Q-435:コーチングは行動科学とどう違うのですか? <vol.2;心理学から行動科学、そして認知科学へ>

 

御質問をいただきました。ありがとうございます。

 4回に分けて回答いたします。

 

 vol.1;「次世代コーチング」の確認

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/37022611.html

 vol.2;心理学から行動科学、そして認知科学へ

 

 

Q:コーチングは行動科学とどう違うのですか?

 

A2:この御質問はコーチングをしっかり学んでいる方からいただいたものです。もうちょっと詳しく状況を説明すると、「クライアントのブリーフシステム(Belief SystemBS)を分析する際の心得」について説明した際にいただきました。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

 その「心得」とは、「しっかりハビット&アティテュードを観察する」こと。

 

 ハビット(Habit)とは「無意識の行動」のことで、抽象度を軸にとった場合の情報空間の底面、すなわち物理空間でのパフォーマンスのこと。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 一方、アティテュードは「無意識の判断」であり、「行動の性向」のこと。それは思考の一部であり、高次の情報空間(知識宇宙)におけるパフォーマンスのことです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

 そんなハビット&アティテュードは、たしかに「出力(反応)」とみることもできますが、いわゆる行動科学的な「出力(反応)」とはまったく異なります。その違いはどこにあるのでしょう?

(答えはすでに書いてあります。Feel!)

 

 

 まずは「心理学から行動科学、そして認知科学への流れ」を確認しましょう。

 

 心理学の最初のパラダイムは、フロイトやユングに代表される精神分析学でした。その時代の研究手法や発表方法は、「記述主義(Descriptive)」といわれる“記述的”なもの。科学というよりは感想に近いものでした。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/25025653.html

 

 そんな心理学を科学にしようと試みたのが「構造主義(Structuralism)」。その基本は「すべての事象は細かい部分の集合でできているので、その構造をとことん細分化して研究することで、その事象全体がわかる」というもの。「行動科学」のベースにあるのは、この構造主義です。

「部分の総和が全体」という構造主義は、じつは、今も社会のいたるところで垣間見られます。例えば、「科目診療」と呼ばれる医療システムは、まさに構造主義そのもの。

L-161202201… -05;高次元のフレームを構築=グレインサイズを大きくする

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34284848.html

 

記述主義から構造主義に移行する時代の科学のパラダイムに不可欠だったのが、「実験的再現性」です。苫米地博士はこのような心理物理実験を例として挙げられます。

 

<「人間を定義するための『人を殴る』」という心理物理実験>

1回殴ったら怒った

2回殴ったら泣いた

3回殴ったら死んだ

結論:「人間は1回殴ると怒り、2回殴ると泣き、3回殴ると死ぬ生物である」

 

 もちろんこれは極端な例ですが、結局、人間を定義することなどは不可能だとわかりました。「実験心理学」とも呼ばれた行動科学の過ちの本質は、「人間を入力(刺激)と出力(反応)の関係のみで見ようとした」ことだといえます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12808542.html

 

つまり、“心”をブラックボックス化し、「“心”の中でどんなことが起きているのか?」「どんなプロセスがあるのか?」をあえてスコトーマに隠してしまったということ。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 認知科学の研究は「“心”をブラックボックス化する」ことに対する問題意識から始まりました。そして、科学のパラダイムが「認知科学」へと移行すると、ブラックボックスの内部を重視し表出しようとする「内部表現(Internal RepresentationIR)」が中心的な概念となりました。「“心”=内部表現」ということです。

 F-383:ロバート・メーガーの「3つの質問」 <vol.3;重要性「『there』を生みだす」>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36142269.html

 

 そして、「人間には“心”がある」という認識で始まった認知科学の研究は、脳科学と合流しながら、「機能脳科学」という一分野に発展していきました。

 私が医師になった頃(1990年代)の鹿児島でも研究が盛んだったのでよく覚えていますが、脳の血流量の変化を検出するfMRIfunctional Magnetic Resonance Imaging)の登場により、特定の機能(見る・話す・動かす等)が脳のどの部位で行われているか(=局所化)が明確になっていきました。

 

 苫米地博士に学ぶ前の私は、機能脳科学という分野は局所化脳機能を研究するものだと思っていました。私の認識する世界には、まだ「抽象度」という軸がなかったから。

 Q-264:コーチングは弱ったvol.6;「老病死(+生で四苦)」を理解し克服する>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28898728.html

 

博士は「局所化が具体的に明らかになったというところで留まっていけない」と諭され、「内部表現そのものを研究解明せねばならない」と語られます。その「内部表現そのものの研究解明」を基盤にしているのが、本物のコーチング(Authentic Coaching)です。

Q-349:認知科学の次のパラダイムとは?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32909282.html

 

 以下、苫米地博士の著書「Dr.苫米地の『脳力』の使い方」(徳間書店、p89)より引用します。

 

 

抽象度が低いほうから高いほうへ進むと、計算量が爆発する

 まえの項で述べたように、脳の中のどこの局所がどんな機能をつかさどっているのかが、わかったとしても、それは、すべての脳の働きを解明したことにはなりません。

 それは、パソコンの仕組みと同じようなものと言えます。たとえば、宇宙人が地球にやってきて、パソコンを見て、電気の流れをすべて解明したとしても、パソコンの上で走っているソフトで何が起きているのかは全くわからないからです。

