Q-419:なぜパワハラや虐待がなくならないのでしょうか? <key 3;排他的でスノッブな空間>

 

医療現場で働く方から切実な御質問をいただきました。

 その一部に回答いたします。

 (変更を加えています)

 

 key 1;「S

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36446341.html

 key 2;「パワハラや虐待」の根底にあるもの

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36479608.html

 key 3;排他的でスノッブな空間

 

 

Q:私は地方の病院で働いています。職員の間でのパワハラ・セクハラ・モラハラや患者さんへの虐待じゃないかと思える行いが嫌でしょうがありません。なぜパワハラや虐待がなくならないのでしょうか?

 

A3:前回(Q-418)、苫米地博士の著書「脱洗脳教育論」(オープン・エンド)より引用しました。その中で博士はこのように書かれています(p39)。

 

 差別思想を民衆の中に埋め込めば埋め込むほど、国の支配は強固なものとなり、支配者にとって都合のよい安定(秩序)が生まれる

 

 その「差別思想」の「民衆への埋め込み」として「道徳教育」がある というのが前回の趣旨。

差別思想の民衆への埋め込みが行われているのは、もちろん、日本だけではありません(日本は異常にうまくいっているといえますが)。

既得権益が利用する宗教には、「支配者にとって都合のよい安定(秩序)」を生むための仕掛けが内包されています。

PM-06-18~20:仮説13)宗教の限界

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14526199.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14687391.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14687476.html

 

 では、洗脳教育が巧みであるから、私たちは無意識に差別を刷り込まれるのでしょうか?

 

 今の私は(将来はわかりませんが)、マインド側にも大きな要因があると思っています。具体的にいうと「ブリーフシステム(Belief SystemBS)」であり、BSにより生み出される「コンフォートゾーン(Comfort ZoneCZ)」のこと。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721531.html

 

 以下、苫米地博士の著書「オーセンティック・コーチング ~本物のコーチング~」(CYZOp140)より引用します。

 

 

◎コンフォートゾーンの正体

 言葉としてのコンフォートゾーンは良いイメージを持っています。快適な空間であり、自分の実力を思う存分発揮しやすい場所です。実際、サッカーではアウェイよりもホームでの試合のほうが有利だと言われます。

 しかし、どうしてホームの試合が有利なのか考えてみる必要があります。

 ホームでの試合は自分のチームが実力を存分に発揮できる一方で、相手チームは実力を十分に発揮できないような雰囲気作りができていると言えるかもしれません。つまり、コンフォートゾーンというのは相手チームにとってみれば、とても居心地の悪いアンコンフォータブルな空間なのです。

 自分たちにとっては良いけれど、他人には居心地が悪い空間。こういった空間を私は良いものだとはあまり思えません。

 人が数人集まればコンフォートゾーンは形成されます。あるいは、自分の好きなものだけを集めて一人で寛げる場を作れば、そこはコンフォートゾーンとなります。そういう仲間たちと一緒に居る時、そういう場所でゆったりと過ごす時というのは至福の時間であることは間違いありません。ストレスもなく安心できる、自分の思ったようなものが思ったタイミングで出てくる、かゆいところに手が届く空間です。

 しかし、その空間はとても排他的であるということも理解しておかなければいけないのです。

 そして、排他的な空間には成長はありません。コーチング的に言えば現状の外のゴールはありません。それはそうでしょう。慣れ親しんだ場所とは新しいものが入る余地が最初からないからこそいいのです。

 とはいっても、何年も何十年も同じとなるとさすがに人は飽きてしまいますから、たまには刺激を欲します。その空間に興味を持つ人がいれば、さまざまな形の審査を行って入場を認めます。会員制クラブを想像すればわかるでしょう。

 ただし、その新しい刺激にしても、あくまでも現行のコンフォートゾーンを乱さないことが大前提です。だからこそ、新しい会員は現会員の紹介があった場合のみなのです。一見さんお断りの料亭も同じです。

 コンフォートゾーンは排他的であり、なおかつスノッブな空間でもあると言えるでしょう。

 私が最近見た排他的なコンフォートゾーンは、ある有名ホテルのクラブラウンジでした。外国製のスーツを着たワスプらしき外国人とそれを取り囲む日本人ビジネスマンの会食で、彼らは、最近どこそこの企業を買収しただとか、次はどこそこの会社を買収する予定だとか、油っこい話をにこやかにワスプに報告しているのです。

