L-199202207月医療・介護研修会 -09;運動や思考を促進させるカラクリ

 

 20226月、鹿児島県の医療法人で認知科学やコーチング理論を用いた職員研修を行いました。依頼されたテーマは「イライラ」↓

 L-178~202206月医療・介護研修会(イライラの正体を知り、しっかり対処する)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_430045.html

 

 その翌月、同じ医療法人で再び職員研修を行いました。今回のテーマは「ワクワク・ドキドキ」です。

 

 私が意図したのは、これまでの「イライラという可能世界w1」から新たな「ワクワク・ドキドキという可能世界w2」に移行すること。そのためにコーチとしての働きかけを行いました。

 F-222:コーチングの基本概念を習熟して、エフィカシーをブーストしよう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27832570.html

 

 当日の講演内容をブログ用に再構成し、いただいた御質問や御意見に回答いたします。

 (関係者の皆さま方、大変長らくお待たせいたしました) 

 

 01;ゴール達成を邪魔する「〇〇」

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36175836.html

 02;ゴールを考える前に必要なもの

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36208966.html

 03;左脳的な働きを超え、右脳的な働きをブーストする

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36223150.html

 04;「言語束縛」を外すための二つの方法

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36256269.html

 05;「イライラ」→「ワクワク・ドキドキ」のための二つの“秘密”

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36270252.html

 06;世界を一変するためのワーク

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36301779.html

 07;「イライラ」から「ワクワク・ドキドキ」への流れ

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36314050.html

 08;ディベートを極めたうえで、徹底的に「Rゆらぎ」を行う

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36343075.html

 09;運動や思考を促進させるカラクリ

 

 

 これまで「イライラ」から「ワクワク・ドキドキ」への移行について、コーチとして解説しました。最後に「ワクワク・ドキドキ」の正体について確認し、あらためて「幸せ(well-being)」との関係を考察します。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 まずは「『ワクワク・ドキドキ』の正体」から。

 

 「ワクワク・ドキドキ」と関係するのが「ドーパミン(dopamine)」です。

 Q-281~:ドーパミンの分泌をコントロールまたはどの程度分泌されているか分かるようになるのですか?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_422146.html

 

ドーパミンとは、“行動”を促す中枢神経系の神経伝達物質のこと。食事で摂取したフェニルアラニンやチロシンを元に作られ、興奮した状態をつくるアドレナリン、不安や恐怖を引き起こすノルアドレナリンに変わります。

かつてはアドレナリンやノルアドレナリンの単なる前駆物質と考えられていましたが、ドーパミンそのものに、運動調節、ホルモン調節、記憶、注意、気分、意欲、そして学習に関わる重要な働きがあることがわかってきました。

L-167202201… -11(最終回);モーツァルトの音楽を“体感”するワーク

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34445624.html

 

 「快楽」と呼ばれるような感情にも関わっていますが、じつは、「直接快楽を引き起こすのではなく、ドーパミンだけで幸せになれるわけではない」とされています。

 (↑この部分は次回考察します)

 

 繰り返しますが、ドーパミンとは、“行動”を促す神経伝達物質のこと。“行動”とは物理空間で行われる活動のことだけでなく、情報空間での活動も含みます。「情報空間での活動」とは、思考のことです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

ドーパミンによって思考が促進されると、より複雑で高度な思考ができるようになります。つまり「IQが上がる」ということ。

 L-10720218月シークレットレクチャー -09;「I×V」とは〇〇

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31370555.html

 

 このドーパミンによるIQアップにより、人類は進化を実現してきました。

 L-177202203月シークレット… -10;自由なマインドで「物事を俯瞰し、最速・最短で結果を出す」ためのワーク

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35079795.html

 

以下、苫米地博士の著書「Dr.苫米地の脱洗脳禁煙術」(WAVE出版、p25)より引用します。ドーパミンによるIQアップと進化の関係をイメージしながら読み進めてください。Feel

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14120540.html

 

 

脱洗脳禁煙術

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ドーパミン依存自体は「悪」じゃない!

