F-386:“心身の不調”の一考察 ~苫米地式コーチング認定コーチとして~ <vol.2;動物の本能から生じる情動>

 

 前回(F-385)は、私が医師として経験した<ケース>を紹介しました。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

私が感じた本質的課題(case)は「ゴールがない」こと。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

  

その根治的解決法(plan)は、もちろん、「ゴールを設定し、ゴールに向かって生きる」ことです。そのプロセス中に、人は「『宇宙に対して果たす機能』がわからない」というスピリチュアルペインを克服していきます。

 L-122202111月医療・介護研修… -03;ゴールがスピリチュアルペインを解決する

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32663640.html


  ゴールを設定し、ゴールに向かって生きる

 

 その間に起こること(起こすべきこと)を、コーチとして考察します。

 

 vol.1;本質的課題と根治的解決法

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36235572.html

 vol.2;動物の本能から生じる情動

 

 

 前回(F-385)、私は「患者さんが抱えている問題(case)の本質とその根治的解決法(plan)をイメージしながら読み進めてください」と書きました。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html

 

じつは、この発想は、コーチングにはふさわしくありません。なぜでしょう?

 

答えは「問題やその解決にフォーカスするほど、現状に囚われやすくなる」から。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721658.html

 

 現状に囚われたままでは、当然ですが、現状の外にゴールを設定することができません。ゴールはいつまでもスコトーマに隠れたままです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 現状を生みだすのは各自のブリーフシステム(Belief SystemBS)です。BSは「情動を伴った体験の記憶」と「受け入れた情報の記憶」でつくられます。

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「記憶」という言葉でわかるとおり、現状とは過去(記憶)の再合成です。

 Q-259:コーチングは弱った人を対象とする臨床心理や精神医療の世界にはなじまないのだろうか? <vol.1自我から離れ、高い抽象度で物事を捉える技術

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28742699.html

 

 だから、コーチは、徹底的に「過去は一切関係ない!」と伝えます。クライアントのマインドを過去の呪縛から解放するために。

 F-366:日本を世界のリーダーに! 「苫米地式次世代コーチング」

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35313236.html

 

  過去は一切関係ない!

 

 ただし、コーチにとっては、クライアントの「過去」も重要。

まずは「現状を維持する(=現状の外への移行を阻む)ブリーフシステム」を的確に把握した上で、そのBSを強烈にゆらがし、ゴール側から再構築できるように働きかけていきます。

F-342:次世代プロファイリング×ゴール設定 <vol.7;プロファイリング後に行うこと 「殻(w0)“を壊せそうにないケース」編>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34042823.html

 

 今回の<ケース>でいうと、私が強く感じたのは「寂しさ」。これまでの人生で強化し続けた「寂しさ」が、“心身の不調”の根底にあると感じました。

 

 以下、苫米地博士の著書「『感情』の解剖図鑑 仕事もプライベートも充実させる、心の操り方」(誠文堂新光社、p76)より引用し(青字)、考察を加えます。

 

 

【寂しさ】

 あるはずのものや、あってほしいものが欠けていて、心細く満たされない気持ち。あるいは、人恋しくて物悲しい気持ち。寂しさの度合いによっては、「胸が締めつけられる」「涙が出る」といった身体的反応が起こることもある。

 

寂しさには、いろいろな種類がある

 「寂しさ」と一口に言っても、ひとくくりにはできません。その内容は千差万別です。

 「大切な人を失って、寂しい」「住み慣れた場所を離れて、寂しい」「恋人や家族がいなくて、寂しい」という人もいれば、「人は究極的には誰ともわかりあえない、孤独な存在である。そう考えると寂しい」「ビッグバンの前の、何もない宇宙を想像すると寂しい」という人もいるかもしれません。

 抽象度の低いものから高いものまで、人はさまざまな物事に対し、寂しさを感じるのです。

 引用終わり

 

 

 大切な人」「住み慣れた場所」「恋人や家族」は物理空間上の具体的な存在です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516539.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654230.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4654316.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831442.html

 

 それらが「欠けていて、心細く満たされない」というのが、抽象度の低い「寂しさ」。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 その寂しさは動物的だともいえます。抽象度の低い「寂しさ」を感じるとき、心は不安定かつ短絡的になりがちです。「大脳辺縁系優位」といえるこの状態のことを、「ファイト・オア・フライト」と表現します。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8164566.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166289.html

 

 

動物の本能から生じる、抽象度の低い寂しさ

 抽象度の低い寂しさは、動物の本能に基づく寂しさであるといってもよいかもしれません。

 動物にはもともと、身の安全を守るために群れをなす習性があります。

 進化の結果、人間は一人でも行動できるようになりましたが、脳内には、仲間を求める仕組みがまだ残っています。集団で行動していた時代の名残が、生物としての人間の脳に残っているのです。たとえば、一人暮らしの人が寂しさを感じてしまうのは、そのせいです。

