F-445:BLACK RAIN
<前編;“視点”の違い ~スリー・タイム・フレーム~>
前回(F-444)のタイトルは「Working
Dead」。
ブログ用の文章を書きながら、「私もWorking Deadだったな…」としみじみと思いました。もっと正確にいうと… 働く前からすでにWorking Dead。
F-444:Working Dead
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そんなことを考えたのは、書きながら聴いていた音楽が影響したのかもしれません。聴いていたのは1989年に公開された映画「BLACK RAIN」のサントラです(作曲:Hans Zimmer)。
F-344:止められないんだ! これを聴いて、脚本を書くときのインスピレーションにしてほしい
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1989年秋から翌年春までの間に、私は二度「BLACK RAIN」を観ました。
最初に観たのは大学浪人中の秋。リドリー・スコット監督ならではの映像美には感動しましたが(撮影監督:ヤン・デ・ボン)、内容的には何ともいえない余韻が残りました。
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*ここからはネタバレを含みます。御注意ください
まずはストーリーを紹介します。
離婚後養育費の捻出に苦労するニューヨーク市警の刑事 ニック・コンクリン(演:マイケル・ダグラス)は、横領の嫌疑をかけられ査問中の身です。
ある日同僚のチャーリー・ビンセント(演:アンディ・ガルシア)とレストランを訪れた際に日本のヤクザの抗争に巻き込まれます。そのときに捕まえた佐藤浩史(演:松田優作、この作品が遺作)を日本に送還した際、二人は騙され佐藤に逃げられてしまいます。
自分たちのミスを取り返すべく大阪府警の捜査に加わろうと願い出ますが、刑事部長はそれを許さず、松本正博警部補(演:高倉健)を監視役に付けます。強引なニックと真面目な松本は反発し合いますが、チャーリーが惨殺されたことをきっかけに、佐藤逮捕に向けて思いを一つにします…
…当時、一番印象に残ったのは、張り込み中にニックが松本に対して横領が事実であることを告白したシーンでした。チャーリーにも打ち明けていなかった真実を知った松本は、ニックが“自分”を内省できるように導きます。
そのときの松本の表情と言葉の“間”がとても心に響きました。
Q-170:自身の信念を失いそうです vol.2;コーチング実践者向け -前編-
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その後、認知科学者 苫米地英人博士にマインド(脳と心)の仕組みや内部表現書き換え技術、そしてコーチングを学ぶようになって、心に響いた理由がよくわかるようになりました。
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その一つは“視点”。
大阪府警の捜査に加わろうとするシーンにおいて、日本の警察と主人公 ニックの“視点”の違いが浮き彫りになります。
Q-265:臨場感世界をまったく同じように感じることが… <前編;視点>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29084873.html
日本の警察は「おまえたちのせいだ」と怒り、「責任をどう取ってくれるのか?」と迫ります。それに対してニックは、ミスを認めた上で、「これからどう取り返すか?」に集中します。
警察は、例えば「切腹」のように、「過去に決着をつける」ことを「責任」と考えていました。対してニックは、「未来における自身の行動」を「責任」と考えました。ニックの犯した横領に対する松本の態度にも「未来」が感じられます。
PMⅠ-06-09:仮説04)自由と責任の関係の理解不足
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13958864.html
つまり、日本の警察は過去に対してRASが働き、ニックと松本は未来に対してRASが働いている …ということ。これが決定的な“視点”の違いです。
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コーチングにおいて重要なのは、もちろん、未来。
「スリー・タイム・フレーム」という概念がありますが、「思考の基準を未来に置く」ことがコーチングの基本です。
L-094:2021年7月シークレットレクチャー
-06;BSと人格や未来との関係
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以下、苫米地博士の著書「[新版] コンフォートゾーンの作り方」(フォレスト出版、p126)より引用します。
スリー・タイム・フレーム
ルー・タイスがよくあげるのは、スリー・タイム・フレームという思考の概念です。それは、過去、現在、未来のどこに思考の基準を置き、物事を考えるかというものです。
過去に思考の基準を置く人は、過去の出来事を語り、過去を基準に物事を考えます。
こうした人たちに共通するのは、人生の最盛期をすでに過ごし、「昔は良かった」「あの時は幸せだった」という考えを持っていることです。それゆえに未来に対しては悲観的であり、現在は不平不満の対象でしかありません。
現在に思考の基準を置く人は、「今現在」にします。「今こうだから、明日もこうだ」という具合です。現状を維持しようとする姿勢は、時として頼もしく映ることもあるかもしれませんが、結局は、来る日も来る日も同じことを繰り返すことになります。
未来に思考の基準を置く人は、未来を先見し、そのイメージをはっきりと持っています。現状がその方向に動き出していることを想定して行動し、自分だけでなく周りの人をも未来に向かって引っ張っていこうとします。
このような人たちは、未来のことであっても、すでに実現している、達成しているものとして現在形で語り、思考します。
そのため、ゲシュタルトが有効に働き、その結果スコトーマが外れ、RASを働かせて必要な情報が流れ込むようになり、イメージ通りの未来に自分を導くのです。
引用おわり
未来に思考の基準を置く人は、未来を先見し、そのイメージをはっきりと持っています。現状がその方向に動き出していることを想定して行動し、自分だけでなく周りの人をも未来に向かって引っ張っていこうとします
…劇中のニックの姿は、まさにこんな感じ。
佐藤とホステスのつながりや偽札に気づいたのも、執念の尾行で佐藤を追い詰めたのも、アメリカに強制送還される飛行機から脱出したのも、すべて「未来に向かって引っ張っていこう」とする力の結果。
その力の正体はホメオスタシス(フィードバック)です。
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html
