F-436MIAMI VICE <後編;「利他→利己」「大乗→小乗」リブートの予感>

 

 米国のTVドラマ「MIAMI VICE」をご存じでしょうか?


Miami Vice(Wikipedia)

Wikipediaより引用

特捜刑事マイアミ・バイス - Wikipedia

 

 

劇伴音楽を担当したのはヤン・ハマー(Jan Hammer)。ハマーが作曲した「Miami Vice Theme」は、インストゥルメンタル曲としては異例のビルボード1位を獲得し、グラミー賞も受賞しています(1986年)。

 最近、前述のテーマ曲や主人公のテーマ曲(「Crocket’s Theme」)のアレンジ版が存在することを知り、ずいぶん高かったのですが購入してしまいました。「聞きたい」というwantを止められなかったのです。

*オリジナル版「Crocket’s Theme」はこちら↓

 Jan Hammer - Crockett's Theme (Miami Vice)

 

 2週間後イギリスから届いたCDを聴いてみると、「何か違う」という違和感が

 

それは「ちょっと気持ちの悪い違和感」でした。

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 *前編はこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/38091415.html

 

 

 思考の結果たどりついた違和感の正体は、「『MIAMI VICE』の世界観の変化に由来している」というもの。

 F-294:苫米地式次世代リーダーvol.1;“これまでのリーダー”はもう機能しない>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31605153.html

 

 全シーズンを視聴されている方には同意していただけると思いますが、シーズン1~2とシーズン3~5はまったくの別物です。一言で言うと、“熱量”が違います。

 F-100:芸術は爆発だ!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/19033189.html

 

 1980年代の私は、シーズンを重ねるほどグダグダになるストーリー展開に戸惑い、突然の番組打ち切りに呆然としました。

 F-280L下でのBSB vol.5;“風通し”=ゴール側から〇〇を整え続けること>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30825413.html

 

その「戸惑い」や「呆然」をコーチとして分析すると、「利他から利己への変化」に対する拒否的な反応だったといえます。

Q-394:利己的な思いと利他的な思いが両方ある場合は

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35299303.html

 

抽象度でいうと、高次元から低次元への変化。それは単に「情報量が増える」ということではありません。はっきり言うと“劣化”であり“退化”です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 あらためて調べてみてわかったのですが、「利他→利己」の本質的な原因はゴールを失ったことにあったようです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 ゴールの基本条件は 1)現状の外、2)心から望む、3)人生のあらゆる領域(バランスホイール)、4)自分中心を捨て去る(利他性)。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31184436.html

 

 「1)現状の外」は常にスコトーマに隠れているため、ゴールを見つけることは簡単ではありません。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 仮に「1)現状の外」にゴールを見つけられたとしても、そのゴールに向かっている間に、かつての現状の外は現状に変わっていきます。それはゴール側の可能世界w2がコンフォートゾーン化するということ。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

 すると、さらなる「1)現状の外」に新しいゴールを設定すること(w3w4w5…)が難しくなります。強力なホメオスタシスが心地よい現状w2(←かつての現状の外)を維持しようとするから。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html

 

 それは自己保身。

無意識はコンフォートゾーンとなった現状w2(←かつての現状の外)をなんとしてでも維持しようとします。「MIAMI VICE」でいうなら、高い人気を維持しスポンサーを確保することが最優先事項となったはず(=お金に囚われる)。その結果、挑戦的な取り組みは影を潜め、大衆に迎合したありきたりのストーリーになってしまったのでしょう(=過去に縛られる)。

今はTV番組の話をしていますが、政治や社会もそう。そして、人生も同じです。

 F-420:私、うっちゃいました <後編;デフォルト化した社会を変えるために>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/37623972.html

 

 では、「MIAMI VICE」のシーズン1~2とシーズン3~5の間に何があったのでしょう?