 しかし、そうした寂しさには、実は、あまり意味はありません。

 よく考えてみてください。山奥や無人島などの特殊な環境でない限り、たとえ家族などの同居人がいなくて一人で暮らしていても、単に壁で区切られているだけで、同じマンションや近所には、たくさん人間がいます。物理的には数メートルしか離れていないなどということも、ざらにあるでしょう。

 こうした寂しさを感じそうになったら、「壁の向こうには人がいる」と考えるようにしましょう。

 生物学的な、抽象度の寂しさには、想像力を少し働かせるだけで十分に対処ができるのです。

 引用終わり

 

 

 …BSに影響するような情動的な体験の記憶(アンカー)が、何か(トリガー)をきっかけに扁桃体&海馬によって増幅されながら引っ張り出されると、自律神経系が刺激され身体の不調が出現します。<ケース>における「食欲不振」「悪心」「腰痛・下肢痛」「めまい」「胸痛・圧迫感」は、その典型的な症状です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/23944294.html

 

 扁桃体と海馬が記憶を引っ張り出す働きは大脳辺縁系の処理の中ではあくまでローカルなものですが、前頭前野に認識のパターンを生みだす(=BS化)まで高まると自律神経系を介して脳幹までも変調させます。そこまでいくと、命に関わるような不調が生じ得ます。

 PM-04-04収容所生活中にフランクルが発見した「健康」の源泉とコーチングの関係

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8045695.html

 

 だから必ず克服するべきなのですが、その克服は決して簡単ではありません。「抽象度の低い寂しさ」は「動物の本能に基づく寂しさ」だから。それは遺伝子レベルの強力な呪縛だといえます。

 

集団で行動していた時代の名残が、生物としての人間の脳に残っている

 

その「名残」は、じつは、コーチングにも大いに関係します。「名残」を克服できないと、いつまでも過去に囚われたままです。

その「名残」のひとつが「エスティーム(Esteem)」。

L-172202203月シークレット… -05;「新たな世界(w2)」が包含する“光”と“影”

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34943681.html

 

次回、掘り下げます。

 

F-387につづく)

 

 

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-追記1

 私は、「寂しさ」を克服するためには、絶対にコーチングが必要だと思っています。寂しい状態がコンフォートゾーン(Comfort ZoneCZ)化している人は、そのCZをホメオスタシス(恒常性維持機能)が強力に維持しているからです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

 *ホメオスタシスはこちら↓

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html

 

 以下、「『感情』の解剖図鑑」(p78)より引用します。

 

 

ホメオスタシスがもたらす寂しさもある

 大切な人を失ったり、住み慣れた場所を離れたりしたときに感じるのは、ホメオスタシスの働きによって生じる寂しさです。

 人間の身体や精神には、自分にとって居心地のいい状態、慣れ親しんだ状態を維持しようとする力(ホメオスタシス)が強く働いています。そして、何らかの事情により、「自分はこういう人間である」「自分はこういう世界に生きている」という脳内のブリーフシステムが崩れると、最初のうち、脳は戸惑い、それを何とか元に戻そうと葛藤します。このときに、寂しさが生まれるのです。

 引用終わり

 

 

-追記2

 前回(F-385)、私は「患者さんが抱えている問題(case)の本質とその根治的解決法(plan)をイメージしながら読み進めてください」と書きました。じつは、この発想は、コーチングにはふさわしくありません。なぜでしょう?

 

 そもそも「患者」という表現自体がNG

言語は想起性が高いため、「患者」という表現を用いることで、「患う」「病」というイメージ(I)の臨場感(V)が上がってしまいます。「患う」「病」というイメージにホメオスタシスが働くようになると、無意識がそのイメージを強力に維持するようになり、現実化します(し続けます)。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html

 

 そんな悪循環を断ち切るのにコーチングが有効!

 鍵は「ゴール×エフィカシー」。現状の外に自ら設定するゴールとそのゴール達成の確信です。

 F-314~5:デジタル自傷行為 <plan-side -2~3;ゴール×エフィカシーの“秘密”>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32626694.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32678098.html

 

 

-告知1

「<25年前期>コーチング説明会&セミナー」の動画配信を開始しました。今回のテーマは「現状の外をどうやって見つけるか?」。20254月末まで視聴可能です。

ぜひゴール設定の“基本”と“ポイント”を体得してください↓

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36249577.html

 

 

-告知2

 クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。

一緒に楽しみましょう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36149164.html

 

 

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「感情」の解剖図鑑