F-383:ロバート・メーガーの「3つの質問」 <vol.3;重要性「『there』を生みだす」>

 

 最近、精神科医として働く後輩から、「ロバート・メーガーの『3つの質問』」を教えてもらいました。時空を超えた情報空間で。

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 ロバート・メーガー(Robert F. Mager)は米国の教育工学研究者。授業設計(授業計画)のシステム的なアプローチが盛んに議論された頃、「3つの質問」を提唱したそうです。

その質問とは

 

 Where am I going

私はどこに行くのか

 How do I know when I get there

私はそこにたどり着いたことをどうやって知るのか

 How do I get there

  私はどうやってそこへ行くのか

 

 後輩からのありがたい教えを縁に、コーチとして考えたことをまとめます。

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 vol.1induction「すべてが情報である」

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 vol.2;知識「無限の『there』」

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 vol.3;重要性「『there』を生みだす」

 

 

抽象度が上がり「空(くう)」に近づくほど、無限に存在する「there」を感じることができるようになります。

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 ただし、無限の「there」を本当に感じることは簡単ではありません。スコトーマが必ず生じるから。

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 スコトーマが外れるのは 1)知識、2)重要性、3)役割(責任)がそろったとき。通常、それらは他者や社会により規定されています。しかも、すべて過去です。つまり

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 私は本当の私ではなく、目の前の世界は他者によりつくられ、いつも過去に閉じ込められている

 

 

 それをコーチングでは「ブリーフシステム(Belief SystemBS)」と呼びます。昔の認知科学では「内部表現」です。

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 以下、苫米地博士の著書「君は1万円札を破れるか?」(マキノ出版、p263)より引用します。

 

 

内部表現を自らの手に取り戻せ!

 内部表現とは、一言でいえば、その人に固有の情報状態です。この世界について、自分の認識している情報だけを書き込んだハードディスクのようなものです。そして、情報である以上、それは書き換えが可能です。

 人間の認識をなんらかの操作によって、別の認識に換えてしまうことを「内部表現の書き換え」といいます。あなたが今、現に持っている内部表現は必ず、あなた以外の他者による書き換えを受けています。

 たとえば、「北朝鮮」という単語を目にしたとき、北朝鮮という国家を実際に訪れて見たことがないにもかかわらず、あなたの内部表現ではさまざまな概念が生じるはずです。おそらく、よいイメージを抱いている日本人は少ないことでしょう。「危険な隣国」と思うかもしれないし、「あのような国に生まれなくてよかった」と思うかもしれません。けれども、それは、マスコミを通じて知った情報に基づいて、あなたの内部表現に思い描かれる「北朝鮮」に過ぎません。もし、受け取った情報が違っていたら、「民族主義を貫いている、すばらしい国家だ!」と思うかもしれません。

 当然ながら、日本人の内部表現に思い描かれる「北朝鮮」という国家の姿と、北朝鮮国民の内部表現に思い描かれる祖国の姿とは、異なっています。同様に、日本人の内部表現に思い描かれる「日本」と、アメリカ人や中国人の内部表現におけるそれも異なっているはずです。こうした例から、容易に理解できると思いますが、私たちの内部表現は、すでにだれかの都合で勝手に書き換えられています。

 実は、私たちが「これが自分だ」と感じているもの、すなわち「自我」も内部表現の一部であり、単なる情報に過ぎません。「自我」なんてものは、実は定義不可能です。ハードディスクに書き込まれたデータの一部でしかないのです。

 試しに、あなた自身の「自分」という存在を定義してみてください。名前、年齢、性別、国籍、住んでいる場所、家族関係、職業、性格、趣味……などなど、あなたを説明する情報はたくさんあることでしょう。けれども、それらをいくつ並べたところで、「自分」を完全に定義することはできません。自分以外の人や組織や物体など、他者を引き合いに出さなければ、「たしかにこれが自我である」ということは何一つとして説明できないのです。

 自分という存在を決めているものは、どれも「他者との関係」にまつわる情報であり、自分自身ではありません。つまり、内部表現に書き込まれている情報が自我を形成しているのです。しかも、その情報のほとんどは、あなたが自ら積極的に書き込んだ情報ではなく、他者の価値観を押しつけられたり、他者から評価されたりすることによって、無意識に書き込んでしまった情報です。

 人はみな、幼児期には全能感、すなわち「なんでもできる」という感覚を持っています。立って歩けるようになる。言葉が話せるようになる。好奇心のままに行動すると、新しいことができるようになる。そうした中で全能感が発展・維持されていきます。けれど普通は、子どもの世界が広がっていくにつれて自然と困難にぶつかり、できないこともあるのだと理解して、全能感を手ばなしていくものです。

 しかし、この過程に親が介入しすぎて、子どもの全能感を歪んだ方向に導いてしまったり、反対に「自分にはたいしたことはできない」という無能感を押しつけてしまったりしていることが非常に多いのです。

