Q-445:パーキンソン病の母が雨の日も畑に行ってしまうので(しかもよく転ぶ)、とても困っています

 

御質問をいただきました。ありがとうございます。

 その一部に回答いたします。

 (変更を加えています)

 

 

Q80代の母はパーキンソン病で治療中です。パーキンソン病は進行性の病気でいずれ歩けなくなると主治医から聞いていますが、止めても自分で歩きまわり、よく転んでいます。雨が降っていても目を離した隙にすぐに畑に行ってしまうので困っています。どうすればいいですか?

 

A:パーキンソン病は「手指がふるえる(振戦)」「動作が緩慢になる(寡動)」「筋肉が固くなる(筋固縮)」「バランスが崩れやすくなる(姿勢保持障害)」などの症状が起こる病気です。

難病に指定されていますが、日本では1000人に1~1.8人ほどいるとされており、決して珍しい疾患ではありません。

 パーキンソン病(指定難病6) – 難病情報センター

 

 脳幹部にある中脳(midbrain)の黒質ドーパミン神経細胞が減少して起こるとされていますが、神経細胞が減少する理由はまだわかっていません。いずれにせよドーパミンが大きく減少することで、物理空間だけでなく情報空間においても“運動”がしづらくなります。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

 「情報空間の“運動”」とは、思考のこと。

 Q-361:“自分以外を幸せにする”がわからずモヤモヤしています

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33551039.html

 

パーキンソン病では「意欲の低下」「抑うつ」「不安」といった精神症状を認めることが多く、進行すると「幻覚」が特徴的なレビー小体型認知症を合併しやすくなるとされています。

L-146202111月医療系研修会 -01;認知症を引き起こし、BPSDを悪化させるもの

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33693497.html

 

 お母さんは「止めても自分で歩きまわる」「目を離した隙にすぐに畑に行ってしまう」ということですが、それは「ドーパミンが減少し、意欲が低下する」というパーキンソン病患者さんの典型的な姿ではなく、むしろドーパミン過多を疑うような状態です。

 もしも「気分が高揚する『躁(そう)状態』と、気分が落ち込む『うつ状態』が、何も症状がない時期をはさみながら、何回も繰り返しあらわれる」ということを経験されているのであれば、精神科も受診されてみることをお勧めします。

 F-245:「ゴール」と「現状の自我」の間に臨場感という橋をvol.2;双極性障害>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28916956.html

 

先ほど「決して珍しい疾患ではありません」と書きましたが、年を重ねていくだけでも、人はパーキンソン病っぽくなっていきます。ドーパミン神経細胞(ニューロン)は加齢とともに減少するからです↓

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28968302.html

 

 なので、お母さんの年齢で「止められても〇〇したい」があること自体は、とても素晴らしいことだと思います。問題はお母さんの心の中で「本当にwant toなのか?」「have toではないのか?」ということ。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882609.html

 

 つまり、「ゴールは何か?」ということです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 

 コーチングでは、もちろん、クライアントのコンテンツには関わりません。

 L-215202208月シークレット… -02;コーチの役割は。そのためにコーチは

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/37125267.html

 

「コンテンツに関わらない」とは、「ゴールの内容(可能世界w2)やそのゴールを生みだす自我(関数p)については一切評価しない」ということ。

F-222:コーチングの基本概念を習熟して、エフィカシーをブーストしよう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27832570.html

 

 もちろん、私もゴールやそのゴールに向かう行動について評価はしません。ただし、本人がゴールだと思っていることや「~したい」と思っていることが、じつは「誰かに刷り込まれているのではないか?」と内省するようには促します。言語で、非言語で。

 L-168202203… -01;「ブリーフシステムをしっかり理解する」ための自問

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34842501.html

 

 お母さんの場合でいうと、「『止めても自分で歩きまわる』『目を離した隙にすぐに畑に行ってしまう』という行動の根底に何らかのhave toがあるのではないか?」と考察してみることが大切だと思います。

want tohave toに変えてしまうもの」として、例えば「不安・恐怖」「義務感」「罪悪感」はないでしょうか?

 PM-06-03:抗不安薬を常用する医師の叫びで気づいた「FOG

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13523715.html

 

高齢の方に接する場合、私はとくに「不安・恐怖」に配慮しています。「老病死(+生で四苦)」に対する臨場感が高いからです。

(一方で、若者こそ「不安・恐怖」に配慮するべきだとも思っています↓)

F-129The Sweet Hello, The Sweet Goodbye -1;不安に襲われる若者、希望を失う老人

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/21892496.html

 

 以下、苫米地博士の著書「悩みを幸せに変える法則」(主婦と生活社、p50)より引用します。「不安・恐怖」への対処を体感してください。Feel

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 

 

脳は不安が大好物

 “悩み”と同じく、世の中にはさまざまな“不安”がはびこっていますね。

 例えばあなたが40代後半や、50代だとして、「老後が不安だ」と思い始めたとします。

 私はそこが不思議でなりません。なぜなら、将来に対する不安ならば30代、40代のうちからすでに考えていたはずで、50歳になって急に不安になるはずがないからです。あなたには不安になるきっかけが何かあったのではないでしょうか?

