Q-415:やり場のない怒りはどのようにゴール設定すればよいのでしょうか? <vol.5;条件・娯楽・目的>

 

 先日、医療・介護の場で、「怒りのコントロール」に関する切実な悩みを伺いました。

 PM-06-11:仮説06)二つの「怒り」とその間にある論理的思考

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14107083.html

 

 とりあえずの解決のヒント(plan-side)をお伝えした後、もっと本質的な課題(case-side)について考えていただこうとしたタイミングで、ブログをお読みの方より同様の御質問をいただきました。

 S-01-13「問題解決力」の強度を測る2つの基準

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html

 

 「悩み」と「質問」を包摂したLUBを意識に上げながら、「怒り」について5回に分けて考察し、最後(vol.6)にもう一段抽象度を上げて回答します。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 *「LUB」はこちら↓

 Q-385:現在の若者は、男女問わず、貧しくなってしまったのでしょうか? <補足;case study

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34790995.html

 

 vol.1;クレーム

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36032245.html

 vol.2;初心

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36065757.html

 vol.3;抽象度

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36079057.html

 vol.4;〇〇-感情-怒り

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36114843.html

 vol.5;条件・娯楽・目的

 

 

Q:「F-001:やり場のない」を読みました。やり場のないストレスを、現状の外にゴール設定すると臨場感が高まるとのことですが、無知なもので、想像ができず、理解が追いつきませんでした。
 例えば、失恋をした際のやり場のない怒りはどのようにゴール設定すればよいのでしょうか?
 ご教授いただければ幸いです。


A5「怒り」を1つ上の抽象度で「感情」と理解し、さらに上の抽象度で「思考」と捉えることができると、苫米地博士がよく話される「娯楽にする」という感覚がよくわかるはず。

 重要なのは「抽象度を上げて捉え直す」ことです。

 Q-327:最近「記憶が抜ける」ようなvol.2;感情が起こるメカニズム -後編-

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31891038.html

 

  抽象度を上げて捉え直す

 

 それが「ゲシュタルト化」の感覚。ゲシュタルトとして全体がわかると、部分(の意味)がもっとよくわかるようになります。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 

 さらに前回(Q-414)の例でいうと、「思考-感情-怒り」といった異なる抽象度次元のつながりを保ったまま「怒り」について掘り下げると、その本質を見失うリスクは減ります(ハズ)。

抽象度を下げて具体的に考察していても、同時に抽象度の高い視点を維持できるからです。それはIQを上げることと同じ。

L-07520211… -04;抽象度を上げてIQを向上させる苫米地式トレーニング

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29486824.html

 

 では、そんな感じで「怒り」について詳しく確認していきましょう。

 

 「怒り」のゲシュタルトを構築中の方に対して、私が強くお勧めするのが苫米地博士の著書「『怒らない』選択法、『怒る』技術」(東邦出版)。

 

 

「怒らない」選択法、「怒る」技術

Kindle版はこちら↓

Amazon.co.jp: 「怒らない」選択法、「怒る」技術 eBook : 苫米地英人: Kindleストア

 

 

 その書籍の中で、苫米地博士はたくさんのポイントを挙げられています。その中でも私がとくに重要視しているのが、「怒っていい時の条件」「怒りは最高の娯楽」「怒る目的を明確にする」です。

 

 

 ところで、皆さんは怒っている時に「自分が怒っている」ことに気づいていますか?

 

 この部分はとても大事。自身の怒り(<感情<思考)をつねにモニタリングしていることが基本です。

 F-321:観自在 <実践編-1;モニタリング>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/32969294.html

 

 「自分が怒っている」ことに気づいたら、次に行うのは「『怒っていい時の条件』に合致するか?」を考えること。その内省により前頭前野優位を維持しやすくなります。

 L-07920213月シークレットレクチャー -02;内省言語を発生させる

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30021884.html

 

 「怒っていい時の条件」は2つあります。

 1つ目は「相手に過失があり、その過失によって自分に不利益が生じた時」。

 そして、2つ目は「その過失が予想外だった時」。

 

 ここでの鍵は「予想外」という言葉です。苫米地博士は「この『予想外』は、さきほどいった感情が喚起するきっかけと同じものです。感情が喚起するきっかけがそこにあるからこそ、怒っていいわけで、身体的に正しい怒りだといえるのです」と書かれています(p29)。

 Q-316:今、逃げましたよね? <前編;感情が発動するきっかけ>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31589977.html

