F-382:ロバート・メーガーの「3つの質問」 <vol.2;知識「無限の『there』」>

 

 最近、精神科医として働く後輩から、「ロバート・メーガーの『3つの質問』」を教えてもらいました。時空を超えた情報空間で。

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 ロバート・メーガー(Robert F. Mager)は米国の教育工学研究者。授業設計(授業計画)のシステム的なアプローチが盛んに議論された頃、「3つの質問」を提唱したそうです。

その質問とは

 

 Where am I going

私はどこに行くのか

 How do I know when I get there

私はそこにたどり着いたことをどうやって知るのか

 How do I get there

  私はどうやってそこへ行くのか

 

 後輩からのありがたい教えを縁に、コーチとして考えたことをまとめます。

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 vol.1induction「すべてが情報である」

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 vol.2;知識「無限の『there』」

 

 

 「思考のために絶対に欠かせないものは?」という問いに対する私の答えは、「知識」。「ある可能世界(w1)から新たな可能世界(w2)への到達可能性関数」としての知識です。

 L-174202203… -07;ゴールの世界(=ゴール側のCZ)に移行する秘訣

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/34993755.html

 

 そんな知識の代表が「中観思想」。

「メーガーの『3つの質問』」を空仮中の理で考えると、それは「仮観」だといえるはず。「仮」という言葉に込められているのは、「すべてが情報」という「空観」。それが前回(F-381)のポイントでした。

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とくに医療現場で強く感じるのですが、私たちはいまだにニュートン/カント的な決定論的世界観の中にいます。それは「脳(体)がある」「心がある」「脳(体)と心はけっこう相関している」という世界観です。

Q-300~:「心身相関」と「超情報場理論」

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そんな世界観は、各自のブリーフシステム(Belief SystemBS)に書き込まれています。

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例えば、「過去が現在の原因となり、現在やったことが未来の結果につながる」といったイメージやそのイメージに沿った行動も、BSに書き込まれた世界観のあらわれ。

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 「ニュートン/カント的な決定論的世界(観)」とは、簡単にいうと、抽象度を軸にとった場合の情報空間の底面のこと。そこは多くの人々が「世界(のすべて)」だと思っている物理空間です。

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 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 自身の無意識が抽象度の低い次元にフォーカスしがちであることを知り、目の前の宇宙や生命現象を全抽象度次元で捉えようとし続ければ、「私はこういう人間である」「私はこういう世界に生きている」といった脳内の自我/世界モデルをゆらがし、崩すことができます。

 L-136202111… -05;イマジネーションによって作った限界を破壊し、新しい世界を獲得していく

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33084025.html

 

 脳内の自我/世界モデル、すなわちBSがゆらぎ崩れると、今までは絶対に認識できなかったことがチラチラと見えてきます。それはスコトーマを外すチャンス。

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 現状の外に新たなゴールを設定するビッグチャンスです。

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 以下、苫米地博士の著書「洗脳原論」(春秋社、p19)より引用します。

 

 

洗脳原論

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洗脳の段階

 次に、脳内で起こる具体的な洗脳のメカニズムについて、私が提唱するホメオスタシス仮説をベースに、四つのステップにわけて論を展開してみたい。

 ホメオスタシス(homeostasis)とは先にも述べたが、生体を維持する恒常性機能のことである。もともとホメオスタシスは、生命体としては物理的な環境と物理的な生体とのあいだのフィードバック関係により、生体をより永らえさせるために、自律的に調整を行い、恒常性を維持するメカニズムである。ただ、人間は抽象空間に臨場感を持てるまでに進化するに至ったので、このホメオスタシス・フィードバック関係の相手先の環境を、仮想的なイメージや空想の世界にまでひろげることができるに至ったというのが、私のホメオスタシス仮説である。

 人間は長い歴史のなかで進化するにつれ、脳内に抽象的イメージが映写されたとき、体もそれに反応するようになってきた。たとえば、暑い日に、部屋に南極の氷山の写真を貼っておくと、見ているだけで涼しくなる。これは脳内イメージに、ホメオスタシスの働きで体の感覚が近づいたからである。だから、「人間は、ホメオスタシス機能を内蔵している以上、生得的に洗脳の魔の手からは逃れられない」のである。よく、洗脳されやすい人、されにくい人がいると主張する学者がいるが、それは施されたテクニックの向き不向きの問題であって、洗脳されない人などこの世にはいない。映画やテレビの番組の好き嫌いはあるが、臨場感を感じるテレビの番組が、誰にでも必ずあるのと同様である。われわれは生きている以上、常に想像している。たとえば、歩きながら考えごとをしたり、電車に乗っているとき車窓の風景を目で追いながら、実は今日の夕食を思い浮かべていたりする。そういった空想の世界を、可能性世界(possible world)と呼ぶことにする。

 アメリカの哲学者 S.クリプキが、著書『名指しと必然性』(Naming and Necessity)のなかでpossible worldという用語を使っており、日本の有識者はこのクリプキの定義を可能性世界という言葉の定義に主に利用しているようであるが、様相論理(modal logic)で代表される現代分析哲学において、可能性世界という言葉は、ヒンティカ以来さらに広い意味合いで、さまざまな可能性世界論分析で多様に利用されている用語であるので、本書では特にクリプキ的な意味合いでこの言葉を使用しているわけではないことを、誤解を避けるためにここで明言しておく。用語を厳密にするために、本書における定義は、「物理的現実世界をそのひとつとする、あらゆる時間的空間的に存在しうる物理的現実世界の潜在的可能性としての可能世界(クリプキ的な意味での可能性世界)と、物理的現実世界におけるその存在可能性を問うことができない仮想世界(SF的な意味での可能性世界)の両方を可能性世界とする」とする。脳内情報処理の観点からいえば、「人間の脳が想定することができる潜在的な存在としてのあらゆる可能世界」ということになる。

 要するに、リチャード・ニクソンが1970年に米国大統領でなかったという可能性世界(クリプキのいう可能性世界)も、惣流・アスカ・ラングレーのいる「新世紀エヴァンゲリオン」の世界も(さらには彼女がいない可能性としての「新世紀エヴァンゲリオン」の世界も)すべて脳が想定することができる可能性世界であり、これらをすべて可能性世界と呼ぶものである。余談ではあるが、可能性として想定できる世界における知識の真偽の問題は、フッサール、ウィトゲンシュタイン、フレーゲ、ヒンティカ、クリプキ、ムーアらから現代までつづく分析哲学の主流的な問題のひとつである。

 引用終わり

 

 

 前回(F-381)、メーガーの「there」をコーチングの枠組みでいうなら、「ゴール」ではなく、「コンフォートゾーン(Comfort ZoneCZ)」であると書きました。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

 最近の苫米地博士が多用されている表現でいうと、CZには、現状の可能世界w1とゴール側の可能世界w2があります。大切なのは、もちろん、ゴールで生みだす新たな可能世界w2。そのw2は、w1よりも高い抽象度次元にあります。

 F-222:コーチングの基本概念を習熟して、エフィカシーをブーストしよう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27832570.html

 

 抽象度が上がるほど、具体的な情報量は減少していきますが、潜在的な情報量は増加していきます。その「潜在的な情報量」が、「可能性世界(possible world)」であり、コーチングにおける「there」。

 

 

潜在的情報(可能世界)と物理空間

 

 

よって、抽象度が上がり「空(くう)」に近づくほど、無限に存在する「there」を感じることができるようになります。その知識があり、スコトーマを外す理由、すなわちゴールさえあれば。

Q-221:ゴール設定のポイントについて確認させてください

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27497249.html

 

F-383につづく)

 

 

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