その求心力により、ついには関西ヤクザの首領 菅井国雄(演:若山富三郎)のところにまで辿り着き、佐藤の殺害を持ちかけます。
F-441:風になりたい <vol.5;自我の求心力>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/38197659.html
ただし、その強力な求心力には「チャーリーの仇をとりたい」という私欲がはりついていました。この時点でのニックは復讐の鬼。情動によりゴールの本質を見失っている状態です。
F-234~:自由訳「revenge」と「avenge」
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_419026.html
そして、ついにニックは…
(この先は映画でお楽しみください)
正直に言うと、浪人時代の私は、都合よく進むストーリー展開にすこし興ざめしていました。「そんなはずないだろう…」「いやいやいや… 日本をなめすぎ」とあきれる感じで。
きっと未来に希望を感じていなかったのでしょう。ゴールがなかったのです。まだ社会に出てもいないのに、心はすっかり老いて死にかけていました。だから「働く前からすでにWorking Dead」。
PMⅠ-04-04:収容所生活中にフランクルが発見した「健康」の源泉とコーチングの関係
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8045695.html
コーチングを学んでいる今は、傍から見ると信じられないような展開が次々と起こることをしっかりと受け入れることができます。「超ラッキー」が「あたりまえ(New Normal)」な感じです。なぜなら…
ゲシュタルトが有効に働き、その結果スコトーマが外れ、RASを働かせて必要な情報が流れ込むようになり、イメージ通りの未来に自分を導く
…ことを何度も経験し、「信じられないような展開」がじつは必然であることを理解できるから。
Q-279~:今までRASとスコトーマは「認識しているものの中から何を選ぶか?」という話だと思っていました
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_422026.html
さらにいうと、コーチングを実践しながら抽象度を上げ続けることで、「スリー・タイム・フレーム」さえも超越することができるから。
F-319:観自在 <理論編-2;自在を観る>
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32875213.html
それはきっと、「一念三千」の意識状態。その一念三千を体感してはじめて、本当の意味で、心から理解することができるようになります。「過去は一切関係ない」と…
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html
過去は一切関係ない
…それがコーチングの基本中の基本。
「過去は一切関係ない」が理解できているからこそ、純粋に未来に思考の基準を置くことができるようになります。そして、未来に思考の基準を置くことができるから、「未来のビジョンによる引力の極大化」を実践することができるようになります。
L-248:2022年10月介護施設研修 -08;「過去には一切こだわらない」
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/38119777.html
未来のビジョンによる引力の極大化
…それがコーチングです。
F-332:分断緩和のための処方箋 vol.3;「未来のビジョンによる引力の極大化」と「過去からの引力の最小化」
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33515591.html
(F-446につづく)
CoacHing4M2 EDGE
CoacH T(タケハラクニオ)
-追記-
その求心力により、ついには関西ヤクザの首領 菅井国雄(演:若山富三郎)のところにまで辿り着き、佐藤の殺害を持ちかけます
…そのやり取り中の菅井のセリフが、
I was ten... when the B-29 came.
My family lived underground for three days.
When we came up, the city was gone.
Then the heat brought rain... BLACK RAIN.
You made the rain black and shoved your values down our throat.
We forgot who we were.
You created Sato and thousands like him.
I’ll pay you back.
…菅井の言う「押し付けられた価値観」を、とくにこの数年間、嫌と言うほど思い知らされました。
F-365:経営判断ってなんだ?
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35263585.html
「your values」とは“拝金主義”のこと、「Sato and thousands like him」とは“拝金主義に染まった人々”のことです。
そして、日本人の価値観を徹底的に破壊した象徴が
“BLACK RAIN” ...
Q-278:親として何を助言していけば良いのか知りたいと思いました
https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29631346.html
敗戦国 日本の私たちは、民間人までもがたくさん虐殺されてしまった私たちは、アメリカ人が主人公のアメリカ映画「BLACK RAIN」にどのように向き合えばいいのでしょう?
…少し前までは気づいていませんでしたが、今の私には「過去は一切関係ない」という言葉がとても重く響きます。
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-告知1-
次回のオンラインセミナーは、コーチング募集開始前の「コーチング説明会」として期間限定配信(2ヶ月)します。2026年秋に配信を開始する予定です。
-告知2-
クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。
一緒に楽しみましょう!
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https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_431828.html
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