 

「感情が発動するきっかけ」である「予想外」は、トラウマ化やストレス度に影響する“理不尽度”とも大きく関係します。

S-04-06~7:心に深い傷を負う理由

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22746255.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/22817135.html

 

 

 次は「怒りは最高の娯楽」について。

 最高の娯楽として楽しむために、苫米地博士は「感情と行動を切り離す」と書かれています(p75)。そのコツは、テレビドラマや映画を観ているときと同じように、目の前のリアルドラマを楽しむこと。観終わった瞬間にスパッと切り替えられるように繰り返し練習します。

 F-346:ヘンシン! <ワーク付き>

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34261064.html

 

 「スパッと切り替える」のは「情報場」。コーチング用語でいうと「コンフォートゾーン(Comfort ZoneCZ)」、博士の最近の表現でいうと「可能世界w2」、今回のテーマに沿っていうと「やり場(I×V)」です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

 

 最後の「怒る目的を明確にする」は、コーチング実践者にとっての大切なハビット&アティテュード。なぜかというと

 L-09620217… -08BSとハビット&アティテュードと抽象度の関係

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30652206.html

 

 以下、「『怒らない』選択法、『怒る』技術」(p84)より引用します。

 

 

◎怒る目的を明確にする

 さて、本書の最後は、怒る目的について考えてみましょう。

 怒った時、私たちは必ずなにか目的を持っています。最も単純な理由は、「やり返したい」「相手を傷つけてやりたい」といったものです。大切なものを台無しにされたり、自らを軽んじられたら、当然湧き上がる感情です。これが解消できないとかなりのストレスになります。

 もうひとつ、怒りの目的としてあるのはコミュニケーションです。「あなたはそう考えるようだが、私はこう考える。意見を擦り合わせて、同じ目的に向かっていけるのなら、向かっていこうよ」、というやり取りをハードに行う手法です。一見、口喧嘩のように見えますが、互いにゴールを共有していれば、どれほど激しくいい合ったとしても喧嘩にはなりません。たとえ、その場では擦り合わせがうまくできなかったとしても、です。

 この二つの目的を並べると、一見、前者は間違いで、後者は正しいと思いがちです。しかし、ともに正しい怒りであると、認識してください。

 相手を傷つけたい、叩き潰してやりたいといった復讐心は現代の日本ではしばしば否定されますが、やられたらやり返していいのです。やられたままで黙っているなどありえません。

 ここで、「やり返したら自分が損する」などという人がよくいますが、やり返さなければもっと損します。なぜなら、やり返して来ないということは、受け入れたと判断されるからです。そう判断されたら、その後何度も何度もやられます。どっちが損ですか?

 ですから、本書では復讐心を肯定します。やられたらやられた分、等価交換で、きっちり相手にもその傷みを返してあげましょう。

 もうひとつ、ハード・コミュニケーションとしての怒りについては、一歩間違うとただの喧嘩になってしまうので、細心の注意が必要となります。なぜなら、怒りが爆発し過ぎると、IQが下がってしまって、目的を見失い、闇雲に「やり返したい」となってしまう可能性があるからです。

 大切なのはIQを維持したまま、怒ることです。そうすれば共有しているゴールを見失うことはありません。

 それは復讐心でも同様です。IQを下げてしまえば、リベンジを果たすことはできません。

 すべてはIQなのです。言語を自在に操作するためにも、ビジネスの場に怒りを持ち込まないようにするにも大切なのはIQなのです。

 引用終わり

 

 

 大切なのはIQを維持したまま、怒ることです。そうすれば共有しているゴールを見失うことはありません

 

 怒る目的を明確にする」ことができるのは、ゴールのことを四六時中考え、そのゴール達成のプロセスを常に思い描いているから。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 ゴールが「怒る目的」を決めます。そして、すべての評価や判断をゴール側からの視点に統一するために行うのが「ラベリング」です。

 L-10920218月シークレットレクチャー -11;モニタリング&ラベリング

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31421939.html

 

そのラベリングが、コーチング実践者にとっての大切なハビット&アティテュード。

ラベリングにより、感情(情動)の動きを含む自身のすべての情報処理の目的が明確になります。

 L-176202203月シークレットレクチャー -09;ラベリングにより到達する境地

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/35045101.html

 

Q-416につづく)

 

 

CoacHing4M2 EDGE           

 CoacH T(タケハラクニオ)

 

 

 

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 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36053233.html

 

 

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 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html

 

  

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