Q-431:コーチングを行う際、説明を平易にしたり、自分なりの解釈や例え話を作って説明してもよいでしょうか? <後編>

 

御質問をいただきました。ありがとうございます。

 その一部に回答いたします。

 (変更を加えています)

 

 *前編(Q-430)はこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36948508.html

 

 

Q:コーチングを行う際、説明を平易にしたり、自分なりの解釈や例え話を作って説明してもよいでしょうか?

 

A2:ゲシュタルトを統合すると、物事をより深く理解できるようになります。なぜでしょう?

 

 そう、答えは「抽象度が上がる」から。

 

じつは、前編では「抽象度のコントロール(上げ下げ)」を意識に上げながら回答しました。前編冒頭の「答えは『マインドの使い方』」の後の「もうちょっと具体的にいうと」、そして「さらに具体的にいうと」は、いずれも抽象度が下がる方向性です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 具体的情報量が増えることにより抽象度が下がると、共有可能な情報量が増えた分臨場感空間を共有しやすくなります。

 Q-265~:臨場感世界をまったく同じように感じることが可能なのでしょうか?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_420880.html

 

 御質問中の「説明を平易にしたり」や「例え話を作って説明」は抽象度を下げてより具体的にする方向性であるはず。「平易」を「わかりやすく」ではなく「シンプル」と考えるなら、「説明を平易にしたり」は抽象度を上げる方向性になります。

大切なのは「相手の理解を見極めながら、抽象度をコントロールする」こと。その「コントロール」を“もうちょっと具体的”(←抽象度を下げる方向性)にいうと、「上げ下げ」です。

 L-104~620218月シークレットレクチャー -06~8;「私」とは何?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31294306.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31317222.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31345260.html

 

 情報発信者の抽象度が高すぎると、受信者は理解ができません。一方で話し手の抽象度が低すぎると、聞き手は興味を失います。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721658.html

 

目指すのは「ギリギリ理解できるラインをちょっと超えたところ」。秘密を明かすと(←抽象度が下がる方向性)、私はLUBLeast Upper Bound、最小上界)の「Least」の感覚を大切にしています。

 F-299:芸術は高抽象度の未知なるLUB。ではvol.1;部分と全体の双方向性>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31869155.html

 

 以下、苫米地博士の著書「『オトナ脳』は学習できない」(フォレスト出版、p22)より引用し(青字)、少し解説を加えます(←抽象度を下げる方向性)。

 

 

勉強ができても使えない人とは?

 これは、サッカーだけでなく、一般社会でも同じです。

 たとえば、試験勉強だけできて東大卒の人間がビジネスの世界で必ずしも「頭が良い人」ではないのと同じです。東大卒でも全然使いものにならない人もいますし、学歴はなくても圧倒的な実績を持っている人もいます

 

 簡単にいえば、「勉強だけができる人」と「頭が良い人」は違うわけです。

 

 「勉強だけができる人」というのは、過去に見たことがある問題をやらせれば高い点数をとるでしょう。しかし、今まで見たことのない問題に出くわしたときに、できない可能性が高い。彼らは過去問題集をひたすら解いている人なのです。

 一方で「頭が良い人」は、今まで見たことのない問題も解くことができるのです。彼らは過去問題集などやらなくても、その分野の基本的な参考書なり教科書を一冊読んでいるだけで、応用問題も解けてしまうのです

 

 では、「勉強だけができる人」と「頭が良い人」の違いは何でしょうか?

 

 決定的な違いは、「高い視点を持てるか」ということです。サッカーの例でいえば、高い視点を持つということが「高い所から試合全体を見渡せる能力」なのです。

 この「高い視点を持つ」ということを「抽象度が高い」と本書では説明します。

 

 

 この「勉強だけができる人」と「頭が良い人」の対比はとてもわかりやすいはず。皆さんの頭の中には具体的な人物が浮かんでいるのではないでしょうか?