 

 私は「あなたの周りには、老後が不安だという人が多いんじゃないか?」と感じます。

 あるいは、そういう本や雑誌の記事を読んで影響されてしまったということもあるのではないでしょうか。

 いずれにせよ、ある年齢に達したら急に精神状態が変わるなどといったことは考えられません。必ず原因があるはずで、たいていは周りからの影響がかなりあるということを覚えておいてください。

 ですから、まずはそういった要因があるかどうかを確認し、あれば取り除くことを考えるのが、不安を解消する最速の道です。実際、それで問題が解決することは多々あります。

 

 とはいえ、あなたの中で、周りに影響されてしまう不安の芽のようなものがあったことも事実。その不安の芽とは何かをいま検証しておくのは、それこそ不安のない将来のために無駄なことではないでしょう。

 

 まず、将来への不安を言葉にしてみると「こんなに体力が落ちてしまった。病気になったらどうしよう。今後も人間らしく生活していけるんだろうか。死ぬのは怖い」といったところでしょう。

 これらを分析すると、2種類の悩みがあることがわかります。

 ひとつは「死に近づいたことへの不安」、もうひとつは「老いていく自分が社会的能力をなくす不安」です。要は、生物学的にダメになっていく不安と、自分の生産性がなくなる不安で、これをごっちゃにすると解決の糸口を見失ってしまいがちです。自分の不安は主にどちらなのか、それを知ったうえで対処しなければいけません。

 

 普通に働いていたりして、健康面に不安がないのなら、死への不安ではなく、生産性に対する不安が大きいと思われます。つまり、不安の原因は経済的問題であり、ひと言でいえば、お金がなくなるかもしれない恐怖なのです。

 

 となったら、答えは簡単です。いまからお金を貯めておけばいいだけです。「不安だわ」などと言っていないで問題解決に向けて動く。要は“不安になる前にやるべきことをやる”ということです。

 

 このように、人間の脳は不安が大好きなのです。

 

 ふと手に入れた情報を種に、ありえない妄想を次々と作っていきます。

 この妄想こそ、不安の正体です。この妄想を消すには問題を具体化し、解決のために動くことしかありません。それはこれまでの生活を少し変えてみようと思うだけでできることなのです。

 そういう意味でいえば、不安はあなたの将来をよくするための気づきともいえます。不安という気づきを効果的に使って、生活を改めるきっかけにしてしまいましょう。

 引用終わり

 

 

 ふと手に入れた情報を種に、ありえない妄想を次々と作っていきます。

この妄想こそ、不安の正体です。この妄想を消すには問題を具体化し、解決のために動くことしかありません。それはこれまでの生活を少し変えてみようと思うだけでできることなのです

 

 これまでの生活を少し変えてみよう」は、現状の外へのゴール設定の結果として自然に生じる内省言語(セルフトーク)です。

 Q-368:アファメーションとセルフトークの関係を知りたいです

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34026724.html

 

 まずはお母さんのゴール(または意図)をイメージし、自身のゴールと共有することに取り組んでください。ポイントはLUBLeast Upper Bound、最小上界)です。

 L-05820208月シークレットレクチャー -04;抽象度を上げる秘訣 <ワーク付き>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28095246.html

 

 その際に確認するべき点があります。先ほどの引用文でいうと、「たいていは周りからの影響がかなりある」という部分。つまり

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 

困っています」と感じる家族の心にも「不安・恐怖」「義務感」「罪悪感」があるのではないか?

 

 

 ということ。

 

 スコトーマが外れることで、きっと新たなゴールが、お母さんと共有するあたたかいゴールが見つかるはず。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 そのゴールは、お母さんだけでなく、お母さんを支える御家族の皆さまにとっても、「人生を変える縁起」になるはずです。お楽しみに。

 L-154202111月医療系研修会 -09;「明日への希望」から生まれる“幸福”の好循環

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33904272.html

 

 

 以上、私の回答です。

 御質問ありがとうございました。

 

 

CoacHing4M2 EDGE         

 CoacH T(タケハラクニオ)

 

 

 

-追記-

 1980年代の大ヒット映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー(Back to the future)」の主演俳優 マイケル・J・フォックスは、キャリア絶頂の20代後半にパーキンソン病を発病しました。

 F-060BTTF

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13626536.html

 

 難病とともに生き続けるマイケルの生きざまは、大切なことを教えてくれます↓

 F-166~8antiからwith、そしてウェルwellへ vol.3-1~3「病」;with-aging

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24466811.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24549392.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24604120.html

 

 

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「<2025年度後期>コーチング説明会&セミナー」の動画配信を開始しました。セミナーのテーマは「コーチング実践にふさわしい意識状態の作り方」。

Q-400~:ヒーリングやコーチングと意識状態の関係を教えてください

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202510月末まで視聴可能です。申し込みはこちらからどうぞ(受付期間:~9月末まで)↓

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 クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。一緒に楽しみましょう!

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