つけていく。

 つまり、人工知能は物理空間にいるのである。

 しかし、人間の思考は違う。一瞬で「右」などと決められるのは人の思考が物理空間ではなく、情報空間にあるからだ。情報空間にあるからこそ、しばしば余計なものを切り捨て、時折不合理なものも挟み込みながら判断していけるのだ。もちろん、その判断が正解かどうかはわからないが、まがりなりにも解を導くことができるのである。

 引用おわり

 

 

 この情報空間における自由気ままな発想こそが数学的思考である

 

 苫米地博士と出会うまで、「数学的思考」が「自由気ままな発想」であるなんて、考えたこともありませんでした。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html

 

 しかし、今は、この教え(表現)を素直に受け入れることができます。皆さんもそうですよね。

 

 私なりになぜそんな変化が起こったのか考えてみました。

その理由を突き詰めていくと、それこそが演繹的発想の抱える問題を解決するポイントであり、偉大な先人が示してくれている智慧であり、そして、認知戦の時代を生き抜く最大の“秘訣”である という確信が湧き上がってきました。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5616012.html

 

 

 人工知能が見てる景色はあくまで論理的世界であり、事実の積み重ねだつまり、人工知能は物理空間にいるのである。

 しかし、人間の思考は違う。一瞬で「右」などと決められるのは人の思考が物理空間ではなく、情報空間にあるからだ

 

 その“秘訣”に対する認識と五感を伴った体感が、「人の思考」をますます「情報空間」に誘います。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

L-255につづく)

 

 

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一緒に楽しみましょう!

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