 

 両者の違いは抽象度。「高い視点」とありますが、時間まで含めて考えると、「より遠い『このままでは達成できない未来』まで見据える人」が「頭が良い人」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542317.html

 

 

脳は知っているモノしか見えないが

 ここで、少し脳の話をします。

 私が拙著の中でいつも書いているのは、

 

 「脳は知っているモノしか認識できない」

 

 ということです。

 たとえば、私がホワイトボードを原始人に見せたとしましょう。これをホワイトボードだと知らない原始人は、ただの壁くらいにしか思わないでしょう。

 つまり、黒板すらない世界の原始人にホワイトボードを教えようとすると、非常に苦労するのです。現代なら小学生でも三歳児でもホワイトボードを認識できます。原始人は大人でもホワイトボードを認識することはできません。

 しかし、高い視点で物事を見ることができる(抽象度が高い思考ができる)原始人はホワイトボードを見て、文字を書くところだと認識できる可能性があるのです。

 地面に木の棒かなにかで文字や書いたことがある原始人で、高い視点で物事を見ることができる(抽象度の高い思考ができる)原始人なら、ホワイトボードという知らないモノを見ても、何かわかってしまう。

 

 つまり、この抽象度が高い思考ができると、

 

 「知らないモノも認識できるようになる」

 

 ということです。

 

 

 この部分の前半は「スコトーマ(Scotoma)」の話。スコトーマは1)知識、2)重要性、3)役割(責任)がそろったときに外れます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 知識がないとそもそも認識できないのですが、知識があることでさらなる認識を妨げてしまいます。それを「知のジレンマ」と表現したりしますが、人間はそのジレンマを解消することができます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/19879896.html

 

 その秘密が「ゲシュタルト能力」。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 

 ゲシュタルト能力により、私たちは「知らないモノを見ても、何かわかってしまう」ことができます。抽象度を上げてシンプルにいうと... 「ひらめき」です。

 F-289:今日1日だけは、憧れるのはやめましょう vol.2;超人脳

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31299309.html

 

 

IQが高いということは?

 実は、抽象度が高い思考ができるようになると、圧倒的にIQが上がります。

 IQというのは、

 

 「抽象度の高い空間に対して身体性を持って操作できるか」

 

 という能力をいいます。

 先日、数学者とある程度高度な数学の話をしたときのことを例に説明します。そのとき、複素数空間(想像上の数字である虚数と実数からなる空間)の話を、お互い手ぶりで話しました。

 虚数空間(という数学者のイメージ上の空間)のことを手ぶりで話すのは変に思われるかもしれません。でも、IQが高ければ、実際には存在していない虚数空間をまるで存在しているかのように指で感じて、臨場感を持って話ができるわけです。

 これがIQが上がるということなのです。

 IQが高い状態というのは、

 

 「いかに触れられない世界を自分の身体で触っているかのように感じられるか」

 

 なのです。そして、重要なのが単に高い抽象度の世界を感じられるというレベルじゃないということです。操作できなければならないのです。

 その世界をまるで今、目の前にある世界のように手で触れ、舌で味わい、身体で感じることができ、さらに操作できるのがIQなのです

 たとえば、「三つの図形から共通のパターンを見つけ出し四つ目の図形を推定する」といったIQテストも、パターンを見つけ出すという抽象化能力(「ゲシュタルト能力」ともいう)を要求します。

 しかし、このような図形のパターン化能力程度の抽象能力では、現代の情報化社会で通用するIQレベルには不足しています。学校のIQテストで良い点をとる程度の抽象度は、真のIQとはいえないのです

 そして、真のIQの高い「新しい脳」をつくるのが本書の最終目的なのです。

 

 

 その世界をまるで今、目の前にある世界のように手で触れ、舌で味わい、身体で感じることができ、さらに操作できるのがIQ

 

 コーチング」という情報空間(情報場)を五感で感じることは、決して簡単ではないはず。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

 「触れられない世界を自分の身体で触っているかのように感じられる」ことをイメージしながら、私はこのブログで「『コーチング』に関する知識のネットワーク化」に取り組んでいます。

抽象度を上げて一言でいうと、「縁起づくり」です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 

誰でも「新しい脳」をつくれば、IQが上がる!

