Q-429:宇宙は「包摂半順序束」。そのtopである空(くう)は「有と無を包摂する概念」

 

 最近、「抽象度」を説明する際に用いている図が誤解を与えていることを知りました。

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 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 とても大切なことですので、このブログ記事で再確認した上で、今週末投稿予定のブログ記事(F-402)で掘り下げます。逆腹式呼吸でリラックスとゆらぎを得ながら、ゆっくりと読み進めてください。

 L-166202201月シークレット… -10;呼吸を意識に上げてコントロールするワーク

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34408574.html

 

 まずは神奈川大学情報学部開設記念シンポジウム(2023523日)にて苫米地博士が使用された下図をご覧下さい。

 

 

DrT神奈川大講演-05

神奈川大学情報学部開設記念シンポジウム(2023523日)より引用

基礎科学としての情報〜エントロピーと生命、超次元複雑性と生成AIの未来と私達 Dr.苫米地 (2023年5月20日) - YouTube

 

 

 苫米地博士が教えてくださっているのは、「『宇宙』の形式的定義」。それが「包摂半順序束」です。

 (詳しくはこちらでどうぞ↓)

 Microsoft Word - 空論文20111106v212.doc

 

 包摂半順序束の宇宙における任意の二つの概念(もしくは存在)“のGLBGreatest Lower Bound、最大下界)を、現代分析哲学では「矛盾」と定義します。図でいうと「ブルドック」と「アメリカンショートヘア」の共通の下位概念が「矛盾」。

 一方、宇宙の任意の二つのLUBLeast Upper Bound、最小上界)は、現代分析哲学では「いくらでもある」と定義されています。「いくらでもある」とは、「特定の概念は存在しない」「すべての概念(もしくは存在)の上位概念は存在しない」ということ。

つまり、「bottomは『矛盾』で閉じて、topは『存在しない』で開いている」というのが西洋哲学における宇宙の定義。それを「包摂半順序束」と表現します。

 F-299:芸術は高抽象度の未知なるLUB。ではvol.1;部分と全体の双方向性>

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 西洋哲学に対して東洋哲学(釈迦哲学)では、「すべての概念(もしくは存在)の上位概念は『存在する』」と考えます。それが「空(くう)」。宇宙の何よりも上位であり、何よりも情報量がすこし少ないというのが「空」です。

 つまり、「bottomは『矛盾』で閉じて、topは『空』で閉じている」というのが西洋と東洋の哲学を融合した宇宙の定義(包摂半順序束)。

そして、「空は、包摂半順序束の宇宙のtop」というのが、苫米地博士が史上初めて形式的に定義された「空」の定義です。

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 抽象度が上がるほど具体的な情報量が少なくなる宇宙を図式化すると、下図のようになります。

注:この図では一番情報量が多い宇宙の底面を「物理空間」としています。哲学上はそのさらに下(床下のようなもの)に「矛盾」があると考えます(=「矛盾」で閉じる)

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宇宙の構造

「無」の上位概念としての「空」のイメージ

 

 

 この図のtopが「空」であると考えると、無意識は「何よりも少ない」→「ない(無)」にフォーカスしてしまうはずです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721658.html

 

 もちろん間違いではありませんが、正確には、空は「無」と「有(仏教では「色」と表現)」のLUBです。つまり、「何よりも少ない」→「ない(無)」と「とてつもなくある」→「ある(有)」を同時に満たす概念。「ある(有)」を「潜在的な情報量」や「可能性」と考えると理解しやすいはずです。

 例えば、「犬」には「猫」の可能性はありませんが、二つの共通の上位概念である「哺乳類」には「犬」の可能性も「猫」の可能性も同時にあり続けます。それをコーチングのフレームでいうと、「スコトーマが外れる(外れやすくなる)」という感じ。

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 「空」は、「宇宙のすべてが見える」「すべての可能性がわかる」「縁起のひろがりがしっかり感じられる」という境地

 

 それが大乗仏教における悟り。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 そんな「とてつもなくある」をイメージするために用いているのが、こちらの図です↓

 

 

潜在的情報(可能世界)と物理空間

「有」の上位概念としての「空」のイメージ

 

 

  宇宙のすべてが見える

すべての可能性がわかる

縁起のひろがりがしっかり感じられる

 

 それがコーチング実践時の「空観」の感覚。

目の前の「現実(R)」を「臨場感が高いイメージ」と理解し、「とてつもない可能性」「無限の縁起のひろがり」を感じられる意識状態です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html

 

 そんな意識状態は、じつは、コーチングのスタートライン。そこから本物のコーチング(Authentic Coaching)がはじまります。

 F-284~:気楽 ver.2

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_424593.html

 

 以下、苫米地博士の著書「お釈迦様の脳科学 釈迦の教えを先端の脳科学者はどう解くか?」(小学館、p177)より引用します。

 

 

お釈迦さまの脳科学

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悟りとは縁起でも空でもない

 仏教の本質は、方便ではなく釈迦が悟りによって得た教えにあります。では、釈迦の「悟り」とはいったい何でしょうか。

 上座部仏教は、それを「縁起」であると言い、大乗仏教は「空」だと説きました。

 しかし、釈迦の悟りとは縁起でも空でもありません。「今まで縁起や空の話をしてきたのに、何を言い出すんだ」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

 釈迦が悟りを開いた後、最初に十二支縁起を語ったのはおそらく事実でしょう。その縁起の思想を大乗では空と言い換えました。

 しかし、悟りの内容とその後語ったことをイコールと決めつけてよいのでしょうか。例えば、私が悟った後、最初に発した言葉が「腹減った」だったとしても、誰も「悟り=腹減った」とは考えないでしょう。十二支縁起は悟りについての説明原理にすぎないのです。