 最近の小学生に将来なりたい職業を尋ねると、「公務員」と回答する子どもがふえているそうです。警察官とか消防士になりたいというなら、仕事の内容に憧れているのだとわかりますが、その答えはなんと公務員なのです。私はここで、公務員についていい・悪いと評価しているのではありません。そうではなく、小学生にとって、公務員がなんたるものかわかるとは思えませんし、この答えは単なる親の影響でしょう。こういう回答をする子どもの親は、典型的なドリームキラーです。ドリームキラーとは読んで字のごとく、だれかの夢を潰すように働きかける人のことです。

 たとえば、子どもが「イチローみたいになりたい!」といったら、親は「そうか、君はなんにでもなれるよ」といってあげればいいのです。しかし、多くの親は「あんなふうに成功できる人は一握りだぞ。もっと堅実な方向を目指せ」なんて余計なことを吹き込むわけです。現実の厳しさを教えているのだ、と思うかもしれませんが、それは親自身のモノサシで勝手に測って、子どもの可能性を狭めているに過ぎません。

 子どもの能力は、親が決めるものではありません。もちろん、学校が決めることでもありません。本人が決めることです。自分の能力や可能性を自ら決めて、「なりたい自分」になる。本当は、だれもがそのように生きていいのです。

 しかし現実には、親や学校、社会からさまざまなモノサシを押しつけられて、それで自分を測ることをよしとしてしまった人が大半でしょう。たとえば、サラリーマンをやっている人のうち、子どものころから「サラリーマンになりたい!」という夢を持ち、自分はそれをかなえたのだという人は、いったい何人いるのでしょうか?

 私たちが日常生活において、自由に選択していると思い込んでいることのほとんどは、社会や他人から押しつけられた価値観、過去の記憶から形成された価値観の中で無意識に選び取っているものです。見えない制約に縛られた中で、私たちは思考や行動を制限されているのです。それが自分の意思であり、それが正しいことだと思い込まされながら、他者の意図に沿って生きているのです。

 しかし、この世に「たった一つの正しいモノサシ」はないし、そもそも「たった一つの正しい世界」というものも存在しません。

 私たちがしなくてはならないことは、内部表現を自らの手に取り戻すことです。いつの間にか書き込まれていた余計な情報をすべて削除して、自らが本当に望む内部表現に書き換えていくのです。

 引用終わり

 

 

 私たちがしなくてはならないことは、内部表現を自らの手に取り戻すことです。いつの間にか書き込まれていた余計な情報をすべて削除して、自らが本当に望む内部表現に書き換えていくのです

 

 そのためにコーチングがあります。そのコアは「ゴール」と「ゴールの設定」です。

 L-069202011月シークレットレクチャー -04;ゴールこそがコーチングのすべて

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29018262.html

 

 スコトーマにより認識できないはずの現状の外にゴールを見つけるためには、まずはこれまでのBSが生みだしているコンフォートゾーン(Comfort ZoneCZ)を抜け出さなければなりません。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

ところが、そのCZはホメオスタシス(Homeostasis)により強力に維持されているため、抜け出すことは決して簡単ではありません

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html

 

これまでのCZは簡単には抜け出せない

 

 それは紛れもない事実ですが、そのように思い込むほど、じつは、これまでのCZ(=BS)を抜け出すことはますます難しくなります。すべては自分のマインド(脳と心)が生み出しているからです。

マインドの中で最も臨場感の高い(V)イメージ(I)が現実です(R)。

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html

 

BSは「情動を伴った体験の記憶」と「抽象化された情報の記憶」でできているとされています。じつは、それらはすべて自分が受け入れたもの。突きつめて考えると、本当は「自分のBS」に自分が縛られているだけです。つまり

F-222:コーチングの基本概念を習熟して、エフィカシーをブーストしよう!

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27832570.html

 

過去に囚われたままの自分(w1)が、本当の自分(w2)を縛っている

 

そもそも人は完全に“自由”な存在です。だから、まずは“自由”をしっかり意識に上げることが重要!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/10400987.html

 

 外部から入ってくる情報は、最初は自分自身のものではありませんが、受け入れた時点で自分のものになります。その情報によって、自我がつくられていきます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353425.html

 

 結局、今の自我をつくったのは、自分。だから

 

自分(w1)を構成する記憶を吟味し、受け入れるかどうか再度判断し、新しい自分(w2)をゴール側からつくりあげていく

 

その積み重ねにより、まったく新しい「there」を生みだすことができます。それは新たな縁起宇宙の創造です。

L-01220201… -12;生と死の間(between life and death)= 縁起宇宙

https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/24873853.html

 

 大切なのは「可能世界としての『there』は無限に存在していて、すべて自分のマインド次第である」と理解し実践し続けること。

それが「内部表現を自らの手に取り戻す」こと。ひと言でいうと「脱洗脳」です。

 F-378:学びと破門で脅しをかける <vol.2;洗脳を一瞬でキャンセルしてしまう方法>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35894360.html

 

F-384につづく)

 

 

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今年度のオンラインセミナーは、コーチング募集開始前の「コーチング説明会」として開催します。次回は2025年2月下旬頃から配信を開始する予定です。

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