Q-400:ヒーリングやコーチングと意識状態の関係を教えてください <前編>

 

御質問をいただきました。ありがとうございます。

 3回に分けて回答いたします。

 (変更を加えています)

  

Q:私は病院で〇〇〇(←医療系国家資格)として働いています。苫米地先生の「オーセンティック・コーチング」の中に、「コーチの仕事はクライアントに不安を作ること」とありますが、その部分が今ひとつしっくりきません。ヒーリングやコーチングと意識状態の関係を教えてください

 

 まずは「コーチの仕事はクライアントに不安を作ること」を中心に考察します。

 

 

A1:御指摘の部分は「オーセンティック・コーチング」(CYZO)のp170にあります。



オーセンティック・コーチング

 

 

 最後に自分のゴールが現状の外のゴールかを判断する簡単な基準を紹介しましょう。それはゴールについて考えた時、怖くなったり、不安になるか、どうかです。もしも不安になれば、これは現状の外のゴールです。

 そして、私たちコーチの仕事はクライアントに不安を作ることです。コーチは人生のあらゆる場面(バランスホイール)で現状の外のゴールを設定する手伝いをします。それは、人生のあらゆる場面に不安を作ることでもあります。つまり、コーチの仕事はカウンセラーとは正反対だということです。

 

 これは第5章の結びの言葉。その第五章のテーマは「コンフォートゾーン」。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6040892.html

 

 ゴールの重要なポイントである「現状の外」とは、「これまでのコンフォートゾーン(CZ)の外側」という意味です。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5615935.html

 

 人の無意識はCZから外れると、慌てて元に戻ろうとします。そのときにマインドに生じる情動の代表が「恐怖」や「不安」です。

 (戻ろうとする力の正体は? 答えはこちら↓)

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4831660.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971818.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4971956.html

 

 よって、コーチングを縁に生じるコントロールされた「恐怖」や「不安」は、コーチングがうまく機能している証だといえます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6353044.html

 

 補足すると、「コントロ-ルされた」とは、前頭葉前頭前野優位を維持できている状態のこと。ドキドキしているけれども、同時にワクワクも感じているといった感じです。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/33485940.html

 

脳内の神経伝達物質でいうと、ドーパミンがあふれている状態。

 (こちらに詳しくまとめました↓)

 Q-281~:ドーパミンの分泌をコントロールまたはどの程度分泌されているか分かるようになるのですか?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_422146.html

 

 そんな前頭前野優位に対して、コントロールを失ってしまった状態が大脳辺縁系優位。その状態での「恐怖」や「不安」は、「戦うか? 逃げるか?」といったシンプルなリアクションを引き起こします。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8164566.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/8166289.html

 

 もちろん、大脳辺縁系優位の状態では、現状の外にあるゴールを達成できません。その理由は?

 

 

 そう、抽象度が下がるから。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4448691.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4449018.html

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/4516484.html

 

 抽象度が下がると、ゴール側のCZの臨場感が下がるばかりか、ゴールそのものも見失ってしまいます。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/5721610.html

 

 だから私は、コーチング・セッション前には必ず、そしてクライアントさんが大脳辺縁系優位に陥りそうになるたびに、“ウォーミングアップ”を行います。

それは「抽象度の高い次元にアクセスできる意識状態づくり」です↓

F-196:コーチとして考える「ウォーミングアップ」と「クーリングダウン」

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/26364639.html

 

 さて、「ヒーリングやコーチングと意識状態の関係」がクリアになってきたでしょうか?

 

 

 苫米地博士が「バラいろダンディ」(20211213日放送回)で明かされたコーチングの奥義「コーチングでは関数pの再定義を促すのではなく、可能世界“w1”から別の“w2”に移行することを促す」を用いて説明すると

 F-222:コーチングの基本概念を習熟して、エフィカシーをブーストしよう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/27832570.html

 

下向きに外れた状態から元の「可能世界“w1”」=これまでのCZに戻るのがヒーリングで、ゴールが生みだす「別の“w2”」に向かってこれまでのCZを飛び出すのがコーチング

 

 脳の活性部位でいうと

 

 大脳辺縁系優位から前頭前野優位に戻すのがヒーリングで、前頭前野の活性化をさらにブーストするのがコーチング

 

 そして、意識状態では

 

 抽象度の高い次元へアクセスできる意識状態づくりがヒーリングで、さらなる高次元へのアクセスがコーチング

 

