Q-414:やり場のない怒りはどのようにゴール設定すればよいのでしょうか? <vol.4;〇〇-感情-怒り>

 

 先日、医療・介護の場で、「怒りのコントロール」に関する切実な悩みを伺いました。

 PM-06-11:仮説06)二つの「怒り」とその間にある論理的思考

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/14107083.html

 

 とりあえずの解決のヒント(plan-side)をお伝えした後、もっと本質的な課題(case-side)について考えていただこうとしたタイミングで、ブログをお読みの方より同様の御質問をいただきました。

 

 「悩み」と「質問」を包摂したLUBを意識に上げながら、「怒り」について5回に分けて考察し、最後(vol.6)にもう一段抽象度を上げて回答します。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 *「LUB」はこちら↓

 Q-385:現在の若者は、男女問わず、貧しくなってしまったのでしょうか? <補足;case study

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34790995.html

 

 vol.1;クレーム

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36032245.html

 vol.2;初心

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36065757.html

 vol.3;抽象度

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/36079057.html

 vol.4;〇〇-感情-怒り

 

 

Q:「F-001:やり場のない」を読みました。やり場のないストレスを、現状の外にゴール設定すると臨場感が高まるとのことですが、無知なもので、想像ができず、理解が追いつきませんでした。
 例えば、失恋をした際のやり場のない怒りはどのようにゴール設定すればよいのでしょうか?
 ご教授いただければ幸いです。


A4:前回(Q-413)は、「抽象度のコントロール」を意識に上げながら、「怒りのコントロール」を感じていただきました。だいぶ「怒り」に関するイメージや質感が変わったのでは?

 L-09020217月シークレットレクチャー -02;臨場感世界の現実化(realized virtuality

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/30497354.html

 

 「問題/課題(case)」を見つけ、その「解決(plan)」を考えていると、どうしても抽象度が下がりがちです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/12658417.html

 

 それは抽象度を上げる方向性の「ゲシュタルト化」とは正反対。それでは本質を見失いかねません。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6193912.html

 

 抽象度を上げながらより大きな「ゲシュタルト」をつくるほど、本質がわかり、理解がより深まっていきます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/13628437.html

 

例えば「チワワ」「ブルドッグ」「コーギー」「ラブラドールレトリーバー」という抽象度ではよくわからなかったことも、一つ上の次元の「犬」というゲシュタルトで考えるとわかったりします。

 F-199:“あの人”の… Vol.3;「こんなにほったらかしにして」を生みだすスコトーマ

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26545746.html

 

さらに「猫」「牛」「豚」「クジラ」「コウモリ」といったゲシュタルトまで統合して「哺乳類」というゲシュタルトをつくると、さらに「チワワ」や「ブルドッグ」の理解は深まります。それが人が持つ「ゲシュタルト能力」です。

 Q-268:薬をやめることができますか? <前編:induction

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/29185121.html

 

 では、同じように「怒り」について考えてみましょう。「怒り」と同じ抽象度の概念(ゲシュタルト)は何でしょうか?

 

 そう、「悲しみ」「不安」「後悔」「劣等感」など。それらは「negative」とひとくくりにされるようなものですが、反対に「positive」でくくられるような「喜び」「勇気」「期待」「優越感」も挙げることができます。

 

 では、「怒り」とそれらを統合して“1つ”とする概念は?

 

 そう、「感情(情動)」です。

 「感情」という全体(のゲシュタルト)ができると、部分である「怒り」はもっとよくわかるようになります。そして、「怒り」がもっとよくわかると、それだけコントロールもうまくできるようになります。それが「観自在」の感覚です。

 F-318~:観自在

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_427083.html

 

 さらに「感情」を部分とするようなもっと大きなゲシュタルトができると、「感情」の理解が深まり、「怒り」はもっとコントロールできるようになります。

ただし、より高次のゲシュタルトをつくる前に、「感情」に関する誤解を解消することが必要。例えば、皆さんは「心が折れる」「感情的になる」と聞いて、どのようなイメージが浮かびますか?

