F-422:微笑み返し <中編;“思考の言語化”のために

 

 医療・介護の現場はとても過酷です。そんな場で働く医療従事者でもあるコーチが、先日、こんな秘密を教えてくれました

 

  怒っている人には優しさで返しています

 

 いつもニコニコされているコーチの話を伺いながら(trigger)、私は過去に経験した看取りを思い出していました(anchor)。

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 それは70代後半の女性の“人生最期の瞬間”の記憶

 F-421:微笑み返し <前編;ゴールに関係ない感情は

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前回(F-421)御紹介したのは、「忍び寄る死の恐怖により“動物的”になってしまった息子」の話。それは人類の進化とは真逆の方向性 抽象度が下がる方向性の変化であり、退化に等しい変化です。

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 母親の最期の瞬間に殴りかかってきた息子に対して、私は激しい怒りを感じました。もっというと、関わっている期間中、ずっと怒りを感じていました。

 PM-06-11:仮説06)二つの「怒り」とその間にある論理的思考

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その怒りをしっかりモニタリングすることに集中しながら、私は、苫米地式にふさわしい対応を続けました。例えば、「怒る条件」を心の中で再確認したりしながら↓

 Q-317:今、逃げましたよね? <中編;怒っていい時の条件>

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 とくに意識に上げていたのが「丁寧な言葉を使う」こと。それは「怒っている人には優しさで返す」という感覚とも通じるはずです。

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 以下、苫米地博士の著書「『怒らない』選択法、『怒る』技術」(東邦出版、p58)より引用します。

 

 

◎正しく怒るためのその1 「丁寧な言葉を使う」

 では、正しく怒るためのファースト・ステップに入りましょう。

 第1章の中頃で、正しく怒るためのファースト・ステップは「百歩譲る」ことだと書きました。

 相手の言葉をよく聞き、よく吟味してから反撃に移ると、勝率はグッと上がります。

 これを可能にするために、とても効率的なのが言語です。ただし、なんでもいいから喋ればいいということではありません。言葉を使うとは思考を言語化することを指します。

 そもそも言語野は脳の中でも大きな領域を占めていますし、運動野で見ても、最も大きいのは唇や舌などを動かす神経系です。言葉を使うこと自体、脳全体を活性化させるにはもってこいです。

 その上、思考を言語化することで、情動優先だった脳を論理的思考へ移行させることも可能になりますので、言語化はとても大切です。

 勘違いしてほしくないのは、推奨しているのはあくまで“思考の言語化”です。「この野郎!」と思ったから「この野郎!」と言うのは、“感情の言語化”でまったく違いますので、誤解しないでください。

 具体的に“思考の言語化”とはなにかというと、相手が汚い言葉、あるいは慇懃無礼な言葉で罵ってきたら、その言葉に反応するのではなく、その言葉を使った人の思考パターンに反応することを言います。たとえば、侮辱の言葉をぶつけられたら「ずいぶん失礼な言葉を選択するんですね、あなたは」や「どういうつもりですか。どんな意図があるんですか?」といった感じです

 実際、あなたの頭の中には、「なぜこの人はこんなことを私にいうんだろう?」という疑問があるはずです。その疑問こそが思考であり、それを言葉にするのが“思考の言語化”になります。

 激しい言葉を浴びせられると、どうしてもその言葉に反応しがちですが、大切なのは、その言葉を選んだ相手の思考パターンのほうです。要は相手の意図をはかることがIQを維持するためのコツです。それさえわかれば、対策を練ることも難しくないですし、もしも、その意図が自分と共有できるものであれば、一緒に改善策を考えることもできます。

 また、言語化する際には“言葉使い”も重要です。あなたが使う言葉は、できる限り丁寧にしてください。汚い言葉使いは、周りの評価も下げますし、なにより自己能力の自己評価であるエフィカシーを下げてしまいます。

 ですから、怒りが高まったら、高まった分だけ、言葉も丁寧にする。それによって、前頭前野はより良い方向に活性化していき、怒りの現場であなたに勝利をもたらすでしょう。

 引用終わり

 

 

具体的に“思考の言語化”とはなにかというと、相手が汚い言葉、あるいは慇懃無礼な言葉で罵ってきたら、その言葉に反応するのではなく、その言葉を使った人の思考パターンに反応することを言います

 

 「なぜこんなことを言うのか?」「なぜこんなことをするのか?」といった問いに対して答え(仮説)を見いだすためには、当然、相手の立場にならないといけません。

そのとき心がけるのは、同調ではなく、共感。

 Q-298:どれくらい相手に共感していいものでしょうか? <理論編;鍵は〇〇〇>

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 その際のポイントは「抽象度」 「視点を上げる」という感覚です。

 Q-266:臨場感世界をまったく同じように感じることが<後編;視点を上げる>

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 ところが、医療従事者にとって、老病死(+生で「四苦」)の現場で抽象度を上げることは決して簡単ではありません。何度も何度も死に直面する間にトラウマ化してしまい、「Fight or Flight」へ陥りやすくなるから。

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 ところで、患者さんの死後に行われる「デスカンファレンス」という取り組みをご存じでしょうか?

 

「死に至るまでのケアを振り返り、課題を見つけ(case-side)、解決を探る(plan-side)」というのが主目的ですが、「関わった職員の精神的な負担を軽減し、“燃え尽き(バーンアウト)”を防ぐ」ということも目的としています。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html

 

 ところが、そんな「デスカンファレンス」自体が、死に関わる医療従事者にとって苦痛になりえるということが指摘されています。

 F-237:「出口が見えない」と「出口戦略」 vol.1;ヒーリングとコーチング

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28545704.html

 

 その理由はいろいろ考えられますが、一番の理由は「死がhave toだから」であるはず。

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実際、私が観察する限りでは、看取りの過程で苦痛を感じたり燃え尽きたりする職員は死をhave toと捉えています。その結果、大脳辺縁系優位になりがちで、言動が情動に支配されてしまいがち。多くの医療従事者がこの状態(死=have to)に囚われているはずです。

 F-409~:病院嫌い ~最適化の外側で遊べ!~

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 そもそも死をwant toにすることはできるのでしょうか?

 もしもできるというのなら、どのようにすればいいのでしょう?

 

F-423につづく)

 

 

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一緒に楽しみましょう!

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