F-391:童謡か? 軍歌か?

 

 施設に入所中の高齢女性で、よく歌を歌われる方がいます。歌うのは、童謡か軍歌。

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 童謡を歌っている時の表情は楽しげでとても穏やかな感じなのですが、軍歌の時は厳しい表情(目が据わった状態)でトゲトゲしい声に変わります。まるで人格が変わってしまったかのように。

 Q-329:最近「記憶が抜ける」ようなvol.4;自己イメージと臨場感世界は双方向性を持った縁起>

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 実際、“軍歌モード”の時、施設スタッフは警戒態勢で臨みます。言動も攻撃的かつ他罰的になっているため、まわりとのトラブルが起こりやすいから。

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その女性は認知症と診断されているため、言動の変化は「BPSDBehavioral and Psychological Symptoms of Dementia認知症に伴う行動・心理症状」のひとつとされています。

 L-146202111月医療系研修会 -01;認知症を引き起こし、BPSDを悪化させるもの

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 でも、「気分により、表情や声色が変わり、言動も変化する」ってふつうにありますよね?

 

 

 私たちが“現実”だと思っている目の前の世界は、情報空間であり、可能世界(possible world)です。

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 もっとコーチングらしく表現すると、“現実(Reality)”とは、一番臨場感が高い(Vivid)イメージ(ImageImagination)のこと。

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だから、“現実”は「イメージ×臨場感」次第。本当は「観自在」です。

F-318~:観自在

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 以下、苫米地博士の著書「自分のリミッターをはずす!」(ビジネス社、p38)より引用します。

 

 

暗示とは世界の記述

 現実世界もまた情報空間であることがわかると、人間と催眠との関係がより明確かつ密接であることもわかってくるでしょう。

 先ほども言ったように、催眠状態とは変性意識状態のことを言います。

 そして変性意識とは情報空間に臨場感を持っている状態です。

 催眠は情報空間に臨場感を持っている時に暗示を入れることで可能になります。

 この場合の暗示とは術者側が見せようと思う世界の記述です。

 「さあ、これからあなたは私のことが大好きになります」

 といった暗示は、被催眠者から見れば、それが世界のすべてになります。

 だから、受け入れてしまうのです。

 しかし、ここでも多くの人々が疑問に思うことが出てきます。

 それは「大好きになりますと言われただけで大好きになんかなれない」ということです。普通の状態であれば、ほぼ不可能です。

 しかし、催眠状態=変性意識状態であればそれは可能です。

 なぜなら、人間の五感はあやふやで、自分で思っているほど確固たるものではないからです。

 それを多くの人がわかっていないから不思議に思ってしまうのです。

 例えば、催眠ショーなどでよく見かける味覚の支配を例にとってみましょう。

 変性意識状態で暗示を入れられた被催眠者は酸っぱいレモンを甘く感じたり、これまで大嫌いだったものが好きになり、おいしいと感じるようになります。

 見ているほうはとても不思議に思えるようですが、実は味覚の支配はそれほど難しいものではありません。

 というのも、味覚情報は嗅覚情報がほとんどだからです。その証拠に鼻をつまんでモノを食べてみるといいでしょう。たいていのものはよく味がわからないはずです。

 または、プラスチックの皿とプラスチックのフォークで食べさせられたら、どんな高級料亭の料理であっても、「おいしい」とは感じません。つまり、味覚は視覚情報でもあります。

 また、サクサクという歯触りにしても、それは歯触りではなく音、つまり聴覚情報です。

 要は、「おいしい」という味覚情報は嗅覚、視覚、聴覚といった情報を統合したものなのです。

 ですから、甘いモノを酸っぱくする。その逆に辛いものを甘くする。おいしいものをまずくする、まずいものをおいしくするなどは、脳内情報の書き換えだけで簡単にできるのです。

 引用終わり

 

 

催眠は情報空間に臨場感を持っている時に暗示を入れることで可能になります。この場合の暗示とは術者側が見せようと思う世界の記述です

 

 情報空間に臨場感を持っている時」とは、「Rゆらぎ」のこと。

 Q-410:「Rゆらぎ」のゆらぎとは何がゆらぐのですか? どのようにゆらがすのですか?

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 催眠における暗示とは「術者側が見せようと思う世界の記述」のことですが、コーチングで行うのは「本人が自由意思で設定したゴールの世界の記述」です。

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具体的には「アファメーション」「ビジュアライゼーション」「セルフトークのコントロール」などを行います。

 Q-368:アファメーションとセルフトークの関係を知りたいです

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 *「ビジュアライゼーション」はこちら↓

 F-253Corona Panicに打ち克つ ~ビジュアライゼーションによるゴール達成法~

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29357204.html

 

 コーチングの基本は、関数pの再定義ではなく、可能世界w1から別のw2に移行すること。そのw2が「本人が自由意思で設定したゴールの世界」です。

 F-222:コーチングの基本概念を習熟して、エフィカシーをブーストしよう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27832570.html

 

 *「関数p」はこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html

 

 「移行」というのは、連続的な変化ではなく、離散的です。それはまるでワープするような感覚。まったく未知の世界にいきなり転生するような感じです(ワープも転生も体験したことはありませんが)。

 Q-377:同じ抽象度で最適化されたゴールのような気がします

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34573983.html

 

 では、ここで問題。

 なぜ「離散的」であり、「ワープ」であり、「転生」なのでしょう?

 

 

 そう、「ゴールの世界(w2)」とは、ゴール側のコンフォートゾーン(Comfort ZoneCZ)のことだから。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

 ゴールのポイントは 1)現状の外、2)心から望む、3)人生のあらゆる領域(バランスホイール)、4)自分中心を捨て去る の4つ。

 L-162202201月シークレットレクチャー -06;ゴールを見つける近道

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34301571.html

 

 「1)現状の外」というのは、「このまま続く時間延長上の未来」の外側でもあります。つまり、「このままでは絶対に起こりえない世界(未来)」のこと。そんな「世界(未来)w2」に対して、「徐々に近づいていく」なんてことはあり得ません。

 Q-216:「現状の外のゴール」とは何か? 混乱しています

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27346333.html

 

 コーチングにおいては、「ステップ・バイ・ステップ方式」はNGです。それは「CZをひろげていく」ということだから。CZは「狭く! 高く!」。

苫米地博士は「CZをひろげていく」ことを厳しく戒められています↓

F-370:義を見て為さざるはvol.4;「勇無きなり」の問題点 -「勇」と「エフィカシー」の違い-

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 w1w2への移行は、「離散的」であり、「ワープ」であり、「転生」のような感じ

 

 しかしながら、そのときの本人の体感は「凪」。移行は一瞬であり、変化もダイナミックですが、あまりに「あたりまえ」な感じで、他人から指摘されるまでまったく気づかないはずです。

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 童謡か? 軍歌か? 自分がどちらのモードなのか自覚していない老婆と同じように。

 

 現在の私は、コーチとしてはもちろん、医師としても他人のコンテンツ(関数p→可能世界w1)への関わりをなくそうと心がけています。今回のテーマでいうと、「童謡モードの方がいい」とか、「軍歌モードはよくない」などといった価値判断を一切しないということ。

 Q-381~:クライアント側に圧倒的な知識や経験があり、話の内容で相手が見えない場合の対応は?

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それは「ラポール(臨場感空間の共有)なしで人知れず役に立つ」という私なりの“挑戦”。

L-124202111月医療・介護研修レポート -05;働く仲間とゴールを共有するワーク

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 そのポイントは「情報を統合する」ことだろうと感じています。

 F-269~:冗長性と多様性

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