 といえるはず。

 

 以下、苫米地博士の著書「本番に強い脳と心のつくり方」(PHP研究所、p160)より引用します。博士は「逆境」の本質について書かれています。それは「抽象度の高い次元にアクセスできる意識状態づくり」に必須の知識。

「『逆境』を生みだすものは?」「『逆境』と『恐怖』『不安』の関係は?」という問いを意識に上げながら読み進めてください。Feel

 

 

◆逆境なんて存在しない

 スポーツにおいて、みずからの目標達成を阻害する要因の一つに「逆境」があると多くの人が考えています。

 みなさんがイメージする逆境とは、次のようなものでしょう。

 

 ▶試合の直前に親や友人が亡くなって精神的に不安定になっている。

 ▶ずっとケガに悩まされ、万全の状態で試合に臨めない。

 ▶アウェーの試合で、スタジアムには相手側のサポーターしかいない。

 ▶レッドカードでチームメイトが退場して、数的不利に立っている。

 ▶大量得点差で負けている。

 

 このような逆境に追い込まれると、ふだんどおりのプレー、練習どおりのプレーができないと言う人もいます。

 しかし私に言わせれば、そもそも「逆境」なんてないのです。

 たまたま調子がいいときと悪いときがある。

 たまたま試合をアウェーでやっている。

 たんにそれだけのことです。その単純な事実に「逆境」というネガティブな情報をみずから付加してしまうから、逆境になり、無駄な緊張をしてしまうのです。

 「いまは逆境だ、だから緊張するんだ」と考えるのはすべて自分の判断であって、「逆境なんてない」「今日の試合もいつもと変わらない」と考えることだってできる。

 だれだって体調がいいときと悪いときがあるのは当たり前。試合当日に偶然親しい人が亡くなることだってあるでしょう。しかし、それはたんなる事実であって、体調が悪いときは「今日は体調が悪いな」、親しい人が亡くなったら「あの人が死んで悲しいな」と思ってそれで終わりです。それを「逆境」と思うことがそもそものまちがいなのです。

 サッカーの試合で「40」といった大差で負けているときも同じこと。この状況を「逆境」と感じて「相手には勢いもあるし、うちも調子が悪いから逆転はムリ」と考えたら、緊張してしまい、実際に逆転もできません。

 でもよくよく考えれば、「40」だろうが「41」「42」だろうが、次の一点を取ることについては何も環境は変わらないのです。

 「四点負けているから、短い時間で五点取らなきゃ」と考えると脳波はベータ波支配となり、体は不安や雑念の緊張状態に陥ります。体は動かなくなり、余計に点が取れなくなる。

 そんなときは単純に、「五点取るためにはどうしよう」と考えればいいだけです。勝ち負けは関係なく、自分のゴールとして「五点取ること」を設定します。するとアルファ波支配のリラックス状態となり、IQも高まるので、おのずと五点取るためのアイデアもイメージできますし、体も五点取るための動きをします。

 逆境かどうかの判断は、すべて自分の側に委ねられています。つまり、自分自身が「逆境などない」と思えば、逆境は存在せず、ふだんどおりにプレーできるのです。

 引用終わり

 

 

 そもそも「逆境」なんてない

 

 すべてを自分のマインドが生みだしています。

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/6542364.html

 

現状の外にゴールを設定し、そのゴールを達成するときの“マインド”とは、前頭前野での豊かな情報処理のこと

 

その前頭前野優位を保つ(戻す)ことがヒーリングであり、前頭前野をフルに活性化してゴールに向かうのがコーチングです。

 Q-064~:認知的不協和の状態にあり頭痛が続いています。適切なアファメーション、ビジュアライゼーションはどうすればよいでしょうか?

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_292583.html

 

 それを一言で表すと

 

Q-401につづく)

 

 

苫米地式コーチング認定コーチ     

苫米地式認定マスターヒーラー     

 CoacH T(タケハラクニオ)    

 

 

-告知1

今年度のオンラインセミナーは、コーチング募集開始前の「コーチング説明会」として開催します。次回は2025年2月下旬開催の予定です。約1ヶ月前にこのブログで御案内いたします。

 

 

-告知2

 クラブ活動をはじめました。その名は「コーチング・デ・コンパッションクラブ」。

一緒に楽しみましょう!

 https://coaching4m2-edge.blog.jp/archives/cat_418055.html

 

 

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