 

以下、苫米地博士の著書「人間は『心が折れる』からこそ価値がある」(PHP研究所、p172)より引用します。「感情」に関する誤った刷り込み(=洗脳)を解くイメージで読み進めてください。Feel

 

 

感情を抑制してばかりの人間なんて、前時代的な工業化社会の奴隷にすぎない

 前章まで述べてきたように、今後開発が進んでいく人工知能は、「心の折れる人工知能」になります。

 人間の役に立つ人工知能にするには、人間の気持ちを理解できなければいけませんので、人工知能が「疲れた」「かったるい」「心が折れた」と言い出します。人工知能は、人間の情動システムを取り入れ、より人間的になっていきます。

 そういう前提で考えてみてください。

 ロボットがどんどん人間化されていくのに対して、逆に人間のほうがロボット化されてしまっては、本末転倒ではないでしょうか。人間がロボット化されることに、はたしていかなる意味があるでしょうか?

 「折れない心をつくる」とか「感情的にならないで生きる」などといっているのは、感情を失ったロボットになることを目指しているようなものです。それを強く望んでいるのは、一部の支配者たちです。一般の人を反抗しないロボットのようにして働かせて、それによって収益を上げようという考え方です。

 これは近代工業化社会の産物といえるでしょう。大量生産社会では、労働者を一人の人間と見ないで、感情を持たずに淡々と作業をこなすロボットのようにさせようとしました。「かったるい」「疲れた」などといっている社員は使いにくいですし、儲けにつながりません。心が折れないで、感情的にならずに仕事ができる社員を使ったほうが儲けられます。心が折れない社員は経営者には非常に好都合なのです。

 「折れない心をつくろう」などと思うのは、近代工業化社会のパラダイムにまんまと乗せられてしまっているだけです。何の感情も感じない人間になれば、心は折れなくなりますが、それでいいのでしょうか。人間はときに感情的であっていいし、つらいときには心が折れていいのです。

 人工知能を搭載したマシンが「心が折れました」「疲れました」というのは、システムや部品に何かの不具合を感じたときです。自動車のタイヤがすり減っているときや、コンピュータのハードディスクが壊れそうなときなどに、「もうダメです」とシグナルを送ってきます。そのシグナルを無視してしまったら、大きな事故につながりかねません。

 同じように、人間が「心が折れた」「かったるい」と感じるときは、心身のどこかに不具合を感じているときです。

 そんなシグナルを受け取ったときには、無視しないで、素直に受け取ったほうがいいに決まっています。

 かったるいのに、無理に仕事を続けるようなことをすると、かえって健康状態が悪くなります。つらいのに無理して長時間働きすぎると、精神的にもさらにつらくなります。「心が折れてはいけない」と思っていると、無理をするので、かえって心の病気になってしまうかもしれないのです。

 引用終わり

 

 

 何の感情も感じない人間になれば、心は折れなくなりますが、それでいいのでしょうか

 

 引用文に続く部分で、苫米地博士は、「不快な気分、ネガティブな気分があるから、人間は素晴らしい完成された存在なのです」「心が折れるのはダメな人間の証拠ではなく、人間の素晴らしさの証拠です」と書かれています。

(こちらでどうぞ↓)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33974189.html

 

 「感情」というゲシュタルトに対してネガティブなイメージがあるままだと、どうしても「怒り」に対して歪んだ思いが生じてしまいます。そのままではきっとコントロールも難しいでしょう。

 

 反対に、「感情」をさらに上の視点で理解することができると、「感情」全体をコントロールすることができるようになり、下の次元で「怒り」をさらにうまくコントロールすることができるようになります。

 

 では、問題。

「感情(情動)」を部分とするようなもっと大きなゲシュタルトとは何でしょうか?

その場合に、「感情(情動)」と同じ抽象度で部分となる概念は何でしょう?

 

 

 私の答えは「思考」です。

「感情(情動)」と同じ抽象度で部分となる概念とは、「言葉」と「映像」。そう、「思考の3つの軸」のこと。

L-067202011月シークレット… -02思考の3つの軸(Three Dimensions of Thought

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/28959379.html

 

 「怒り」を1つ上の抽象度で「感情」と理解し、さらに上の抽象度で「思考」と捉えることができると、苫米地博士がよく話される「娯楽にする」という感覚がよくわかるはず。

 重要なのは「抽象度を上げて捉え直す」ことです。

 Q-327:最近「記憶が抜ける」ようなvol.2;感情が起こるメカニズム -後編-

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/31891038.html

 

Q-415につづく)

 

 

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