 タバコに依存することは、脳レベルで見れば「ドーパミン依存」ということです。

 さて、ここで誤解してほしくないのは、「ドーパミン依存」自体は「悪ではない」ということです。世の中には「何かに依存すること=ダメなこと」というイメージを持っている方がいらっしゃいますが、依存することは決して悪いことではありません。

 そもそも人間は昔からドーパミン依存体質です。

 ドーパミンは運動を促すホルモンであり、人間の食行為や性行為を促しています。ドーパミンに依存しているからこそ、人間は毎日ご飯を食べたり、セックスをしようとするのです。ドーパミンは個の生存や種の保存には不可欠な物質なのです。

 食行為や性行為とドーパミンの関係性は以下の通りです。

 ドーパミンは運動を促す役割なので、まず先にドーパミンが放出されます。すると、人間は食事をしたり(もしくは食事のための狩りや農作業などの運動をしたり)、興奮してセックスをします。こうした作用を「プライミング」と言います。プライミングとは、先に受けた刺激(先行刺激)によって、後続する刺激に対する認知や判断が影響を受けて、特定の行動が促進または抑制されたりすることです。食欲や性欲が満たされると、次にドーパミンが脳の報酬系に大量に流れて、思いっきり気持ちよくなります。この快の記憶が、次の機会に再びドーパミンを放出させるきっかけとなり、さらに運動を促進させるのです。

 食事の場合は、主なエネルギー源となる糖分が身体的依存を作っています。脳内でドーパミンが働いているために、糖分に対して依存状態となり、「ご飯を食べたい」「ご飯を食べるために働かなければ」というモチベーションが起こり、結果として生命を維持できているのです。

 さらに現代においては、ドーパミンは生存のためでなく、知的活動をするためにも不可欠であることが分かっています。なぜなら、運動も思考も脳にとっては同じことだからです。「運動」は物理空間の運動であり、「思考」は情報空間の運動です(ちなみに「物理空間」とは身体で触れることができるモノ自体の世界を指し、「情報空間」とは私たちの脳や心の中に存在するさまざまな概念がつくっている世界のことです)。ドーパミンによって情報空間の運動である思考が促進されれば、より複雑で高度な思考ができるようになります。つまり「IQが上がる」ということです(ドーパミンとIQの関係については、私のほかの著書の中で繰り返し書いていますので、ここでは割愛させていただきます)。

 依存とはDNAに記述された生物的欲求のことです。ドーパミンも人体に不可欠な物質だから依存しているのであり、ドーパミン依存であることは生きる上で必然なのです。

 ニコチンをはじめとした植物起源の薬物も、もともとは人間にとって不可欠なドーパミンを分泌させるためのプライミングとして用いられていました。薬物に依存することで、よりよく脳内でドーパミンを分泌させ、運動や思考を促進させること。それは個もしくは種としてのサバイバルのためなのです。

 ドーパミンを欲しがること自体は何の問題もありません。むしろ、よりよく生きるために、もっとドーパミンを欲しがるべきなのです。理想は、脳が本来備えている機能を使ってドーパミンを出すことですが、すべての人が思い通りに出せるわけではありません。そのときに外的刺激に頼ることは決して悪いことではありません。食べ物の糖分だって、タバコのニコチンだって、脳内のドーパミン分泌に関わっているという点では、本質的に変わりません。ニコチン依存がダメだと言うのは、毎日ご飯を食べたり、セックスしたりすることもだめだと言うことになってしまいます。

 引用終わり

 

 

プライミングとは、先に受けた刺激(先行刺激)によって、後続する刺激に対する認知や判断が影響を受けて、特定の行動が促進または抑制されたりすること

 

 この「プライミング」こそが“進化”の原動力!

(↑次回考察します)

 

米国の心理学者 アブラハム・マズロー(Abraham Harold Maslow1908~1970年)は、「人間は自己実現に向けて絶えず成長する生き物である」と仮定し、人間の欲求を五段階の階層で理論化しました。それが「欲求階層(段階)説」で、「自己実現理論」とも呼ばれています。

それによると、人間の欲求は五段階のピラミッドのようになっており、下位の段階の欲求が満たされるとより高次の欲求を目指すと説明されています。

 

 

自己実現理論(Wikiより引用)

欲求階層説(自己実現理論)

Wikipediaより引用

マズローの欲求段階説 - Wikipedia

 

 

 マズローの言う「より高次の欲求を目指す」のカラクリがプライミングにあります。プライミングの結果、エネルギーと創造力の駆使が行われ、私たち人類は進化を重ねてきました。

 PM-05-13~5そもそも教育とは?-6)人間形成

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/9963845.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/9966391.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10116950.html

 

 

 今、違和感を感じていますか?

 

 もしもYesなら(Noでもw)、ぜひその理由を考えてください。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5882652.html

 

 途中で述べたとおり、ドーパミンは、「快楽」と呼ばれるような感情にも関わっています。しかしながら、「直接快楽を引き起こすのではなく、ドーパミンだけで幸せになれるわけではない」とされています。その理由はきっと、今感じている違和感の正体と重なるはずです。

(ヒントはこちら↓)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

L-200につづく)

 

 

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https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36288183.html

 

 

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一緒に楽しみましょう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36332004.html

 

 

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