 要するに、脳の局所の働きが明らかになったということは、

 「パソコンのどこで電気が増幅されているのか」

 「キーボードをつかさどるのはどこなのか」

 「このへんがメモリーをつかさどる」

 など、信号処理がどこで行われているのかが明らかになったということに過ぎないということです。

 これらのことがすべてわかったとしても、そのパソコンで走っているワープロの文章の次の単語を予想できるはずがありません。

 これらは、まったく違う空間に属するものであって、次元が違うからです。それを、私は「抽象度が違う」という言葉で言い表しました。

 この言い方で表現すると、脳の局所の働きを知ることは、パソコンの各々の箇所の機能を知ることであり、その抽象度はきわめて低いということになります。

 私たちの思考は、もっと高い空間、すなわち、抽象度は非常に高いということです。

 抽象度という言葉を使うことで、次元が違うものを、抽象度の高低で測ることができると私は考えたわけです。抽象度が違うだけで、現象としては同じだからです。

 ですから、脳の働きを機能的に見るという抽象度の低いところを見ていたのでは、人間の生命現象までを見るという抽象度が高いことを解明することは絶対にできません。

 私たち研究者は、抽象度の高低を、計算量の複雑性という概念でも捉えることができるのですが、抽象度が上がるほど、計算量が上がります。

 つまり、脳の物理から脳の研究をして、さらなる高みへ行こうとすると、計算量が大幅に上がり、爆発してしまうのです。

 これは、当たり前のことで、2次元的に捉えるか、3次元的に捉えるかの違いに似ています。

 たとえば、2次元人が、人が歩いているところを見たとします。足跡が現れて、次に、また現れたとき、その次はどこに現れるかなと思っても、それは違っているかもしれません。

 しかし、3次元人ならば、その人の足跡がよくわかります。

 その違いは、上半身や足の違いを見ていればわかりますが、足の裏の位置だけを見ていたのでは、次の予想はできないというところにあります。

 この例からわかることは、1つ下の次元から、上の次元に上がるためには、圧倒的に多くの情報量が必要だということです。つまり、計算量が爆発するわけです。

 ですから、抽象度の高いほうから研究する必要があります。人間の抽象度の高さを考えれば、信号処理のレベルでできることではないのです。このレベルで研究をしている限り、生命現象を解明する日は永遠に来ないでしょう。

 そういう意味で、このレベルの抽象度の研究から出ることができない分子生物学者よりも、私たちのほうが生命現象を解明する可能性は高いのではないかと思っています。

 引用終わり

 

 

 さて、「コーチングは行動科学とどう違うのか?」という疑問に対する解は見つかったでしょうか?

 

 鍵となるのは「抽象度」。

先ほどまで「人間には“心”がある」と表現しましたが、その“心”のことを、物理空間では「脳」と表現します。そして、「脳」の情報空間での表現が「心」です。

 

つまり、「脳」と「心」は別々のもではなく、「脳と心」でひとつである ということ。

 Q-269:薬をやめることができますか? <中編:case-side(ワーク付き)>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29213970.html

 

 行動科学では人間を「入力と出力の関係」でみますが、認知科学では人間を「内部表現」としてみて、「内部表現を変えることで(入力を変えることなく)出力が変化する」と考えます。

「内部表現」とはマインド(脳と心)“のこと。

そのマインドでの情報処理が言動などの出力を決めます。よって、マインドを変えると行動や行動性向が変わることになります。逆にいうと、行動や行動性向、すなわちハビット&アティテュードを観察することで、マインド=内部表現を推察することができます。

それが「しっかりハビット&アティテュードを観察する」という心得の意味です。

F-336:次世代プロファイリング×ゴール設定 <vol.1;コーチングにプロファイリングは必要?>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33723264.html

 

 では、私から質問です。

 

 「人間には“心”がある」という認識を持ち続け、さらには「抽象度」という軸を持ち続けながら「しっかりハビット&アティテュードを観察」し続けていると、あること“を体感します。

 

 そのあること“とは何でしょう?

 

Q-436につづく)

 

 

CoacHing4M2 EDGE         

 CoacH T(タケハラクニオ)

 

 

 

-追記-

行動科学では人間を「入力と出力の関係」でみますが、認知科学では人間を「内部表現」としてみて、「内部表現を変えることで(入力を変えることなく)出力が変化する」と考えます

 

 じつは、出力だけではなく、入力自体がマインドでの情報処理により決まっています。RAS&スコトーマについて、詳しくはこちらでどうぞ↓

 Q-279~:今までRASとスコトーマは「認識しているものの中から何を選ぶか?」という話だと思っていました

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_422026.html

 

 

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2025年度のオンラインセミナーは、コーチング募集開始前の「コーチング説明会」として期間限定配信(2ヶ月)します。次回は2025年秋から配信開始する予定です。

 

 

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一緒に楽しみましょう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html

 

 

―関連記事―

L-133202111月シークレットレクチャー -02;自我とRAS&スコトーマとコーチングの関係

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