 

 

 答えはエグゼクティブ・プロデューサー マイケル・マンの離脱です。常に客観的な立場で全体をコントロールしていたマンが去ったことで、ストーリーの“核”となるものを、もっというと“魂”を失ってしまいました。

 Q-452:コーチングの対象が自分であってもvol.1;コーチングは「自問自答」>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/37854944.html

 

 これは私見ですが、「MIAMI VICE」の“核”や“魂”とは「反権力」であったはず。

 F-362:自由訳「OODA」 <vol.8;「OODA」というトリガーが引きだすもの>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35109001.html

 

 これも私見ですが、主人公 ソニー・クロケット(James Sonny Crockett)の立ち居振る舞いは、苫米地博士が語られる「アプリオリではないリーダー」のイメージと重なります。シーズン3頃までは。

 Q-462:「この世をよくしたいならvol.6;カテゴリー・ゴール「リーダーシップ」>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/38018633.html

 

そのイメージを言語化すると

  圧倒的な利他性
  徹底的な自己犠牲
  揺るぎない責任感

 その根底あるのはゴール社会性があって、利他性があって、しかも人々をワクワクさせるような夢があるゴールです。

 F-416:「楽しい日本」を目指す総理が「あんまり楽しいことはない」とぼやく姿に学ぶ <vol.3;「楽しさ」=ゴール設定&達成 =〇〇>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/37475932.html

 

 そんなゴールを制作陣が失ってしまい、それが主人公のブリーフに投影された というのが私の仮説。ひょっとしたらマンが去ったことで先にエフィカシーが下がり、その結果ゴールを見失ってしまったのかもしれません。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5616012.html

 

 ゴールとエフィカシーは一体です。ゴールの中にエフィカシーは含まれており、エフィカシーはゴール抜きでは語れません。

 F-429~:オーセンティック・コーチングの形式定義

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_432237.html

 

 

DrT251005 CoachingFormalDefinition -12

CoachingFormalDefinitionDrT20251005」より引用↓

251003_地上最強グローバルサミット v8(Blog

 

 

 では、高く揺るぎないエフィカシーを保つために、何を心がければいいのでしょう?

 

 以下、苫米地博士の著書「30代で思い通りの人生に変える69の方法」(泰文堂、p150)より引用します。

 

 

42 高く揺るぎないエフィカシーを持つために、小乗と大乗のゴールをつくりなさい

 このような考え方を仏教用語で「小乗」といいます。

 小乗というのは、平たく言えば、自分が解脱するために修行することです。

 衆生の救済を目的とする「大乗」と異なり、まったくの自分本位です。そのため、大乗仏教はそうした教義を持つ宗派を差別的に「小乗仏教」と呼びました。

 だからといって、自分本位はダメな考え方だ、というわけではありません。

 たとえば、達磨はインド南部の国の第3王子でしたが、洞窟に9年間座り続けて、足を腐らせてしまいました。ふつうに考えれば、これはずいぶん愚かな話です。

 足を腐らせるくらいの一途な思いがあるのなら、貧しい人を救ったり、社会を変えることに力を注いだり、ほかにやることはいくらでもあったことでしょう。ところが、そんなことは棚に置いて、彼はひたすら座禅を組み、足を腐らせてしまいます。そして、そんな達磨のことを、「素晴らしい修行者」「坐禅の開祖」と称賛するわけですから、世間もどうかしています。

 しかし、おそらく達磨に訊くと、本人は幸せなのです。

 なぜかといえば、本人は坐禅を組むことでベータエンドルフィンが大量に出たわけです。足が腐っても痛くないほど出たということは、よほどドーパミンやセロトニンがたくさん出たということでしょう。

 そのときに達磨が感じた世界は、悟りの境地に違いありません。

 傍から見ると、ただのおかしな人に見えたでしょうが、本人はものすごく幸せです。これを小乗というわけです。

 小乗は悪いことではなく、お金の価値で自分を量るよりもはるかにいいことです。ただし、小乗はどう転んだところで趣味の世界の行為であり、その意味で、達磨は趣味の親分といえます。達磨の趣味が何かといえば、座る趣味ということです。

 いっぽうの大乗は、趣味の世界にとどまらずに自分以外の人の役に立とう、ということを目指したものです。

 それは、人生のゴールでいえば、3つ目のゴールに当たります。つまり、ボランティアを含めた地域貢献や社会貢献を考えることです。

 つまり、私がコーチングで行う初期のアドバイスは、金銭だけで自分の価値を量る悪い癖をぶち壊すために、小乗と大乗のゴールをそれぞれ持て、ということなのです。

 職業以外の2つのゴールは、みなさんだいたい3ヶ月くらいで決まります。

 もちろん、思いつくだけではダメで、それが本当に心からうれしいことにならなくてはいけません。

 心からそれを実現したいと思えることで、小乗、大乗というふうに考えていくと、自分の本当の望みが意外に少ないことに気づくでしょう。

 しかし、それを考える癖をつけないと、その人の一生は、お金の奴隷のままで終わってしまいます。高く揺るぎないエフィカシーも、生涯身につくことはありません。

 ▶みんなのためと自分のためのゴールを目指してみる

 引用終わり

 