 悟りとは言語を超えた体感です。

 縁起も空も言語に過ぎません。自動車学校で教わる運転のしかたと、実際に自動車を運転する「感覚」がまったく別の次元にあるように、悟りとは説明を超えた体感なのです。

 釈迦は瞑想によって悟りに至りました。中国禅の「無」の思想により誤解を招いていると思いますが、瞑想とは何も考えないことではなく、脳をフル回転させておこないます。徹底的にIQを高めて抽象思考をするのです。そこでは概念や言語を超えた抽象度になるのです。言語化が不可能な高い抽象度は、脳で感じるしかありません。悟りとは究極的に抽象度が高まった体感なのです。

 引用終わり

 

 

 悟りとは言語を超えた体感

 

 その「体感」からはじまるコーチングのことを、私は”Art“だと思っています。

 F-299~:芸術は高抽象度の未知なるLUB。では、コーチングは?

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-追記-

それがコーチング実践時の「空観」の感覚。目の前の「現実(R)」を「臨場感が高いイメージ」と理解し、「とてつもない可能性」「無限の縁起のひろがり」と感じられる意識状態です

 

 その「とてつもない可能性」「無限の縁起のひろがり」は、抽象度が上がるほど大きくなるポテンシャルエネルギーと考えることができます。さらに言い換えると、“気”。

 L-11520219月シークレットレクチャー -03;夢を現実化する方法

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32114512.html

 

 以下、苫米地博士の著書「苫米地式 超光速コミュニケーション術 一瞬で伝わる・動かす・ともに幸せになる」(大和出版、p205)より引用します。「コーチングは非言語」の意味を感じながらお読みください。Feel

 F-361:自由訳「OODA」 <vol.7;「OODA」の本質とコーチングの真髄>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35059143.html

 

 

苫米地式超光速コミュニケーション術

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非言語コミュニケーションは「気」の流れを操る

 とはいえ、これまでの話では「非言語的な方法が危険なのはわかったが、実際どういったことをするのかよくわからない」という方もいるでしょう。ここで特別に、ワークスで先日公開した非言語コミュニケーションの一部を紹介しましょう。そこでは非言語のひとつとして古武術の手法をお教えしました。

 ワークスには武道経験者の方も参加されていて、試しに私がその人に古武術の技をかけてあげました。体格もよく、有段者だそうですが、私がちょっと触れると体が回転するように飛んでゆき、ほかの生徒のみなさんはすごく驚いていました。生徒の1人が、

 「古武術って非言語コミュニケーションなんですか!?」

 と質問をしましたが、実は古武術は自分と相手の「気」をコントロールするための方法であり、「気」=非言語コミュニケーションと言えます。

 古武術は、瞬間的に相手を変性意識状態にして、相手の気をコントロールしながら、自分の思い通りに動かす、言うなれば“瞬間催眠術”や“気功”の一種だと言えます。

 たとえば、古武術の首技で相手を倒すとき、技をかけた人が力任せに倒しているわけもなく、相手が首を捻られて痛くて我慢できないから倒されているわけでもなく、技をかけた人が相手の首に触った瞬間に変性意識が起こって気の流れが変わり、相手は勝手に倒れてしまうのです。

 投げられた相手の感覚としては、触られた瞬間に力が抜けて、何の抵抗も反発もできず、何が起こったのかもわからないまま、気づいたら自然に倒されていた、ということになります。言語によって相手に暗示をかけたわけでもなく、ただちょっと触って相手の意識をコントロールしただけ。だから、非言語コミュニケーションなのです。

 実際、私に投げられた武道経験者は「投げられたときの記憶が残っていないから、そもそもこの古武術の方法を学ぶことができない!」と冗談交じりに怒っていました。

 柔道や柔術が物理法則を利用して相手を回転させる方法であるならば、古武術は気の流れを回転させることで体も回転させる、つまり気という情報を操ることで物理空間における現象をコントロールするための方法なのです。

 

 非言語コミュニケーションを語るうえで欠かせないのが、20世紀最大の心理臨床家であり、世界的な精神科医でもあり、現代臨床催眠の父といわれるミルトン・エリクソンです。実を言えばミルトンが著した本でも古武術に似たようなことをいくつも教えています。たとえば「ハンドシェイクインダクション」。これは握手をしながら相手の催眠状態を引き出す方法です。相手と握手をして、その後その手を離すと、相手は催眠状態に入ってしまいます。

 方法はここでは省きますが、握手の仕方によっては相手が変性意識化してしまい、手を離された直後に自分の手が自分のものじゃなくなったような感覚になり、手が動かなくなったりするのです。ミルトンはこのことを「コンフュージョン(意識の混乱)」という言葉で説明をしていますが、古武術にも通じるものがあります。

 古武術もミルトン・エリクソンも、一瞬で相手を変性意識状態にして、そのうえで相手の気の流れを読んでコントロールすることで、相手の物理的な体もコントロールしている。ミルトンの方法論は、実をいえば古武術の観点から見ればすべて説明することが可能なのです。

 引用終わり

 

 

-告知1

2025年度のオンラインセミナーは、コーチング募集開始前の「コーチング説明会」として期間限定配信(2ヶ月)します。次回は2025年秋から配信開始する予定です。

 

 

-告知2

 クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。

一緒に楽しみましょう!

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