 私とすれば、そんな話をこんなところでしていいのか? と思ってしまう内容なのですが、全員英語だったので「どうせ周りの日本人にはわからないだろう」というわけです。

 なんというか、その我が物顔ぶりが鼻について仕方なかったですし、ワスプにすり寄る日本人ビジネスマンたちの姿に情けない思いすら感じてしまいました。

 しかし、当のワスプ&日本人ビジネスマンたちは世界を相手にビジネスをしていますと言わんばかりの胸の張り方です。こういったスノッブで差別的な空間であっても本人たちにとってみれば極上のコンフォートゾーンなのです。

 引用終わり

 

 

 自分たちにとっては良いけれど、他人には居心地が悪い空間

 

 それがコンフォートゾーン(CZ)。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

 だから、CZは「狭く! 高く!」。

高くとは、もちろん、「抽象度が高い」という意味です。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 

 人が数人集まればコンフォートゾーンは形成されます。あるいは、自分の好きなものだけを集めて一人で寛げる場を作れば、そこはコンフォートゾーンとなります

 

 これは「自我」のことでもあります。CZとは、「宇宙に対する評価関数」であり、自我そのものです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html

 

 だから、「自我=CZは排他的(になりがち)」ということを、まずは厳しく自覚しなければなりません。ただし、自覚だけでは「排他的」を克服することはできないでしょう。

(その理由は↓)

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html

 

 では、「自我=CZは排他的」を克服するために必要なことは?

 

 

 排他的な空間には成長はありません。コーチング的に言えば現状の外のゴールはありません

 

 そう、ゴール設定です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 これまでの「自我=CZ」の外側、それもより抽象度の高い次元にゴールを設定することができると、「自分」を構成する新たな(ゴール側の)縁起を感じられるようになります。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 そして、その新たな縁起(=ゴール側のCZ)の臨場感が高まるほど、結果として「自我=CZ」が拡大(拡張)していきます。

 F-353:“覚醒”の夏に向けて習得! 苫米地式「オーセンティック・コーチング」

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34650757.html

 

 そんな「自我=CZ」の拡大(拡張)を繰り返すたびに、人は「自我=CZは排他的(になりがち)」を克服していくはずです。

 F-247:「ゴール」と「現状の自我」の間に臨場感という橋を架ける <vol.4;木鶏(ワーク付き)>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29025709.html

 

Q-420につづく)

 

 

CoacHing4M2 EDGE          

 CoacH T(タケハラクニオ)

 

 

 

-追記-

 CZに関連して補足します。

 PM-06-06:仮説01)変わらないCZが生みだす「現状維持の壁」

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628746.html

 

 前回(Q-418)紹介した病院では、職員は3つのグループに分かれていました。1)10%が院長を崇拝するグループ、2)20%が院長を小馬鹿にするグループ、そして3)大多数(70%)が「どうでもいい」という感じの日和見グループ。

その中で実際に退職していったのは、「2)小馬鹿グループ」の人ではなく、「3)日和見グループ」の人でした。なぜだと思いますか?

 

 私の答えは、「1)崇拝グループ」と「2)小馬鹿グループ」はCZを強く共有していて、「3)日和見グループ」はそれほどでもなかったから。

 

 プロ野球でたとえると、「アンチ巨人」の人は、「巨人ファン」とは向きが真逆(勝つと↓/負けると↑)なだけで、「巨人」に対する重要度は高い状態です。

つまり、「アンチ巨人」と「巨人ファン」はCZを強く共有しているということ。「巨人」に対する臨場感が高いのです。

 F-244:「ゴール」と「現状の自我」の間に臨場感という橋を架ける <vol.1;臨場感>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28857122.html

 

 対して、「巨人」どころか野球そのものに興味がない人、あるいは野球どころかスポーツに対して興味がない人は、CZをまったく共有していません。だから、離れやすいのです。ホメオスタシス・フィードバックが働かないから。

 Q-402:ヒーリングやコーチングと意識状態の関係を教えてください <後編>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35818349.html

 

 この場合の興味(=重要度)は、たいていの場合、外から刷り込まれています。その興味(=重要度=CZ!)を自身の自由意思で新たに生みだす取り組みがコーチング。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html

 

 つまり、コーチングは、縁起宇宙を再構築(w1w2…)することだといえます。

 F-348~:“MJ~縁起宇宙(w1)再構築!~

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_428154.html

 

 

-告知1

2025年度のオンラインセミナーは、コーチング募集開始前の「コーチング説明会」として期間限定配信(2ヶ月)します。次回は2025年秋から配信開始する予定です。

 

 

-告知2

 クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。

一緒に楽しみましょう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36332004.html

 

 

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