 

心からそれを実現したいと思えることで、小乗、大乗というふうに考えていくと、自分の本当の望みが意外に少ないことに気づくでしょう。しかし、それを考える癖をつけないと、その人の一生は、お金の奴隷のままで終わってしまいます。高く揺るぎないエフィカシーも、生涯身につくことはありません

 

 上記引用文で博士が説かれているのは、単なる小乗の否定ではなく、バランスの重要性。

 Q-425:現状の外側に100%want tovol.3update ofBalance Wheel」>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36631145.html

 

 そう考えると、おとり捜査官であるがゆえに「圧倒的な利他性」「徹底的な自己犠牲」「揺るぎない責任感」を持つはずの主人公がバランスを崩してしまい、大乗から小乗へ、すなわち利他から利己へと変質してしまったこともうなずけます。

重要なのはバランスを取ること。その鍵となるのが“客観”。コーチングは、“主観”ではなく、“客観”です。その“客観”が高く揺るぎないエフィカシーを保つポイントです。

 F-273:冗長性と多様性 <vol.5;抽象度×バランスホイール>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30452009.html

 

 シーズン2の冒頭で堂々と「お金の奴隷」でいることを拒絶した主人公の姿に憧れた私としては、そのブリーフを貫いた先にひろがる世界(未来)を見ることができなかったことが残念で仕方がありません。それが「気持ちの悪さ」の正体だと思いました。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

 

 「気持ちの悪さ」はまだ続いていますが、同時に希望も感じています。

 

 2006年にマイケル・マン自ら監督を務めたリブート映画(主演:コリン・ファレル&ジェイミー・フォックス)が制作されていますが、2027年夏に再リブート映画が公開されることが決まっているのです。

 監督は、なんと、「トップガン マーヴェリック」(2022年)や「F1/エフワン」(2025年)のジョセフ・コシンスキー(Joseph Kosinski)。コシンスキーはオリジナル版に格別な思い入れがあるようで、「1985年当時、まわりは『STAR WARS』や『TRANSFORMERS』に夢中だったが、私自身は『MIAMI VICE』だった」とコメントしています。

 そんな監督が描く再リブート版「MIAMI VICE」の舞台は、1980年代半ばのマイアミ!

「シーズン1をベースに、当時のマイアミの魅力と腐敗を探求する」とアナウンスされているので、きっと「利他→利己」「大乗→小乗」で終わってしまったTVシリーズを正真正銘の「MIAMI VICE」に再構築してくれるはずです。

 

 1年半後、“あの頃”を再体験できることが、そして“本当の結末”を観れる(かもしれない)ことが楽しみでなりません。

 

 

CoacHing4M2 EDGE         

 CoacH T(タケハラクニオ)

 

 

 

-追記-

 さらにオタク話を2つほど。

 

 コシンスキーが監督した映画「トップガン マーヴェリック」と「F1/エフワン」の音楽はハンス・ジマー(Hans Zimmer)が担当しています。ジマーは一昨年(2025年)サウジアラビアから国歌の編曲を依頼されましたが、報道によると「国歌を現代化した罪」で起訴されているそうです。さすがジマー、すごいスケール感です。

 F-344:止められないんだ! これを聴いて、脚本を書くときのインスピレーションにしてほしい

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 そんなジマーとよくコンビを組んでいるのがクリストファー・ノーラン(Sir Christopher Nolan)。ノーランは「作家主義と大作主義の両立に最も成功している一人」と評される名監督ですが、バットマン映画の2作目「ダークナイト」(2008年、音楽はジマー)の制作にあたって、マイケル・マンの監督作「ヒート」(1995年)を研究したとコメントしています。

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次回のオンラインセミナーは、コーチング募集開始前の「コーチング説明会」として期間限定配信(2ヶ月)します。2026年春に配信を開始する予定です。

 

 

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 クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。

一緒に楽しみましょう!

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