 ですから、本書のノウハウをマスターすれば圧倒的にIQが上がります。本来、見えないものが見えてくるでしょう。

 この章の冒頭で話した「脳を鍛える」系の本やゲームで紹介されているトレーニングは、今ある知識の中からの脳の運動神経を速くして、いかに最適な解を求めるかということを訓練しているだけ。

 たくさんやれば、誰だってだんだん速くなりますし、老化も防ぐでしょう。しかし、ただそれだけのことです。

 そこには、本当の抽象化という概念が入っていません。だから、IQは上がらないのです。

 

 しかし、IQが上がれば全然違う能力が手に入ります。

 今までであれば、ある試験に合格しようと考えたとき、一年間かけて基本の教科書、数々の参考書、過去問題集などを使って勉強する必要があったかもしれません。

 しかし、抽象度の高い思考ができるようになってIQを上げることができれば、基本の教科書を一度読んだだけで合格することが可能になるでしょう(本書の後半では、記憶力アップや速読のテクニックにも触れます)。

 IQが上がれば、今まで一年かかったものを一日でマスターすることだって可能なのです

 

 本書のノウハウをマスターして、IQが上がったあなたを想像してみてください。あなたなら、何をしますか?

 引用終わり(つづきはこちらでどうぞ↓)

 Amazon.co.jp: 「オトナ脳」は学習できない! Forest2545新書 eBook : 苫米地英人: Kindleストア

 

 

Q:コーチングを行う際、説明を平易にしたり、自分なりの解釈や例え話を作って説明してもよいでしょうか?

 

今回はとくに抽象度のコントロール(上げ下げ)を意識しました。言語を超えた次元で感じていただけたら幸いです。

 Q-410:「Rゆらぎ」のゆらぎとは何がゆらぐのですか? どのようにゆらがすのですか?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36018695.html

 

 

 最後に、「自分なりの解釈」について。

 

詳しくは下記記事で取り上げましたが、最近、「抽象度」を説明する際に用いている図が誤解を与えていることを知りました↓

 Q-429:宇宙は「包摂半順序束」。そのtopである空(くう)は「有と無を包摂する概念」

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36937284.html

 F-402:「抽象度」を説明する際に用いている図が誤解を与えていることを知り

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36958351.html

 

 この経験を経て強く心がけるようになったのは、「自我を消す」こと。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html

 

 抽象度を下げて言うと、「苫米地博士の教えをそのまま(解釈や加工なしで)伝える」こと。なるべく私のブリーフを介入させないように心がけています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

抽象度を上げて言い直すと、それは「中観」の感覚。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353367.html

 

 その中観の感覚で思考しながら確信したのは、「ゴール側から相手の理解度を観察し、抽象度を調整し続ける」ことの重要性。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

すべてはゴール達成とさらなるゴール設定のため

  

 もちろん、そのゴールとは、クライアントさんのゴールです。「自分の利益0」「相手の利益100%」がしっかり維持できているのであれば、「説明を平易にしたり、(自身のブリーフを介入させないように気をつけながら)自分なりの解釈や例え話を作って説明してもよい」のではないかと思います。

 Q-361:“自分以外を幸せにする”がわからずモヤモヤしています

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33551039.html

 

 

 以上が私の回答です。

 御質問ありがとうございました。

 

 

CoacHing4M2 EDGE         

 CoacH T(タケハラクニオ)

 

 

 

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2025年度のオンラインセミナーは、コーチング募集開始前の「コーチング説明会」として期間限定配信(2ヶ月)します。次回は2025年秋から配信開始する予定です。

 

 

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一緒に楽しみましょう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html

 

 

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